JPH11299398A - 魚釣用スピニングリールのハンドルガタ防止機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品員数を少なくして、構造を簡略化し、組
立作業を簡単にし、製造コストを低廉にすると共に、ハ
ンドルを取り外す際に、関連部品の脱落を伴うことがな
い魚釣用スピニングリールのハンドルガタ防止機構を提
供する。 【解決手段】 ハンドル主軸２の端部に設けられ、多角
形状の横断面を有するハンドルシャフト３を、マスター
ギヤー５の多角形状の貫通孔６ｂに貫通する。マスター
ギヤー５の端部及びハンドル主軸２の端部の何れか一方
に傾斜面４ａを有する係合凹部４を、その何れか他方に
傾斜面４ａと合致する当接面６ａを有する係合突部６を
それぞれ形成する。ハンドルシャフト３の先端に螺合さ
れるハンドルビス７の締め付けによる押圧力により、当
接面６ａを傾斜面４ａに当接させて、ハンドル主軸２を
マスターギヤー５に対して周方向に偏位させ、もって、
ハンドルシャフト３を、マスターギヤー５の貫通孔６ｂ
内に圧接する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、魚釣用スピニング
リールのハンドルガタ防止機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の魚釣用スピニングリールのハン
ドルガタ防止機構に関して、実公平７−２８８６３号公
報には、リール本体に回転可能に支持した駆動歯車の角
形軸孔に回り止め嵌合するハンドル軸を備えた魚釣用リ
ールが開示されている（以下、「先行技術１」とい
う）。先行技術１においては、ハンドル軸の先端部に雄
ねじで係止部材を取り付け、ハンドル軸の先端部と係止
部材の少なくとも一方の当接面に傾斜面を形成し、係止
部材を雄ねじの締め付けにより係止部材を径方向に移動
可能にして係止部材の外側面を上記各形軸孔の内面に圧
接し、ハンドル軸を角形軸孔内に固定している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術１においては、独立した構成部材として係止部材を必
須要件としているため、部品員数が増加して、ハンドル
ガタ防止機構の構造が複雑化し、これに起因して、組立
作業が煩雑になり、製造コストが高騰化する傾向にあっ
た。又、整備やハンドル位置の変更のために、ハンドル
を取り外す場合に、係止部材が脱落して紛失する虞があ
った。

【０００４】本発明の目的は、部品員数を少なくして、
構造を簡略化し、組立作業を簡単にし、製造コストを低
廉にすると共に、ハンドルを取り外す際に、関連部品の
脱落を伴うことがない魚釣用スピニングリールのハンド
ルガタ防止機構を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１の本発明の魚釣
用スピニングリールのハンドルガタ防止機構は、ハンド
ル主軸（２）の端部に設けられ、多角形状の横断面を有
するハンドルシャフト（３）を、マスターギヤー（５）
の多角形状の貫通孔（６ｂ）に貫通し、前記マスターギ
ヤー（５）の端部及び前記ハンドル主軸（２）の端部の
何れか一方に傾斜面（４ａ）を有する係合凹部（４）
を、その何れか他方に前記傾斜面（４ａ）と合致する当
接面（６ａ）を有する係合突部（６）をそれぞれ形成
し、ハンドルシャフト（３）の先端に螺合されるハンド
ルビス（７）の締め付けによる押圧力により、前記当接
面（６ａ）を前記傾斜面（４ａ）に当接させて、ハンド
ル主軸（２）をマスターギヤー（５）に対して周方向に
偏位させ、もって、前記ハンドルシャフト（３）を、マ
スターギヤー（５）の前記貫通孔（６ｂ）内に圧接した
ことを特徴とする。

【０００６】請求項２の本発明は、請求項１の魚釣用ス
ピニングリールのハンドルガタ防止機構において、前記
係合凹部（４）及び前記係合突部（６）は相互に嵌合可
能な多角形状をそれぞれ有しており、マスターギヤー
（５）に形成される多角形状の係合凹部（４）又は係合
突部（６）が、マスターギヤー（５）の多角形状の貫通
孔（６ｂ）内におけるハンドルシャフト（３）の遊びの
範囲を越える偏位量をもって、前記貫通孔（６ｂ）に対
して周方向に偏位していることを特徴とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の魚釣用スピニング
リールのハンドルガタ防止機構を、図１乃至図８を参照
して以下に詳細に説明する。

【０００８】図１は、本発明のハンドルガタ防止機構が
組み込まれた魚釣用スピニングリールの一部を断面にし
た底面図である。図１に示すように、このスピニングリ
ールは、竿管（図示せず）への取付脚（図示せず）を有
するリール本体Ｍと、このリール本体Ｍにベアリング
Ｂ，Ｂを介して回転可能に取り付けられたマスターギヤ
ー５と、このマスターギヤー５の貫通孔６ｂに回転不能
に挿通されたハンドルシャフト３と、リール本体Ｍの前
端部にベアリング（図示せず）を介して回転自在に装着
された軸筒（図示せず）とを有している。

【０００９】マスターギヤー５は、図５及び図６に示す
ように、六角形状の貫通孔６ｂをその中心軸線方向に有
している。マスターギヤー５は、その貫通孔６ｂがリー
ルの左右方向、即ち、後述するスプール軸ＳＳと直交す
る方向に向けられるように配置される。このマスターギ
ヤー５は上記軸筒の後端部に設けられたピニオンＰと噛
み合っている。軸筒の前端部には回転枠Ｒがナット（図
示せず）によって一体回転可能に取り付けられている。

【００１０】ハンドルシャフト３は、リール本体Ｍの側
方に配置されたハンドルＨの操作によって軸線周りに回
転駆動される。即ち、ハンドルＨは、略Ｌ字状のハンド
ルアーム１と、その一端にピン８を介して折り畳み可能
に連結されたハンドル主軸２と、ハンドル主軸２の先端
におけるボス２ａに同軸に取り付けられ、六角形の横断
面形状を有するハンドルシャフト３と、ハンドルアーム
１の他端に回転可能に取り付けられた握り部Ｇとから構
成されている。

【００１１】上述したハンドルシャフト３はマスターギ
ヤー５の貫通孔６ｂにその一端から回転不能に挿通され
るが、その他端において、ハンドルシャフト３の先端に
はハンドルビス７が螺合される。これによって、ハンド
ルシャフト３はマスターギヤー５側に引き寄せられ、ハ
ンドル主軸２がマスターギヤー５に固定される。このよ
うな状態において、図２に示すように、ハンドル主軸２
のボス２ａとその外側に同軸に形成されたカバー部２ｂ
との間の空間部にリール本体Ｍに形成された環状突起Ｍ
ａが配置される。リール本体Ｍのハンドル主軸２と反対
側の位置には、ハンドルビス７の周辺を覆うカバーＣが
取り付けられる。

【００１２】不図示の上記軸筒の中心にはスプール軸Ｓ
Ｓがその軸線方向に移動自在に装着される。スプール軸
ＳＳの先端には、スプールＳが取り付けられ、その後端
はオシレート機構Ｏと連結される。オシレート機構Ｏ
は、マスターギヤー５の回転をスプール軸ＳＳの軸線方
向の運動に変換して、スプールＳをリールの前後方向に
往復運動させる。

【００１３】従って、ハンドルシャフト３が回転する
と、その回転がマスターギヤー５、ピニオンＭ及び軸筒
を介して回転枠Ｒに伝達されて回転枠Ｒが軸筒と共に回
転し、同時に、スプールＳがリールの前後方向に往復運
動する。

【００１４】上述した構造を有するスピニングリールに
おいて、本発明のハンドルガタ防止機構を構成するため
に、ハンドル主軸２のボス２ａに係合凹部４を形成し、
一方、マスターギヤー５の両端部に係合突部６，６をそ
れぞれ形成している。尚、係合突部６をマスターギヤー
５の両端部に形成している理由は、ハンドルＨの取り付
け位置を入れ替え、左ハンドル仕様及び右ハンドル仕様
の切り替えを可能にするためである。

【００１５】係合凹部４は、図３及び図４に示すよう
に、６つの平坦な傾斜面４ａ…４ａを側面とする截頭六
角錐体の形状を有しており、その底部から開口端に向か
って順次拡径されている。

【００１６】係合突部６，６の各々は、図７及び図８に
示すように、上記傾斜面４ａ…４ａとそれぞれ合致する
６つの平坦な当接面６ａ…６ａをその周囲に有してい
る。即ち、係合突部６の端面は、これ等６つの当接面６
ａ…６ａによって形成される正六角形Ｈｂを露呈してい
る（図７参照）。更に、係合突部６の端面は、貫通孔６
ｂを限定する他の正六角形Ｈａを露呈している。図７か
ら明らかなように、一方の正六角形Ｈａは他方の正六角
形Ｈｂよりも小さく、共通の中心ＣＰを有しているが、
後者は前者に対して、角度θだけ周方向に偏位してい
る。即ち、一方の正六角形Ｈａの対向する頂点Ｐ１，Ｐ
２を結ぶ直線Ｌ１に対して、他方の正六角形Ｈｂの対向
する頂点Ｑ１，Ｑ２を結ぶ直線Ｌ２が角度θだけ中心Ｃ
Ｐを中心として偏位している。

【００１７】この偏位量は、マスターギヤー５の貫通孔
６ｂ内におけるハンドルシャフト３の周方向における遊
びに基づいて決定される。即ち、この偏位量を調整する
ことによって、貫通孔６ｂ内におけるハンドルシャフト
３の周方向における遊びを減少させることができるが、
この遊びを零にするためには、上記偏位量をマスターギ
ヤー５の貫通孔６ｂ内におけるハンドルシャフト３の周
方向における遊びの範囲を越える値に設定することが望
ましい。

【００１８】次に、本発明の上述したハンドルガタ防止
機構の作用を説明する。

【００１９】先ず、図１に示すように、ハンドルシャフ
ト３をマスターギヤー５の貫通孔６ｂにその一端から挿
通する。次いで、マスターギヤー５の他端において、上
述したように挿通されたハンドルシャフト３の先端にハ
ンドルビス７を螺合する。これによって、ハンドルシャ
フト３はマスターギヤー５側に引き寄せられて、マスタ
ーギヤー５の係合凹部４にハンドル主軸２の係合突部６
が嵌合する。

【００２０】この際、係合凹部４の傾斜面４ａ…４ａは
係合突部６の当接面６ａ…６ａにそれぞれ当接するが、
上述したように、係合突部６の端面において、一方の正
六角形Ｈａは他方の正六角形Ｈｂに対して角度θだけ周
方向に偏位しているため、ハンドル主軸２はマスターギ
ヤー５に対して周方向に偏位する。その結果、ハンドル
シャフト３の横断面における六角形の各頂点は、マスタ
ーギヤー５の六角形状の貫通孔６ｂ内に圧接し、従っ
て、ハンドル主軸２は、ガタツキが実質的に存在しない
状態でマスターギヤー５に確実に固定される。

【００２１】上述した実施形態においては種々の変形が
可能である。即ち、ハンドル主軸２のボス２ａに係合突
部６を形成する一方、マスターギヤー５の両端部に係合
凹部４，４をそれぞれ形成してもよい。マスターギヤー
５の一端部のみに係合凹部４又は係合突部６を形成して
もよい。係合凹部４の傾斜面４ａ及び係合突部６の当接
面６ａは平面ではなく、曲面であってもよい。

【００２２】

【発明の効果】本発明の魚釣用スピニングリールのハン
ドルガタ防止機構によれば、請求項１に記載したよう
に、ハンドル主軸の端部に設けられ、多角形状の横断面
を有するハンドルシャフトを、マスターギヤーの多角形
状の貫通孔に貫通し、マスターギヤーの端部及びハンド
ル主軸の端部の何れか一方に傾斜面を有する係合凹部
を、その何れか他方に前記傾斜面と合致する当接面を有
する係合突部をそれぞれ形成し、ハンドルシャフトの先
端に螺合されるハンドルビスの締め付けによる押圧力に
より、前記当接面を前記傾斜面に当接させて、ハンドル
主軸をマスターギヤーに対して周方向に偏位させ、もっ
て、ハンドルシャフトを、マスターギヤーの貫通孔内に
圧接しているので、部品員数を少なくして、構造を簡略
化し、組立作業を簡単にし、製造コストを低廉にするこ
とができ、ハンドルを取り外す際に、関連部品の脱落を
伴うことがない。

【００２３】請求項２に記載したように、請求項１のハ
ンドルガタ防止機構において、係合凹部及び係合突部が
相互に嵌合可能な多角形状をそれぞれ有しており、マス
ターギヤーに形成される多角形状の係合凹部又は係合突
部を、マスターギヤーの多角形状の貫通孔内におけるハ
ンドルシャフトの遊びの範囲を越える偏位量をもって、
前記貫通孔に対して周方向に偏位させれば、マスターギ
ヤーの貫通孔内におけるハンドルシャフトの周方向にお
ける遊びを実質的に零にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のハンドルガタ防止機構が組み込まれた
魚釣用スピニングリールを示す一部を断面にした底面
図。

【図２】図２の部分拡大断面図。

【図３】ハンドル主軸及びハンドルシャフトを示す、一
部を断面にした正面図。

【図４】図３に示したハンドル主軸及びハンドルシャフ
トの矢印Ａ方向から見た拡大側面図。

【図５】マスターギヤーの縦断面図。

【図６】図５に示したマスターギヤーの矢印Ｂ方向から
見た拡大側面図。

【図７】図６に示したマスターギヤーの係合突部の端面
を示す拡大図。

【図８】図７に示した係合突部の正面図。

【符号の説明】

２ ハンドル主軸 ３ ハンドルシャフト ４ 係合凹部 ４ａ 傾斜面 ５ マスターギヤー ６ 係合突部 ６ａ 当接面 ６ｂ 貫通孔 ７ ハンドルビス

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンドル主軸の端部に設けられ、多角形
   状の横断面を有するハンドルシャフトを、マスターギヤ
   ーの多角形状の貫通孔に貫通し、前記マスターギヤーの
   端部及び前記ハンドル主軸の端部の何れか一方に傾斜面
   を有する係合凹部を、その何れか他方に前記傾斜面と合
   致する当接面を有する係合突部をそれぞれ形成し、ハン
   ドルシャフトの先端に螺合されるハンドルビスの締め付
   けによる押圧力により、前記当接面を前記傾斜面に当接
   させて、ハンドル主軸をマスターギヤーに対して周方向
   に偏位させ、もって、前記ハンドルシャフトを、マスタ
   ーギヤーの前記貫通孔内に圧接したことを特徴とする魚
   釣用スピニングリールのハンドルガタ防止機構。
2. 【請求項２】 前記係合凹部及び前記係合突部は相互に
   嵌合可能な多角形状をそれぞれ有しており、マスターギ
   ヤーに形成される多角形状の係合凹部又は係合突部が、
   マスターギヤーの多角形状の貫通孔内におけるハンドル
   シャフトの遊びの範囲を越える偏位量をもって、前記貫
   通孔に対して周方向に偏位していることを特徴とする請
   求項１に記載の魚釣用スピニングリールのハンドルガタ
   防止機構。