JPH11297518A - 希土類磁石材料 - Google Patents
希土類磁石材料Info
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- JPH11297518A JPH11297518A JP10100717A JP10071798A JPH11297518A JP H11297518 A JPH11297518 A JP H11297518A JP 10100717 A JP10100717 A JP 10100717A JP 10071798 A JP10071798 A JP 10071798A JP H11297518 A JPH11297518 A JP H11297518A
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- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/032—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
- H01F1/04—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
- H01F1/047—Alloys characterised by their composition
- H01F1/053—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
- H01F1/055—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
- H01F1/059—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and Va elements, e.g. Sm2Fe17N2
Abstract
(57)【要約】
【課題】 粉末の状態で良好な角型性とBrとを有し、
かつボンド磁石を成形した場合に高い磁気特性(密度)
を実現できる圧縮性の良好な超微細結晶体の希土類磁石
材料を提供する。 【解決手段】 原子%でR(RはYを含めた希土類元素
の1種または2種以上でありSmを50原子%以上含
む)を8〜13%、M(MはAl,Ti,V,Cr,M
n,Cu,Ga,Zr,Nb,Mo,Hf、Ta、Wの
うちの1種または2種以上であり、Tiを50原子%以
上含む)を2.3%を越えて5%以下、Bを0.1〜3
%、Nを4〜35%、残部T(TはFeまたはFeとC
o)および不可避不純物からなる組成を有し、平均結晶
粒径が2nm以上50nm未満のTh2Zn17型および
/またはTh2Ni17型の硬質磁性相から実質的になる
ことを特徴とする希土類磁石材料。
かつボンド磁石を成形した場合に高い磁気特性(密度)
を実現できる圧縮性の良好な超微細結晶体の希土類磁石
材料を提供する。 【解決手段】 原子%でR(RはYを含めた希土類元素
の1種または2種以上でありSmを50原子%以上含
む)を8〜13%、M(MはAl,Ti,V,Cr,M
n,Cu,Ga,Zr,Nb,Mo,Hf、Ta、Wの
うちの1種または2種以上であり、Tiを50原子%以
上含む)を2.3%を越えて5%以下、Bを0.1〜3
%、Nを4〜35%、残部T(TはFeまたはFeとC
o)および不可避不純物からなる組成を有し、平均結晶
粒径が2nm以上50nm未満のTh2Zn17型および
/またはTh2Ni17型の硬質磁性相から実質的になる
ことを特徴とする希土類磁石材料。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はR−T−M(Mはま
たはVを必ず含む)−B−N系の合金組成を有し、従来
に比べて超微細な硬質磁性相または硬質磁性相と軟質磁
性相とから実質的になり、かつボンド磁石に好適な希土
類窒化磁石材料に関する。
たはVを必ず含む)−B−N系の合金組成を有し、従来
に比べて超微細な硬質磁性相または硬質磁性相と軟質磁
性相とから実質的になり、かつボンド磁石に好適な希土
類窒化磁石材料に関する。
【0002】
【従来の技術】R−T−N系希土類磁石材料(Rは希土
類元素の1種または2種以上、TはFeまたはFeとC
o)において、高い磁気特性を実現するには、窒化処理
条件を最適化する必要がある他、iHcを高めるために
結晶粒を微細化する必要がある。微細化手段としては、
例えば(1)通常の溶解法によって得られたインゴットを
粗粉砕後、ジェットミル等を用いて2〜3μm程度に微
粉砕する方法、(2)溶湯急冷法または溶湯急冷して得ら
れた薄帯を再結晶化することにより平均結晶粒径をnm
サイズにする方法、(3)HDDR法により結晶を微細化
する方法、などがある。(1)の方法では微粉を取り扱わ
ねばならず、含有する希土類元素が酸化して磁気特性が
劣化することや、樹脂バインダーで結着してボンド磁石
とした場合の充填密度が低下する問題を生じる。(2)の
方法は非常に速い溶湯急冷速度(例えば冷却ロールの回
転周速度が約45m/秒以上)を要し、設備コストが増
大する。さらに、冷却ロールの周速度を45m/秒以上
として急冷凝固された薄帯は先端が尖鋭形状となり、こ
の薄帯を粉砕して所定の熱処理を施した後適当な比率で
樹脂バインダーと混合してコンパウンドを作製しボンド
磁石を成形すると、前記尖鋭形状の形態が粉砕、熱処理
後の粉末においても保持される結果バインダー中への分
散が疎となり、ボンド磁石の成形体密度(磁気特性)が
低下する問題がある。(3)の方法は汎用性に富んだ製造
方法でありボンド磁石に好適な10μm以上の粗粉とす
ることが容易である。しかし、従来のものは減磁曲線の
角型性が悪いことやBr(残留磁束密度)が小さいとい
った問題を有する。
類元素の1種または2種以上、TはFeまたはFeとC
o)において、高い磁気特性を実現するには、窒化処理
条件を最適化する必要がある他、iHcを高めるために
結晶粒を微細化する必要がある。微細化手段としては、
例えば(1)通常の溶解法によって得られたインゴットを
粗粉砕後、ジェットミル等を用いて2〜3μm程度に微
粉砕する方法、(2)溶湯急冷法または溶湯急冷して得ら
れた薄帯を再結晶化することにより平均結晶粒径をnm
サイズにする方法、(3)HDDR法により結晶を微細化
する方法、などがある。(1)の方法では微粉を取り扱わ
ねばならず、含有する希土類元素が酸化して磁気特性が
劣化することや、樹脂バインダーで結着してボンド磁石
とした場合の充填密度が低下する問題を生じる。(2)の
方法は非常に速い溶湯急冷速度(例えば冷却ロールの回
転周速度が約45m/秒以上)を要し、設備コストが増
大する。さらに、冷却ロールの周速度を45m/秒以上
として急冷凝固された薄帯は先端が尖鋭形状となり、こ
の薄帯を粉砕して所定の熱処理を施した後適当な比率で
樹脂バインダーと混合してコンパウンドを作製しボンド
磁石を成形すると、前記尖鋭形状の形態が粉砕、熱処理
後の粉末においても保持される結果バインダー中への分
散が疎となり、ボンド磁石の成形体密度(磁気特性)が
低下する問題がある。(3)の方法は汎用性に富んだ製造
方法でありボンド磁石に好適な10μm以上の粗粉とす
ることが容易である。しかし、従来のものは減磁曲線の
角型性が悪いことやBr(残留磁束密度)が小さいとい
った問題を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、粉末の状態で良好な角型性とBrとを有し、か
つボンド磁石を成形した場合に高い磁気特性(密度)を
実現できる圧縮性の良好な超微細結晶体の希土類磁石材
料を提供することである。
課題は、粉末の状態で良好な角型性とBrとを有し、か
つボンド磁石を成形した場合に高い磁気特性(密度)を
実現できる圧縮性の良好な超微細結晶体の希土類磁石材
料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明は、原子%でR(RはYを含めた希土類元素の1種ま
たは2種以上でありSmを50原子%以上含む)を8〜
13%、M(MはAl,Ti,V,Cr,Mn,Cu,
Ga,Zr,Nb,Mo,Hf、Ta、Wのうちの1種
または2種以上であり、Tiを50原子%以上含む)を
2.3%を越えて5%以下、Bを0.1〜3%、Nを4
〜35%、残部T(TはFeまたはFeとCo)および
不可避不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径が2n
m以上50nm未満のTh2Zn17型および/またはT
h2Ni17型の硬質磁性相から実質的になる希土類磁石
材料である。Rが8%未満では保磁力が低くなり、Rが
13%を越えるとBrが低下する。また、Rに占めるS
m比率が50原子%未満では結晶磁気異方性が低下し保
磁力が低下する。高い保磁力を得るために、Rに占める
Sm比率をより好ましくは70原子%以上、特に好まし
くは90原子%以上とするのがよい。M元素のTi含有
比率が50原子%以上であり、かつM元素の含有量が
2.3原子%を越えて5原子%以下とすることが、磁気
特性発現相を前記硬質磁性相を主相(前記硬質磁性相の
比率が全体の50体積%以上)とするために好ましい。
M元素が2.3原子%以下では磁気特性発現相を実質的
に前記硬質相から構成することが困難である。M元素が
5原子%を越えるとiHcが低下する。M元素としてT
iとともに含有できるより好ましい元素はV、Mn、C
rのいずれか1種または2種以上、特に好ましい元素は
Vである。窒素(N)含有量は4〜35原子%とするこ
とが好ましい。Nが4原子%未満および35原子%を越
えるとBr、保磁力がともに低下する。Bは0.1〜3
原子%が好ましい。Bが0.1原子%未満では添加効果
が認められず、3原子%を越えるとBrが低下する。
明は、原子%でR(RはYを含めた希土類元素の1種ま
たは2種以上でありSmを50原子%以上含む)を8〜
13%、M(MはAl,Ti,V,Cr,Mn,Cu,
Ga,Zr,Nb,Mo,Hf、Ta、Wのうちの1種
または2種以上であり、Tiを50原子%以上含む)を
2.3%を越えて5%以下、Bを0.1〜3%、Nを4
〜35%、残部T(TはFeまたはFeとCo)および
不可避不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径が2n
m以上50nm未満のTh2Zn17型および/またはT
h2Ni17型の硬質磁性相から実質的になる希土類磁石
材料である。Rが8%未満では保磁力が低くなり、Rが
13%を越えるとBrが低下する。また、Rに占めるS
m比率が50原子%未満では結晶磁気異方性が低下し保
磁力が低下する。高い保磁力を得るために、Rに占める
Sm比率をより好ましくは70原子%以上、特に好まし
くは90原子%以上とするのがよい。M元素のTi含有
比率が50原子%以上であり、かつM元素の含有量が
2.3原子%を越えて5原子%以下とすることが、磁気
特性発現相を前記硬質磁性相を主相(前記硬質磁性相の
比率が全体の50体積%以上)とするために好ましい。
M元素が2.3原子%以下では磁気特性発現相を実質的
に前記硬質相から構成することが困難である。M元素が
5原子%を越えるとiHcが低下する。M元素としてT
iとともに含有できるより好ましい元素はV、Mn、C
rのいずれか1種または2種以上、特に好ましい元素は
Vである。窒素(N)含有量は4〜35原子%とするこ
とが好ましい。Nが4原子%未満および35原子%を越
えるとBr、保磁力がともに低下する。Bは0.1〜3
原子%が好ましい。Bが0.1原子%未満では添加効果
が認められず、3原子%を越えるとBrが低下する。
【0005】また、本発明は、原子%でR(RはYを含
めた希土類元素の1種または2種以上でありSmを50
原子%以上含む)を6〜10%、M(MはAl,Ti,
V,Cr,Mn,Cu,Ga,Zr,Nb,Mo,H
f、Ta、Wのうちの1種または2種以上であり、Ti
を50原子%以上含む)を1〜2.3%、Bを0.1〜
3%、Nを4〜35%、残部T(TはFeまたはFeと
Co)および不可避不純物からなる組成を有し、平均結
晶粒径が2nm以上50nm未満のTh2Zn17型およ
び/またはTh2Ni17型の硬質磁性相と平均結晶粒径
が0.1〜50nmのTを含む軟質磁性相とから実質的
になる希土類磁石材料である。Rが6%未満では保磁力
が低くなり、Rが10%を越えるとBrが低下する。ま
た、Rに占めるSm比率が50原子%未満では結晶磁気
異方性が低下し保磁力が低下する。高い保磁力を得るた
めに、Rに占めるSm比率をより好ましくは70原子%
以上、特に好ましくは90原子%以上とするのがよい。
M元素のTi含有比率が50原子%以上であり、かつM
元素の含有量が1〜2.3原子%とすることが、磁気特
性発現相を前記硬質磁性相と軟質磁性相とをを主相(前
記硬質磁性相と前記軟質磁性相との合計の比率が全体の
50体積%以上)とするために好ましい。M元素を2.
3原子%を越えて含有すると前記硬質磁性相と前記軟質
磁性相との共存組織が不安定となる。M元素が1原子%
未満では粗大なαFe等が生成しiHcが低下する。M
元素としてTiともに含有できるより好ましい元素は
V、Mn、Crのいずれか1種または2種以上、特に好
ましい元素はVである。窒素(N)含有量は4〜35原
子%とすることが好ましい。Nが4原子%未満および3
5原子%を越えるとBr、保磁力がともに低下する。B
は0.1〜3原子%が好ましい。Bが0.1原子%未満
では添加効果が認められず、3原子%を越えるとBrが
低下する。
めた希土類元素の1種または2種以上でありSmを50
原子%以上含む)を6〜10%、M(MはAl,Ti,
V,Cr,Mn,Cu,Ga,Zr,Nb,Mo,H
f、Ta、Wのうちの1種または2種以上であり、Ti
を50原子%以上含む)を1〜2.3%、Bを0.1〜
3%、Nを4〜35%、残部T(TはFeまたはFeと
Co)および不可避不純物からなる組成を有し、平均結
晶粒径が2nm以上50nm未満のTh2Zn17型およ
び/またはTh2Ni17型の硬質磁性相と平均結晶粒径
が0.1〜50nmのTを含む軟質磁性相とから実質的
になる希土類磁石材料である。Rが6%未満では保磁力
が低くなり、Rが10%を越えるとBrが低下する。ま
た、Rに占めるSm比率が50原子%未満では結晶磁気
異方性が低下し保磁力が低下する。高い保磁力を得るた
めに、Rに占めるSm比率をより好ましくは70原子%
以上、特に好ましくは90原子%以上とするのがよい。
M元素のTi含有比率が50原子%以上であり、かつM
元素の含有量が1〜2.3原子%とすることが、磁気特
性発現相を前記硬質磁性相と軟質磁性相とをを主相(前
記硬質磁性相と前記軟質磁性相との合計の比率が全体の
50体積%以上)とするために好ましい。M元素を2.
3原子%を越えて含有すると前記硬質磁性相と前記軟質
磁性相との共存組織が不安定となる。M元素が1原子%
未満では粗大なαFe等が生成しiHcが低下する。M
元素としてTiともに含有できるより好ましい元素は
V、Mn、Crのいずれか1種または2種以上、特に好
ましい元素はVである。窒素(N)含有量は4〜35原
子%とすることが好ましい。Nが4原子%未満および3
5原子%を越えるとBr、保磁力がともに低下する。B
は0.1〜3原子%が好ましい。Bが0.1原子%未満
では添加効果が認められず、3原子%を越えるとBrが
低下する。
【0006】また、本発明は、原子%でR(RはYを含
めた希土類元素の1種または2種以上でありSmを50
原子%以上含む)を6〜10%、M(MはAl,Ti,
V,Cr,Mn,Cu,Ga,Zr,Nb,Mo,H
f、Ta、Wのうちの1種または2種以上であり、Vを
50原子%以上含む)を4〜9%、Bを0.1〜3%、
Nを4〜35%、残部T(TはFeまたはFeとCo)
および不可避不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径
が2nm以上50nm未満のTbCu7型の硬質磁性相
と平均結晶粒径が0.1〜50nmのTを含む軟質磁性
相とから実質的になる希土類磁石材料である。Rが6原
子%未満では保磁力が低くなり、Rが10原子%を越え
るとBrが低下する。また、Rに占めるSm比率が50
原子%未満では結晶磁気異方性が低下し保磁力が低下す
る。高い保磁力を得るために、Rに占めるSm比率をよ
り好ましくは70原子%以上、特に好ましくは90原子
%以上とするのがよい。M元素のV含有比率が50原子
%以上であり、かつM元素の含有量が4〜9原子%とす
ることが、磁気特性発現相を前記硬質磁性相と軟質磁性
相とをを主相(前記硬質磁性相と前記軟質磁性相との合
計の比率が全体の50体積%以上)とするために好まし
い。M元素を9原子%を越えて含有するとThMn12型
の結晶構造のR(Fe,M)12Nz相が生成してiHc
が低下する。M元素が4原子%未満では粗大なαFe等
が生成しiHcが低下する。M元素としてVとともに含
有できるより好ましい元素はTi、Mn、Crのいずれ
か1種または2種以上、特に好ましい元素はTiであ
る。窒素(N)含有量は4〜35原子%とすることが好
ましい。Nが4原子%未満および35原子%を越えると
Br、保磁力がともに低下する。Bは0.1〜3原子%
が好ましい。Bが0.1原子%未満では添加効果が認め
られず、3原子%を越えるとBrが低下する。
めた希土類元素の1種または2種以上でありSmを50
原子%以上含む)を6〜10%、M(MはAl,Ti,
V,Cr,Mn,Cu,Ga,Zr,Nb,Mo,H
f、Ta、Wのうちの1種または2種以上であり、Vを
50原子%以上含む)を4〜9%、Bを0.1〜3%、
Nを4〜35%、残部T(TはFeまたはFeとCo)
および不可避不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径
が2nm以上50nm未満のTbCu7型の硬質磁性相
と平均結晶粒径が0.1〜50nmのTを含む軟質磁性
相とから実質的になる希土類磁石材料である。Rが6原
子%未満では保磁力が低くなり、Rが10原子%を越え
るとBrが低下する。また、Rに占めるSm比率が50
原子%未満では結晶磁気異方性が低下し保磁力が低下す
る。高い保磁力を得るために、Rに占めるSm比率をよ
り好ましくは70原子%以上、特に好ましくは90原子
%以上とするのがよい。M元素のV含有比率が50原子
%以上であり、かつM元素の含有量が4〜9原子%とす
ることが、磁気特性発現相を前記硬質磁性相と軟質磁性
相とをを主相(前記硬質磁性相と前記軟質磁性相との合
計の比率が全体の50体積%以上)とするために好まし
い。M元素を9原子%を越えて含有するとThMn12型
の結晶構造のR(Fe,M)12Nz相が生成してiHc
が低下する。M元素が4原子%未満では粗大なαFe等
が生成しiHcが低下する。M元素としてVとともに含
有できるより好ましい元素はTi、Mn、Crのいずれ
か1種または2種以上、特に好ましい元素はTiであ
る。窒素(N)含有量は4〜35原子%とすることが好
ましい。Nが4原子%未満および35原子%を越えると
Br、保磁力がともに低下する。Bは0.1〜3原子%
が好ましい。Bが0.1原子%未満では添加効果が認め
られず、3原子%を越えるとBrが低下する。
【0007】上記本発明の希土類磁石材料ににおいて、
Feの0.01〜30原子%をCoで置換することが好
ましい。Coの導入によりキュリー温度、iHcの温度
係数を向上する効果がある。しかし、30原子%を越え
ると残留磁化およびiHcの顕著な低下を招来し、0.
01原子%未満ではCoの添加効果が認められない。
Feの0.01〜30原子%をCoで置換することが好
ましい。Coの導入によりキュリー温度、iHcの温度
係数を向上する効果がある。しかし、30原子%を越え
ると残留磁化およびiHcの顕著な低下を招来し、0.
01原子%未満ではCoの添加効果が認められない。
【0008】本発明の希土類磁石材料は特定のストリッ
プキャスト条件とHDDR条件との最適な組み合わせで
作製できる。本発明に好適なストリップキャスト合金
は、前記希土類窒化磁石材料に対応した組成のR−T−
M−B系母合金の溶湯を例えば冷却用ロールの周速2〜
10m/秒で急冷凝固した板厚が50〜300μmの薄
帯である。この薄帯に後述の適当なHDDR処理を施し
た後、粉砕し、窒化し、必要に応じて熱処理した窒化粉
末は超微細な結晶組織を有し、同時に良好な粉末の磁気
特性とボンド磁石にしたときの良好な圧縮性を示す。
プキャスト条件とHDDR条件との最適な組み合わせで
作製できる。本発明に好適なストリップキャスト合金
は、前記希土類窒化磁石材料に対応した組成のR−T−
M−B系母合金の溶湯を例えば冷却用ロールの周速2〜
10m/秒で急冷凝固した板厚が50〜300μmの薄
帯である。この薄帯に後述の適当なHDDR処理を施し
た後、粉砕し、窒化し、必要に応じて熱処理した窒化粉
末は超微細な結晶組織を有し、同時に良好な粉末の磁気
特性とボンド磁石にしたときの良好な圧縮性を示す。
【0009】次に、本発明に好適なHDDR条件を説明
する。HD温度は前記母合金の水素分解温度直上温度か
ら約100℃高い温度までがよく、HD保持時間は0.
5〜6時間がよい。R−T−M(MはTiを50原子%
以上含む)−B系の組成の母合金では図1のハッチした
領域でのHDの加熱処理がよく、かつ図2のハッチした
領域でのDRの加熱処理がよい。なお、HD処理を多段
化することも有効である。すなわち、第1回目のHD過
程を図1のハッチ領域で行い、引き続いて第2、第3、
・・・、第n回目のHD処理を前記図1のハッチ領域の
条件かまたはその加熱条件よりも0.1〜50℃高い温
度で行うことも本発明の磁気特性発現相の超微細化に有
効である。nは工程を簡略化するためにはn=1で行っ
てもよい。HD過程が図1のハッチ領域よりも低温側お
よび/または短時間側ではR水素化物とT、T−Mへの
分解反応が全く起こらないか、あるいは母合金の一部だ
けしか分解反応が起こらない。この場合、分解反応が起
こらなかった部分は結晶粒が微細化しないため、後処理
のDR過程、窒化処理を経て得られた窒化磁石粉末の減
磁曲線は角型性が悪くかつHcが低い。他方、HD過程
が図2に示すハッチ領域よりも高温側および/または長
時間側ではHD処理後の組織が粗大粒化し、このためD
R処理、窒化処理後の磁気特性発現相が粗大化するため
減磁曲線の角型性が劣化する。
する。HD温度は前記母合金の水素分解温度直上温度か
ら約100℃高い温度までがよく、HD保持時間は0.
5〜6時間がよい。R−T−M(MはTiを50原子%
以上含む)−B系の組成の母合金では図1のハッチした
領域でのHDの加熱処理がよく、かつ図2のハッチした
領域でのDRの加熱処理がよい。なお、HD処理を多段
化することも有効である。すなわち、第1回目のHD過
程を図1のハッチ領域で行い、引き続いて第2、第3、
・・・、第n回目のHD処理を前記図1のハッチ領域の
条件かまたはその加熱条件よりも0.1〜50℃高い温
度で行うことも本発明の磁気特性発現相の超微細化に有
効である。nは工程を簡略化するためにはn=1で行っ
てもよい。HD過程が図1のハッチ領域よりも低温側お
よび/または短時間側ではR水素化物とT、T−Mへの
分解反応が全く起こらないか、あるいは母合金の一部だ
けしか分解反応が起こらない。この場合、分解反応が起
こらなかった部分は結晶粒が微細化しないため、後処理
のDR過程、窒化処理を経て得られた窒化磁石粉末の減
磁曲線は角型性が悪くかつHcが低い。他方、HD過程
が図2に示すハッチ領域よりも高温側および/または長
時間側ではHD処理後の組織が粗大粒化し、このためD
R処理、窒化処理後の磁気特性発現相が粗大化するため
減磁曲線の角型性が劣化する。
【0010】DR過程では、脱水素反応によりR水素化
物が消失し、窒化後に硬質磁性相になる相に再結晶する
が、再結晶粒が粗大化する前にDR処理を終えることが
良好な磁気特性を得るために好ましい。
物が消失し、窒化後に硬質磁性相になる相に再結晶する
が、再結晶粒が粗大化する前にDR処理を終えることが
良好な磁気特性を得るために好ましい。
【0011】本発明の希土類磁石材料を構成する硬質磁
性相はTh2Zn17型および/またはTh2Ni17型で構
成される。具体的には例えばR2(T,M)17Nx相(x
=2.7〜3.5)からなる。また、硬質磁性相はTb
Cu7型で構成される。具体的には例えばR(T,M)7
Ny相(y=1.2〜1.8)からなる。本発明の希土
類磁石材料の磁気特性発現相が前記硬質磁性相からなる
場合、全体に占める前記硬質磁性相の体積比率は50%
以上が好ましく、70〜90%がより好ましい。よっ
て、不可避の不純物相を除いて前記硬質磁性相のみから
なるのが理想的である。また、本発明の希土類磁石材料
の磁気特性発現相が前記硬質磁性相と前記軟質磁性相と
からなる場合、全体に占める前記硬質磁性相の体積比率
は50%以上が好ましく、70〜90%がより好まし
い。よって、不可避の不純物相を除いて前記軟質磁性相
の体積比率は50%未満が好ましく、30〜10%がよ
り好ましい。この体積比率の範囲を外れると良好な磁気
特性を得ることが困難であり、特に最大エネルギー積が
低下する。体積比率は電子顕微鏡や光学顕微鏡による観
察、X線回折等を併用して総合的に判断されるが、希土
類磁石材料断面を撮影した透過型電子顕微鏡写真の面積
分析法により求めることができる。よって断面積比が体
積比率である。
性相はTh2Zn17型および/またはTh2Ni17型で構
成される。具体的には例えばR2(T,M)17Nx相(x
=2.7〜3.5)からなる。また、硬質磁性相はTb
Cu7型で構成される。具体的には例えばR(T,M)7
Ny相(y=1.2〜1.8)からなる。本発明の希土
類磁石材料の磁気特性発現相が前記硬質磁性相からなる
場合、全体に占める前記硬質磁性相の体積比率は50%
以上が好ましく、70〜90%がより好ましい。よっ
て、不可避の不純物相を除いて前記硬質磁性相のみから
なるのが理想的である。また、本発明の希土類磁石材料
の磁気特性発現相が前記硬質磁性相と前記軟質磁性相と
からなる場合、全体に占める前記硬質磁性相の体積比率
は50%以上が好ましく、70〜90%がより好まし
い。よって、不可避の不純物相を除いて前記軟質磁性相
の体積比率は50%未満が好ましく、30〜10%がよ
り好ましい。この体積比率の範囲を外れると良好な磁気
特性を得ることが困難であり、特に最大エネルギー積が
低下する。体積比率は電子顕微鏡や光学顕微鏡による観
察、X線回折等を併用して総合的に判断されるが、希土
類磁石材料断面を撮影した透過型電子顕微鏡写真の面積
分析法により求めることができる。よって断面積比が体
積比率である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を説明
する。 (実施例5〜8、比較例5〜8)溶湯急冷法により冷却
用ロール周速が2m/秒の急冷凝固条件で、(B)Sm
9.4FebalV7.3B2.0の組成を有した厚み50〜300
μmの薄片状合金を作製した。得られた薄片状合金を、
表1に示すHDの加熱条件で水素中で熱処理することに
よりHD処理を行った。さらに表1に示すDRの加熱条
件で真空中で熱処理することによりDR処理を行った。
次に、このHDDR処理した母合金を75μmアンダー
に粉砕し、0.5MPaの窒素ガス雰囲気中で450℃
×10時間の窒化処理を行った。得られた窒化磁石粉末
の室温(23℃)での磁気特性をVSMで測定した。ま
た、得られた窒化磁石粉末の断面を研磨後エッチングし
て電子顕微鏡および光学顕微鏡観察により硬質磁性相の
平均結晶粒径(Dh)、軟質磁性相の平均結晶粒径(D
s)を求めた。これらの結果を表1に示す。表1より、
実施例5〜8の場合は、表1のHDDR処理後、前記の
窒化処理を経て最終的に得られたものには、平均結晶粒
径が2nm以上50nm未満の微細なTbCu7型のS
m(Fe,V)7Ny相(y=1.2〜1.6)と平均結
晶粒径が0.1〜50nmの微細なFe−V軟質磁性相
とが混在していた。比較例5〜7では、最終的に得られ
たものは、粗大なTbCu7型の硬質磁性相と粗大なF
e−V軟質磁性相が混在したものだった。比較例8で
は、最終的に得られたものには、平均結晶粒径40nm
のTbCu7型の硬質磁性相とともに粗大なFe−V軟
質磁性相が混在していた。
する。 (実施例5〜8、比較例5〜8)溶湯急冷法により冷却
用ロール周速が2m/秒の急冷凝固条件で、(B)Sm
9.4FebalV7.3B2.0の組成を有した厚み50〜300
μmの薄片状合金を作製した。得られた薄片状合金を、
表1に示すHDの加熱条件で水素中で熱処理することに
よりHD処理を行った。さらに表1に示すDRの加熱条
件で真空中で熱処理することによりDR処理を行った。
次に、このHDDR処理した母合金を75μmアンダー
に粉砕し、0.5MPaの窒素ガス雰囲気中で450℃
×10時間の窒化処理を行った。得られた窒化磁石粉末
の室温(23℃)での磁気特性をVSMで測定した。ま
た、得られた窒化磁石粉末の断面を研磨後エッチングし
て電子顕微鏡および光学顕微鏡観察により硬質磁性相の
平均結晶粒径(Dh)、軟質磁性相の平均結晶粒径(D
s)を求めた。これらの結果を表1に示す。表1より、
実施例5〜8の場合は、表1のHDDR処理後、前記の
窒化処理を経て最終的に得られたものには、平均結晶粒
径が2nm以上50nm未満の微細なTbCu7型のS
m(Fe,V)7Ny相(y=1.2〜1.6)と平均結
晶粒径が0.1〜50nmの微細なFe−V軟質磁性相
とが混在していた。比較例5〜7では、最終的に得られ
たものは、粗大なTbCu7型の硬質磁性相と粗大なF
e−V軟質磁性相が混在したものだった。比較例8で
は、最終的に得られたものには、平均結晶粒径40nm
のTbCu7型の硬質磁性相とともに粗大なFe−V軟
質磁性相が混在していた。
【0013】
【表1】
【0014】(実施例13〜16、比較例13〜16)
冷却用ロールの周速が3m/秒の条件で急冷凝固して、
母合金組成が(D)Sm9.4FebalTi2.7B2.0であ
り、平均厚みが250μmの薄帯母合金を作製した。次
に、得られた母合金を表2に示すHDの加熱条件で水素
中で熱処理することによりHD処理を行った。続いて、
表2に示すDRの加熱条件で真空中で熱処理することに
よりDR処理を行った。このHDDR処理した母合金を
75μmアンダーに粉砕し、0.5MPaの窒素ガス雰
囲気中で450℃×10時間の窒化処理を行った。得ら
れた窒化粉末の室温(23℃)での磁気特性、Dh、D
sを前記と同様にして測定した。結果を表2に示す。表
2より、表1の650〜750℃×1〜6時間の加熱条
件のHD処理に続いて725〜825℃×1〜4時間の
加熱条件のDr処理を行うことによって、実施例13〜
16のものは不可避不純物相を除いて実質的にTh2Z
n17型およびTh2Ni17型のSm2(Fe,Ti)17N
x相(x=2.7〜3)の単相からなることが確認され
た。この硬質磁性相の平均結晶粒径(Dh)は2nm以
上50nm未満にあり、優れた粉末の磁気特性を示し
た。これに対し、最適なHDDR処理条件を外れた比較
例13〜15では粗大な硬質磁性相が生成し、磁気特性
が劣化した。また、比較例16の場合は再結合反応が不
十分となりSm水素化物やFe−Ti相が存在し、磁気
特性が低下した。
冷却用ロールの周速が3m/秒の条件で急冷凝固して、
母合金組成が(D)Sm9.4FebalTi2.7B2.0であ
り、平均厚みが250μmの薄帯母合金を作製した。次
に、得られた母合金を表2に示すHDの加熱条件で水素
中で熱処理することによりHD処理を行った。続いて、
表2に示すDRの加熱条件で真空中で熱処理することに
よりDR処理を行った。このHDDR処理した母合金を
75μmアンダーに粉砕し、0.5MPaの窒素ガス雰
囲気中で450℃×10時間の窒化処理を行った。得ら
れた窒化粉末の室温(23℃)での磁気特性、Dh、D
sを前記と同様にして測定した。結果を表2に示す。表
2より、表1の650〜750℃×1〜6時間の加熱条
件のHD処理に続いて725〜825℃×1〜4時間の
加熱条件のDr処理を行うことによって、実施例13〜
16のものは不可避不純物相を除いて実質的にTh2Z
n17型およびTh2Ni17型のSm2(Fe,Ti)17N
x相(x=2.7〜3)の単相からなることが確認され
た。この硬質磁性相の平均結晶粒径(Dh)は2nm以
上50nm未満にあり、優れた粉末の磁気特性を示し
た。これに対し、最適なHDDR処理条件を外れた比較
例13〜15では粗大な硬質磁性相が生成し、磁気特性
が劣化した。また、比較例16の場合は再結合反応が不
十分となりSm水素化物やFe−Ti相が存在し、磁気
特性が低下した。
【0015】
【表2】
【0016】次に、R含有量と磁気特性の相関について
の検討結果を説明する。 (実施例17〜19、比較例17〜20)冷却用ロール
の周速が3m/秒の条件で急冷凝固して、母合金組成が
SmpFebalTi2.2B2.0(p=4.2〜15.0原子
%)の組成を有した平均厚み250μmの母合金薄帯を
作製した。次に、700℃×3時間、水素中で熱処理す
るHD処理を行った。続いて、825℃×1時間、真空
中で熱処理するDR処理を行った。このHDDR処理し
た母合金を75μmアンダーに粉砕し、0.5MPaの
窒素ガス雰囲気中で450℃×10時間の窒化処理を行
った。得られた窒化磁石粉末の室温(23℃)での磁気
特性、Dh、Dsを前記と同様にして評価した。結果を
表3に示す。表3より、Sm含有量が6〜10原子%の
範囲にある実施例17〜19では、不可避不純物相を除
いて実質的に平均結晶粒径が2nm以上50nm未満の
Th2Zn17型およびTh2Ni17型のSm2(Fe,T
i)17Nx(x=2.7〜3)硬質磁性相と、平均結晶
粒径が0.1〜50nmのFe−Ti軟質磁性相が磁気
特性発現相であることが確認され、良好な粉末磁気特性
が得られた。これに対し、Sm含有量が少なすぎる比較
例17、18およびSm含有量過多の比較例19、20
では粉末の磁気特性が低下した。
の検討結果を説明する。 (実施例17〜19、比較例17〜20)冷却用ロール
の周速が3m/秒の条件で急冷凝固して、母合金組成が
SmpFebalTi2.2B2.0(p=4.2〜15.0原子
%)の組成を有した平均厚み250μmの母合金薄帯を
作製した。次に、700℃×3時間、水素中で熱処理す
るHD処理を行った。続いて、825℃×1時間、真空
中で熱処理するDR処理を行った。このHDDR処理し
た母合金を75μmアンダーに粉砕し、0.5MPaの
窒素ガス雰囲気中で450℃×10時間の窒化処理を行
った。得られた窒化磁石粉末の室温(23℃)での磁気
特性、Dh、Dsを前記と同様にして評価した。結果を
表3に示す。表3より、Sm含有量が6〜10原子%の
範囲にある実施例17〜19では、不可避不純物相を除
いて実質的に平均結晶粒径が2nm以上50nm未満の
Th2Zn17型およびTh2Ni17型のSm2(Fe,T
i)17Nx(x=2.7〜3)硬質磁性相と、平均結晶
粒径が0.1〜50nmのFe−Ti軟質磁性相が磁気
特性発現相であることが確認され、良好な粉末磁気特性
が得られた。これに対し、Sm含有量が少なすぎる比較
例17、18およびSm含有量過多の比較例19、20
では粉末の磁気特性が低下した。
【0017】
【表3】
【0018】次に、Co添加量と磁気特性の相関の検討
結果を説明する。 (実施例25〜29)冷却用ロールの周速が3m/秒の
条件で急冷凝固して、母合金組成がSm9.4Fe85.9-q
CoqTi2.7B2.0(q=0〜8.0原子%)であり、
平均厚みが250μmの薄帯母合金を作製した。この母
合金を700℃×3時間、水素中で熱処理するHD処理
を行った。続いて825℃×1時間、真空中で熱処理す
るDR処理を行った。このHDDR処理した母合金を7
5μmアンダーに粉砕し、0.5MPaの窒素ガス雰囲
気中で450℃×10時間の窒化処理を行った。得られ
た窒化磁石粉末の室温(23℃)での磁気特性、Dh,
Dsを前記と同様にして測定した。結果を表4に示す。
表4より、実施例25〜29のものは良好な粉末の磁気
特性を示し、かつiHcの温度係数も良好だった。
結果を説明する。 (実施例25〜29)冷却用ロールの周速が3m/秒の
条件で急冷凝固して、母合金組成がSm9.4Fe85.9-q
CoqTi2.7B2.0(q=0〜8.0原子%)であり、
平均厚みが250μmの薄帯母合金を作製した。この母
合金を700℃×3時間、水素中で熱処理するHD処理
を行った。続いて825℃×1時間、真空中で熱処理す
るDR処理を行った。このHDDR処理した母合金を7
5μmアンダーに粉砕し、0.5MPaの窒素ガス雰囲
気中で450℃×10時間の窒化処理を行った。得られ
た窒化磁石粉末の室温(23℃)での磁気特性、Dh,
Dsを前記と同様にして測定した。結果を表4に示す。
表4より、実施例25〜29のものは良好な粉末の磁気
特性を示し、かつiHcの温度係数も良好だった。
【0019】
【表4】
【0020】(実施例35、36、比較例31)冷却用
ロールの周速が3m/秒の条件で急冷凝固して、母合金
組成がSm9.4Fe85.9Ti2.7B2.0であり、平均厚み
が250μmの薄帯母合金を作製した。次に、この母合
金を用いて、表5の実施例35の場合は水素中で(1)6
75℃×3時間の熱処理に続いて(2)750℃×2時間
の熱処理を行う2段HD処理後に、825℃×1時間、
真空中で熱処理するDR処理を行った。実施例36の場
合は水素中での(1)675℃×3時間(2)725℃×1時
間(3)800℃×1時間の合計3段の熱処理(HD処
理)後に、825℃×1時間、真空中で熱処理するDR
処理を行った。比較例31の場合は水素中での(1)67
5℃×3時間(2)725℃×1時間(3)850℃×1時間
の合計3段の熱処理(HD処理)後に、825℃×1時
間、真空中で熱処理するDR処理を行った。次に、前記
3種のHDDR処理した母合金を各々75μmアンダー
に粉砕後、0.5MPaの窒素ガス雰囲気中で450℃
×10時間の窒化処理を行った。得られた各窒化磁石粉
末の室温(23℃)での磁気特性、Dh、Dsを前記と
同様にして測定した。結果を表5に示す。表5より、図
1のハッチ領域内の条件で2段のHD処理を行った実施
例35の場合、図1のハッチ領域内の条件で2段のHD
処理までを行い3断目のHD処理を図1のハッチ領域内
の条件の最高温度よりも0.1〜50℃高温で処理した
実施例36では、いずれも不可避不純物相を除いて実質
的に平均結晶粒径が2nm以上50nm未満のTh2Z
n17型およびTh2Ni17型のSm2(Fe,Ti)17N
x(x=2.7〜3)硬質磁性相の単相からなることが
確認され、優れた粉末の磁気特性を示した。これに対
し、比較例31では硬質磁性相が粗大化して粉末の磁気
特性が低下した。
ロールの周速が3m/秒の条件で急冷凝固して、母合金
組成がSm9.4Fe85.9Ti2.7B2.0であり、平均厚み
が250μmの薄帯母合金を作製した。次に、この母合
金を用いて、表5の実施例35の場合は水素中で(1)6
75℃×3時間の熱処理に続いて(2)750℃×2時間
の熱処理を行う2段HD処理後に、825℃×1時間、
真空中で熱処理するDR処理を行った。実施例36の場
合は水素中での(1)675℃×3時間(2)725℃×1時
間(3)800℃×1時間の合計3段の熱処理(HD処
理)後に、825℃×1時間、真空中で熱処理するDR
処理を行った。比較例31の場合は水素中での(1)67
5℃×3時間(2)725℃×1時間(3)850℃×1時間
の合計3段の熱処理(HD処理)後に、825℃×1時
間、真空中で熱処理するDR処理を行った。次に、前記
3種のHDDR処理した母合金を各々75μmアンダー
に粉砕後、0.5MPaの窒素ガス雰囲気中で450℃
×10時間の窒化処理を行った。得られた各窒化磁石粉
末の室温(23℃)での磁気特性、Dh、Dsを前記と
同様にして測定した。結果を表5に示す。表5より、図
1のハッチ領域内の条件で2段のHD処理を行った実施
例35の場合、図1のハッチ領域内の条件で2段のHD
処理までを行い3断目のHD処理を図1のハッチ領域内
の条件の最高温度よりも0.1〜50℃高温で処理した
実施例36では、いずれも不可避不純物相を除いて実質
的に平均結晶粒径が2nm以上50nm未満のTh2Z
n17型およびTh2Ni17型のSm2(Fe,Ti)17N
x(x=2.7〜3)硬質磁性相の単相からなることが
確認され、優れた粉末の磁気特性を示した。これに対
し、比較例31では硬質磁性相が粗大化して粉末の磁気
特性が低下した。
【0021】
【表5】
【0022】(実施例40〜42)次に、本発明の希土
類磁石材料粉末のボンド磁石特性の評価結果について説
明する。実施例5、14、26の窒化磁石粉末を各々2
wt%のエポキシ樹脂と混合した後、10kOeの磁場
中でプレス圧10ton/cm2で圧縮成形し、続いて
硬化のため140℃×1時間の熱処理を施して等方性ボ
ンド磁石を作製した。得られた等方性ボンド磁石の密度
(ρ)および磁気特性を表6に示す。表6より、本発明
によれば、密度が6g/cm3以上で高い磁気特性のボ
ンド磁石を提供することができる。なお、これらボンド
磁石の成形性は平均粉末粒径(dp)が10μmを越え
ており、良好な成形性を示した。本発明の希土類磁石材
料の平均粉末粒径は耐酸化性、磁粉充填密度の低下しな
い20μm以上でかつ肉厚2mm以下の薄肉品の成形に
好適な500μm以下が好ましい。
類磁石材料粉末のボンド磁石特性の評価結果について説
明する。実施例5、14、26の窒化磁石粉末を各々2
wt%のエポキシ樹脂と混合した後、10kOeの磁場
中でプレス圧10ton/cm2で圧縮成形し、続いて
硬化のため140℃×1時間の熱処理を施して等方性ボ
ンド磁石を作製した。得られた等方性ボンド磁石の密度
(ρ)および磁気特性を表6に示す。表6より、本発明
によれば、密度が6g/cm3以上で高い磁気特性のボ
ンド磁石を提供することができる。なお、これらボンド
磁石の成形性は平均粉末粒径(dp)が10μmを越え
ており、良好な成形性を示した。本発明の希土類磁石材
料の平均粉末粒径は耐酸化性、磁粉充填密度の低下しな
い20μm以上でかつ肉厚2mm以下の薄肉品の成形に
好適な500μm以下が好ましい。
【0023】
【表6】
【0024】不明確な点があるが、本発明の希土類磁石
材料において、磁気特性発現相が前記硬質磁性相からな
る場合は、その硬質磁性相にBが含まれるようである。
また、磁気特性発現相が前記硬質磁性相と前記軟質磁性
相とからなる場合には前記硬質磁性相および/または前
記軟質磁性相にBが含まれるようである。
材料において、磁気特性発現相が前記硬質磁性相からな
る場合は、その硬質磁性相にBが含まれるようである。
また、磁気特性発現相が前記硬質磁性相と前記軟質磁性
相とからなる場合には前記硬質磁性相および/または前
記軟質磁性相にBが含まれるようである。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、ボンド磁石にした場合
の圧縮性が良好であり、かつ超微細な硬質磁性相単相型
または硬質磁性相と軟質磁性相とが共存したR−T−M
(MはTIまたはVを必ず含む)−B−N系希土類磁石
材料を提供することができる。
の圧縮性が良好であり、かつ超微細な硬質磁性相単相型
または硬質磁性相と軟質磁性相とが共存したR−T−M
(MはTIまたはVを必ず含む)−B−N系希土類磁石
材料を提供することができる。
【図1】本発明の希土類磁石材料の製造に好適なHD条
件の一例を示す図である。
件の一例を示す図である。
【図2】本発明の希土類磁石材料の製造に好適なDR条
件の一例を示す図である。
件の一例を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 原子%でR(RはYを含めた希土類元素
の1種または2種以上でありSmを50原子%以上含
む)を8〜13%、M(MはAl,Ti,V,Cr,M
n,Cu,Ga,Zr,Nb,Mo,Hf、Ta、Wの
うちの1種または2種以上であり、Tiを50原子%以
上含む)を2.3%を越えて5%以下、Bを0.1〜3
%、Nを4〜35%、残部T(TはFeまたはFeとC
o)および不可避不純物からなる組成を有し、平均結晶
粒径が2nm以上50nm未満のTh2Zn17型および
/またはTh2Ni17型の硬質磁性相から実質的になる
ことを特徴とする希土類磁石材料。 - 【請求項2】 原子%でR(RはYを含めた希土類元素
の1種または2種以上でありSmを50原子%以上含
む)を6〜10%、M(MはAl,Ti,V,Cr,M
n,Cu,Ga,Zr,Nb,Mo,Hf、Ta、Wの
うちの1種または2種以上であり、Tiを50原子%以
上含む)を1〜2.3%、Bを0.1〜3%、Nを4〜
35%、残部T(TはFeまたはFeとCo)および不
可避不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径が2nm
以上50nm未満のTh2Zn17型および/またはTh2
Ni17型の硬質磁性相と平均結晶粒径が0.1〜50n
mのTを含む軟質磁性相とから実質的になることを特徴
とする希土類磁石材料。 - 【請求項3】 原子%でR(RはYを含めた希土類元素
の1種または2種以上でありSmを50原子%以上含
む)を6〜10%、M(MはAl,Ti,V,Cr,M
n,Cu,Ga,Zr,Nb,Mo,Hf、Ta、Wの
うちの1種または2種以上であり、Vを50原子%以上
含む)を4〜9%、Bを0.1〜3%、Nを4〜35
%、残部T(TはFeまたはFeとCo)および不可避
不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径が2nm以上
50nm未満のTbCu7型の硬質磁性相と平均結晶粒
径が0.1〜50nmのTを含む軟質磁性相とから実質
的になることを特徴とする希土類磁石材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10100717A JPH11297518A (ja) | 1998-04-13 | 1998-04-13 | 希土類磁石材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10100717A JPH11297518A (ja) | 1998-04-13 | 1998-04-13 | 希土類磁石材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11297518A true JPH11297518A (ja) | 1999-10-29 |
Family
ID=14281408
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10100717A Pending JPH11297518A (ja) | 1998-04-13 | 1998-04-13 | 希土類磁石材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11297518A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001035714A (ja) * | 1999-05-19 | 2001-02-09 | Toshiba Corp | ボンド磁石とボンド磁石の製造方法、およびそれを用いたアクチュエータ |
JP2009123968A (ja) * | 2007-11-15 | 2009-06-04 | Hitachi Metals Ltd | R−Fe−B系永久磁石用多孔質材料およびその製造方法 |
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