JPH11293460A - クラスレート化合物薄膜の作製方法 - Google Patents

クラスレート化合物薄膜の作製方法

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JPH11293460A
JPH11293460A JP10510698A JP10510698A JPH11293460A JP H11293460 A JPH11293460 A JP H11293460A JP 10510698 A JP10510698 A JP 10510698A JP 10510698 A JP10510698 A JP 10510698A JP H11293460 A JPH11293460 A JP H11293460A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体基板上にクラスレート化合物薄膜を形
成する方法を提供する。これによりクラスレート化合物
のデバイスへの応用を可能とする。 【解決手段】 IV族元素基板上にアルカリ金属等の蒸
着膜を形成した後、該基板を希ガス雰囲気下で加熱処理
し、その後真空中で加熱処理する。希ガス雰囲気下の加
熱処理は100〜650℃、真空中での加熱処理は25
0〜650℃で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エレクトロニクス
産業に利用されるものであり、シリコン等のIV族元素
が篭状に結合したクラスレート化合物をデバイスに応用
する際に必要となる薄膜化の技術を与えるものである。
【0002】
【従来の技術】現在、各種デバイスは、シリコン、ゲル
マニウム、ガリウム−ヒ素などのIII−V族化合物半導
体、硫化ヒ素等のII−VI化合物半導体を利用して作ら
れている。従来、これらを用いた素子の高性能化は微細
加工の技術によって進展してきた。しかし微細加工技術
の限界に近づきつつある現在、微細化による性能向上は
あまり期待できなくなり、素子を構成する物質の特性向
上に対する期待が強まってきている。エレクトロニクス
分野の更なる発展を望むためには、これまでの電子材料
とは大きく異なる物性を有する新材料の開発が必要であ
る。このような新材料としてクラスレート化合物を用い
ることが有用であると考えられる。クラスレート化合物
は、物質を構成する元素間の結合様式が従来の物質とは
大きく異なること、クラスレート構造内に別の元素を有
する事ができる篭状物質であること、また、クラスレー
ト構造の構造の完全性によって欠陥が少なくできること
等の理由から物質の基本物性が飛躍的に向上することが
考えられる。
【0003】シリコン元素に関したクラスレート物質の
例としては、ある条件の元でアルカリ金属元素だけが導
入された特異な形状の構造を単位とした結晶(シリコン
クラスレート)が形成されることが知られていた(例え
ば、Cros et al.,Journal ofSolid State Chemistry,2,
p570-,1970)。
【0004】しかし、この化合物はシリコンクラスレー
ト物質を構成する篭状構造を有するSi20、Si24およ
びSi28の中にアルカリ金属が内包されるものであり、
得られる化合物の電子物性はクラスレートのネットワー
ク構造によって、ほぼ完全に決定されてしまい、物性の
多様性が利用できる可能性はなく、エレクトロニクス分
野で広く活用される事は望めなかった。従ってこれらの
報告が行われて以来、20年以上経過しても、その材料
技術には大きな進展は無かった。
【0005】ところが最近、Si46の組成を有するシリ
コンクラスレートにおいてSi24部分にバリウムが内包
されたNa2Ba6Si46が合成できることが報告され、
エレクトロニクス分野での応用が期待された(山中等、
Fullerene Sience and Technology,3,p21,1995)。
【0006】アルカリ土類金属を用いた場合、アルカリ
土類金属のd軌道とSi46クラスレートの価電子帯と伝
導帯を形成する軌道とが混成して化合物の電子状態を大
きく変化することが可能となるからである。実際に、ア
ルカリ土類金属が導入されていないシリコンクラスレー
トでは超伝導物性は発現しないが、バリウムが導入され
たシリコンクラスレートでは、超伝導物性が観測され
る。超伝導物性は、ドーピングを行った場合でも通常の
シリコンでは観測されず、クラスレートに特有の物性で
ある。この物性の変化は、アルカリ土類金属元素の導入
によって生じるバンド構造の変化によって発現したもの
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなクラスレ
ートの持つ特異性を電子デバイスとして応用する場合、
薄膜化が非常に重要になってくる。しかしながら、クラ
スレートは、Si46の組成を一単位として非常に巨大な
結晶として得られる物質である。各ユニット(Si46
同士は、共有結合によって結合しているため、薄膜化の
ためによく用いられる蒸着法を用いると非常に高い蒸着
温度が必要になり、高温になると物質の構造破壊が起こ
るため薄膜化ができなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】クラスレート化合物は篭
状のM20(Mはシリコン等のIV族元素)とM24および
28を構成単位として得られる結晶体である。従来、こ
のクラスレート物質はシリコンとアルカリ金属等の塊あ
るいは粉末を混合溶融し、AM(Aはアルカリ金属等の
金属)等の化合物を得た後に、真空中でアルカリ金属を
脱離させることにより合成した。そのため、得られるク
ラスレート化合物は粉末状の微結晶の集合体であった。
デバイスへの応用を考えた場合薄膜化の技術は不可欠で
あるが、クラスレート化合物はM46を構成単位とした非
常に大きな結晶となっている。そのため、クラスレート
化合物を蒸着して薄膜化を行った場合、蒸着温度がクラ
スレート化合物の破壊温度を越えてしまい薄膜化ができ
なかった。
【0009】これに対し本発明では、IV族元素基板に
対してアルカリ金属等の蒸着を行い、アルカリ金属等を
IV族元素基板内に熱拡散反応させることにより、基板
表面近傍にAM化合物薄膜を作製する。ここで、真空中
で加熱するとアルカリ金属は、基板表面近傍のAMから
脱離していく、この過程においてAMはアルカリ金属等
が抜けた部分の構造的不安定部分を補うために構造変化
を起こす。この構造変化によるエネルギー状態の安定化
がクラスレート化合物としてAMを変化させるのであ
る。
【0010】本発明は、シリコン等のIV族元素基板上
に金属を蒸着し希ガス雰囲気下で加熱反応させることに
より、基板表面を例えば珪化ナトリウム(NaSi)や
珪化ナトリウムと珪化バリウム(BaSi2)の固溶体
(Na2BaSi4)のようなIV族元素化合物に変化さ
せるものである。ここで、真空中で加熱すると基板の表
面付近の化合物内からアルカリ金属が脱離する。この過
程においてIV族元素化合物は構造の再構成を起こし、
クラスレート化合物へと変化する。通常は、脱アルカリ
の過程でBaSi2等の副生成物が生成するが、本発明
の方法を用いるとアルカリ金属およびアルカリ土類金属
は副生成物のほとんどが除去される。
【0011】本発明によれば、(A)IV族元素基板上
にアルカリ金属の蒸着膜を形成した後、該基板を希ガス
雰囲気下で加熱処理する工程と、(B)該基板を真空中
で加熱処理する工程とを含むことを特徴とするクラスレ
ート化合物薄膜の作製方法が提供される。
【0012】すなわち、IV族元素基板上にアルカリ金
属の蒸着膜を形成した後、蒸着したアルカリ金属がIV
族元素基板から再離脱しないように、大気圧程度のアル
ゴン等の希ガス雰囲気中で加熱し、IV族元素基板表面
近傍にアルカリ金属とIV族元素基板との化合物(A
M:Aはアルカリ金属、Mは基板のIV族元素)を形成
する。10-8torr程度の真空中で基板を適当な温度
で加熱するとIV族元素基板表面近傍のAMからアルカ
リ金属が脱離することによってAMの構造の再構成が起
き、AMはA846やA12136等のクラスレート構造と
なる。反応は、基板表面近傍のみで起こるため、アルカ
リ金属を内包するクラスレート薄膜を得ることができ
る。
【0013】また本発明によれば、(A)IV族元素基
板上にアルカリ金属の蒸着膜およびアルカリ土類金属の
蒸着膜を形成した後、該基板を希ガス雰囲気下で加熱処
理する工程と、(B)該基板を真空中で加熱処理する工
程とを含むことを特徴とするクラスレート化合物薄膜の
作製方法が提供される。
【0014】すなわち、IV族元素基板上にアルカリ金
属とアルカリ土類金属の蒸着膜を形成した後、蒸着した
アルカリ金属およびアルカリ土類金属がIV族元素基板
から再離脱しないように、大気圧程度のアルゴン等の希
ガス雰囲気中で加熱し、IV族元素基板表面近傍に、ア
ルカリ金属およびIV族元素基板の構成元素からなる化
合物と、アルカリ土類金属とIV族元素基板の構成元素
からなる化合物との固溶体(A2AeM4:Aはアルカリ
金属、Aeはアルカリ土類金属、Mは基板のIV族元
素)を形成する。10-8torr程度の真空中で基板を
適当な温度で加熱するとIV族元素基板表面近傍のA2
AeM4からアルカリ金属が脱離することによってA2
eM4の構造の再構成が起き、A2AeM4はA2Ae6
46やA4Ae8136等のクラスレート構造となる。反応
は、基板表面近傍のみで起こるため、アルカリ金属を内
包するクラスレート薄膜を得ることができる。なお、ア
ルカリ金属の蒸着膜およびアルカリ土類金属の蒸着膜を
形成する順序はいずれが先であってもよい。
【0015】また本発明によれば、(A)IV族元素基
板上にアルカリ金属の蒸着膜および希土類の蒸着膜を形
成した後、該基板を希ガス雰囲気下で加熱処理する工程
と、(B)該基板を真空中で加熱処理する工程とを含む
ことを特徴とするクラスレート化合物薄膜の作製方法が
提供される。
【0016】すなわち、IV族元素基板上にアルカリ金
属と希土類金属の蒸着膜を形成した後、蒸着したアルカ
リ金属および希土類金属がIV族元素基板から再離脱し
ないように、大気圧程度のアルゴン等の希ガス雰囲気中
で加熱し、IV族元素基板表面近傍に、アルカリ金属お
よびIV族元素基板の構成元素からなる化合物と、希土
類金属とIV族元素基板の構成元素からなる化合物との
3元素系固溶体(A2ReM4:Aはアルカリ金属、Re
は希土類金属、Mは基板のIV族元素)を形成する。1
-8torr程度の真空中で基板を適当な温度で加熱す
るとIV族元素基板表面近傍のA2ReM4からアルカリ
金属が脱離することによってA2ReM4の構造の再構成
が起き、A2ReM4はA2Re646やA4Re8136
のクラスレート構造となる。反応は、基板表面近傍のみ
で起こるため、アルカリ金属を内包するクラスレート薄
膜を得ることができる。なお、アルカリ金属の蒸着膜お
よび希土類金属の蒸着膜を形成する順序はいずれが先で
あってもよい。
【0017】本発明の方法によって形成されるクラスレ
ート薄膜の膜厚は、工程(A)における加熱処理の温度
等により若干、変動するが、通常は基板上に形成したア
ルカリ金属等の蒸着膜の厚みと同程度またはそれ以下の
膜厚となる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明におけるIV族元素基板と
しては、シリコン基板またはゲルマニウム基板が好まし
く用いられる。
【0019】本発明において、アルカリ金属としては、
好ましくはNa、K、Rb、Csを用いることができ、
アルカリ土類金属としては、好ましくはBa、Sr、C
aを用いることができる。また希土類金属としては、た
とえばEu(ユーロピウム)、Yb(イッテルビウム)
などを用いることができる。
【0020】本発明において、まずIV族元素基板上に
アルカリ金属等の蒸着膜を形成する。蒸着は通常の条件
にて行うことができる。蒸着温度は特に制限されない
が、たとえば200〜400℃とする。
【0021】アルカリ金属等の蒸着膜の膜厚は、好まし
くは10〜2000nm、さらに好ましくは20〜10
00nmとする。ここでいう膜厚とは、2種類の元素の
蒸着膜を形成する場合はこれらの合計の膜厚をいう。膜
厚を厚くしすぎると不要なアルカリ金属が完全に除去さ
れないことがある。一方、薄くしすぎると蒸着膜の作製
が困難となる場合がある。
【0022】本発明において、IV族元素基板上にアル
カリ金属等を蒸着した後、該基板を希ガス雰囲気下で加
熱処理を行う。このときの圧力は、アルカリ金属等の脱
離が生じない程度であれば特に制限がないが、好ましく
は100torr以上、さらに好ましくは500tor
r以上とし、上限についてはたとえば2000torr
以下とする。希ガスとしてはアルゴン等が好ましく用い
られる。また、この加熱処理の温度は、IV族元素基板
表面近傍においてIV族元素と金属とが反応する温度で
あれば特に限定されない。たとえば100〜650℃、
より好ましくは200〜600℃の範囲内で適宜な温度
を選択することができる。なお、650℃を超える温度
とするとクラスレート化合物の構造が破壊されることが
ある。
【0023】本発明においては、希ガス雰囲気下で基板
を加熱処理した後、真空中でさらに基板を加熱処理す
る。この加熱処理の温度は、真空度等にもよるが、好ま
しくは250〜650℃、さらに好ましくは300〜6
00℃とする。650℃を超えると、クラスレート化合
物の構造が破壊されることがある。一方、250℃未満
では不要なアルカリ金属が完全に除去されないことがあ
る。実際の処理温度は、上記の好ましい範囲内におい
て、作製しようとする化合物の構造に応じ、適宜選択さ
れる。たとえばSi46やSi46の組成を有するクラスレ
ートを得ようとした場合、300〜550℃の温度とす
ることが好ましい。またSi136の組成を有するクラス
レートを得ようとした場合、500〜600℃の温度と
することが好ましい。
【0024】本発明のクラスレート薄膜の作製方法にお
いて、(A)の工程を所定回数繰り返した後に(B)の
工程を行ってもよい。この方法は、(A)の工程におい
てアルカリ金属の蒸着膜およびアルカリ土類金属の蒸着
膜を形成する場合や、アルカリ金属の蒸着膜および希土
類の蒸着膜を形成する場合に特に有効である。蒸着膜を
形成する工程と希ガス中での加熱工程を数回繰り返すこ
とにより、2種類の蒸着膜を構成する各元素とIV族元
素基板を構成する元素との3元素系固溶体(A 2AeM4
あるいはA2ReM4)が均一に、かつ基板表面からより
深い位置にまで形成される。このためクラスレート化合
物薄膜の膜厚を厚く、さらに、アルカリ金属の脱離の際
に起きる基板表面の酸化等による侵食を防ぐことができ
る。繰り返しの回数は、たとえば2〜10回とする。
【0025】
【実施例】実施例1 10-8torrの真空下、室温に保持したシリコン基板
上にナトリウムを350℃で100nm蒸着した後、真
空チャンバー内にアルゴンガスを導入し、700tor
rの圧力とした。この状態で、基板温度を400℃で3
時間保持し、ナトリウムをシリコン基板内に拡散させ、
基板表面近傍にNaSiを得た。基板温度を室温に戻し
た後、チャンバー内を10-8torrの真空にし、50
0℃で加熱したまま2時間保持し、基板表面近傍のNa
Si層からナトリウムを脱離させた。得られた試料のX
線回折像をシミュレーションパターンと比較したところ
よい一致を示しNa8Si46クラスレート化合物薄膜が
得られていることが確認できた。
【0026】実施例2 10-8torrの真空下、室温に保持したシリコン基板
上にカリウムを400℃で100nm、バリウムを45
0℃で50nm蒸着した後、真空チャンバー内にアルゴ
ンガスを導入し、700torrの圧力とした。この状
態で、基板温度を400℃で3時間保持し、ナトリウム
およびバリウムをシリコン基板内に拡散させ、基板表面
近傍にK2BaSi4を得た。基板温度を室温に戻した
後、チャンバー内を10-8torrの真空にし、500
℃で加熱したまま2時間保持し、基板表面近傍のK2
aSi4層からナトリウムを脱離させた。得られた試料
のX線回折像をシミュレーションパターンと比較したと
ころよい一致を示しK2Ba6Si46クラスレート化合物
薄膜が得られていることが確認できた。
【0027】実施例3 10-8torrの真空下、室温に保持したゲルマニウム
基板上にカリウムを400℃で100nm蒸着した後、
真空チャンバー内にアルゴンガスを導入し、700to
rrの圧力とした。この状態で、基板温度を400℃で
3時間保持し、カリウムをゲルマニウム基板内に拡散さ
せ、基板表面近傍にKGeを得た。基板温度を室温に戻
した後、チャンバー内を10-8torrの真空にし、4
80℃で加熱したまま2時間保持し、基板表面近傍のK
Ge層からナトリウムを脱離させた。得られた試料のX
線回折像をシミュレーションパターンと比較したところ
よい一致を示しK8Ge46クラスレート化合物薄膜が得
られていることが確認できた。
【0028】実施例4 10-8torrの真空下、室温に保持したゲルマニウム
基板上にカリウムを400℃で100nm、ユーロピウ
ムを450℃で40nm蒸着した後、真空チャンバー内
にアルゴンガスを導入し、700torrの圧力とし
た。この状態で、基板温度を500℃で3時間保持し、
カリウムおよびユーロピウムをゲルマニウム基板内に拡
散させ、基板表面近傍にK2EuGe4を得た。基板温度
を室温に戻した後、チャンバー内を10-8torrの真
空にし、480℃で加熱したまま2時間保持し、基板表
面近傍のK2EuGe4層からナトリウムを脱離させた。
得られた試料のX線回折像をシミュレーションパターン
と比較したところよい一致を示しK2Eu6Ge46クラス
レート化合物薄膜が得られていることが確認できた。
【0029】実施例5 10-8torrの真空下、室温に保持したゲルマニウム
基板上にナトリウムを350℃で100nm、バリウム
を450℃で60nm蒸着した後、真空チャンバー内に
アルゴンガスを導入し、700torrの圧力とした。
この状態で、基板温度を500℃で3時間保持し、ナト
リウムおよびバリウムをゲルマニウム基板内に拡散さ
せ、基板表面近傍にNa2BaGe4を得た。基板温度を
室温に戻した後、チャンバー内を10-8torrの真空
にし、480℃で加熱したまま2時間保持し、基板表面
近傍のNa2BaGe4層からナトリウムを脱離させた。
得られた試料のX線回折像をシミュレーションパターン
と比較したところよい一致を示しNa2Ba6Ge46クラ
スレート化合物薄膜が得られていることが確認できた
(図1)。
【0030】実施例6 10-8torrの真空下、室温に保持したシリコン基板
上にナトリウムを350℃で50nm蒸着した後、真空
チャンバー内にアルゴンガスを導入し、700torr
の圧力とした。この状態で、基板温度を400℃で3時
間保持し、ナトリウムをシリコン基板内に拡散させた。
この工程を5回くり返し、シリコン基板上にNaSi膜
を得た。基板温度を室温に戻した後、チャンバー内を1
-8torrの真空にし、500℃で加熱したまま2時
間保持し、基板表面近傍のNaSi層からナトリウムを
脱離させた。得られた試料のX線回折像をシミュレーシ
ョンパターンと比較したところよい一致を示しNa8
46クラスレート化合物薄膜が得られていること、ま
た、蒸着、加熱を繰り返すことによりクラスレート化合
物の結晶性が向上していることが確認できた。
【0031】実施例7 10-8torrの真空下、室温に保持したシリコン基板
上にナトリウムを350℃で50nm、バリウムを45
0℃で30nm蒸着した後、真空チャンバー内にアルゴ
ンガスを導入し、700torrの圧力とした。この状
態で、基板温度を500℃で3時間保持し、ナトリウム
およびバリウムをシリコン基板内に拡散させた。この工
程を5回くり返し、シリコン基板上にNa2BaSi4
を得た。基板温度を室温に戻した後、チャンバー内を1
-8torrの真空にし、480℃で加熱したまま2時
間保持し、基板表面近傍のNa2BaSi4層からナトリ
ウムを脱離させた。得られた試料のX線回折像をシミュ
レーションパターンと比較したところよい一致を示しN
2Ba6Si46クラスレート化合物薄膜が得られている
こと、また、蒸着、加熱を繰り返すことによりクラスレ
ート化合物の結晶性が向上していることが確認できた。
【0032】実施例8 10-8torrの真空下、室温に保持したゲルマニウム
基板上にルビジウムを250℃で60nm、イッテルビ
ウムを450℃で30nm蒸着した後、真空チャンバー
内にアルゴンガスを導入し、700torrの圧力とし
た。この状態で、基板温度を400℃で3時間保持し、
ルビジウムおよびイッテルビウムをゲルマニウム基板内
に拡散させた。この工程を5回くり返し、ゲルマニウム
基板上にRb2YbGe4膜を得た。基板温度を室温に戻
した後、チャンバー内を10-8torrの真空にし、4
80℃で加熱したまま2時間保持し、基板表面近傍のR
2YbGe4層からルビジウムを脱離させた。得られた
試料のX線回折像をシミュレーションパターンと比較し
たところよい一致を示しRb2Yb6Ge46クラスレート
化合物薄膜が得られていること、また、蒸着、加熱を繰
り返すことによりクラスレート化合物の結晶性が向上し
ていることが確認できた。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、自然界に豊富に存在す
るシリコン等のIV族元素を用いてシリコンクラスレー
ト化合物薄膜を作製することができる。クラスレート化
合物は従来のシリコン結晶等とは大きく異なる構造を基
本構造に持つ素材であり、内包する金属を変えることに
より、絶縁体から種々のバンドギャップを有する半導
体、更には金属や超伝導体として応用が期待されるが、
その分子量の大きさから、デバイス作製の際の薄膜化が
困難であった。本発明によって上記の問題を解決しデバ
イス作製が可能になることから、本発明の意義は大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により作製したゲルマニウムクラ
スレート(Na2Ba6Ge46)薄膜のX線回折パターン
である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)IV族元素基板上にアルカリ金属
    の蒸着膜を形成した後、該基板を希ガス雰囲気下で加熱
    処理する工程と、(B)該基板を真空中で加熱処理する
    工程とを含むことを特徴とするクラスレート化合物薄膜
    の作製方法。
  2. 【請求項2】 (A)IV族元素基板上にアルカリ金属
    の蒸着膜およびアルカリ土類金属の蒸着膜を形成した
    後、該基板を希ガス雰囲気下で加熱処理する工程と、
    (B)該基板を真空中で加熱処理する工程とを含むこと
    を特徴とするクラスレート化合物薄膜の作製方法。
  3. 【請求項3】 (A)IV族元素基板上にアルカリ金属
    の蒸着膜および希土類の蒸着膜を形成した後、該基板を
    希ガス雰囲気下で加熱処理する工程と、(B)該基板を
    真空中で加熱処理する工程とを含むことを特徴とするク
    ラスレート化合物薄膜の作製方法。
  4. 【請求項4】 (B)の工程における加熱処理を、25
    0〜650℃で行うことを特徴とする請求項1乃至3い
    ずれかに記載のクラスレート化合物薄膜の作製方法。
  5. 【請求項5】 (A)の工程における加熱処理を、10
    0〜650℃で行うことを特徴とする請求項1乃至4い
    ずれかに記載のクラスレート化合物薄膜の作製方法。
  6. 【請求項6】 (A)の工程を所定回数繰り返した後、
    (B)の工程を行うことを特徴とする請求項1乃至5い
    ずれかに記載のクラスレート化合物薄膜の作製方法。
  7. 【請求項7】 前記IV族元素基板は、シリコン基板ま
    たはゲルマニウム基板である請求項1乃至6いずれかに
    記載のクラスレート化合物薄膜の作製方法。
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