JP2737674B2 - フラーレン系インターカレーション化合物薄膜およびその作製方法 - Google Patents

フラーレン系インターカレーション化合物薄膜およびその作製方法

Info

Publication number
JP2737674B2
JP2737674B2 JP6322536A JP32253694A JP2737674B2 JP 2737674 B2 JP2737674 B2 JP 2737674B2 JP 6322536 A JP6322536 A JP 6322536A JP 32253694 A JP32253694 A JP 32253694A JP 2737674 B2 JP2737674 B2 JP 2737674B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fullerene
thin film
rare earth
intercalation compound
earth element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6322536A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08175813A (ja
Inventor
貞則 黒島
一郎 広沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
Nippon Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Electric Co Ltd filed Critical Nippon Electric Co Ltd
Priority to JP6322536A priority Critical patent/JP2737674B2/ja
Publication of JPH08175813A publication Critical patent/JPH08175813A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2737674B2 publication Critical patent/JP2737674B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素原子がサッカーボ
ール状に結合したC60と金属のインターカレーション化
合物薄膜に関する物であり、エレクトロニクス産業の電
子デバイス材料への応用が期待されている。
【0002】
【従来の技術】1990年にクレッチマー等(1990
年、ネイチャー、347巻、354−358頁(Nat
ure,vol.347,354−358(199
0)))によって、大量合成法が発表されたC60などの
フラーレンは、その後、ハドン等(1991年、ネイチ
ャー、350巻、320−322頁(Nature,v
ol.350,320−322(1991)))によ
り、C60結晶中のC60分子間にアルカリ金属やアルカリ
土類金属を導入することにより超伝導などの物性を示す
ことが見つけられた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】アルカリ金属やアルカ
リ土類金属を導入したフラーレン系インターカレーショ
ン化合物は、大気中においては酸素や水により非常に破
壊されやすく、しかも、薄膜化した場合に均一な薄膜が
できないなどの問題があり、安定で新たな物性を有する
フラーレン系インターカレーション化合物薄膜の作製が
望まれていた。
【0004】本発明は上記課題を解決し、安定性が高く
均一な希土類元素とC60のインターカレーション化合物
薄膜とその作製方法を提供する事を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の特徴とするところは、フラーレン系インタ
ーカレーション化合物の、フラーレンにインターカレー
トする物質に希土類元素を用いた点と、アルカリ金属や
アルカリ土類金属に比べて反応性の悪い希土類元素を用
いてもC60との反応が起きるように、C60の1分子層毎
に希土類元素をC60分子間に導入した点である。
【0006】本発明の第1の発明は、フラーレン化合物
に物質が導入されたフラーレン系インターカレーション
化合物薄膜であって、フラーレンがC60で、導入される
物質が希土類元素であり、導入される物質とC60の組
成比が、3:1であることを特徴とするフラーレン系イ
ンターカレーション化合物薄膜である。
【0007】また、前記C60の結晶中の四面体サイトと
八面体サイトの格子間隙に、あるいは前記四面体サイト
の格子間隔に、希土類元素が導入されていることを特徴
とする第1の発明に記載のフラーレン系インターカレー
ション化合物薄膜である。
【0008】第2の発明は、前記導入物質と前記C60の
組成比が、3:1、1:1、4:1又は6:1であるこ
とを特徴とする第1の発明または第2の発明に記載のフ
ラーレン系インターカレーション化合物薄膜である。
【0009】第3の発明は、前記希土類元素が、ユーロ
ピウムまたはサマリウムまたはツリウムであることを特
徴とするフラーレン系インターカレーション化合物薄膜
である。
【0010】第4の発明は、フラーレン化合物に物質が
導入されたフラーレン系インターカレーション化合物薄
膜の作製方法において、フラーレンにインターカレート
する物質に希土類元素を、前記フラーレンにC60を用
い、基板上に前記C60を1分子層蒸着するC60蒸着工程
と、前記工程により得られるC60薄膜1分子層の表面に
現れる面心立方構造(111)面に、希土類元素を蒸着
する希土類元素蒸着工程と、前記C60蒸着工程と前記希
土類元素蒸着工程を交互に繰り返す工程からなることを
特徴とするフラーレン系インターカレーション化合物薄
膜の作製方法である。
【0011】第5の発明は、前記希土類元素蒸着工程に
おいて、前記C60蒸着工程により得られるC60薄膜1分
層の表面に現れる面心立方構造(111)面の四面体サ
イトの格子間隙を基準に、前記希土類元素の蒸着量を変
えることにより、フラーレン系インターカレーション化
合物薄膜を構成する導入物質とC60の組成比およびC60
の結晶構造を制御することを特徴とする第4の発明に記
載のフラーレン系インターカレーション化合物薄膜の作
製方法である。
【0012】第6の発明は、前記希土類元素蒸着工程に
おいて、前記四面体サイトの格子間隙の1.5倍量の希
土類元素を蒸着することにより、導入物質とC60の組成
比が3:1であるフラーレン系インターカレーション化
合物薄膜を作製することを特徴とする第5の発明に記載
のフラーレン系インターカレーション化合物薄膜の作製
方法である。
【0013】第7の発明は、前記希土類元素蒸着工程に
おいて、前記四面体サイトの格子間隙と同量の希土類元
素を蒸着することにより、導入物質とC60の組成比が
2:1であるフラーレン系インターカレーション化合物
薄膜を作製することを特徴とする第5の発明に記載のフ
ラーレン系インターカレーション化合物薄膜の作製方法
である。
【0014】
【作用】C60を結晶化する面心立方構造という結晶構造
をとる。面心立方構造となったC60結晶中には、C60
子の直径が約7オングストロームと非常に大きいため
に、単位格子1つあたりに大きな八面体サイトの格子間
隙が1つと小さめの四面体サイトの格子間隙が2つの計
3つの格子間隙ができる。この3つのC60格子間隙にア
ルカリ金属やアルカリ土類金属を導入する事で、導入し
た金属からC60分子へ電荷の移動が起き、C60分子の電
子状態が半導体から金属へと変化し、電導体や超伝導体
になる事が知られている。しかし、アルカリ金属やアル
カリ土類金属を導入したフラーレン系インターカレーシ
ョン化合物は酸素や水に対して不安定であり、薄膜化す
る際に均一にできないなどの問題があった。
【0015】発明者等は、この問題を解決して安定性の
高い新しいフラーレン系インターカレーション化合物薄
膜を均一に作製するために鋭意研究を進めた結果、導入
する物質として希土類元素を用い、1分子層の面心立方
構造の(111)面を表面に出したC60薄膜を作った後
に、C60薄膜の表面に現れた格子間隙を導入する物質で
埋めていく方法を見出した。
【0016】希土類元素はアルカリ金属やアルカリ土類
金属に比べて活性度が低い上に、C60結晶中で熱等によ
る拡散が起きにくいために、C60結晶の格子間隙に希土
類元素を導入することが従来は非常に困難であった。し
かし、上記の本発明の方法により、C60結晶中の格子間
隙に希土類元素を確実に導入することができ、安定性の
高い希土類とC60のインターカレーション化合物薄膜を
得る事ができた。
【0017】C60を六回対称軸あるいは三回対称軸を有
する物質上に、例えば二硫化モリブデンの(001)面
やシリコン結晶の(111)面上に真空蒸着すると、C
60は基板表面に面心立方構造の(111)面を基板表面
と平行に成長する。C60を1分子層だけ蒸着した場合、
60の(111)表面にC60結晶の単位格子あたり3つ
の格子間隙のうち四面体サイトの格子間隙2つが現れ
る。八面体サイトの格子間隙はC60の2層目を蒸着した
場合に1層目と2層目の間にできる。そのため、基板上
にC60薄膜を蒸着し、そこに導入する希土類元素をC60
薄膜の四面体サイトの格子間隙の1.5倍の量を蒸着す
るとC60薄膜上で均一に広がり、四面体サイトの格子間
隙を埋めつくし、余った希土類元素が2層目のC60薄膜
を作製した場合に八面体サイトの格子間隙となる部分の
近くに存在する事になる。その上から、C60薄膜を1層
分蒸着すると四面体サイトの格子間隙と八面体サイトの
格子間隙を希土類元素で埋めた希土類C60複合薄膜がで
きる。薄膜化した場合、薄膜化しない場合の結晶に比べ
て反応性が向上するため、あらかじめ基板の温度を加熱
しておく事で簡単にC60と希土類元素が反応する。
【0018】希土類元素を蒸着する際に、C60格子間隙
の1.5倍の量を蒸着するとC60と希土類元素の組成比
が1:3、1倍の量だと1:2、0.5倍だと1:1の
希土類元素−C60複合薄膜ができる。
【0019】面心立方構造のC60結晶は、C60分子1個
に対して3つの格子間隙を持っているが、格子間隙の量
よりも多く、物質を格子間隙に導入するとC60結晶は構
造変化を起こし、導入物質を取り込む。C60と希土類元
素の組成比を1:4になるように蒸着すると体心正方構
造に、1:6にすると体心立方構造になる。それ以上の
希土類元素を導入すると希土類元素はC60薄膜中で希土
類元素のクラスタとなる。
【0020】
【実施例】本発明の一実施例を以下に挙げる。
【0021】(実施例1)200℃に保持した二硫化モ
リブデン(001)面基板上に10-9torrの真空下
で1分子層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着し
た後、イッテルビウムを0.5オングストローム蒸着し
た。これを交互に200回行い、膜厚1700オングス
トロームのイッテルビウム−C60複合薄膜を得た。C60
とイッテルビウムの組成比は1:1であり、電導度の測
定を行うと、3Scm-1であり、C60単体での薄膜に比べ
て105 倍程度の向上が見られた。また、空気中の安定
性もアルカリ金属やアルカリ土類金属を導入したインタ
ーカレーション化合物薄膜が大気中に取り出した瞬間に
破壊されるのに対し、1時間程度は破壊されない事が確
認された。基板は二硫化モリブデン以外でも雲母(00
1)面、水素終端処理した(111)面シリコン等他の
基板でも作製可能である。また、基板温度は200℃以
外でも、室温からC60の蒸発温度である250℃を超え
なければ作製可能であるが、できるだけ高い温度の方が
反応が起きやすい。
【0022】(実施例2)200℃に保持した二硫化モ
リブデン(001)面基板上に10-9torrの真空下
で1分子層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着し
た後、イッテルビウムを1オングストローム蒸着した。
これを交互に200回行い、膜厚1800オングストロ
ームのイッテルビウム−C60複合薄膜を得た。C60とイ
ッテルビウムの組成比は1:2であり、電導度の測定を
行うと、4Scm-1であり、C60単体での薄膜に比べて1
5 倍程度の向上が見られた。また、空気中の安定性も
アルカリ金属やアルカリ土類金属を導入したインターカ
レーション化合物薄膜が大気中に取り出された瞬間に破
壊されるのに対し、1時間程度は破壊されない事が確認
された。基板は二硫化モリブデン以外でも雲母(00
1)面、水素終端処理した(111)面シリコン等他の
基板でも作製可能である。また、基板温度は200℃以
外でも、室温からC60の蒸発温度である250℃を超え
なければ作製可能であるが、できるだけ高い温度の方が
反応が起きやすい。
【0023】(実施例3)200℃に保持した二硫化モ
リブデン(001)面基板上に10-9torrの真空下
で1分子層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着し
た後、イッテルビウムを1.5オングストローム蒸着し
た。これを交互に200回行い、膜厚1900オングス
トロームのイッテルビウム−C60複合薄膜を得た。C60
とイッテルビウムの組成比は1:3であり、電導度の測
定を行うと、イッテルビウムを導入したC60薄膜では最
大値である6Scm-1が得られ、C60単体での薄膜に比べ
て105 倍程度の向上が見られた。また、空気中の安定
性もアルカリ金属やアルカリ土類金属を導入したインタ
ーカレーション化合物薄膜が大気中に取り出した瞬間に
破壊されるのに対し、1時間程度は破壊されない事が確
認された。基板は二硫化モリブデン以外でも雲母(00
1)面、水素終端処理した(111)面シリコン等他の
基板でも作製可能である。また、基板温度は200℃以
外でも、室温からC60の蒸発温度である250℃を超え
なければ作製可能であるが、できるだけ高い温度の方が
反応が起きやすい。
【0024】(実施例4)200℃に保持した二硫化モ
リブデン(001)面基板上に10-9torrの真空下
で1分子層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着し
た後、イッテルビウムを3オングストローム蒸着した。
これを交互に200回行い、膜厚2200オングストロ
ームのイッテルビウム−C60複合薄膜を得た。C60とイ
ッテルビウムの組成比は1:6であり、電導度の測定を
行うと、3Scm-1であり、C60単体での薄膜に比べて1
5 倍程度の向上が見られた。また、空気中の安定性も
アルカリ金属やアルカリ土類金属を導入したインターカ
レーション化合物薄膜が大気中に取り出された瞬間に破
壊されるのに対し、1時間程度は破壊されない事が確認
された。基板は二硫化モリブデン以外でも雲母(00
1)面、水素終端処理した(111)面シリコン等他の
基板でも作製可能である。また、基板温度は200℃以
外でも、室温からC60の蒸発温度である250℃を超え
なければ作製可能であるが、できるだけ高い温度の方が
反応が起きやすい。
【0025】(実施例5)150℃に保持した水素で終
端処理した(111)面シリコン基板上に10-9tor
rの真空下で1分子層(層厚8オングストローム)のC
60を蒸着した後、ユーロピウムを0.5オングストロー
ム蒸着した。これを交互に200回行い、膜厚1700
オングストロームのユーロピウム−C60複合薄膜を得
た。C60とユーロピウムの組成比は1:1であり、電導
度の測定を行うと、2Scm-1であり、C60単体での薄膜
に比べて105 倍程度の向上が見られた。また、空気中
の安定性もアルカリ金属やアルカリ土類金属を導入した
インターカレーション化合物薄膜が大気中に取り出され
た瞬間に破壊されるのに対し、1時間程度は破壊されな
い事が確認された。基板は水素終端(111)シリコン
以外でも雲母(001)面、二硫化モリブデン(00
1)面等他の基板でも作製可能である。また、基板温度
は150℃以外でも、室温からC60の蒸発温度である2
50℃を超えなければ作製可能であるが、できるだけ高
い温度の方が反応が起きやすい。
【0026】(実施例6)100℃に保持した水素で終
端処理した(111)面シリコン基板上に10-9tor
rの真空下で1分子層(層厚8オングストローム)のC
60を蒸着した後、ユーロピウムを1.4オングストロー
ム蒸着した。これを交互に200回行い、膜厚1880
オングストロームのユーロピウム−C60複合薄膜を得
た。C60とユーロピウムの組成比は1:3であり、電導
度の測定を行うと、ユーロピウムをドープしたC60薄膜
では最大値である10Scm-1が得られ、C60単体での薄
膜に比べて106 倍程度の向上が見られた。また、空気
中の安定性もアルカリ金属やアルカリ土類金属を導入し
たインターカレーション化合物薄膜が大気中に取り出さ
れた瞬間に破壊されるのに対し、1時間程度は破壊され
ない事が確認された。基板は水素終端(111)シリコ
ン以外でも雲母(001)面、二硫化モリブデン(00
1)面等他の基板でも作製可能である。また、基板温度
は100℃以外でも、室温からC60の蒸発温度である2
50℃を超えなければ作製可能であるが、できるだけ高
い温度の方が反応が起きやすい。
【0027】(実施例7)150℃に保持した水素で雲
母(001)面基板に10-9torrの真空下で1分子
層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着した後、ユ
ーロピウムを1.7オングストローム蒸着した。これを
交互に200回行い、膜厚1940オングストロームの
ユーロピウム−C60複合薄膜を得た。C60とユーロピウ
ムの組成比は1:4であり、電導度の測定を行うと、3
Scm-1であり、C60単体での薄膜に比べて105 倍程度
の向上が見られた。また、空気中の安定性もアルカリ金
属やアルカリ土類金属を導入したインターカレーション
化合物薄膜が大気中に取り出された瞬間に破壊されるの
に対し、1時間程度は破壊されない事が確認された。基
板は雲母(001)面基板以外でも水素終端(111)
シリコン、二硫化モリブデン(001)面等他の基板で
も作製可能である。また、基板温度は150℃以外で
も、室温からC60の蒸発温度である250℃を超えなけ
れば作製可能であるが、できるだけ高い温度の方が反応
が起きやすい。
【0028】(実施例8)150℃に保持した水素で終
端処理した(111)面シリコン基板上に10-9tor
rの真空下で1分子層(層厚8オングストローム)のC
60を蒸着した後、ユーロピウムを2.6オングストロー
ム蒸着した。これを交互に200回行い、膜厚2120
オングストロームのユーロピウム−C60複合薄膜を得
た。C60とイッテルビウムの組成比は1:6であり、電
導度の測定を行うと、2Scm-1であり、C60単体での薄
膜に比べて105 倍程度の向上が見られた。また、空気
中の安定性もアルカリ金属やアルカリ土類金属を導入し
たインターカレーション化合物薄膜が大気中に取り出さ
れた瞬間に破壊されるのに対し、1時間程度は破壊され
ない事が確認された。基板は水素終端(111)シリコ
ン以外でも雲母(001)面、二硫化モリブデン(00
1)面等他の基板でも作製可能である。また、基板温度
は150℃以外でも、室温からC60の蒸発温度である2
50℃を超えなければ作製可能であるが、できるだけ高
い温度の方が反応が起きやすい。
【0029】(実施例9)200℃に保持した二硫化モ
リブデン(001)面基板上に10-9torrの真空下
で1分子層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着し
た後、サマリウムを1.2オングストローム蒸着した。
これを交互に200回行い、膜厚1840オングストロ
ームのサマリウム−C60複合薄膜を得た。C60とサマリ
ウムの組成比は1:2であり、電導度の測定を行うと、
2Scm-1であり、C60単体での薄膜に比べて105 倍程
度の向上が見られた。また、空気中の安定性もアルカリ
金属やアルカリ土類金属を導入したインターカレーショ
ン化合物薄膜が大気中に取り出された瞬間に破壊される
のに対し、1時間程度は破壊されない事が確認された。
基板は二硫化モリブデン(001)面以外でも水素終端
(111)シリコン、雲母(001)面等他の基板でも
作製可能である。また、基板温度は200℃以外でも、
室温からC60の蒸発温度である250℃を超えなければ
作製可能であるが、できるだけ高い温度の方が反応が起
きやすい。
【0030】(実施例10)200℃に保持した二硫化
モリブデン(001)面基板上に10-9torrの真空
下で1分子層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着
した後、サマリウムを1.8オングストローム蒸着し
た。これを交互に200回行い、膜厚1980オングス
トロームのサマリウム−C60複合薄膜を得た。C60とサ
マリウムの組成比は1:3であり、電導度の測定を行う
と、サマリウムを導入したC60薄膜では最大値となる5
Scm-1であり、C60単体での薄膜に比べて105 倍程度
の向上が見られた。また、空気中の安定性もアルカリ金
属やアルカリ土類金属を導入したインターカレーション
化合物薄膜が大気中に取り出された瞬間に破壊されるの
に対し、1時間程度は破壊されない事が確認された。基
板は二硫化モリブデン(001)面以外でも水素終端
(111)シリコン、雲母(001)面等他の基板でも
作製可能である。また、基板温度は200℃以外でも、
室温からC60の蒸発温度である250℃を超えなければ
作製可能であるが、できるだけ高い温度の方が反応が起
きやすい。
【0031】(実施例11)200℃に保持した二硫化
モリブデン(001)面基板上に10-9torrの真空
下で1分子層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着
した後、サマリウムを3.6オングストローム蒸着し
た。これを交互に200回行い、膜厚2320オングス
トロームのサマリウム−C60複合薄膜を得た。C60とサ
マリウムの組成比は1:6であり、電導度の測定を行う
と、3Scm-1であり、C60単体での薄膜に比べて105
倍程度の向上が見られた。また、空気中の安定性もアル
カリ金属やアルカリ土類金属を導入したインターカレー
ション化合物薄膜が大気中に取り出された瞬間に破壊さ
れるのに対し、1時間程度は破壊されない事が確認され
た。基板は二硫化モリブデン(001)面以外でも水素
終端(111)シリコン、雲母(001)面等他の基板
でも作製可能である。また、基板温度は200℃以外で
も、室温からC60の蒸発温度である250℃を超えなけ
れば作製可能であるが、できるだけ高い温度の方が反応
が起きやすい。
【0032】(実施例12)200℃に保持した水素で
雲母(001)面基板に10-9torrの真空下で1分
子層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着した後、
ツリウムを1.4オングストローム蒸着した。これを交
互に200回行い、膜厚1880オングストロームのツ
リウム−C60複合薄膜を得た。C60とツリウムの組成比
は1:2であり、電導度の測定を行うと、2Scm-1であ
り、C60単体での薄膜に比べて105倍程度の向上が見
られた。また、空気中の安定性もアルカリ金属やアルカ
リ土類金属を導入したインターカレーション化合物薄膜
が大気中に取り出された瞬間に破壊されるのに対し、1
時間程度は破壊されない事が確認された。基板は雲母
(001)面基板以外でも水素終端(111)シリコ
ン、二硫化モリブデン(001)面等他の基板でも作製
可能である。また、基板温度は200℃以外でも、室温
からC60の蒸発温度である250℃を超えなければ作製
可能であるが、できるだけ高い温度の方が反応が起きや
すい。
【0033】(実施例13)200℃に保持した二硫化
モリブデン(001)面基板上に10-9torrの真空
下で1分子層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着
した後、ツリウムを0.7オングストローム蒸着した。
これを交互に200回行い、膜厚1740オングストロ
ームのサマリウム−C60複合薄膜を得た。C60とツリウ
ムの組成比は1:1であり、電導度の測定を行うと、
0.8Scm-1であり、C60単体での薄膜に比べて104
倍程度の向上が見られた。また、空気中の安定性もアル
カリ金属やアルカリ土類金属を導入したインターカレー
ション化合物薄膜が大気中に取り出された瞬間に破壊さ
れるのに対し、1時間程度は破壊されない事が確認され
た。基板は二硫化モリブデン(001)面以外でも水素
終端(111)シリコン、雲母(001)面等他の基板
でも作製可能である。また、基板温度は200℃以外で
も、室温からC60の蒸発温度である250℃を超えなけ
れば作製可能であるが、できるだけ高い温度の方が反応
が起きやすい。
【0034】(実施例14)100℃に保持したフッ化
カルシウム(111)面基板上に10-9torrの真空
下で1分子層(層厚8オングストローム)のC60を蒸着
した後、ツリウムを2.1オングストローム蒸着した。
これを交互に200回行い、膜厚2020オングストロ
ームのツリウム−C60複合薄膜を得た。C60とサマリウ
ムの組成比は1:3であり、電導度の測定を行うと、ツ
リウムを導入したC60薄膜では最大値となる4Scm-1
あり、C60単体での薄膜に比べて105 倍程度の向上が
見られた。また、空気中の安定性もアルカリ金属やアル
カリ土類金属を導入したインターカレーション化合物薄
膜が大気中に取り出された瞬間に破壊されるのに対し、
1時間程度は破壊されない事が確認された。基板はフッ
化カルシウム(111)面以外でも水素終端(111)
シリコン、雲母(001)面等他の基板でも作製可能で
ある。また、基板温度は100℃以外でも、室温からC
60の蒸発温度である250℃を超えなければ作製可能で
あるが、できるだけ高い温度の方が反応が起きやすい。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、希
土類元素をフラーレンに導入した電導度の高いフラーレ
ン系インターカレーション化合物薄膜を均一に作製で
き、作製された希土類元素が導入されたフラーレン系イ
ンターカレーション化合物薄膜は、従来のアルカリ金
属、アルカリ土類信号が導入されたインターカレーショ
ン化合物より、安定性が高いため、工業的に応用する場
合、その意義は非常に大きい。また、希土類元素の蒸着
量を変化させることにより、導入物質とC60の組成比お
よびC60の結晶構造を制御でき、それにより電導性の異
なるフラーレン系インターカレーション化合物薄膜が得
られる。本発明は、電導性の特性を生かした電子デバイ
ス材料として用いられる。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フラーレン化合物に物質が導入されたフラ
    ーレン系インターカレーション化合物薄膜であって、前
    記フラーレンがC60で、前記導入される物質が希土類元
    素であり、前記導入される物質と前記C60の組成比が、
    3:1であることを特徴とするフラーレン系インターカ
    レーション化合物薄膜。
  2. 【請求項2】フラーレン化合物に物質が導入されたフラ
    ーレン系インターカレーション化合物薄膜であって、前
    記フラーレンがC60で、前記導入される物質が希土類元
    素であり、前記導入される物質と前記C60の組成比が、
    1:1、4:1又は6:1であることを特徴とするフラ
    ーレン系インターカレーション化合物薄膜。
  3. 【請求項3】フラーレン化合物に物質が導入されたフラ
    ーレン系インターカレーション化合物薄膜であって、前
    記フラーレンがC60で、前記導入される物質が希土類元
    素であり、前記希土類元素が、ユーロピウムまたはサマ
    リウムまたはツリウムであることを特徴とするフラーレ
    ン系インターカレーション化合物薄膜。
  4. 【請求項4】フラーレン化合物に物質が導入されたフラ
    ーレン系インターカレーション化合物薄膜の作製方法に
    おいて、フラーレンにインターカレートする物質に希土
    類元素を、前記フラーレンにC60を用い、基板上に前記
    60を1分子層蒸着するC60蒸着工程と、前記工程によ
    り得られるC60薄膜1分子層の表面に現れる面心立方構
    造(111)面に、前記希土類元素を蒸着する希土類元
    素蒸着工程と、前記C60蒸着工程と前記希土類元素蒸着
    工程を交互に繰り返す工程からなることを特徴とするフ
    ラーレン系インターカレーション化合物薄膜の作製方
    法。
  5. 【請求項5】前記希土類元素蒸着工程において、前記C
    60蒸着工程により得られるC60薄膜1分子層の表面に現
    れる面心立方構造(111)面の四面体サイトの格子間
    隙を基準に、前記希土類元素の蒸着量を変えることによ
    り、前記フラーレン系インターカレーション化合物薄膜
    を構成する前記導入物質と前記C60の組成比およびC60
    の結晶構造を制御することを特徴とする請求項4記載の
    フラーレン系インターカレーション化合物薄膜の作製方
    法。
  6. 【請求項6】前記希土類元素蒸着工程において、前記四
    面体サイトの格子間隙の1.5倍量の希土類元素を蒸着
    することにより、前記導入物質とC60の組成比が3:1
    であるフラーレン系インターカレーション化合物薄膜を
    作製することを特徴とする請求項5記載のフラーレン系
    インターカレーション化合物薄膜の作製方法。
  7. 【請求項7】前記希土類元素蒸着工程において、前記四
    面体サイトの格子間隙と同量の希土類元素を蒸着するこ
    とにより、前記導入物質とC60の組成比が2:1である
    フラーレン系インターカレーション化合物薄膜を作製す
    ることを特徴とする請求項5記載のフラーレン系インタ
    ーカレーション化合物薄膜の作製方法。
JP6322536A 1994-12-26 1994-12-26 フラーレン系インターカレーション化合物薄膜およびその作製方法 Expired - Fee Related JP2737674B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6322536A JP2737674B2 (ja) 1994-12-26 1994-12-26 フラーレン系インターカレーション化合物薄膜およびその作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6322536A JP2737674B2 (ja) 1994-12-26 1994-12-26 フラーレン系インターカレーション化合物薄膜およびその作製方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08175813A JPH08175813A (ja) 1996-07-09
JP2737674B2 true JP2737674B2 (ja) 1998-04-08

Family

ID=18144769

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6322536A Expired - Fee Related JP2737674B2 (ja) 1994-12-26 1994-12-26 フラーレン系インターカレーション化合物薄膜およびその作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2737674B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005150410A (ja) * 2003-11-17 2005-06-09 Japan Science & Technology Agency 薄膜トランジスタ
US10439081B2 (en) 2012-11-06 2019-10-08 Oti Lumionics Inc. Method for depositing a conductive coating on a surface

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3133110B2 (ja) * 1991-09-05 2001-02-05 株式会社半導体エネルギー研究所 炭素系化合物及び半導体素子
JPH0677548A (ja) * 1992-08-27 1994-03-18 Sumitomo Electric Ind Ltd 炭素クラスター電導体膜およびその製造方法と、これを用いた超電導ジョセフソン素子およびその製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
PHYS.REB.B: CONDES.MATTER 46 〜16! (1992) P.10437−10441

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08175813A (ja) 1996-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Aksay et al. Biomimetic pathways for assembling inorganic thin films
Rut'kov et al. Evidence for a C 60 monolayer intercalated between a graphite monolayer and iridium
Minakata et al. Electrical properties of highly ordered and amorphous thin films of pentacene doped with iodine
CN1224073A (zh) 使用籽晶层形成pzt薄膜的方法
JPS643948B2 (ja)
US20030126742A1 (en) Method of fabrication of ZnO nanowires
JP2737674B2 (ja) フラーレン系インターカレーション化合物薄膜およびその作製方法
JP2522617B2 (ja) 炭素合金化立方晶窒化ホウ素膜
Ide Formation of step structures by as deposition on a double-domain si (001) substrate
US5976624A (en) Process for producing bismuth compounds, and bismuth compounds
KR100513713B1 (ko) 전이금속박막형상 제어에 의한 탄소나노튜브의 수직 성장방법
Cassoux et al. From molecule-based (super) conductors to thin films, nanowires and nanorings
KR100370504B1 (ko) 입방형 탄화규소 완충막을 이용하여 규소 (100) 기질 위에양질의 산화마그네슘 막을 적층 성장시키는 방법
JP3897550B2 (ja) ホウ化物超伝導体薄膜の作製方法
JP2646683B2 (ja) 電子デバイス用基板
US6794337B1 (en) Superconducting colloids, superconducting thin layers produced therefrom, and processes for producing them
JP2914373B1 (ja) クラスレート化合物薄膜の作製方法
EP4279450A1 (en) Metal intercalated polymeric fullerene, two-dimensional polymeric fullerene and preparation method thereof
CN113249793B (zh) 过渡金属硫族化合物单晶及其制备方法
JP2715667B2 (ja) 酸化物超電導薄膜製造装置および酸化物超電導単結晶薄膜の製造方法
Matsumura et al. Structure and electrical conductivity of graphite fibers prepared by pyrolysis of cyanoacetylene
US20230373790A1 (en) Two-dimensional polymeric fullerene and preparation method thereof
JP2586807B2 (ja) フラーレンインターカレーション化合物の製造方法
Kamaratos et al. Interaction of Li with the group IV selenide layer compounds at low temperature
JP2006089800A (ja) MgB2薄膜の製造方法およびMgB2薄膜

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19971209

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080116

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090116

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100116

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees