JPH11293417A - 磁気時効性に優れかつ残留磁束密度の低い珪素鋼板 - Google Patents
磁気時効性に優れかつ残留磁束密度の低い珪素鋼板Info
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- JPH11293417A JPH11293417A JP11436398A JP11436398A JPH11293417A JP H11293417 A JPH11293417 A JP H11293417A JP 11436398 A JP11436398 A JP 11436398A JP 11436398 A JP11436398 A JP 11436398A JP H11293417 A JPH11293417 A JP H11293417A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 磁気時効が生じ難く、残留磁束密度が低い珪
素鋼板を提供すること。 【解決手段】 C≦0.003wt.%、0.05w
t.%≦Mn≦0.5wt.%、P≦0.01wt.
%、S≦0.02wt.%、0.001wt.%≦so
l.Al≦0.06wt.%、N≦0.01wt.%で
あり、Siを平均7wt.%以下含有し、板厚方向にS
iの濃度勾配を形成し、表面のSi濃度を板厚中心部の
Si濃度より高くし、Si濃度の最大と最小の差を0.
5wt.%以上とすることにより、磁気時効性に優れか
つ残留磁束密度の低い珪素鋼板を得る。
素鋼板を提供すること。 【解決手段】 C≦0.003wt.%、0.05w
t.%≦Mn≦0.5wt.%、P≦0.01wt.
%、S≦0.02wt.%、0.001wt.%≦so
l.Al≦0.06wt.%、N≦0.01wt.%で
あり、Siを平均7wt.%以下含有し、板厚方向にS
iの濃度勾配を形成し、表面のSi濃度を板厚中心部の
Si濃度より高くし、Si濃度の最大と最小の差を0.
5wt.%以上とすることにより、磁気時効性に優れか
つ残留磁束密度の低い珪素鋼板を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏磁による突入電
流が間題となるトランス、リアクトル、変成器(CT)
やモータなどの鉄心として用いられる残留磁束密度の低
い珪素鋼板に関する。
流が間題となるトランス、リアクトル、変成器(CT)
やモータなどの鉄心として用いられる残留磁束密度の低
い珪素鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】トランス、モータ等の鉄心に使用される
珪素鋼板は、磁束密度を高め、鉄損を低下させる方向で
研究が行われ、角形比の大きい材料が開発されてきた。
しかし、その結果、残留磁束密度が大きくなり、トラン
ス等の機器とした場合、偏磁によりさまざまな問題が発
生している。
珪素鋼板は、磁束密度を高め、鉄損を低下させる方向で
研究が行われ、角形比の大きい材料が開発されてきた。
しかし、その結果、残留磁束密度が大きくなり、トラン
ス等の機器とした場合、偏磁によりさまざまな問題が発
生している。
【0003】そこで、本発明者らは、先に、偏磁の原因
である残留磁束密度を低下させるには板厚方向にSiの
濃度勾配を形成することが有効なことを見出し、特許出
願した(特開平9−184051号公報)。また、板厚
方向にSi濃度勾配を形成すること自体は特開昭62−
227033号から特開昭62−227036号公報、
および特開平4−246157号公報に開示されてい
る。
である残留磁束密度を低下させるには板厚方向にSiの
濃度勾配を形成することが有効なことを見出し、特許出
願した(特開平9−184051号公報)。また、板厚
方向にSi濃度勾配を形成すること自体は特開昭62−
227033号から特開昭62−227036号公報、
および特開平4−246157号公報に開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭62−
227033号から特開昭62−227036号公報、
および特開平4−246157号公報に開示された技術
は残留磁束密度を低下させることは全く考慮されていな
い。
227033号から特開昭62−227036号公報、
および特開平4−246157号公報に開示された技術
は残留磁束密度を低下させることは全く考慮されていな
い。
【0005】特開平9−184051号公報には、板厚
方向にSi濃度勾配を形成し、残留磁束密度を下げるこ
とが開示されているが、板厚方向にSi濃度勾配を有す
る材料は、C残留量が低くても磁気時効し鉄損が増大す
ることが判明した。したがって、上記特開平9−184
051号公報に開示された材料は、残留磁束密度は低い
ものの、このような磁気時効により鉄損が増大するおそ
れがある。
方向にSi濃度勾配を形成し、残留磁束密度を下げるこ
とが開示されているが、板厚方向にSi濃度勾配を有す
る材料は、C残留量が低くても磁気時効し鉄損が増大す
ることが判明した。したがって、上記特開平9−184
051号公報に開示された材料は、残留磁束密度は低い
ものの、このような磁気時効により鉄損が増大するおそ
れがある。
【0006】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、磁気時効が生じ難く、残留磁束密度が低い珪
素鋼板を提供することを目的とする。
であって、磁気時効が生じ難く、残留磁束密度が低い珪
素鋼板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】通常の珪素鋼板において
も固溶Cが残留すると磁気時効が生じることが知られて
おり、これを防止するためにはCを50ppm以下にす
ることが知られている。しかし、本発明者らの検討結果
によれば、Si濃度勾配を有する珪素鋼板ではCが50
ppm以下であっても、Si濃度勾配のない通常の珪素
鋼板に比べ大きな磁気時効劣化を起こし鉄損が増大す
る。
も固溶Cが残留すると磁気時効が生じることが知られて
おり、これを防止するためにはCを50ppm以下にす
ることが知られている。しかし、本発明者らの検討結果
によれば、Si濃度勾配を有する珪素鋼板ではCが50
ppm以下であっても、Si濃度勾配のない通常の珪素
鋼板に比べ大きな磁気時効劣化を起こし鉄損が増大す
る。
【0008】本発明者らがこの原因を調査した結果、S
iの濃度勾配を形成するとCも不均一な濃度分布となり
C濃度が高い領域が生成して時効を引き起こすことが判
明した。すなわち、Si濃度が鋼板表面で高く板厚中心
部で低い濃度分布を有する場合、C濃度は鋼板表面は低
く板厚中心部が高い分布となる。最もC濃度が高い部分
の濃度は、板厚方向の平均濃度の2〜5倍となる。これ
はSiによりCのケミカル・ポテンシャルが変化し、高
Si濃度部分から低Si濃度部分へCが排出されるため
と推定される。
iの濃度勾配を形成するとCも不均一な濃度分布となり
C濃度が高い領域が生成して時効を引き起こすことが判
明した。すなわち、Si濃度が鋼板表面で高く板厚中心
部で低い濃度分布を有する場合、C濃度は鋼板表面は低
く板厚中心部が高い分布となる。最もC濃度が高い部分
の濃度は、板厚方向の平均濃度の2〜5倍となる。これ
はSiによりCのケミカル・ポテンシャルが変化し、高
Si濃度部分から低Si濃度部分へCが排出されるため
と推定される。
【0009】このようなCの濃度分布が生じると、高C
領域は当然、時効するため、全体として鋼板が時効する
こととなる。したがって、板厚方向の平均C濃度が低く
ても時効が起こる。
領域は当然、時効するため、全体として鋼板が時効する
こととなる。したがって、板厚方向の平均C濃度が低く
ても時効が起こる。
【0010】本発明者らは、このような磁気時効を防止
しつつ、低残留磁束密度の珪素鋼板を得るためには、高
C領域でも時効が生じないように平均C濃度を低くする
ことが有効であることを見出した。また、最高C濃度を
低くする、あるいは高C濃度領域を小さくすることも考
慮してSi濃度分布を形成することも有効であることを
見出した。
しつつ、低残留磁束密度の珪素鋼板を得るためには、高
C領域でも時効が生じないように平均C濃度を低くする
ことが有効であることを見出した。また、最高C濃度を
低くする、あるいは高C濃度領域を小さくすることも考
慮してSi濃度分布を形成することも有効であることを
見出した。
【0011】本発明は以上の知見に基づいなされたもの
であり、C≦0.003wt.%、0.05wt.%≦
Mn≦0.5wt.%、P≦0.01wt.%、S≦
0.02wt.%、0.001wt.%≦sol.Al
≦0.06wt.%、N≦0.01wt.%であり、S
iを平均7wt.%以下含有し、板厚方向にSiの濃度
勾配を有し、表面のSi濃度が板厚中心部のSi濃度よ
り高く、Si濃度の最大と最小の差が0.5wt.%以
上であることを特徴とする、磁気時効性に優れかつ残留
磁束密度の低い珪素鋼板を提供する。この場合に、Si
濃度の最大と最小の差が0.7wt.%以上であること
が好ましい。また、C≦0.0025wt.%であるこ
とが好ましい。
であり、C≦0.003wt.%、0.05wt.%≦
Mn≦0.5wt.%、P≦0.01wt.%、S≦
0.02wt.%、0.001wt.%≦sol.Al
≦0.06wt.%、N≦0.01wt.%であり、S
iを平均7wt.%以下含有し、板厚方向にSiの濃度
勾配を有し、表面のSi濃度が板厚中心部のSi濃度よ
り高く、Si濃度の最大と最小の差が0.5wt.%以
上であることを特徴とする、磁気時効性に優れかつ残留
磁束密度の低い珪素鋼板を提供する。この場合に、Si
濃度の最大と最小の差が0.7wt.%以上であること
が好ましい。また、C≦0.0025wt.%であるこ
とが好ましい。
【0012】また、本発明は、C≦0.003wt.
%、0.05wt.%≦Mn≦0.5wt.%、P≦
0.01wt.%、S≦0.02wt.%、0.001
wt.%≦sol.Al≦0.06wt.%、N≦0.
01wt.%であり、Siを平均7wt.%以下含有
し、板厚方向にSiの濃度勾配を有し、表面のSi濃度
が板厚中心部のSi濃度より高く、Si濃度の最大と最
小の差が0.5〜5.5wt.%であることを特徴とす
る、磁気時効性に優れかつ残留磁束密度および鉄損の低
い珪素鋼板を提供する。この場合に、C≦0.0025
wt.%であることが好ましい。
%、0.05wt.%≦Mn≦0.5wt.%、P≦
0.01wt.%、S≦0.02wt.%、0.001
wt.%≦sol.Al≦0.06wt.%、N≦0.
01wt.%であり、Siを平均7wt.%以下含有
し、板厚方向にSiの濃度勾配を有し、表面のSi濃度
が板厚中心部のSi濃度より高く、Si濃度の最大と最
小の差が0.5〜5.5wt.%であることを特徴とす
る、磁気時効性に優れかつ残留磁束密度および鉄損の低
い珪素鋼板を提供する。この場合に、C≦0.0025
wt.%であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。上述したように、鉄心材料として用いられる珪
素鋼板は残留磁束密度が低いことが必要であり、そのた
めに板厚方向にSiの濃度勾配を形成することが有効で
あるが、それに伴ってC濃度分布が形成されるため、全
体のC濃度が低くても磁気時効が生じるおそれがある。
明する。上述したように、鉄心材料として用いられる珪
素鋼板は残留磁束密度が低いことが必要であり、そのた
めに板厚方向にSiの濃度勾配を形成することが有効で
あるが、それに伴ってC濃度分布が形成されるため、全
体のC濃度が低くても磁気時効が生じるおそれがある。
【0014】本発明は、板厚方向のSi濃度勾配を形成
して残留磁束密度を低くすることを前提に、このような
Cに起因する磁気時効を防止するものであり、そのため
に、鋼板全体のC濃度をC≦0.003wt.%とす
る。
して残留磁束密度を低くすることを前提に、このような
Cに起因する磁気時効を防止するものであり、そのため
に、鋼板全体のC濃度をC≦0.003wt.%とす
る。
【0015】図1に、大きなC濃度分布が形成される、
Si濃度差(最高Si濃度と最低Si濃度との差)が
6.9wt.%で平均Si濃度が4.5wt.%の場合
における、平均C濃度と磁気時効による鉄損の劣化率と
の関係を示す。ここでは磁気時効を150℃で2週間の
加速試験により評価した。この図から、板厚方向にSi
濃度勾配を形成することにより、通常の珪素鋼板より時
効が起こりやすく、Cが30ppm、つまり0.003
wt.%を超えると磁気時効することが明らかである。
したがって、本発明では、C濃度をC≦0.003w
t.%に規定する。
Si濃度差(最高Si濃度と最低Si濃度との差)が
6.9wt.%で平均Si濃度が4.5wt.%の場合
における、平均C濃度と磁気時効による鉄損の劣化率と
の関係を示す。ここでは磁気時効を150℃で2週間の
加速試験により評価した。この図から、板厚方向にSi
濃度勾配を形成することにより、通常の珪素鋼板より時
効が起こりやすく、Cが30ppm、つまり0.003
wt.%を超えると磁気時効することが明らかである。
したがって、本発明では、C濃度をC≦0.003w
t.%に規定する。
【0016】さらに厳しい環境下では、通常の珪素鋼板
でも磁気時効を防止するためにCを30ppm以下とす
るが、このような厳しい使用環境を想定し、200℃で
100時間の加速時効条件で試験した結果、時効による
鉄損劣化量を5%以下とするには、Cを25ppm以下
とする必要があることが判明した。したがって、本発明
ではより好ましくはC≦0.0025wt.%と規定す
る。
でも磁気時効を防止するためにCを30ppm以下とす
るが、このような厳しい使用環境を想定し、200℃で
100時間の加速時効条件で試験した結果、時効による
鉄損劣化量を5%以下とするには、Cを25ppm以下
とする必要があることが判明した。したがって、本発明
ではより好ましくはC≦0.0025wt.%と規定す
る。
【0017】以上は、C量を規制して磁気時効を防止す
る条件について示したが、磁気時効は前述したように、
Si濃度分布を調整することで防止または抑制可能であ
る。すなわち、Si濃度差を小さくすることにより、時
効を防止または抑制することができる。図2は種々のS
i濃度分布を有する珪素鋼板において、150℃で2週
間の加速時効後の鉄損増加率が5%以下となるC量を試
験した結果を示す。Si濃度分布は平均Si量およびS
i濃度差で表している。図2よりSi濃度差が5.5w
t.%以下であればC量が30ppmであっても時効劣
化が5%以下となることがわかる。したがって、本発明
における好ましい条件として、C≦0.003wt.%
を前提にSi濃度差を5.5wt.%以下とする。
る条件について示したが、磁気時効は前述したように、
Si濃度分布を調整することで防止または抑制可能であ
る。すなわち、Si濃度差を小さくすることにより、時
効を防止または抑制することができる。図2は種々のS
i濃度分布を有する珪素鋼板において、150℃で2週
間の加速時効後の鉄損増加率が5%以下となるC量を試
験した結果を示す。Si濃度分布は平均Si量およびS
i濃度差で表している。図2よりSi濃度差が5.5w
t.%以下であればC量が30ppmであっても時効劣
化が5%以下となることがわかる。したがって、本発明
における好ましい条件として、C≦0.003wt.%
を前提にSi濃度差を5.5wt.%以下とする。
【0018】本発明の珪素鋼板は、残留磁束密度が低い
ことが必要であり、低残留磁束密度は、上述したように
板厚方向にSiの濃度勾配を形成することで達成するこ
とができ、具体的にはSi濃度の最高と最低の差を0.
5wt.%以上、好ましくは0.7wt.%以上とす
る。また、平均Si濃度が7wt.%を超えると材料が
脆くなり加工が困難となるため7wt.%を上限とす
る。
ことが必要であり、低残留磁束密度は、上述したように
板厚方向にSiの濃度勾配を形成することで達成するこ
とができ、具体的にはSi濃度の最高と最低の差を0.
5wt.%以上、好ましくは0.7wt.%以上とす
る。また、平均Si濃度が7wt.%を超えると材料が
脆くなり加工が困難となるため7wt.%を上限とす
る。
【0019】次に、CおよびSi以外の元素の限定理由
について説明する。Mnは多量に含有されると鋼板が脆
くなるため、その上限を0.5wt.%とする。ただ
し、その含有量が低く過ぎると、熱延工程で破断や表面
キズを誘発するため、その下限を0.05wt.%とす
る。
について説明する。Mnは多量に含有されると鋼板が脆
くなるため、その上限を0.5wt.%とする。ただ
し、その含有量が低く過ぎると、熱延工程で破断や表面
キズを誘発するため、その下限を0.05wt.%とす
る。
【0020】Pは磁気特性から見ると好ましい元素であ
るが、多量に含有されると鋼板の加工性を劣化させるた
め、その上限を0.01wt.%とする。その下限は特
に規定されないが、経済的に除去する観点からはその下
限を0.001wt.%とすることが好ましい。
るが、多量に含有されると鋼板の加工性を劣化させるた
め、その上限を0.01wt.%とする。その下限は特
に規定されないが、経済的に除去する観点からはその下
限を0.001wt.%とすることが好ましい。
【0021】Sは加工性を劣化させるため、その上限を
0.02wt.%とする必要がある。その下限は特に規
定されないが、経済的に除去する観点からはその下限を
0.001wt.%とすることが好ましい。
0.02wt.%とする必要がある。その下限は特に規
定されないが、経済的に除去する観点からはその下限を
0.001wt.%とすることが好ましい。
【0022】sol.Alは同じく加工性を害するた
め、その上限を0.06wt.%とする。一方、脱酸剤
としての必要性からその下限を0.001wt.%とす
る。
め、その上限を0.06wt.%とする。一方、脱酸剤
としての必要性からその下限を0.001wt.%とす
る。
【0023】Nは多量に含有されると窒化物を形成して
磁気特性を劣化させるため、その上限を0.01wt.
%とする必要がある。その下限は特に規定されないが、
現在の製鋼技術を考慮すると事実上0.0001wt.
%が下限となる。
磁気特性を劣化させるため、その上限を0.01wt.
%とする必要がある。その下限は特に規定されないが、
現在の製鋼技術を考慮すると事実上0.0001wt.
%が下限となる。
【0024】本発明に係るSiの濃度勾配を有する珪素
鋼板は種々の方法で製造することができ、その製造方法
は限定されない。例えば、化学気相蒸着(CVD、浸珪
処理)法、物理気相蒸着(PVD)法、クラツド技術、
めっき技術によって製造することが可能である。
鋼板は種々の方法で製造することができ、その製造方法
は限定されない。例えば、化学気相蒸着(CVD、浸珪
処理)法、物理気相蒸着(PVD)法、クラツド技術、
めっき技術によって製造することが可能である。
【0025】例としてCVD法での製造方法を説明す
る。まず、例えば3wt.%珪素鋼の冷間圧延コイルを
通常の鋼板製造プロセスで製造する。このコイルをCV
D処理してSi濃度勾配を有する鋼板とする。すなわ
ち、非酸化性雰囲気中で1100℃以上に加熱してSi
Cl4ガスと反応させ表面に高Si濃度のFe−Si層
を形成する。引き続き拡散処理を行い、Siを鋼板内部
に必要量拡散させ、目的とする平均Si量およびSi濃
度勾配を有する珪素鋼板を製造する。
る。まず、例えば3wt.%珪素鋼の冷間圧延コイルを
通常の鋼板製造プロセスで製造する。このコイルをCV
D処理してSi濃度勾配を有する鋼板とする。すなわ
ち、非酸化性雰囲気中で1100℃以上に加熱してSi
Cl4ガスと反応させ表面に高Si濃度のFe−Si層
を形成する。引き続き拡散処理を行い、Siを鋼板内部
に必要量拡散させ、目的とする平均Si量およびSi濃
度勾配を有する珪素鋼板を製造する。
【0026】なお、本発明において平均Si濃度とは全
板厚に対するSi濃度の平均値を意味し、例えば製品厚
さのまま化学分析することにより得ることができる。ま
た、Si濃度の最大と最小は、全板厚をEPMA分析し
て得られるSi濃度プロファイルから決定することがで
きる。さらに、Si以外の元素の濃度は製品での濃度と
する。さらにまた、残留磁束密度は、直流で1.2T励
磁後の値である。
板厚に対するSi濃度の平均値を意味し、例えば製品厚
さのまま化学分析することにより得ることができる。ま
た、Si濃度の最大と最小は、全板厚をEPMA分析し
て得られるSi濃度プロファイルから決定することがで
きる。さらに、Si以外の元素の濃度は製品での濃度と
する。さらにまた、残留磁束密度は、直流で1.2T励
磁後の値である。
【0027】また、上記鉄損の増加率は、時効前後の鉄
損(W12/50)を測定し、 (加速時効後の鉄損−時効前の鉄損)÷(時効前の鉄
損) を%表示したものである。鉄損としてW1/10k等を用い
ても同様の結果が得られる。
損(W12/50)を測定し、 (加速時効後の鉄損−時効前の鉄損)÷(時効前の鉄
損) を%表示したものである。鉄損としてW1/10k等を用い
ても同様の結果が得られる。
【0028】
【実施例】表1に示す組成(Si以外は商品となった時
点での組成。SiはCVD処理前の組成)の板厚0.0
5〜0.5mmの鋼板を通常の鉄鋼製造プロセスで製造
した。これらをCVD処理して種々のSi平均濃度と濃
度分布を持つ鋼板を得た。これらの鋼板の残留磁束密度
を測定するとともに、これら鋼板を150℃で2週間の
加速時効処理して鉄損増加率を求めた。その結果を表2
に示す。表2に示すように、本発明では磁気時効劣化が
ないあるいは極めて小さい低残留磁束密度珪素鋼板が得
られることが確認された。
点での組成。SiはCVD処理前の組成)の板厚0.0
5〜0.5mmの鋼板を通常の鉄鋼製造プロセスで製造
した。これらをCVD処理して種々のSi平均濃度と濃
度分布を持つ鋼板を得た。これらの鋼板の残留磁束密度
を測定するとともに、これら鋼板を150℃で2週間の
加速時効処理して鉄損増加率を求めた。その結果を表2
に示す。表2に示すように、本発明では磁気時効劣化が
ないあるいは極めて小さい低残留磁束密度珪素鋼板が得
られることが確認された。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
磁気時効が生じ難く、残留磁束密度が低い珪素鋼板を得
ることができる。
磁気時効が生じ難く、残留磁束密度が低い珪素鋼板を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】板厚方向にSi濃度勾配を有する珪素鋼板の平
均C濃度と磁気時効特性との関係を示す図。
均C濃度と磁気時効特性との関係を示す図。
【図2】Si濃度分布と時効劣化が5%以下となるC濃
度との関係を示す図。
度との関係を示す図。
Claims (5)
- 【請求項1】 C≦0.003wt.%、0.05w
t.%≦Mn≦0.5wt.%、P≦0.01wt.
%、S≦0.02wt.%、0.001wt.%≦so
l.Al≦0.06wt.%、N≦0.01wt.%で
あり、Siを平均7wt.%以下含有し、板厚方向にS
iの濃度勾配を有し、表面のSi濃度が板厚中心部のS
i濃度より高く、Si濃度の最大と最小の差が0.5w
t.%以上であることを特徴とする、磁気時効性に優れ
かつ残留磁束密度の低い珪素鋼板。 - 【請求項2】 Si濃度の最大と最小の差が0.7w
t.%以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁
気時効性に優れかつ残留磁束密度の低い珪素鋼板。 - 【請求項3】 C≦0.0025wt.%であることを
特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気時効性
に優れかつ残留磁束密度の低い珪素鋼板。 - 【請求項4】 C≦0.003wt.%、0.05w
t.%≦Mn≦0.5wt.%、P≦0.01wt.
%、S≦0.02wt.%、0.001wt.%≦so
l.Al≦0.06wt.%、N≦0.01wt.%で
あり、Siを平均7wt.%以下含有し、板厚方向にS
iの濃度勾配を有し、表面のSi濃度が板厚中心部のS
i濃度より高く、Si濃度の最大と最小の差が0.5〜
5.5wt.%であることを特徴とする、磁気時効性に
優れかつ残留磁束密度および鉄損の低い珪素鋼板。 - 【請求項5】 C≦0.0025wt.%であることを
特徴とする請求項4に記載の磁気時効性に優れかつ残留
磁束密度および鉄損の低い珪素鋼板。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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-
1998
- 1998-04-10 JP JP11436398A patent/JPH11293417A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012158773A (ja) * | 2011-01-28 | 2012-08-23 | Jfe Steel Corp | 高珪素鋼板の製造方法 |
JP2012251191A (ja) * | 2011-06-01 | 2012-12-20 | Jfe Steel Corp | 電磁鋼板およびその製造方法 |
WO2017170749A1 (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | Jfeスチール株式会社 | 電磁鋼板およびその製造方法 |
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