JPH11293084A - プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物

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JPH11293084A
JPH11293084A JP10450398A JP10450398A JPH11293084A JP H11293084 A JPH11293084 A JP H11293084A JP 10450398 A JP10450398 A JP 10450398A JP 10450398 A JP10450398 A JP 10450398A JP H11293084 A JPH11293084 A JP H11293084A
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JP
Japan
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component
ethylene
propylene
soluble
resin composition
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JP10450398A
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English (en)
Inventor
Kazutaka Watanabe
一孝 渡辺
Kenichi Fujimoto
研一 藤本
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性と耐衝撃性のバランス、耐熱性に優れ、
自動車内装材に好適に使用されるプロピレン系樹脂組成
物を提供する。 【解決手段】 結晶性ポリプロピレン成分とエチレン・
プロピレンランダム共重合体成分とより実質的に成るプ
ロピレン・エチレンブロック共重合体及びエチレン・α
−オレフィン共重合体ゴムから構成される樹脂成分と平
均粒子径0.5〜5μmのタルクとの組成物であって、
上記樹脂成分中の温度上昇溶離分別法によって分別され
る40℃以下で可溶な成分が、該組成物中に14〜28
重量%の割合で存在し、且つ上記結晶性ポリプロピレン
成分のマトリックス中に上記エチレン・プロピレンラン
ダム共重合体成分及びエチレン・α−オレフィン共重合
体ゴムが平均粒子径1.2μm以下の大きさで分散され
てなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剛性と耐衝撃性の
バランス、耐熱性に優れ、自動車内装材に好適に使用さ
れるプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プロピレン系樹脂の剛性及び耐熱
性を改良するために、タルク等の無機フィラーを配合す
ることは広く行われており、自動車用材料をはじめ、多
くの分野でそのような技術が広く使用されている。しか
し、プロピレン系樹脂にタルク等の無機フィラーを配合
すると耐衝撃性が低下することがしられており(フィラ
ー活用辞典、大成社、P106等)、用途が制限されて
いた。そこで、プロピレン系樹脂の耐衝撃性を改良する
ために、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブ
テン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体
等のエラストマーを配合することが一般的に行われてお
り、良好な剛性と耐衝撃性のバランスを得るために、ポ
リプロピレン系樹脂、無機フィラー、エラストマーから
なる組成物が開示されている。
【0003】たとえば、特開昭58−111846号公
報には、常温パラキシレン可溶分の固有粘度が特定範囲
にあるプロピレン・エチレンブロック共重合体にエチレ
ン・プロピレン共重合体エラストマーとタルクを配合し
たプロピレン系樹脂が記載され、特開平1−20494
7号公報には、曲げ弾性率、高速面衝撃値が特定の範囲
であるプロピレン・エチレンブロック共重合体、エチレ
ン・プロピレン共重合体エラストマー、タルクからなる
組成物が開示されている。
【0004】しかし、これらの公報で示された樹脂組成
物は、タルクを配合したことによる耐衝撃性の低下を補
うため、エラストマーの配合量を多くしなければなら
ず、高度化された近年の品質要求、すなわち、高度な曲
げ弾性率と耐衝撃性のバランスを満足させることが困難
である。
【0005】そこで、近年、特開平7−53843号公
報には、プロピレン・エチレンブロック共重合体、融解
温度が特定範囲にあるエチレン・プロピレン共重合体ゴ
ム、エチレン・α−オレフィン共重合体、タルクからな
り、結晶ラメラの厚みが特定範囲である組成物、特開平
8−302088号公報には、微結晶サイズが特定範囲
にあるプロピレン・エチレンブロック共重合体、エチレ
ン・α−オレフィン共重合体、無機充填材からなる組成
物等、高次構造を制御したものが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の組成物における結晶ラメラの厚み、微結晶サイズは成
形条件、特に冷却条件でその数値が大きく異なるため、
必ずしも剛性と耐衝撃性のバランスが優れる組成物が得
られるとは限らず、未だ改良の余地が残されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した
課題を鑑み鋭意研究を重ねた結果、プロピレン・エチレ
ンブロック共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合
体ゴム及びタルクからなる組成物において、温度上昇溶
離分別法によって分別される特定の温度以下で可溶な樹
脂成分量が特定の範囲に有り、さらにエラストマー成分
を結晶性ポリプロピレンマトリックス中に特定の分散状
態で存在させることにより、耐衝撃性を維持或いは、向
上せしめながら、優れた剛性と耐熱性を発現し得ること
を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は結晶性ポリプロピレン成分
とエチレン・プロピレンランダム共重合体成分とより実
質的に成るプロピレン・エチレンブロック共重合体及び
エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムから構成される
樹脂成分と平均粒子径0.5〜5μmのタルクとの組成
物であって、上記樹脂成分中の温度上昇溶離分別法によ
って分別される40℃以下で可溶な成分が、該組成物中
に14〜28重量%の割合で存在し、且つ上記結晶性ポ
リプロピレン成分のマトリックス中に上記エチレン・プ
ロピレンランダム共重合体成分及びエチレン・α−オレ
フィン共重合体ゴムが平均粒子径1.2μm以下の大き
さで分散されてなることを特徴とするプロピレン系樹脂
組成物である。
【0009】本発明において、温度上昇溶離分別法(以
下、TREFと略記する。)とは、試料である重合体を
異なる温度で溶剤に溶解させ、各溶解温度における重合
体の溶出量(濃度)を測定して、該重合体の結晶性分布
を評価する方法である。
【0010】即ち、硅藻土、シリカビーズ等の不活性担
体を充填剤として用い、そのカラム内に試料の重合体、
例えば、ポリオレフィンをオルトジクロルベンゼンに溶
解した任意の濃度の試料溶液を注入し、カラムの温度を
降下させて試料を充填剤表面に付着させた後、該カラム
内にオルトジクロルベンゼンに通過させながらカラムの
温度を上昇させ、各温度で溶出してくるポリオレフィン
の濃度を検出し、ポリオレフィンの溶出量(重量%)と
その時のカラム内の温度(℃)との値より、ポリオレフ
ィンの結晶性分布を測定する方法である。
【0011】溶出温度は溶出成分がより結晶化し易くな
るにつれて高くなるので、溶出温度と重合体の溶出量
(重量%)との関係を求めることにより、重合体の結晶
性の分布を知ることができる。
【0012】上記方法において、カラムの温度の降下速
度は、試料である重合体に含まれる結晶性部分の所定温
度における結晶化に必要な速度に、また、カラムの温度
の上昇速度は、各温度における試料の溶解が完了し得る
速度に調整されることが必要であり、かかるカラムの温
度の降下速度および上昇速度は予め実験によって決定す
ればよい。本発明においてカラムの温度の降下速度は2
℃/時間、また、カラムの温度の上昇速度は4℃/時間
である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるプロピレン・
エチレンブロック共重合体は、一般的には、チタン含有
固体状遷移金属成分と有機金属成分を組み合わせて用い
るチーグラー・ナッタ触媒を用いて、スラリー重合、気
相重合、バルク重合、溶液重合等の重合法で、プロピレ
ンの単独重合を行った後に、プロピレン、エチレンを共
重合させて得られるものであり、結晶性ポリプロピレン
成分(以下(イ)成分という)及びエチレン・プロピレ
ンランダム共重合体成分(以下(ロ)成分という)より
実質的に構成される。
【0014】また、本発明で用いられるエチレン・α−
オレフィン共重合体ゴムは、エチレンとα−オレフィ
ン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1
−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のモノマー
を共重合させて得られる公知のものが特に制限なく使用
される。
【0015】即ち、上記エチレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体ゴムの製造法については特に限定されず、
チタン化合物、バナジウム化合物、メタロセン化合物等
を触媒として製造することができるが、メタロセン触媒
で重合したものが、良好な剛性、耐衝撃性のバランスが
得られる点で好ましい。
【0016】本発明において樹脂成分は上記プロピレン
・エチレンブロック共重合体及びエチレン・α−オレフ
ィン共重合体ゴムより構成される。そして、上記樹脂成
分は、温度上昇溶離分別法によって分別される40℃以
下の溶出成分(R40)の含有量が、これにタルク等を配
合して得られる本発明のプロピレン系樹脂組成物に対し
て14〜28重量(wt)%、好ましくは16〜26w
t%、さらに好ましくは18〜24wt%の割合で存在
するように調整されることが重要である。
【0017】本発明において、R40の割合が14wt%
未満であると得られる組成物の耐衝撃性が低下し、28
wt%を超えると剛性、耐熱性が低下し、本発明の目的
を達成することができない。
【0018】ここで、本発明における40℃以下の溶出
成分(R40)は、ほとんど結晶性を示さない非晶性のポ
リマー成分であり、プロピレン・エチレンブロック共重
合体を構成するエチレン・プロピレンランダム共重合体
成分及びエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムの非晶
性成分より実質的になる。
【0019】本発明において、上記の40℃以下の溶出
成分(R40)のエチレン含量は、好ましくは20〜80
重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。
【0020】また、本発明のプロピレン系樹脂組成物の
温度上昇溶離分別法によって分別される40℃以下で可
溶な樹脂成分(R40)と40℃を越えて100℃以下で
可溶な成分との重量比(R40/R40-100)は2〜5、好
ましくは2.5〜4であることが望ましい。上記R40
40-100が2未満であると耐衝撃性が低下する傾向があ
り、5を越えると剛性、耐熱性が低下する傾向がある。
また、該40℃以下で可溶な樹脂成分(R40)と100
℃を越えて可溶な樹脂成分(R100)との重量比(R40
/R100)は0.15〜0.50が好ましく、0.20
〜0.45がさらに好ましく、0.25〜0.40が最
も好ましい。上記R40/R100が0.15未満であると
耐衝撃性が低下する傾向があり、0.5を越えると剛
性、耐熱性が低下する傾向がある。
【0021】上記R40-100は微結晶性を示す成分であ
り、プロピレン・エチレンブロック共重合体を構成する
結晶性ポリプロピレン、プロピレン・エチレンブロック
共重合体を構成するエチレン・プロピレンランダム共重
合体成分及びエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムの
低結晶性及び中程度の結晶性を示す成分である。
【0022】本発明における100℃を越えて可溶な樹
脂成分(R100)はその大部分がプロピレン・エチレン
ブロック共重合体を構成する結晶性ポリプロピレン成分
である。また、R10013CNMRで測定したペンタッ
ド分率(mmmm分率)が、好ましくは0.97以上、
さらに好ましくは0.98以上のものが剛性、耐熱性の
点で好適に用いられる。
【0023】本発明において、上記R40、更にはR
40-100及びR100は、プロピレン・エチレンブロック共
重合体及びエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムのそ
れぞれの重合体組成或いは混合比により前記範囲内に調
整すればよいが、かかる好適な態様として下記の態様が
挙げられる。
【0024】即ち、プロピレン・エチレンブロック共重
合体とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとは、重
量比が70/30〜95/5に、また、プロピレン・エ
チレンブロック共重合体を構成するエチレン・プロピレ
ンランダム共重合体成分とエチレン・α−オレフィン共
重合体ゴムとの重量比が30/70〜70/30となる
ように配合することが望ましい。
【0025】本発明で用いられるプロピレン・エチレン
ブロック共重合体を構成する(イ)成分と(ロ)成分の
割合は、75/25〜97/3が好ましく、80/20
〜95/5がさらに好ましい。該(イ)成分と(ロ)成
分の割合が上記の範囲を外れると、得られる組成物の剛
性及び耐衝撃性のいずれかが劣るため好ましくない。
【0026】また、本発明で用いられるプロピレン・エ
チレンブロック共重合体のMFR(230℃、2.16
kg)は、好ましくは5〜100g/10分、さらに好
ましくは10〜80g/10分である。上記MFRが5
未満であると得られる組成物の流動性が低下するため射
出成形が困難となり、MFRが100を越えると耐衝撃
性が低下する傾向がある。
【0027】また、本発明で用いられるプロピレン・エ
チレンブロック共重合体のエチレン含量は、3〜15重
量%が好ましく、5〜12重量%がさらに好ましい。上
記エチレン含量が3重量%未満であると得られる組成物
の耐衝撃性が劣り、15重量%を越えると剛性が不足す
る。
【0028】本発明で用いられるエチレン・α−オレフ
ィン共重合体ゴムのMFRは、0.5〜40g/10分
が好ましく、2〜30g/10分がさらに好ましい。上
記MFRが0.1g/10分であると、プロピレン・エ
チレンブロック共重合体への分散不良が起こり易く、3
0g/10分を越えると得られる組成物において耐衝撃
性が不足する。
【0029】本発明に用いられるエチレン・α−オレフ
ィン共重合体ゴムの密度は、0.85〜0.89g/c
3が好ましく、0.85〜0.88g/cm3がさらに
好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムの密
度が高すぎると得られる組成物において十分な耐衝撃性
が得られない。
【0030】上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴ
ムの密度は、エチレンと共重合されるα−オレフィン含
量に依存し、前記エチレン・α−オレフィンランダム共
重合体ゴムの密度を達成するため、一般的に15〜85
重量%のα−オレフィンを含有することが望ましい。
【0031】本発明のプロピレン系樹脂組成物において
タルクは必須成分である。一般に、樹脂組成物において
は、タルクを配合することにより耐衝撃性は低下する傾
向にある。ところが、本発明のプロピレン系樹脂組成物
においては、前記R40を特定量含有する樹脂成分に特定
のタルクを組み合わせて使用することにより、後述する
エラストマー成分を微分散せしめることができ、耐衝撃
性を向上あるいは維持しながら剛性の向上を図ることが
可能である。
【0032】本発明で使用するタルクは、平均粒子径が
0.5〜5μm、好ましくは1〜4μmのものである。
この平均粒子径は、レーザー回折/散乱法で求めた数値
であり、通常メディアン径と呼ばれる値である。上記タ
ルクの平均粒子径が0.5μm未満であるとタルクの分
散性が不良となり、得られる組成物の耐衝撃性が低下
し、粒子径が5μmを越えると剛性、及び衝撃強度が低
下する。
【0033】前記タルクの配合量は特に制限されない
が、プロピレン・エチレンブロック共重合体及びエチレ
ン・α−オレフィン共重合体ゴムからなる樹脂成分10
0重量部に対して、好ましくは0.5〜40重量部、さ
らに好ましくは3〜30重量部、最も好ましくは7〜2
5重量部であることが好ましい。前記タルクの配合量が
0.5重量部未満では、得られる組成物の剛性、耐衝撃
性の改良効果が小さく、40重量部を越えると耐衝撃性
の低下が大きくなる傾向があるため好ましくない。
【0034】本発明に使用するタルクは未処理のまま使
用しても良いが、樹脂との接着性或いは分散性を向上さ
せる目的で各種の有機チタネート系カップリング剤、有
機シラン系カップリング剤、シリコンオイル、各種界面
活性剤、各種シラン化合物、金属石鹸、高級アルコー
ル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等で処理し
たものを使用しても良い。
【0035】本発明のプロピレン系樹脂組成物におい
て、良好な剛性と耐衝撃性のバランス、耐熱性を得るた
めには、エラストマー成分の分散状態が重要である。即
ち、プロピレン・エチレンブロック共重合体を構成する
結晶性ポリプロピレン成分のマトリックス中にエラスト
マー成分である、プロピレン・エチレンブロック共重合
体を構成するエチレン・プロピレンランダム共重合体成
分及び上記エチレン・α−オレフィン共重合体が、平均
粒子径1.2μm以下、好ましくは1.1μm以下、さ
らに好ましくは1.0μm以下の分散相を形成している
ことが必要である。
【0036】上記エラストマー成分の平均粒子径は、公
知の手法、例えば、オスミウム酸で染色した後、超薄切
片を作成し、これを透過型電子顕微鏡を用いて観察して
得た写真について画像解析装置を用い、分散粒度毎の面
積等価円相当径(Di)を測定し、円相当径(Di)の
粒子の数をniとして、次式により算出したものであ
る。
【0037】
【数1】
【0038】上記算術平均径により示されるエラストマ
ー成分の平均粒子径が、1.2μmを越えると、得られ
る組成物において耐衝撃性が劣るため好ましくない。
【0039】かかるエラストマー成分の分散状態は成形
体に成形した際に満足していればよい。勿論、ペレット
の状態で、かかる分散状態を満足していても良い。
【0040】本発明のプロピレン系樹脂組成物には、さ
らに、本発明の効果を損なわない範囲で、他の無機充填
材(例えば、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、炭酸マ
グネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム、ワラストナイト、チタン酸カリウムウ
ィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー等)、有
機充填剤(例えば、木粉、籾殻粉等)、安定剤、滑剤、
帯電防止剤、離型剤、発泡剤、顔料、核剤、難燃剤、紫
外線吸収剤、可塑剤等を含有させても良い。
【0041】本発明のプロピレン系樹脂組成物の製造方
法は特に制限されるものではない。代表的な製造方法を
例示すれば、前記樹脂成分とタルクとを十分に溶融混練
して成形することによって得ることができる。
【0042】上記成形方法は、射出成形が好適である。
即ち、上記必須成分をミキサー等でブレンドした後、1
軸または2軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキ
サー、ニーダーブレンダー等の溶融混錬して、ペレット
状にし、これを射出成形することにより得ることが好ま
しい。この場合、プロピレン・エチレンブロック共重合
体を構成する結晶性ポリプロピレン成分のマトリックス
中に分散するエラストマー成分の分散粒子径の制御は、
溶融混錬過程及び/又は射出成形過程で行うことができ
る。溶融混錬過程における制御、具体的には、バンバリ
ーミキサー、2軸押出機で強大なエネルギー消費を伴う
強化混練法が挙げられるが、プロピレン・エチレンブロ
ック共重合体とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
の分子量低下に伴う品質低下が起こるため、後者の射出
成形過程で制御するのが好ましく、この場合は、射出成
形機に静的混合ノズルを装着して成形する方法が好まし
い。
【0043】上記静的混合ノズルとは、例えば円筒通路
管の内部に180°ひねった羽根、すなわち静的混合素
子を有する成形機ノズルが挙げられる。具体的な商品と
しては、東レエンジニアリング社製ミキシングノズル、
ケニックス社製スーパーノズル等が挙げられる。静的混
合素子の数は特に限定されないが、過度の使用は成形時
の圧力損失を招くため、4〜12の範囲が好ましい。
【0044】このようにして得られた本発明のプロピレ
ン系樹脂組成物は、製品の軽量化を図るため、比剛性
(曲げ弾性率/比重)が好ましくは1200MPa、さ
らに好ましくは1400MPa以上、最も好ましくは1
600MPa以上であり、アイゾット衝撃値が好ましく
は15kJ/m2、さらに好ましくは20kJ/m2、最
も好ましくは25kJ/m2以上のものである。
【0045】
【発明の効果】本発明で得られるポリプロピレン系樹脂
組成物による成形体は、剛性、耐衝撃性のバランス、耐
熱性に優れることから、例えば、バンパー、サイドモー
ル等の自動車外装材、インストルメントパネル、ドアト
リム、コラムカバー、コンソールボックス等の自動車内
装材、テレビケース、洗濯機カバー、掃除機ケース等の
家電製品部品、あるいはステレオケース等の音響部品の
用途に好適である。
【0046】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下に実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこ
れらに実施例に限定されるものではない。
【0047】(1)温度上昇溶離分別法によって分別さ
れるの溶出成分量 センシュー科学社製の自動TREF装置SSC−730
0ATREFを用い、次の条件で測定した。
【0048】溶媒 :オルトジクロルベンゼン 流速 :150ml/時間 昇温速度:4℃/時間 検出器 :赤外検出器 測定波数:3.41μm カラム :センシュー科学社製「パックドカラム30
φ」30mmφ×300mm 濃度 :1g/120ml 注入量 :70ml (2)エチレン含量 日本電子社製のJNM−GSX−270(13C−核共鳴
周波数67.8MHz)を用い、次の条件で測定した。
【0049】 測定モード :1H−完全デカップリング パルス幅 :7.0マイクロ秒(C45度) パルス繰り返し時間:3秒 積算回数 :10000回 溶媒 :オルトジクロルベンゼン/重ベン
ゼンの混合溶媒(90/10容量%) 試料濃度 :120mg/2.5ml溶媒 測定温度 :120℃ この場合エチレン含量は、12C−NMRスペクトルのチ
ャートを用いて算出した。即ち、エチレンに基づく単量
体単位割合を、まず、Polymer第29巻、184
8項(1988年)に記載された方法より、ピークの帰
属を決定し、次に、Macromolecules第1
0巻、773項(1977年)に記載された方法により
算出した。
【0050】(3)エラストマー成分の分散粒子径 射出成形により得た曲げ試験測定用テストピースの中央
部分の一部を切り出し、四酸化ルテニウムで染色を施し
た後、超ミクロトームを使用して、樹脂流動方向の超薄
切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(日立製H−800
0)を用い、写真を撮影した。その写真を画像解析装置
(ピアス製LA―555)を用い、分散粒度ごとの面積
等価円相当径を求めた。
【0051】(4)比剛性(曲げ弾性率/比重) ・曲げ弾性率:射出成形により得た厚さ4mm、幅10mm
の試験片を用い、JIS K7203準拠して試験速度
5mm/minで測定した。
【0052】・比重 :JIS K7112に準拠
し、測定した。
【0053】(5)IZOD衝撃値 射出成形により得た厚さ4mmの試験片にVノッチ加工を
施し(R=0.25)、JIS K7110準拠し測定
した。
【0054】(6)荷重たわみ温度 射出成形により得た厚さ4mm、幅12.7mmの試験片を
用いて、JIS K7207(応力:0.45MPa)
に準拠し測定した。
【0055】実施例1〜7、比較例1〜5 下記の表1、表2、表3に示す結晶性プロピレン系重合
体、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、タルクを
用い、表4、表5に示す割合で混合し、さらに、これら
成分の合計100重量部に対して、フェノール系酸化防
止剤(商品名;アデカスタブAO−60)、リン系酸化
防止剤(商品名;アデカスタブ2112)をそれぞれ
0.1重量部配合してスーパーミキサーで1分間混合し
た後、石中鉄工製50mm単軸押出機にて、210℃で
溶融混錬した。
【0056】得られたペレットを東レ社製ミキシングノ
ズルを装着した150ton射出成形機にて、成形温度
210℃で成形することにより、プロピレン系樹脂組成
物よりなる物性測定用試験片(成形体)を得た。得られ
た物性測定用試験片についてエラストマーの分散粒子径
の測定、物性測定を行った。その結果を表6、表7に示
す。
【0057】比較例6〜8 比較例3、実施例5及び実施例2において、ミキシング
ノズルに代えて通常の射出成形用ノズルを装着した15
0ton射出成形機にてプロピレン系樹脂組成物よりな
る物性測定用試験片を作成した以外は、上記実施例と同
様にしてプロピレン系樹脂組成物よりなる物性測定用試
験片を製造し、得られた物性測定用試験片についての測
定を行った。その結果を表7に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリプロピレン成分とエチレン・
    プロピレンランダム共重合体成分とより実質的に成るプ
    ロピレン・エチレンブロック共重合体及びエチレン・α
    −オレフィン共重合体ゴムから構成される樹脂成分と平
    均粒子径0.5〜5μmのタルクとの組成物であって、
    上記樹脂成分中の温度上昇溶離分別法によって分別され
    る40℃以下で可溶な成分が、該組成物中に14〜28
    重量%の割合で存在し、且つ上記結晶性ポリプロピレン
    成分のマトリックス中に上記エチレン・プロピレンラン
    ダム共重合体成分及びエチレン・α−オレフィン共重合
    体ゴムが平均粒子径1.2μm以下の大きさで分散され
    てなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記樹脂成分100重量部に対して平均
    粒子径0.5〜5μmのタルクが0.5〜40重量部の
    割合で配合された請求項1記載のプロピレン系樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 上記樹脂組成物において、温度上昇溶離
    分別法よって分別される40℃以下で可溶な樹脂成分
    (R40)と40℃でを超えて100℃以下で可溶な成分
    (R40-100)の重量比(R40/R40-100)が2〜5で、
    40℃以下で可溶な樹脂成分(R40)と100℃を越え
    て可溶な樹脂成分(R100)との重量比(R40/R100
    が0.15〜0.5である請求項1記載のプロピレン系
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 23℃で測定した比剛性(曲げ弾性率/
    比重)が1200MPa以上、アイゾット衝撃値が15
    kJ/m2以上である請求項1記載のプロピレン系樹脂
    組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002069204A (ja) * 2000-08-24 2002-03-08 Japan Polychem Corp 高濃度タルクマスターバッチ
WO2023203921A1 (ja) * 2022-04-21 2023-10-26 マルヤス工業株式会社 自動車配管用エラストマーホース及び自動車配管用エラストマーホースの製造方法

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