JPH11291702A - 泥土付着防止用シート材、ラグ付き走行体、およびラグ付き走行体の製造方法 - Google Patents

泥土付着防止用シート材、ラグ付き走行体、およびラグ付き走行体の製造方法

Info

Publication number
JPH11291702A
JPH11291702A JP10099649A JP9964998A JPH11291702A JP H11291702 A JPH11291702 A JP H11291702A JP 10099649 A JP10099649 A JP 10099649A JP 9964998 A JP9964998 A JP 9964998A JP H11291702 A JPH11291702 A JP H11291702A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mud
sheet material
preventing
adhesion
traveling body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10099649A
Other languages
English (en)
Inventor
Sakae Eomo
栄 江面
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP10099649A priority Critical patent/JPH11291702A/ja
Publication of JPH11291702A publication Critical patent/JPH11291702A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動力を低下させることなく、泥土の付着を
防止するラグ付き走行体を提供することを課題とする。 【解決手段】 バイアスタイヤ10は、トレッド16の
表面においてラグ18間の溝部20に低硬度(ASKA
R−C硬度30度)の独立気泡の発泡ゴム層を備えた泥
付着防止用シート材22を貼り付けている。このバイア
スタイヤ10を湿田等で使用される農業車に装着する
と、泥付着防止用シート材22(発泡ゴム層)の弾性変
形により泥土の付着が確実に防止される。しかも、泥土
が溝部20から剥離されるため、バイアスタイヤ10の
駆動力も大きく低下することがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周方向に所定間隔
をおいてトレッド上に形成された複数のラグを備えた走
行体に貼り付けられる泥土付着防止用シート材、ラグ付
き走行体、およびラグ付き走行体の製造方法に関し、一
層詳細には、湿田や軟弱地を走行する農業車両や土木建
築車両等に装着されるタイヤおよびクローラ等に貼り付
けられる泥土付着防止用シート材、ラグ付き走行体、お
よびラグ付き走行体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】湿田、軟弱地や泥濘地での作業を効率的
良く行うために、農業用車両や土木建設用車両などに装
着される農業土木建設用タイヤおよびクローラー等の車
輪にはラグ付き走行体が装着されている。このようなラ
グ付き走行体を装着した車両は、湿田や軟弱地において
も良好な駆動力を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
宅地開発等により住宅地と農耕地が隣接するようになっ
てきた。このため、農耕作業を終えたトラクターが住宅
地の舗装路等を走行し、付着した泥土を路面にまき散ら
すことが問題となっている。また、農耕作業車が畑土を
タイヤに付着したまま、別の田畑に移動して農作業する
ことにより、畑土を介して病原菌が他の田畑に運ばれ、
病気の蔓延を招いて被害が拡がることも問題であった。
【0004】このような問題を解決するために、泥土の
付着を防止することが課題となっている。
【0005】泥土の付着を防止する方法としては、ラグ
付き走行体のラグの個数を減少させ、ラグ間の溝幅を拡
げるのが一般的であるが、ラグの個数減少は車輪の著し
い駆動力低下をもたらすため、充分な泥土付着防止効果
があがる程度までラグを減少させることはできない。
【0006】その他の方法としては、ラグ間の泥詰まり
によるトラクションの減少を防止するために、ラグ間の
溝底から薄い長方形のマッドフィンをラグと平行に、わ
ずかにラグ底よりも突出させて配置することにより、泥
捌け性を向上させたタイヤが提案されている(実開昭6
0−118502号公報)。
【0007】このタイヤは、ある程度の泥土付着防止効
果を有するものの、タイヤの沈下深さが大きくなるよう
な軟弱地、特に超湿田圃場における湿潤土についてはマ
ッドフィンの動きによる泥捌け性が効かず、泥が詰まり
がちになるということがあった。
【0008】また、これ以外にもラグ底に溝を配置する
方法(実開平6−32110号公報)、ラグ底の肉厚を
薄くする方法(実開昭61−23448号公報)等が知
られているが、いずれも泥土付着防止効果が不十分であ
った。
【0009】本発明は係る事実を考慮して、車輪の駆動
力低下を伴うこと無く、泥土の付着を防止して泥土の持
ち出しを充分に低減させる泥土付着防止用シート材、ラ
グ付き走行体、およびラグ付き走行体の製造方法を提供
することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
は、走行体のトレッド表面に貼りつけられる泥土付着防
止用シート材であって、少なくとも1mm以上の厚みを
有する低硬度の弾性体層と、前記弾性体層の片面に設け
られた粘着剤層または接着剤層と、を備えたことを特徴
とする。請求項1記載の発明の作用について説明する。
【0011】走行体のトレッド表面に泥土付着防止用シ
ート材を粘着剤層によって貼りつけることにより、トレ
ッド表面に低硬度の弾性体層が設けられる。したがっ
て、走行体が車両に装着されて使用されると、弾性体層
が低硬度であるため接触表面の変形作用(弾性変形量)
が大きく、弾性体層に付着した泥土が剥離し易くなる。
【0012】なお、弾性体層が1mm未満であると、弾
性変形量が不足して泥土を確実に剥離させることができ
ない。
【0013】請求項2に記載の発明では、請求項1記載
の発明において、前記粘着剤層または前記接着剤層にお
いて、弾性体層と反対側に剥離部材を設けたことを特徴
とする。請求項2記載の発明の作用について説明する。
【0014】泥土付着防止用シート材に剥離部材を設け
たため、泥土付着防止用シート材の貼り付け前に粘着剤
層または接着剤層にゴミ等が付着することはない。ま
た、取扱い性(保管性)も良好である。
【0015】請求項3に記載の発明では、請求項1また
は2記載の発明において、前記弾性体層がASKAR−
C硬度2〜70度でかつ引張強度が少なくとも0.50
kgf/cm2 以上であることを特徴とする。請求項3記載の
発明の作用について説明する。
【0016】弾性体層のASKAR−C硬度が2度を下
回ると泥の重量によって弾性体層が変形したまま復元し
なくなり(ヘタリ)、泥土が付着しやすくなる。また、
弾性体層の耐久性も低下する。一方、弾性体層のASK
AR−C硬度が70度を超えると、弾性体層が泥土の剥
離に必要な弾性変形を生じなくなって、泥土付着防止効
果が低下する。したがって、弾性体層のASKAR−C
硬度2〜70度の範囲が泥土付着防止に適している。弾
性体層のASKAR−C硬度3〜50度の範囲がより好
ましく、ASKAR−C硬度5〜30度の範囲がより一
層好ましい。
【0017】また、弾性体層の引張強度が0.50kgf/
cm2 を下回ると、接地時における耐久性が不足する。し
たがって、引張強度が0.50kgf/cm2 以上であること
が望ましい。
【0018】請求項4に記載の発明では、請求項1〜3
のいずれか1項記載の発明において、前記弾性体層が、
比重0.02〜0.8の独立気泡の発泡ゴムからなるこ
とを特徴とする。請求項4記載の発明の作用について説
明する。
【0019】弾性体層の比重が0.02を下回ると泥の
重量により弾性体層が変形したまま復元しなくなり、泥
土が付着しやすくなる。一方、弾性体層の比重が0.8
を超えると泥土の剥離に必要な弾性変形を生じなくなっ
て、泥土付着防止効果が低下する。したがって、比重
0.02〜0.8にするのが好ましい。また、弾性体層
が独立気泡の発泡ゴムで構成されているため、気泡部分
が接地時に押し潰されるとともに、発泡ゴムの弾性変形
により復元して泥土を剥離する。ここで、弾性体層が連
続気泡の発泡ゴムで構成されていると使用に伴って泥土
が気泡内に進入するため弾性変形量が漸減していき、泥
付着防止効果が低下するが、本発明は独立気泡の発泡ゴ
ムで構成されているため、泥付着防止効果が維持され
る。
【0020】請求項5に記載の発明では、請求項1〜3
のいずれか1項記載の発明において、前記弾性体層が、
半独立気泡体であることを特徴とする。請求項5記載の
発明の作用について説明する。
【0021】半独立気泡体とは、独立気泡と連続気泡が
混在するものであって、その中、独立気泡の割合が50
%を超える気泡体のことである。独立気泡体から構成さ
れた発泡ゴムは弾性変形量に経時的な変化が小さく泥土
付着防止効果に優れるが、柔軟性が乏しい。一方、連続
気泡体から構成された発泡ゴムは気泡内部に泥土が進入
するため経時的に泥土付着防止効果が低下するが、柔軟
性を有する。したがって、独立気泡の割合が50%以上
である半独立気泡体の発泡ゴムから弾性体層を形成する
ことにより、ある程度の泥土付着防止効果を維持しつ
つ、走行体への貼り付けが柔軟性の増加により容易にな
り、作業効率が向上する。
【0022】請求項6に記載の発明では、請求項1〜4
のいずれか1項記載の発明において、前記走行体に貼り
付けられる所定の形状に予め型取りされていることを特
徴とする。請求項6記載の発明の作用について説明す
る。
【0023】泥土付着防止用シート材が予め型取りされ
ているため、走行体に貼りつける際に泥土付着防止用シ
ート材を所定の形状に切断する必要がなく、貼り付けの
作業効率が向上する。
【0024】請求項7に記載の発明では、請求項6記載
の発明において、走行体の接地面において幅方向の中心
線から第1側面側における貼り付け領域を第1部、前記
中心線から第1側面側と反対側の第2側面側における貼
り付け領域を第2部とすると、第1部のラグ間に貼り付
けられる第1貼付部と、前記第1部のラグ間に隣接する
第2部のラグ間に貼り付けられる第2貼付部とが少なく
とも連続した形状に型取りされていることを特徴とす
る。請求項7記載の発明の作用について説明する。
【0025】走行体の中心線を挟んだ両側のラグ間にそ
れぞれ貼り付けられる第1貼付部と第2貼付部とが連続
する形状に泥土付着防止用シート材を予め型取りし、走
行体に貼り付けることにより、センター部分の泥土付着
が抑制される。さらに、泥土付着防止用シート材が連続
的に形成されることにより外力による外傷劣化を抑制
し、耐久性が向上する。また、連続的に形成された泥土
付着防止用シート材を走行体に貼り付けることにより、
貼り付け作業の効率が高まる。
【0026】請求項8に記載の発明では、ラグがトレッ
ド表面に形成された走行体と、請求項1〜6のいずれか
1項記載の泥土付着防止用シート材と、を備え、前記泥
土付着防止用シート材が走行体のトレッド表面に貼り付
けられることを特徴とする。請求項8記載の発明の作用
について説明する。
【0027】走行体に低硬度の弾性体層を有する泥土付
着防止用シート材を貼り付けることによって、走行体が
接地した際に弾性体層の表面が大きく弾性変形し、泥土
が弾性体層から剥離する。すなわち、走行体に対する泥
土の付着を防止できる。請求項9に記載の発明では、請
求項8記載の発明において、走行体のトレッド表面に、
泥土付着防止用シート材の貼り付け位置もしくは領域を
示す識別手段が設けられていることを特徴とする。請求
項9記載の発明の作用について説明する。
【0028】走行体のトレッド表面に泥土付着防止用シ
ート材の貼り付け位置もしくは領域を示す識別手段が設
けられているため、泥土付着防止用シート材を走行体の
トレッド表面において所定位置に容易に貼り付けること
ができる。
【0029】請求項10に記載の発明では、低硬度の弾
性体層と前記弾性体層の片面に設けられた前記粘着剤層
または接着剤層を備える泥付着防止用シート材が貼り付
けられるラグ付き走行体であって、走行体のトレッド表
面に泥付着防止用シート材の貼付位置もしくは領域を示
す識別手段が設けられていることを特徴とする。請求項
10記載の発明の作用について説明する。
【0030】走行体のトレッド表面に泥土付着防止用シ
ート材の貼り付け位置もしくは領域を示す識別手段が設
けられているため、泥土付着防止用シート材を走行体の
トレッド表面において所定位置に容易に貼り付けること
ができる。
【0031】請求項11に記載の発明では、ラグがトレ
ッド表面に形成された走行体を加硫成形する工程と、請
求項1〜6のいずれか1項記載の泥土付着防止用シート
材を成形する工程と、加硫成形された前記走行体のトレ
ッド表面に、前記泥土付着防止用シート材を貼り付ける
工程と、を有することを特徴とする。請求項11記載の
発明の作用について説明する。
【0032】走行体の加硫成形と、泥土付着防止用シー
ト材の成形とを別工程で行い、泥土付着防止用シート材
を走行体のトレッド表面に後から貼り付けることによ
り、一体成形では比較的困難な硬度(発泡率)や厚みの
均一な弾性体層が容易に成形できる。さらに、一体加硫
成形ではラグ付き走行体の種類毎に専用の金型が新たに
必要となり設備投資が増大するが、本発明では新たな金
型が不要なため、設備投資が抑制される。また、泥土付
着防止用シート材は複数の種類のラグ付き走行体に貼り
付け可能であり、汎用性が高い。さらに、泥土付着防止
用シート材の貼り付け位置の自由度が高い。
【0033】請求項12に記載の発明では、前記走行体
を加硫成形する工程において、前記泥付着防止用シート
材の貼り付け位置あるいは領域を示す識別手段がトレッ
ド表面に設けられることを特徴とする。請求項12記載
の発明の作用について説明する。
【0034】走行体を加硫成形する工程で識別手段を設
けるため、製造工程が簡略化される。また、このような
識別手段が設けられているため、泥付着防止用シート材
の貼り付け作業が容易になり、作業効率が向上する。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態に係る農業作業
車両(トラクタ)に装着されるバイアスタイヤについて
説明する。図1は、バイアスタイヤのトレッド部分平面
図であり、図2は、このトレッド部分に貼り付けられる
泥付着防止用シート材の斜視図であり、図4および図5
は、バイアスタイヤに対する泥土付着防止用シート材の
貼り付け状況説明図である。
【0036】図4に示すように、バイアスタイヤ10
は、一対のビード部12と、この両ビード部12間にわ
たってトロイド状に連なるサイドウォール部14および
トレッド16を備える。トレッド16の表面には、図1
に示すように、センターCから両側面に延びる断面略台
形状のラグ18が周方向に所定間隔をおいて交互に形成
されている。トレッド16の表面においてラグ18の間
には溝部20が形成されており、この溝部20に泥土付
着防止用シート材22が貼り付けられている。
【0037】泥土付着防止用シート材22は、図2に示
すように、ASKAR−C硬度2〜70度、比重0.0
2〜0.8、引張強度0.50kgf/cm2 以上であ
る独立気泡の発泡ゴム層(弾性体層)30と、その片面
に付着される粘着剤層32と、さらに粘着剤層32に対
して弾性体層30と反対側に設けられた剥離紙34と、
から構成されている。
【0038】剥離紙34は、粘着剤層32と剥離紙34
との間の接着力が粘着剤層32と弾性体層30との間の
接着力よりも小さくなるように構成されている。このよ
うに泥付着防止用シート材22に剥離紙34が備えられ
ているため、使用前に泥付着防止用シート材22(特
に、粘着剤層32)にゴミが付着するのを防止すること
ができ、保管性が良い。なお、粘着剤層32に代えて接
着剤層でも良い。 このように形成された泥土付着防止
用シート材22は、図3に示すように、予め貼り付けら
れる形(図1参照)に型抜きされる。したがって、貼り
付け作業が容易である。
【0039】なお、弾性体層30は、所定の弾性力を有
していればゴム以外の独立気泡を有する他の材料から形
成されているものでも代替可能である。例えば、ウレタ
ン系材料でも良い。
【0040】また、弾性体層30は、半独立気泡体から
形成されていても良い。ここで半独立気泡体とは、独立
気泡と連続気泡が混在し、独立気泡の割合が気泡全体の
50%を超えている気泡体のことである。この半独立気
泡体は、独立気泡の発泡ゴムからなる弾性体層を一対の
ローラで挟持圧縮し、独立気泡の一部を破裂させて連続
気泡とすることにより形成される。このようにして形成
された半独立気泡体からなる弾性体層30を含む泥付着
防止用シート材22は、独立気泡の発泡ゴムからなる弾
性体層30を使用したものに比べて柔軟性が増加するた
め、貼り付け作業が容易になり、作業効率が向上する。
さらに、弾性体層30を所定の弾性力を有する無発泡軟
質材に代えても良い。
【0041】この泥土付着防止用シート材22の溝部2
0における貼付位置は、トレッド16の表面においてラ
グ18の側面の裾から溝部20の平坦な部分までとなっ
ている(図1、図4参照)。
【0042】これは、泥土付着防止用シート材22が低
硬度の弾性体であるため、路面やタイヤ転動中の滑り等
の外力によって損傷を受けやすいためである。したがっ
て、ラグ18の稜線18Aから5mm以上離間させて貼
り付けることが望ましい。稜線18Aから5mm未満の
位置に泥土付着防止用シート材22を貼り付けると、ト
ラクション作用時に泥土付着防止用シート材22が外力
により損傷を受けたり、剥離するおそれがある。
【0043】また、タイヤの摩耗を考慮すると、溝部2
0(トレッド表面)に対して垂直な方向(以下、垂直方
向という)においてラグ18の頂点(稜線18A)から
泥土付着防止用シート材22の端面22Aまでの距離h
が、タイヤセンターラグ高さHの30%以上であること
が好ましい。ここで、タイヤセンターラグ高さHとは、
図2に示すように、タイヤ赤道面における溝部20から
ラグ18の頂点(稜線18A)(の延長線)までの垂直
方向高さである。
【0044】逆に、ラグ18の頂点(稜線18A)から
30%未満の位置に泥土付着防止用シート材22を貼り
付けると、摩耗進行時に泥土付着防止用シート材22が
外力により損傷を招き、泥土付着防止機能を著しく低下
させるおそれがある。
【0045】但し、図5に示すように、泥土の付着量を
一層減少させるために、上記の条件を満たす範囲内でラ
グ18の稜線18Aに接近できる最大限の位置まで貼付
領域を拡大させることは可能である。すなわち、泥付着
防止用シート材22の端部22Aからラグ18の頂点
(稜線18A)までの垂直方向高さ(距離)h=5mm
あるいはh=0.3Hの位置まで貼り付けることが可能
である。
【0046】なお、貼付領域には、図6(A)に示すよ
うに、トレッド16の表面に形成された断面が半円形で
ある凸部24(図6(B)参照)で貼付領域を囲んでお
くと好適である。なお、ここでは貼付領域の全周に凸部
24を設けたが、角だけに設けても良い。また、ここで
は、トレッド16の表面に凸部24を設けたが、インク
等によるマーキングによって貼付領域を示しても良い。
この場合もマーキングを貼付領域の全周ではなく、角の
みに形成しても良い。
【0047】ここでは、泥土付着防止用シート材22を
図7に示すように、バイアスタイヤ10のセンターCか
ら左右に分けてそれぞれ1枚ずつ泥土付着防止用シート
材22A、22Bを形成しているが、左右の部分を連続
させて一体的に形成した泥土付着防止用シート材22C
(図8参照)でも良いし、さらにそれを周方向に連続さ
せた泥土付着防止用シート材22D(図9参照)でも良
い。一周分連続させた泥土付着防止用シート材であれ
ば、一層良い。
【0048】このように、泥土付着防止用シート材22
をセンターCの部分を連続させて形成することにより、
溝部20のセンター部分における泥土付着防止効果が高
まるとともに、泥土付着防止用シート材22の端部が減
少するため、外傷劣化を防止することができ、耐久性を
高めることができる。さらに、泥土付着防止用シート材
22の貼り付け時の作業効率を向上させることができ
る。
【0049】このように形成された泥土付着防止用シー
ト材22が貼り付けられたバイアスタイヤ10を装着し
たトラクタが湿田等で使用されると、ラグ18間の溝部
20に泥が付着するが、泥土付着防止用シート材22の
弾性変形により、泥を剥離させて付着を防止する。
【0050】また、泥土付着防止用シート材22はラグ
18から所定距離離間させているため、接地時のラグ1
8の変形によって泥土付着防止用シート材22がトレッ
ド16から離間することはない。さらに、バイアスタイ
ヤ10は駆動力低下をもたらす溝部20の泥土付着を防
止できるため、湿田においても本来の駆動力を確保する
ことができる。
【0051】本実施形態では、加硫成形されたバイアス
タイヤ10に対して別途成形された泥土付着防止用シー
ト材22を貼り付けている。この方法の利点を、以下に
示す。
【0052】1.バイアスタイヤ10と泥土付着防止用
シート材22(弾性体層30)を一体成した場合、ラグ
付き走行体毎の専用金型等が必要となるが、別途成形す
る場合には不要となり、設備投資の大幅な低減となる。
【0053】2.一体成形では比較的困難な硬度(発泡
率)や厚みの均一な弾性体層30の成形が別途成形して
貼り付ける方法により容易になる。
【0054】3.農作業用トラクタのみならず、ラグ付
き走行体全般に適用可能であり、汎用性が広い。 4.泥土付着防止用シート材22の設置(貼付)領域を
任意に選択できる。
【0055】なお、本実施形態ではバイアスタイヤ10
で説明したが、クローラーでも同様な作用効果がある。
【0056】
【試験例】実施例タイヤと比較例タイヤを用いて、泥土
付着防止の効果について試験を行った。実施例タイヤ
は、AGS11.2−24であり実施形態において図1
および図4で示したものである。比較例タイヤは実施例
タイヤから泥土付着防止用シート材22を取り除いたも
のである。
【0057】実施例タイヤに貼り付けられた泥土付着防
止用シート材の諸条件は以下の通り。
【0058】 ASKAR−C硬度:10度 厚さ :3mm 引張強度 :0.89kg/cm2 発泡材 :株式会社ブリヂストン製EDPM系シール材 商品名「モラン」 粘着剤 :ブチル系粘着剤 設置位置 :トレッドのラグ間の溝部(貼付面積が全溝部の80%) このような実施例タイヤと比較例タイヤについて比較試
験を行った。供試タイヤをW9−24のリムに組んで、
1.2kg/cm2 の内圧を充填した。各供試タイヤに
ついて重量測定した上で、四輪駆動25PSトラクター
の後輪に装着し、湿田1反分のロータリー荒起こし作業
後、タイヤ表面に付着した泥土の重量を計測した。
【0059】なお、比較例タイヤの泥土付着量を100
とした指数表示で試験結果を表1に示す。
【0060】
【表1】 このように、実施例タイヤの泥土付着防止効果が実証さ
れた。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、タイヤの駆動力を損な
うことなく、泥土の付着量を低減させることができた。
この結果、トラクターが舗装道路に付着した泥土を落下
させて、汚すことなどを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るバイアスタイヤのトレ
ッド部分平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る泥付着防止用シート材
の一部切欠斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る型取りされた泥土付着
防止用シート材の一部切欠斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るバイアスタイヤに対す
る泥土付着防止用シート材の貼り付け状態説明図であ
る。
【図5】本発明の実施形態に係るバイアスタイヤに対す
る泥土付着防止用シート材の貼り付け状態説明図であ
る。
【図6】(A)は、泥土付着防止用シート材の貼り付け
位置を示すマーカーが形成されたバイアスタイヤのトレ
ッド部分平面図であり、(B)は、(A)におけるB−
B線断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る泥土付着防止用シート
材の平面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る泥土付着防止用シート
材の他の例を示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る泥土付着防止用シート
材の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
10 バイアスタイヤ(走行体) 16 トレッド 18 ラグ 22 泥土付着防止用シート材 30 弾性体層 32 粘着剤層 34 剥離紙(剥離部材)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行体のトレッド表面に貼りつけられる
    泥土付着防止用シート材であって、 少なくとも1mm以上の厚みを有する低硬度の弾性体層
    と、 前記弾性体層の片面に設けられた粘着剤層または接着剤
    層と、 を備えたことを特徴とする泥土付着防止用シート材。
  2. 【請求項2】 前記粘着剤層または前記接着剤層におい
    て、弾性体層と反対側に剥離部材を設けたことを特徴と
    する請求項1記載の泥土付着防止用シート材。
  3. 【請求項3】 前記弾性体層がASKAR−C硬度2〜
    70度でかつ引張強度が少なくとも0.50kgf/cm2
    上であることを特徴とする請求項1または2記載の泥土
    付着防止用シート材。
  4. 【請求項4】 前記弾性体層が、比重0.02〜0.8
    の独立気泡の発泡ゴムからなることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1項記載の泥土付着防止用シート材。
  5. 【請求項5】 前記弾性体層が、半独立気泡体であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の泥土
    付着防止用シート材。
  6. 【請求項6】 前記走行体に貼り付けられる所定の形状
    に予め型取りされていることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項記載の泥土付着防止用シート材。
  7. 【請求項7】 走行体の接地面において幅方向の中心線
    から第1側面側における貼り付け領域を第1部、前記中
    心線から第1側面側と反対側の第2側面側における貼り
    付け領域を第2部とすると、第1部のラグ間に貼り付け
    られる第1貼付部と、前記第1部のラグ間に隣接する第
    2部のラグ間に貼り付けられる第2貼付部とが少なくと
    も連続した形状に型取りされていることを特徴とする請
    求項6記載の泥土付着防止用シート材。
  8. 【請求項8】 ラグがトレッド表面に形成された走行体
    と、 請求項1〜6のいずれか1項記載の泥土付着防止用シー
    ト材と、 を備え、前記泥土付着防止用シート材が走行体のトレッ
    ド表面に貼り付けられることを特徴とするラグ付き走行
    体。
  9. 【請求項9】 走行体のトレッド表面に、泥土付着防止
    用シート材の貼り付け位置もしくは領域を示す識別手段
    が設けられていることを特徴とする請求項8記載のラグ
    付き走行体。
  10. 【請求項10】 低硬度の弾性体層と前記弾性体層の片
    面に設けられた前記粘着剤層または接着剤層を備える泥
    付着防止用シート材が貼り付けられるラグ付き走行体で
    あって、 走行体のトレッド表面に泥付着防止用シート材の貼付位
    置もしくは領域を示す識別手段が設けられていることを
    特徴とするラグ付き走行体。
  11. 【請求項11】 ラグがトレッド表面に形成された走行
    体を加硫成形する工程と、 請求項1〜6のいずれか1項記載の泥土付着防止用シー
    ト材を成形する工程と、 加硫成形された前記走行体のトレッド表面に、前記泥土
    付着防止用シート材を貼り付ける工程と、 を有することを特徴とするラグ付き走行体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記走行体を加硫成形する工程におい
    て、前記泥付着防止用シート材の貼り付け位置あるいは
    領域を示す識別手段がトレッド表面に設けられることを
    特徴とする請求項11記載のラグ付き走行体の製造方
    法。
JP10099649A 1998-04-10 1998-04-10 泥土付着防止用シート材、ラグ付き走行体、およびラグ付き走行体の製造方法 Pending JPH11291702A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10099649A JPH11291702A (ja) 1998-04-10 1998-04-10 泥土付着防止用シート材、ラグ付き走行体、およびラグ付き走行体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10099649A JPH11291702A (ja) 1998-04-10 1998-04-10 泥土付着防止用シート材、ラグ付き走行体、およびラグ付き走行体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11291702A true JPH11291702A (ja) 1999-10-26

Family

ID=14252914

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10099649A Pending JPH11291702A (ja) 1998-04-10 1998-04-10 泥土付着防止用シート材、ラグ付き走行体、およびラグ付き走行体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11291702A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005329831A (ja) * 2004-05-20 2005-12-02 Sumitomo Rubber Ind Ltd 泥付き防止走行体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005329831A (ja) * 2004-05-20 2005-12-02 Sumitomo Rubber Ind Ltd 泥付き防止走行体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH1081113A (ja) 空気入りタイヤおよび該空気入りタイヤの加硫用金型
CN100448703C (zh) 充气轮胎及其制造方法
JP4547092B2 (ja) 自動車用、特に貨物自動車等用タイヤ
JP2002046668A (ja) 装軌車両用の方向性のある環状の弾性履帯
JPH08258511A (ja) ラグ付き走行体
RU2441767C1 (ru) Шипованная шина
US8651152B2 (en) Tread band for retreaded tire
JP3416327B2 (ja) ラグ付走行体
CN110182004B (zh) 一种搭载多层次立体钢片结构的冬季轮胎
JPH11291702A (ja) 泥土付着防止用シート材、ラグ付き走行体、およびラグ付き走行体の製造方法
WO2021004012A1 (zh) 一种搭载多层次立体钢片结构的冬季轮胎
JPH10119516A (ja) ラグ付き走行体
JPH1081112A (ja) ラグ付走行体
CN210132955U (zh) 一种搭载多层次立体钢片结构的冬季轮胎
JPH10230708A (ja) ラグ付き走行体
JPH09156322A (ja) ラグ付き走行体
JPH02179509A (ja) 空気入りタイヤ
JP2013043619A (ja) 空気入りタイヤ
JP3847885B2 (ja) ラグ付き走行体及びその製造方法
EP1126985B1 (en) Tyre chain link with anti-slip formations
BRPI0610002A2 (pt) roda antiderrapante
CN112996673A (zh) 用于农业车辆的胎面
JP3155405B2 (ja) ラグ付走行体
JPH08324209A (ja) ラグ付き走行体
CN219523590U (zh) 一种耐磨性能好的轮胎