JPH11286859A - 刺繍用基布 - Google Patents
刺繍用基布Info
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- JPH11286859A JPH11286859A JP10401398A JP10401398A JPH11286859A JP H11286859 A JPH11286859 A JP H11286859A JP 10401398 A JP10401398 A JP 10401398A JP 10401398 A JP10401398 A JP 10401398A JP H11286859 A JPH11286859 A JP H11286859A
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- D—TEXTILES; PAPER
- D04—BRAIDING; LACE-MAKING; KNITTING; TRIMMINGS; NON-WOVEN FABRICS
- D04H—MAKING TEXTILE FABRICS, e.g. FROM FIBRES OR FILAMENTARY MATERIAL; FABRICS MADE BY SUCH PROCESSES OR APPARATUS, e.g. FELTS, NON-WOVEN FABRICS; COTTON-WOOL; WADDING ; NON-WOVEN FABRICS FROM STAPLE FIBRES, FILAMENTS OR YARNS, BONDED WITH AT LEAST ONE WEB-LIKE MATERIAL DURING THEIR CONSOLIDATION
- D04H1/00—Non-woven fabrics formed wholly or mainly of staple fibres or like relatively short fibres
- D04H1/40—Non-woven fabrics formed wholly or mainly of staple fibres or like relatively short fibres from fleeces or layers composed of fibres without existing or potential cohesive properties
- D04H1/44—Non-woven fabrics formed wholly or mainly of staple fibres or like relatively short fibres from fleeces or layers composed of fibres without existing or potential cohesive properties the fleeces or layers being consolidated by mechanical means, e.g. by rolling
- D04H1/46—Non-woven fabrics formed wholly or mainly of staple fibres or like relatively short fibres from fleeces or layers composed of fibres without existing or potential cohesive properties the fleeces or layers being consolidated by mechanical means, e.g. by rolling by needling or like operations to cause entanglement of fibres
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Textile Engineering (AREA)
- Nonwoven Fabrics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 優れた立体感を実現すること
が可能な水溶性の刺繍用基布を提供すること。 【解決手段】 水中溶解温度が10℃以下の
水溶性繊維からなる不織布であって、この不織布が比較
的太い繊度の水溶性繊維と比較的細い繊度の水溶性繊維
とで構成され、かつ見かけ密度を0.04g/cm3以
上、0.1g/cm3以下としたこと。
が可能な水溶性の刺繍用基布を提供すること。 【解決手段】 水中溶解温度が10℃以下の
水溶性繊維からなる不織布であって、この不織布が比較
的太い繊度の水溶性繊維と比較的細い繊度の水溶性繊維
とで構成され、かつ見かけ密度を0.04g/cm3以
上、0.1g/cm3以下としたこと。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、衣服などの生地
に刺繍を施す際に用いて好適な基布に関し、特に立体的
な刺繍柄を形成するのに好適な水溶性に優れた基布に関
する。
に刺繍を施す際に用いて好適な基布に関し、特に立体的
な刺繍柄を形成するのに好適な水溶性に優れた基布に関
する。
【0002】
【従来の技術】衣服や装飾品など、織物からなる布帛を
生地として、これに刺繍を施したものが種々知られてい
る。最近では、より立体的な柄を実現する技術が必要と
されるようになってきた。
生地として、これに刺繍を施したものが種々知られてい
る。最近では、より立体的な柄を実現する技術が必要と
されるようになってきた。
【0003】周知の通り刺繍技術では、生地に水溶性基
布を重ねた状態で刺繍を行った後、この基布を溶解除去
する。これによって、用いた水溶性基布の厚さに応じて
生地表面から刺繍糸がループを形成するように刺し込ま
れる。
布を重ねた状態で刺繍を行った後、この基布を溶解除去
する。これによって、用いた水溶性基布の厚さに応じて
生地表面から刺繍糸がループを形成するように刺し込ま
れる。
【0004】このような刺繍技術で用いられる水溶性の
基布として、従来、ケミカルレースに用いられる、ポリ
ビニルアルコール系樹脂からなる水溶性繊維をシート化
したものを用いることが可能である。
基布として、従来、ケミカルレースに用いられる、ポリ
ビニルアルコール系樹脂からなる水溶性繊維をシート化
したものを用いることが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来知
られている水溶性の基布では、刺繍後の基布除去に70
℃以上の熱水を使用するため、例えば先染糸、金糸、銀
糸、絹などを用いた場合に、これらの糸の色彩を損なう
場合があった。また、生地として、絹、羊毛、綿などの
素材を用いる場合には、熱水使用時に生地自体に収縮を
来たすという問題が有った。このため、本出願に係る発
明者は例えば特開平8−3848号公報などに開示され
る低温で溶解可能なポリビニルアルコール系の水溶性繊
維を不織布化し、これを基布として立体的な刺繍を試み
た。
られている水溶性の基布では、刺繍後の基布除去に70
℃以上の熱水を使用するため、例えば先染糸、金糸、銀
糸、絹などを用いた場合に、これらの糸の色彩を損なう
場合があった。また、生地として、絹、羊毛、綿などの
素材を用いる場合には、熱水使用時に生地自体に収縮を
来たすという問題が有った。このため、本出願に係る発
明者は例えば特開平8−3848号公報などに開示され
る低温で溶解可能なポリビニルアルコール系の水溶性繊
維を不織布化し、これを基布として立体的な刺繍を試み
た。
【0006】立体感に富む刺繍を施すためには、生地に
差し込まれた刺繍糸のループが設計に応じた曲線を描い
て形成される必要がある。そのために、不織布の見掛け
密度を大きく採り、ミシン針によって運ばれる刺繍糸の
基布への沈み込みを小さくするのが好ましいが、このよ
うな密度構成を採った場合、基布の溶解除去時に繊維が
膨潤して塊を形成し、当該処理に長時間を要するという
問題点が有った。
差し込まれた刺繍糸のループが設計に応じた曲線を描い
て形成される必要がある。そのために、不織布の見掛け
密度を大きく採り、ミシン針によって運ばれる刺繍糸の
基布への沈み込みを小さくするのが好ましいが、このよ
うな密度構成を採った場合、基布の溶解除去時に繊維が
膨潤して塊を形成し、当該処理に長時間を要するという
問題点が有った。
【0007】また、このような基布は、水溶性繊維を不
織布化することにより得られるが、当該繊維の配向に異
方性を持つ場合、溶解除去する際に生じる繊維の収縮に
よって刺繍糸が特定方向に引っ張られ、多色の刺繍糸を
用いる場合に色の境界がずれたり、刺繍柄が歪んでしま
うという問題も有った。
織布化することにより得られるが、当該繊維の配向に異
方性を持つ場合、溶解除去する際に生じる繊維の収縮に
よって刺繍糸が特定方向に引っ張られ、多色の刺繍糸を
用いる場合に色の境界がずれたり、刺繍柄が歪んでしま
うという問題も有った。
【0008】本発明は、上述した従来の問題点に鑑み為
されたものであり、従って、本発明の目的は、優れた立
体刺繍を実現することが可能な刺繍用基布を提供するこ
とにある。
されたものであり、従って、本発明の目的は、優れた立
体刺繍を実現することが可能な刺繍用基布を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的の達成を図るた
め、本発明の刺繍用基布の構成によれば、水中溶解温度
が10℃以下の水溶性繊維からなる不織布であって、こ
の不織布が、比較的太い繊度の水溶性繊維と、比較的細
い繊度を有する水溶性繊維とで構成され、かつ見掛け密
度を0.04g/cm3以上0.1g/cm3以下とした
ことを特徴とする。この明細書に云う水中溶解温度と
は、繊維に2mg/dの荷重をかけた状態で水中に浸漬
し、1℃/分の昇温速度で水温を上げていった際に、繊
維が切断する温度を云う。
め、本発明の刺繍用基布の構成によれば、水中溶解温度
が10℃以下の水溶性繊維からなる不織布であって、こ
の不織布が、比較的太い繊度の水溶性繊維と、比較的細
い繊度を有する水溶性繊維とで構成され、かつ見掛け密
度を0.04g/cm3以上0.1g/cm3以下とした
ことを特徴とする。この明細書に云う水中溶解温度と
は、繊維に2mg/dの荷重をかけた状態で水中に浸漬
し、1℃/分の昇温速度で水温を上げていった際に、繊
維が切断する温度を云う。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、上述したように、低温
で溶解除去が可能な水溶性繊維からなる不織布であっ
て、比較的太い繊維と比較的細い繊維とで構成され、そ
の密度を所定の範囲内としたものである。
で溶解除去が可能な水溶性繊維からなる不織布であっ
て、比較的太い繊維と比較的細い繊維とで構成され、そ
の密度を所定の範囲内としたものである。
【0011】この際、前述したように、低温で溶解除去
し得る繊維を用いることによって、刺繍糸及び生地に関
する前述の制限を緩和すると共に、少なくとも2種類の
繊度の異なる水溶性繊維で所定の密度とすることによっ
て、基布の溶解除去効率を低下させることなく、刺繍糸
のループ保持を図るものである。
し得る繊維を用いることによって、刺繍糸及び生地に関
する前述の制限を緩和すると共に、少なくとも2種類の
繊度の異なる水溶性繊維で所定の密度とすることによっ
て、基布の溶解除去効率を低下させることなく、刺繍糸
のループ保持を図るものである。
【0012】このうち、基布の見掛け密度を0.04g
/cm3よりも小さくする場合、刺繍の際に刺繍糸が基
布に沈み込んでしまい、得られるループの高さが基布の
厚さよりも低くなり、立体感に富む刺繍形状を得ること
が難しい。また、これとは逆に、基布の見掛け密度を
0.1g/cm3よりも高密度とすると、溶解除去に用
いる温水の流通が滞り、基布の溶解除去速度が低下して
しまう。
/cm3よりも小さくする場合、刺繍の際に刺繍糸が基
布に沈み込んでしまい、得られるループの高さが基布の
厚さよりも低くなり、立体感に富む刺繍形状を得ること
が難しい。また、これとは逆に、基布の見掛け密度を
0.1g/cm3よりも高密度とすると、溶解除去に用
いる温水の流通が滞り、基布の溶解除去速度が低下して
しまう。
【0013】また、本発明に係る基布を作製するには、
比較的太い繊度の水溶性繊維としては3〜7d程度のも
のを用いると共に、比較的細い繊度の水溶性繊維として
は1〜2d程度のものを用いることができる。これら2
種類の水溶性繊維を組み合わせて用いる際に、互いの繊
度の差は少なくとも1.5d以上、好ましくは3d程度
とするのが望ましい。このような基布を得るに際して、
繊維を均一に配向させてシート化することが可能な技術
で有れば何れのウエブ形成技術を用いても良いが、特
に、カード法を適用するのが好ましく、上述した比較的
細い繊度の繊維を選択するに当たって、1dよりも細い
繊度とした場合にはカード通過性が悪くなる。さらに、
上記7dを超える太い繊維を用いた場合には、繊維1本
当たりの体積が大きくなり、溶解除去速度が著しく低下
する場合もある。加えて、刺繍時の作業効率を確保する
には、ニードルパンチ法による絡合を施すのが好まし
い。
比較的太い繊度の水溶性繊維としては3〜7d程度のも
のを用いると共に、比較的細い繊度の水溶性繊維として
は1〜2d程度のものを用いることができる。これら2
種類の水溶性繊維を組み合わせて用いる際に、互いの繊
度の差は少なくとも1.5d以上、好ましくは3d程度
とするのが望ましい。このような基布を得るに際して、
繊維を均一に配向させてシート化することが可能な技術
で有れば何れのウエブ形成技術を用いても良いが、特
に、カード法を適用するのが好ましく、上述した比較的
細い繊度の繊維を選択するに当たって、1dよりも細い
繊度とした場合にはカード通過性が悪くなる。さらに、
上記7dを超える太い繊維を用いた場合には、繊維1本
当たりの体積が大きくなり、溶解除去速度が著しく低下
する場合もある。加えて、刺繍時の作業効率を確保する
には、ニードルパンチ法による絡合を施すのが好まし
い。
【0014】本発明に用いて好適な水溶性繊維として、
ポリビニルアルコール系ポリマーで構成されるものが最
も好ましく、本発明に利用し得るポリビニルアルコール
系の水溶性繊維(以下、PVA繊維)としては、例えば
(1)ケン化度が50〜100モル%程度、重合度50〜
4,000程度の、単一構造を有するPVA繊維や、
(2)融点が200〜230℃程度(好適には210〜2
25℃)のポリビニルアルコール系ポリマーからなる海
成分と、海成分の融点よりも20℃以上(好ましくは2
5℃以上)低い融点または融着温度を有する水溶性ポリ
マーからなる島成分とから構成される海島型のPVA繊
維を使用することができる。
ポリビニルアルコール系ポリマーで構成されるものが最
も好ましく、本発明に利用し得るポリビニルアルコール
系の水溶性繊維(以下、PVA繊維)としては、例えば
(1)ケン化度が50〜100モル%程度、重合度50〜
4,000程度の、単一構造を有するPVA繊維や、
(2)融点が200〜230℃程度(好適には210〜2
25℃)のポリビニルアルコール系ポリマーからなる海
成分と、海成分の融点よりも20℃以上(好ましくは2
5℃以上)低い融点または融着温度を有する水溶性ポリ
マーからなる島成分とから構成される海島型のPVA繊
維を使用することができる。
【0015】上述した海島型PVA繊維を例示して、本
発明に用いて好適な水溶性繊維につき詳述すれば、海成
分を構成するポリビニルアルコール系ポリマーとして、
重合度500〜24,000(好適には1,500〜
4,000)、ケン化度90〜99モル%(93〜98.
5モル%)とすることにより、前述した高融点成分とす
ることが出来る。尚、ポリビニルアルコール系ポリマー
には、エチレン、アリルアルコール、イタコン酸、アク
リル酸、無水マレイン酸とその開環物、アリールスルホ
ン酸、ピバリン酸のような炭素数が4以上の脂肪酸のビ
ニルエステル、ビニルピロリドン及び上記のイオン性基
の一部又は全量中和物などの変性ユニットにより変性し
たものも含まれる。
発明に用いて好適な水溶性繊維につき詳述すれば、海成
分を構成するポリビニルアルコール系ポリマーとして、
重合度500〜24,000(好適には1,500〜
4,000)、ケン化度90〜99モル%(93〜98.
5モル%)とすることにより、前述した高融点成分とす
ることが出来る。尚、ポリビニルアルコール系ポリマー
には、エチレン、アリルアルコール、イタコン酸、アク
リル酸、無水マレイン酸とその開環物、アリールスルホ
ン酸、ピバリン酸のような炭素数が4以上の脂肪酸のビ
ニルエステル、ビニルピロリドン及び上記のイオン性基
の一部又は全量中和物などの変性ユニットにより変性し
たものも含まれる。
【0016】他方、島成分を構成する水溶性ポリマーと
しては、低ケン化度ポリビニルアルコール、メチルセル
ロースやヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導
体、キトサンなどの天然ポリマー、ポリエチレンオキサ
イドやポリビニールピロリドンなどを挙げることができ
る。これらの中でもケン化度が50〜92モル%程度、
重合度50〜4,000程度(好ましくは100〜1,
000)の低ケン化度ポリビニルアルコールや、アリル
アルコール、アリールスルホン酸、ビニルピロリドンな
どの変性ユニットにより変性された低ケン化度ポリビニ
ルアルコールが好適である。
しては、低ケン化度ポリビニルアルコール、メチルセル
ロースやヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導
体、キトサンなどの天然ポリマー、ポリエチレンオキサ
イドやポリビニールピロリドンなどを挙げることができ
る。これらの中でもケン化度が50〜92モル%程度、
重合度50〜4,000程度(好ましくは100〜1,
000)の低ケン化度ポリビニルアルコールや、アリル
アルコール、アリールスルホン酸、ビニルピロリドンな
どの変性ユニットにより変性された低ケン化度ポリビニ
ルアルコールが好適である。
【0017】上述した海島型のPVA繊維は、上記ポリ
ビニルアルコール系ポリマーと水溶性ポリマーとを9
8:2〜55:45程度の割合で溶媒に溶解させた紡糸
原液を乾式紡糸、乾湿式紡糸あるいは湿式紡糸などの紡
糸技術によって製造することができる。係る海島型PV
A繊維は市販されており、株式会社クラレから「クラロ
ンK−II」の商品名で入手することができる。このよ
うな水溶性繊維を用いることによって、水溶性に富む樹
脂構成であっても、糸の剛性を確保し得るため、溶解除
去と刺繍時の基布の変形防止とを同時に図ることができ
る。
ビニルアルコール系ポリマーと水溶性ポリマーとを9
8:2〜55:45程度の割合で溶媒に溶解させた紡糸
原液を乾式紡糸、乾湿式紡糸あるいは湿式紡糸などの紡
糸技術によって製造することができる。係る海島型PV
A繊維は市販されており、株式会社クラレから「クラロ
ンK−II」の商品名で入手することができる。このよ
うな水溶性繊維を用いることによって、水溶性に富む樹
脂構成であっても、糸の剛性を確保し得るため、溶解除
去と刺繍時の基布の変形防止とを同時に図ることができ
る。
【0018】本発明に係る基布として、立体刺繍を凹凸
に富む構成とするには基布に1.5mm以上の厚さを持
たせることが好ましく、その面密度は100g/m2以
上とするのが良い。尚、本明細書において、厚さ及び見
掛け密度の算出には前田式圧縮弾性試験機によって20
g/cm2の押圧下で求めた値を用いるものとする。
に富む構成とするには基布に1.5mm以上の厚さを持
たせることが好ましく、その面密度は100g/m2以
上とするのが良い。尚、本明細書において、厚さ及び見
掛け密度の算出には前田式圧縮弾性試験機によって20
g/cm2の押圧下で求めた値を用いるものとする。
【0019】また、本発明の実施に当たって、基布溶解
時の収縮を低減する目的で、当該基布を構成する不織布
の所定方向に渡る20%伸長時の引張強さのうち、最大
強さ/最小強さの割合を1以上1.4以下とするのが好
ましい。ここで云う「最大強さ」及び「最小強さ」を与える
所定方向とは、夫々、不織布の生産方向若しくは不織布
の幅方向のいずれかを表す。従って、生産方向が判別で
きない場合、直交する2方向で20%伸長時の引張強さ
を測定し、いずれか高い方を「最大強さ」、比較的低い引
張強さを「最小強さ」とすればよい。尚、以下の説明で
は、「20%伸長時の引張強さ」を、単に「20%モジュ
ラス」と称する場合が有る。
時の収縮を低減する目的で、当該基布を構成する不織布
の所定方向に渡る20%伸長時の引張強さのうち、最大
強さ/最小強さの割合を1以上1.4以下とするのが好
ましい。ここで云う「最大強さ」及び「最小強さ」を与える
所定方向とは、夫々、不織布の生産方向若しくは不織布
の幅方向のいずれかを表す。従って、生産方向が判別で
きない場合、直交する2方向で20%伸長時の引張強さ
を測定し、いずれか高い方を「最大強さ」、比較的低い引
張強さを「最小強さ」とすればよい。尚、以下の説明で
は、「20%伸長時の引張強さ」を、単に「20%モジュ
ラス」と称する場合が有る。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例につき説明する。本実
施例では、説明の理解を容易とするために特定条件を示
すが、本発明は、これら実施例にのみ限定されるもので
はなく、本発明の目的の範囲内で、任意好適な設計の変
更及び変形を行い得る。
施例では、説明の理解を容易とするために特定条件を示
すが、本発明は、これら実施例にのみ限定されるもので
はなく、本発明の目的の範囲内で、任意好適な設計の変
更及び変形を行い得る。
【0021】始めに、水溶性繊維の繊度の組合せを種々
に変えて基布を作製し、刺繍状態及び基布の溶解状態を
観察した結果につき説明する。この実施例では、低温で
溶解除去し得るポリビニルアルコール系の水溶性繊維と
して、前述の「クラロン K−II」のうち『WJ2』
(比較的細い繊度1.3d及び比較的太い繊度6d,繊
維長38mm,水中溶解温度5℃以下)を用い、カード
ウエブの調製後、ニードルパンチの針密度を種々に変
え、面密度200g/m2のサンプルを作製した。
に変えて基布を作製し、刺繍状態及び基布の溶解状態を
観察した結果につき説明する。この実施例では、低温で
溶解除去し得るポリビニルアルコール系の水溶性繊維と
して、前述の「クラロン K−II」のうち『WJ2』
(比較的細い繊度1.3d及び比較的太い繊度6d,繊
維長38mm,水中溶解温度5℃以下)を用い、カード
ウエブの調製後、ニードルパンチの針密度を種々に変
え、面密度200g/m2のサンプルを作製した。
【0022】次いで、これら基布サンプルと綿からなる
白色の生地とを重ねて直径180mmの丸枠で固定し、
4色のポリエステル刺繍糸(120d)とオルガン針(株)
製の刺繍針を用いて刺繍機「エキスパート850」(アイ
シン精機(株)製,商品名)により、精密な刺繍柄(鳥柄)
を形成した。
白色の生地とを重ねて直径180mmの丸枠で固定し、
4色のポリエステル刺繍糸(120d)とオルガン針(株)
製の刺繍針を用いて刺繍機「エキスパート850」(アイ
シン精機(株)製,商品名)により、精密な刺繍柄(鳥柄)
を形成した。
【0023】然る後、丸枠から刺繍された生地及び基布
を取り外し、50℃の温水中に5分間浸漬することによ
って基布のみを溶解除去処理し、泡がなくなるまで流水
で洗浄後、熱風乾燥した。評価に供した基布の構成、基
布の見掛け密度、溶解除去時の観察結果及び得られた刺
繍の形状につき、表1に示す。この表1では、基布の構
成として、比較的太い繊度の繊維重量と比較的細い繊度
の繊維重量との比を「太/細」により表してある。また、
基布の溶解状態として、上記の温度及び時間の条件で基
布が速やかに除去できた場合を○、基布の一部が膨潤し
た繊維の塊が見られた場合を×とした。さらに、刺繍形
状の評価においては、刺繍糸の盛り上がり部分の均一性
や精密柄の形状保持に優れると認められる場合を均一、
4色の刺繍糸同志の配置関係や精密柄の形状がずれてし
まったものを不均一とした。
を取り外し、50℃の温水中に5分間浸漬することによ
って基布のみを溶解除去処理し、泡がなくなるまで流水
で洗浄後、熱風乾燥した。評価に供した基布の構成、基
布の見掛け密度、溶解除去時の観察結果及び得られた刺
繍の形状につき、表1に示す。この表1では、基布の構
成として、比較的太い繊度の繊維重量と比較的細い繊度
の繊維重量との比を「太/細」により表してある。また、
基布の溶解状態として、上記の温度及び時間の条件で基
布が速やかに除去できた場合を○、基布の一部が膨潤し
た繊維の塊が見られた場合を×とした。さらに、刺繍形
状の評価においては、刺繍糸の盛り上がり部分の均一性
や精密柄の形状保持に優れると認められる場合を均一、
4色の刺繍糸同志の配置関係や精密柄の形状がずれてし
まったものを不均一とした。
【0024】
【表1】
【0025】この表からも理解できるように、2種類の
繊度で構成した基布の場合、本発明の構成を適用し、所
定の見掛け密度とした実施例1では、溶解除去並びに得
られた刺繍の形成状態共に良好な結果が得られた。これ
に対し、前述した好適な見掛け密度の範囲を外れた比較
例1、比較例2、比較例4、比較例5、比較例7並びに
比較例8では、溶解除去不良並びに刺繍形状の不均一の
いずれか一方若しくは双方を満足することが出来なかっ
た。また、比較例3及び比較例6からは、所定の密度範
囲を満足する場合であっても、異なる繊度を有する2種
類の繊維で構成されていないことにより、上記2つの効
果を同時に満足できないことが判った。
繊度で構成した基布の場合、本発明の構成を適用し、所
定の見掛け密度とした実施例1では、溶解除去並びに得
られた刺繍の形成状態共に良好な結果が得られた。これ
に対し、前述した好適な見掛け密度の範囲を外れた比較
例1、比較例2、比較例4、比較例5、比較例7並びに
比較例8では、溶解除去不良並びに刺繍形状の不均一の
いずれか一方若しくは双方を満足することが出来なかっ
た。また、比較例3及び比較例6からは、所定の密度範
囲を満足する場合であっても、異なる繊度を有する2種
類の繊維で構成されていないことにより、上記2つの効
果を同時に満足できないことが判った。
【0026】次に、本発明を適用した場合の引っ張り強
さの比を種々に変えて、刺繍柄の寸法精度を評価した結
果につき説明する。以下の実施例では、前述した実施例
1と同一の繊維構成でカード機により繊維ウエブを調製
し、この繊維ウエブを積層する際の角度を調整すること
によって種々の配向とした。次いで針密度250本/c
m2でニードルパンチを行うことにより、面密度200
g/m2、厚さ3mm(見掛け密度0.067g/cm3)
のニードルパンチフェルトを得た。
さの比を種々に変えて、刺繍柄の寸法精度を評価した結
果につき説明する。以下の実施例では、前述した実施例
1と同一の繊維構成でカード機により繊維ウエブを調製
し、この繊維ウエブを積層する際の角度を調整すること
によって種々の配向とした。次いで針密度250本/c
m2でニードルパンチを行うことにより、面密度200
g/m2、厚さ3mm(見掛け密度0.067g/cm3)
のニードルパンチフェルトを得た。
【0027】続いて、このような基布サンプルの生産方
向及び幅方向の夫々を長手方向とした20cm×5cm
の試料を裁断作製した。これら試料の20%モジュラス
を「不織布芯地試験法」(JIS L1085)に準じて引
張試験機(オリエンテック(株)製)によって、チャック間
距離100mm、引張速度200mm/分で測定し、最
大強さと最小強さとの比を求めた。
向及び幅方向の夫々を長手方向とした20cm×5cm
の試料を裁断作製した。これら試料の20%モジュラス
を「不織布芯地試験法」(JIS L1085)に準じて引
張試験機(オリエンテック(株)製)によって、チャック間
距離100mm、引張速度200mm/分で測定し、最
大強さと最小強さとの比を求めた。
【0028】また、評価試験として、前述と同様に精密
柄を刺繍し、前述と同一の溶解除去条件で基布を除去し
て刺繍の形成状態を観察した。
柄を刺繍し、前述と同一の溶解除去条件で基布を除去し
て刺繍の形成状態を観察した。
【0029】上述した最大強さと最小強さの比、及び得
られた刺繍柄の観察結果につき、表2に示す。尚、同表
1において、刺繍柄の形状が設計に応じた寸法及び形状
であり、しかも4色の刺繍糸の配置関係もずれなかった
場合を○、精密柄の寸法形状若しくは刺繍糸の配置関係
のいずれかにずれを生じた場合を×として表す。
られた刺繍柄の観察結果につき、表2に示す。尚、同表
1において、刺繍柄の形状が設計に応じた寸法及び形状
であり、しかも4色の刺繍糸の配置関係もずれなかった
場合を○、精密柄の寸法形状若しくは刺繍糸の配置関係
のいずれかにずれを生じた場合を×として表す。
【0030】
【表2】
【0031】この表2から理解できるように、最大強さ
と最小強さの比を1以上1.4以下とした実施例2〜実
施例5では、何れも設計に応じた精密柄を4色の刺繍糸
の配置関係にずれを生じることなく形成することがで
き、特に同比を1.20よりも等方性とした実施例2並
びに実施例3では優れた結果が得られた。しかし、当該
比を1.4よりも大きく採った場合には目的の柄を得る
ことは出来なかった。
と最小強さの比を1以上1.4以下とした実施例2〜実
施例5では、何れも設計に応じた精密柄を4色の刺繍糸
の配置関係にずれを生じることなく形成することがで
き、特に同比を1.20よりも等方性とした実施例2並
びに実施例3では優れた結果が得られた。しかし、当該
比を1.4よりも大きく採った場合には目的の柄を得る
ことは出来なかった。
【0032】
【発明の効果】上述した説明から明らかなように、本発
明に係る刺繍用基布の構成とすることにより、従来、優
れた刺繍を得るために必要であった刺繍糸や生地に関す
る制限を緩和すると共に、基布の溶解速度が速く、しか
も設計に応じた刺繍形状を得ることが出来る。
明に係る刺繍用基布の構成とすることにより、従来、優
れた刺繍を得るために必要であった刺繍糸や生地に関す
る制限を緩和すると共に、基布の溶解速度が速く、しか
も設計に応じた刺繍形状を得ることが出来る。
Claims (3)
- 【請求項1】 水中溶解温度が10℃以下の水溶性繊維
からなる不織布であって、該不織布が比較的太い繊度の
前記水溶性繊維と比較的細い繊度の前記水溶性繊維とで
構成され、かつ見掛け密度を0.04g/cm3以上
0.1g/cm3以下としたことを特徴とする刺繍用基
布。 - 【請求項2】 前記不織布の表面内の所定方向に渡る2
0%伸長時の引張強さのうち、最大強さ/最小強さの割
合が1以上1.4以下であることを特徴とする請求項1
に記載の刺繍用基布。 - 【請求項3】 前記不織布がニードルパンチフェルトで
あることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれ
かに記載の刺繍用基布。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10401398A JPH11286859A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 刺繍用基布 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10401398A JPH11286859A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 刺繍用基布 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11286859A true JPH11286859A (ja) | 1999-10-19 |
Family
ID=14369393
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10401398A Pending JPH11286859A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 刺繍用基布 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11286859A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1170413A2 (de) * | 2000-07-05 | 2002-01-09 | Firma Carl Freudenberg | Wasserlösliche Stickerei-Fixiereinlage |
TR200101685A1 (tr) * | 2001-06-21 | 2002-11-21 | Carl Freudenberg | Suda eriyen nakış sabitleme dolgusu. |
WO2008044721A1 (fr) | 2006-10-13 | 2008-04-17 | Kuraray Co., Ltd. | Tissu de fond pour broderie et son procédé de fabrication |
JP2021088778A (ja) * | 2019-12-02 | 2021-06-10 | 有限会社ナカムラマーク | 刺繍体の製造方法 |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP10401398A patent/JPH11286859A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1170413A2 (de) * | 2000-07-05 | 2002-01-09 | Firma Carl Freudenberg | Wasserlösliche Stickerei-Fixiereinlage |
DE10032769A1 (de) * | 2000-07-05 | 2002-01-24 | Freudenberg Carl Fa | Wasserlösliche Stickerei-Fixiereinlage |
EP1170413A3 (de) * | 2000-07-05 | 2002-09-04 | Carl Freudenberg KG | Wasserlösliche Stickerei-Fixiereinlage |
DE10032769C2 (de) * | 2000-07-05 | 2003-12-04 | Freudenberg Carl Kg | Wasserlösliche Stickerei-Fixiereinlage und Verfahren zu desen Herstellung |
TR200101685A1 (tr) * | 2001-06-21 | 2002-11-21 | Carl Freudenberg | Suda eriyen nakış sabitleme dolgusu. |
WO2008044721A1 (fr) | 2006-10-13 | 2008-04-17 | Kuraray Co., Ltd. | Tissu de fond pour broderie et son procédé de fabrication |
JP2021088778A (ja) * | 2019-12-02 | 2021-06-10 | 有限会社ナカムラマーク | 刺繍体の製造方法 |
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