JP3662735B2 - ケミカルレース用基布 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はケミカルレース又はチュールレースに用いることのできる基布に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ケミカルレース用の基布として、熱水可溶性ポリビニルアルコール繊維からなる繊維積層物を水溶性接着剤で接着した不織布(特公昭42−15839号公報)、水溶性ポリビニルアルコール系繊維をアリル変性ポリビニルアルコール系繊維により接着した不織布(特公昭54−29638号公報)、或いは熱水可溶性ポリビニルアルコール繊維からなる流体流絡合シートを水溶性樹脂で固定した不織布(特公平1−18182号公報)などが知られている。
【0003】
しかしながら、これらのケミカルレース用基布は除去するための水溶液の温度が高くなければ除去することが困難なため、ケミカルレース用基布を除去する際に刺繍糸の色が褪せるという問題が生じることがあった(特に、先染糸、金糸、銀糸、絹などを用いた場合)。また、水溶液の温度が高いばかりでなく、ケミカルレース用基布を除去するために長時間を要するため、ケミカルレース用基布の収縮が生じ、その結果として刺繍柄のずれを生じやすいという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、低温で溶解除去できるため刺繍糸の色が褪せず、溶解除去速度が速いため刺繍柄のずれの生じにくいケミカルレース用基布を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のケミカルレース用基布(以下、単に「基布」という)は、水中溶解温度が10℃以下で、熱融着性のポリビニルアルコール系繊維(PVA系繊維)を含み、このPVA系繊維によって部分的に融着した不織布からなり、1つの融着面積が0.06〜0.7mm2であり、融着総面積が不織布表面の5〜35%である。このように本発明においては、水中溶解温度が10℃以下のPVA系繊維を含んでおり、このようなPVA系繊維を含む基布は低温(20〜60℃程度)で溶解除去できるものである。したがって刺繍糸の色が褪せることはない。
また、この基布を低温の水溶液に浸すと、PVA系繊維が溶解して不織布構造を破壊しやすいため、個々の繊維は低温の水溶液との接触が容易になる。そのため溶解が促進され、基布全体の溶解除去速度が速くなるため、刺繍柄のずれが生じにくい。また、不織布構造が破壊されて基布の収縮自体が生じにくいため、より一層刺繍柄のずれが生じにくい。
更に、融着部1つの融着面積が0.06〜0.7mm2であり、融着総面積が不織布表面の5〜35%であるため、基布としての強度に優れ、刺繍針のすべりや刺繍の柄飛びなどを生じることなく、良好に刺繍することのできる基布である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用できるPVA系繊維は低温の水溶液に浸した際に、容易に溶解して不織布構造を破壊することができるように、水中溶解温度が10℃以下である必要があり、より好ましくは5℃以下である。また、PVA系繊維は部分的に融着して不織布形状を保つことができるように、熱融着性である必要がある。なお、本発明におけるPVA系繊維の水中溶解温度は、PVA系繊維に2mg/dの荷重をかけた状態で水中に浸漬し、1分間に1℃の昇温速度で水を温めていき、PVA系繊維が破断した時の温度をいう。
【0007】
このようなPVA系繊維としては、例えば、(1)低重合度及び/又は低ケン化度のポリビニルアルコール繊維や、(2)融点が200〜230℃程度(好適には210〜225℃)のポリビニルアルコール系ポリマーからなる海成分と、海成分の融点よりも20℃以上(好ましくは25℃以上)低い融点又は融着温度を有する水溶性ポリマーからなる島成分とからなる、海島型のPVA系繊維を使用できる。これらの中でも強度的により優れる海島型PVA系繊維を好適に使用できる。なお、この海島型PVA系繊維は圧力によって海成分が破壊されて島成分が繊維表面に露出し、この露出した島成分により熱融着することができる。また、これらPVA系繊維は生分解性であるため基布を溶解除去した後の処理が容易である。
【0008】
この海成分を構成するポリビニルアルコール系ポリマーとしては、重合度500〜24,000(好適には1,500〜4,000)、ケン化度90〜99モル%(93〜98.5モル%)とすることにより、上記のような融点のものとすることができる。なお、このポリビニルアルコール系ポリマーにはエチレン、アリルアルコール、イタコン酸、アクリル酸、無水マレイン酸とその開環物、アリールスルホン酸、ピバリン酸のような炭素数が4以上の脂肪酸のビニルエステル、ビニルピロリドン及び上記のイオン性基の一部又は全部全量中和物などの変性ユニットにより変性したものも含まれる。
【0009】
この島成分を構成する水溶性ポリマーとしては、低ケン化度ポリビニルアルコール、メチルセルロースやヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体、キトサンなどの天然ポリマー、ポリエチレンオキサイドやポリビニルピロリドンなどを例示することができる。これらの中でもケン化度が50〜92モル%程度、重合度50〜4,000程度(好ましくは100〜1,000)の低ケン化度ポリビニルアルコールや、アリルアルコール、アリールスルホン酸、ビニルピロリドンなどの変性ユニットにより変性された低ケン化度ポリビニルアルコールは、熱接着性などに優れているため好適に使用できる。
【0010】
なお、前記海島型PVA系繊維の海成分と島成分との重量比は特に限定するものではないが、98:2〜55:45であるのが好ましい。海成分がこれよりも多いと島成分が少なくなり過ぎて十分な融着力を得ることが困難になる傾向があり、逆に海成分がこれよりも少ないと十分な繊維強度を得ることが困難になる傾向があるためで、より好ましくは95:5〜60:40であり、最も好ましくは70:30〜92:8である。
【0011】
また、前記海島型PVA系繊維は島成分が繊維表面に露出することにより熱融着するため、島成分は少なくとも繊維表面近傍に存在しているのが好ましい。しかしながら、島成分が繊維表面に露出していると常温下における湿度によって溶解し、接着してしまう傾向があるため、繊維表面に露出していないのが好ましい。具体的には、繊維表面から0.01〜2μmの範囲内に島成分の一部又は全部が存在しているのが好ましい。なお、島成分の数は特に限定するものではないが、50個以上であるのが好ましく、200個以上であるのがより好ましい。また、島成分の形状も特に限定されるものではないし、繊維の長さ方向に対して連続していても不連続であっても良い。
【0012】
更に、PVA系繊維の引張り強さ(JIS L1015、化学繊維ステープル試験法による)は基布が適度な強度を有するように、4g/d以上であるのが好ましい。また、PVA系繊維の線密度は80μg/m〜230μg/mであるのが好ましい。PVA系繊維の線密度が80μg/m未満であると、十分な強度を有する基布を形成することが困難になる傾向があり、また、刺繍針によるPVA系繊維の切断が生じやすい傾向があり、230μg/mを越えると、単位面積あたりの繊維本数が少ないため刺繍時に基布の目開きが生じやすく、その結果、針飛びや柄抜け現象が生じやすい傾向があるためで、より好ましくは110μg/m〜165μg/mである。
【0013】
なお、海島型PVA系繊維は上述のようなポリビニルアルコール系ポリマーと水溶性ポリマーとを98:2〜55:45程度の割合で溶媒に溶解させた紡糸原液を乾式紡糸、乾湿式紡糸、或いは湿式紡糸することにより得ることができる。また、このような海島型PVA系繊維は市販されているため入手可能である。
【0014】
このようなPVA系繊維は1種類である必要はなく、水中溶解温度及び/又は熱融着温度の点で異なるPVA系繊維を2種類以上使用しても良い。
【0015】
本発明の基布は上述のようなPVA系繊維のみから構成されていても良いが、PVA系繊維以外に水中溶解温度が10℃を越え60℃以下の水溶性繊維を含んでいても良い。このような水溶性繊維を含ませることによって、PVA系繊維の物性劣化(特に湿度による)による基布への影響を最小限に抑えることができる。なお、水溶性繊維の水中溶解温度が10℃以下であると、基布の物性低下を抑制できない傾向があり、60℃を越えると低温で基布を溶解除去しにくい傾向があるためで、より好ましくは水中溶解温度が30〜55℃の水溶性繊維を使用する。
【0016】
なお、この水溶性繊維を混合することによって、基布の溶解性が悪くなる傾向となるが、基布を低温の水溶液に浸した場合、まず最初にPVA系繊維が溶解して不織布構造を破壊するため、水溶性繊維は低温の水溶液との接触が容易になり、水溶性繊維の溶解が促進されるため、PVA系繊維100%の場合よりもやや悪い程度に抑えることができる。
【0017】
この水溶性繊維としては、例えば、低重合度及び/又は低ケン化度のポリビニルアルコール系繊維、前述の海島型PVA系繊維(以下、「低温海島型PVA系繊維」という)と同様の海島型PVA系繊維(以下、「高温海島型PVA系繊維」という)などを使用することができる。なお、これら水溶性繊維も生分解性であるため溶解除去後の処理が容易である。
【0018】
この高温海島型PVA系繊維の海成分を構成するポリビニルアルコール系ポリマーの重合度、ケン化度、変性ユニットの種類、或いは変性ユニットの量、及び島成分を構成する水溶性ポリマーの種類や、島成分が低ケン化度ポリビニルアルコールからなる場合には、ケン化度、重合度、変性ユニットの種類、或いは変性ユニットの量を適宜選択し、水中溶解温度が10℃を超え60℃以下のものを使用する。なお、これら以外、例えば、海成分と島成分との重量比、島成分の配置状態、島成分の数、島成分の形状などは、低温海島型PVA系繊維と同様であることができる。
【0019】
この高温海島型PVA系繊維は低温海島型PVA系繊維と同様に製造することができるし、市販されているため入手可能である。
【0020】
本発明の水溶性繊維の引張り強さ(JIS L1015、化学繊維ステープル試験法による)は基布が適度な強度を有することができるように、4g/d以上であるのが好ましい。また、水溶性繊維の線密度も80μg/m〜230μg/mであるのが好ましい。水溶性繊維の線密度が80μg/m未満であると、十分な強度を有する基布を形成することが困難になる傾向があり、また、刺繍針による水溶性繊維の切断が生じやすい傾向があり、230μg/mを越えると、単位面積あたりの繊維本数が少ないため刺繍時に基布の目開きが生じやすく、その結果、針飛びや柄抜け現象が生じやすい傾向があるためで、より好ましくは110μg/m〜165μg/mである。
【0021】
また、水溶性繊維は1種類である必要はなく、水中溶解温度の異なる水溶性繊維を2種類以上使用しても良い。
【0022】
このようにPVA系繊維と水溶性繊維とを含む場合、PVA系繊維は熱融着により基布に強度を付与できるように、また低温の水溶液に浸した際に不織布構造を速やかに破壊できるように、30mass%以上含んでいるのが好ましく、水溶性繊維による基布の物性低下抑制作用を妨げないように、80mass%以下であるのが好ましく、35〜70mass%であるのがより好ましい。また、水溶性繊維は基布の物性低下を抑制できるように、20mass%以上含んでいるのが好ましく、PVA系繊維による不織布構造の破壊作用を妨げないように、70mass%以下であるのが好ましく、30〜65mass%であるのがより好ましい。
【0023】
本発明の基布はPVA系繊維が部分的に融着していることによって形態を維持した不織布からなる。このように基布の形態が不織布からなるため、低温の水溶液に浸した際にPVA系繊維が溶解して、各繊維にばらける。そのため繊維(PVA系繊維や水溶性繊維)が水溶液と接触しやすくなり、結果として溶解速度を速くすることができる。
【0024】
本発明の基布における融着状態は部分的であるため、より各繊維にばらけやすい。また、熱と圧力によって架橋反応が生じて低温水溶液に対する溶解性が悪くなる傾向があるが、部分的に融着させることによって溶解性の低下を抑制できるというメリットもある。
【0025】
この部分的に融着している状態としては、1つの融着面積が0.06〜0.7mm2であり、融着総面積が不織布表面の5〜35%である必要がある。1つの融着面積が0.06mm2未満であると、十分な融着力を得ることができない場合があり、0.7mm2を越えると、刺繍針の滑りが生じたり、打ち込み針が集中した場合に目開きが起こり、刺繍の抜けが発生して柄飛びの不良を招く傾向があるためで、より好ましくは0.09〜0.25mm2である。
【0026】
また、融着総面積が不織布表面の5%未満であると、基布に必要とされる強度を得ることができない傾向があり、35%を越えると、(1)基布の溶解温度が高くなる、(2)基布が溶解する際に収縮が生じやすくなる、(3)引き裂き強度が低下する、(4)風合が硬くなる、などの問題点が生じる傾向があり、より好ましくは6〜25%である。なお、ここでいう「不織布表面」とは不織布表面が平滑であると仮定した表面をいう。
【0027】
この融着部はどのように配列していても良い。例えば、市松模様状に配列していても、千鳥状に配列していても、或いはランダムに配列していても良い。また、融着部の形状も特に限定されるものではなく、例えば、円形、長円形、楕円形、多角形(例えば、三角形、正方形、長方形、平行四辺形、菱形、五角形、六角形など)であることができる。
【0028】
なお、水溶性繊維として水溶性繊維を含む場合、この水溶性繊維の熱融着性を利用して、この水溶性繊維も融着しているのが好ましい。このようにすることにより、モジュラス強度などの優れる基布とすることができる。
【0029】
本発明の基布(つまり不織布)の面密度は35〜70g/m2であるのが好ましい。面密度が35g/m2未満であると、基布として必要な強度を得ることができない傾向があり、70g/m2を越えると、厚さの厚い基布となるため基布を溶解除去した際に刺繍した糸が弛む傾向があったり、基布の見掛密度が高くなるため刺繍針の抵抗が高くなり針折れを生じやすい傾向があるためで、40〜55g/m2であるのがより好ましい。
【0030】
なお、本発明の基布の見掛密度は0.07〜0.25g/cm3であるのが好ましい。見掛密度が0.07g/cm3未満であると、(1)基布に必要な強度を得ることができない、(2)基布を溶解除去した際に刺繍した糸が弛む傾向がある、(3)針飛びや柄抜けが生じやすい傾向がある、などの問題が生じやすいためで、0.25g/cm3を越えると、刺繍針の抵抗が高いため針折れを生じやすい傾向があったり、針の抵抗で基布の伸びが生じる傾向があるためで、より好ましくは0.09〜0.18g/cm3である。なお、見掛密度は面密度を非融着部の厚さで除した値をいう。
【0031】
また、本発明の基布(不織布)を構成する繊維の平均線密度は80μg/m〜230μg/mであるのが好ましい。平均線密度が80μg/m未満であると、十分な強度を有する基布を形成することができなかったり、刺繍針による繊維の切断が生じやすい傾向があり、230μg/mを越えると、単位面積あたりの繊維本数が少ないため刺繍時に基布の目開きが生じやすく、その結果、針飛びや柄抜け現象が生じやすい傾向があるためで、より好ましくは110μg/m〜165μg/mである。なお、平均線密度は基布から無作為に選んだ繊維100本の線密度の平均値をいう。
【0032】
更に、本発明の基布の10%モジュラス強度は刺繍作業に支障をきたさないように、10N/50mm幅以上であるのが好ましく、15N/50mm幅以上であるのがより好ましい。この10%モジュラス強度は引張試験機((株)オリエンテック製、UCT−100)のチャック間(100mm)に固定し、引張速度100mm/分で測定した時の値をいう。
【0033】
このような本発明の基布は例えば次のようにして製造することができる。
【0034】
まず、PVA系繊維(好適には低温海島型PVA系繊維)を用意する。なお、湿度による影響を抑える場合には水溶性繊維も用意する。次いで、この繊維を乾式法(例えば、エアレイ法、カード法)又は湿式法により繊維ウエブを形成する。これらの中でも乾式法により繊維ウエブを形成する場合、比較的繊維長の長い(20〜110mm程度)繊維を使用することになるため、繊維同士の絡みが強く、より強度的に優れる基布を製造することができる。なお、水溶性繊維を混合する場合には、PVA系繊維と水溶性繊維との質量比を30:70〜80:20とするのが好ましい。また、繊維配合、繊維の種類、繊維ウエブの製造方法などの点で異なる繊維ウエブを2枚以上積層しても良い。
【0035】
次いで、この繊維ウエブを部分的に加熱及び加圧することによって、少なくともPVA系繊維を融着させて本発明の基布(不織布)を製造することができる。この加熱と加圧は同時に行っても、加熱した後に加圧しても良い。この加熱及び加圧条件は装置などによって異なるため特に限定するものではないが、一般的に、前者の加熱と加圧とを同時に行う場合、例えば、温度130〜210℃、線圧力490〜1,500N/cmで実施することができ、後者の加熱した後に加圧する場合、例えば、温度150〜230℃で加熱した後、線圧力400〜1,000N/cmで加圧して実施することができる。
【0036】
また、部分的に融着するためには、凸部と凹部とを有するエンボスロールを使用すれば良い。なお、このエンボスロールの凸部が基布の融着部を形成することになるため、凸部1つの面積が0.06〜0.7mm2(より好ましくは0.09〜0.25mm2)であり、凸部総面積が凸部総面積と凹部総面積の和の5〜35%(より好ましくは6〜25%)であるのが好ましい。また、凸部は市松模様状に配列していても、千鳥状に配列していても、或いはランダムに配列していても良く、どのように配列していても良い。更に、凸部の形状も特に限定されるものではなく、例えば、円形、長円形、楕円形、多角形(例えば、三角形、正方形、長方形、平行四辺形、菱形、五角形、六角形など)であることができる。
【0037】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
【実施例】
(実施例1〜3、比較例1〜2)
島成分が繊維表面近傍にも存在(繊維表面に露出していない)する海島構造を有し、水中溶解温度が5℃未満で、熱融着性(熱圧着温度:110℃以上)の低温海島型PVA系繊維((株)クラレ製、登録商標クラロンK−II、WJ2、引張り強さ5g/d、線密度154μg/m、繊維長38mm)を用意した。次いで、この低温海島型PVA系繊維100%をカード機により開繊して繊維ウエブを形成した。
【0039】
次いで、この繊維ウエブを185℃に加熱した各種エンボスロールとスチールロールとの間(線圧735N/cm)を通過させることにより部分的に融着させ、面密度45g/m2の各種基布を製造した。なお、基布の各種物性は表1に示す通りであった。
【0040】
【表1】
【0041】
(実施例4)
島成分が繊維表面近傍にも存在(繊維表面に露出していない)する海島構造を有し、水中溶解温度が5℃未満で、熱融着性(熱圧着温度:150℃以上)の低温海島型PVA系繊維((株)クラレ製、登録商標クラロンK−II、WJ5、引張り強さ5g/d、線密度110μg/m、繊維長38mm)を用意した。次いで、この低温海島型PVA系繊維100%をカード機により開繊して繊維ウエブを形成した。
【0042】
次いで、この繊維ウエブを195℃に加熱したエンボスロールとスチールロールとの間(線圧735N/cm)を通過させることにより部分的に融着させ、面密度40g/m2の基布を製造した。なお、基布の各種物性は表2に示す通りであった。
【0043】
【表2】
【0044】
(実施例5)
線密度が152μg/mの低温海島型PVA系繊維を使用したこと以外は実施例4と全く同様にして、面密度40g/m2の基布を製造した。なお、基布の各種物性は表2に示す通りであった。
【0045】
(実施例6)
ポリビニルアルコール成分のみからなり、水中溶解温度が5℃未満で、熱融着性(熱圧着温度:130℃以上)のPVA系繊維((株)クラレ製、登録商標クラロンK−II、WN2、引張り強さ5g/d、線密度159μg/m、繊維長38mm)を用意した。次いで、このPVA系繊維100%をカード機により開繊して繊維ウエブを形成した。
【0046】
次いで、この繊維ウエブを185℃に加熱したエンボスロールとスチールロールとの間(線圧735N/cm)を通過させることにより部分的に融着させ、面密度40g/m2の基布を製造した。なお、基布の各種物性は表2に示す通りであった。
【0047】
(実施例7)
実施例1と同じ低温海島型PVA系繊維(以下、WJ2型PVA系繊維という)と、実施例5と同じ低温海島型PVA系繊維(以下、WJ5型PVA系繊維という)とを用意した。次いで、WJ2型PVA系繊維とWJ5型PVA系繊維とを6:4の質量比で混綿した後、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した。
【0048】
次いで、この繊維ウエブを190℃に加熱したエンボスロールとスチールロールとの間(線圧833N/cm)を通過させることにより部分的に融着させ、面密度45g/m2の基布を製造した。なお、基布の各種物性は表3に示す通りであった。
【0049】
【表3】
【0050】
(実施例8)
島成分が繊維表面近傍にも存在(繊維表面に露出していない)する海島構造を有し、水中溶解温度が5℃未満で、熱融着性(熱圧着温度:180℃以上)の低温海島型PVA系繊維((株)クラレ製、登録商標クラロンK−II、WJ7、引張り強さ6g/d、線密度159μg/m、繊維長38mm、以下、WJ7型PVA系繊維という)と、WJ2型PVA系繊維とを用意した。次いで、WJ2型PVA系繊維とWJ7型PVA系繊維とを6:4の質量比で混綿した後、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した。
【0051】
次いで、この繊維ウエブを195℃に加熱した各種エンボスロールとスチールロールとの間(線圧力833N/cm)を通過させることにより部分的に融着させ、面密度45g/m2の基布を製造した。なお、基布の各種物性は表3に示す通りであった。
【0052】
(実施例9〜10、比較例3〜4)
ポリビニルアルコール成分のみからなり、水中溶解温度が50℃で、熱融着性(熱圧着温度:200℃以上)のPVA系繊維((株)クラレ製、登録商標クラロンK−II、WN5、引張り強さ6g/d、線密度150μg/m、繊維長38mm、以下、WN5型PVA系繊維という)と、WJ2型PVA系繊維とを用意した。次いで、WJ2型PVA系繊維とWN5型PVA系繊維とを表4に示すような質量比で混綿した後、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した。
【0053】
次いで、この繊維ウエブを195℃に加熱した各種エンボスロールとスチールロールとの間(比較例3の線圧力のみ686N/cm、他の線圧力は833N/cm)を通過させることにより部分的に融着させ、面密度45g/m2の基布を製造した。なお、基布の各種物性は表4に示す通りであった。
【0054】
【表4】
【0055】
(実施例11)
WJ5型PVA系繊維とWN5型PVA系繊維とを用意した。次いで、WJ5型PVA系繊維とWN5型PVA系繊維とを4:6の質量比で混綿した後、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した。
【0056】
次いで、この繊維ウエブを197℃に加熱したエンボスロールとスチールロールとの間(線圧力882N/cm)を通過させることにより部分的に融着させ、面密度40g/m2の基布を製造した。なお、基布の各種物性は表4に示す通りであった。
【0057】
(比較例5)
WN5型PVA系繊維を用意し、WN5型PVA系繊維100%をカード機により開繊して繊維ウエブを形成した。次いで、この繊維ウエブを205℃に加熱したエンボスロールとスチールロールとの間(線圧力882N/cm)を通過させることにより部分的に融着させ、面密度45g/m2の基布を製造した。なお、基布の各種物性は表4に示す通りであった。
【0058】
以上のように、本発明の基布は溶解温度が低く、しかも溶解速度の速いものである。また、1つの融着面積を0.06〜0.7mm2、かつ融着総面積を不織布表面の5〜35%とすることにより刺繍性にも優れていることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明のケミカルレース用基布は、水中溶解温度が10℃以下で、熱融着性のポリビニルアルコール系繊維(PVA系繊維)を含み、このPVA系繊維によって部分的に融着した不織布からなり、1つの融着面積が0.06〜0.7mm2であり、融着総面積が不織布表面の5〜35%である。このように本発明においては、水中溶解温度が10℃以下のPVA系繊維を含んでおり、このようなPVA系繊維を含む基布は低温(20〜60℃程度)で溶解除去できるものである。したがって刺繍糸の色が褪せることはない。
また、この基布を低温の水溶液に浸すと、PVA系繊維が溶解して不織布構造を破壊しやすいため、個々の繊維は低温の水溶液との接触が容易になる。そのため溶解が促進され、基布全体の溶解除去速度が速くなるため、刺繍柄のずれが生じにくい。また、不織布構造が破壊されて基布の収縮自体が生じにくいため、より一層刺繍柄のずれが生じにくい。
更に、融着部1つの融着面積が0.06〜0.7mm2であり、融着総面積が不織布表面の5〜35%であるため、基布としての強度に優れ、刺繍針のすべりや刺繍の柄飛びなどを生じることなく、良好に刺繍することのできる基布である。
Claims (5)
- 水中溶解温度が10℃以下で、熱融着性のポリビニルアルコール系繊維(以下、「PVA系繊維」という)を含み、このPVA系繊維によって部分的に融着した不織布からなり、1つの融着面積が0.06〜0.7mm2であり、融着総面積が不織布表面の5〜35%であることを特徴とするケミカルレース用基布。
- 不織布を構成する繊維の平均線密度が80〜230μg/mであることを特徴とする、請求項1記載のケミカルレース用基布。
- 水中溶解温度が10℃を越え60℃以下の水溶性繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のケミカルレース用基布。
- 水溶性繊維も熱融着性であり、この水溶性繊維も融着していることを特徴とする、請求項3記載のケミカルレース用基布。
- PVA系繊維を30〜80mass%含み、水溶性繊維を20〜70mass%含んでいることを特徴とする、請求項3又は請求項4記載のケミカルレース用基布。
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- 1998-01-27 JP JP2920798A patent/JP3662735B2/ja not_active Expired - Lifetime
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