JPH11279596A - 漂白助剤およびこれを含む漂白剤組成物 - Google Patents

漂白助剤およびこれを含む漂白剤組成物

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JPH11279596A
JPH11279596A JP10084362A JP8436298A JPH11279596A JP H11279596 A JPH11279596 A JP H11279596A JP 10084362 A JP10084362 A JP 10084362A JP 8436298 A JP8436298 A JP 8436298A JP H11279596 A JPH11279596 A JP H11279596A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性および漂白性等の性能に優れた漂
白剤組成物を提供する。 【解決手段】 モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量
体を含むモノエチレン性不飽和単量体成分をポリエーテ
ル化合物にグラフト重合してなる水溶性グラフト重合体
を漂白剤の漂白助剤として用いる。上記漂白剤として
は、過酸化物系漂白剤が好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、漂白助剤およびこ
れを含む漂白剤組成物に関するものであり、より詳しく
は、繊維、パルプ等の漂白に用いられる漂白剤組成物お
よび漂白助剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、セルロース系繊維等の繊維は、精
錬工程後においてもなお繊維中に天然色素が存在するた
め、この天然色素や二次的に付着した着色物を除去する
ために漂白が行なわれる。このように繊維の処理に用い
られる漂白剤としては、一般的に、過酸化物系の薬剤や
含塩素系の薬剤等が知られている。しかしながら、含塩
素系漂白剤は高価且つ漂白装置を激しく腐食させるとい
う欠点があるため、近年では過酸化物系漂白剤が主流と
なっている。また、一般家庭における衣類等の漂白剤と
しても安全性の面から塩素系に代って過酸化物系漂白剤
を主成分とする漂白剤組成物が普及し始めている。
【0003】一方、機械パルプ(MP)、化学的機械パ
ルプ(CGP)等の木材パルプの漂白には、過酸化物系
の薬剤を漂白剤として用いる酸化漂白法や、ナトリウム
ハイドロサルファイト、ハイドロサルファイト亜鉛等を
漂白剤として用いる還元漂白法が知られている。しかし
ながら、還元漂白法に用いられる漂白剤は、比較的安価
ではあるが、漂白性が充分でなく、しかも漂白可能なパ
ルプが低白色度パルプに限定されることから、近年、還
元漂白法は減少傾向にあり、過酸化物系の薬剤を用いた
酸化漂白法が普及し始めている。また、脱墨パルプ(D
IP)は近年大幅な増加を示しており、該漂白法として
は主として過酸化水素を漂白剤として用いる酸化漂白法
が採用されている。
【0004】その他、ソーダパルプ(AP)やクラフト
パルプ(KP)等の化学パルプの漂白には、塩素系酸化
漂白剤や含イオウ系還元漂白剤等を組み合わせたいわゆ
る多段漂白法が採用されているが、塩素系酸化漂白剤は
残留塩素の増加や温度の上昇により、前述の繊維の漂白
の場合と同様に、漂白装置を激しく腐食させたり、ダイ
オキシンが発生するといった問題がある。そこで、これ
ら塩素系漂白剤の欠点を解消するため、近年、化学パル
プの漂白においても、過酸化物系漂白剤の使用が拡大し
てきている。
【0005】しかしながら、過酸化物、例えば過酸化水
素は、それ単独で用いても漂白効果が低いという問題点
を有している。このため、過酸化水素を漂白剤として用
いた漂白は、主に、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を
用いて高pH下で行なわれる。
【0006】過酸化水素は、過酸化物のなかでも工業的
に最も安価な活性酸素源であり、アルカリ域で、下式
【0007】
【化1】
【0008】の如く、漂白効果を示すパーオキシヒドロ
キシイオンを生成する。
【0009】しかしながら、水中あるいは被漂白物中に
鉄イオン、銅イオン、およびマンガンイオン等の各種多
価金属イオンが存在すると、これら多価金属イオンの触
媒作用により、パーオキシヒドロキシイオンを生成する
上記反応は起こらず、下式
【0010】
【化2】
【0011】の如く、過酸化水素が無駄に分解される。
【0012】そこで、これら過酸化物系漂白剤の無駄な
分解を抑制するために、通常、漂白助剤が使用される。
該漂白助剤としては安価なケイ酸ナトリウム等のケイ酸
系漂白助剤が多用されている。
【0013】ところが、ケイ酸系漂白助剤は、過酸化物
系漂白剤の無駄な分解を抑制する機能が充分でないた
め、例えば漂白後の繊維上にレザーカットマーク(カミ
ソリで切ったような傷)あるいはピンホールが発生した
り、ケイ酸系漂白助剤を用いた場合のケイ酸や重合ケイ
酸が多金属イオン等と結合して、いわゆる不溶性塩(ス
ケール)を生じ、漂白工程中の被漂白物および装置上に
沈着するという問題点を有している。
【0014】そこで、ケイ酸系漂白助剤が有する上記問
題点を克服するため、2つの方法が提案されている。1
つはケイ酸系漂白助剤代替物を用いる方法であり、もう
1つの方法はケイ酸系漂白助剤とその他の漂白助剤とを
併用することによりケイ酸塩の補完を図る方法である。
【0015】上記ケイ酸系漂白助剤の代替物としては、
例えば、亜硫酸塩やポリα−ヒドロキシアクリル酸ナト
リウムが提案されている。そのうち、亜硫酸塩は、特
に、木材パルプ用の漂白助剤として用いられている。
【0016】また、ケイ酸系漂白助剤と併用される漂白
助剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレ
ントリアミンペンタ酢酸、ヒドロキシルエチレンジアミ
ントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸等のアミノカルボン酸系
や、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸、ピロリン酸等
の縮合リン酸系の漂白助剤が提案されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ケ
イ酸系漂白助剤の代替物のうち、ポリα−ヒドロキシア
クリル酸ナトリウムは極めて高価であり、ケイ酸系薬剤
の代替物と成り得ていないのが実情である。一方、亜硫
酸塩は、安価ではあるが、木材中の多価金属や他の漂白
助剤として添加されるアルカリ土類金属化合物やアルミ
ニウム化合物等と結合して不溶性塩を生成するため、例
えばリファイナープレート上に目詰まりの部分ができる
等、スケールトラブルを起こし易いという問題点を有し
ている。
【0018】また、ケイ酸系漂白助剤と併用される漂白
助剤のうち、アミノカルボン酸系の漂白助剤は、スケー
ルに対する乳化および分散力が極めて弱いため、多量の
添加量を必要とする。一方、縮合リン酸系の漂白助剤
は、排水として河川等を通じて海に流出して赤潮等の原
因物質となる。さらに、漂白工程における高温・高アル
カリ条件下ではリン酸へと加水分解され、その効果が十
分に発揮し得ないばかりか、加水分解により生成したリ
ン酸が各種多価金属イオンと結合すればスケールを助長
する原因物質となる。
【0019】そして、このようにスケールが多量に生じ
る場合、被漂白物が繊維であれば、スケールが繊維上に
沈着して繊維の白色度が向上せず、漂白性に劣ると共
に、風合も粗硬化して縫製性に問題を生じる。
【0020】このため、上記アミノカルボン酸系漂白助
剤および縮合リン酸系漂白助剤が有する問題点を解決す
べく、繊維用の漂白助剤として、(メタ)アクリル酸、
マレイン酸等の不飽和カルボン酸系単量体の1種または
2種以上を用いる(共)重合体やオレフィンと不飽和ジ
カルボン酸系単量体との共重合体等が提案されているは
いるが、これらの(共)重合体は、マンガンイオン、鉄
イオン、銅イオン等に対するキレート能が弱いため、過
酸化水素が無駄に分解され、被漂白物が充分に漂白され
ない。しかも、その(共)重合体自体が前記の多価金属
イオンとスケールを生成しやすく、抜本的な解決には至
っていないのが現状である。
【0021】また、木材パルプの漂白助剤としては、ポ
リアクリル酸ナトリウム、ポリマレイン酸ナトリウム等
のカルボン酸系重合体が提案されている。しかしなが
ら、これらカルボン酸系重合体も十分な漂白性能を有す
るものではない。
【0022】しかも、過酸化水素等の過酸化物を主成分
とする過酸化物系漂白剤組成物は、その組成物中の微量
の多価金属イオンの触媒作用により長期間貯蔵中に徐々
に過酸化物が分解され、ガスを発生させるため、特殊な
保存容器を必要とする。
【0023】上記従来のカルボン酸系重合体を含有する
漂白剤組成物は、漂白性が低いばかりか、貯蔵安定性も
充分でなく、過酸化物が経時的に分解されて漂白性能が
低下する上に、発生するガスのために特殊な保存容器が
必要であるという上記の問題点を解決するには至ってい
ない。
【0024】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、貯蔵安定性および漂白性等
の性能に優れた漂白剤組成物および該性能に優れる漂白
剤組成物を得るために用いられる漂白助剤を提供するこ
とにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記従
来の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、モノエチレ
ン性不飽和カルボン酸系単量体を含むモノエチレン性不
飽和単量体成分をポリエーテル化合物にグラフト重合し
てなる水溶性グラフト重合体を含む漂白助剤が、漂白
剤、特に過酸化物系漂白剤の漂白助剤として好適であ
り、該水溶性グラフト重合体を、上記漂白剤の漂白助剤
として含む漂白剤組成物が、貯蔵安定性および漂白性等
の性能に優れ、かつ、安価であることを見いだして本発
明を完成させるに至った。
【0026】即ち、請求項1記載の発明の漂白助剤は、
上記の課題を解決するために、モノエチレン性不飽和カ
ルボン酸系単量体を含むモノエチレン性不飽和単量体成
分をポリエーテル化合物にグラフト重合してなる水溶性
グラフト重合体を含むことを特徴としている。
【0027】上記水溶性グラフト重合体は、上記構成に
より、耐ゲル化性能や分散能、パルプ等から溶出したり
用水中に含まれているマンガンイオン、銅イオン、鉄イ
オン、ニッケルイオン、コバルトイオン等の多価金属イ
オンのキレート化能に特に優れ、例えば過酸化物の無駄
な分解を抑制することができる。このため、上記の水溶
性グラフト重合体を漂白助剤として用いた場合に、得ら
れる漂白剤組成物は、優れた漂白性、貯蔵安定性を示
す。従って、上記の構成によれば、貯蔵安定性および漂
白性等の性能に優れた漂白剤組成物を得ることができる
漂白助剤を提供することができる。
【0028】請求項2記載の発明の漂白剤組成物は、上
記の課題を解決するために、請求項1記載の漂白助剤と
漂白剤とを含むことを特徴としている。
【0029】請求項3記載の発明の漂白剤組成物は、上
記の課題を解決するために、請求項2記載の漂白剤組成
物において、上記漂白剤が過酸化物系漂白剤であること
を特徴としている。
【0030】請求項4記載の発明の漂白剤組成物は、上
記の課題を解決するために、請求項2または3記載の漂
白剤組成物において、繊維の漂白用の漂白剤組成物であ
ることを特徴としている。
【0031】請求項5記載の発明の漂白剤組成物は、上
記の課題を解決するために、請求項2または3記載の漂
白剤組成物において、パルプの漂白用の漂白剤組成物で
あることを特徴としている。
【0032】上記の構成によれば、上記漂白剤組成物
が、漂白助剤として上記の水溶性グラフト重合体を含む
漂白助剤を用いることで、貯蔵安定性および漂白性等の
性能に優れた漂白剤組成物を提供することができる。
【0033】また、上記の水溶性グラフト重合体は、ポ
リエーテル化合物(A)およびモノエチレン性不飽和単
量体成分(B)からグラフト重合により合成できるた
め、比較的安価であり、しかも、縮合リン酸系の漂白助
剤のように、排水として河川等を通じ海に流出して赤潮
等の原因物質となることがない。
【0034】さらに、上記漂白剤として、特に、過酸化
物系漂白剤を用いれば、安価であり、しかも、塩素系酸
化漂白剤を用いる場合のように漂白装置を激しく腐食さ
せたり、ダイオキシンが発生するといった問題がなく、
安全である。
【0035】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかる漂白助剤は、ポリエーテル化合物(A)に、モノ
エチレン性不飽和カルボン酸系単量体を必須成分として
含むモノエチレン性不飽和単量体成分(B)をグラフト
重合してなる水溶性グラフト重合体を含む構成である。
【0036】本発明において、上記水溶性グラフト重合
体の原料として用いられる上記のポリエーテル化合物
(A)は、特に限定されるものではないが、好ましく
は、エチレンオキサイドを主な構成単位として含む数平
均分子量100以上の化合物であり、より好ましくは、
エチレンオキサイドを80モル%以上、構成単位として
含む化合物である。
【0037】上記のポリエーテル化合物(A)は、例え
ば、エチレンオキサイドおよび該エチレンオキサイドと
共重合可能なアルキレンオキサイド(以下、その他のア
ルキレンオキサイドと記す)を水またはアルコールを開
始点として公知の方法で重合することにより、容易に得
ることができる。
【0038】上記その他のアルキレンオキサイドとして
は、特に限定されるものではないが、プロピレンオキサ
イドまたはブチレンオキサイドが好ましい。
【0039】上記ポリエーテル化合物(A)におけるエ
チレンオキサイドからなる構成単位とその他のアルキレ
ンオキサイドからなる構成単位の割合、即ち、上記ポリ
エーテル化合物(A)を製造する際のエチレンオキサイ
ドと、その他のアルキレンオキサイドとの使用割合は、
エチレンオキサイドが全体の80モル%以上、上記その
他のアルキレンオキサイドの量が全体として20モル%
未満とすることが好ましい。上記その他のアルキレンオ
キサイドの量が20モル%以上であれば、該ポリエーテ
ル化合物(A)を用いて得られる水溶性グラフト重合体
のグラフト率が低下する虞れがある。
【0040】また、上記ポリエーテル化合物(A)を得
るためのアルコールとしては、具体的には、例えば、メ
タノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノ
ール等の炭素数1〜22の1級または2級アルコール;
イソプロパノール、2−ブタノール等の炭素数3〜18
の2級アルコール;t−ブタノール等の3級アルコー
ル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
パンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール
等のジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン
等のトリオール類;ソルビトール等のポリオール類;フ
ェノール、ナフトール等の芳香族アルコール類;等が挙
げられるが、特に限定されるものではない。
【0041】このようにして得られた上記ポリエーテル
化合物(A)の数平均分子量は100以上であることが
好ましく、500以上であることがより好ましい。ま
た、上記ポリエーテル化合物(A)の数平均分子量の上
限は、特に限定されるものではないが、好ましくは2
0,000以下であり、ポリエーテル化合物(A)が2
つ以上の水酸基を有する場合には、6,000以下であ
ることが好ましい。上記ポリエーテル化合物(A)の数
平均分子量が100未満の場合には、グラフト重合に関
与しないポリエーテル化合物(A)が多くなる。また、
数平均分子量が20,000を越えると、耐ゲル化性能
が低下し、多価金属イオンキレート能が低下する虞れが
ある。
【0042】尚、上記ポリエーテル化合物(A)として
は、全ての末端または一部の末端の水酸基を炭素数2〜
22の脂肪酸、コハク酸、無水コハク酸、マレイン酸、
無水マレイン酸、アジピン酸等のジカルボン酸でエステ
ル化したものも含まれる。
【0043】また、上記水溶性グラフト重合体の原料の
うち、上記のモノエチレン性不飽和単量体成分(B)
は、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を必須成
分として含むものである。
【0044】本発明において、上記モノエチレン性不飽
和カルボン酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸が
特に好ましく、上記モノエチレン性不飽和単量体成分
(B)中には、(メタ)アクリル酸が、40モル%〜1
00モル%の範囲内で含まれることが好ましい。
【0045】また、本発明において、上記ポリエーテル
化合物(A)に対するモノエチレン性不飽和単量体成分
(B)のグラフト率としては、ポリエーテル化合物
(A)100重量%に対してモノエチレン性不飽和単量
体成分(B)が25重量%以上グラフト重合されている
ことが好ましく、モノエチレン性不飽和単量体成分
(B)のなかでも、モノエチレン性不飽和カルボン酸系
単量体として、(メタ)アクリル酸が、ポリエーテル化
合物(A)100重量%に対して20重量%以上グラフ
ト重合されていることがより好ましい。上記ポリエーテ
ル化合物(A)に対するモノエチレン性不飽和単量体成
分(B)の割合が25重量%未満であれば、得られる水
溶性グラフト重合体のカルボン酸密度が少なくなり、各
種性能、例えば、多価金属イオンキレート能、分散能等
が満足されないので好ましくない。また、モノエチレン
性不飽和単量体成分(B)の使用量が100重量%以上
の場合には、得られる水溶性グラフト重合体のカルボン
酸量(カルボン酸密度)が高くなりすぎ、多価金属イオ
ンにより、得られる水溶性グラフト重合体がゲル化し易
くなる。
【0046】上記(メタ)アクリル酸と共重合可能なモ
ノエチレン性不飽和単量体、即ち、上記(メタ)アクリ
ル酸以外のモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体並
びにこれらモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体以
外のモノエチレン性不飽和単量体(以下、これらをまと
めてその他のモノエチレン性不飽和単量体と記す)とし
ては、特に限定されるものではないが、上記(メタ)ア
クリル酸以外のモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量
体としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル
酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等が挙げら
れる。また、これらモノエチレン性不飽和カルボン酸系
単量体以外のモノエチレン性不飽和単量体としては、具
体的には、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジ
エチル等のマレイン酸のアルキルエステル類;フマル酸
ジメチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸のアルキルエ
ステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステ
アリル(メア)アクリレート等のアルキル(メタ)アク
リレート;ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のハイド
ロキシアルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル等の
酢酸アルケニルエステル類;スチレン等の芳香族ビニル
類;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイ
ン、(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノエチル(メ
タ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸等が挙げられる。これらその他のモノ
エチレン性不飽和単量体は、一種類のみを用いてもよ
く、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。これらそ
の他のモノエチレン性不飽和単量体のなかでも、得られ
る水溶性グラフト重合体のカルボン酸密度や分散能を高
める点から、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸を
上記(メタ)アクリル酸と共用することが好ましい。
【0047】上記モノエチレン性不飽和単量体成分
(B)における(メタ)アクリル酸と共重合可能なその
他のモノエチレン性不飽和単量体との割合は、水溶性グ
ラフト重合体へのカルボン酸の導入率や残存単量体量か
ら、(メタ)アクリル酸40モル%〜100モル%に対
し、その他のモノエチレン性不飽和単量体0モル%〜6
0モル%の範囲内(但し、両者の合計は100モル%と
する)であることが好ましい。特に、漂白助剤としての
機能向上の目的で、マレイン酸を20モル%〜50モル
%の範囲内で使用することがより好ましく、30モル%
〜45モル%の範囲内で使用することが最も好ましい。
【0048】そして、上記モノエチレン性不飽和単量体
成分(B)が、その他のモノエチレン性不飽和単量体の
なかでも、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体以
外のモノエチレン性不飽和単量体を含む場合には、該不
飽和カルボン酸系単量体以外のモノエチレン性不飽和単
量体(即ち、カルボキシル基を持たないモノエチレン性
不飽和単量体)の含有量は、20モル%以下であること
が好ましい。上記不飽和カルボン酸系単量体以外のモノ
エチレン性不飽和単量体の含有量が20モル%を超える
と、得られる水溶性グラフト重合体へのカルボン酸の導
入率が低下し、残存する単量体量が多くなると共に、カ
ルボン酸密度が低くなり、多価金属イオンキレート能、
分散能等が満足されないので好ましくない。
【0049】尚、上記その他のモノエチレン性不飽和単
量体として(メタ)アクリル酸以外のモノエチレン性不
飽和カルボン酸系単量体を用いる場合には、(メタ)ア
クリル酸の含有量が40モル%未満であっても、得られ
る水溶性グラフト重合体のカルボン酸密度は低下しな
い。しかしながら、この場合には、(メタ)アクリル酸
の含有量が40モル%未満であれば、マレイン酸、フマ
ル酸、無水マレイン酸等の上記水溶性グラフト重合体へ
の導入率が低下し、残存する単量体量が多くなる傾向に
ある。
【0050】本発明において、上記ポリエーテル化合物
(A)とモノエチレン性不飽和単量体成分(B)とのグ
ラフト重合は、重合開始剤の存在下、実質的に触媒並び
に溶媒を用いずに行われる。
【0051】上記ポリエーテル化合物(A)とモノエチ
レン性不飽和単量体成分(B)とを、水、あるいは、ア
ルコール、トルエン等の有機溶媒の存在下にてグラフト
重合した場合、ポリエーテル化合物(A)へのモノエチ
レン性不飽和単量体(B)のグラフト効率が低下するた
め好ましくない。従って、重合開始剤やモノエチレン性
不飽和単量体成分(B)の添加のために溶媒を使用する
場合には、その量を極力少なくすることが好ましい。具
体的には、重合反応系の全量に対して5重量%以下の量
とするか、溶媒添加後、重合反応系から直ちに留去する
ことが好ましい。
【0052】上記の重合開始剤としては、公知のラジカ
ル重合開始剤を用いることができるが、そのなかでも有
機過酸化物が特に好ましい。本発明においてラジカル重
合開始剤として用いることができる上記の有機過酸化物
としては、具体的には、例えば、メチルエチルケトンパ
ーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケ
トンパーオキサイド類;t−ブチルハイドロパーオキサ
イド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイド
ロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5
−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ
メチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパー
オキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブ
チルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、
α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)p−ジイソプ
ロピルベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)p−ジイソプロピルヘキシン等のジアルキルパーオ
キサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブ
チルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベン
ゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキ
シ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカー
ボネート等のパーオキシエステル類;n−ブチル−4,
4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2
−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシ
ケタール類;ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシル
パーオキサイド類;等が挙げられる。
【0053】これら重合開始剤の使用量は特に限定され
るものではないが、モノエチレン性不飽和単量体成分
(B)に対して、0.1重量%〜15重量%の割合で使
用することが好ましく、0.5重量%〜10重量%の割
合で使用することがさらに好ましい。重合開始剤の使用
量が上記の範囲を逸脱する場合には、ポリエーテル化合
物(A)に対するモノエチレン性不飽和単量体成分
(B)のグラフト重合効率が低下する。尚、重合開始剤
は、予めポリエーテル化合物(A)に添加しておいても
よいし、モノエチレン性不飽和単量体成分(B)と同時
に添加してもよい。
【0054】また、重合温度は100℃以上であり、漂
白助剤の機能向上の面から、好ましくは110℃〜16
0℃の範囲内であり、より好ましくは110℃〜140
℃の範囲内である。重合温度が100℃よりも低けれ
ば、ポリエーテル化合物(A)へのモノエチレン性不飽
和単量体成分(B)のグラフト効率が低下する。一方、
重合温度が160℃を超えると、ポリエーテル化合物
(A)および得られる水溶性グラフト重合体が熱分解す
る虞れがある。
【0055】本発明において、上記グラフト重合を行う
際には、上記ポリエーテル化合物(A)の一部、または
全量を初期に仕込んでおくことが好ましい。また、モノ
エチレン性不飽和単量体成分(B)において、前記その
他のモノエチレン性不飽和単量体としてマレイン酸、フ
マル酸、無水マレイン酸等のモノエチレン性不飽和カル
ボン酸系単量体を用いる場合には、これらその他のモノ
エチレン性不飽和単量体の半量以上を予めポリエーテル
化合物(A)とともに初期に仕込んで混合し、得られた
混合物を100℃以上になるまで加熱した後、この混合
物に残りのモノエチレン性不飽和単量体成分(B)と重
合開始剤とを各々別々に添加してグラフト重合する方法
が特に好ましい。上記モノエチレン性不飽和単量体成分
(B)と重合開始剤とを各々別々に添加する方法として
は、例えば、滴下装置を用いて、上記モノエチレン性不
飽和単量体成分(B)と重合開始剤とを同時に別々の滴
下装置から上記混合物に滴下する方法等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。
【0056】上記の方法を採用することにより、マレイ
ン酸、フマル酸、無水マレイン酸等のモノエチレン性不
飽和カルボン酸系単量体の水溶性グラフト重合体への導
入率を大幅に向上させることができる。尚、ポリエーテ
ル化合物(A)の一部を初期に仕込む場合には、残りの
ポリエーテル化合物(A)は、重合開始剤またはモノエ
チレン性不飽和単量体成分(B)と混合して添加しても
よい。
【0057】このようにして得られた水溶性グラフト重
合体は、水に対する溶解度が1%以上の重合体である。
該水溶性グラフト重合体は、そのまま漂白助剤として用
いることができるが、上記グラフト重合反応終了後、塩
基性化合物を添加して中和することにより、例えば、ナ
トリウム塩、カリウム塩等の1価金属塩;カルシウム塩
等の2価金属塩;アルミニウム塩等の3価金属塩;アン
モニウム塩;モノエタノールアミン塩、トリエタノール
アミン塩等の有機アミン塩;等の塩にして用いてもよ
く、重合前に部分中和または完全中和して用いてもよ
い。上記塩基性化合物を添加する際に用いられる溶媒と
しては水が好ましいが、特に限定されるものではない。
【0058】また、上記水溶性グラフト重合体の重量平
均分子量は、特に限定されるものではないが、500〜
50,000の範囲内であることが好ましい。上記の重
量平均分子量が500未満であれば、キレート力が低下
する結果、漂白性が低下する傾向がある。一方、上記の
重量平均分子量が50,000を超えると、多価金属イ
オンにより該水溶性グラフト重合体がゲル化し易くな
り、漂白性が低下する傾向がある。
【0059】上記の水溶性グラフト重合体は、以上のよ
うに、グラフト率が高く、耐ゲル化性能や分散能、パル
プ等から溶出したり用水中に含まれているマンガンイオ
ン、銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイ
オン等の多価金属イオンのキレート化能に特に優れてい
る。
【0060】従って、上記の水溶性グラフト重合体を漂
白助剤として漂白剤と共に用いた場合に、被漂白物の漂
白性が高い理由としては、明らかではないものの、上記
の水溶性グラフト重合体を漂白助剤として漂白剤組成物
に配合することで、(1) 多価金属イオンをキレートする
ことで多価金属イオンの触媒作用を抑えて過酸化水素の
無駄な分解を抑制し、パーオキシヒドロキシイオンの発
生を促すと共にスケールを抑制し、また、(2) 発生した
スケールを分散させ、被漂白物への沈着を抑制するため
であると考えられる。特に、被漂白物が繊維である場合
には、スケールが繊維上に沈着すると、繊維の白色度が
向上せず、漂白性に劣ると共に、風合も粗硬化して縫製
性に問題を生じる。
【0061】本発明において、上記水溶性グラフト重合
体は、ケイ酸系薬剤に代わる安価な漂白助剤として、そ
れ単独で漂白助剤として用いることができるが、必要に
応じて、従来公知の漂白助剤、例えば、アミノカルボン
酸塩、ケイ酸塩、亜硫酸塩、トリポリリン酸塩等の縮合
リン酸塩、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類
金属化合物、アルミニウム化合物、ポリアクリル酸塩等
のポリカルボン酸塩、ポリα−ヒドロキシアクリル酸塩
等の漂白助剤と併用しても構わない。即ち、本発明にか
かる漂白助剤は、上記従来公知の漂白助剤を、上記水溶
性グラフト重合体の性能を阻害しない範囲内で含んでい
てもよい。
【0062】本発明にかかる漂白剤組成物は、漂白剤、
好ましくは過酸化物系漂白剤を主成分として含むと共
に、該漂白剤の助剤として上記の漂白助剤を含んでなっ
ている。
【0063】本発明において漂白剤として用いられる上
記過酸化物としては、具体的には、例えば、過酸化水
素、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム等の過炭酸塩、
過酸化ナトリウム、過酢酸等が挙げられる。これら過酸
化物のなかでも、過酸化水素および過炭酸塩が好まし
く、そのなかでも過酸化水素が、工業的に最も安価な活
性酸素源であり、かつ、繊維に損傷を与えることが少な
く、また、漂白剤組成物が漂白剤として過酸化水素を含
む場合には液体となり、使い易いことから、特に好まし
い。上記漂白剤組成物が漂白剤として過炭酸塩を含む場
合は液体又は固体の組成物となる。
【0064】また、上記水溶性グラフト重合体は、上記
のように過酸化物系漂白剤の漂白助剤としてだけでな
く、効果はやや劣るものの、塩素、さらし粉、二酸化塩
素、亜塩素酸塩等の塩素系酸化漂白剤や、ナトリウムハ
イドロサルファイト、ハイドロサルファイト亜鉛、チオ
硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩等の含イオウ系還元漂白
剤の漂白助剤としても有効である。
【0065】上記漂白剤組成物は、漂白助剤として上記
水溶性グラフト重合体を含む漂白助剤を用いることで、
貯蔵安定性および漂白性等の性能に特に優れている。し
かも、上記水溶性グラフト重合体は多価金属イオンのキ
レート化能並びに分散能に特に優れることから、上記水
溶性グラフト重合体を含む漂白助剤を用いることで、ス
ケールの発生並びに沈着を抑制することができ、スケー
ルトラブルをも抑制することができる。
【0066】また、上記の水溶性グラフト重合体は、ポ
リエーテル化合物(A)およびモノエチレン性不飽和単
量体成分(B)からグラフト重合により合成できるた
め、比較的安価であり、しかも、縮合リン酸系の漂白助
剤のように、排水として河川等を通じて海に流出して赤
潮等の原因物質となることがない。
【0067】さらに、上記漂白剤として、特に、過酸化
物系漂白剤を用いれば、安価であり、しかも、塩素系酸
化漂白剤を用いる場合のように漂白装置を激しく腐食さ
せたり、ダイオキシンが発生するといった問題がなく、
安全である。
【0068】上記漂白剤組成物による漂白を適用するこ
とができる被漂白物としては、特に限定されるものでは
ないが、例えば、繊維;パルプ;等が特に好適である。
【0069】上記の繊維としては、具体的には、例え
ば、木綿、麻等のセルロース系天然繊維;レーヨン、キ
ュプラ等のセルロース系再生繊維;これらセルロース系
繊維と、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊
維との混合繊維;これらセルロース系繊維と、アセテー
ト等の半合成繊維との混合繊維;等が挙げられるが、特
に限定されるものではない。さらに、これら繊維の漂白
時の形態も特に限定されるものではなく、繊維、糸、チ
ーズ、織物、編物、不織布、更には衣服、寝装商品等の
最終繊維製品等の何れの形態であっても差支えない。
【0070】また、上記パルプとしては、具体的には、
例えば、機械パルプ(MP)や化学的機械パルプ(CG
P)等の高収率パルプ;脱墨パルプ(DIP);ソーダ
パルプ(AP)やクラフトパルプ(KP)等の化学パル
プ;等の木材パルプ等が挙げられるが、特に限定される
ものではない。また、上記パルプの漂白時の形態も特に
限定されるものではなく、パルプスラリーであってもよ
く、紙等の最終パルプ製品等の形態であっても差支えな
い。
【0071】上記漂白剤組成物を用いて繊維の漂白を行
う場合、漂白方法としては、漂白すべき繊維の形態等に
応じて、例えば、パッド・スチーム法、加圧煮沸法、煮
沸法、浸漬法等の、従来公知の種々の漂白方法を選択す
ることができる。また、上記漂白剤組成物は、精錬・漂
白;のり抜き・精錬・漂白;等のように他の工程と同時
に一浴で行なう漂白にも適用することができる。
【0072】このような方法により繊維を漂白する際の
上記漂白剤組成物の使用量は、該漂白剤組成物の組成
や、繊維の種類および形態、漂白方法等に応じて適宜設
定すればよいが、通常、被漂白繊維に対して、0.1重
量%〜50重量%の割合で用いられる。
【0073】また、上記漂白剤組成物を繊維の漂白用の
漂白剤組成物として用いる場合の上記漂白剤組成物にお
ける水溶性グラフト重合体の配合割合は、特に限定され
るものではないが、漂白性の面から、0.5重量%〜5
0重量%の範囲内が好ましく、1重量%〜30重量%の
範囲内がより好ましく、2重量%〜20重量%の範囲内
が最も好ましい。
【0074】上記水溶性グラフト重合体の配合割合が
0.5重量%未満であれば、漂白性が低下する傾向にあ
る。また、上記水溶性グラフト重合体の配合割合を50
重量%よりも多くしても、水溶性グラフト重合体量の増
加に比例した、漂白性能等のさらなる向上は望めず、添
加した水溶性グラフト重合体の一部が無駄になり、経済
的に不利となるので好ましくない。
【0075】また、上記漂白剤組成物における漂白剤の
配合割合については、特に限定されるものではないが、
5重量%〜99.5重量%の範囲内が好ましく、10重
量%〜90重量%の範囲内がより好ましく、15重量%
〜80重量%の範囲内が最も好ましい。
【0076】さらに、上記漂白剤組成物における上記漂
白剤および水溶性グラフト重合体以外の配合物(その他
の配合物)の配合割合は、特に限定されるものではない
が、必要に応じて、0重量%〜45重量%の範囲内(但
し、上記漂白剤、水溶性グラフト重合体、およびその他
の配合物の合計量は100重量%とする)で用いられ
る。
【0077】この場合、上記の漂白剤組成物は、必要に
応じて、その他の配合物として、上記水溶性グラフト重
合体以外の漂白助剤や、繊維用の漂白組成物に常用され
る添加物を含んでいてもよい。
【0078】例えば、上記漂白剤組成物を、繊維の漂白
用の漂白剤組成物として用いる場合で、特に衣料用等の
家庭用漂白剤組成物として用いる場合には、上記漂白剤
組成物には、さらに界面活性剤が含まれることが好まし
い。
【0079】上記界面活性剤としては、特に限定される
ものではなく、広い範囲のものが使用できるが、具体的
には、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフ
ィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン性界面
活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性
界面活性剤;ベタイン型等の両性界面活性剤等が挙げら
れる。尚、上記漂白剤組成物中の界面活性剤の配合量に
ついては、特に制限はないが、好適には0.1重量%〜
20重量%の範囲内で用いられる。
【0080】また、上記の漂白剤として過酸化水素を用
いた液体状の漂白剤組成物の場合、上記過酸化水素並び
に上記水溶性グラフト重合体の他に、通常、水およびp
H調整剤が配合される。
【0081】上記pH調整剤としては、特に限定される
ものではないが、具体的には、例えば、塩酸、硫酸等の
無機酸;クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等の有機酸;
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金
属炭酸塩;等が用いられる。
【0082】上記のpH調整剤は、用いる漂白剤組成物
のpHが1〜7の範囲内となるように配合されることが
好ましく、2〜6.5の範囲内となるように配合される
ことがさらに好ましい。pHが上記範囲より低い場合に
は、皮膚刺激性が強くなる傾向にある。一方、pHが上
記範囲を越えると漂白剤組成物の貯蔵安定性が充分でな
くなることがある。
【0083】また、上記漂白剤組成物には、必要に応じ
て、色味付けのため、顔料、染料等の着色剤を配合して
もよい。上記の顔料としては、具体的には、例えば、カ
ラーインデックスバットブルー4、カラーインデックス
バットブルー6、カラーインデックスピグメントブルー
22、カラーインデックスバットレッド23、カラーイ
ンデックスピグメントブルー15、カラーインデックス
ピグメントブルー17、カラーインデックスピグメント
グリーン36等の有機顔料;紺青または群青またはコバ
ルト系顔料、カドミウム系顔料、酸化鉄、二酸化チタン
等の無機顔料;等を挙げることができるが、特に限定さ
れるものではない。
【0084】また、染料としては、具体的には、例え
ば、カラーインデックスアシッドブルー229、カラー
インデックスアシッドブルー9、カラーインデックスア
シッドブルー112、Alizarine Fast Blue ERL(山田化
学社製) 、 Alizarine Fast Blue 3GL(山田化学社製)
、 Fastogen Blue 5380(大日本インキ社製)等の酸性
染料;カラーインデックスアシッドレッド198、カラ
ーインデックスアシッドブルー158、カラーインデッ
クスアシッドグリーン35、カラーインデックスダイレ
クトブルー86、カラーインデックスダイレクトブルー
199等の含金属系染料;等を挙げることができるが、
特に限定されるものではない。
【0085】さらに、上記の漂白剤組成物に、衣料用等
の家庭用漂白剤組成物に従来より使用されてきた漂白助
剤を配合することができることは、前述の記載から明ら
かであり、言うまでもない。このような漂白助剤として
は、例えば、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カ
リウム等の縮合リン酸系助剤;エチレンジアミン4酢酸
(塩)、ジエチレントリアミン5酢酸(塩) 、ニトリロ
3酢酸(塩)等のアミノカルボン酸(塩);アルキリデ
ンジホスホン酸(塩) 、ニトリロトリメチレンホスホン
酸(塩)等の有機ホスホン酸(塩);ポリα−ヒドロキ
シアクリル酸(塩) 、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ
マレイン酸ナトリウム等のカルボン酸系重合体;等を挙
げることができる。
【0086】また、上記漂白剤組成物を用いてパルプの
漂白を行う場合、漂白方法としては、好適には、漂白剤
として過酸化物系漂白剤を用いた従来公知の酸化漂白法
が用いられる。
【0087】上記酸化漂白法によりパルプを漂白する際
の上記漂白剤組成物の使用量は、該漂白剤組成物の組成
や、パルプの種類および形態、漂白方法等に応じて適宜
設定すればよいが、通常、被漂白パルプに対して、2重
量%〜50重量%の割合で用いられる。
【0088】また、上記漂白剤組成物をパルプの漂白用
の漂白剤組成物として用いる場合の上記漂白剤組成物に
おける水溶性グラフト重合体の配合割合は、特に限定さ
れるものではないが、漂白性の面から、0.2重量%〜
30重量%の範囲内が好ましく、0.5重量%〜20重
量%の範囲内がより好ましく、1.0重量%〜10重量
%の範囲内が最も好ましい。
【0089】上記水溶性グラフト重合体の配合割合が
0.2重量%未満であれば、漂白性が低下する傾向にあ
る。また、上記水溶性グラフト重合体の配合割合を30
重量%よりも多くしても、水溶性グラフト重合体量の増
加に比例した、漂白性能等のさらなる向上は望めず、添
加した水溶性グラフト重合体の一部が無駄になり、経済
的に不利となるので好ましくない。
【0090】また、上記漂白剤組成物における漂白剤の
配合割合については、特に限定されるものではないが、
20重量%〜99.5重量%の範囲内が好ましく、30
重量%〜95重量%の範囲内がより好ましく、40重量
%〜90重量%の範囲内が最も好ましい。
【0091】さらに、上記漂白剤組成物における上記漂
白剤および水溶性グラフト重合体以外の配合物(その他
の配合物)の配合割合は、特に限定されるものではない
が、必要に応じて、0重量%〜50重量%の範囲内(但
し、上記漂白剤、水溶性グラフト重合体、およびその他
の配合物の合計量は100重量%とする)で用いられ
る。
【0092】この場合、上記の漂白剤組成物は、必要に
応じて、その他の配合物として、上記水溶性グラフト重
合体以外の漂白助剤や、パルプ用の漂白組成物に常用さ
れる添加物を含んでいてもよい。
【0093】以上のように、本発明にかかる漂白助剤
は、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を含むモ
ノエチレン性不飽和単量体成分(B)をポリエーテル化
合物(A)にグラフト重合してなる水溶性グラフト重合
体を含む構成である。また、本発明にかかる漂白剤組成
物は、上記の漂白助剤と漂白剤とを含む構成である。
【0094】上記の構成によれば、上記漂白剤組成物
は、上記構成の水溶性グラフト重合体を漂白助剤として
含むことで、水溶性が高く、また、優れた漂白性、貯蔵
安定性を示す。また、上記の水溶性グラフト重合体は、
ポリエーテル化合物(A)およびモノエチレン性不飽和
単量体成分(B)からグラフト重合により合成できるた
め、比較的安価であり、しかも、縮合リン酸系の漂白助
剤のように、排水として河川等を通じて海に流出し、赤
潮等の原因物質となることがない。さらに、上記漂白剤
として、特に、過酸化物系漂白剤を用いれば、安価であ
り、塩素系酸化漂白剤を用いる場合のように漂白装置を
激しく腐食させたり、ダイオキシンが発生するといった
問題がなく、安全である。
【0095】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記
載の「部」は、「重量部」を示しており、「%」は、
「重量%」を示している。
【0096】〔実施例1〕温度計、撹拌機、窒素ガス導
入管、二つの滴下装置、および還流冷却器を備えたガラ
ス製反応器に、ポリエーテル化合物(A)としての数平
均分子量200のポリエチレングリコール100部と、
モノエチレン性不飽和単量体成分(B)としてのマレイ
ン酸51.8部およびp−トルエンスルホン酸・1水和
物4.5部とを仕込んだ。また、一方の滴下装置に、モ
ノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体であるアクリル
酸48.2部を仕込み、他方の滴下装置に、重合開始剤
としてのパーブチルI(商品名;日本油脂株式会社製、
t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート9
5%含有物)8部を仕込んだ。
【0097】次に、上記反応器内の内容物を窒素ガス気
流下で撹拌しながら加熱して溶解させ、128℃まで昇
温した。続いて、上記反応器内の内容物の温度を126
℃〜131℃の温度範囲に保持して上記アクリル酸およ
びパーブチルIを1時間かけて連続的に滴下し、その
後、さらに1時間撹拌してグラフト重合を行った。
【0098】この結果、本発明にかかるグラフト重合体
として、重量平均分子量5,000、グラフト率80
%、純度85%の水溶性グラフト重合体(1)を得た。
続いて、この水溶性グラフト重合体(1)に所定量の水
を加え、水酸化ナトリウム水溶液で中和して上記水溶性
グラフト重合体(1)の水溶液のpHを8に調整し、本
発明にかかる漂白助剤として上記水溶性グラフト重合体
(1)のナトリウム塩を得た。
【0099】次に、容量600mlのポリエチレン製の
ボトルに、35%過酸化水素水71.4g、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル15g、直鎖アルキルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム35g、上記水溶性グラフト重
合体(1)のナトリウム塩10g(固型分換算)および
水道水300gを入れ、均一に溶解した。尚、上記ポリ
オキシエチレンアルキルエーテルにおけるアルキル基の
炭素数は12であり、エチレンオキサイド平均付加モル
数は10モルである。また、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸ナトリウムにおけるアルキル基の炭素数は12で
ある。続いて、上記ボトル内の溶液を、希硫酸を用いて
pH4.5に調整し、さらに水道水を加えて全量を50
0gとすることで、上記ボトル内の溶液を、本発明にか
かる漂白剤組成物として得た。
【0100】その後、上記のボトルに密栓をし、これを
保存容器として用いて、55℃で14日間放置した後、
このボトルの状態を目視で観察することによって、上記
漂白剤組成物の貯蔵安定性を評価した。評価基準は以下
の通りである。保存容器(ボトル)に膨らみが全く認め
られない状態を「○」とし、保存容器にわずかの膨らみ
が認められる状態を「△」とし、保存容器にかなりの膨
らみが認められる状態を「×」とした。
【0101】一方、上述した方法と同様の方法により新
たに漂白剤組成物を調整し、この漂白剤組成物を、Fe
3+イオンを10ppmの割合で含有する水道水1リット
ルに、有効酸素濃度が0.05%となるように溶解し、
温度を30℃にして漂白率測定用の試験液を得た。この
試験液に、後述の方法により作成した紅茶汚染布5枚を
30分間浸漬した後、所定量の水道水で所定時間洗浄
し、さらに、所定の条件下で乾燥を行い、次式
【0102】
【数1】
【0103】に従って、上記漂白剤組成物による紅茶汚
染布の漂白率を算出した。
【0104】尚、上記紅茶汚染布は、以下の方法により
作成した。先ず、紅茶80gを3リットルのイオン交換
水にて15分間煮沸後、糊抜きした晒木綿で濾した。次
いで、この濾液に木綿金布#2003布を浸し、15分
間煮沸後、2時間放冷した。その後、この木綿金布#2
003布を、上記濾液から取り出し、自然乾燥させてか
ら洗液に色がつかなくなるまで水洗した。次いで、この
木綿金布#2003布を、脱水、プレスした後、8cm
×8cmの試験片とし、これを、漂白率算出用の紅茶汚
染布とした。得られた漂白率を、上記貯蔵安定性と併せ
て表1に示す。
【0105】〔実施例2〕実施例1において、数平均分
子量200のポリエチレングリコールの代わりに、ポリ
エーテル化合物(A)としての数平均分子量600のナ
フトキシポリエチレングリコール100部を用いた以外
は、実施例1と同様の反応・操作を行って水溶性グラフ
ト重合体(2)を得た。上記ナフトキシポリエチレング
リコールにおけるナフトールへのエチレンキサイド平均
付加モル数は10モルである。また、得られた水溶性グ
ラフト重合体(2)の重量平均分子量は5,500であ
り、グラフト率は82%であり、純度は86%であっ
た。続いて、この水溶性グラフト重合体(2)に所定量
の水を加え、水酸化ナトリウム水溶液で中和して上記水
溶性グラフト重合体(2)の水溶液のpHを8に調整
し、本発明にかかる漂白助剤として水溶性グラフト重合
体(2)のナトリウム塩を得た。
【0106】次に、実施例1において、水溶性グラフト
重合体(1)のナトリウム塩の代わりに上記水溶性グラ
フト重合体(2)のナトリウム塩を用いた以外は、実施
例1と同様の操作を行って、漂白剤組成物を得た。この
漂白剤組成物の貯蔵安定性を実施例1と同様の方法によ
り評価した。また上記漂白剤組成物による紅茶汚染布の
漂白率を実施例1と同様の方法により算出した。得られ
た漂白率を、上記貯蔵安定性と併せて表1に示す。
【0107】〔実施例3〕実施例1において、数平均分
子量200のポリエチレングリコールの代わりに、ポリ
エーテル化合物(A)としての数平均分子量1,000
のナフトキシポリエチレングリコール200部を用いた
以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って水溶性グ
ラフト重合体(3)を得た。上記ナフトキシポリエチレ
ングリコールにおけるナフトールへのエチレンオキサイ
ド平均付加モル数は20モルである。また、得られた水
溶性グラフト重合体(3)の重量平均分子量は4,30
0であり、グラフト率は80%であり、純度は83%で
あった。続いて、この水溶性グラフト重合体(3)に所
定量の水を加え、水酸化ナトリウム水溶液で中和して上
記水溶性グラフト重合体(3)の水溶液のpHを8に調
整し、本発明にかかる漂白助剤として水溶性グラフト重
合体(3)のナトリウム塩を得た。
【0108】次に、実施例1において、水溶性グラフト
重合体(1)のナトリウム塩の代わりに上記水溶性グラ
フト重合体(3)のナトリウム塩を用いた以外は、実施
例1と同様の操作を行って、漂白剤組成物を得た。この
漂白剤組成物の貯蔵安定性を実施例1と同様の方法によ
り評価した。また上記漂白剤組成物による紅茶汚染布の
漂白率を実施例1と同様の方法により算出した。得られ
た漂白率を、上記貯蔵安定性と併せて表1に示す。
【0109】〔実施例4〕実施例1において、数平均分
子量200のポリエチレングリコールの代わりに、ポリ
エーテル化合物(A)として、炭素数12〜15のアル
キルにエチレンオキサイドを平均7モルした付加物20
0部を用いた以外は、実施例1と同様の反応・操作を行
って水溶性グラフト重合体(4)を得た。得られた水溶
性グラフト重合体(4)の重量平均分子量は6,800
であり、グラフト率は78%であり、純度は82%であ
った。続いて、この水溶性グラフト重合体(4)に所定
量の水を加え、水酸化ナトリウム水溶液で中和して上記
水溶性グラフト重合体(4)の水溶液のpHを8に調整
し、本発明にかかる漂白助剤として水溶性グラフト重合
体(4)のナトリウム塩を得た。
【0110】次に、実施例1において、水溶性グラフト
重合体(1)のナトリウム塩の代わりに上記水溶性グラ
フト重合体(4)のナトリウム塩を用いた以外は、実施
例1と同様の操作を行って、漂白剤組成物を得た。この
漂白剤組成物の貯蔵安定性を実施例1と同様の方法によ
り評価した。また上記漂白剤組成物による紅茶汚染布の
漂白率を実施例1と同様の方法により算出した。得られ
た漂白率を、上記貯蔵安定性と併せて表1に示す。
【0111】〔比較例1〜6〕実施例1において、水溶
性グラフト重合体(1)のナトリウム塩の代わりに、表
1に示す漂白助剤を用いた以外は、実施例1と同様にし
て比較用の漂白剤組成物を得た。各漂白剤組成物の貯蔵
安定性を実施例1と同様の方法により評価した。また各
漂白剤組成物による紅茶汚染布の漂白率を実施例1と同
様の方法により算出した。得られた漂白率を、上記貯蔵
安定性と併せて表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】〔実施例5〕先ず、実施例1で得られた水
溶性グラフト重合体(1)のナトリウム塩を用いて、以
下に示した配合量に従って漂白剤組成物を得た。 C14-18 α−オレフィンスルホン酸ナトリウム 10% 連鎖アルキル(C12)ベンゼンスルホン酸ナトリウム 10% ソフタノールEP12050((株) 日本触媒製) 5% C18脂肪酸ナトリウム 5% 炭酸ナトリウム 20% 過炭酸ナトリウム 20% テトラアセチルエチレンジアミン 6% ゼオライト 8% 水溶性グラフト重合体(1)のナトリウム塩 3% 硫酸ナトリウム 6% 水分 7% 次に、ガラス製の所謂マヨネーズびん(容量225m
l)に、上記漂白剤組成物150mlを入れ、45℃→
25℃→45℃を1サイクルとするリサイクル条件下で
1ヶ月間貯蔵した。その後、貯蔵後の漂白剤組成物5g
に、50%酢酸水溶液50mlを添加し、ヨードメトリ
ーで該漂白剤組成物中の有効酸素量を求め、次式
【0114】
【数2】
【0115】に従って有効酸素残存率を算出した。この
結果を表2に示す。
【0116】〔実施例6〜8〕実施例5において、水溶
性グラフト重合体(1)のナトリウム塩の代わりに、表
2に示す漂白助剤を用いた以外は、実施例5と同様にし
て本発明にかかる漂白剤組成物を得た。各漂白剤組成物
の有効酸素残存率を実施例5と同様の方法により算出し
た。この結果を表2に示す。
【0117】〔比較例7〜10〕実施例5において、水
溶性グラフト重合体(1)のナトリウム塩の代わりに、
表2に示す漂白助剤を用いた以外は、実施例5と同様に
して比較用の漂白剤組成物を得た。各漂白剤組成物の有
効酸素残存率を実施例5と同様の方法により算出した。
この結果を表2に示す。
【0118】
【表2】
【0119】〔実施例9〕実施例1で得られた水溶性グ
ラフト重合体(1)のナトリウム塩を漂白助剤として用
いて精錬した綿天竺編ニットを漂白した。漂白条件は以
下の通りである。
【0120】 使用水 姫路市水にCu2+、Fe3+、およびMn2+を各々10ppm の割合で添加した水 浴比(綿天竺編ニットに対する水の使用重量比) 1対25 温度 85℃ 時間 30分 使用薬剤 過酸化水素 10g/リットル 水酸化ナトリウム 2g/リットル 3号ケイ酸ナトリウム 5g/リットル 水溶性グラフト重合体(1)のナトリウム塩 2g/リットル 次いで、漂白処理後の綿天竺編ニットの風合、白色度、
縫製性を以下の方法により評価した。風合は官能検査法
により判定した。風合がソフトであるものを「○」と
し、ややハードであるものを「△」とし、かなりハード
であるものを「×」とした。
【0121】白色度(W)は、3Mカラーコンピュータ
ーSM−3型(スガ試験機(株)製)を用いて漂白処理
後の綿天竺編ニットの明度並びに座標aおよび座標bに
おけるクロマチックネス指数を測色し、以下に示すLa
b系の白色度式
【0122】
【数3】
【0123】に従って算出した。縫製性は、漂白処理後
の綿天竺編ニットを4枚重ねにして本縫ミシンで30c
m空縫いした場合の地糸切れ箇所数で評価した。ミシン
針には、#11S番の針を用いた。これらの結果を併せ
て表3に示す。
【0124】〔実施例10〜12〕実施例9において、
水溶性グラフト重合体(1)のナトリウム塩の代わり
に、表3に示す漂白助剤を用いた以外は、実施例9と同
様にして綿天竺編ニットの漂白を行った。漂白後の綿天
竺編ニットの風合、白色度、縫製性を実施例9と同様の
方法により評価した。これらの結果を併せて表3に示
す。
【0125】〔比較例11〜16〕実施例9において、
水溶性グラフト重合体(1)のナトリウム塩の代わり
に、表3に示す漂白助剤を用いた以外は、実施例9と同
様にして綿天竺編ニットの漂白を行った。漂白後の綿天
竺編ニットの風合、白色度、縫製性を実施例9と同様の
方法により評価した。これらの結果を併せて表3に示
す。
【0126】
【表3】
【0127】〔実施例13〕容量500mlのビーカー
に高収率パルプである未晒リファイナーグランドパルプ
を絶乾重量として30部仕込んだ後、該未晒リファイナ
ーグランドパルプに、Fe3+、Cu2+、Mn2+を各々2
0ppmの割合で含有する水を、最終的にパルプ濃度が
14%となるように添加した。次いで、得られたパルプ
スラリーを低速で攪拌しながら、このパルプスラリー
に、実施例1で得られた水溶性グラフト重合体(1)の
ナトリウム塩0.06部(固型分換算)、35%過酸化
水素水3.43部、および3号ケイ酸ナトリウム0.9
部を添加した後、水酸化ナトリウムを用いて、上記パル
プスラリーのpHを11.0に調整した。パルプに対す
る上記水溶性グラフト重合体(1)のナトリウム塩、3
5%過酸化水素水、3号ケイ酸ナトリウムの添加割合
は、順に、0.2%、4%、3%である。
【0128】続いて、このパルプスラリーを所定のポリ
エチレン製の袋に移し替え、上記パルプスラリーの水分
が蒸発しないように袋の入口を折返した後、予め65℃
に調整されたウォーターバスにて5時間熱処理すること
により漂白処理を行った。次に、漂白処理した上記のパ
ルプスラリーを脱水した後、得られたパルプを、イオン
交換水1000部を用いて洗浄した。続いて、このパル
プを所定量採取し、3%濃度となるようにイオン交換水
で希釈した後、得られたパルプスラリーを亜硫酸溶液を
用いてpH4.5に調整した。この希釈およびpH調整
されたパルプスラリーを用いて、TAPPI標準法(タ
ッピースタンダード法)により2枚の手抄きシートを作
成し、風乾後、ハンター白色度計により白色度を測定し
た。この結果を表4に示す。
【0129】〔実施例14〜16〕実施例13におい
て、水溶性グラフト重合体(1)のナトリウム塩の代わ
りに、表4に示す漂白助剤を用いた以外は、実施例13
と同様にして手抄きシートを作成し、その白色度を測定
した。この結果を表4に示す。
【0130】〔比較例17〜23〕実験例13におい
て、水溶性グラフト重合体(1)のナトリウム塩の代わ
りに、表4に示す漂白助剤を用いた以外は、実施例13
と同様にして手抄きシートを作成し、その白色度を測定
した。この結果を表4に示す。
【0131】
【表4】
【0132】表1および表2に記載された結果から、本
発明にかかる漂白助剤を含む漂白剤組成物は、比較例で
用いた従来の漂白助剤を含む漂白剤組成物と比較して、
過酸化物の無駄な分解を抑制することができることが判
る。さらに、本発明にかかる漂白助剤を含む漂白剤組成
物は、表1に示すように、過酸化物の分解によって生じ
るガスの発生を抑え、従来よりも貯蔵安定性を向上させ
ることができると共に、表1および表4に示すように、
繊維やパルプの漂白性に優れていることが判る。
【0133】また、表3に記載された結果から、本発明
にかかる漂白助剤を含む漂白剤組成物は、繊維の風合の
粗硬化並びに白色度および縫製性の低下を抑制し、優れ
た漂白性を示すことが判る。このことから、本発明にか
かる漂白助剤を含む漂白剤組成物は、スケールの発生お
よび沈着の抑制効果を有していると推察される。
【0134】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の漂白助剤は、以
上のように、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体
を含むモノエチレン性不飽和単量体成分をポリエーテル
化合物にグラフト重合してなる水溶性グラフト重合体を
含む構成である。
【0135】上記の構成によれば、上記水溶性グラフト
重合体は、例えば過酸化物の無駄な分解を抑制すること
ができ、漂白剤と共に用いることで、優れた漂白性、貯
蔵安定性を示すという効果を奏する。
【0136】本発明の請求項2記載の漂白剤組成物は、
以上のように、請求項1記載の漂白助剤と漂白剤とを含
む構成である。また、本発明の請求項3記載の漂白剤組
成物は、以上のように、上記漂白剤が過酸化物系漂白剤
である構成である。さらに、本発明の請求項4記載の漂
白剤組成物は、以上のように、繊維の漂白用の漂白剤組
成物である構成である。本発明の請求項5記載の漂白剤
組成物は、以上のように、パルプの漂白用の漂白剤組成
物である構成である。
【0137】上記の構成によれば、上記漂白剤組成物が
漂白助剤として上記の水溶性グラフト重合体を含む漂白
助剤を用いることで、貯蔵安定性および漂白性等の性能
に優れ、繊維やパルプの漂白に好適に用いることができ
る安価で安全な漂白剤組成物を提供することができると
いう効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08F 283/06 C08F 283/06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体
    を含むモノエチレン性不飽和単量体成分をポリエーテル
    化合物にグラフト重合してなる水溶性グラフト重合体を
    含むことを特徴とする漂白助剤。
  2. 【請求項2】請求項1記載の漂白助剤と漂白剤とを含む
    ことを特徴とする漂白剤組成物。
  3. 【請求項3】上記漂白剤が過酸化物系漂白剤であること
    を特徴とする請求項2記載の漂白剤組成物。
  4. 【請求項4】繊維の漂白用の漂白剤組成物であることを
    特徴とする請求項2または3記載の漂白剤組成物。
  5. 【請求項5】パルプの漂白用の漂白剤組成物であること
    を特徴とする請求項2または3記載の漂白剤組成物。
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