JPH11279439A - 珪酸ナトリウムを配合した表面塗膜材 - Google Patents

珪酸ナトリウムを配合した表面塗膜材

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JPH11279439A
JPH11279439A JP11986198A JP11986198A JPH11279439A JP H11279439 A JPH11279439 A JP H11279439A JP 11986198 A JP11986198 A JP 11986198A JP 11986198 A JP11986198 A JP 11986198A JP H11279439 A JPH11279439 A JP H11279439A
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幸雄 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】珪酸ナトリウム配合の塗膜材は、水に弱く塗膜
が損傷したり、塗膜下地から剥離する欠点があり、特に
ピグメントを配合して、その塗膜が耐久性のある、装飾
的耐磨耗性を持たせることが出来なかった。本発明は、
これらの弱点を改良することを課題とした。 【構成】本発明は、反応性のない、あるいは不活性のフ
ィラーおよびピグメント材を混合した高粘度の珪酸ナト
リウム液を、一回目のベースコートとし、一回目のベー
スコートが指触乾燥後、塩化カルシウムと塩酸溶液を混
合した硬化剤を、二回目の硬化コートとして塗布するこ
とで、コンクリート、スティールに装飾的耐磨耗性の、
珪酸ナトリウムをベースにした表面塗膜材を生成させる
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面塗膜材、特に珪酸ナ
トリウムを配合した表面塗膜材に関するものである。以
下の記述は、基本的にコンクリートの表面処理について
述べているが、本発明はそれに限定されるものではな
く、発明に関する表面塗膜材の施工は、適切な改善をす
ることにより、この発明が利用出来るいかなる下地をも
包含している。
【0002】
【従来の技術】コンクリート硬化材として、珪酸ナトリ
ウム(水ガラス)を使用することは、長い間知られてい
ることであり、例えば、珪酸ナトリウムの低粘度の溶液
を使用して、コンクリート表面に浸透させ、コンクリー
トと反応して不溶解性の珪酸カルシウムを生成させるこ
とは、伝統的に行われている。このような処理は、保護
機能(例えば耐油、耐酸、耐火)を改善したり、またコ
ンクリート表面の耐磨耗性を改善するために有効である
が、この処理は基本的に透明なものであり、このような
低粘度の溶液を使用して、本当の不透明のものにするこ
とは不可能であった。それは、ピグメントの分子が、珪
酸ナトリウムの分子より大きいために、珪酸ナトリウム
は吸収されるが、ピグメントはコンクリートに吸収され
ないでコンクリートの表面に残るためである。その結
果、コンクリート表面を着色するために使用されるピグ
メントは、簡単に磨耗したり、またコンクリートとピグ
メントの間、あるいは中間接着材との間に、効果的な接
着が起きていないため、ピグメントが簡単に剥離してい
た。
【0003】珪酸ナトリウムは前述の特性を持つこと、
および比較的に安価なものであるために、珪酸ナトリウ
ム配合の表面塗膜材として多くの試みがなされたが、主
として珪酸ナトリウム自身が極めて水に敏感であり、そ
れが前述の珪酸カルシウムに転換されない限りにおい
て、基本的に水に曝されて溶出したり劣化するため、処
理表面が破壊され、目的を達成することが出来なかっ
た。また、珪酸ナトリウムを硬化させる材料が幾つか知
られているが、効果が不充分、特にその反応時間の面で
不充分であることが証明されており、そのために、珪酸
ナトリウムを表面処理材として使用することに限界があ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、珪酸ナトリ
ウム配合を基にして、前述のコンクリートの伝統的低粘
度処理材の持っている欠点を、ある程度或いは完全に克
服し、不透明の表面処理材を構成するための効果を改善
し、コンクリート、スティールなどに、装飾的耐磨耗性
の保護機能を持つ、表面塗膜材を提供することにある。
最少に見ても、本発明はコンクリートあるいは他の表面
を保護するための有効な表面塗膜材を提供するものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、非反応性の不
活性フィラーおよびカラーピグメント材を混合した、高
粘度の珪酸ナトリウム溶液を一回目のベースコートと
し、一回目のベースコートが指触乾燥した後、塩化カル
シウムと塩酸溶液を混合した硬化剤を、二回目の硬化コ
ートとして塗布することで、コンクリート、スティール
などの表面に、装飾的耐磨耗性を持つ、珪酸ナトリウム
をベースとした表面塗膜を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】代表的な珪酸ナトリウムの低粘度
溶液は、珪酸ナトリウム溶液1重量部に対し、水4重量
部の割合を使用していた。本発明の溶液は、珪酸ナトリ
ウム溶液3〜4重量部に対し、水1重量部の割合を採用
することにより、粘度を最大にし、それによって一回目
のベースコートのコンクリートあるいは他の下地への浸
透を少なくしている。水の比率は、使用する珪酸ナトリ
ウム溶液粘度が高い、1号珪酸ナトリウム溶液の場合に
は、粘度が低い3号珪酸ナトリウム溶液を使用する場合
に較べて、高くする必要があること、また使用するフィ
ラーの量により、塗布性を調節することも必要であり、
上記の範囲が好ましい。水の比率が硬化塗膜に与える影
響として、上記の範囲より大きいと、硬化塗膜の性能、
すなわち硬度や耐水性が悪くなり、またその比率が小さ
いと粘度が高すぎて、均一の塗布が難しくなるる。ま
た、珪酸ナトリウム溶液に替えて、珪酸カリウム溶液を
使用することが出来るが、価格が高く経済的メリットが
ない。非反応性の不活性フィラーの例として、適切なピ
グメントが使用出来る粉末クォーツ(粉末無水珪酸と呼
ばれている)を使用することが好ましい。他に粉末ガー
ネット、粉末角閃石なども使用出来るが、高価となる。
粉末クォーツは、主として塗膜の硬度、耐磨耗性、耐酸
性を高めるものである。したがって、その使用量は塗膜
下地の材料により、また塗膜の硬度、耐磨耗性、耐酸性
の要求度合いにより適宜の量を幅広く選択することが出
米る。
【0007】本発明の硬化剤は、特に反応性が高いもの
として発見された。このような表面処理を必要とする屋
外の施工の場合、材料の養生のために取られる時間から
起こる工事の遅れは、基本的に極めて重大で、特に雨が
予想される場合を考えると、反応性が高いことが非常に
重要な事柄となる。さらに、他の作業も、通常、建物の
現場で行うことが要求され、全面積を長い時間ふさい
で、かかる反応が起きるのを待っていることは出来な
い。出来得れば、二回のコートのうち、どちらかあるい
は両方に、最初のベースコート塗膜に硬化剤が浸透する
のを助けるために、フッ素系界面活性剤の使用が非常に
有効である。
【0008】本発明の塗膜を表面に施工した時、水に敏
感な珪酸ナトリウムが、水に不敏感なものに非常に早く
変換される。しかし、充分な反応がおきるためには、充
分な量の硬化剤を塗布して、充分な反応を得ることが非
常に重要である。したがって、二回目の硬化剤コート
を、最低二回塗布し、ベースコートを充分硬化剤と反応
させることが望ましい。
【0009】ベースコートの粘度を高くしたために、ベ
ースコートがコンクリートに吸収されてしまうことを防
ぎ、ベースコート底面の珪酸ナトリウムが、コンクリー
トと反応して、水に不溶解の珪酸塩となり、残りの珪酸
ナトリウは、硬化剤と充分反応して比較的厚い表面塗膜
を形成し、その中にピグメントを封入、接着させる。
【0010】最初のベースコートは、最少約10〜15
分で指触乾燥し、硬化剤の二回目コートは、その後いつ
でも塗布することが出来る。この時ベースコートは、養
生されるまでは、水や磨耗による損傷の危険があること
に注意する必要がある。一回目のベースコートは適切な
方法、例えばローラー、刷毛、スプレーで塗布すること
が出来る。二回目の硬化剤コートは、どんな適切な方法
でも施工出来るが、霧スプレーを使用して湿潤状態にす
ることが良い。また、硬化剤の組成は、37重量%の塩
酸を6〜12重量%、塩化カルシウム3〜10重量%、
および残りを水としたものが好ましい。塩酸、塩化カル
シウムがこれより多いと、硬化ムラが発生しやすくな
り、少ない場合は硬化が不充分となり易い。テストで
は、塩酸と塩化カルシウムは、別々に硬化剤として反応
することを示している。しかしながら、前記の割合で混
合した時、硬化剤のpH値が大幅に下がり、硬化反応が
非常に早くなる。このように、本発明は最初のベースコ
ートの指触乾燥後に、硬化剤を適用することにより、高
速の硬化反応を起こし、非常に堅牢な耐久性のある、装
飾的塗膜とすることが出来る。
【0011】
【実施例1】ベースコートおよび硬化剤の配合として、
以下のものを使用した。 ベースコートの配合 3号珪酸ナトリウム溶液 800g 水 190g フッ素系界面活性剤1%溶液 10g 粉末クォーツ(50〜400メッシュ) 1200g ピグメント(ベンガラ系) 50g 硬化剤(二回目コート) 塩酸(37重量%) 10g 塩化カルシウム 5g 水 83g フッ素系界面活性剤1%溶液 2g 先ず、上記ベースコートを、20cm×40cm、厚さ
3cmのコンクリート試験片の表面に刷毛を用いて厚み
が約2mmとなるように均等に塗布した。約30分後、
この一回目コートが指触乾燥となった後、上記硬化剤
(二回目コート)を刷毛塗りした。さらに約30分後、
もう一回上記硬化剤を刷毛により塗布した。1日後、塗
膜は非常に固くなっており、艷のある美観の良い褐色の
塗膜となっていた。この塗膜に、90〜100psiの
水圧を持つ高圧水を当てたが、30分後もなお塗膜は堅
牢であり、水に侵食されず、何らの変化も観察されなか
った。また、この塗膜を、ワイヤーブラシでこすった
が、いささかの擦過傷も発生せず、また塗膜がコンクリ
ート試験片から剥離することもなかった。さらに、この
塗膜は自身は、37重量%塩酸、灯油などに耐性がある
ことも確認された。また、前記ベースコート配合物は、
3ケ月常温で放置しても、粘度の変化が無く安定であ
り、さらにピグメントとして、黄色、青色など金属酸化
物系のものは、いずれも安定しており、使用できること
が確認された。
【0012】
【実施例2】ベースコートの配合として、以下のものを
使用し、実施例1と同様の硬化剤を使用し、同様の方法
で、コンクリート試験片に、塗膜を生成させた。 1号珪酸ナトリウム溶液 760g 水 230g フッ素系界面活性剤1%溶液 10g 粉末クォーツ(50〜400メッシュ) 700g ピグメント(ベンガラ系) 50g 1日後、塗膜は非常に固くなり、艷のある美観の良い褐
色の塗膜となった。実施例1と同様の水圧テスト、ワイ
ヤーブラシテストにおいて、塗膜に何らの侵食や、擦過
傷の発生も認められなかった。
【0013】
【実施例3】ベースコートの配合として、実施例1の3
号珪酸ナトリウム溶液を4号珪酸ナトリウム溶液800
gにかえた以外は、実施例1と全く同様の配合、同様の
硬化剤、同様の方法で、コンクリート試験片に、塗膜を
生成させた。1日後、塗膜は非常に固くなり、艷のある
美観の良い褐色の塗膜となった。実施例1と同様の水圧
テスト、ワイヤーブラシテストにおいて、塗膜に何らの
侵食や、擦過傷の発生も認められなかった。
【0014】
【発明の効果】記述した珪酸ナトリウム配合を使用する
本発明の効果は、以下の通りである。 (1)着色した堅牢な表面塗膜が得られる。(2)硬化
剤は非常に早く、ベースコートの養生を行なわせ、他の
知られた処理に較べて高い耐水性を持つ表面塗膜が得ら
れる。 (3)硬化剤は、非常に早くベースコートを固化させ、
完全な塗膜を作る。 (4)さらに、フッ素系界面活性剤の添加は、水相の表
面張力を減少させ、珪酸ナトリウムと硬化剤の接触を非
常に良く馴染ませる働きを持つ。 以上、本発明の幾つかの具体的なものだけを述べたが、
本発明の展望よりして、熟練した改良も加えることが出
来る。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非反応性あるいは不活性フィラーおよび
    着色用ピグメントを混合した高粘度珪酸ナトリウム溶液
    を一回目のベースコートとし、一回目コートが指触乾燥
    後、塩酸に塩化カルシウムを添加した溶液によって構成
    される硬化剤を二回目コートとすることを特徴とする、
    コンクリート、あるいはスティールに使用される、珪酸
    ナトリウムをベースとする装飾的耐磨耗性の表面塗膜
    材。
  2. 【請求項2】 請求項1の高粘度珪酸ナトリウム溶液
    は、珪酸ナトリウム溶液3〜4重量部に対し、水1重量
    部であることを特徴とする、珪酸ナトリウムをベースと
    する装飾的耐磨耗性の表面塗膜材。
  3. 【請求項3】 請求項1および請求項2の、非反応性、
    あるいは不活性フィラーは粉末クォーツであることを特
    徴とする、珪酸ナトリウムをベースとする装飾的耐磨耗
    性の表面塗膜材。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2および請求項3で使
    用される硬化剤は、非常に反応性が高いものであること
    を特徴とする、珪酸ナトリウムをベースとする装飾的耐
    磨耗性の表面塗膜材。
  5. 【請求項5】 請求項1、請求項2、請求項3および請
    求項4で使用されるベースコートおよび硬化剤のいずれ
    か、または両方に、塗膜に硬化剤が浸透し易くするため
    に、フッ素系界面活性剤を添加することを特徴とする、
    珪酸ナトリウムをベースとする装飾的耐磨耗性の表面塗
    膜材。
  6. 【請求項6】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4および請求項5において、ベースコートが硬化剤と充
    分反応することを保障するために、最低2回の硬化剤塗
    布をすることを特徴とする、珪酸ナトリウムをベースと
    する装飾的耐磨耗性の表面塗膜材。
  7. 【請求項7】 請求項6の硬化剤の1回塗りまたは2回
    塗りは、ベースコートが指触乾燥後、すなわち最低15
    分経ってから行うことを特徴とする、珪酸ナトリウムを
    ベースとする装飾的耐磨耗性の表面塗膜材。
  8. 【請求項8】 請求項6または請求項7において、最初
    のベースコートを適切な方法、たとえばローラー、刷毛
    あるいはスプレイで行うことを特徴とする、珪酸ナトリ
    ウムをベースとする装飾的耐磨耗性の表面塗膜材。
  9. 【請求項9】 請求項6、請求項7および請求項8にお
    いて、硬化剤の1回塗り、または2回塗りを、湿潤を充
    分にするため、霧スプレーで行うことを特徴とする、珪
    酸ナトリウムをベースとする装飾的耐磨耗性の表面塗膜
    材。
  10. 【請求項10】請求項1から請求項9のどれにも使用す
    るベースコートの成分が、珪酸ナトリウム溶液70〜8
    3重量%および水17〜30重量%からなる水溶液10
    0重量部に対して、フッ素系界面活性剤1%水溶液を1
    〜3重量部、ピグメント2.5〜6.0重量部および5
    0〜400メッシュの粉末クォーツ60〜200重量部
    を配合することを特徴とする珪酸ナトリウムをベースと
    する装飾的耐磨耗性の表面塗膜材。
  11. 【請求項11】請求項1から請求項10のどれにも使用
    する2次的コートの硬化剤の成分が、37重量%塩酸6
    〜12重量%、塩化カルシウム3〜10重量%および水
    78〜91重量%の水溶液100重量部に対して、フッ
    素系界面活性剤1%水溶液を1〜3重量部配合すること
    を特徴とする、珪酸ナトリウムをベースとする装飾的耐
    磨耗性の表面塗膜材。
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