JPH11277671A - 耐剥離性に優れた樹脂複合型制振金属板 - Google Patents

耐剥離性に優れた樹脂複合型制振金属板

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JPH11277671A
JPH11277671A JP10086713A JP8671398A JPH11277671A JP H11277671 A JPH11277671 A JP H11277671A JP 10086713 A JP10086713 A JP 10086713A JP 8671398 A JP8671398 A JP 8671398A JP H11277671 A JPH11277671 A JP H11277671A
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Nobuo Kadowaki
伸生 門脇
Takanao Fukuda
高尚 服田
Katsuya Emoto
克也 江本
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Nippon Steel Corp
Toyobo Co Ltd
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Nippon Steel Corp
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】トラックのオイルパン等の自動車部品に対して
車外騒音低減を目的として制振鋼板が用いられている
が、オイルパンのような深絞り成形においては、成形中
あるいは成形後の焼付塗装工程で樹脂層が剥離し易いた
め、成形品の制振性能が十分発揮されなくなる。このた
め、従来の制振鋼板では、樹脂が高い制振性能を持って
いても、樹脂層が剥がれてしまって十分な騒音低減効果
が得られなかった。 【解決手段】6%伸びにおける耐力が1kgf/mm2 以下、
破断伸びが300%以上であり、かつ、T剥離強度が10kgf/
25mm以上であるゲル分率50% 以上の熱硬化型樹脂を中間
樹脂層とする制振金属板を用いることにより、深絞り成
形品の樹脂層の剥離を抑制することができるので、十分
な騒音低減効果を得ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2枚の金属板の間
に樹脂層を積層してなる樹脂複合制振金属板に関する。
本発明による成形品としては、エンジンオイルパン、エ
ンジンヘッドカバー、エンジンルーム遮蔽板、ダッシュ
パネル、フロアパネル、ギアカバー、チェーンカバー、
マフラーカバー、マフラー、フロアハウジング等の自動
車、二輪車、農耕機等の部品や、モーターカバー、コン
プレッサーカバー、エバポレーター、カバー等の冷凍温
度調節機器部品や、携帯型カセットテープレコーダーお
よびCD、コンピューターケース、ハードディスクケー
ス、スピーカーフレーム等の音響電子部品、および、チ
ェーンソーカバー、発電機カバー、草刈機カバー等の野
外部品等が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】従来から、トラックのオイルパン等の自
動車部品に対して車外騒音低減を目的として制振鋼板が
用いられているが、オイルパンのような深絞り成形にお
いては、成形中あるいは成形後の焼付塗装工程で樹脂層
が剥離し易いことが知られている。樹脂層が剥離すると
横波振動が伝わってきても樹脂の剪断ズレが起きないの
で、成形品の制振性能が十分発揮されなくなる。図1
に、熱可塑性制振樹脂を使用した制振鋼板を実際のオイ
ルパンに成形し、焼付前後で制振性能がどのように変化
するか、調べた例を示す。焼付塗装前は、樹脂の剥離が
少ないため、高い制振性能を示しているが、焼付塗装を
行うと壁部で樹脂が剥離してしまうため、樹脂層の剪断
変形が発生しなくなり、制振性能が低下してしまう。こ
のため、従来は、焼付塗装後の樹脂剥離を防ぐために成
形形状等に工夫を凝らす等の対策を施す必要があった。
【0003】このような問題に対して、従来から、いく
つかの提案がなされている。例えば、鋼板の樹脂接着面
にCr換算で50〜150mg/m2の塗布型クロメート処理を施し
樹脂の密着性を向上させた樹脂複合型制振鋼板(特開平
5-138800号公報)や、制振鋼板をプレス成形した後にス
ポット溶接によって表裏鋼板間を固着する方法(特開平
6-292928号公報、実開昭63-76322号公報、実開平2-1380
16号公報)や、プレス成形品の垂直な壁部分の高さを60
mm以下として、それ以外の壁部分を垂直な壁に対して3
°以上傾けた傾斜壁とした例(実開平1-153818号公報)
や、実開平1-153818号公報記載のプレス成形品の壁に更
にフランジ面から底面付近まで延在した溝をつける例
(実開平1- 153819 号公報) などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来から、自動車の騒
音規制等の騒音規制が行われているが、近年、さらに加
速走行騒音の規制を強化する動きが見られ、自動車の車
外騒音対策が急務となっている。これに対し、トラック
を中心に従来からエンジン騒音を低減させることを目的
としてエンジンオイルパンやエンジンヘッドカバーに制
振鋼板の適用が進められてきており、今後さらに制振性
能を向上させることが検討されている。
【0005】ところで、制振鋼板の振動減衰機構は、横
波振動が制振鋼板に伝わった際に、鋼板間樹脂層の剪断
ズレ変形が発生し、その際の樹脂の内部摩擦で振動が熱
エネルギーとなって消散することによっている。このた
め、効果的に振動を減衰させるためには、樹脂の剪断ズ
レが支障なく十分に起るようにしてやらなければならな
い。
【0006】しかしながら、オイルパンのような深絞り
成形においては、成形時に板がビードやダイス片部を通
過する際に樹脂層に強い剪断力が加わるため、特に深絞
り壁部で鋼板と樹脂の界面が剥離する不良が多発しやす
い。制振樹脂が剥離すると鋼板の拘束がなくなるため樹
脂の剪断ズレが起きなくなる。このため、制振樹脂が剥
離したオイルパンは、制振性能の高い樹脂を用いても十
分に制振効果を発揮することができなくなってしまう。
【0007】このような観点から上記従来の発明を鑑み
ると、必ずしも十分満足のいく効果をあげられるもので
はなかった。特開平5-138800号公報では、樹脂複合型制
振鋼板のプレス成形品の接着強度を改善することを目的
として、鋼板の樹脂接着面にCr換算で50〜150mg/m2の塗
布型クロメート処理を施し樹脂の密着性を向上させてお
り、従来より樹脂密着性を改善するものではあったが、
焼付塗装を行うと樹脂が流動し、剥離してしまうため、
成形品の剥離を防ぐ目的に対しては十分とは言えない。
【0008】また、特開平6-292928号公報、 実開昭63-7
6322号公報、 実開平2-138016号公報は、成形品の壁部を
スポット溶接によって強制的に固着させ剥離を防ごうと
するものであるが、前記のように、制振鋼板の制振性能
は樹脂層の剪断ズレに伴う樹脂の内部摩擦に起因してい
るので、その樹脂層の剪断ズレをスポット溶接で妨げて
しまっては、樹脂の持っている高い制振性能を十分に活
かすことができない。このため、最良の解決策とは言い
難い。
【0009】また、実開平1-153818号公報や、実開平1-
153819号公報のように、壁部の構造を変えることによっ
て深絞り壁部の剥離を少なくする方法は、成形時の剥離
を抑えるには効果があると考えられるが、適用できる形
に制約があるため、一般的な解決策とは言えない。ま
た、焼付塗装後の剥離防止に対しては、必ずしも満足す
べき効果を上げ得る方法とは言えない。
【0010】本発明は、上記従来の発明では解決され得
なかった、樹脂複合型制振金属板の深絞り成形品の樹脂
層の剥離を防止し、騒音低減効果の高い部品を提供する
ことを目的として、耐剥離性に優れた樹脂複合型制振金
属板を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するため鋭意検討を行った結果、樹脂複合型制
振金属板の中間樹脂層の最適化を行うことにより、耐剥
離性に優れた樹脂複合型制振金属板の製造が可能となる
ことを見出し、オイルパン等の深絞り成形部品の樹脂層
の剥離を改善することに成功したものである。
【0012】すなわち、本発明の要旨は、(1)表裏層
が金属板であり、中間層が制振樹脂層である制振板にお
いて、中間樹脂層が、6%伸びにおける耐力が1kgf/mm
2 以下、破断伸びが300%以上であり、かつ、T剥離強度
が10kgf/25mm以上であるゲル分率50%以上の熱硬化型樹
脂であることを特徴とする耐剥離性に優れた樹脂複合型
制振金属板、(2)前記表裏金属板の少なくとも制振樹
脂層との接触面にクロメート処理を施したことを特徴と
する(1)記載の耐剥離性に優れた樹脂複合型制振金属
板、(3)前記制振樹脂層の主成分が非晶質ポリエステ
ルとエポキシ樹脂からなる熱硬化型樹脂であることを特
徴とする(1)ないし(2)のいずれか1項に記載の耐
剥離性に優れた樹脂複合型制振金属板、である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。樹脂複合型制振金属板を製造する方法とし
ては、表裏金属板を加熱炉あるいは加熱ロール等で加熱
し、表裏金属板間に熱可塑性樹脂のフィルムを挿入圧着
することにより熱融着させる方法と、塗料タイプの樹脂
を表裏鋼板の樹脂接着面側にロールコーターやナイフエ
ッヂコーター、カーテンフローコーター等によって塗布
し乾燥炉等を通して溶剤を揮発させた後、加熱圧着する
方法がある。一般に前者をフィルムタイプ、後者を塗布
タイプと呼んで区別している。
【0014】フィルムタイプと塗布タイプの大きな違い
は、フィルムタイプは熱可塑性樹脂でないと樹脂フィル
ムが融着しないので、熱硬化性樹脂は使えないのに対
し、塗布タイプは架橋剤を添加した、いわゆる熱硬化性
樹脂でも乾燥温度と圧着温度および架橋剤の量等をコン
トロールすることによりゲル化することなく熱可塑性樹
脂と同様に良好な密着性を得ることができる点で異な
る。本発明の耐剥離性に優れた樹脂複合型制振金属板
は、主に上記塗布タイプの製造方法によって製造される
ものである。
【0015】次に本発明の樹脂複合型制振金属板の中間
樹脂層に関して述べる。本発明に用いられる樹脂複合型
制振金属板の中間樹脂層は熱硬化型樹脂でなければなら
ない。熱可塑性のものだと、焼付塗装温度(160〜220
℃) になると樹脂が柔らかくなりすぎ流動してしまうた
め、深絞り成形品の壁部や曲げ加工品のように表裏板に
残留応力があると樹脂層で剥離してしまう。
【0016】一方、中間樹脂層が熱硬化型樹脂ならば、
高分子鎖どうしが3次元網目状に架橋されるので、高温
になっても樹脂の流動が起らない。このため、加工後焼
付塗装を行っても樹脂の剥離が起らない。この時、樹脂
のゲル分率が50%以上である必要がある。ゲル分率が50
%以上あれば、高温での流動防止に必要な高分子鎖の3
次元網目が形成されているが、ゲル分率が50%未満で
は、未架橋の高分子鎖が多いため高温での流動を完全に
抑制することができない。
【0017】さらに、深絞り性に関していえば、焼付塗
装前のプレス加工品において、樹脂の剥離を防止するに
は、中間樹脂層の6%伸びにおける耐力が1kgf/mm2
下であり、かつ、破断伸びが300%以上であり、また、T
剥離強度が10kgf/25mm以上必要である。
【0018】6%伸びにおける樹脂の耐力が1kgf/mm2
を超えると、板がビードあるいはダイスを通過する際、
樹脂が硬いため、曲げ、および、曲げ戻し変形を受ける
部分において、樹脂と鋼板の界面に応力集中が起こり、
剥離を起こしてしまうと考えられる。また、中間樹脂層
の6%伸びにおける耐力が1kgf/mm2 以下であっても、
樹脂の破断伸びが300%未満だと、局部的な応力集中は避
けられるが、曲げ、曲げ戻し部における変形に樹脂層の
変形が追従しきれず、部分的に樹脂が破断し、さらに破
断点に応力集中するために剥離に至ってしまうものと考
えられる。また、中間樹脂層の6%伸びにおける耐力が
1kgf/mm2 以下であって、破断伸びが300 %以上であっ
ても、T剥離強度が10kgf/25mm未満では、やはり、曲
げ、曲げ戻し加工によって剥離しやすくなるので好まし
くない。
【0019】本発明の中間樹脂層の樹脂の主成分として
は、非晶質ポリエステル樹脂が、耐熱性が高く、かつ、
制振性も高いので、最も好ましい。制振性能が最大とな
る温度は、樹脂のガラス転移点温度によって決まるが、
非晶質ポリエステル樹脂の選択に当っては、所望される
制振性の温度ピークになるよう適宜最適なガラス転移点
温度を持つ樹脂を選択すれば良い。ガラス転移点温度に
対して制振性のピーク温度は30〜40℃高い関係にあるの
で、オイルパンなどのエンジン周り(70 〜100℃) の部
品に対しては、30〜70℃のガラス点移点温度を有する非
晶質ポリエステルを用いれば良い。
【0020】非晶質ポリエステル樹脂の架橋剤としては
エポキシ樹脂と酸無水物(あるいは、末端をカルボン酸
変性した非晶質ポリエステルとエポキシ樹脂の反応でも
良い) 、イソシアナート化合物、 あるいはメラミン系化
合物などがあるが、樹脂の乾燥・圧着工程で架橋速度を
コントロールしやすく、かつ、耐熱性に優れる点で、エ
ポキシ樹脂と酸無水物(あるいは、末端をカルボン酸変
性した非晶質ポリエステルとエポキシ樹脂の反応でも良
い) の架橋系が最も好ましい。
【0021】また、接着性を向上安定化させる目的で樹
脂中に炭酸カルシウム、タルク、マイカなどの無機フィ
ラーを適宜添加しても良い。さらに、上記樹脂中に電気
抵抗溶接性を付与することを目的として導電性固体物質
を配合することもできる。導電性固体物質の例として
は、ステンレス、ニッケル、鉄、銅、亜鉛、すず、黄銅
などの金属を粉末状、フレーク状、ファイバー状、ワイ
ヤー状などに加工した金属物質や、カーボンブラック、
グラファイト、カーボンファイバーなどの導電性炭素物
質などを挙げることができる。
【0022】上記樹脂複合型制振金属板の製造方法につ
いてであるが、まず、制振樹脂厚みについては、用途に
応じて適宜決められれば良いが、20μm 以下では十分な
接着強度が発揮されないため好ましくない。
【0023】乾燥圧着工程では、鋼板と樹脂との密着性
を上げ、かつ、製造後の樹脂層のゲル分率が50%以上に
なるようにするために、まず乾燥工程では温度を低めに
して過硬化を抑制し圧着時の鋼板への樹脂の濡れ性を上
げるようにし、圧着工程では、温度を高くして硬化速度
を上げるように温度制御するのがより好ましい。この
時、樹脂中に硬化反応速度を上げる目的で種々の触媒を
添加しても良い。
【0024】また、樹脂密着性を安定させる目的で、表
皮金属板の樹脂接着面側の表面にクロメート処理あるい
はシランカップリング剤処理を施すと、鋼板との界面の
密着強度が安定するので良い。
【0025】以上詳述したように、本発明の樹脂複合型
制振金属板を用いれば、従来、困難であったオイルパン
などの深絞り成形品の樹脂層の剥離を防止することがで
きるので、高い制振性能を持った成形品を製造すること
が可能となる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。本実施例において使用した樹脂複合型制振金属板の
製造方法は以下の通りである。 樹脂塗布:溶剤希釈された樹脂をバーコーターを用い
て片側の金属板の接着面に塗布する。 溶剤乾燥:乾燥炉で溶剤を完全に揮発させる(板温約
170 ℃、乾燥時間約1〜2分) 。この時、もう一方の金
属板も同じ炉内で加熱しておき、乾燥終了と同時に貼り
合わせられるようにしておく。 圧着:樹脂塗布した金属板と他方の金属板を乾燥炉か
ら取出したら、速やかに加熱ロール(約200 ℃) によっ
て圧着する。 冷却:圧着後空冷によって板温度を室温まで冷却す
る。
【0027】以下に成形性の評価方法について述べる。
深絞り成形試験で樹脂が剥離する部分は主にビードおよ
びダイス肩部を板が通過する際の曲げ曲げ戻し部でる。
そこで成形性の評価には図2に示したようなビードとダ
イス肩部を模した型を用いて、板材の引抜き加工を行っ
た。引く抜く板材の寸法は、幅20mm、長さ250mm で、引
抜き長さは200mm で、引張速度は500mm/分である。型の
押え荷重は、350kgfで、潤滑は防錆油(6cst, 1g/m2) の
みとした。
【0028】加工後、樹脂が剥離したかどうか確認する
ために、曲げ曲げ戻し加工を受けた部分の表鋼板面から
裏鋼板面側への超音波透過率を測定した。超音波透過率
の測定は、超音波探傷機の透過モードを利用して測る
が、超音波の受発信部はドライタイプのセンサーを板の
表裏面に5kgf/cm2 の圧力で押えつけるようにした治具
を使用することによって測定ごとのバラツキがないよう
にした。
【0029】剥離の判定は、未加工部の超音波透過率を
100%としてレベル調整した時の、加工部の超音波透過率
の値から評価する。図3に示すように超音波透過率と接
着強度の間には良い相関があり、超音波透過率が0の場
合には樹脂が完全に剥離している状態である。
【0030】サンプル間の優劣評価は、加工部の長さ20
0mm を20mm間隔に分け、全ブロックの超音波透過率を測
定して透過率が0となる部分のブロック数の割合で表し
た。また、各サンプルの密着性は、測定した各ブロック
の超音波透過率の平均値から評価した。焼付塗装後の樹
脂剥離を調べるために、引抜き試験後、超音波透過率を
測定したサンプルを乾燥炉で200 ℃、20分間加熱処理
し、再度超音波透過率を測定する。
【0031】表1に、作製した樹脂複合型制振金属板に
使用した樹脂とその特性および樹脂厚を示した。樹脂の
引張特性は、インストロン型引張試験機を用いて、厚み
約100 μm 、 幅15mm長さ 100mmとしたフィルムを温度23
℃、速度50mm/分の条件で引張った時の応力と引張り長
さの関係から求めた値である。ゲル分率は、クロメート
処理した0.5mm 厚の鋼板を用いて制振金属板を作製した
後、制振板を剥離させ、片側にフィルムが残っている部
分を25×50mmに切断し、メチルエチルケトン(MEK) の液
に3分間浸漬乾燥した後の樹脂の残留分の重量比率を、
MEK 浸漬前後のサンプルの重量を測定することによって
求めた。T剥離強度の測定は、表皮材板厚0.5mm 、樹脂
層厚50μm の制振板から幅25mm長さ150 mmの試験片を採
取し、インストロン型引張試験機で試験片端部の表裏鋼
板を180 °方向に引張った時の荷重によって評価した。
試験条件は、温度23℃、引張速度50mm/分で行った。
【0032】
【表1】 (1):東洋紡績(株) 製ポリエステル、Tg=−16℃、数
平均分子量=25000 (2):東洋紡績(株) 製ポリエステル、Tg=71℃、 数平
均分子量=12000 (3):ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 (4):東都化成(株) 製ビスフェノールA型エポキシ樹
脂 (5):東洋紡績(株) 製ポリエステル、Tg=−15℃、 数
平均分子量=25000 (6):東洋紡績(株) 製ポリエステル、Tg=7℃、 数平
均分子量=20000 (7):東洋紡績(株) 製ポリエステル、Tg=67℃、 数平
均分子量=15000 (8):東洋紡績(株) 製ポリエステル、Tg=11℃、 数平
均分子量=12000 (9):東洋紡績(株) 製ポリエステル、Tg=60℃、 数平
均分子量=13000
【0033】表1の制振樹脂を用いて作製した制振金属
板を表2に示す。
【表2】
【0034】実施例1〜実施例10の本発明の範囲内にあ
る樹脂複合型制振金属板は、曲げ曲げ戻し加工後、並び
に、加工後焼付を行っても剥離する部分が非常に少な
く、かつ、超音波透過率で見た樹脂の密着性も良好なレ
ベルを保っている。比較例1〜3および比較例6は、樹
脂の0.6%伸びにおける耐力が1kgf/cm2 を超えるもので
あるが、いずれも加工後に樹脂の剥離が発生する。特
に、0.6%伸びにおける耐力が高い比較例6は加工後に全
面積剥離する。また、比較例1〜3も焼付によって剥離
面積が大きくなる。比較例4は、樹脂の破断伸びが300%
未満の例であるが、比較例1〜3同様、加工後、既に剥
離が発生しており、焼付を行うことで、更に剥離面積が
大きくなっている。比較例5は、ポリウレタン樹脂を使
用した、ゲル分率が50未満の例であるが、加工後の剥離
は発生しないが、焼付を行うと殆ど剥離してしまう。比
較例7は、T剥離強度が10kgf/25mm以下の例である。加
工後、および、焼付後、剥離が発生している。また、密
着性も実施例のものに比べて低くなっている。比較例8
は、熱可塑性樹脂で、剥離強度が10kgf/25mm未満の例で
あるが、焼付後に全面剥離してしまった。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
オイルパンなどの深絞り成形品において、制振金属板を
用いても、焼付塗装後に制振樹脂層が剥離することがな
く、高い制振性能を維持すること可能であり、工業的に
極めて重要な発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱可塑性制振鋼板を用いて成形された実際のオ
イルパンの制振性能を焼付塗装前後で比較したグラフ例
である。制振性の測定は、オイルパンを恒温槽中に吊る
し、インパクトハンマーでオイルパン側壁部を叩き、そ
の時の打撃力と壁部の応答加速度から伝達関数を求め、
共振点の制振性能を半値幅法で表すことによって行っ
た。
【図2】ビードおよびダイス肩の曲げ曲げ戻し成形を模
した板の引抜き試験治具の概略図である。
【図3】図3は、実際の制振鋼板製オイルパンの各部か
ら切り出した20×50mmのサンプルの超音波透過率と剪断
接着強度を測り、超音波透過率と剪断接着強度の関係を
調べたグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江本 克也 大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号 東洋紡績株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表裏層が金属板であり、中間層が制振樹
    脂層である制振板において、中間樹脂層が、6%伸びに
    おける耐力が1kgf/mm2 以下、破断伸びが300%以上であ
    り、かつ、T剥離強度が10kgf/25mm以上であるゲル分率
    50%以上の熱硬化型樹脂であることを特徴とする耐剥離
    性に優れた樹脂複合型制振金属板。
  2. 【請求項2】 前記表裏金属板の少なくとも制振樹脂層
    との接触面にクロメート処理を施したことを特徴とする
    請求項1記載の耐剥離性に優れた樹脂複合型制振金属
    板。
  3. 【請求項3】 前記制振樹脂層の主成分が非晶質ポリエ
    ステルとエポキシ樹脂からなる熱硬化型樹脂であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれか1項に
    記載の耐剥離性に優れた樹脂複合型制振金属板。
JP10086713A 1998-03-31 1998-03-31 耐剥離性に優れた樹脂複合型制振金属板 Pending JPH11277671A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006059761A1 (ja) * 2004-12-03 2006-06-08 Nippon Steel Corporation 耐久密着性に優れたクロメートフリー樹脂複合型制振材料
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