JPH11277308A - 防振中ぐり工具 - Google Patents

防振中ぐり工具

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JPH11277308A
JPH11277308A JP8741398A JP8741398A JPH11277308A JP H11277308 A JPH11277308 A JP H11277308A JP 8741398 A JP8741398 A JP 8741398A JP 8741398 A JP8741398 A JP 8741398A JP H11277308 A JPH11277308 A JP H11277308A
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JP
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vibration
core member
boring tool
shank
shank core
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JP8741398A
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Inventor
Daisuke Hase
大輔 長谷
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】小径深穴の中ぐり加工において、十分な防振効
果が得られ、高剛性および摩擦減衰効果を兼ね備えるよ
うにした。 【解決手段】シャンク芯部材6に筒状部材7を接合して
シャンク4を構成した防振中ぐり工具であって、筒状部
材7がシャンク芯部材6と比較して高熱膨張係数を有し
かつ軟質材料からなり、シャンク芯部材6と筒状部材7
を焼きばめ構造にて接合した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中ぐり加工に用い
る防振中ぐり工具に係り、特に深穴の中ぐり加工を行う
場合、工具と工作物との間に発生するびびり振動を有効
に抑制可能な防振中ぐり工具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工具と工作物との間に発生するび
びり振動を抑制する防振中ぐり工具には、次のようなも
のがある。すなわち、第1の中ぐり工具は、シャンク部
に超硬合金などの高剛性材料が使用され、第2の中ぐり
工具は、シャンク部に制振合金材料が使用され、第3の
中ぐり工具は、合金鋼製のシャンク部(硬度:HRC5
0)の芯部に、超硬合金棒を筋金として圧入したものが
使用され、さらに第4の中ぐり工具は、シャンク部の内
部に防振装置を組み込んだアタプタが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
中ぐり工具は、超硬合金などの高剛性材料を用いている
ため、剛性面では最も優れているものの、減衰効果が低
い。このため、特に直径20mm以下の小径深穴用の中
ぐり工具は、工具の突き出し長さと工具径との比が5倍
以上になると、十分な防振効果が得られないという課題
がある。
【0004】また、第2の中ぐり工具は、シャンク部に
制振合金材料を用いているため、減衰効果は優れている
ものの、剛性が低い。このため、制振合金製のシャンク
部は、超硬合金などの高剛性材料以上の防振効果が得ら
れないという課題がある。
【0005】すなわち、第2の中ぐり工具において、シ
ャンク部に用いられている制振合金は、剛性が低く、そ
れを補うために超硬合金の両側を制振合金で挟んだ工具
がある。
【0006】しかしながら、この工具は工作物が回転す
る旋削用の工具シャンクであり、工具側が回転する転削
用ではない。また、接着剤を使用しているため、例えば
シャンク芯部材とリング状部材とを組み合わせて転削用
工具を造るには、両者の部品精度を高めたり、接着剤の
厚みの不均一性によるばらつき対策が必要となり、製造
工数が増加し、高価な工具になるという課題がある。
【0007】さらに、第3の中ぐり工具は、合金鋼製の
シャンク部の芯部に深穴加工した後、超硬合金棒を圧入
するため、製造工数が増加し、製造コストが高くなり、
減衰効果も小さい。そして、剛性は良好であるものの、
合金鋼と超硬合金はいずれも高剛性材料であるため、両
者の機械的強度差が小さく、かつ境界部分での密着性が
不十分である。このため、すべり摩擦による減衰効果
は、ほとんど期待できない。
【0008】また、第4の中ぐり工具は、シャンク部の
内部に防振装置を組み込んだアタプタが使用されている
ため、製造コストが高くなり、工具径が所定の大きさ以
上でないと、組み込むことができないという課題があ
る。
【0009】本発明は上述した事情を考慮してなされた
もので、小径深穴の中ぐり加工において、十分な防振効
果が得られ、高剛性および摩擦減衰効果を兼ね備えた防
振中ぐり工具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1の発明は、シャンク芯部材に筒状部材
を接合してシャンクを構成した防振中ぐり工具であっ
て、前記筒状部材が前記シャンク芯部材と比較して高熱
膨張係数を有しかつ軟質材料からなり、前記シャンク芯
部材と前記筒状部材を焼きばめ構造にて接合したことを
特徴とする。
【0011】請求項1の発明によれば、切削加工時、防
振中ぐり工具はチップを介して切込み方向の切削振動を
受け、その結果シャンクは曲げ変形振動をする。この
時、シャンク芯部材と筒状部材とが焼きばめ構造にて接
合されたことにより、その接合部分は密着度が高いた
め、機械的強度差によるすべり摩擦が生じる。この摩擦
により振動エネルギーを熱エネルギーに変換すること
で、高い摩擦減衰効果が得られる。
【0012】請求項2の発明は、請求項1記載の防振中
ぐり工具において、シャンク芯部材を先端方向に順次縮
径して多段状に形成し、これらの外周部にそれぞれ径の
異なる筒状部材を接合したことを特徴とする。
【0013】請求項2の発明によれば、シャンク芯部材
を先端方向に順次縮径して多段状に形成し、これらの外
周部にそれぞれ径の異なる筒状部材を接合したことによ
り、順次縮径する深穴の中ぐり加工を行う場合に使用す
ることで、加工性を高めることができる。
【0014】請求項3の発明は、請求項1記載の防振中
ぐり工具において、筒状部材の焼きばめ代を大きく設定
したことを特徴とする。
【0015】請求項3の発明によれば、筒状部材の焼き
ばめ代を大きく設定したことにより、高い摩擦減衰効果
が得られる。
【0016】請求項4の発明は、請求項1記載の防振中
ぐり工具において、シャンク芯部材と筒状部材との接触
面を目粗ししたことを特徴とする。
【0017】請求項4の発明によれば、シャンク芯部材
と筒状部材との接触面を目粗ししたことにより、接触面
積が増大し、かつ動摩擦係数が大きくなるため、摩擦減
衰効果が増大する。
【0018】請求項5の発明は、シャンク芯部材にリン
グ状部材を接合してシャンクを構成した防振中ぐり工具
であって、前記シャンク芯部材に所定間隔をおいて凹溝
を複数形成し、これらの凹溝にそれぞれ前記リング状部
材を接合したことを特徴とする。
【0019】請求項5の発明によれば、シャンク芯部材
に所定間隔をおいて凹溝を複数形成し、これらの凹溝に
それぞれリング状部材を接合したことにより、機械的強
度や摩擦減衰効果が局部的に変化する。これにより、シ
ャンクを多自由度系にして、振動の最大ピーク値を分散
させて防振効果を一段と向上させることができる。
【0020】請求項6の発明は、請求項5記載の防振中
ぐり工具において、シャンク芯部材の凹溝に接合される
複数のリング状部材は、互いに幅および肉厚の少なくと
も一方が異なることを特徴とする。
【0021】請求項6の発明によれば、複数のリング状
部材の幅および肉厚の少なくとも一方が異なることで、
請求項5と比較してさらに高い防振効果が得られる。
【0022】請求項7の発明は、請求項5記載の防振中
ぐり工具において、シャンク芯部材の凹溝に接合される
複数のリング状部材は、互いに材質が異なることを特徴
とする。
【0023】請求項7の発明によれば、複数のリング状
部材は、互いに材質が異なることで、請求項6と同様の
作用をなす。
【0024】請求項8の発明は、シャンク芯部材に筒状
部材を接合してシャンクを構成した防振中ぐり工具であ
って、前記筒状部材が前記シャンク芯部材と比較して軟
質材料からなり、前記シャンク芯部材に、その内部に液
体を流通させる流通路を形成し、この液体の温度を、前
記シャンク芯部材を熱膨張させる温度に設定したことを
特徴とする。
【0025】請求項8の発明によれば、液体の温度を調
整することにより、シャンク芯部材と筒状部材との接触
圧力を制御することができ、摩擦減衰効果を変化させる
ことができる。
【0026】請求項9の発明は、シャンク芯部材に筒状
部材を接合してシャンクを構成した防振中ぐり工具であ
って、前記筒状部材が前記シャンク芯部材と比較して高
熱膨張係数を有しかつ軟質材料からなり、この筒状部材
の周囲に、筒状部材のみを加熱する加熱手段を配置した
ことを特徴とする。
【0027】請求項9の発明によれば、加熱手段の温度
を調整することで、請求項8と同様の作用をなす。
【0028】請求項10の発明は、請求項1ないし9の
いずれかに記載の防振中ぐり工具において、筒状部材が
シャンク芯部材と比較して軟質材料からなる構成に代え
て、前記シャンク芯部材が前記筒状部材と比較して軟質
材料から構成されたことを特徴とする。
【0029】請求項10の発明によれば、切削加工時、
筒状部材に曲げ変形力がかかるものの、筒状部材がシャ
ンク芯部材と比較して高剛性材料から構成されたこと
で、減衰効果が高くなる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0031】図1は本発明に係る防振中ぐり工具の第1
実施形態を示す正面図、図2は図1のシャンク芯部材と
筒状部材との接合部分における摩擦減衰効果を示す説明
図である。
【0032】図1に示すように、本実施形態の防振中ぐ
り工具1は、工作物を切削加工するチップ2と、このチ
ップ2を保持するヘッド3と、このヘッド3が固定され
るシャンク4と、このシャンク4が挿着されるホルダ5
とから大略構成されている。
【0033】シャンク4は、例えば長さが150〜30
0mm程度であり、径が18〜25mm程度に設定され
ており、超硬合金などの高剛性材料からなるシャンク芯
部材6と、このシャンク芯部材6に接合され、銅合金,
アルミニウム合金,強化プラスチックなど、シャンク芯
部材6と比較して軟質材料からなり高熱膨張係数を有し
肉厚tが2mm程度に設定された筒状部材7とから構成
されている。そして、シャンク芯部材6と筒状部材7と
は、焼きばめ構造にて接合される。
【0034】すなわち、本実施形態では、図示しないバ
ーナなどの加熱装置により筒状部材7を所定の温度まで
加熱した後、シャンク芯部材6に焼きばめすることで、
シャンク芯部材6と筒状部材7とが接合される。この場
合、シャンク芯部材6を図示しない冷却装置により冷却
するようにしてもよい。
【0035】次に、上記第1実施形態の作用を説明す
る。
【0036】切削加工時、図2に示すように防振中ぐり
工具1はチップ2を介して切込み方向の切削振動を受
け、その結果シャンク4は曲げ変形振動をする。この
時、シャンク芯部材6と筒状部材7とが焼きばめ構造に
て接合されたことにより、その接合部分は密着度が高い
ため、機械的強度差によるすべり摩擦が生じる。この摩
擦により振動エネルギーを熱エネルギーに変換すること
で、高い摩擦減衰効果が得られ、防振中ぐり工具1と工
作物との間に発生するびびり振動を有効に抑制すること
ができる。
【0037】このように上記第1実施形態によれば、上
記のような高剛性材料からなるシャンク芯部材6と、上
記のような軟質材料からなる筒状部材7を焼きばめ構造
にて接合したことにより、シャンク芯部材6の高剛性と
接合部分における摩擦減衰効果とを兼ね備え、高い防振
効果が得られる中ぐり工具を提供することができるとと
もに、特に小径で安価な中ぐり工具を製作することが可
能となる。
【0038】また、上記第1実施形態によれば、熱膨張
係数が大きく異なる異種材料を接合しているため、再度
シャンク4の筒状部材7を加熱したり、シャンク芯部材
6を冷却することにより、シャンク芯部材6と筒状部材
7を容易に分解することができる。これにより、中ぐり
工具の修正を容易に行うことができる。
【0039】図3は本発明に係る防振中ぐり工具の第2
実施形態を示す概略正面図である。なお、前記第1実施
形態と同一または対応する部分には同一の符号を用いて
説明する。以下の各実施形態および変形例も同様であ
る。
【0040】この第2実施形態では、前記第1実施形態
において、シャンク芯部材6が先端方向に順次縮径して
多段状に形成され、これらの外周部にそれぞれ径の異な
る筒状部材7a,7bが焼きばめにより接合されてい
る。
【0041】したがって、第2実施形態では、シャンク
芯部材6を先端方向に順次縮径して多段状に形成し、こ
れらの外周部にそれぞれ径の異なる筒状部材7a,7b
を接合したことにより、順次縮径する深穴の中ぐり加工
を行う場合、加工性を高めることができる。
【0042】図4は本発明に係る防振中ぐり工具の第3
実施形態を示すグラフである。この第3実施形態では、
前記第1実施形態の防振中ぐり工具と比較して、筒状部
材7の肉厚tを厚く形成するとともに、その焼きばめ代
を大きく設定している。これにより、高い摩擦減衰効果
が得られる。
【0043】すなわち、図4に示すように筒状部材7の
肉厚寸法および焼きばめ代を適宜選択することにより、
摩擦減衰効果を所望の値に設計することができる。同様
に、シャンク芯部材6の寸法変更を行うこにより、固有
振動数も一定の範囲内で所望の値に設計することができ
る。
【0044】したがって、工具の全体寸法を変えること
なく、一定の範囲内で、摩擦減衰効果、固有振動数の動
特性を所望の値に設計することができる。また、固有振
動数をチューニングすることにより、例えば加工時に生
ずるワークとの共振を防止することができる。以上によ
り、治具や工作機械と干渉することなく、十分な防振効
果が得られる。
【0045】図5は本発明に係る防振中ぐり工具の第4
実施形態を示すグラフである。この第5実施形態では、
前記第1実施形態の防振中ぐり工具において、シャンク
芯部材6と筒状部材7との接触面を目粗ししている。こ
れにより、接触面積が増大し、かつ動摩擦係数が大きく
なるため、摩擦減衰効果が増大する。
【0046】すなわち、図5に示すようにシャンク芯部
材6と筒状部材7との間で生じる摩擦減衰効果は、シャ
ンク芯部材6の表面粗さを選択することにより、一定の
範囲内で所望の値に設計することができる。ここで、表
面粗さを微細にすれば、接触面積が増加して摩擦減衰効
果が大きくなると同時に、動摩擦係数が小さくなる。
【0047】摩擦減衰効果は、接触面積が大きく、かつ
動摩擦係数が大きいほど増大するから、例えば図5に示
すタイプA、タイプBのような特性が得られる。さら
に、表面粗さの大きさ以外に、粗さ波形の形状やクロス
ハッチ、綾目などにより粗さの方向性を変えることによ
って、一段と微細に摩擦減衰効果を所望の値に設計する
ことができる。その結果、本実施形態によれば、前記第
3実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】図6は本発明に係る防振中ぐり工具の第5
実施形態を示す概略正面図、図7(A),(B),
(C)はそれぞれリング状部材の焼きばめによる振動数
と振動の大きさとの関係を示すグラフである。
【0049】本実施形態では、図6に示すようにシャン
ク芯部材6に、その軸方向に沿って所定間隔をおいて幅
10〜25mmで、深さが2mm程度に設定された凹溝
6aが複数(3本)形成され、これらの凹溝6aの幅お
よび深さに対応する幅および肉厚を有するリング状部材
7cがそれぞれ焼きばめ構造にて接合されている。
【0050】ここで、リング状部材7cは、前記第1実
施形態の筒状部材7と同様に銅合金,アルミニウム合
金,強化プラスチックなどの軟質材料からなり、高熱膨
張係数を有している。
【0051】したがって、本実施形態では、シャンク芯
部材6に所定間隔をおいて凹溝6aを複数形成し、これ
らの凹溝6aにそれぞれリング状部材7cを接合したこ
とにより、機械的強度や摩擦減衰効果が局部的に変化す
る。
【0052】これにより、シャンク4を多自由度系にし
て、振動の最大ピーク値を図7(A)に示すように分散
させて防振効果を一段と向上させることができる。ここ
で、リング状部材7cの焼きばめ箇所が1箇所であった
り、焼きばめを行わないの場合には、図7(B),
(C)に示すように振動の大きさのピーク値が集中する
こととなり、防振効果が得られない。
【0053】図8は本発明に係る防振中ぐり工具の第5
実施形態の第1変形例を示す概略正面図である。この第
1変形例では、前記第5実施形態において、シャンク芯
部材6の凹溝6aに接合される複数のリング状部材7
d,7e,7fは、互いに幅および肉厚が異なってい
る。同様に、シャンク芯部材6の複数の凹溝6aも互い
に幅および深さが異なっている。なお、この場合、リン
グ状部材7d,7e,7fの幅および肉厚の少なくとも
一方が異なっていればよい。
【0054】このように第1変形例によれば、複数のリ
ング状部材7d,7e,7fの幅および肉厚の少なくと
も一方が異なることで、前記第5実施形態と比較してさ
らに高い防振効果が得られる。
【0055】図9は本発明に係る防振中ぐり工具の第5
実施形態の第2変形例を示す概略正面図である。この第
2変形例では、前記第5実施形態において、シャンク芯
部材6の凹溝6aに接合される複数のリング状部材7
g,7h,7iが互いに異なる材質(軟質材料)から造
られている。
【0056】このように第2変形例によれば、複数のリ
ング状部材7g,7h,7iは材質が互いに異なること
で、第1変形例と同様の効果が得られる。
【0057】図10は本発明に係る防振中ぐり工具の第
6実施形態を示す概略断面図である。この第6実施形態
では、図10に示すように前記第1実施形態において、
シャンク芯部材6の軸方向に、その内部に水溶性の切削
液を流通させる流通路6bが形成され、この流通路6b
を流通する液体の温度が、シャンク芯部材6を熱膨張さ
せる温度に設定されている。ここで、流通路6bには、
図示しない温度調節機から所定の温度に調整された水溶
性の切削液が供給される。
【0058】このように本実施形態によれば、図示しな
い温度調節機にて水溶性の切削液の温度を調整すること
により、シャンク芯部材6とリング状部材7との接触圧
力を制御することができ、摩擦減衰効果を変化させるこ
とができる。つまり、シャンク芯部材6とリング状部材
7の温度差を制御することにより、摩擦減衰効果を一定
の範囲内で変更することができる。
【0059】また、図示しない温度調節機と切削加工機
の制御装置と連動させることにより、加工時の異常振動
を自動制御することも可能である。
【0060】図11は本発明に係る防振中ぐり工具の第
7実施形態を示す概略正面図である。この第7実施形態
では、図11に示すように前記第1実施形態において、
リング状部材7の周囲に、リング状部材7のみを加熱す
る加熱手段としての非接触温度調節機8が複数配置され
ている。
【0061】このように本実施形態によれば、非接触温
度調節機8の温度を調整することで、前記第6実施形態
と同様の効果が得られる。
【0062】なお、本発明は上記各実施形態に限定され
ることなく、種々の変更が可能である。例えば、上記各
実施形態では、シャンク芯部材6が高剛性材料からなる
一方、筒状部材7が軟質材料から構成したが、この逆で
もよい。
【0063】したがって、シャンク芯部材6が軟質材料
からなり、筒状部材7が高剛性材料から構成すれば、切
削加工時、筒状部材7に曲げ変形力がかかるものの、筒
状部材7が高剛性材料から構成されたことで、減衰効果
が高くなる。
【0064】また、上記各実施形態においては、シャン
ク芯部材6に筒状部材7が一重に焼きばめしたが、これ
に限らず筒状部材7を二重以上の多層に焼きばめしても
よい。これにより、摩擦減衰効果を一段と高めることが
できる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
シャンク芯部材と比較して軟質材料からなる筒状部材を
シャンク芯部材に焼きばめ構造にて接合したことによ
り、シャンク芯部材の高剛性と接合部分における摩擦減
衰効果とを兼ね備え、高い防振効果が得られ、特に小径
な中ぐり工具を製作することが可能となる。
【0066】また、筒状部材の焼きばめ代を大きく設定
したり、シャンク芯部材と筒状部材との接触面を目粗し
したことにより、工具の全体寸法を変えることなく、高
い摩擦減衰効果が得られ、これにより十分な防振効果が
得られる。
【0067】さらに、本発明によれば、シャンク芯部材
に所定間隔をおいて凹溝を複数形成し、これらの凹溝に
それぞれリング状部材を接合したことにより、機械的強
度や摩擦減衰効果が局部的に変化する。これにより、シ
ャンクを多自由度系にして、振動の最大ピーク値を分散
させて防振効果を一段と向上させることができる。
【0068】そして、シャンク芯部材に、その内部に液
体を流通させる流通路を形成し、この液体の温度を、シ
ャンク芯部材を熱膨張させる温度に設定したり、筒状部
材の周囲に、筒状部材のみを加熱する加熱手段を配置し
たことにより、温度を調整すれば、シャンク芯部材と筒
状部材との接触圧力を制御することができ、摩擦減衰効
果を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防振中ぐり工具の第1実施形態を
示す正面図。
【図2】図1のシャンク芯部材と筒状部材との接合部分
における摩擦減衰効果を示す説明図。
【図3】本発明に係る防振中ぐり工具の第2実施形態を
示す概略正面図。
【図4】本発明に係る防振中ぐり工具の第3実施形態を
示すグラフ。
【図5】本発明に係る防振中ぐり工具の第4実施形態を
示すグラフ。
【図6】本発明に係る防振中ぐり工具の第5実施形態を
示す概略正面図。
【図7】(A),(B),(C)はそれぞれリング状部
材の焼きばめによる振動数と振動の大きさとの関係を示
すグラフ。
【図8】本発明に係る防振中ぐり工具の第5実施形態の
第1変形例を示す概略正面図。
【図9】本発明に係る防振中ぐり工具の第5実施形態の
第2変形例を示す概略正面図。
【図10】本発明に係る防振中ぐり工具の第6実施形態
を示す概略断面図。
【図11】本発明に係る防振中ぐり工具の第7実施形態
を示す概略正面図。
【符号の説明】
1 防振中ぐり工具 2 チップ 3 ヘッド 4 シャンク 5 ホルダ 6 シャンク芯部材 6a 凹溝 6b 流通路 7 筒状部材 7a,7b 筒状部材 7c リング状部材 7d,7e,7f リング状部材 7g,7h,7i リング状部材 8 非接触温度調節機(加熱手段)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シャンク芯部材に筒状部材を接合してシ
    ャンクを構成した防振中ぐり工具であって、前記筒状部
    材が前記シャンク芯部材と比較して高熱膨張係数を有し
    かつ軟質材料からなり、前記シャンク芯部材と前記筒状
    部材を焼きばめ構造にて接合したことを特徴とする防振
    中ぐり工具。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の防振中ぐり工具におい
    て、シャンク芯部材を先端方向に順次縮径して多段状に
    形成し、これらの外周部にそれぞれ径の異なる筒状部材
    を接合したことを特徴とする防振中ぐり工具。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の防振中ぐり工具におい
    て、筒状部材の焼きばめ代を大きく設定したことを特徴
    とする防振中ぐり工具。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の防振中ぐり工具におい
    て、シャンク芯部材と筒状部材との接触面を目粗しした
    ことを特徴とする防振中ぐり工具。
  5. 【請求項5】 シャンク芯部材にリング状部材を接合し
    てシャンクを構成した防振中ぐり工具であって、前記シ
    ャンク芯部材に所定間隔をおいて凹溝を複数形成し、こ
    れらの凹溝にそれぞれ前記リング状部材を接合したこと
    を特徴とする防振中ぐり工具。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の防振中ぐり工具におい
    て、シャンク芯部材の凹溝に接合される複数のリング状
    部材は、互いに幅および肉厚の少なくとも一方が異なる
    ことを特徴とする防振中ぐり工具。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の防振中ぐり工具におい
    て、シャンク芯部材の凹溝に接合される複数のリング状
    部材は、互いに材質が異なることを特徴とする防振中ぐ
    り工具。
  8. 【請求項8】 シャンク芯部材に筒状部材を接合してシ
    ャンクを構成した防振中ぐり工具であって、前記筒状部
    材が前記シャンク芯部材と比較して軟質材料からなり、
    前記シャンク芯部材に、その内部に液体を流通させる流
    通路を形成し、この液体の温度を、前記シャンク芯部材
    を熱膨張させる温度に設定したことを特徴とする防振中
    ぐり工具。
  9. 【請求項9】 シャンク芯部材に筒状部材を接合してシ
    ャンクを構成した防振中ぐり工具であって、前記筒状部
    材が前記シャンク芯部材と比較して高熱膨張係数を有し
    かつ軟質材料からなり、この筒状部材の周囲に、筒状部
    材のみを加熱する加熱手段を配置したことを特徴とする
    防振中ぐり工具。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    防振中ぐり工具において、筒状部材がシャンク芯部材と
    比較して軟質材料からなる構成に代えて、前記シャンク
    芯部材が前記筒状部材と比較して軟質材料から構成され
    たことを特徴とする防振中ぐり工具。
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