JPH11276859A - 有機塩素系溶剤の分解方法及び分解装置 - Google Patents

有機塩素系溶剤の分解方法及び分解装置

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JPH11276859A
JPH11276859A JP10100265A JP10026598A JPH11276859A JP H11276859 A JPH11276859 A JP H11276859A JP 10100265 A JP10100265 A JP 10100265A JP 10026598 A JP10026598 A JP 10026598A JP H11276859 A JPH11276859 A JP H11276859A
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JP
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ozone
hydrogen peroxide
organic chlorine
gas
liquid
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JP10100265A
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Itaru Takeda
至 竹田
Yutaka Shimada
豊 島田
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Sumitomo Precision Products Co Ltd
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  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Physical Water Treatments (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 テトラクロロエチレン等の有機塩素系溶剤ガ
スを高効率に分解処理する。 【解決手段】 排ガスA中の有機塩素系溶剤ガスをガス
溶解塔1で、過酸化水素を含む吸収液Bに吸収させ、循
環させる。過酸化水素を含む循環液にエジェクタ3でオ
ゾンガスを注入する。過酸化水素及びオゾンを含む循環
液にUV処理塔4で紫外線を照射する。紫外線照射後の
循環液を、気液分離槽を兼ねる調液槽5に送る。調液槽
5では、気液分離を行うと共に、循環液の一部を処理済
の排水Fとして系外に抜き出し、新液G及び過酸化水素
の補給を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトリクロロエチレ
ン、テトラクロロエチレン等の有機塩素系溶剤を、オゾ
ンと過酸化水素と紫外線を組み合わせた3種複合処理に
より酸化分解する有機塩素系溶剤の分解方法及び分解装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】有機塩素系溶剤は、電子部品や機械金属
部品等の脱脂洗浄、ドライクリーニング用洗剤、各種化
学品の溶剤や原料等として工業的に広く使用されてい
る。しかし、この有機塩素系溶剤のなかには発ガン性の
あるものや発ガン性の疑いがあるもの、オゾン層の破壊
の原因となるものなどが多く含まれている。このため、
有機塩素系溶剤を工業的に使用する場合は、排ガス中や
排水中から有機塩素系溶剤を分離回収することが一般に
行われている。
【0003】有機塩素系溶剤を含む排ガス中から有機塩
素系溶剤ガスを分離回収する方法としては、凝縮法と活
性炭を用いた吸着法がある。また、有機塩素系溶剤を含
む排水中からその有機塩素系溶剤を分離回収する方法と
しては、ばっ気法と活性炭を用いた吸着法がある。いず
れも、回収された有機塩素系溶剤を再利用することを前
提とした分離法であり、工業的に確立された方法であ
る。
【0004】これに対し、排ガス中や排水中の有機塩素
系溶剤を無害な物質に化学的に分解する方法も考えられ
ている。この方法としては、オゾンによる酸化分解法
や、オゾンと過酸化水素による酸化分解法、オゾンと紫
外線の照射による酸化分解法、更には過酸化水素と紫外
線の照射による酸化分解法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】排ガス中や排水中から
有機塩素系溶剤を分離回収する方法の場合、高濃度の有
機塩素系溶剤が生成するので、事故等による漏出が大き
な問題になる。また、完全な分離回収は困難である。従
って、有機塩素系溶剤を分離回収するにしても、排ガス
中や排水中の有機塩素系溶剤を無害な物質に化学的に分
解する方法は必要となる。
【0006】しかしながら、従来の分解法であるオゾン
等による酸化分解法は、実験レベルではその有効性が確
認されているが、工業的には未だ確立されていない。そ
の最大の理由は分解効率、特に有機塩素系溶剤の低濃度
領域における分解効率が十分に確保されないことにあ
る。
【0007】本発明の目的は、有機塩素系溶剤、特に排
ガス中の有機塩素系溶剤ガスを高効率に酸化分解できる
有機塩素系溶剤の分解方法及び分解装置を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは有機塩素系溶剤の酸化分解に及ぼすオ
ゾンの有効性、過酸化水素の有効、紫外線照射の有効性
を子細に調査すると共に、これらを組み合わせたときの
有効性について調査した。その結果、以下の事実が判明
した。
【0009】排ガス中の有機塩素系溶剤ガスを分解する
場合は、その有機塩素系溶剤を吸収液に吸収させて、液
相状態で処理を行うのが有効である。
【0010】液相処理にあっても、オゾン、過酸化水
素、紫外線照射の各単独処理は、効率が非常に悪い。2
種複合処理のなかでは、オゾンと過酸化水素の組み合わ
せが比較的高効率であるが、例えば濃度が0.5ppm
のテトラクロロエチレン(PCE)水溶液の場合、オゾ
ン注入量や過酸化水素濃度を極端に増加させない限り、
そのPCE濃度を0.01ppm以下に下げることは不
可能である。
【0011】これに対し、オゾン、過酸化水素及び紫外
線照射の3者を組み合わせると、有機塩素系溶剤の分解
効率が飛躍的に改善され、具体的には低濃度領域で特に
効果的な分解が行われる。その結果、例えば濃度が0.
5ppmのPCE水溶液の場合は、少量のオゾン及び過
酸化水素で、そのPCE濃度を0.01ppm以下に下
げることが可能となる。
【0012】但しオゾン、過酸化水素及び紫外線照射の
3者を組み合わせる場合にあっても、処理順序が重要で
ある。具体的には、オゾン処理を行う段階では、被処理
液に過酸化水素を添加しておくこと、紫外線の照射は、
過酸化水素及びオゾンを含む被処理水に対して行うこと
が必要である。
【0013】過酸化水素を効率的に使用するためには被
処理水を循環させ、その循環液の一部を系外に取り出し
つつ、その取り出しに伴って消費される被処理液を系内
に補給するのが有効である。この操作は、有機塩素系溶
剤の分解で生じる塩素イオンの蓄積を防ぐ点からも有効
である。
【0014】紫外線の照射はオゾンによる処理と複合し
て処理効率を高めるが、一方ではオゾンを分解してオゾ
ンによる処理を妨げる。この紫外線の照射による悪影響
を取り除くためには、被処理水に紫外線を照射するより
前に被処理水中にオゾンを十分に溶解させておくことが
必要であり、具体的には、紫外線を照射する手段の上流
側でエジェクタによるオゾン注入を行うのが効果的であ
る。
【0015】本発明の有機塩素系溶剤の分解方法及び分
解装置は、これらの知見を基礎として開発されたもので
ある。即ち、本発明の有機塩素系溶剤の分解方法は、有
機塩素系溶剤が溶解した被処理液に過酸化水素を溶解さ
せる工程と、過酸化水素が溶解した被処理液にオゾンを
溶解させる工程と、過酸化水素及びオゾンが溶解した被
処理液に紫外線を照射する工程とを包含するものであ
る。
【0016】また、本発明の有機塩素系溶剤の分解装置
は、有機塩素系溶剤ガスを吸収液に溶解させる手段と、
有機塩素系溶剤を含む吸収液を循環させる手段と、有機
塩素系溶剤を含む循環液に過酸化水素を添加する手段
と、過酸化水素を含む循環液にオゾンを注入する手段
と、過酸化水素及びオゾンを含む循環液に紫外線を照射
する手段と、紫外線を照射する手段の下流側から循環液
の一部を系外へ取り出す手段と、その取り出しに伴って
消費される吸収液を系内に補給する手段とを具備するも
のである。
【0017】オゾンを注入する手段は、紫外線を照射す
る手段の上流側に設けられたエジェクタであることが好
ましい。
【0018】有機塩素系溶剤としては、具体的には例え
ばトリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレ
ン(PCE)、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタ
ン、1,1,1−トリクロロエタン等を挙げることがで
きる。
【0019】オゾン注入量(O3 注入量)は、被処理液
中の有機塩素系溶剤濃度と有機塩素系溶剤の目標処理濃
度によって変わるが、一般的な傾向として酸化分解を効
果的に推進するためには3.5mg/L以上が好まし
く、4.0mg/L以上が特に好ましい。O3 注入量の
上限は、酸化分解の点からは特に規定する必要がない
が、その不必要な増大はオゾン発生機の規模増大等を招
くので、10mg/L以下が好ましく、8.0mg/L
以下が特に好ましい。
【0020】過酸化水素濃度についても、被処理液中の
有機塩素系溶剤濃度と有機塩素系溶剤の目標処理濃度に
よって変わるが、一般的な傾向として酸化分解を効果的
に推進するためには20mg/L以上(20ppm以
上)が好ましく、35mg/L以上(35ppm以上)
が特に好ましい。しかし、極端な高濃度は酸化分解を阻
害すると共に経済性を悪化させるので、80mg/L以
下(80ppm以下)が好ましく、60mg/L以下
(60ppm以下)が特に好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る有
機塩素系溶剤の分解装置の構成図、図2は同分解装置に
使用されるUV処理塔の縦断面図である。
【0022】この分解装置は、ガス状のテトラクロロエ
チレン(以下PCEという)を含む排ガスAの処理に使
用されるものである。この排ガスAは、ガス溶解塔1内
に導入される。ガス溶解塔1は、下部から導入される排
ガスAを、上部から導入される吸収液Bと向流接触させ
て、排ガスA中のPCEを吸収液Bとしての水に吸収さ
せるものである。PCEを吸収液Bに吸収させた後のガ
ス成分Cは、ガス溶解塔1の最上部から外部に排出され
る。
【0023】一方、PCEを吸収しガス溶解塔1内の下
部に溜まった吸収液Bは、ポンプ2により外部に抜き出
され、エジェクタ3及びUV処理塔4を経て、気液分離
槽を兼ねる調液槽5に送られる。
【0024】エジェクタ3は、例えば酸素ガスを原料ガ
スとしてオゾン発生機7で発生させたオゾンガスD(O
2 +O3 )を吸収液Bに注入し、オゾンガスD中のO3
を吸収液Bに溶解させる。UV処理塔4は、図2に示す
ように、円筒状の容器4aと、容器4a内の中心部に上
方から挿入された透明な保護管4bと、保護管4b内に
上方から挿入されたUVランプ4cとを備えている。エ
ジェクタ3でオゾンガスDを注入された吸収液Bは、容
器4a内を下から上に流通する間に、UVランプ4cか
ら放射される紫外線を浴び、次の調液槽5内に上部から
流入する。
【0025】調液槽5では、吸収液B中のガス成分が分
離除去される。分離除去されたガス成分Eは、排オゾン
分解器8に送られ、ここでオゾンを分解除去されて、大
気中に放出される。ガス成分を分離除去された吸収液B
は、一部(例えば1〜2%)が排水Fとして外部に抜き
出される。残った吸収液Bには、排水Fに見合う新水G
が添加されると共に、液中の過酸化水素濃度が所定範囲
内に管理されるように、過酸化水素水が添加される。ま
た、吸収液BのpH調整のために水酸化ナトリウム等の
薬剤が添加される。
【0026】そして、このような調液処理を受けた吸収
液Bは、ポンプ6によってガス溶解塔1に送られ、その
上部から塔内に導入される。これにより、過酸化水素を
含む吸収液Bが系内を循環することになる。
【0027】このような有機塩素系溶剤の分解装置によ
ると、過酸化水素を含み且つその濃度所定範囲内に管理
された吸収液Bに、ガス溶解塔1でPCEが溶解する。
これにより、吸収液B中のPCEは、過酸化水素による
一次処理を受ける。次に、その吸収液Bに、エジェクタ
3でオゾンガスDが注入される。これにより、吸収液B
中のPCEは、過酸化水素とオゾンによる2次処理を受
ける。更に、その吸収液Bには、UV処理塔4で紫外線
が照射される。これにより、吸収液B中のPCEは、過
酸化水素とオゾンと紫外線とを組み合わせた3次処理を
受ける。
【0028】かくして、吸収液B中のPCEは効果的に
酸化分解される。その理由は次のように考えられる。
【0029】過酸化水素による1次処理では、PCEの
分解効果は殆ど期待できないが、吸収液B中の過酸化水
素及びOHラジカルにより、PCEは分解前の状態まで
活性化される。オゾンガスDの注入が加わる2次処理で
は、オゾンと過酸化水素が反応し、反応性に富むOHラ
ジカルが生成し、PCEを分解し始めることにより、P
CE濃度が低下する。
【0030】紫外線の照射が加わる3次処理では、その
照射によりオゾン及び過酸化水素のそれぞれからOHラ
ジカルが更に生成する。過酸化水素から更にOHラジカ
ルが生成することは、OH消費剤(スカベンジャ)でも
ある過酸化水素を減少させることにもなり、その結果、
生成したOHラジカルが有効に活用される。
【0031】これに加えて、上記実施形態ではオゾンガ
スDの注入にエジェクタ3が使用されている。この注入
は、ディフューザ(散気管、散気板等)やポンプ等を使
用してUV処理塔4の底部からオゾンガスDを吹き込む
ことでも可能であり、この場合はオゾンガスが気泡とし
てUV処理塔4内の吸収液B中に直接供給され、その気
泡からオゾンが吸収液B中に溶解する。しかし、この溶
解の一方では、気泡中のオゾンが紫外線の照射により分
解されるとか、気泡が紫外線照射の障害になると言った
弊害も同時進行する。UV処理塔4の底部からオゾンガ
スDを直接吹き込む場合は、吸収液Bへのオゾン溶解性
能がエジェクタによる場合よりも劣る上に、オゾンの溶
解開始と同時に気泡中のオゾンの分解が始まるため、上
記弊害の影響を強く受ける。これに対し、エジェクタ3
を使用して事前にオゾンガスDを注入する場合は、吸収
液BがUV処理塔4に進入した段階では既に十分な量の
オゾンが溶解されており、これに伴って気泡量も少なく
なる。これらのため、上記弊害の影響が少なく、オゾン
ガスDがPCEの分解に特に有効に活用される。
【0032】このような機構により、2次処理後に残っ
た低濃度のPCEがほぼ完全に分解される。具体例とし
て、例えばガス溶解塔1に導入される排ガスA中のPC
E濃度が最大で50ppmである場合、ガス溶解塔1か
ら排出されるガス成分CのPCE濃度は5ppm以下に
低減され、調液槽5から抜き出される排水FのPCE濃
度は0.01ppm以下に低減される。
【0033】なお、上記実施形態では原料ガスとして酸
素ガスが使用されているが、乾燥空気の使用も可能であ
る。
【0034】上記実施形態では又、調液槽5で排オゾン
の分離を行っているが、UV処理塔4でこれを行うこと
もできる。また、エジェクタ3とUV処理塔4の間でこ
れを行うこともできる。この場合は、UV処理塔4への
気泡同伴がなくなり、気泡が紫外線照射の障害となる事
態は回避されるが、その一方ではUV処理塔4での気泡
からのオゾン溶解も期待できなくなる。総合的に判断し
た場合は、エジェクタと気泡同伴を組み合わせ、UV処
理塔4かその下流側で排オゾンの分離を行うのが最も好
ましい。
【0035】なお、この排オゾン処理については、ガス
溶解塔1を用いることもできる。即ち、調液槽5等で生
じた排オゾンガスをガス溶解塔1に送り、ガス溶解塔1
から排出されるガスを排オゾン分解器に通すことでも可
能である。
【0036】エジェクタ3については、これをディフュ
ーザに置き換えることができ、このディフューザはUV
処理塔4の入側だけでなく、UV処理塔4の内部に設置
することもできる。ディフューザをUV処理塔4の内部
に設置した場合には、前述したように処理効率の低下を
招く。ディフューザをUV処理塔4の入側に配置した場
合もオゾン溶解性能を確保し難いため、エジェクタ3ほ
どの効果は得られない。即ち、ディフューザを用いたオ
ゾン溶解塔では、塔高を高くすればオゾン溶解性能は上
がるが、一般には塔高を高くできないので、エジェクタ
3ほどの効果は得られない。
【0037】
【実施例】次に、図3の試験装置により本発明の有効性
を調査した結果について説明する。
【0038】試験装置は、タンク10内のPCE溶解液
11を、ポンプ12によりバルブ13、流量計14及び
エジェクタ15を介してUV処理塔16に送り、一部
(1%)をUV処理塔16から抜き出すと共に、残り
(99%)をタンク10内に戻し、抜き出し及び分解に
よる減少に見合う量のPCE溶解液11をタンク10内
に補給する構成になっている。タンク10内のPCE溶
解液11には所定濃度に過酸化水素が添加される。エジ
ェクタ15は、オゾン発生機17で発生しバルブ18及
び流量計19を介して供給されるオゾンガスを、PCE
溶解液11に混合する。UV処理塔16は、図2に示さ
れたUV処理塔4と同じ構造であり、容器の全高Hは1
000mm、容器の内径D1は72.3mm、保護管の
外径D2は36mm、UVランプの発光部長Lは800
mmにそれぞれ設計されている。
【0039】被処理液の流量を5L/min、UV−C
出力を41W、被処理液中の過酸化水素濃度を20mg
/L(20ppm)にそれぞれ固定し、エジェクタ15
によるO3 注入量を変化させたときの、UV処理塔16
から抜き出される被処理液のPCE濃度を調査した結果
を図4に示す。処理前の被処理液中のPCE濃度は0.
5mg/L(0.5ppm)とした。またO3 注入量
は、オゾンガスの流量を0.5〜2L/min、そのO
3 濃度を12〜60mg/Lの範囲内で変化させること
により調整した。
【0040】比較のために、オゾン処理のみ、オゾン処
理と紫外線処理を組み合わせた場合、過酸化水素処理と
オゾン処理を組み合わせた場合についても同様の試験を
行い、それらの結果を図4に示した。
【0041】また、被処理液の流量を5L/min、U
V−C出力を41W、エジェクタ15によるO3 注入量
を3.6mg/Lにそれぞれ固定し、被処理液中の過酸
化水素濃度を変化させたときの、UV処理塔16から排
出される被処理液のPCE濃度を調査した結果を図5に
示す。被処理液の処理前のPCE濃度は0.5mg/L
(0.5ppm)である。このときのオゾンガスの流量
は1L/min、そのO3 濃度は18mg/Lとした。
【0042】比較のために、過酸化水素処理のみ、過酸
化水素処理と紫外線処理を組み合わせた場合、過酸化水
素処理とオゾン処理を組み合わせた場合についても同様
の試験を行い、それらの結果を図5に示した。
【0043】図4及び図5から分かるように、オゾン処
理のみ、過酸化水素処理のみといった単独処理は、被処
理液のPCE濃度が0.5mg/L(0.5ppm)と
いうような低濃度の場合は、PCEの酸化分解に殆ど効
果がない。2種複合処理は単独処理に比べると有効であ
り、なかでも過酸化水素処理とオゾン処理を組み合わせ
た2種複合処理はPCEを効果的に酸化分解できる。し
かし、過酸化水素濃度及びO3 注入量を増大しても、被
処理液のPCE濃度を0.01mg/L以下(0.01
ppm以下)にすることはできない。
【0044】これらに対し、過酸化水素処理、オゾン処
理及び紫外線処理を順番に組み合わせた3種複合処理
は、過酸化水素濃度及びO3 注入量を増大しなくても、
被処理液のPCE濃度を0.01mg/L以下(0.0
1ppm以下)にすることができる。
【0045】本発明でのO3 注入量は、酸化分解を効果
的に推進するために3.5mg/L以上が好ましく、
4.0mg/L以上が特に好ましい。O3 注入量の上限
については、本発明では比較的少量で効果が飽和するの
で、10mg/L以下が好ましく、8.0mg/L以下
が特に好ましい。このように、本発明ではO3 注入量の
上限が低位に抑えられ、これによりオゾン発生機の負担
が軽減し、コストダウンが図られる。
【0046】過酸化水素濃度については、酸化分解を効
果的に推進するために20mg/L以上(20ppm以
上)が好ましく、35mg/L以上(35ppm以上)
が特に好ましい。過酸化水素濃度の上限については、本
発明では比較的少量で効果が飽和するので、80mg/
L以下(80ppm以下)が好ましく、60mg/L以
下(60ppm以下)が特に好ましい。このように、本
発明では過酸化水素濃度の上限が低位に抑えられるの
で、第1に経済性が改善される。第2に、過酸化水素は
OH消費剤及びオゾンに対する還元剤でもあるので、そ
の使用量が抑制されることにより、オゾン及びOHラジ
カルの浪費が抑制され、効率のよいプロセスが実現され
る。第3に、系外への排水中の過酸化水素濃度が低位に
抑制される。
【0047】なお、上述の実施形態及び実施例では、有
機塩素系溶剤としては、テトラクロロエチレン(PC
E)を用いたが、本発明はトリクロロエチレン(TC
E)に対しても同様に有効であり、1,2−ジクロロエ
タン、1,1,1−トリクロロエタン等に対しても、低
濃度の条件下で2種処理より格段に有効なことを確認し
ている。
【0048】
【発明の効果】以上に説明した通り、本発明の有機塩素
系溶剤の分解方法及び分解装置は、過酸化水素処理、オ
ゾン処理及び紫外線処理を順番に組み合わせた3種順次
複合処理により、有機塩素系溶剤を高効率に酸化分解で
き、特に有機塩素系溶剤の低濃度条件下で高い分解効率
を示すので、最終処理に適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る有機塩素系溶剤の分解
装置の構成図である。
【図2】同分解装置に使用されるUV処理塔の縦断面図
である。
【図3】本発明の有効性を調査するための試験装置の構
成図である。
【図4】本発明の有効性を示す図表で、過酸化水素濃度
を一定としたときのオゾン注入量とPCE濃度との関係
を示す。
【図5】本発明の有効性を示す図表で、オゾン注入量を
一定としたときの過酸化水素濃度とPCE濃度との関係
を示す。
【符号の説明】
1 ガス分解塔 2,6 ポンプ 3 エジェクタ 4 UV処理塔 5 調液槽 7 オゾン発生機 8 排オゾン分解器
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/78 ZAB

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機塩素系溶剤が溶解した被処理液に過
    酸化水素を溶解させる工程と、過酸化水素が溶解した被
    処理液にオゾンを溶解させる工程と、過酸化水素及びオ
    ゾンが溶解した被処理液に紫外線を照射する工程とを包
    含することを特徴とする有機塩素系溶剤の分解方法。
  2. 【請求項2】 有機塩素系溶剤ガスを吸収液に吸収させ
    て被処理液となすことを特徴とする請求項1に記載の有
    機塩素系溶剤の分解方法。
  3. 【請求項3】 被処理液を循環させ、紫外線を照射した
    後に被処理液の一部を系外に取り出すと共に、その取り
    出しに伴って消費される被処理液を系内に補給すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の有機塩素系溶剤の
    分解方法。
  4. 【請求項4】 被処理水へのオゾンの溶解をエジェクタ
    により行うことを特徴とする請求項1、2又は3に記載
    の有機塩素系溶剤の分解方法。
  5. 【請求項5】 有機塩素系溶剤ガスを吸収液に溶解させ
    る手段と、有機塩素系溶剤を含む吸収液を循環させる手
    段と、有機塩素系溶剤を含む循環液に過酸化水素を添加
    する手段と、過酸化水素を含む循環液にオゾンを注入す
    る手段と、過酸化水素及びオゾンを含む循環液に紫外線
    を照射する手段と、紫外線を照射する手段の下流側から
    循環液の一部を系外へ取り出す手段と、その取り出しに
    伴って消費される吸収液を系内に補給する手段とを具備
    することを特徴とする有機塩素系溶剤の分解装置。
  6. 【請求項6】 オゾンを注入する手段は、紫外線を照射
    する手段の上流側に設けられたエジェクタであることを
    特徴とする請求項5に記載の有機塩素系溶剤の分解装
    置。
JP10100265A 1998-03-27 1998-03-27 有機塩素系溶剤の分解方法及び分解装置 Pending JPH11276859A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000202471A (ja) * 1999-01-11 2000-07-25 Ebara Corp 内分泌撹乱物質もしくは発ガン性物質を含有する汚水の処埋方法及び処理装置
KR100348414B1 (ko) * 2002-03-06 2002-08-10 주식회사 한국오존텍 용해기 및 상기 용해기를 구비하는 수처리 장치
JP2003145180A (ja) * 2001-11-12 2003-05-20 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 汚染水の浄化方法及び浄化装置
CN109939501A (zh) * 2019-04-03 2019-06-28 西安飞机工业(集团)有限责任公司 一种含有四氯乙烯的化铣胶喷涂废气处理方法

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