JPH11268484A - 筆記および消去方法、ならびにそれに用いるインクおよびイレーザー - Google Patents

筆記および消去方法、ならびにそれに用いるインクおよびイレーザー

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JPH11268484A
JPH11268484A JP10089490A JP8949098A JPH11268484A JP H11268484 A JPH11268484 A JP H11268484A JP 10089490 A JP10089490 A JP 10089490A JP 8949098 A JP8949098 A JP 8949098A JP H11268484 A JPH11268484 A JP H11268484A
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JP
Japan
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dye
writing
ink
group
water
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Application number
JP10089490A
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English (en)
Inventor
Takashi Nakamura
敬 中村
Yoshiharu Yabuki
嘉治 矢吹
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 白色ボード等へ筆記する際、早い筆記を行っ
ても筆記画像にカスレやムラの発生がなく、筆記画像の
消去に際して完全な消去が可能であり、かつダスト等に
よる周囲の汚れや健康上の問題のない筆記および消去方
法、ならびにそれに用いるインクおよびイレーザーを提
供する。 【解決手段】 一般式(I) D−(X)y〔一般式
(I)中、Dは発色団を有する化合物またはこの化合物
から誘導される基を表し、XはDに直接もしくは2価の
連結基を介して結合した解離性プロトンまたは解離性プ
ロトンを有する基を表し、yは0〜7の整数である。〕
で表される染料から選ばれる1種以上の染料が水に分散
したインクを用いて筆記し、この筆記画像を少なくとも
1種の還元剤と水とを含有するイレーザーによって消去
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白色ボードのよう
にインク受領層を有する筆記ボードに対する筆記および
消去方法、ならびにそれを用いるインクおよびイレーザ
ーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、掲示板等の多くの人に情報を
提供するための簡易な手段として、黒板が使用されてき
た。黒板は、チョークを用いて容易に文字や図形を描く
(または書く)ことができ、布等の消去具で拭き取るこ
とにより容易に消去することができる。しかしながら、
チョークを用いて文字、図形等を描く際、あるいは描い
た図形等を拭き取る際、チョークの粉塵が黒板周辺に浮
遊するため、人体の呼吸器に悪影響を与えるとの問題が
ある。
【0003】このため、この黒板に代わるものとして、
チョークの粉塵の発生のない白色ボード(ホワイトボー
ド)が一般に使用されるようになってきている。白色ボ
ードは、一般に、アルミニウム等の金属板の基材の上に
白色塗料等の白色樹脂層(インク受領層)が形成された
ものである。
【0004】白色ボードの表面は、親水性のインクペン
により文字や画像等が容易に記録することができる筆記
性と布等の消去具により容易に消去できる消去性との両
方の特性が、同時に満足できることが必要とされる。
【0005】従来、白色ボード用筆記具には、アルコー
ル中に粉体顔料を浮遊攪拌させたインクが用いられてい
る。このため、筆記後、消去具(イレーザー)で消去す
るとき、特に、長時間消去しないままにしておくと、乾
いた布では拭き取りにくくなり、粉体顔料の拭き取りが
不完全であったり、拭き取りに際して粉体顔料が飛散し
白色ボード周辺を汚してしまったり、手についた汚れは
水洗いによっても落ちにくいなどの問題があった。ま
た、インクの特性上、顔料の吸い上げ効率に劣るなど、
早い筆記に追従しえず、カスレ、ムラが発生する問題も
ある。しかも、この不溶性の粉体顔料は微細で飛散しや
すいので、筆記あるいは消去に際して、教師などの肺に
吸収されやすく、健康上の問題が無視できない。
【0006】このような問題に対処するため、特開平9
−59547号、特開平7−90214号、特開昭53
−82507号には、アルコール中に発色助剤によって
発色する油溶性の発色剤を分散させたインクが開示され
ており、このようなインクでは水による消色が可能であ
るとされている。しかし、このようなインクを用いた場
合であっても発色剤は油溶性であるために、水による消
色が不十分であったり、早い筆記を行う場合にカスレ、
ムラの発生を完全に防止することができない。また、健
康上の問題を完全に防止するには至っていない。
【0007】したがって、これらの問題を解決したイン
クおよびイレーザーが望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、いわ
ゆる白色ボード等に筆記する際、早い筆記を行っても筆
記画像にカスレやムラの発生がなく、また筆記画像を消
去する際、完全な消去が可能であり、かつダスト等によ
る周囲の汚れや健康上の問題のない筆記および消去方
法、ならびにそれに用いるインクおよびイレーザーを提
供することである。
【0009】
〔一般式(I)中、Dは発色団を有する化合物またはこの化合物から誘導される基を表し、XはDに直接もしくは2価の連結基を介して結合した解離性プロトンまたは解離性プロトンを有する基を表し、yは0〜7の整数である。〕
(2) インク受領層の表面の光沢度が1〜60の範囲
にあり、かつその表面の水に対する接触角が50〜80
度の範囲にある上記(1)の筆記および消去方法。 (3) 前記染料と分散剤と水とを含有し、前記染料が
水に分散した上記(1)または(2)の筆記および消去
方法に用いるインク。 (4) 前記染料がメチン染料およびアゾメチン染料か
ら選ばれる上記(3)のインク。 (5) 前記染料が下記一般式(II)〜(VI)で表
される化合物から選ばれる上記(4)のインク。
【0010】
【化2】
【0011】〔式中、A1およびA2は各々酸性核を表
し、B1は塩基性核を表し、B2は塩基性核のオニウム体
を表し、Qはアリール基または複素環基を表す。L1
2およびL3は各々メチン基を表し、mは0〜2の整数
であり、nおよびpは各々0〜3の整数であり、qは0
〜4の整数であり、rは1または2である。〕 (6) 少なくとも1種の還元剤と水とを含有した上記
(1)または(2)の筆記および消去方法に用いるイレ
ーザー。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、白色ボードのようなインク受領層を
有する筆記ボード上に筆記する際、一般式(I)で表さ
れる染料から選ばれる1種以上の染料が水に分散したイ
ンクを用いている。このように染料が水を主成分とする
分散媒中に分散されているので、染料の吸い上げ効率が
良く、早い筆記を行ってもカスレやムラの発生がない。
また、筆記具のフェルトペン先の種類や形態の依存性が
なく、従っていかなる従来のフェルトペンの形態として
も使用することができる。
【0013】一方、上記の本発明のインクと組み合わせ
て用いるイレーザーは、還元剤と水とを含有するもので
あり、例えば還元剤の水溶液を含浸した布や紙などであ
ってよく、これにより筆記画像を拭き取ることによっ
て、インク受領層中の画像を形成する染料が還元剤と反
応して消色するとともに、イレーザーに移動する。即
ち、上記の染料は還元剤の攻撃によって消色する。より
好ましくは、メチン染料ないしアゾメチン染料であるた
め、これら染料ののメチン鎖ないしアゾメチン鎖が還元
剤によって攻撃されて消色すると考えられる。したがっ
て、消去が完全であり、消去の際の染料ダスト等の発生
がなく、汚れや健康上の問題がない。また、使用前後の
いずれにおいても、イレーザーの機能部分が手に付着し
て着色を引き起こすことがない。
【0014】本発明のインクは、一般式(I)で表され
る染料を含有する。このような染料は水分散性の染料で
あり、インク中で一部溶解していてもかまわないが、水
に対する溶解度(25℃)は30g/リットル以下であ
ることが好ましく、より好ましくは0.01〜3g/リ
ットルである。
【0015】一般式(I) D−(X)y 式中、Dは発色団を有する化合物またはこの化合物から
誘導される基を表し、XはDに直接もしくは2価の連結
基を介して結合した解離性プロトンまたは解離性プロト
ンを有する基を表し、yは0〜7の整数を表す。
【0016】以下に一般式(I)について詳細に説明す
る。
【0017】Dで表される発色団を有する化合物は多く
の周知の色素化合物の中から選ぶことができる。これら
の化合物としては、オキソノール色素、メロシアニン色
素、シアニン色素、スチリル色素、アリーリデン色素、
アゾメチン色素、インドアニリン色素を挙げることがで
きる。
【0018】Xで表される解離性プロトンを有する基の
例としては、カルボキシル基、スルホンアミド基、アリ
ールスルファモイル基、スルホニルカルバモイル基、カ
ルボニルスルファモイル基、オキソノール色素のエノー
ル基、フェノール性水酸基等を挙げることができる。ま
た、Xで表される解離性プロトンはこのような基中のプ
ロトンである。
【0019】XとDとの間の2価の連結基は、アルキレ
ン基、アリーレン基、ヘテロ環残基、−CO−、−SO
k−(kは0、1、2)、−NR−(Rは水素原子、ア
ルキル基、アリール基を表す)、−O−、およびこれら
の連結基を組み合わせた2価の基であり、さらにそれら
はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、
アシル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、カ
ルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ス
ルホンアミド基等の置換基を有していても良い。好まし
い例として、−(CH2i−(i=1、2、3)、−C
2CH(CH3)CH2−、1,2−フェニレン、5−
カルボキシ−1,3−フェニレン、1,4−フェニレ
ン、6−メトキシ−1,3−フェニレン、1,3−フェ
ニレン、−CONHC64−等を挙げることができる。
【0020】yは好ましくは1〜5の整数であり、特に
好ましくは1〜3の整数である。
【0021】一般式(I)で表される水分散性染料のな
かでも、メチン染料、アゾメチン染料であることが好ま
しく、より好ましいものは下記一般式(II)、(II
I)、(IV)、(V)、(VI)で表される化合物で
ある。
【0022】
【化3】
【0023】式中、A1、A2は各々酸性核を表し、B1
は塩基性核を表し、B2は塩基性核のオニウム体を表
し、Qはアリール基または複素環基を表し、L1、L2
およびL3は各々メチン基を表し、mは0、1、2を表
し、n、pは各々0、1、2、3を表し、qは0、1、
2、3、4を表し、rは1、2を表す。ただし、一般式
(II)〜(VI)の化合物は1分子中に、カルボキシ
ル基、スルホンアミド基、アリールスルファモイル基、
スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル
基、オキソノール色素のエノール基、フェノール性水酸
基からなる群より選ばれる少なくとも1個(好ましくは
1〜5個、より好ましくは1〜3個)の解離性の基を有
し、それ以上の水溶性基(例えばスルホ基、燐酸基)を
有しないことが好ましい。
【0024】A1またはA2で表される酸性核は、環状ケ
トメチレン化合物から誘導される基、または電子吸引性
基によってはさまれたメチレン基を有する化合物から誘
導される基が好ましい。環状のケトメチレン化合物の例
としては、2−ピラゾリン−5−オン、ロダニン、ヒダ
ントイン、チオヒダントイン、2,4−オキサゾリジン
ジオン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、チオバル
ビツール酸、インダンジオン、ジオキソピラゾロピリジ
ン、ヒドロキシピリジン、ピラゾリジンジオン、2,5
−ジヒドロフラン−2−オン、ピロリン−2−オンを挙
げることができる。これらは置換基を有していても良
い。
【0025】電子吸引性基によって挟まれたメチレン基
を有する化合物はZ1CH22と表すことができ、ここ
にZ1、Z2は各々−CN,−SO21,−COR1,−
COOR2,−CONHR2,−SO2NHR2,−C〔=
C(CN)2〕R1,または−C〔=C(CN)2〕NH
1を表す。R1はアルキル基、アリール基、または複素
環基を表し、R2は水素原子、R1で表される基を表し、
そしてこれらはそれぞれ置換基を有していても良い。
【0026】B1で表される塩基性核の例としては、ピ
リジン、キノリン、インドレニン、オキサゾール、イミ
ダゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイ
ミダゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾリン、ナフト
オキサゾール、ピロールを挙げることができる。これら
はそれぞれ置換基を有していてもよい。B2は塩基性核
のオニウム体であって、例としては上記B1で挙げた塩
基性核のオニウム体を挙げることができる。
【0027】オニウム体の対イオンとしては、ハロゲン
化物イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、テトラフ
ルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオンなどが挙げられ
る。また、分子内塩を形成していてもよい。
【0028】Qで表されるアリール基の例としては、フ
ェニル基、ナフチル基を挙げることができ、それぞれ置
換基を有していても良い。特にジアルキルアミノ基、水
酸基、アルコキシ基が置換したフェニル基が最も好まし
い。ジアルキルアミノ基はアルキル基同士が結合して環
を形成してもよく、さらにはアルキル基がベンゼン環な
いしその置換基に結合して複合環を形成してもよい。Q
で表される複素環基の例としては、ピロール、インドー
ル、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、
インドリジン、キノリン、カルバゾール、フェノチアジ
ン、フェノキサジン、インドリン、チアゾール、ピリジ
ン、ピリダジン、チアジアジン、ピラン、チオピラン、
ジオキサインダン、オキサジアゾール、ベンゾキノリ
ン、チアジアゾール、ピロロチアゾール、ピロロピリダ
ジン、テトラゾール、オキサゾール、クマリン、および
クマロンを挙げることができる。これらはそれぞれ置換
基を有していても良い。
【0029】L1、L2、およびL3で表されるメチン基
は、置換基を有していても良く、その置換基同士が連結
して5または6員環(例えばシクロペンテン、シクロヘ
キセン)を形成していても良い。
【0030】上述した各基が有してもよい置換基は、
(II)〜(VI)の化合物をインク中の溶媒に実質的
に溶解させるような置換基でなければ特に制限はない。
例えばカルボキシル基、炭素数1〜10のスルホンアミ
ド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホン
アミド、ブタンスルホンアミド、n−オクタンスルホン
アミド)、炭素数0〜10のスルファモイル基(例えば
無置換のスルファモイル、メチルスルファモイル、フェ
ニルスルファモイル、ブチルスルファモイル)、炭素数
2〜10のスルホニルカルバモイル基(例えばメタンス
ルホニルカルバモイル、プロパンスルホニルカルバモイ
ル、ベンゼンスルホニルカルバモイル)、炭素数1〜1
0のアシルスルファモイル基(例えばアセチルスルファ
モイル、プロピオニルスルファモイル、ピバロイルスル
ファモイル、ベンゾイルスルファモイル)、炭素数1〜
8の鎖状または環状のアルキル基(例えばメチル、エチ
ル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、シクロプロピ
ル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カル
ボキシブチル、2−メトキシエチル、ベンジル、フェネ
チル、4−カルボキシベンジル、2−ジエチルアミノエ
チル)、炭素数2〜8のアルケニル基(例えばビニル、
アリル)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキ
シ、エトキシ、ブトキシ)、ハロゲン原子(例えばF,
Cl,Br)、炭素数0〜10のアミノ基(例えば無置
換のアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボ
キシエチルアミノ)、炭素数2〜10のエステル基(例
えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、炭素
数1〜10のアミド基(例えばアセトアミド、ブチリル
アミノ、ベンズアミド)、炭素数1〜10のカルバモイ
ル基(例えば、無置換のカルバモイル、メチルカルバモ
イル、エチルカルバモイル)、炭素数6〜10のアリー
ル基(例えばフェニル、ナフチル、4−カルボキシフェ
ニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシ
フェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−ブ
タンスルホンアミドフェニル)、炭素数6〜10のアリ
ーロキシ基(例えばフェノキシ、4−カルボキシフェノ
キシ、3−メチルフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1
〜8のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチ
オ、オクチルチオ)、炭素数6〜10のアリールチオ基
(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、炭素数1〜1
0のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、プロパノ
イル)、炭素数1〜10のスルホニル基(例えばメタン
スルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜10の
ウレイド基(例えばウレイド、メチルウレイド)、炭素
数2〜10のウレタン基(例えばメトキシカルボニルア
ミノ、エトキシカルボニルアミノ)、シアノ基、水酸
基、ニトロ基、複素環基(例えば、複素環としては5−
カルボキシベンゾオキサゾール環、ピリジン環、スルホ
ラン環、フラン環、ピロール環、ピロリジン環、モルホ
リン環、ピペラジン環、ピリミジン環)等を挙げること
ができる。
【0031】以下に本発明に用いられる一般式(I)〜
(VI)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明
はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】
【化16】
【0045】
【化17】
【0046】
【化18】
【0047】
【化19】
【0048】
【化20】
【0049】
【化21】
【0050】本発明に用いられる染料は国際特許WO8
8/04794号、ヨーロッパ特許EP274723A
1号、同276566号、同299435号、同696
758A1号、特開昭52−92716号、同55−1
55350号、同55−155351号、同61−20
5934号、同48−68623号、米国特許第252
7583号、同3486897号、同3746539
号、同3933798号、同4130429号、同40
40841号、特開平2−282244号、同3−79
31号、同3−167546号等に記載されている方法
またはその方法に準じて合成できる。
【0051】一般式(I)で表される染料は、微粉末
(微結晶粒子)の固体分散物として用いる。染料の微
(結晶)粒子固体分散物は、所望により適当な溶媒
(水、アルコールなど)を用い、分散剤の存在下での公
知の微細化方法(例えば、ボールミル、振動ボールミ
ル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェ
ットミル、ローラーミル)を用い機械的に調製すること
ができる。また、染料の微(結晶)粒子は、分散剤を用
いて、染料を適当な溶媒中で溶解させた後、染料の微
(結晶)粒子は、分散剤を用いて、染料を適当な溶媒中
で溶解させた後、染料の貧溶媒に添加して微結晶を析出
させる方法や、pHをコントロールさせることによって
まず染料を溶解させ、その後pHを変化させて微結晶化
する方法などを利用して得ることができる。
【0052】分散剤としては公知の界面活性剤を用いる
ことができ、米国特許第4006025号、特開昭62
−215272号、特開平1−201655号、同4−
125548号、米国特許第5104776号、欧州特
許EP678771A2号、特開昭63−11935
号、同63−60446号に記載のようなアニオン系界
面活性剤、ノニオン系界面活性剤およびこれらの単独ま
たは複数の併用、米国特許第3542581号、欧州特
許EP569074A1号に記載のような両性界面活性
剤や、欧州特許EP602428A1号に記載のような
含フッ素界面活性剤も用いることができる。特にアニオ
ン性および/またはノニオン性界面活性剤の使用が好ま
しく、さらに好ましくは特開平4−324858号に記
載のようなアニオン性ポリマー、特開昭60−1584
37号や特開平7−13300号に記載のようなオリゴ
マー型ポリマー、米国特許第3860425号に記載の
ようなノニオン性ポリマーを用いることができる。これ
らは分散後に加えることもできる。これらの分散剤の使
用量は、分散される染料に対し重量比1〜200%であ
る。以下に分散時に加えることのできるポリマーないし
分散剤の具体例を挙げるが、これらの化合物に限定され
るものではない。
【0053】
【化22】
【0054】
【化23】
【0055】
【化24】
【0056】
【化25】
【0057】
【化26】
【0058】
【化27】
【0059】
【化28】
【0060】
【化29】
【0061】
【化30】
【0062】
【化31】
【0063】
【化32】
【0064】
【化33】
【0065】
【化34】
【0066】分散剤は1種のみを用いても2種以上を併
用してもよい。
【0067】固体分散物中の染料の微粒子は、平均粒径
0.005μm 〜10μm 、好ましくは0.01μm 〜
1μm 、さらに好ましくは0.01μm 〜0.5μm で
あり、場合によっては0.01μm 〜0.1μm である
ことが好ましい。
【0068】また、染料は1種のみを用いても2種以上
併用してもよく、その使用量はインク1リットル中0.
1〜100g であることが好ましく、より好ましくは
0.3〜70g である。
【0069】上記の分散剤として用いられる界面活性剤
は、インク中に添加することによって、白色ボード等の
被記録材への濡れ性、即ち筆記性を向上させる効果もあ
る。分散剤として用いられる界面活性剤のほかにさらに
界面活性剤を添加することができる。
【0070】上記の分散剤のうち、ポリマー分散剤は、
筆記具中におけるインクの乾燥を防止し、インクの粘度
調整を行うバインダー(水溶性ポリマー)としての機能
を併せもつものもあるが、さらに水溶性ポリマーを添加
してもよい。
【0071】水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアル
コール、アルギン酸塩、セルロース、セルロース誘導
体、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリアクリル酸ナトリウム、トラガントゴム、アラ
ビアゴム、グアーガム、ゼラチン、ニカワ、ペクチン、
ローカストビーンガム、ガラクトースマンナン、カンテ
ン、デンプンなどが挙げられる。なかでも、ポリビニル
アルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース等が好ましく用いられる。
【0072】水溶性ポリマーを添加するときの添加量は
染料に対し5〜100重量%であることが好ましい。
【0073】このほか、本発明のインクにはポリエチレ
ングリコール等の湿潤剤、クエン酸ソーダや酒石酸ソー
ダ等の防腐剤などを添加してもよい。
【0074】本発明のインクは染料の分散媒として水の
みを用いてもかまわないが、乾きをよくするために、全
分散媒の0.1〜75重量%の範囲でメチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低
級アルコールを併用してもよい。
【0075】図1には、本発明のインクを収納した筆記
具の一構成例が示されている。図1の筆記具1は、本発
明のインクは多孔質材料ないし長繊維材料(例えば脱脂
綿、木綿等)に含浸されて容器中に収納されたインク部
11と、インクを取り出しかつ筆記可能とする多孔質材
料(例えば焼結ポリスチレン、海綿、筆先のフェルトの
芯や毛等)で形成された筆記部12とを有し、インク部
11と筆記部12の一部とは筆記具支持部13内に収納
されている。また、筆記部12の先端部には着脱可能な
キャップ部14が筆記部12の先端部を覆うようにして
取り付けられてる。さらに筆記具支持部13の筆記部1
2と反対側には詰替用キャップ部15が設けられてお
り、インク部11を覆うとともに、インク部11のイン
クが使用済となったときなどに、詰替用キャップ部15
を取りはずし、インク部11が一体的に詰替用インク部
と交換できるように構成されている。なお、詰替用イン
ク部は図1のインク部11と同構成であり、別部材とさ
れる。
【0076】本発明における筆記具は、図示例に限ら
ず、種々のものであってよい。
【0077】一方、本発明のイレーザーは、還元剤と水
とを含有するものである。還元剤としては、亜硫酸ナト
リウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸カル
シウム、亜硫酸亜鉛、塩化スズ(SnCl2)、金属粉
(例えば亜鉛粉、アルミニウム粉等)、ハイドロサルフ
ァイトなどが挙げられ、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリ
ウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸亜鉛
が好ましく、なかでも亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸リチウムが好ましく、性能および安全性の観
点からは亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)が特に好まし
い。
【0078】このようなイレーザーは、還元剤を0.2
〜10重量%含有する水溶液等であればよく、これらを
布、紙等にしめしたものなどとすればよい。なお、この
ような水溶液の溶媒として、水のほか、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のア
ルコールを0.1〜10重量%含有していてもよい。こ
のほか、このような水溶液には、界面活性剤、湿潤剤
(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル等)、防腐剤等が含有されていてもよい。
【0079】本発明のインクを用いて筆記を行う被記録
材としては、インク受領層を有する筆記ボードであれば
特に制限はなく、いわゆる白色ボードと称されるもので
あってよい。特に、本発明では、インク受領層の表面の
光沢度が1〜60の範囲にあり、かつその表面の水に対
する接触角が50〜80度の範囲にあるものを用いるこ
とが好ましい。このような特性を有するインク受領層の
表面は、本発明のインクと適度な親和性を有するので、
このようなインクの筆記具で文字等を滲んだり、はじい
たりすることなく記録することができ、さらに記録した
文字や図形を本発明のイレーザーで容易に消去すること
ができる。また、上記インク受領層は、光沢度が比較的
低く、防眩性に優れている。
【0080】ここで、光沢度が1〜60の範囲であると
は、JIS−K−7105−1981に記載の方法によって
得られる60度鏡面光沢度および45度鏡面光沢度が、
いずれも1〜60の範囲にあることを意味する。
【0081】上記の表面の水に対する接触角は、25℃
における値である。
【0082】上記のようなインク受領層を有するボード
は、紙の一方の表面に上記のようなインク受領層が設け
られたシートを既存のボードあるいは壁の表面に貼りつ
けたものであってもよく、このようなシートを用いるこ
とによって、既存の設備を利用して本発明のインクおよ
びイレーザーによる筆記・消去方法を実施することがで
きる。また、このようなシートは映写スクリーン用シー
トとして使用することもでき、貼りかえが容易で廃棄処
分も容易であるので好ましい。
【0083】このようなシートを構成する紙としては、
原紙、原紙の両面に表面サイズ剤が塗布されたもの、コ
ート紙およびアート紙を挙げることができる。原紙は、
針葉樹、広葉樹等から得られる天然パルプを主原料に、
必要に応じて、クレー、タルク、炭酸カルシウム、尿素
樹脂微粒子等の填料;ロジン、アルキルケテンダイマ
ー、高級脂肪酸、エポキシ化脂肪酸アミド、パラフィン
ワックス、アルケニルコハク酸等のサイズ剤;デンプ
ン、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリア
クリルアミド等の紙力増強剤;硫酸バンド、カチオン性
ポリマー等の定着剤;等を添加したものが一般的に使用
される。また、界面活性剤、エポキシ化脂肪酸アミド
(上記サイズ剤用以外の)等の柔軟化剤を添加してもよ
い。あるいは、天然パルプに代えて合成パルプを使用し
て得られた紙も使用することができ、また、天然パルプ
と混合パルプの混合物から得られた紙も使用することが
できる。
【0084】本発明では使用される紙は、コート紙、原
紙の両面に表面サイズ剤が塗布されたものが好ましい。
【0085】上記原紙表面に塗布される表面サイズ剤
(または液)は、一般にポリビニルアルコールおよび/
またはその変性物の水溶液である。この水溶液は、さら
に澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、アルギン酸ナトリウム、セルロースサル
フェート、ゼラチン、カゼイン等の高分子化合物;塩化
カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の金属
塩;グリセリン、ポリエチレングリコール等の吸湿性物
質;染料等の着色剤;蛍光増白剤等の増白物質;苛性ソ
ーダ、アンモニア水、塩酸、硫酸、炭酸ナトリウム等の
pHコントロール剤を添加しても良い。また、必要に応
じて、界面活性剤、エポキシ化脂肪酸アミド等の柔軟化
剤および顔料を添加してもよい。
【0086】表面サイズ剤(液)を原紙に含浸させる方
法は、サイズプレス、タブサイズあるいはゲイトロール
コースターを用いて塗布することによって行うことがで
きる。
【0087】上記紙の上に設けられるインク受領層は、
ポリマーからなる層である。さらにポリマー中に顔料が
分散していることが好ましい。さらに、上記インク受領
層は、その表面の光沢度が、好ましくは1〜60の範囲
にあり、かつその表面の水に対する接触角が、好ましく
は50〜80度の範囲にある。このような接触角を満足
するのであればどのようなポリマーでも使用することが
できる。
【0088】ポリマーの例としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等の
ポリエステル(芳香族系ポリエステルが好ましい)、シ
ンジオタクチックポリスチレン等のポリスチレン、ポリ
塩化ビニル、ポリアミドを挙げることができる。
【0089】本発明においては、インク受領層のポリマ
ーは、ポリエステルが好ましく、特にアモルファスポリ
エステルが好ましい。インク受領層は、一般に紙に上記
ポリエステルを溶融押出して、ラミネート(いわゆるエ
キストルージョンラミネート)することにより形成され
る。インク受領層と紙とのラミネートは、ホットメルト
ラミネート、ドライラミネートあるいはウエットラミネ
ート等の方法を利用してもよい。
【0090】上記ポリエステルは、ジカルボン酸とグリ
コールから合成される種々のポリエステル、およびカプ
ロラクトンの開環重合により得られるポリエステル等
を、特に限定されることなく使用することができる。
【0091】ジカルボン酸の例としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカル
ボン酸とそれらのアルキルエステル;1,4−シクロヘ
キサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂
肪族ジカルボン酸とそれらのアルキルエステル、そして
トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能性カルボ
ン酸またはそれらのアルキルエステルなどを挙げること
ができる。
【0092】グリコールの例としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコ
ール等のアルキレングリコールの縮合体、ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、分子量150〜2000
0のポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタールおよびビスフェノールAの両端にn個のエ
チレンオキサイドが付加したもの(n:1〜10)等を
挙げることができる。
【0093】上記材料から得られるポリエステルとして
は芳香族ポリエステルが好ましい。さらに、主たる構成
単位がエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6
−ナフタレートからなるポリエステル(即ち、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)またはポリエチレン−
2,6−ナフタレート(PEN))、およびエチレンテ
レフタレートとエチレン−2,6−ナフタレートとの両
方の単位を含むポリエステル(共重合体)を挙げること
ができる。特に、PETが好ましい。
【0094】上記ポリエステルのインク受領層は、一般
に紙に上記ポリエステルを溶融押出して、ラミネートす
ることにより形成される。このように溶融押出しされた
ポリエステルは、一般にアモルファス(非晶質)とな
る。このようなアモルファスポリエステルを得るための
溶融押出条件は、ポリエステルの融点より20℃以上高
い温度でダイ(例、Tダイ)より溶融されたポリエステ
ル膜を、40℃以下に保持されたチルトロール上に、吐
出することにより一般に行うことができる。チルトロー
ル上に吐出されたポリエステル膜上に、ロールにより搬
送された紙がラミネートされ、紙上にインク受領層が形
成される。
【0095】上記ポリエステルの溶融押出しは、紙の両
面に行うことができる。その際、粘着剤層はポリエステ
ル樹脂層の上に設けられる。
【0096】上記ポリエステルの紙両面への溶融押出し
は、上記工程を二度繰り返して行うことができる。
【0097】溶融ポリエステルが吐出される紙の表面
は、紙とポリエステル膜との粘着性を向上させるため
に、紙(好ましくはコート紙、サイジング紙)表面を前
もって表面処理(例、CO基を増加させる処理)を行う
ことが好ましい。
【0098】上記表面処理としては、ガス炎による火災
処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、アルキルチタ
ネート等によるアンカーコート処理を挙げることができ
る。特にコロナ放電処理が簡便で好ましい。コロナ処理
の場合、水との接触角が70度以下になるように一般に
処理される。
【0099】アンカーコートに使用される材料として
は、有機チタン系化合物、イソシアネート系化合物、ポ
リエチレンイミン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂を挙げ
ることができる。有機チタン系化合物の例としては、テ
トライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネー
ト、テトラステアリルチタネート等のアルキルチタネー
ト;ブトキシチタニウムステアレート等のチタンアシレ
ート;チタニウムアセチルアセトネート等のチタンキレ
ートなどを挙げることができる。イソシアネート系化合
物の例としては、トリレンジイソシアネート(TD
I)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、キシリ
レンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシ
アネート(IPDI)等を挙げることができる。
【0100】インクの受領層は、さらに顔料(有機また
は無機の微粒子)を含むことが好ましい。顔料の例とし
ては、白色顔料(例、二酸化チタン、亜鉛華;硫酸バリ
ウム、炭酸カルシウム、タルク)、黒色顔料(例、カー
ボンブラック、鉄黒)、黄色顔料(例、黄鉛、ベンジン
エロー、オーカー)、橙色顔料(例、赤口黄鉛)、赤色
顔料(例、ベンガラ、チオインジゴマルーン)、および
青色顔料(例、群青、アンスラキノンブルー、インダス
レンブルー)を挙げることができる。これらの中で白色
顔料(特に、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシ
ウムまたはタルク)が好ましい。上記以外の顔料であっ
ても、ポリマーを溶融押出する際の高温に耐え得る顔料
であれば、好ましく使用することができる。
【0101】上記顔料の平均粒径は、一般に、好ましく
は0.01〜5.0μm の範囲にあり、0.1〜3.0
μm の範囲がより好ましい。また上記顔料は、一般にイ
ンク受領層中にポリマーに対して1〜100重量%の量
で含まれているのが一般的で、5〜60重量%の範囲が
好ましい。
【0102】上記顔料を含むポリエステルからなるイン
ク受領層も、前記と同様にポリエステルと顔料を押出機
(例、一軸または二軸混練押出機)内で溶融混合した
後、溶融押出しをチルドロール上に行って、紙とラミネ
ートすることにより形成される。
【0103】インク受領層は、上記ポリエステル等のポ
リマーの溶液、あるいはポリマーと顔料の分散液を、紙
上に塗布、乾燥することにより形成しても良い。
【0104】上記インク受領層の層厚は、5〜100μ
m の範囲(特に10〜80μm の範囲)が好ましい。上
記厚さが5μm 未満の場合、および100μm を超えた
場合は、共に高速押出による紙とのラミネートが安定し
て行うことが困難となる。
【0105】また、インク受領層の表面粗さ(Ra)
は、カットオフ値0.8mmにおいて0.3〜3μm の
範囲にあることが好ましい。
【0106】紙のインク受領層が設けられていない側の
表面(裏面)には、既存のボード等への貼付を目的とし
て粘着剤層を設けることができる。また、反り防止や強
度の向上の目的から、裏面にもインク受領層(あるいは
ポリマー層)が設けられている場合は、その上に設けら
れる。粘着剤層は、一般に、粘着剤溶液を塗布、乾燥す
ることにより形成される。
【0107】粘着剤の主成分としては、ゴム系ポリマー
(例、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリイソブチレ
ン)、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルエーテル等が使用される。通常、粘着付与剤
(例、ロジン、ロジンエステル、エステルガム、クマロ
ン樹脂、クマロン/インデン樹脂、テルペン樹脂、炭化
水素樹脂、油溶性フェノール樹脂);軟化剤(例、脂肪
酸エステル、動植物油脂、ワックス、石油重質成分);
および顔料(例、亜鉛華)がさらに上記主成分に加えら
れる。所望により、充填剤、老化防止剤、安定剤等をさ
らに用いてもよい。
【0108】上記粘着剤層の層厚は、一般に1〜50μ
m の範囲にあり、3〜30μm の範囲が好ましい。
【0109】上記粘着剤層の表面には、離型紙等の離型
シートが貼付されていることが好ましい。即ち、紙の表
(おもて)面にインク受領層が設けられ、裏面に粘着剤
層および離型シートが設けられた筆記ボード用シート
は、例えば、ロール状に巻き取られ、使用に当たっては
そのロールから必要な分だけカットして、離型シートを
剥がして黒板や壁等に貼りつけることにより、貼りつけ
た箇所を筆記ボードとして使用することができる。
【0110】上記離型シートは、一般に、紙やプラスチ
ックフィルムの表面にステアリン酸塩、シリコーン、石
鹸等の離型剤の層を形成したものである。離型シート
は、この離型剤の層を粘着剤層の表面に重ね合わせて、
積層され、粘着剤層が露出しないように保護する。
【0111】
【実施例】以下、実施例にて本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれによって限定されるものではな
い。まず、実施例に用いる染料の分散物の調製について
述べる。
【0112】1)染料の機械分散物の調製 染料III−3、II−1、III−6、II−25、
I−1、II−7、II−11(黒色用)、染料III
−2、II−7、III−4、III−23、II−3
(赤色用)、染料I−3、II−7、I−6、I−7
(青色用)、染料I−8、V−3、II−26、III
−11、II−9(緑色用)、染料IV−4、II−
1、II−20(オレンジ色用)の各染料について機械
分散物を次のようにして調製した。
【0113】上記の各染料の粉体またはウェットケーキ
を染料の正味量が8.35g になるように加え、分散剤
としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(商品
名第一工業製薬(株)製セロゲン6A)またはナフタレ
ンスルホン酸ナトリウムを2.51g 加え、水を加えて
83.5g とし、脱アルカリガラスビーズ(1mm径)を
218g 入れ、内容物をサンドグラインダーミルTSG
型(アイメックスK.K.製)を用いて4.5〜6時間
分散した。内容物の平均粒径サイズは、マルバーン社製
マスターサイザを用いた測定から、いずれの染料におい
ても、0.2〜0.5μm の範囲にあった。
【0114】2)染料の析出分散物の調製 染料III−2(赤色用)の析出分散物を次のようにし
て調製した。10wt%ゼラチン水溶液72g に水108
ml、Triton X−200界面活性剤6.7wt%溶液を
1.5mlおよび1規定のクエン酸水溶液7.5mlを加え
40℃で攪拌している中へ、チューブより7g の染料を
0.2規定の炭酸ナトリウム水溶液100mlに溶かした
染料溶液26.8〜37.5mlを毎分5mlのスピードで
添加して染料の固体分散物を得た。染料の平均粒子サイ
ズは、マルバーン社製マスターサイザでの測定から、
0.25μm であった。
【0115】[実施例1]ポリエチレンテレフタレート
(PET)80重量部とタルク(長径方向の平均粒径:
2.0μm )20重量部とを、二軸混練押出機で分散混
合した後、Tダイから300℃で冷却されたチルドロー
ル上に吐出して白色フィルムを形成させた後、チルドロ
ールと隣接して設けられたニップロール上に送られた表
面が火炎処理されたコート紙(坪量157g/m2、厚さ1
60μm ;エスプリコートFAM、日本製紙(株)製)
にラミネートして、アモルファスPETのインク受領層
(厚さ:30μm )をコート紙上に積層した。上記チル
ドロールは、Ra=15μmの表面粗さを有するものを
用いた。
【0116】次にインク受領層が設けられなかった紙の
表面(裏面)に、下記の組成の粘着剤層形成用塗布液
を、ナイフロールコータで塗布し、乾燥することによ
り、厚さ10μm の粘着剤層を形成して、紙の表面にイ
ンク受領層および粘着剤層が形成された筆記ボード用シ
ートを作製した。次いで、この筆記ボード用シートの粘
着剤層を、別に用意した離型剤層の面と接するようにし
てロール状に巻き取って離型紙付き筆記ボード用シート
を作製した。
【0117】 (粘着剤層形成用塗布液) スチレン/ブタジエン共重合体(固形分として) 100重量部 亜鉛華 5重量部 油溶性フェノール樹脂(固形分として) 12重量部 エステルガム(固形分として) 40重量部 パラフィンオイル 25重量部 クマロンインデン樹脂(固形分として) 40重量部 ノルマルヘキサン 500重量部
【0118】このような筆記ボード用シートの表面の光
沢度は、60度鏡面光沢度が13、40度鏡面光沢度が
12であり、水に対する接触角は74度、表面粗さRa
は0.9μm であった。光沢度はJIS−K−7105
−1981に記載された方法に従って、光沢計HANDY GL
OSS METER(HG-246、スガ試験機(株)製)を使用して
測定した。接触角は、ボードを25℃の恒温室に1時間
放置後、25℃で接触角測定器(協和表面科学(株)
製)を用いて測定した。表面粗さRaはサーフコム(東
京精密(株)製)を用いて、カットオフ値0.8mmに
て測定した。
【0119】このような筆記ボード用シートを壁面に貼
り付け、このシート上に下記処方の黒色インクをインク
部に吸収させた図1に示すような筆記具を用いて、文字
や絵を描いたところ、カスレ、ムラなどがなく描くこと
ができた。また、早い筆記を行った場合においてもカス
レ、ムラが生じることもなく追従して描くことができ
た。
【0120】 〈黒色インクの処方〉 蒸留水 1000ml エチルアルコール 500ml ポリビニルアルコール 12g グリセリルモノアルキルエーテル(炭素数8〜18) 3g 機械分散物(染料III−3) 12g (染料として0.18g ) 機械分散物(染料II−1) 13g (染料として0.87g )
【0121】このようにして得られた画像は鮮明な黒色
画像(反射濃度で約2.1)であった。
【0122】さらに、描いた文字や絵を2時間(22℃
55%RH)放置した後に観察したところ、描いた状態
が良好に保持されていた。また、この放置した状態の文
字や絵を、亜硫酸ナトリウムの2g/l水溶液を含浸させ
たウェットティッシュペーパーで拭き取ると、シート上
の文字や絵を形成するインクは消色し、これと同時にイ
ンク成分はウェットティッシュペーパー上に移動し、き
れいに消去することができた。また、周囲の汚れもな
く、染料が呼吸器系に吸入される危険性もないことがわ
かった。また、イレーザーが手に触れても、手に着色汚
れが生じなかった。
【0123】[実施例2]実施例1の黒色インクにおい
て、染料の組合せを以下のように変えた黒色インクを調
製し、実施例1と同様に使用したが、実施例1と同様に
良好な鮮明な黒色画像が得られ、同様に消去することが
できた。
【0124】 染料の組合せA 染料III−6(分散物) 14g (染料として0.83g ) 染料II−25(分散物) 13g (染料として0.77g ) 染料の組合せB 染料I−1(分散物) 11g (染料として0.49g ) 染料II−7(分散物) 14g (染料として0.63g ) 染料II−11(分散物) 12g (染料として0.51g )
【0125】[実施例3]実施例1において、以下の処
方の赤色インクを調製し、実施例1と同様に使用したと
ころ、実施例1と同程度の鮮明な赤色画像が得られ、同
様に消去することができた。
【0126】 〈赤色インクの処方例〉 蒸留水 1000ml エチルアルコール 1400ml カルボキシメチルセルロース 45g グリセリルモノオレート 3g 機械分散物(染料III−2) 24g (染料として1.22g )
【0127】[実施例4]実施例3において、染料の組
合せを以下のようにかえた赤色インクを調製し、実施例
3と同様の良好な鮮明な赤色画像が得られ、同様に消去
することができた。
【0128】 染料の組合せC 染料II−7(分散物) 13g (染料として0.66g ) 染料III−4(分散物) 13g (染料として0.41g ) 染料の組合せD 染料III−23(分散物) 14g (染料として0.69g ) 染料II−3(分散物) 14g (染料として0.54g )
【0129】[実施例5]実施例3において、染料II
I−2の機械分散物のかわりに染料III−2の析出分
散物を用いるほかは、実施例3と同様にして赤色インク
を調製し、同様に使用したところ、実施例3と同様の良
好な鮮明な赤色画像が得られ、同様に消去することがで
きた。
【0130】[実施例6]実施例3において、染料の組
合せを以下のように変えた青色インクを調製し、実施例
3と同様に使用したが、実施例3と同様に良好は鮮明な
青色画像が得られ、同様に消去することができた。
【0131】 染料の組合せF 染料I−3(分散物) 14g (染料として0.58g ) 染料II−7(分散物) 14g (染料として0.63g ) 染料の組合せG 染料I−6(分散物) 25g (染料として1.63g ) 染料の組合せH 染料I−7(分散物) 24g (染料として1.44g )
【0132】[実施例7]実施例3において、染料の組
合せを以下のようにかえた緑色インクを調製し、実施例
3と同様に使用したが、実施例3と同様に良好な鮮明な
緑色画像が得られ、同様に消去することができた。
【0133】 染料の組合せI 染料I−8(分散物) 20g (染料として1.31g ) 染料の組合せJ 染料V−3(分散物) 13g (染料として0.93g ) 染料II−26(分散物) 13g (染料として0.71g ) 染料の組合せK 染料III−11(分散物) 12g (染料として0.88g ) 染料II−9(分散物) 12g (染料として0.73g )
【0134】[実施例8]実施例3において、染料の組
合せを以下のように変えたオレンジ色インクを調製し、
実施例3と同様に使用したが、実施例3と同様に良好な
鮮明なオレンジ画像が得られ、同様に消去することがで
きた。
【0135】 染料の組合せL 染料IV−4(分散物) 21g (染料として1.65g ) 染料の組合せM 染料II−1(分散物) 24g (染料として1.76g ) 染料の組合せN 染料II−20(分散物) 22g (染料として1.39g )
【0136】[実施例9]実施例1〜8において、市販
の白色ボードに文字や絵を描くものとするほかは同様の
操作を行ったが、インクの色に応じ、良好な鮮明な画像
が得られ、同様に消去することができた。
【0137】
【発明の効果】本発明によれば、白色ボード等に早い筆
記を行ってもカスレやムラが生じることがなく、また、
筆記した画像の完全な消去が可能であり、周囲を汚すこ
ともなく健康上の問題も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインク用の筆記具の一例を示す概略構
成図である。
【符号の説明】
1 筆記具 11 インク部 12 筆記部 13 筆記具支持部 14 キャップ部 15 詰替用キャップ部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク受領層を有する筆記ボード上に、
    下記一般式(I)で表される染料から選ばれる1種以上
    の染料と分散剤と水とを含有し、前記染料が水に分散し
    たインクを用いて筆記し、この筆記画像を少なくとも1
    種の還元剤と水とを含有するイレーザーによって消去す
    ることを特徴とする筆記および消去方法。 一般式(I) D−(X)y 〔一般式(I)中、Dは発色団を有する化合物またはこ
    の化合物から誘導される基を表し、XはDに直接もしく
    は2価の連結基を介して結合した解離性プロトンまたは
    解離性プロトンを有する基を表し、yは0〜7の整数で
    ある。〕
  2. 【請求項2】 インク受領層の表面の光沢度が1〜60
    の範囲にあり、かつその表面の水に対する接触角が50
    〜80度の範囲にある請求項1の筆記および消去方法。
  3. 【請求項3】 前記染料と分散剤と水とを含有し、前記
    染料が水に分散した請求項1または2の筆記および消去
    方法に用いるインク。
  4. 【請求項4】 前記染料がメチン染料およびアゾメチン
    染料から選ばれる請求項3のインク。
  5. 【請求項5】 前記染料が下記一般式(II)〜(V
    I)で表される化合物から選ばれる請求項4のインク。 【化1】 〔式中、A1およびA2は各々酸性核を表し、B1は塩基
    性核を表し、B2は塩基性核のオニウム体を表し、Qは
    アリール基または複素環基を表す。L1、L2およびL3
    は各々メチン基を表し、mは0〜2の整数であり、nお
    よびpは各々0〜3の整数であり、qは0〜4の整数で
    あり、rは1または2である。〕
  6. 【請求項6】 少なくとも1種の還元剤と水とを含有し
    た請求項1または2の筆記および消去方法に用いるイレ
    ーザー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006129583A1 (ja) * 2005-05-30 2006-12-07 Genecare Research Institute Co., Ltd. ピラゾロン誘導体

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