JPH11266681A - コンバインの排出オーガ操作装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 グレンタンクからの排出用コンベアや排出オ
ーガに異常が生じても素早くコンベアを止めて旋回や昇
降も止めることが難しかった。 【解決手段】 コンバインのグレンタンク１１近傍にグ
レンタンク内の穀粒を排出する排出オーガ２０を配置
し、該排出オーガ先端の排出口３２近傍に排出オーガの
旋回や昇降の操作を行うオーガ側操作部４１を設けた構
成において、前記オーガ側操作部に非常停止スイッチ５
９を設け、該非常停止スイッチで排出オーガの旋回、昇
降、コンベアの駆動、及びエンジンを停止するようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインのグレ
ンタンクに貯留した穀粒を排出する排出オーガにおい
て、オーガ側の操作部で非常停止が行えるようにする技
術に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来からコンバインの座席後部にグレン
タンクを配置し、穀稈を刈り取り、脱穀し、選別した後
の精粒をグレンタンクに貯留し、グレンタンクがいっぱ
いになったり、その圃場の刈り取りが終了すると、排出
オーガによって、トラックの荷台や乾燥機等に排出して
いた。この排出オーガはグレンタンクの後部に縦排出オ
ーガを設け、該縦排出オーガの上部に横排出オーガを上
下に回動したり、左右に旋回させて、任意の位置へ横排
出オーガ先端の排出口を移動できるようにしていた。そ
して、この横排出オーガの昇降や旋回操作は運転席の近
傍に設けた本機側操作部及び排出オーガの排出口近傍に
配置したオーガ側操作部で行えるようにしていた。例え
ば、特公平６−４２８０７号の技術である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術における排
出オーガは、横排出オーガの昇降駆動を油圧シリンダー
の伸縮によって行い、旋回駆動はモーターの回転駆動に
よって行われ、排出オーガ内のスクリューコンベアはエ
ンジンの動力が伝達されて駆動されていた。従って、横
排出オーガを昇降駆動している時や、旋回駆動している
時に、操作を誤って意図しない方向へ回動したり、また
は、排出位置を決めた後に穀粒を排出するためにコンベ
アを駆動している時に、コンベア内に異物が入っていて
異音を発したり、詰まって負荷が掛かったりした場合、
または、これらが複合して生じた場合等では、素早くコ
ンベアを止めて旋回や昇降も止める操作ができない場合
がある。本発明はこのような状態が生じたときに、非常
停止スイッチを押すことで、電源を切り、エンジンを止
めて、横排出オーガの回動を即座に停止し、同時にコン
ベアの駆動も停止して、被害を最小限に止めるようにし
て、安全性も高めるようにするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するため
の手段を説明する。即ち、コンバインのグレンタンク近
傍にグレンタンク内の穀粒を排出する排出オーガを配置
し、該排出オーガ先端の排出口近傍に排出オーガの旋回
や昇降の操作を行うオーガ側操作部を設けた構成におい
て、前記オーガ側操作部に非常停止スイッチを設けたも
のである。また、前記非常停止スイッチで排出オーガの
旋回、昇降、コンベアの駆動、及びエンジンを停止する
ようにしたものである。また、前記オーガ側操作部にエ
ンジン始動スイッチを設けたものである。また、非常停
止スイッチがＯＦＦ、駐車ブレーキが制動状態で、オー
ガ側操作部で操作可能としたとき、前記エンジン始動ス
イッチでエンジンを始動可能としたものである。

【０００５】

【発明の実施の形態】次に、発明の実施例を説明する。
図１は本発明の排出オーガ操作装置を装備したコンバイ
ンの全体側面図、図２は同じく平面図、図３はオーガ側
操作部の正面図、図４は制御ブロック図、図５はオーガ
側操作部の制御ブロック図、図６はオーガ側操作部でエ
ンジンを始動するときのフローチャート図である。

【０００６】図１、図２よりコンバインの全体構成から
説明する。クローラー式走行装置１上に機体フレーム２
を支持し、該機体フレーム２の進行方向右側前部上に運
転部３を配置し、該運転部３は前部にフロントコラム１
５を立設して、該フロントコラム１５に操向レバーやア
クセルレバー等を配置し、その後部に運転席１９を配置
し、機体中央側にサイドコラム１６を立設し、該サイド
コラム１６上に作業クラッチレバーや変速レバー等を配
置している。

【０００７】機体フレーム２の進行方向左側から前方へ
引起し・刈取装置７を突出配置して、穀稈を引き起こし
て株元を刈刃によって刈り取り、搬送装置によって後方
へ搬送する。引起し・刈取装置７の後部には脱穀装置４
が配置され、搬送装置によって搬送された穀稈の株元を
フィードチェーン５によって挟持して後方へ搬送しなが
ら、扱胴６によって脱粒する。脱穀後の排藁は排藁チェ
ーン９によって後方へ搬送され、カッターや結束装置等
の排藁処理装置８によって処理される。

【０００８】前記脱穀装置６の下部には選別装置が配置
され、該選別装置によって選別された後の二番物は再度
扱胴６または処理胴へ還元され、ゴミ等は排出され、籾
は一番コンベアや揚穀コンベア１２を介して運転部３後
部に配置したグレンタンク１１に搬送される。該グレン
タンク１１内の下部に下部コンベア１３が前後方向に設
けられ、該下部コンベア１３はスクリューコンベアより
構成され、該下部コンベア１３の後端が穀粒を排出する
排出オーガ２０に連通され、該排出オーガ２０は縦送り
する縦排出オーガ筒１７と、その上部に連通される横排
出オーガ筒１８より構成されている。

【０００９】該縦排出オーガ筒１７と横排出オーガ筒１
８は筒内にスクリューコンベアを収納し、横排出オーガ
筒１８の先端には排出口３２を設け、前記下部コンベア
１３の他端にエンジン１０から動力伝達機構やオーガク
ラッチ３５等を介して動力が伝達され、排出オーガ２０
内のコンベアを駆動する構成としている。この駆動によ
って、グレンタンク１１内の穀粒が下部コンベア１３及
び排出オーガ２０を介して排出口３２より排出されるの
である。

【００１０】そして、前記縦排出オーガ筒１７の上部に
横排出オーガ筒１８の基部が上下回動自在に連通して取
り付けられ、該縦排出オーガ筒１７と横排出オーガ筒１
８の間には昇降シリンダー２９が介装され、該昇降シリ
ンダー２９を伸縮駆動することにより横排出オーガ筒１
８を上下に回動させ、排出口３２の高さを調節すること
ができる。

【００１１】また、前記縦排出オーガ筒１７は下部パイ
プ１７ａと上部パイプ１７ｂに分割され、下部パイプ１
７ａ上に上部パイプ１７ｂが回転自在に支持され、下部
パイプ１７ａの他端がグレンタンク１１の後面に固設さ
れ、上部パイプ１７ｂの上部がグレンタンク１１の後面
に回転自在に支持部材によって支持され、該上部パイプ
１７ｂの中途部外周に大径ギヤ３３が一体的に固設さ
れ、該大径ギヤ３３には旋回モータ３４の出力軸に固設
した小径ギヤを噛合させ、該旋回モーター３４は脱穀部
４の外側に固定されて、前記旋回モータ３４の駆動によ
って小径ギヤが回動されて、大径ギヤ３３を介して縦排
出オーガ筒１７が回転され、横排出オーガ筒１８が水平
方向左右に旋回されるのである。なお、前記旋回モータ
３４には電磁クラッチ型旋回ブレーキが一体的に設けら
れ、旋回モーター３４の駆動を停止するとブレーキによ
って制動して排出オーガ２０が慣性で回転しないように
して、他の部品を傷付けないようにしている。また、脱
穀部４上側で機体の対角線方向位置にオーガレスト４３
が配置されて、横排出オーガ筒１８の中途部を支持でき
るようにして、この位置を収納位置としている。

【００１２】また、機体側の座席１９近傍と排出口３２
近傍にはそれぞれ本機側操作部４０とオーガ側操作部４
１が設けられ、図２に示すように、本実施例ではグレン
タンク１１の前面に本機側操作部４０が設けられ、排出
口３２側面にオーガ側操作部４１が設けられている。該
本機側操作部４０には上昇スイッチ４８と下降スイッチ
４９と左旋回スイッチ５０と右旋回スイッチ５１が一体
となったクロスレバーと、オーガクラッチ入切スイッチ
５２と非常停止スイッチ５３が設けられ、それぞれコン
トローラ４６と接続されている。

【００１３】また、前記横排出オーガ筒１７先端の排出
口３２に取付けるオーガ側操作部４１はオーガ先端コン
トローラ４７を備え、該オーガ側操作部４１は図３に示
すように、上昇スイッチ５４と下降スイッチ５５と左旋
回スイッチ５６と右旋回スイッチ５７とが一体となった
クロスレバー２１と、オーガクラッチ入切スイッチ５８
と、非常停止スイッチ５９と、先端始動スイッチ６０
と、オーガ先端操作可能スイッチ６１が設けられ、図５
に示すように、それぞれオーガ先端コントローラ４７と
接続される。前記先端始動スイッチ６０は本機のキース
イッチの始動スイッチと並列に接続されて、該キースイ
ッチ及び先端始動スイッチ６０にセルモーターリレー６
２に接続され、本機のキースイッチ又は先端側エンジン
始動スイッチ６０の操作によりエンジン１０を始動でき
るようにしている。前記オーガ先端操作可能スイッチ６
１は切り換えスイッチであり、オーガ側で操作している
ときに本機側操作して排出オーガ２０を回動すると危険
なため、切り換え操作して操作できるようにしている。

【００１４】前記オーガ先端コントローラ４７は本機側
のコントローラ４６と接続されている。更に、オーガ側
操作部４１にはオーガ先端操作可能スイッチ６１が設け
られ、本機側操作部４０とオーガ側操作部４１の何れか
で操作できるかを切り換えられるようにし、また、駐車
ブレーキスイッチ６５と接続されて、駐車ブレーキが制
動しているときのみ始動できるようにしている。

【００１５】また、図４に示すように、前記コントロー
ラ４６には駆動ユニット４２を介して前記旋回モーター
３４と接続され、前記旋回スイッチ５０・５１または旋
回スイッチ５６・５７を操作することにより旋回モータ
ー３４が駆動されて横排出オーガ筒１８が旋回される。
また、コントローラ４６には前記昇降シリンダー２９へ
の圧油の送油を切り換える電磁バルブ４４と接続され、
前記昇降スイッチ４８・４９または昇降スイッチ５４・
５５を操作することによって、電磁バルブ４４を切り換
えて横排出オーガ筒１８を昇降できるようにしている。
また、オーガクラッチ３５を入り切りするためのモータ
ーまたはソレノイドまたはシリンダー等より構成される
アクチュエーター４５と接続され、前記オーガクラッチ
入切スイッチ５２・５８を操作することによって、アク
チュエーター４５が作動されて、オーガクラッチを
「入」として下部コンベア１３を駆動して、グレンタン
ク１１内の穀粒を排出したり、「切」として駆動を停止
することができる。

【００１６】更に、前記コントローラ４６は、エンジン
が電子ガバナ式の場合には、図４に示すようにガバナコ
ントローラ６３と接続され、前記非常停止スイッチ５３
または５９がＯＮされたときに燃料噴射装置６４の作動
を停止して燃料を噴射させずエンジンを停止するように
し、また、エンジンが通常のディーゼルエンジンのとき
は燃料噴射ポンプを停止させ、キャブ式の内燃機関のと
きは点火プラグへの電力の供給を停止して、エンジンを
停止させるようにしている。なお、非常停止スイッチ５
３または５９がＯＮされたときには、エンジン１０の停
止と同時に、旋回モーター３４及び電磁バルブ４４への
電力の供給が停止されて、旋回モーター３４及び昇降シ
リンダー２９の駆動も停止され、排出オーガ２０の旋回
及び昇降が停止され、エンジン１０の停止によって下部
コンベア１３及び排出オーガ２０のコンベアも停止され
る構成としている。

【００１７】次に、非常停止された後に、オーガ先端側
でエンジン１０をスタートさせるときの制御を、図６に
示すフローチャートで説明する。非常停止された状態か
ら、まず、オーガ先端操作可能スイッチ６１がＯＮまた
はＯＦＦかを検知して（Ｓ１）、ＯＮの場合にはオーガ
側操作部４１で操作可能となり、次に、駐車ブレーキス
イッチ６５がＯＮまたはＯＦＦかを検知し（Ｓ２）、Ｏ
Ｎ、即ち、駐車ブレーキレバーを引いて駐車ブレーキス
イッチ６５がＯＮとなって制動状態のときは、次のステ
ップの非常停止スイッチ５３・５９がＯＮまたはＯＦＦ
かを検知し（Ｓ３）、非常停止スイッチ５９がＯＦＦの
とき、エンジンがスタートできるようにしている。それ
以外の場合、即ち、オーガ先端操作可能スイッチ６１が
ＯＦＦ、または、駐車ブレーキスイッチ６５がＯＦＦ、
または、非常停止スイッチ５９がＯＮのときはリターン
して、非常停止のまで始動ができないようにしている。

【００１８】このような構成において、図１に示すよう
に、例えばトラック２２の荷台に排出する場合、まず、
本機側操作部４０のクロスレバーを操作して、排出オー
ガ２０を回動して荷台上方に排出口３２を位置させる。
そして、この状態でオーガクラッチ入切スイッチ５２を
ＯＮして排出することもできるが、トラック荷台の角隅
部まで均一に穀粒を投入することは難しいので、作業者
は荷台に乗って、オーガ側操作部４１の各スイッチ５４
〜６１の操作を行う。この時詰まりやその他の異常が生
じた時には、非常停止スイッチ５９を押すと、エンジン
１０が停止されてコンベアが停止され、コンバイン本体
が移動することもなく、油圧機器や電気機器も作動する
ことがない。よって、トラブルは軽微な段階で止めるこ
とができるのである。そして、作業を再開したいときに
は、前述のように先端始動スイッチ６０を操作してエン
ジンを始動して、作業ができるのである。

【００１９】

【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次の
ような効果を奏するのである。即ち、コンバインのグレ
ンタンク近傍にグレンタンク内の穀粒を排出する排出オ
ーガを配置し、該排出オーガ先端の排出口近傍に排出オ
ーガの旋回や昇降の操作を行うオーガ側操作部を設けた
構成において、前記オーガ側操作部に非常停止スイッチ
を設けたので、非常停止スイッチを押すだけで作動が止
まり、危険な状態になったり、部品に損傷を与えること
を未然に防ぎ、または、軽微な状態で停止できて、安全
性を高めることができたのである。

【００２０】また、非常停止スイッチで排出オーガの旋
回、昇降、コンベアの駆動、及びエンジンを停止するよ
うにしたので、排出オーガ先端で穀粒の排出作業や排出
オーガの旋回や昇降操作をしているときに、詰まりや誤
操作で意図しない方向へ回動した場合等において、非常
停止スイッチを押すだけでこれら全ての動作が停止され
て、詰まりによるコンベアやその駆動部、または、排出
オーガ内の穀粒等の損傷を防ぎ、誤操作による被害を最
小限に止めることができる。

【００２１】また、オーガ側操作部にエンジン始動スイ
ッチを設けたので、排出作業を途中で止めてエンジンも
停止させた場合や、非常停止によってエンジンが停止し
た場合等で、運転席１９まで移動してエンジンをスター
トさせる必要がなく、排出オーガ先端部でエンジンが始
動できて、操作性を向上できたのである。

【００２２】また、非常停止スイッチがＯＦＦ、駐車ブ
レーキが制動状態で、オーガ側操作部で操作可能とした
とき、前記エンジン始動スイッチでエンジンを始動可能
としたので、オーガ側操作部でエンジンを始動するとき
に、駐車ブレーキの制動によって急発進することがなく
安全性を高めることができたのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の排出オーガ操作装置を装備したコンバ
インの全体側面図である。

【図２】同じく平面図である。

【図３】オーガ側操作部の正面図である。

【図４】排出オーガの制御ブロック図である。

【図５】オーガ側操作部の制御ブロック図である。

【図６】オーガ側操作部でエンジンを始動するときのフ
ローチャート図である。

【符号の説明】

１０ エンジン １１ グレンタンク ２０ 排出オーガ ３２ 排出口 ４１ オーガ側操作部 ５９ 非常停止スイッチ ６０ 始動スイッチ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンバインのグレンタンク近傍にグレン
   タンク内の穀粒を排出する排出オーガを配置し、該排出
   オーガ先端の排出口近傍に排出オーガの旋回や昇降の操
   作を行うオーガ側操作部を設けた構成において、前記オ
   ーガ側操作部に非常停止スイッチを設けたことを特徴と
   するコンバインの排出オーガ操作装置。
2. 【請求項２】 前記非常停止スイッチで排出オーガの旋
   回、昇降、コンベアの駆動、及びエンジンを停止するよ
   うにしたことを特徴とする請求項１記載のコンバインの
   排出オーガ操作装置。
3. 【請求項３】 コンバインのグレンタンク近傍にグレン
   タンク内の穀粒を排出する排出オーガを配置し、該排出
   オーガ先端の排出口近傍に排出オーガの旋回や昇降の操
   作を行うオーガ側操作部を設けた構成において、前記オ
   ーガ側操作部にエンジン始動スイッチを設けたことを特
   徴とするコンバインの排出オーガ操作装置。
4. 【請求項４】 非常停止スイッチがＯＦＦ、駐車ブレー
   キが制動状態で、オーガ側操作部で操作可能としたと
   き、前記エンジン始動スイッチでエンジンを始動可能と
   したことを特徴とする請求項３記載のコンバインの排出
   オーガ操作装置。