JPH11263818A - 舗装工事用樹脂組成物、舗装構造体および施工方法 - Google Patents

舗装工事用樹脂組成物、舗装構造体および施工方法

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JPH11263818A
JPH11263818A JP6730198A JP6730198A JPH11263818A JP H11263818 A JPH11263818 A JP H11263818A JP 6730198 A JP6730198 A JP 6730198A JP 6730198 A JP6730198 A JP 6730198A JP H11263818 A JPH11263818 A JP H11263818A
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JP
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resin
resin composition
polymer
pavement
meth
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Application number
JP6730198A
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English (en)
Inventor
Takahisa Sugioka
卓央 杉岡
Masatoshi Yoshida
雅年 吉田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強靭化された熱硬化性樹脂を用いることで優
れた機械的耐久性を有する舗装工事用樹脂組成物、これ
を用いた舗装構造体およびこれを用いた施工方法を提供
する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂を含む舗装工事用樹脂組成
物であって、ガラス転移点が20℃以下であるポリマー
微粒子を含むことを特徴とする舗装工事用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強靭化された熱硬
化性樹脂を用いることで優れた機械的耐久性を有する舗
装工事用樹脂組成物、これを用いた舗装構造体、および
これを用いた施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、道路の滑り止め舗装、カラー舗
装、アスファルト舗装のジョイント部補修、アスファル
ト道路の補修、床材、透水性舗装材等の舗装工事用の樹
脂にはエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹
脂が代表的に用いられている。これらの樹脂はいずれも
高粘度であるため、溶剤に溶解した形態で用いられる。
【0003】これに対して、不飽和ポリエステル樹脂、
ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹
脂、エステル(メタ)アクリレート樹脂等のラジカル重
合型の熱硬化性樹脂はラジカル重合性不飽和基含有オリ
ゴマーをラジカル重合性モノマーで希釈した液状樹脂で
あることから、速硬化性であり、施工時の作業性に優れ
ている上に、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等と同等
あるいはそれ以上の優れた機械的性質と耐食性、耐熱性
能を有している。このため、近年においては舗装工事用
の樹脂としてこれらのラジカル重合型熱硬化性樹脂も多
く用いられるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱硬化
性樹脂の硬化物は靭性が低いためにこれらの樹脂を用い
た舗装構造体は一般的に脆く、高速車両や重量車両など
の通過により容易に破壊することが問題となっている。
特開昭58−207404号公報においては、ビニル系
および/またはジエン系ポリマーラテックス、ポリイソ
シアネート化合物およびゴム系チップからなる舗装材が
提案されている。このようにゴム性を示す化合物のみを
用いて舗装材とした場合、靭性は高いため破壊強度の高
い舗装材となるが、耐磨耗性が低いため高速車両や重量
車両などが通過する箇所での使用には不適である。この
ため、液状ゴムや熱可塑性樹脂を熱硬化性樹脂に配合
し、相溶性の低さを利用して海島構造を形成させて強靭
化剤として利用する試みが行われてきた。
【0005】例えば、特開昭57−78409号公報に
おいては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体とエ
ポキシ樹脂とを反応させて得られたゴム成分を不飽和ポ
リエステル樹脂に混合することで靭性を改良する試みが
なされている。しかし、海島構造の制御が難しいこと、
島となるドメイン樹脂が液状であるために耐熱性が悪い
こと、海となるマトリックス樹脂がドメインの中に入り
込んでしまうこと、等により容易に特性改良効果が得ら
れず、実際に舗装材として施工する場合に施工条件によ
っては均質な舗装材が得られない可能性がある。
【0006】以上のことから、従来の技術では、実使用
に耐えうる強靭化された熱硬化性樹脂を用いた舗装工事
用樹脂組成物は提供されるに至っていない。したがっ
て、本発明の課題は、強靭化された熱硬化性樹脂を用い
ることで優れた機械的耐久性を有する舗装工事用樹脂組
成物、これを用いた舗装構造体およびこれを用いた施工
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、以下の構成を提供する。 (1) 熱硬化性樹脂を含む舗装工事用樹脂組成物であっ
て、ガラス転移点が20℃以下であるポリマー微粒子を
含むことを特徴とする舗装工事用樹脂組成物。 (2) 前記ポリマー微粒子が架橋構造を有するものであ
る、前記(1)記載の舗装工事用樹脂組成物。
【0008】(3) 前記ポリマー微粒子の平均粒径が10
0μm以下である、前記(1)または(2)記載の舗装工事用
樹脂組成物。 (4) 前記ポリマー微粒子が(メタ)アクリル酸エステル
系ポリマー微粒子である、前記(1)から(3)のいずれかに
記載の舗装工事用樹脂組成物。 (5) 前記ガラス転移点が20℃以下であるポリマー微粒
子を、該ガラス転移点が20℃以下であるポリマー微粒
子をコア相とし、さらにガラス転移点が20℃を越える
ポリマーをシェル相として有するコア/シェル型微粒子
の形で含む、前記(1)から(4)のいずれかに記載の舗装工
事用樹脂組成物。
【0009】(6) 前記熱硬化性樹脂がラジカル硬化型熱
硬化性樹脂である、前記(1)から(5)のいずれかに記載の
舗装工事用樹脂組成物。 (7) 前記ラジカル硬化型熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)ア
クリレート樹脂およびエステル(メタ)アクリレート樹
脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂であ
る、前記(6)記載の舗装工事用樹脂組成物。
【0010】(8) 前記(1)から(7)のいずれかに記載の舗
装工事用樹脂組成物を硬化してなる舗装構造体。 (9) 前記(1)から(7)のいずれかに記載の舗装工事用樹脂
組成物によって被舗装面を舗装する施工方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の舗装工事用樹脂組成物
は、熱硬化性樹脂とガラス転移点が20℃以下であるポ
リマー微粒子とを含む。ポリマー微粒子のガラス転移点
が20℃以下であるということは、比較的柔らかいとい
うことであり、熱硬化性樹脂が3次元硬化した後の靭性
を改善することができる。ポリマー微粒子のガラス転移
点が20℃以下であることが好ましく、より好ましくは
0℃以下である。ガラス転移点が20℃を越えると、ポ
リマー微粒子自体が硬くなるので、硬化物中で靭性改良
効果が小さくなる。
【0012】該ポリマー微粒子の形状が微粒子であるこ
とで、比較的少量で樹脂組成物全体に均一にポリマー微
粒子が分散し、靭性改良効果を発揮することができる。
ポリマー微粒子の平均粒径は100μm以下であること
が好ましく、より好ましくは0.1〜50μm、さらに
好ましくは0.2〜20μmである。平均粒径が大きく
なるにつれ樹脂組成物中でガラス転移点の低いポリマー
相が偏在することになるため、樹脂組成物全体としての
ガラス転移点が低下し機械的強度が失われたり、靭性改
良のための添加量が増加するため好ましくない。一方、
平均粒径が0.1μmよりも小さいと、樹脂組成物の粘
度を過度に上昇させ、舗装工事の作業性を低下させる恐
れがある。また、ポリマー微粒子の最大粒径は1mm以
下であることが好ましく、500μm以下であることが
より好ましい。ポリマー微粒子の最大粒径が前記範囲を
越える場合は、舗装施工後に樹脂の全くない不連続相が
形成され、舗装体の一部が低強度となるため、高速車両
や重量車両の通過により容易に破壊され好ましくない。
【0013】ポリマー微粒子には架橋構造を導入されて
いることが好ましい。樹脂組成物中に重合性モノマーが
含まれている場合、ポリマー微粒子に架橋構造が導入さ
れていないと、該微粒子がモノマーに溶解し、ガラス転
移点の低いドメインが存在しないまま樹脂組成物が硬化
するので、ポリマー微粒子の添加効果がなくなってしま
うおそれがある。ポリマー微粒子に架橋構造が導入され
ていれば、ポリマー微粒子の樹脂への溶解は防止でき、
上記したような問題はない。
【0014】ポリマー微粒子を構成するポリマーの種類
としては特に限定されない。上記した条件を満足するこ
とが可能な具体例(モノマーの選択によって満足するも
のも含む)としては、天然ゴム;ブタジエン系ゴム(ポ
リブタジエン、NBR、SBR等)、イソプレン系ゴム
(IR、ブチルゴム等)、クロロプレン系ゴム等の合成
ゴム、カルボキシル基などの酸基で変性したゴム、ある
いはこれらの加硫物;ポリオルガノシロキサン;炭素数
1〜18の直鎖状・分岐状脂肪族または脂環式アルコー
ルと(メタ)アクリル酸のエステル化物等の(メタ)ア
クリル酸エステルを主体とする(メタ)アクリル酸エス
テル系ポリマー[(メタ)アクリル酸エステルと「他の
モノマー」との共重合体も含む]等が挙げられる。これ
らの中で(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーが好ま
しい。
【0015】(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーを
構成する(メタ)アクリル酸エステルしては、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチ
ル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステア
リルあるいはシクロヘキシル等の炭素数1から18個の
直鎖状もしくは分岐状脂肪族アルキルアルコールまたは
脂環式アルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエ
ステル化合物である(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプ
ロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールと
のモノエステル等のヒドロキシル基含有不飽和単量体
類、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有
モノマー、(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)
アクリロイルオキシエチルアジリジン等のアジリジニル
基含有モノマー、多官能(メタ)アクリル酸エステル等
が挙げられ、これらは単独で使用し得るほか、2種以上
を併用して共重合させることもできる。
【0016】(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーを
構成するための「他のモノマー」としては、例えば、ス
チレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチ
レン系モノマー、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マ
レイン酸、フマル酸等の公知の不飽和カルボン酸や、
(メタ)アクリル酸2−スルホン酸エチル、スチレンス
ルホン酸、ビニルスルホン酸等の酸基含有モノマー、酢
酸ビニル、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の
オキサゾリニル基含有モノマー等を利用することができ
る。これらのモノマーは、いずれも微粒子を構成するポ
リマーのガラス転移点が20℃以下になるように調整し
て利用することが好ましい。
【0017】ポリマー微粒子中へ架橋構造を導入するに
は、グリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール等のポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリ
ル酸とのエステルである多官能(メタ)アクリル酸エス
テル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、
ジアリルフタレート等の多官能モノマーを前記した(メ
タ)アクリル酸エステル系ポリマーを構成するためのモ
ノマーと共重合させる方法や、(メタ)アクリル酸グリ
シジル等のエポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリロ
イルアジリジン、(メタ)アクリロイルオキシエチルア
ジリジン等のアジリジニル基含有モノマー、2−イソプ
ロペニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリニル基含有
モノマー等の酸基との反応性を有するモノマーを、不飽
和カルボン酸、不飽和スルホン酸等と共重合させて、ポ
リマー微粒子中の酸基と架橋反応を起こさせる方法等が
採用できる。なお、酸基との反応性を有するモノマーを
共重合させることは靭性改良効果をアップさせる上で好
ましい。酸基との反応性を有するモノマーは、後述する
高分子乳化剤との反応性をポリマー微粒子に与える作用
を有するので、熱硬化性樹脂とポリマー微粒子の界面結
合力が増す。高分子乳化剤とポリマー微粒子の反応性を
確保するため、ポリマー微粒子中の酸基を架橋反応させ
る場合は、酸基との反応性を有するモノマーの官能基が
酸基含有モノマー中の酸基の当量以上になるように使用
量を適宜調整することが好ましい。
【0018】ガラス転移点の少なくとも一つが20℃以
下のポリマー微粒子を得るためには、これらの架橋構造
導入用モノマーを全モノマー成分中0.5〜10重量%
の割合で共重合させることが好ましい。あまり密な架橋
構造のポリマー微粒子では、ガラス転移点が20℃を越
えるか、または実質的にガラス転移点を示さなくなっ
て、硬化物における靭性改良効果が発現しなくなること
がある。
【0019】ポリマー微粒子を得る方法としては、エマ
ルション重合、懸濁重合、逆相懸濁重合、沈澱重合など
の方法があるが、後述するように熱硬化性樹脂および/
またはその原料中に該ポリマー微粒子をエマルションと
して添加することが本発明の樹脂組成物を製造する上で
好ましいので、ポリマー微粒子をエマルションで得るこ
とのできる乳化重合を採用することが最も好ましい。ポ
リマーのみを別の重合方法で製造し、その後に水媒体中
に攪拌分散させてエマルション化することも可能である
が、工程が煩雑になる。また、乳化重合によると平均粒
径100μm以下のポリマー微粒子を容易に得ることが
できるという利点もある。乳化重合方法としては特に限
定されず、一括混合重合法、モノマー滴下法、プレエマ
ルション法、シード重合法、多段階重合法(コアシェ
ル)等いずれも採用可能である。
【0020】さらに、乳化剤として、不飽和カルボン酸
を必須成分として含む重合性単量体成分をアルキルメル
カプタンの存在下で重合させて得られる酸価が200以
上の末端アルキル基重合体および/またはその塩からな
る高分子乳化剤を用い、ポリマー微粒子の乳化重合を行
うことが好ましい。この高分子乳化剤は、特開平5−2
5366号公報に開示されており、詳細には、(メタ)
アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等の不
飽和カルボン酸と炭素数が6〜18のアルキルメルカプ
タンを主成分とする酸価が200以上の水溶性もしくは
水分散性の末端アルキル基含有重合体および/またはそ
の塩である。不飽和カルボン酸とアルキルメルカプタン
以外には、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、ス
チレン系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー
等が利用でき、アルキルメルカプタン量を適宜選択して
分子量300〜7000とすることが乳化能の点から好
ましい。この高分子乳化剤を用いることで、熱硬化性樹
脂中へのポリマー微粒子のエマルションの分散性が良好
になり、また後述する脱水工程の際に泡立ちが少なくな
る。さらに、ポリマー微粒子の構成モノマーとして、上
記高分子乳化剤中のカルボキシル基と反応しうる、(メ
タ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマ
ー、(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルアジリジン等のアジリジニル基含有
モノマー、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の
オキサゾリニル基含有モノマー等を一部使用すると、ポ
リマー微粒子と乳化剤を化学的に結合することができる
ので、本発明の樹脂組成物を硬化した後に、低分子乳化
剤が原因となって起こる耐湿性不良や耐薬品性不良とい
った悪影響を可及的に防止することができる。
【0021】ガラス転移点が20℃以下のポリマー微粒
子は、単独の形で舗装工事用樹脂組成物中に含まれてい
てもよいし、ガラス転移点が20℃を越えるポリマー相
との一体化物の形で含まれていてもよい。該一体化物に
おいて、ガラス転移点が20℃以下の部分は50重量%
以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%
以上である。50重量%未満になるとポリマー微粒子配
合による靭性改良効果が小さくなるので好ましくない。
【0022】該ポリマー微粒子とガラス転移点が20℃
を越えるポリマー相との一体化物としては、例えば、該
ガラス転移点が20℃以下のポリマー微粒子をコア相と
して、ガラス転移点が20℃を越えるポリマーをシェル
相として有するコア/シェル型微粒子を挙げることがで
きる。該ポリマー微粒子はガラス転移点が低いため互い
に凝集しやすいが、このようにガラス転移点の高いポリ
マーによって表面を被覆することで凝集を防止し分散性
を高めることができる。
【0023】コア/シェル型微粒子は、単にコア相と単
一のシェル相の二層構造からなるものであってもよい
し、あるいは例えば内側からソフトコア、ハードシェ
ル、ソフトシェルおよびハードシェルとなる構造のよう
に複数のシェル相を有する多相重構造からなるマルチコ
ア/シェル微粒子であってもよい。ここで、ソフトとは
ガラス転移点が20℃以下であること、ハードとはガラ
ス転移点が20℃を越えることを意味する。これらの中
で、ソフトコア/ハードシェル構造を有するものが本発
明では好適に用いられる。
【0024】シェル成分としては、ガラス転移点が20
℃を越えるポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリアク
リロニトリル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル
酸メチルなどのホモポリマー、メタクリル酸アルキル、
アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸、アクリル
酸などのコポリマーあるいはスチレン/アクリロニトリ
ル/メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル/ア
クリル酸ブチル/メタクリル酸グリシジルなどのターポ
リマーが用いられる。カルボキシル基、エポキシ基、水
酸基およびアミノ基、アミド基などの樹脂や硬化剤と反
応性を有する官能基をもつアクリル酸、メタクリル酸、
イタコン酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2
−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノメチ
ル、メタクリルアミドなどの不飽和化合物を共重合する
ことも可能である。シェル成分としては、ポリメタクリ
ル酸メチルのように、反応性官能基をもたないポリマー
を用いる方が、かえって熱硬化性樹脂への分散性に優れ
る傾向があり好ましい。
【0025】コア/シェル型微粒子は、コア成分(ガラ
ス転移点20℃以下のポリマー微粒子)の含有量が50
〜90重量%で、シェル成分の含有量が10〜50重量
%の範囲にあることが好ましい。コア成分の含有量50
重量%未満では十分な靭性改良効果が得られにくいこと
があり、90重量%を越えるとコアをシェルで完全に被
覆することができにくくなることがあり、分散性が不十
分になることがある。
【0026】コア/シェル型微粒子は、公知の方法、例
えば、米国特許第4,419,496号明細書、ヨーロ
ッパ特許45,357号公報、特開昭55−94917
号公報などに開示された方法により製造することができ
る。また、市販品も使用することができる。市販のコア
/シェル型微粒子としては、例えば、ブタジエン・メタ
クリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“クレハ
パラロイド”EXL−2655(呉羽化学工業製)、
アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体か
らなる“スタフィロイド”AC−3355、TR−21
22(武田薬品工業製)、アクリル酸ブチル・メタクリ
ル酸メチル共重合物からなる“PARALOID”EX
L−2611、EXL−3387(Rohm&Hass
社製)などが挙げられる。
【0027】また、本発明では、ガラス転移点が20℃
以下のポリマー微粒子とともに、本発明の効果を損なわ
ない範囲でガラス転移点が20℃を越えるポリマー微粒
子を併用しても良い。本発明の舗装工事用樹脂組成物に
おけるポリマー微粒子の好ましい配合割合としては、熱
硬化性樹脂100重量部に対しポリマー微粒子は1〜1
00重量部の範囲であり、より好ましくは1〜50重量
部、さらに好ましくは2〜20重量部、特に好ましくは
5〜7重量部である。ポリマー微粒子の量が少なすぎる
場合には本発明の効果が得られにくく、多すぎる場合に
は経済的でないばかりか、熱硬化性樹脂の量が相対的に
減少し、樹脂組成物全体としてのガラス転移点が低下し
機械的強度が失われるため好ましくない。
【0028】本発明の舗装工事用樹脂組成物に用いられ
る熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン
樹脂などを用いることも可能であるが、不飽和ポリエス
テル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アク
リレート樹脂、エステル(メタ)アクリレート樹脂等の
ラジカル硬化型熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
これらの樹脂は、ラジカル重合性不飽和基含有オリゴマ
ーをラジカル重合性モノマーで希釈した液状樹脂である
ことから、速硬化性であり、施工時の作業性に優れてい
る上に、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等と同等ある
いはそれ以上の優れた機械的性質と耐食性、耐熱性能を
有するためである。
【0029】不飽和ポリエステル樹脂は、特に限定され
るものではなく、例えば、二塩基酸と多価アルコール類
とを縮合反応させることによって得ることができるラジ
カル重合性不飽和基含有オリゴマーをラジカル重合性モ
ノマーで希釈した液状樹脂である。上記不飽和ポリエス
テル樹脂の原料として用いられる二塩基酸としては、具
体的には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和二塩基
酸;フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル
酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル
酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタ
ル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン
酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−
ドデカン2酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,
7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカ
ルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、
4,4’−ビスフェニルジカルボン酸、および、これら
のジアルキルエステル等の飽和二塩基酸等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。これら二塩基酸は、
一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合し
て用いてもよい。
【0030】上記不飽和ポリエステル樹脂の原料として
用いられる多価アルコール類としては、具体的には、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレング
リコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、
1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレ
ンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物、1,2,
3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメ
チロールプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2
−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサン
グリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、パラ
キシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジ
オール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリ
ングリコール等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。これら多価アルコール類は、一種類のみを用い
てもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
また、必要によりジシクロペンタジエン系化合物を樹脂
骨格中に組み入れてもよい。
【0031】また、ビニルエステル樹脂は、特に限定さ
れるものではなく、例えば、エポキシ化合物と不飽和一
塩基酸とをエステル化触媒を用いて反応させることによ
って得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリ
ゴマーをラジカル重合性モノマーで希釈した液状樹脂で
ある。上記ビニルエステル樹脂の原料として用いられる
エポキシ化合物としては、分子中に、少なくとも1個の
エポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されるも
のではないが、具体的には、ビスフェノールA、ビスフ
ェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類
と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピ
ビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノ
ール、クレゾール、ビスフェノールとホルマリンとの縮
合物であるノボラックとエピハロヒドリンとの縮合反応
により得られるノボラックタイプグリシジルエーテル型
エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフ
タル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応によ
り得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;水添加
ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの
縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ
樹脂;ヒダントインやシアヌール酸とエピハロヒドリン
との縮合反応により得られる含アミングリシジルエーテ
ル型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、これらエポキ
シ樹脂と多塩基酸類および/またはビスフェノール類と
の付加反応により分子中にエポキシ基を有する化合物で
あってもよい。これらエポキシ化合物は、一種類のみを
用いてもよく、適宜二種類以上混合して用いてもよい。
【0032】上記ビニルエステル樹脂の原料として用い
られる不飽和一塩基酸としては、特に限定されるもので
はないが、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、ク
ロトン酸等が挙げられる。また、マレイン酸、イタコン
酸等のハーフエステル等を用いてもよい。さらに、これ
らの化合物と、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等
の多価カルボン酸や、酢酸、プロピオン酸、ラウリル
酸、パルチミン酸等の飽和一価カルボン酸や、フタル酸
等の飽和多価カルボン酸またはその無水物や、末端基が
カルボキシル基である飽和あるいは不飽和アルキッド等
の化合物とを併用してもよい。これら不飽和一塩基酸
は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合
して用いてもよい。
【0033】上記エステル化触媒としては、具体的に
は、ジメチルベンジルアミン、トリブチルアミン等の第
三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロラ
イド等の第四級アンモニウム塩;塩化リチウム、塩化ク
ロム等の無機塩;2−エチル−4−メチルイミダゾール
等のイミダゾール化合物;テトラメチルホスフォニウム
クロライド、ジエチルフェニルプロピルホスフォニウム
クロライド、トリエチルフェニルホスフォニウムクロラ
イド、ベンジルトリエチルフェニルホスフォニウムクロ
ライド、ジベンジルエチルメチルホスフォニウムクロラ
イド、ベンジルメチルジフェニルホスフォニウムクロラ
イド、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド等のホ
スフォニウム塩;第二級アミン類;テトラブチル尿素;
トリフェニルホスフィン;トリトリールホスフィン;ト
リフェニルスチビン等が挙げられるが、特に限定される
ものではない。これらエステル化触媒は、一種類のみを
用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよ
い。
【0034】また、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂
は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリイソシ
アネートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコー
ル類とを反応させた後、さらに水酸基含有(メタ)アク
リル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテ
ル化合物を反応させることによって得ることができるラ
ジカル重合性不飽和基含有オリゴマーをラジカル重合性
モノマーで希釈した液状樹脂である。また、水酸基含有
(メタ)アクリル化合物とポリヒドロキシ化合物あるい
は多価アルコール類とを反応させた後、さらにポリイソ
シアネートを反応させてもよい。
【0035】上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の
原料として用いられるポリイソシアネートとしては、具
体的には、2,4−トリレンジイソシアネートおよびそ
の異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイ
ソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシア
ネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バー
ノックD−750、クリスボンNX(商品名;大日本イ
ンキ化学工業株式会社製)、テスモジュールL(商品
名;住友バイエル社製)、コロネートL(商品名;日本
ポリウレタン社製)、タケネートD102(商品名;武
田薬品社製)、イソネート143L(商品名;三菱化学
社製)等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。これらポリイソシアネートは一種類のみを用いても
よいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
【0036】上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の
原料として用いられるポリヒドロキシ化合物としては、
例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオ
ール等が挙げられ、具体的には、グリセリン−エチレン
オキシド付加物、グリセリン−プロピレンオキシド付加
物、グリセリン−テトラヒドロフラン付加物、グリセリ
ン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ト
リメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物、トリ
メチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物、トリ
メチロールプロパン−テトラヒドロフラン付加物、トリ
メチロールプロパン−エチレンオキシド−プロピレンオ
キシド付加物、ペンタエリスリトール−エチレンオキシ
ド付加物、ペンタエリスリトール−プロピレンオキシド
付加物、ペンタエリスリトール−テトラヒドロフラン付
加物、ペンタエリスリトール−エチレンオキシド−プロ
ピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−エチ
レンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−プロピ
レンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−テトラ
ヒドロフラン付加物、ジペンタエリスリトール−エチレ
ンオキシド−プロピレンオキシド付加物等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。これらポリヒドロキ
シ化合物は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類
以上を混合して用いてもよい。
【0037】上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の
原料として用いられる多価アルコール類としては、具体
的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジ
オール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAと
プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加
物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセ
リン、トリメチロールプロパン、1,3−プロパンジオ
ール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シ
クロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリ
コール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−
4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、
2,7−デカリングリコール等が挙げられるが、特に限
定されるものではない。これら多価アルコール類は、一
種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して
用いてもよい。
【0038】上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の
原料として用いられる水酸基含有(メタ)アクリル化合
物としては、特に限定されるものではないが、水酸基含
有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体的に
は、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒド
ロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等
が挙げられる。これら水酸基含有(メタ)アクリル化合
物は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を
混合して用いてもよい。
【0039】上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の
原料として必要に応じて用いられる水酸基含有アリルエ
ーテル化合物としては、具体的には、例えば、エチレン
グリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコール
モノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリ
ルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテ
ル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレン
グリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコ
ールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコール
モノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノ
アリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエー
テル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリ
メチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジア
リルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテ
ル等が挙げられるが、特に限定されるものではない。こ
れら水酸基含有アリルエーテル化合物は、一種類のみを
用いてもよいし、適宜二種類以上混合して用いてもよ
い。
【0040】また、エステル(メタ)アクリレート樹脂
は、特に限定されるものではなく、例えば、不飽和ある
いは飽和ポリエステルの末端に(メタ)アクリル化合物
を反応させることによって得ることができるラジカル重
合性不飽和基含有オリゴマーをラジカル重合性モノマー
で希釈した液状樹脂である。上記ポリエステル樹脂の原
料としては、例えば上記不飽和ポリエステル樹脂の原料
として例示した化合物と同様の化合物を用いることがで
きる。
【0041】上記エステル(メタ)アクリレート樹脂の
原料として用いられる(メタ)アクリル化合物として
は、具体的には、不飽和グリシジル化合物、(メタ)ア
クリル酸等の不飽和一塩基酸およびそのグリシジルエス
テル類等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。これら(メタ)アクリル化合物は、一種類のみを用
いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよ
い。
【0042】また、前記ビニルエステル樹脂、ウレタン
(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂に使用する反応
性単量体としては、使用目的や用途等に応じて適宜選択
すればよく、特に限定されるものではないが、具体的に
は、スチレン、ジビニルベンゼン、クロルスチレン、
(メタ)アクリル酸エステル、ジアリルフタレート、酢
酸ビニル、トリメチロールプロパントリアクリレート等
が挙げられる。これら反応性単量体は一種類のみを用い
てもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
これら反応性単量体は、樹脂合成の際の溶剤として用い
てもよく、高粘度の樹脂の溶剤として粘度の調節に用い
てもよい。
【0043】本発明においては、熱硬化性樹脂の硬化後
のガラス転移点は60℃以上であることが好ましく、8
0℃以上であることがより好ましい。ガラス転移点が6
0℃よりも低い熱硬化性樹脂では、硬化物の機械的特
性、耐食性、耐熱性、耐磨耗性等に劣ったものとなる。
本発明の舗装工事用樹脂組成物を製造する方法は特に限
定されないが、ポリマー微粒子のエマルションを、熱硬
化性樹脂の製造工程における任意の段階で、熱硬化性樹
脂および/またはその原料に添加し、その後脱水する方
法が好ましい。ポリマー微粒子の粉体を得て、それを熱
硬化性樹脂またはその原料に混合する方法も可能である
が、凝集を防止するための手段が必要となる等、工程が
煩雑となる。つまり、ポリマー微粒子のエマルション
を、熱硬化性樹脂の製造工程における任意の段階で、熱
硬化性樹脂および/またはその原料に添加し、その後脱
水するという方法によれば、水を飛散させると常温では
粒子がくっつきあってしまうという欠点を有するガラス
転移点の低いポリマー微粒子であっても熱硬化性樹脂中
に均一に分散させることができる。また、熱硬化性樹脂
がラジカル硬化型である場合にはその重合反応性(二重
結合)を確保することもできる。さらに分散工程中は、
熱硬化性樹脂および/または原料を加温して低粘度にし
ておき、そこへポリマー微粒子のエマルションを加えて
攪拌することにより、いわばO/W/O(oil in water
in oil)状態、すなわち熱硬化性樹脂および/または
その原料の連続相中にエマルションの液滴が均一に分散
し、このエマルションの液滴中にポリマー微粒子が均一
に分散しているものとなる。したがって、脱水工程後に
は熱硬化性樹脂中にポリマー微粒子が均一に分散した状
態の樹脂組成物が得られるのである。
【0044】本発明の舗装工事用樹脂組成物には熱硬化
性樹脂とポリマー微粒子の他に、骨材、充填材、顔料、
染料等の着色剤等を添加して用いることができる。本発
明の舗装工事用樹脂組成物の使用方法としては、骨材や
充填材を予め混合して用いるモルタル工法と、樹脂を塗
布した上から骨材を散布するニート工法とがある。
【0045】骨材とは、シリカを主成分とする砂、砂
利、砕石その他これに類似する材料であり、天然骨材と
人工骨材とがある。前者としては、川砂利、川砂、山砂
利、山砂、海砂利、海砂が挙げられる。後者は、岩石、
粘土、産業副産物等を原料とし、これを加工したもので
あって、砕石・砕砂、珪砂、スラグ砕石・砕砂、人工軽
量等が挙げられる。また骨材の一部として充填材として
用いられる微粉粉末を併用しても良い。骨材はその粒径
によって、5mm篩いを85重量%以上が通過する細粒
の細粒材と、5mm篩いに85重量%がとどまる粗粒の
粗粒材とに区別されるが、本発明では細粒材と粗粒材と
の混合物が好ましいが、舗装厚みによってその混合比を
変える方がさらに好ましく、舗装厚みが5mm以下の場
合は細粒材のみを用いる方がよい。また、ニート工法の
場合には磨耗性に優れる高硬度のエメリーや珪砂が好ま
しい。
【0046】充填材としては、炭酸カルシウム粉、クレ
ー、アルミナ粉、珪石粉、タルク、硫酸バリウム、シリ
カパウダー、ガラス粉、ガラスビーズ、マイカ、水酸化
アルミニウム、セルロース糸、珪砂、川砂、寒水石、大
理石屑、砕石、FRP粉末等公知のものを挙げることが
でき、中でもシリカ粉、炭酸カルシウム粉、ガラス粉が
好ましい。
【0047】本発明の舗装工事用樹脂組成物には、強度
向上、ひび割れ防止、導電性付与、その他の機能を付与
するために、各種繊維を混入することができる。例え
ば、ガラス繊維、アミド、アラミド、ビニロン、ポリエ
ステル、フェノール等の有機繊維、カーボン繊維、金属
繊維、セラミック繊維、あるいはこれらの組み合わせを
用いることができる。施工性、経済性を考慮した場合、
好ましいのはガラス繊維、有機繊維である。また、繊維
の形態は、平織り、朱子織り、不織布、マット状等があ
るが、施工法、厚み保持等の点からマット状が好まし
い。また、ガラスロービングを20〜100゜にカット
してチョップドストランドにして使用することも可能で
ある。
【0048】本発明の舗装工事用樹脂組成物には、耐候
性を向上させる目的で、紫外線吸収剤を添加することが
できる。また、下地に対する接着性の安定化や充填材と
の接着強度と耐久性を向上させる目的でシランカップリ
ング剤を添加することができる。本発明の舗装工事用樹
脂組成物を塗料的なマーキング材として用いる場合、配
合物に揺変性を付与するために充填材としてアスベスト
やカビオライト、アエロジルのようなシリカパウダー等
を添加することができる。また、着色剤としての顔料や
染料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、カ
ーボンブラック、クロムバーミッホン、ベンガラ、群
青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、フタロシ
アニングリーン等を用いることができる。
【0049】本発明の舗装工事用樹脂組成物には上記の
他にも、実際に硬化させて使用する際には、硬化剤、硬
化促進剤を混合して使用するとよい。また、離型剤、滑
剤、可塑剤、酸化防止剤、難燃剤、重合抑制剤、増粘
剤、紫外線吸収剤、低収縮化剤、老化防止剤、安定剤、
補強材その他の公知の添加剤を使用してもよい。本発明
の舗装工事用樹脂組成物は、現場での舗装工事で被舗装
面を舗装するのに用いられるものであり、硬化すること
で舗装構造体となる。具体的には、アスファルトコンク
リート、セメントコンクリート等からなる道路の舗装、
橋の舗装、屋外および屋内の駐車場の舗装、階段の舗装
(階段の骨組みを作った後で舗装するもの)、および上
記した各種舗装の補修等が挙げられる。また、道路の標
識等のマーキング材のように部分的に舗装構造体とする
のにも用いられる。
【0050】施工方法としては、スプレー方式、金ゴテ
仕上げ方式、刷毛塗り、ローラーコーティング等の方法
が採用できるが、現場施工では大量に材料を供給する場
合が多いので、ミキサー車を利用した機械方式や、エポ
キシ樹脂モルタル等で実施されているショットレム方式
を採用することもできる。スプレー、刷毛塗り、ローラ
ーコーティング等の施工方法によれば、比較的薄い0.
2〜1mm程度の塗膜を得ることができる。この場合に
は、骨材と充填材の合計量は、熱硬化性樹脂100重量
部に対して30〜200重量部とすることが好ましい。
より厚い1〜50mm程度の塗膜を得る場合には、金ゴ
テ仕上げが好ましく、骨材と充填材の合計量は、熱硬化
性樹脂100重量部に対して100〜900重量部とす
ることが好ましい。
【0051】
【実施例】以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実
施例中で「部」、「%」とは特にことわりがない限り、
それぞれ「重量部」、「重量%」を表すものとする。
【0052】以下において、熱硬化性樹脂の硬化物およ
びポリマー微粒子のガラス転移点の測定は次のようにし
て行った。 <熱硬化性樹脂の硬化物のガラス転移点の測定>TMA
(Thermal Mechanical Analyzer)により、一定荷重付
加下において一定速度で昇温して熱膨張量を測定し、そ
の変曲点をガラス転移点とした。機器としては島津製作
所社製のTA−50WSを用い、サンプリング間隔1.
0s、昇温速度2.0℃/min、荷重条件1.0g
(一定荷重)の条件下で測定を行った。 <ポリマー微粒子のガラス転移点の測定>DSC(示差
走査型熱量計)により、一定速度で昇温して熱の収支を
観測し、その発熱ピークの極大点をガラス転移点とし
た。機器としてはPERKIN−ELMER社製のDS
C7を用い、サンプリング間隔1.0s、昇温速度2.
0℃/minの条件下で測定を行った。 <ポリマー微粒子の平均粒径の測定>ポリマー微粒子の
エマルション100mgを脱イオン水5gで希釈し、測
定に供した。機器としては、野崎産業(株)製のNIC
OMP A370/Autodilute Submicron Particle Si
zerを用いた。 [参考例(乳化剤の製造)]攪拌機、還流冷却器、窒素
導入管、温度計、滴下ロートを備えたフラスコにイソプ
ロピルアルコール180部を仕込み、窒素を吹き込みな
がら81℃まで昇温してイソプロピルアルコールを10
分間還流させた。
【0053】次に予め用意しておいたメタクリル酸70
部、ブレンマーPE−200(ポリエチレングリコール
モノメタクリル酸エステル、日本油脂社製)91部、n
−ドデシルメルカプタン17部、およびAIBN0.4
部からなる重合性単量体混合物を上記フラスコ中に2時
間かけて滴下した。滴下終了後、還流状態で1時間熟成
を行い、固形分49.1%の末端アルキル基含有重合体
の溶液を得た。この重合体の酸価は256mgKOH/
g、数平均分子量は2100であった。 [合成例1(ポリマー微粒子B−1の合成)]攪拌機、
還流冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた
フラスコに脱イオン水63部を仕込み、緩やかに窒素ガ
スを吹き込みながら内温を70℃に昇温した。
【0054】一方、参考例で得られた末端アルキル基含
有重合体の溶液4.1部、28%アンモニア水0.5
部、脱イオン水63部の乳化剤溶液にアクリル酸エチル
28部、アクリル酸ブチル58部、メタクリル酸メチル
10部、メタクリル酸アリル2部、メタクリル酸グリシ
ジル2部を混合・攪拌し、完全に乳化したプレエマルシ
ョンを上記滴下ロートに仕込んだ。
【0055】次に上記フラスコに、4,4’−アゾビス
(4−シアノペンタン酸)のアンモニア中和5%水溶液
8部を注入した後、滴下ロートから上記のプレエマルシ
ョンを3時間30分かけて滴下した。滴下終了後、脱イ
オン水10部で滴下ロートを洗浄し、その洗浄液をフラ
スコに添加した。プレエマルションの滴下中、温度は7
0〜75℃に保持し、滴下終了後さらに同温度で2時間
攪拌して重合を終了させ、架橋型ポリマー微粒子B−1
のエマルションを得た。
【0056】このものの不揮発分は46.0%、ポリマ
ーのガラス転移点は−20℃、平均粒径は0.33μm
であった。 [合成例2(ポリマー微粒子B−2の合成)]攪拌機、
還流冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた
フラスコに脱イオン水219.6部を仕込み、緩やかに
窒素ガスを吹き込みながら内温を60℃に昇温した。
【0057】一方、あらかじめ用意しておいた20%ア
クアロンRN−20(第一工業製薬社製)を50部、同
HS−10を10部、脱イオン水73部にアクリル酸エ
チル24部、アクリル酸ブチル188部、スチレン17
2部、トリメチロールプロパントリメタクリレート2
部、メタクリル酸グリシジル2部を混合・攪拌し、完全
に乳化したプレエマルションを上記滴下ロートに仕込ん
だ。
【0058】次に上記フラスコに、5%過硫酸カリウム
水溶液40部を注入した後、内温を10分間で70℃ま
で昇温し、その後70〜75℃で30分間熟成した。熟
成後、プレエマルションを3時間かけて滴下し、滴下終
了後さらに同温度で2時間攪拌して重合を終了させ、架
橋型ポリマー微粒子B−2のエマルションを得た。この
ものの不揮発分は44.0%、ポリマーのガラス転移点
は0℃、平均粒径は0.30μmであった。 [合成例3(ポリマー微粒子B−3の合成)]合成例1
においてプレエマルション中のモノマー組成をアクリル
酸ブチル10部、メタクリル酸メチル85部、メタクリ
ル酸グリシジル5部とした以外は合成例1と同様にし
て、不揮発分46.0%のポリマー微粒子B−3のエマ
ルションを合成した。ポリマーのガラス転移点は81
℃、平均粒径は0.28μmであった。 [実施例1(舗装工事用ビニルエステル樹脂組成物VE
−1の合成)]攪拌機、還流冷却管、気体導入管および
温度計を備えた5Lの4つ口フラスコに、エポキシ当量
465のビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポトート
YD−901、東都化成社製)1836g、エポキシ当
量185のビスフェノールA型エポキシ樹脂(アラルダ
イトGY−250、チバガイギー社製)418gとメタ
クリル酸545g、テトラブチルアンモニウムクロライ
ド15g、ハイドロキノン0.75gを加え、乾燥空気
流通下で110℃、6時間攪拌し、スチレン2200g
を加えた。ついで架橋型ポリマー微粒子B−1のエマル
ション568gを加えて攪拌しながら70℃に昇温し、
水とスチレンを共沸させて水を完全に除去した。最後に
共沸により失われたスチレンを補充して、ポリマー微粒
子含有率5%で酸価5.0mgKOH/gの舗装工事用
ビニルエステル樹脂組成物VE−1を得た。 [実施例2(舗装工事用ビニルエステル樹脂組成物VE
−2の合成)]実施例1において架橋型ポリマー微粒子
のエマルションをポリマー微粒子B−2のエマルション
とした以外は実施例1と同様にして、ポリマー微粒子含
有率5%で酸価5.0mgKOH/gの舗装工事用ビニ
ルエステル樹脂組成物VE−2を得た。 [比較例1(舗装工事用ビニルエステル樹脂組成物VE
−3の合成)]実施例1においてポリマー微粒子のエマ
ルションをポリマー微粒子B−3のエマルションとした
以外は実施例1と同様にして、ポリマー微粒子含有率5
%で酸価5.0mgKOH/gの舗装工事用ビニルエス
テル樹脂組成物VE−3を得た。 [比較例2(舗装工事用ビニルエステル樹脂組成物VE
−4の合成)]実施例1においてポリマー微粒子のエマ
ルションを加えないで、それ以外は実施例1と同様にし
て、ポリマー微粒子無配合で酸価5.0mgKOH/g
の舗装工事用ビニルエステル樹脂組成物VE−4を得
た。 [実施例3(舗装工事用ビニルエステル樹脂組成物VE
−5の合成)]攪拌機、還流冷却管、気体導入管および
温度計を備えた3Lの4つ口フラスコに、エポキシ当量
185のビスフェノールA型エポキシ樹脂(アラルダイ
トGY−250、チバガイギー社製)774gと架橋型
ポリマー微粒子B−1のエマルション454gを加え
た。ついで攪拌しながら120℃に昇温し、真空減圧下
で水を完全に除去した。さらにビスフェノールA272
gとテトラフェニルホスフォニウムクロライド0.8g
を加えて窒素流通下で150℃、2時間攪拌した後、メ
タクリル酸154g、テトラブチルアンモニウムクロラ
イド6g、ハイドロキノン0.3gを加え、乾燥空気流
通下で110℃、6時間攪拌し、スチレン800gを加
えることで、ポリマー微粒子含有率10%で酸価5.0
mgKOH/gの舗装工事用ビニルエステル樹脂組成物
VE−5を得た。 [比較例3(舗装工事用ビニルエステル樹脂組成物VE
−6の合成)]実施例3においてポリマー微粒子のエマ
ルションを加えないで、それ以外は実施例3と同様にし
て、ポリマー微粒子無配合で酸価5.0mgKOH/g
の舗装工事用ビニルエステル樹脂組成物VE−6を得
た。 [実施例4(舗装工事用ウレタン(メタ)アクリレート
樹脂組成物UA−1の合成)]攪拌機、還流冷却管、気
体導入管および温度計を備えた3Lの4つ口フラスコ
に、ポリメリックMDI(4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネートと関連するポリメチレンポリフェニル
ポリイソシアネートとの混合物。イソシアネート含有率
31%)915g、スチレン1197g、ベンゾキノン
1.0g、ジブチル錫ジラウレート6.1gを仕込み、
空気流通下で攪拌しながら、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート881gを1時間かけて滴下し、滴下終了
後、90℃で6時間反応させた。さらに、70℃まで冷
却後、架橋型ポリマー微粒子B−1のエマルション34
1gを加えて攪拌し、水とスチレンを共沸させて水を完
全に除去した。最後に共沸により失われたスチレンを補
充して、ポリマー微粒子含有率5%の舗装工事用ウレタ
ン(メタ)アクリレート樹脂組成物UA−1を得た。 [比較例4(舗装工事用ウレタン(メタ)アクリレート
樹脂組成物UA−2の合成)]実施例4においてポリマ
ー微粒子のエマルションを加えないで、それ以外は実施
例4と同様にして、ポリマー微粒子無配合の舗装工事用
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂組成物UA−2を得
た。 [実施例5(舗装工事用不飽和ポリエステル樹脂組成物
UP−1の合成)]攪拌機、還流冷却管、気体導入管お
よび温度計を備えた3Lの4つ口フラスコに、ビスフェ
ノールAにプロピレンオキサイドを2.1モル付加させ
た付加物1636gと無水マレイン酸445gを入れ、
窒素流通下、200℃で酸価が12mgKOH/gにな
るまで反応させて不飽和ポリエステルを合成した。この
不飽和ポリエステル1200gとスチレン800gを混
合し、架橋型ポリマー微粒子B−1のエマルション36
4gを加えた。さらに70℃で保持しながら攪拌し、水
とスチレンを共沸させて水を完全に除去した。最後に共
沸により失われたスチレンを補充して、ポリマー微粒子
含有率8%の舗装工事用不飽和ポリエステル樹脂組成物
UP−1を得た。 [比較例5(舗装工事用不飽和ポリエステル樹脂組成物
UP−2の合成)]実施例5においてポリマー微粒子の
エマルションを加えないで、それ以外は実施例5と同様
にして、ポリマー微粒子無配合の舗装工事用不飽和ポリ
エステル樹脂組成物UP−2を得た。 [実施例6(舗装工事用エステル(メタ)アクリレート
樹脂組成物EA−1の合成)]攪拌機、還流冷却管、気
体導入管および温度計を備えた5Lの4つ口フラスコ
に、プロピレングリコール1650g、イソフタル酸1
800g、無水マレイン酸1720gを仕込み、200
℃で8時間攪拌して、酸価60mgKOH/gの不飽和
ポリエステルオリゴマーを得た。この不飽和ポリエステ
ルオリゴマー1040gとスチレン800gを混合し、
ついでハイドロキノン0.6g、オクテン酸亜鉛2g、
グリシジルメタクリレート158gを加えて、反応系内
に乾燥空気を30ml/minで流しながら100℃、
3時間攪拌した。さらに架橋型ポリマー微粒子B−1の
エマルション681gを加えて70℃で保持しながら攪
拌し、水とスチレンを共沸させて水を完全に除去した。
最後に共沸により失われたスチレンを補充して、ポリマ
ー微粒子含有率15%の舗装工事用エステル(メタ)ア
クリレート樹脂組成物EA−1を得た。 [比較例6(舗装工事用エステル(メタ)アクリレート
樹脂組成物EA−2の合成)]実施例6においてポリマ
ー微粒子のエマルションを加えないで、それ以外は実施
例6と同様にして、ポリマー微粒子無配合の舗装工事用
不飽和ポリエステル樹脂組成物EA−2を得た。 <建研式接着力試験機による破壊強度測定>表面に0.
5cm×0.5cmの凹凸を付けた厚さ10mmの軟質
鋼板を基材として用いた。基材の接着面積が4.0cm
×4.0cmとなるよう堰を設け、上記実施例1〜6お
よび比較例1〜6で得た各舗装工事用樹脂組成物100
部に対してオクテン酸コバルト0.5部、硬化剤328
E(化薬アクゾ社製)1.5部を混合した後、堰内に
2.6g流し込み、次いで珪砂16gを均一に撒いた。
【0059】樹脂硬化後、余分の珪砂を取り除き、図1
に示すように基材1上で硬化した樹脂(舗装材)2にア
タッチメント3をエポキシ樹脂接着剤(セメダイン15
00、セメダイン社製)4で取り付けた。4日間養生し
て接着剤を硬化させ、建研式接着力試験機(山本工重機
LPT−1500)で測定した。舗装材施工温度、接着
剤養生温度、試験温度はいずれも25℃、載荷速度は約
1kgf/cm2/secとし、舗装材破壊強度は次式
により算出した。
【0060】舗装材破壊強度(kgf/cm2)=破壊
荷重(kgf)/接着面積(cm2) 結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】表1に示されるとおり、実施例の各舗装工
事用樹脂組成物では破壊強度が高く、破壊箇所が接着剤
または舗装材/接着剤の界面であることから、靭性が高
く機械的耐久性に優れていることがわかる。一方、比較
例2〜6の各舗装工事用樹脂組成物ではポリマー微粒子
を含んでいないので破壊強度が低く、破壊箇所が舗装材
または基材/舗装材の界面となっており、靭性が低く機
械的耐久性に劣っていることがわかる。比較例1の舗装
工事用樹脂組成物ではポリマー微粒子を含んでいるもの
のそのガラス転移点が81℃と高いために靭性改良効果
はほとんど見られない。 実施例7 実施例1で作製した舗装工事用ビニルエステル樹脂組成
物VE−1を100重量部に、硬化剤としてのターシャ
リーブチルパーベンゾエート1重量部、増粘剤としての
ジフェニルメタンジイソシアネート(スミジュール44
v20、住友バイエルウレタン社製)10重量部を加
え、よく混合した後、40℃で4時間放置した。
【0063】上記混合物10重量部と川砂90重量部を
40℃で保持しながら攪拌した後、24時間放置し、コ
ンパウンド状になって液状でないことを確認した。その
後、110℃の熱風を吹き付けてコンパウンド状の混合
物を溶解させながら転圧ローラーで加圧延伸し、土砂の
上に熱風による加熱硬化を行い、舗装構造体を得た。
【0064】
【発明の効果】本発明によると、特定のポリマー微粒子
を用いることにより熱硬化性樹脂を実使用に十分耐えう
る程度にまで強靭化することができるので、優れた機械
的耐久性を有する舗装工事用樹脂組成物を提供すること
ができる。したがって、これを用いた舗装構造体は強靭
で、高速車両や重量車両が通過しても破壊しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で行った接着力試験を説明するための
図である。
【符号の説明】
1 基材 2 硬化した樹脂(舗装材) 3 アタッチメント 4 接着剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 75/16 C08L 75/16 101/00 101/00 E01C 7/00 E01C 7/00 13/06 //(C08L 67/06 57:00 33:06 51:00)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂を含む舗装工事用樹脂組成
    物であって、ガラス転移点が20℃以下であるポリマー
    微粒子を含むことを特徴とする舗装工事用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記ポリマー微粒子が架橋構造を有する
    ものである、請求項1記載の舗装工事用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記ポリマー微粒子の平均粒径が100
    μm以下である、請求項1または2記載の舗装工事用樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記ポリマー微粒子が(メタ)アクリル
    酸エステル系ポリマー微粒子である、請求項1から3の
    いずれかに記載の舗装工事用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記ガラス転移点が20℃以下であるポ
    リマー微粒子を、該ガラス転移点が20℃以下であるポ
    リマー微粒子をコア相とし、さらにガラス転移点が20
    ℃を越えるポリマーをシェル相として有するコア/シェ
    ル型微粒子の形で含む、請求項1から4のいずれかに記
    載の舗装工事用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記熱硬化性樹脂がラジカル硬化型熱硬
    化性樹脂である、請求項1から5のいずれかに記載の舗
    装工事用樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記ラジカル硬化型熱硬化性樹脂が、不
    飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン
    (メタ)アクリレート樹脂およびエステル(メタ)アク
    リレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの
    樹脂である、請求項6記載の舗装工事用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれかに記載の舗装
    工事用樹脂組成物を硬化してなる舗装構造体。
  9. 【請求項9】 請求項1から7のいずれかに記載の舗装
    工事用樹脂組成物によって被舗装面を舗装する施工方
    法。
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