JP2009029090A - 防水構造体及びその製造方法 - Google Patents

防水構造体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009029090A
JP2009029090A JP2007198092A JP2007198092A JP2009029090A JP 2009029090 A JP2009029090 A JP 2009029090A JP 2007198092 A JP2007198092 A JP 2007198092A JP 2007198092 A JP2007198092 A JP 2007198092A JP 2009029090 A JP2009029090 A JP 2009029090A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
waterproof layer
composition
protective
group
monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007198092A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5034747B2 (ja
Inventor
Tomotaka Matsui
智隆 松井
Koichi Fukushima
浩一 福島
Masahiro Yoshikawa
昌宏 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP2007198092A priority Critical patent/JP5034747B2/ja
Publication of JP2009029090A publication Critical patent/JP2009029090A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5034747B2 publication Critical patent/JP5034747B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】耐衝撃性(耐繰り返し疲労性)及び防水性に優れる防水構造体、並びに、気温等の施工条件に左右されることなく施工時間の短縮化を図ることができ、また、塗料に残存する単量体により作業性を低下させることなく、耐衝撃性(耐繰り返し疲労性)、追従性及び防水性に優れる防水構造体を製造する方法を提供する。
【解決手段】基層の表面に、プライマー層、防水層及び保護防水層を、この順に備える防水構造体の製造方法において、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体と、脂環基を有する単官能重合性不飽和単量体[m1]と、単官能の重合性不飽和単量体[m2](但し、上記単量体[m1]を除く)及び/又は2官能の重合性不飽和単量体[m3]とを、各々、所定の割合で含有する組成物を用いて、保護防水層を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プライマー層、防水層及び保護防水層を備える積層型の防水構造体及びその製造方法に関する。更に詳しくは、建造物の床面等に好適であり、耐衝撃性(耐繰り返し疲労性)及び防水性に優れる防水構造体、並びに、積層用の組成物が硬化性に優れることから、施工時間の短縮化を図ることのできる防水構造体の製造方法に関する。
従来、ビル、マンション、アパート等の建造物における廊下、バルコニー等の床面等の防水工法としては、例えば、コンクリート製の下地の表面に、公知のプライマー層、防水層及び保護層等を形成する方法が知られている。特許文献1には、アクリル樹脂等の水性樹脂エマルション型防水材からなる防水性塗膜と、ノンスチレン型の不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂及び繊維マットからなる複合型防水材層とを備えるFRP防水構造が開示されている。このFRP防水構造は、例えば、水性アクリル樹脂エマルション型プライマー、水性アクリル樹脂エマルション型防水材、繊維マットに、硬化剤を含むノンスチレン型ビニルエステル樹脂を含浸させたもの、及び、着色ノンスチレン型ビニルエステル樹脂を、順次、用いることにより、プライマー層、防水層(防水性塗膜)、複合型防水材層及び保護層を備えている。複合型防水材層及び保護層の形成に際し、ノンスチレン型の樹脂を用いることで、低臭雰囲気における施工を可能としている。
特開2005−271295号公報
近年、賃貸用の新築アパート等の建築において、短期間で完成させる工法の検討が進められている。しかしながら、廊下等の床面の形成に際して、上記特許文献1に記載された技術により、水性塗料を複数用いて多層塗膜を形成すると、乾燥(硬化)するまでに要する時間が長くなり、非効率的となる場合があった。また、人が床面を歩いたとき等の衝撃による下地の動きに対し、長期に渡って、防水構造が十分に追従しなくなり、防水構造の破断、変形等を招き、防水性能の信頼性を低下させることがあった。
本発明の目的は、建造物の床面等に好適であり、耐衝撃性(耐繰り返し疲労性)及び防水性に優れる防水構造体、並びに、積層用の組成物が硬化性に優れることから、気温等の施工条件に左右されることなく施工時間の短縮化を図ることができ、また、塗料に残存する単量体による施工時の臭気を問題にすることなく、耐衝撃性(耐繰り返し疲労性)、追従性及び防水性に優れる防水構造体を製造する方法を提供することにある。
本発明は、以下に示される。
1.プライマー層、防水層及び保護防水層を、この順に備える防水構造体の製造方法において、上記保護防水層は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体と、脂環基を有する単官能重合性不飽和単量体[m1]と、単官能の重合性不飽和単量体[m2](但し、上記単量体[m1]を除く。)及び/又は2官能の重合性不飽和単量体[m3]とを含む組成物により形成され、上記組成物に含有される上記ビニル重合体の含有量は、該ビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量%とした場合に5〜40質量%であり、且つ、上記脂環基を有する単官能重合性不飽和単量体[m1]の含有量は、該単量体[m1]、上記単量体[m2]及び[m3]の合計を100質量%とした場合に50〜90質量%であることを特徴とする防水構造体の製造方法。
2.上記単官能の重合性不飽和単量体[m2]及び上記2官能の重合性不飽和単量体[m3]の少なくとも一方は、アルキレンオキサイドからなる繰り返し単位を含む上記1に記載の防水構造体の製造方法。
3.上記保護防水層は、上記組成物からなる塗膜の内部に補強材を埋設させて形成される上記1又は2に記載の防水構造体の製造方法。
4.上記補強材がシート状体である上記3に記載の防水構造体の製造方法。
5.上記防水層は、アクリル重合体、ゴムアスファルト、酢酸ビニル重合体、エチレン・酢酸ビニル重合体、エポキシ樹脂、及び、スチレン・ブタジエン重合体から選ばれた少なくとも1種と、無機質水硬性物質とを含む水性エマルション組成物から形成される上記1乃至4のいずれかに記載の防水構造体の製造方法。
6.上記防水層は、上記水性エマルション組成物からなる塗膜の内部に補強材を埋設させて形成される上記5に記載の防水構造体の製造方法。
7.上記補強材が網状体である上記6に記載の防水構造体の製造方法。
8.上記1乃至7のいずれかに記載の防水構造体の製造方法により形成されたことを特徴とする防水構造体。
本発明の防水構造体の製造方法によれば、積層用の組成物が硬化性に優れることから、施工時間の短縮化を図ることができ、耐衝撃性(耐繰り返し疲労性)、追従性及び防水性に優れる防水構造体を製造することができる。また、寒冷地等低温の環境下における施工も短時間で進めることができる。
上記単官能の重合性不飽和単量体[m2]及び上記2官能の重合性不飽和単量体[m3]の少なくとも一方が、アルキレンオキサイドからなる繰り返し単位を含む場合には、保護防水層の形成性並びに得られる防水構造体の耐衝撃性(耐繰り返し疲労性)、追従性及び防水性に優れる。
上記防水層が、水性エマルション組成物により形成された場合には、得られる防水構造体の追従性に特に優れる。
本発明の防水構造体は、耐衝撃性(耐繰り返し疲労性)及び追従性(復元性)に優れることから、ひび割れ等が抑制され、その結果、防水性に優れる。また、防水層及び保護防水層を含む積層構造の機械的強度に優れるため、傘の先端、靴のヒールの先端等による耐傷付き性、耐突刺抵抗性に優れ、保護防水層の表面が損傷した場合においても、漏水を抑制することができる。
本発明の防水構造体の製造方法は、基層の表面に、プライマー層、防水層及び保護防水層を、この順に備える防水構造体の製造方法であって、上記保護防水層は、アクリロイル基又はメタクリロイル基(以下、「(メタ)アクリロイル基」ともいう。)を有するビニル重合体と、脂環基を有する単官能重合性不飽和単量体[m1]と、単官能の重合性不飽和単量体[m2](但し、上記単量体[m1]を除く。)及び/又は2官能の重合性不飽和単量体[m3]とを含む組成物(以下、「保護防水層形成用組成物」という。)により形成され、上記組成物(保護防水層形成用組成物)に含有される上記ビニル重合体の含有量は、該ビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量%とした場合に5〜40質量%であり、且つ、上記脂環基を有する単官能重合性不飽和単量体[m1]の含有量は、該単量体[m1]、上記単量体[m2]及び[m3]の合計を100質量%とした場合に50〜90質量%であることを特徴とする。
本発明の防水構造体の製造方法においては、基層の表面に、プライマー層形成用組成物を塗工することによりプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、防水層形成用組成物により防水層(硬化皮膜)を形成する防水層形成工程と、保護防水層形成用組成物により保護防水層(硬化皮膜)を形成する保護防水層形成工程とを、この順に備える。更に、保護防水層の表面に、保護層形成用組成物を用いて保護層を形成する保護層形成工程を、更に備えることができる。尚、プライマー層形成工程と防水層形成工程との間、防水層形成工程と保護防水層形成工程との間、及び、保護防水層形成工程と保護層形成工程との間、には、それぞれ、中間層を形成する工程を備えてもよい。
上記プライマー層形成工程において用いられるプライマー層形成用組成物は、基層の表面を構成する材料との親和性に優れるものであれば、特に限定されない。このプライマー層形成用組成物としては、公知の組成物を用いることができ、例えば、エポキシ樹脂組成物、アクリルウレタン樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、ウレタン樹脂組成物、不飽和ポリエステル樹脂組成物、ビニルエステル樹脂組成物等が挙げられる。これらのうち、エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、ウレタン樹脂組成物等が好ましい。また、上記組成物としては、硬化型(湿気硬化型、熱硬化型、光硬化型等)等とすることができ、得られるプライマー層が該組成物による硬化皮膜であることが好ましい。
尚、このプライマー層形成用組成物は、水系組成物、有機溶剤系組成物及び無溶剤系組成物のいずれでもよい。
上記プライマー層形成用組成物は、公知の添加剤、例えば、成膜助剤、硬化促進剤、凍結安定剤、防腐剤、防かび剤、シランカップリング剤、消泡剤、希釈剤等を含有することができる。
上記エポキシ樹脂組成物としては、例えば、エポキシ化合物と、硬化剤(ポリアミン化合物等)とを含有する組成物を用いることができる。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリアミン化合物としては、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、ポリアミドポリアミン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、希釈剤等、上記添加剤を含有したものとすることができる。
上記シランカップリング剤としては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記エポキシ樹脂組成物は、通常、エポキシ化合物を含有する主剤液、及び、硬化剤を含有する硬化剤液の2液型組成物として、各液の粘度を所望の範囲(例えば、5〜500mPa・s)に調整して使用される。粘度が上記の範囲であれば、基層(下地)への塗工性(濡れ性)に優れる。
上記アクリルウレタン樹脂組成物としては、例えば、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を含む単量体、及び/又は、該単量体を用いてなる重合体と、有機ポリイソシアネートとを含有する組成物を用いることができる。
上記ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、後述する保護防水層形成用組成物に含有されるビニル重合体の形成成分「ヒドロキシル基を有する不飽和化合物」として例示する化合物を用いることができる。
上記ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を含む単量体を用いてなる重合体としては、ヒドロキシル基を有するアクリル重合体、ヒドロキシル基を有するメタクリル重合体等が挙げられる。
上記有機ポリイソシアネートとしては、2個以上のイソシアネート基を有するものであれば、脂肪族化合物、脂環族化合物及び芳香族化合物のいずれでもよい。
上記有機ポリイソシアネートの含有量は、このイソシアネートのイソシアネート基のモル数と、上記エチレン性不飽和化合物のヒドロキシル基のモル数、上記単量体を用いてなる重合体のヒドロキシル基のモル数、必要に応じて用いられるポリオール等のヒドロキシル基のモル数の和との比NCO/OHが、通常、0.5〜2となるように、選択される。
上記アクリルウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、多価アルコール等のポリオール、シランカップリング剤、希釈剤等、上記添加剤を含有したものとすることができる。
上記多価アルコールは、飽和化合物及び不飽和化合物のいずれでもよく、更に、脂肪族化合物、脂環族化合物及び芳香族化合物のいずれでもよい。
上記アクリルウレタン樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂組成物と同様、通常、有機ポリイソシアネート以外の原料成分を含有する主剤液、及び、有機ポリイソシアネートを含有する硬化剤液の2液型組成物として、プライマー層形成用組成物の使用前に、十分に混合して使用される。
上記プライマー層形成用組成物として、エポキシ樹脂組成物及びアクリルウレタン樹脂組成物を用いる場合のいずれにおいても、各組成物の固形分は、特に限定されないが、通常、10〜60質量%である。
上記プライマー層形成工程においては、上記プライマー層形成用組成物を基層表面に塗工し、その後、乾燥することにより、プライマー層が形成される。上記プライマー層形成用組成物の塗工に際しては、ローラー、レーキ、コテ、スプレー等が用いられ、塗工を複数回行ってもよい。
その後、プライマー層形成用組成物からなる塗膜の乾燥が行われ、プライマー層(硬化皮膜)が得られる。乾燥温度は、通常、−10℃〜50℃である。
上記プライマー層形成工程において形成される上記プライマー層の厚さは、通常、10〜200μmである。ただし、基層が多孔質である場合、プライマー成分が基層の内部に浸透するために基層表面に設計された厚さの被膜を形成しない場合もある。
上記プライマー層形成用組成物の塗布に要する時間は、通常、1分間/m程度であり、乾燥のために放置する時間は、通常、0.5〜24時間程度である。
上記プライマー層形成用組成物の塗膜の乾燥を、指触等により確認した後、防水層形成工程へと進められる。
上記防水層形成工程において用いられる防水層形成用組成物は、防水皮膜を形成するものであれば、特に限定されない。この防水層形成用組成物としては、アクリル重合体、ゴムアスファルト、酢酸ビニル重合体、エチレン・酢酸ビニル重合体、エポキシ樹脂、スチレン・ブタジエン重合体、ポリウレタン前駆体等を含む組成物を用いることができる。上記組成物は硬化性を有するものであってもよい。
尚、この防水層形成用組成物は、水系組成物、有機溶剤系組成物及び無溶剤系組成物のいずれでもよいが、好ましくは水系組成物であり、より好ましくは、アクリル重合体、ゴムアスファルト、酢酸ビニル重合体、エチレン・酢酸ビニル重合体、エポキシ樹脂、及び、スチレン・ブタジエン重合体から選ばれた少なくとも1種を含む水性エマルション組成物である。
上記防水層形成用組成物は、公知の添加剤、例えば、骨材、増粘剤、消泡剤、成膜助剤、防腐剤、防かび剤等を含有することができる。
アクリル重合体を含む水性エマルション組成物(以下、「アクリルエマルション組成物」という。)としては、好ましくは、ガラス転移温度が−20℃以下のアクリル重合体を含むカチオン性又はノニオン性のエマルション組成物である。このアクリル重合体は、例えば、アルキル基の炭素数が4〜10であるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステル(以下、「単量体(a1)」という。)と、他の不飽和化合物(以下、「単量体(a2)」という。)とを重合してなる共重合体とすることができる。
上記単量体(a1)としては、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸n−デシル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸n−デシル等が挙げられる。
上記単量体(a2)としては、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、上記単量体(a1)以外のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、脂環族ビニル化合物、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、酸無水物基を有するエチレン性不飽和化合物、アルコキシ基を有するエチレン性不飽和化合物、アミノ基を有するエチレン性不飽和化合物、アミド基を有するエチレン性不飽和化合物、スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物、ニトリル基を有する不飽和化合物、アルコキシポリアルキレングリコールのモノアクリル酸エステル又はモノメタクリル酸エステル、ビニルエステル等が挙げられる。これらは、組み合わせて用いることができる。
上記アクリル重合体は、好ましくは、単量体(a1)20〜98質量%及び単量体(a2)2〜80質量%を用いて得られた重合体であり、より好ましくは単量体(a1)60〜90質量%及び単量体(a2)10〜40質量%を用いて得られた重合体である。
上記アクリル重合体のガラス転移温度は、防水層の機械的強度を維持するため、また、積層物として衝撃等による追従性を維持又は向上させるために、好ましくは−20℃以下である。このガラス転移温度が高すぎると、防水層形成用組成物を用いた際の下地亀裂に対する追従性が十分ではなく、亀裂、ひび割れ等が発生する場合がある。これにより、防水性が発揮されなくなる。該組成物から得られる皮膜は伸び率が大きいものでありアクリルゴムと呼ばれることもある。
上記アクリル重合体を含むエマルションは、上記単量体を、カチオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤の存在下、重合することにより製造することができる。
カチオン性界面活性剤としては、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、トリメチルドデシルアンモニウムクロライド、トリメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、トリメチルステアリルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルオレイルアミン、トリオクチルアミン、N−メチルモルフォリン、ジメチルベンジルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の3級アミン等が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンのアルキル又はアルキルフェノールエーテル;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;グリセリンモノ脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記のうち、好ましい界面活性剤は、HLB15以上のポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤である。
上記界面活性剤の使用量は、エマルションの重合体固形分に対して、通常、1〜5質量%である。
尚、上記アクリル重合体を含むエマルションの製造に際して、公知のラジカル重合開始剤が使用される。
上記アクリルエマルション組成物は、上記アクリル重合体と、無機質水硬性物質とを含むカチオン性又はノニオン性の2材型水性エマルション組成物であることが好ましい。この2材型水性エマルション組成物は、上記アクリル重合体を含むエマルションと、無機質水硬性物質とを用いて調製することができる。
上記無機質水硬性物質としては、アルミナセメント、普通ポルトランドセメント、早強セメント、高炉セメント、ホワイトセメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等が挙げられる。これらのうち、アルミナセメントが好ましい。
上記無機質水硬性物質の含有量は、上記アクリル重合体の固形分100質量部に対して、好ましくは10〜200質量部、更に好ましくは20〜70質量部である。上記無機質水硬性物質の含有量がこの範囲にあることにより、防水層形成用組成物の乾燥速度が十分であり、硬化皮膜の柔軟性に優れる。
上記アクリルエマルション組成物は、必要に応じて、骨材、増粘剤、消泡剤、成膜助剤等、上記添加剤を含有したものとすることができる。
上記防水層形成用組成物として、アクリルエマルション組成物を用いる場合、その固形分は、特に限定されないが、通常、50〜90質量%である。
ゴムアスファルトの水性エマルション組成物としては、公知の樹脂及びアスファルト成分が含水溶媒に分散してなるものであれば、特に限定されない。
上記ゴムアスファルトエマルションは、公知の製造方法により得られたものを用いることができ、例えば、水又は含水溶媒中で、乳化剤の存在下に、アスファルト、及び/又は、アスファルトにゴム等の重合体等を混和して改質してなる改質アスファルトと、ゴム等とが乳化分散してなるエマルションを用いることができる。
上記アスファルトとしては、天然アスファルト、アスファルタイト等の天然に産するもの、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、カットバックアスファルト等の石油アスファルト等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記アスファルトは、プロセスオイル、潤滑油等のオイルや、アンスラセンオイル、パイン油、クレオソート油等が少量添加されたものを用いることができる。また、老化防止剤が添加されたものを用いることもできる。
上記ゴムとしては、天然ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム、エチレン・ブテン−1共重合ゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、イソプレン・ブタジエン共重合ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合ゴム、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
上記乳化剤としては、公知のものを用いることができ、アニオン性、ノニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤、ポリビニルアルコール等の保護コロイド等が挙げられる。
上記ゴムアスファルトの水性エマルション組成物は、必要に応じて、増粘剤、消泡剤、成膜助剤等、上記添加剤を含有したものとすることができる。更に、上記アクリルエマルション組成物と同様、無機質水硬性物質を含有してもよい。
上記防水層形成用組成物として、ゴムアスファルトの水性エマルション組成物を用いる場合、その固形分は、特に限定されないが、通常、50〜90質量%である。
上記防水層形成用組成物を用いて得られた皮膜の伸び率は、JIS A6021−2000 「建築用塗膜防水材 6.3引張性能」に準拠した方法で測定し、温度20℃の条件において、好ましくは10〜1,000%であり、より好ましくは300〜600%である。
上記防水層形成工程において、上記防水層は、上記防水層形成用組成物の塗布及び乾燥により形成することができる。この防水層形成用組成物は、プライマー層の表面に、均一に塗布される。塗布方法としては、ローラー、レーキ、コテ、スプレー等を使用する方法が挙げられる。複数回塗工を行ってもよい。
その後、防水層形成用組成物による塗膜の乾燥が行われ、皮膜が得られる。乾燥温度は、通常、−10℃〜50℃である。
尚、防水構造体の耐衝撃性(耐繰り返し疲労性)を向上させるため、この防水層は、シート状体、網状体、線状体等の補強材が埋設された皮膜であることが好ましい。これらのうち、特に好ましくは網状体である。これらの補強材の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、高分子(ポリエステル、ポリアミド、ビニロン、フェノール、ポリオレフィン、アラミド等)等とすることができる。このような態様とする方法としては、上記防水層形成工程において、プライマー層の表面に網状体を敷設した後、防水層形成用組成物を塗工し、乾燥する方法;防水層形成用組成物を塗工後、その乾燥前に網状体、線状体等の補強材を設置し、重力によって塗膜内部に位置させ、乾燥する方法;防水層形成用組成物を塗工後、その乾燥前にシート状体等の補強材を設置し、再度、防水層形成用組成物を塗工し、乾燥する方法等が挙げられる。
上記防水層形成工程において形成される上記防水層の厚さは、通常、500〜1,500μmである。
上記防水層形成工程において、防水層の塗布に要する時間は、2〜3分間/m程度であり、乾燥又は硬化のための放置時間は、通常、2〜12時間である。
上記防水層形成用組成物の塗膜の乾燥を、指触等により確認した後、保護防水層形成工程へと進められる。
上記保護防水層形成工程において用いられる保護防水層形成用組成物は、防水層と同等又はそれよりも硬い防水皮膜を形成するものであり、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体と、脂環基を有する単官能重合性不飽和単量体[m1]と、単官能の重合性不飽和単量体[m2](但し、上記単量体[m1]を除く。)及び/又は2官能の重合性不飽和単量体[m3]とを含み、各成分が所定の割合で含有される組成物である。
上記ビニル重合体としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する重合体であれば、特に限定されない。重合体の1分子あたりのアクリロイル基又はメタクリロイル基の数は、好ましくは1〜8個、より好ましくは2〜6である。アクリロイル基又はメタクリロイル基の数が多すぎると、上記保護防水層形成用組成物を用いて得られる硬化皮膜の脆性が低下する場合がある。
また、上記ビニル重合体の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000〜20,000である。尚、上記Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、テトラヒドロフラン溶媒を用いて測定することができる。
上記ビニル重合体は、下記に例示される組合せの反応により得られた重合体等とすることができる。
(1)カルボキシル基又は酸無水物基を有する重合体と、エポキシ基、ヒドロキシル基又はアミノ基を有する不飽和単量体との反応
(2)エポキシ基を有する重合体と、カルボキシル基又はアミノ基を有する不飽和単量体との反応
(3)イソシアネート基を有する重合体と、ヒドロキシル基又はアミノ基を有する不飽和単量体との反応
(4)エステル基を有する重合体と、ヒドロキシル基を有する不飽和単量体との反応
(5)ヒドロキシル基を有する重合体と、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、エステル基又はイソシアネート基を有する不飽和単量体との反応
上記態様(1)の例、即ち、カルボキシル基を有する重合体とエポキシ基を有する不飽和単量体との反応により得られるビニル重合体を説明すると、このビニル重合体は、エポキシ基を有する不飽和単量体の不飽和結合を残したまま、エポキシ基と、カルボキシル基を有する重合体のカルボキシル基とを反応させて得られたものである。このように、上記ビニル重合体は、第1の反応性基を有する変性前駆体(ビニル重合体)と、第1の反応性基と反応可能な反応性基(以下、「第2の反応性基」という。)を有する不飽和単量体との反応により得られた重合体である。第1の反応性基としては、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基等から選ばれた少なくとも1種である。第2の反応性基もまた、第1の反応性基との反応の可否に基づき、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基等から選ばれた少なくとも1種である。
第1の反応性基を有する変性前駆体(ビニル重合体)と、第2の反応性基を有する不飽和単量体との反応は、好ましくは室温〜150℃、より好ましくは室温〜130℃の温度で行われる。
尚、第1の反応性基を有する変性前駆体(ビニル重合体)は、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基等を有する不飽和化合物を含む単量体(第1の反応性基を有する単量体)を用いて、公知の方法により得られたものとすることができる。
カルボキシル基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、4−ビニル安息香酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸無水物基を有する不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、メタクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
イソシアネート基を有する不飽和化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−アクリロイルオキシブチルイソシアネート、6−アクリロイルオキシヘキシルイソシアネート、8−アクリロイルオキシオクチルイソシアネート、10−アクリロイルオキシデシルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−メタクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−メタクリロイルオキシブチルイソシアネート、6−メタクリロイルオキシヘキシルイソシアネート、8−メタクリロイルオキシオクチルイソシアネート、10−メタクリロイルオキシデシルイソシアネート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エステル基を有する不飽和化合物としては、上記のアクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルのほか、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸n−ヘキサデシル、アクリル酸n−オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸n−ヘキサデシル、メタクリル酸n−オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシル基を有する不飽和化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセリンモノアクリレート等の多価アルコールのモノ又はポリアクリレート;ペンタエリスリトールトリメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート等の多価アルコールのモノ又はポリメタクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリブチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリブチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、2以上。)のモノアクリル酸エステル又はモノメタクリル酸エステル;シクロヘキセンオキシドとアクリル酸との付加物等のエポキシドと、アクリル酸との付加物;シクロヘキセンオキシドとメタクリル酸との付加物等のエポキシドと、メタクリル酸との付加物、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルアルコール、イソプロペニルフェノール、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミノ基を有する不飽和化合物としては、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、2−ジエチルアミノプロピルアクリレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピルアクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−ジエチルアミノプロピルアクリレート、3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピルアクリレート等のジアルキルアミノアルキルアクリレート;ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、2−ジエチルアミノプロピルメタクリレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−ジエチルアミノプロピルメタクリレート、3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピルメタクリレート等のジアルキルアミノアルキルメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、第1の反応性基を有する重合前駆体(ビニル重合体)の製造方法について、特に好ましい方法は、特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報、特開昭60−215007号公報等に開示された方法である。即ち、加圧可能な反応器を有機溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、第1の反応性基を有する単量体と、必要に応じて用いられる他の単量体とからなる単量体、又は、該単量体及び重合溶媒の混合物からなる原料成分を一定の供給速度で反応器へ供給し、該原料成分の供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法が挙げられる。
尚、上記態様(2)〜(5)についても上記態様(1)と同様の反応により得られた各重合体とすることができる。
上記保護防水層形成用組成物に含有される、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体の含有量は、該ビニル重合体、後述する単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量%とした場合に5〜40質量%であり、好ましくは、7〜35質量%、より好ましくは8〜30質量%である。アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体の含有量が上記範囲にあると、硬化性に優れ、保護防水性に優れた硬化皮膜を得ることができる。該ビニル重合体の含有量が少なすぎると、組成物を硬化させて得られる皮膜が、繰り返し疲労性の不十分なものとなる場合がある。一方、該ビニル重合体の含有量が多すぎると、保護防水層形成用組成物が高粘度となる傾向にあり、作業性が低下することがあるほか、組成物の硬化性が不十分となる場合がある。
上記脂環基を有する単官能重合性不飽和単量体[m1]は、例えば、下記一般式で表される化合物である。
Figure 2009029090
〔式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、−(CH−O−、又は、−(CHCHO)−であり、Rは、脂環基である。kは1〜20の整数、nは0〜10の整数である。〕
上記単量体[m1]としては、単環型脂環式炭化水素基を有する化合物、及び、多環型脂環式炭化水素基を有する化合物のいずれでもよく、また、これらの組合せであってもよい。
単環型脂環式炭化水素基を有する化合物としては、上記一般式において、Rが、下記構造を含む官能基である化合物を用いることができる。
Figure 2009029090
〔炭素原子に結合する水素原子は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基で置換されていてもよい。〕
上記構造を含む化合物としては、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキセニル、アクリル酸シクロヘキセニルメチル、アクリル酸シクロヘキセニルエチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキセニル、メタクリル酸シクロヘキセニルメチル、メタクリル酸シクロヘキセニルエチル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
多環型脂環式炭化水素基を有する化合物としては、上記一般式において、Rが、下記構造を含む官能基である化合物を用いることができる。
Figure 2009029090
〔炭素原子に結合する水素原子は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基で置換されていてもよい。〕
上記構造を含む化合物としては、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸3,5−ジメチルアダマンチル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アクリル酸ビシクロ[2.2.2]オクチル、アクリル酸1−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル、アクリル酸9−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル、アクリル酸テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸ジシクロペンテニル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシプロピル、アクリル酸ノルボルネニルメチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸3,5−ジメチルアダマンチル、メタクリル酸トリシクロデカニル、メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、メタクリル酸ビシクロ[2.2.2]オクチル、メタクリル酸1−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル、メタクリル酸9−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル、メタクリル酸テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンテニル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシプロピル、メタクリル酸ノルボルネニルメチル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記単量体[m1]としては、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシプロピル等が好ましい。市販品としては、日立化成社製「ファンクリル FA−512M」、「ファンクリル FA−512MT」(以上、商品名)等がある。
上記保護防水層形成用組成物に含有される上記単量体[m1]の含有量は、該単量体[m1]、下記の単量体[m2]及び[m3]の合計を100質量%とした場合、50〜90質量%であり、好ましくは50〜80質量%、より好ましくは50〜70質量%である。上記単量体[m1]の含有量がこの範囲にあることにより、良好な硬化性を得ることができる。尚、上記単量体[m1]の含有量が多すぎると、得られる防水構造体の耐衝撃性が低下し、割れやすくなる傾向にある。
上記保護防水層形成用組成物は、更に、上記単量体[m1]を除く単官能の重合性不飽和単量体[m2]、及び、2官能の重合性不飽和単量体[m3]のいずれか一方、又は、両者を含む。
上記単官能の重合性不飽和単量体[m2]としては、アルキレンオキサイドからなる繰り返し単位を含む不飽和化合物等が好ましく用いられる。
このアルキレンオキサイドからなる繰り返し単位を含む不飽和化合物としては、アルキレンオキサイド変性フェノール類のアクリレート及びメタクリレート、アルキレンオキサイド変性脂肪族アルコールのアクリレート及びメタクリレート等が挙げられる。
アルキレンオキサイド変性フェノール類のアクリレートとしては、フェノールEO(エチレンオキサイド)変性アクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート等が挙げられる。
アルキレンオキサイド変性脂肪族アルコールのアクリレートとしては、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート等が挙げられる。
また、アルキレンオキサイド変性脂肪族アルコールのメタクリレートとしては、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
上記単量体[m2]として、他の化合物としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のβ−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル;ステアリルメタクリレート等の長鎖アルキル基を有するメタクリル酸エステル等が挙げられる。
上記単量体[m2]の市販品としては、日立化成社製「ファンクリル FA−314A」、「ファンクリル FA−318A」、「ファンクリル FA−400M」(以上、商品名)、日本化薬社製「KAYARAD TC−110S」、「KAYARAD R−128H」(以上、商品名)、東亞合成社製「アロニックス M−101」、「アロニックス M−102」、「アロニックス M−110」、「アロニックス M−111」、「アロニックス M−113」、「アロニックス M−117」、「アロニックス M−120」、「アロニックス M−5700」(商品名)等がある。
上記2官能の重合性不飽和単量体[m3]は、特に限定されず、アルキレンオキサイド変性ビスフェノール類のジアクリレート、アルキレングリコールジアクリレート、3個以上のヒドロキシル基を有するアルコールのジアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらのうち、アルキレンオキサイドからなる繰り返し単位を含む不飽和化合物等が好ましく用いられる。
アルキレンオキサイド変性ビスフェノール類のジアクリレートとしては、ビスフェノールFのエチレンオキサイド(EO)変性ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)変性ジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)変性ジアクリレート等が挙げられる。
アルキレングリコールジアクリレートとしては、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられる。ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等のポリエチレングリコールジメタクリレート等も使用できる。
3個以上のヒドロキシル基を有するアルコールのジアクリレートとしては、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート等が挙げられる。
上記単量体[m3]の市販品としては、日立化成社製「ファンクリル FA−P240A」、「ファンクリル FA−P270A」、「ファンクリル FA−321M」、「ファンクリル FA−324A」(以上、商品名)、日本化薬社製「KAYARAD R−526」、「KAYARAD R−167」、「KAYARAD PEG400DA」、「KAYARAD HX−220」、「KAYARAD HX−620」、「KAYARAD GPO−303」(以上、商品名)、東亞合成社製「アロニックス M−208」、「アロニックス M−220」、「アロニックス M−225」、「アロニックス M−233」、「アロニックス M−240」、「アロニックス M−260」、「アロニックス M−1100」、「アロニックス M−1200」、「アロニックス M−1210」、「アロニックス M−1310」、「アロニックス M−1600」、「アロニックス M−6100」、「アロニックス M−6200」、「アロニックス M−6250」、「アロニックス M−6500」(以上、商品名)等がある。
上記単量体[m3]としては、ビスフェノールAのEO変性ジアクリレートが特に好ましい。
上記保護防水層形成用組成物は、上記単量体[m2]及び[m3]のうち、少なくとも単量体[m3]を含むことが好ましい。
尚、上記保護防水層形成用組成物は、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]以外に、低臭気の重合性不飽和単量体として3官能以上の単量体を含有してもよい。
上記保護防水層形成用組成物は、通常、重合開始剤を用いて硬化させる。この重合開始剤は、ラジカル重合開始剤として公知のものを用いることができるが、酸化剤及び還元剤を組み合わせてなるレドックス開始剤を用いることが好ましい。
上記酸化剤は、特に制限されないが、好ましくは、有機過酸化物である。この有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル、パーカーカート等が挙げられる。これらのうち、ジアシルパーオキサイド及びケトンパーオキサイドが好ましい。ジアシルパーオキサイドの使用量は、好ましくは0.1〜10質量部であり、ケトンパーオキサイドの使用量は、好ましくは0.5〜20質量部である。
上記レドックス開始剤が、有機過酸化物を含む場合、この有機過酸化物は、不活性の液体に溶解又は分散させたもの、あるいは、粉体に担持させて濃度を70質量%以下、特に20〜60質量%としたものを用いることが好ましい。後者の場合、結晶水を有する無機粉体で表面処理された過酸化ベンゾイルを用いると、硬化性及び安全性に優れ、好ましい。尚、上記無機粉体としては、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
一方、還元剤もまた、特に限定されないが、第三級アミン、第四級アンモニウム塩、コバルト、バナジウム、マンガン等の金属元素を含む金属石鹸等が挙げられる。
第三級アミンとしては、窒素原子に少なくとも1個の芳香族残基が直接結合している化合物及びその誘導体が好ましく、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン等の化合物及びその誘導体が挙げられる。特に好ましくは、水酸基を1個以上有する第三級アミンであり、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、N−メチル−N−ヒドロキシエチルアニリン、N−エチル−N−β―ヒドロキシエチル−アニリン、N,N−ジ(β―ヒドロキシエチル)−m−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N−メチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−m−クロロアニリン等が挙げられる。
上記重合開始剤がレドックス開始剤である場合、上記保護防水層形成用組成物は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]、並びに、上記還元剤を含有する主剤液と、酸化剤液とを、使用する前に混合して用いるものである。
上記重合開始剤の含有量は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜25質量部である。尚、この含有量は、溶剤、賦形剤、担持成分等の不活性な物質を除いた正味のものであり、重合開始剤がレドックス開始剤のような複数成分からなるものである場合はそれらの合計量を意味する。
上記保護防水層形成用組成物は、必要に応じて、更に、ワックス、多価金属塩(多価金属錯体を含む)、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、揺変性付与剤、充填剤、骨材、着色剤(顔料等)等を含有したものとすることができる。
上記ワックスとしては、塗膜表面の硬化性を改良するために、融点が40℃以上の化合物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸等が挙げられる。融点が40℃未満のワックスは、硬化性向上効果が十分に発揮されないことがある。
上記ワックスの含有量は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜3質量部である。
上記多価金属塩(多価金属錯体を含む)としては、硬化性の観点から、高級脂肪酸の金属塩、アセチルアセトンの錯体等が好ましい。
高級脂肪酸の金属塩としては、ナフテン酸、オクテン酸等の多価金属塩等が挙げられ、多価金属としては、カルシウム、銅、ジルコニウム、マンガン、コバルト、鉛、鉄、バナジウム等が挙げられる。好ましい化合物は、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、オクテン酸コバルト、オクテン酸鉛等である。
アセチルアセトンの錯体としては、コバルトアセチルアセテート、マンガンアセチルアセテート等が挙げられる。
上記多価金属塩の含有量は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.01〜5質量部である。
上記消泡剤としては、シリコーン消泡剤、アクリル消泡剤、オキシアルキレン消泡剤等が挙げられる。この消泡剤の含有量は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.0001〜10質量部である。
上記レベリング剤としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル共重合体等を含む組成物等が挙げられる。このレベリング剤の含有量は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.0001〜10質量部である。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリチル酸化合物等が挙げられる。この紫外線吸収剤の含有量は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.0001〜10質量部である。
上記重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。この重合禁止剤の含有量は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.0001〜10質量部である。
上記揺変性付与剤としては、アスベスト、セピオライト、アエロジルのようなシリカ粉末等が挙げられる。この揺変性付与剤の含有量は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量部とした場合に、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.01〜5質量部である。
上記充填剤としては、硫酸バリウム、酸化珪素、タルク、マイカ、カオリンクレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。この充填剤の含有量は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量部とした場合に、好ましくは1,000質量部以下、より好ましくは1〜700質量部である。
上記骨材は、その構成材料、形状及び大きさについて、特に限定されない。構成材料は、天然骨材及び人工骨材のいずれでもよく、また、これらを組み合わせて用いてもよい。
天然骨材としては、砂、石、岩等の無機物を粉砕してなるものが挙げられる。
また、人工骨材としては、ガラスビーズ、ガラス製品(板ガラス、ガラス瓶等)を粉砕してなるもの、産業廃棄物を加工してなるもの等が挙げられる。
尚、上記骨材は、着色されていてもよい。
上記骨材の形状は、球状、略球状、扁平状、多面体、不定形状等とすることができ、均一であっても不均一であってもよい。
また、上記骨材の粒径は、目的に応じて選択すれば良いが、施工性、硬化皮膜の表面平滑性等を考慮すると、好ましくは0.03〜10mmである。
上記骨材の含有量は、上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量部とした場合に、好ましくは1,000質量部以下、より好ましくは、1〜1,000質量部である。
上記着色剤としては、顔料及び染料のいずれでもよいが、通常、顔料が用いられ、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等が挙げられる。
上記保護防水層形成用組成物は、実質的に有機溶剤を含まないことが好ましい。
上記保護防水層形成用組成物を用いて得られた硬化皮膜の伸び率は、JIS A6021−2000 「建築用塗膜防水材 6.3引張性能」に準拠した方法で測定し、温度20℃の条件において、好ましくは10〜250%であり、より好ましくは30〜200%である。
上記保護防水層形成工程において、上記保護防水層は、上記保護防水層形成用組成物の塗布及び硬化により形成することができる。この保護防水層形成用組成物は、防水層の表面に、均一に塗布される。塗布方法としては、ローラー、レーキ、コテ、スプレー等を使用する方法が挙げられる。複数回塗工を行ってもよい。
その後、保護防水層形成用組成物による塗膜の乾燥が行われ、硬化皮膜が得られる。乾燥温度は、通常、−10℃〜50℃である。
尚、防水構造体の耐衝撃性(耐繰り返し疲労性)を向上させるため、この保護防水層は、シート状体、網状体、線状体等の補強材が埋設された硬化皮膜であることが好ましい。これらのうち、特に好ましくはシート状体であり、織布、不織布、マット等を用いることができる。これらの補強材の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、高分子(ポリエステル、ポリアミド、ビニロン、フェノール、ポリオレフィン、アラミド等)等とすることができる。このような態様とする方法としては、上記保護防水層形成工程において、保護防水層形成用組成物を塗工後、その硬化前にシート状体等の補強材を敷設し、再度、保護防水層形成用組成物を塗工し、硬化する方法等が挙げられる。
上記保護防水層形成工程において形成される上記保護防水層の厚さは、通常、300〜1,500μmである。
上記保護防水層形成工程において、保護防水層の塗布に要する時間は、通常、2〜3分間程度であり、硬化のための放置時間は、通常、0.5〜3時間程度である。
上記保護防水層形成用組成物の塗膜の硬化を、指触等により確認した後、必要に応じて、保護層形成工程へと進められる。
上記保護層形成工程において用いられる保護層形成用組成物は、保護防水層と同等あるいはそれよりも硬い皮膜を形成するものであり、土木・建築分野においてトップコート用組成物として用いられている公知の組成物を用いることができる。例えば、アクリル樹脂組成物、アクリルウレタン樹脂組成物、アクリルシリコン樹脂組成物、フッ素樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物等が挙げられる。これらのうち、アクリル樹脂組成物及びアクリルウレタン樹脂組成物が好ましく、特に、アクリルウレタン樹脂組成物が好ましい。
尚、この保護層形成用組成物は、水系組成物、有機溶剤系組成物及び無溶剤系組成物のいずれでもよい。
上記アクリルウレタン樹脂組成物としては、上記プライマー層形成用組成物として例示したアクリルウレタン樹脂組成物を用いることができる。
上記保護層形成用組成物は、公知の添加剤、例えば、硬化促進剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、増粘剤、着色剤(顔料等)、消泡剤、防かび剤、滑り防止剤(珪砂、ゴムチップ等)、遮熱性向上剤(特殊顔料等)等を含有することができる。
上記保護層形成用組成物の固形分は、特に限定されないが、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは30〜70質量%である。
上記保護層形成用組成物を用いて得られた硬化皮膜の伸び率は、JIS A6021−2000 「建築用塗膜防水材 6.3引張性能」に準拠した方法で測定し、温度20℃の条件において、好ましくは5〜100%である。
上記保護層形成工程において、上記保護層は、上記保護層形成用組成物の塗布及び乾燥により形成することができる。この保護層形成用組成物は、保護防水層の表面に、均一に塗布される。塗布方法としては、ローラー、レーキ、コテ、スプレー等を使用する方法が挙げられる。複数回塗工を行ってもよい。
その後、保護層形成用組成物による塗膜の乾燥が行われ、硬化皮膜が得られる。乾燥温度は、通常、−10℃〜50℃である。
上記保護層形成工程において形成される上記保護層の厚さは、通常、30〜200μmである。
上記保護層形成工程において、保護層の塗布に要する時間は、通常、1分間程度であり、乾燥又は硬化のための放置時間は、通常、0.5〜2時間程度である。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。尚、以下において、部及び%は質量基準である。
1.保護防水層形成用組成物の調製
1−1.ビニル重合体の製造
2段階の工程をもって、ビニル重合体を製造した。
第1工程は、変性前のビニル重合体前駆体を製造するための重合工程である。第1工程における製造原料は次の通りである。即ち、単量体は、アクリル酸シクロヘキシル16部、アクリル酸n−ブチル51部及びアクリル酸12部であり、重合開始剤は、ジ−tert−ブチルパーオキシド0.7部であり、有機溶剤は、メチルエチルケトン21部である。
また、第2工程は、変性前のビニル重合体前駆体にアクリロイル基又はメタクリロイル基(以下、「(メタ)アクリロイル基」ともいう。)を導入する工程であり、(メタ)アクリロイル基導入のための代表的な原料は、メタクリル酸グリシジルである。
まず、第1工程として、電熱式ヒーターを備えた容量300mlの加圧式攪拌槽型反応器をメチルエチルケトンで満たし、温度を220℃にして、圧力調整器により圧力をゲージ圧で2.5〜2.7MPaに保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、アクリル酸シクロヘキシル16部、アクリル酸n−ブチル51部、アクリル酸12部、メチルエチルケトン21部、及び、ジ−tert−ブチルパーオキシド0.7部からなる、単量体及び重合開始剤の混合物(以下、「混合物A−1」という。)を、一定の供給速度(23g/分、反応器内の平均滞留時間13分に相当)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、混合物A−1の供給量に相当する反応器内容物を出口から連続的に抜き出した。上記混合物A−1の供給開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱によると思われる温度上昇が認められたが、ヒーターを制御することにより、反応温度を220〜225℃に保持した。上記混合物A−1の供給開始後反応器内の温度が安定した時点から60分間、抜き出した反応液を採取した。この間に1,380gの混合物A−1を供給し、1,338gの反応液を回収した。続いて、反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離し、1,034gの濃縮液を得た(以下、この濃縮液を「濃縮液B−1」という。)。この濃縮液B−1について、FID検出器を備えるガスクロマトグラフを用いて、未反応モノマーを分析したところ、その濃度は、検出下限以下であった。また、有機溶剤を、実質、含有していなかった。濃縮液B−1に含有される重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)をGPCにより測定したところ、それぞれ、1,560及び3,000であった。Mw及びMnから算出される分散度(Mw/Mn)は1.92であった。また、この重合体の酸価は111mgKOH/gであった。
次に、第2工程は、還流冷却器、温度計、滴下ロート、窒素吹き込み管及び攪拌器を取り付けたフラスコに、第1工程で得られた濃縮液B−1(含有される重合体47部)、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート40部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.5部、ハイドロキノン0.05部を加えて溶解し、5%の酸素を含有する窒素ガスを流量20ml/分で系内に供給し、オイルバスで95℃に加熱した。グリシジルメタクリレート12部を2時間程度かけて徐々に滴下した。滴下終了後、110℃に加熱し、6時間反応させることにより、メタクリロイル基を有するビニル重合体C−1及びジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートを主成分とする組成物D−1を得た。このビニル重合体C−1の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、それぞれ、2,348及び4,827であり、多分散度(Mw/Mn)は2.01であった。また、未反応のグリシジルメタクリレートの量を測定したところ、0.2%であった。
尚、第2工程において、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートは反応溶媒として反応液の低粘度化に寄与している。
1−2.保護防水層形成用組成物の調製
調製例1
上記組成物D−1を30部(ビニル重合体C−1及びジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートを、それぞれ、約18部及び約12部含有する)と、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート50部と、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(商品名「FA321M」、日立化成社製)20部と、融点が50〜52℃であるパラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを、温度60℃で30分間撹拌し、(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体及び単量体を主成分とする保護防水層形成用組成物[S1]を得た。この組成物[S1]について、20℃の温度における粘度をB型粘度計(No.2ローター、20rpm)により測定したところ、300mPa・sであった。組成物[S1]は、実質的に有機溶剤等の揮発性成分を含有していない。
調製例2
上記組成物D−1を15部と、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート50部と、上記EO変性ビスフェノールAジメタクリレート35部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして、(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体及び単量体を主成分とする保護防水層形成用組成物[S2]を得た。粘度は、200mPa・sであった。
調製例3
上記組成物D−1を15部と、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート68部と、上記EO変性ビスフェノールAジメタクリレート17部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして、(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体及び単量体を主成分とする保護防水層形成用組成物[S3]を得た。粘度は、200mPa・sであった。
調製例4
上記組成物D−1を30部と、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート35部と、上記EO変性ビスフェノールAジメタクリレート35部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして、(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体及び単量体を主成分とする保護防水層形成用組成物[S4]を得た。粘度は、300mPa・sであった。
調製例5
上記組成物D−1を30部と、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート63部と、上記EO変性ビスフェノールAジメタクリレート7部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして、(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体及び単量体を主成分とする保護防水層形成用組成物[S5]を得た。粘度は、300mPa・sであった。
調製例6
上記組成物D−1を40部と、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート30部と、上記EO変性ビスフェノールAジメタクリレート30部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして、(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体及び単量体を主成分とする保護防水層形成用組成物[S6]を得た。粘度は、400mPa・sであった。
調製例7
上記組成物D−1を40部と、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート48部と、上記EO変性ビスフェノールAジメタクリレート12部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして、(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体及び単量体を主成分とする保護防水層形成用組成物[S7]を得た。粘度は、400mPa・sであった。
調製例8
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート100部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして比較用の保護防水層形成用組成物[S8]を得た。粘度は、100mPa・sであった。
調製例9
上記EO変性ビスフェノールAジメタクリレート100部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして比較用の保護防水層形成用組成物[S9]を得た。粘度は、500mPa・sであった。
調製例10
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート50部と、上記EO変性ビスフェノールAジメタクリレート50部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして比較用の保護防水層形成用組成物[S10]を得た。粘度は、300mPa・sであった。
調製例11
上記組成物D−1を5部と、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート47.5部と、上記EO変性ビスフェノールAジメタクリレート47.5部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして、比較用の保護防水層形成用組成物[S11]を得た。粘度は、350mPa・sであった。
調製例12
上記組成物D−1を70部と、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート30部と、上記EO変性ビスフェノールAジメタクリレート10部と、上記パラフィンワックス0.5部と、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル−m−トルイジン0.5部とを用いた以外は、調製例1と同様にして、比較用の保護防水層形成用組成物[S12]を得た。粘度は、600mPa・sであった。
2.防水構造体の製造
実施例1
防水構造体の製造を、温度20℃の条件下で行った。
基層として、スレート板(300×300×3mm)の表面に、固形分30%の2液反応硬化型有機溶剤系エポキシ樹脂組成物(商品名「アロン強化プライマー」、東亞合成株式会社製)を、刷毛により塗布した(塗布量0.2kg/m)。その後、2時間自然乾燥した。(プライマー層形成工程)。尚、プライマーはスレート板に浸透するため塗布された量に相当する厚さの皮膜がスレート板の表面に形成されるわけではない。
次いで、上記プライマー層の表面に、ポリエステル繊維メッシュ(商品名「アロンメッシュ」、東亞合成株式会社製)を配置し、このメッシュが埋設されるように、固形分75%の2成分反応型アクリルゴム水性エマルション組成物「アロンコートSQ」(アルミナセメントを含む。東亞合成株式会社製、アロンコートは登録商標)を流し、ローラーにより塗布した(組成物の塗布量1.0kg/m)。その後、自然乾燥させ(24時間)、厚さ500μmの防水層を形成した(防水層形成工程)。尚、この2成分反応型アクリルゴム組成物を硬化させて得られる皮膜の伸び率を、JIS A6021−2000 「建築用塗膜防水材 6.3引張性能」に準拠した方法で測定したところ、温度20℃で450%であった。
その後、上記防水層の表面に、FRP用クロス(商品名「WL110G 104BS6」、日東紡社製)を配置し、このFRP用クロスが埋設されるように、上記保護防水層形成用組成物[S1]を流し、ローラーにより塗布した(組成物の塗布量0.3kg/m)。その後、硬化させ(1時間)、再度、塗布及び硬化を行い、厚さ700μmの保護防水層を形成した(保護防水層形成工程)。尚、この保護防水層形成用組成物[S1]を硬化させて得られる皮膜の伸び率を、JIS A6021−2000 「建築用塗膜防水材 6.3引張性能」に準拠した方法で測定したところ、温度20℃で100%であった。
次いで、上記保護防水層の表面に、2液反応硬化型有機溶剤系アクリルウレタン樹脂塗料(商品名「ネオペイントウレタン#8000」、亜細亜工業株式会社製)を、刷毛により塗布した(塗布量0.2kg/m)。その後、自然乾燥させ(1時間)、厚さ60μmの保護層を形成し(保護層形成工程)、防水構造体を得た。尚、この2液反応硬化型有機溶剤系アクリルウレタン樹脂塗料を硬化させて得られる皮膜の伸び率を、JIS A6021−2000 「建築用塗膜防水材 6.3引張性能」に準拠した方法で測定したところ、温度20℃で50%であった。
防水構造体の製造時間の合計は48時間であった。
得られた防水構造体について、下記評価を行った。その結果を表1に示す。
(1)繰り返し疲労性
図1に示す試験体を作製し、評価した。
2枚のフレキシブル板(160×70×8mm)21及び22を長手方向に10mmの間隔を空けて並べ、該間隔にシーリング材31を打設した。その後、上記と同様にして、2枚のスレート板にまたがるように、プライマー層、防水層、保護防水層及び保護層を順次形成した(図1参照)。
次いで、フレキシブル板22を固定した状態で、フレキシブル板21を連続的に、上下方向に0.7mmずつ変位させる疲労試験を、−10℃で6,000回、その後、20℃で6,000回、更に80℃で6,000回行い、終了後の試験体の外観を観察した。
○;フレキシブル板21及び22の表面に形成された積層物の破断は見られなかった
△;ヘアークラックが見られた。
×;完全に破断した。
(2)作業性
プライマー層、防水層、保護防水層及び保護層を順次形成した際の放置時間を含めた合計の施工時間を計測した。
(3)臭気
保護防水層形成用組成物の調製に用いた単量体の臭い(残留している単量体による臭い)を、人による官能試験に供した。
○;全くなし。
×;刺激臭あり。
実施例2
保護防水層形成工程において、FRP用クロスを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表1に示す。
実施例3
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物の1回あたりの塗布量を0.4kg/mとし、更に塗布及び乾燥を繰り返した以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表1に示す。
実施例4
防水層形成工程において、2成分反応型アクリルゴム組成物の塗布量を2kg/mとし、防水層の厚さを1,000μmとした以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表2に示す。
実施例5
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S2]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表2に示す。
実施例6
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S3]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表2に示す。
実施例7
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S4]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表3に示す。
実施例8
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S5]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表3に示す。
実施例9
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S6]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表3に示す。
実施例10
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S7]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表4に示す。
実施例11
実施例1と同様に、プライマー層、防水層及び保護防水層を形成し、保護層を形成しなかった防水構造体を製造し、評価した。その結果を表4に示す。
比較例1
防水層形成工程を省略した以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表5に示す。
比較例2
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S1]に代えて、ノンスチレン型ビニルエステル樹脂(商品名「NSR112」、昭和高分子社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表5に示す。
比較例3
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S1]に代えて、メタクリレート単量体(商品名「シリカルMC2」、三井化学産資社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表5に示す。
比較例4
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S8]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表6に示す。
比較例5
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S9]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表6に示す。
比較例6
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S10]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表6に示す。
比較例7
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S11]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表7に示す。
比較例8
保護防水層形成工程において、上記保護防水層形成用組成物[S12]を用いた以外は、実施例1と同様にして防水構造体を得た。評価結果を表7に示す。
Figure 2009029090
Figure 2009029090
Figure 2009029090
Figure 2009029090
Figure 2009029090
Figure 2009029090
Figure 2009029090
本発明の防水構造体及びその製造方法は、ビル、マンション、アパート等の建造物における廊下、バルコニー等の床面等の防水工法として有用である。
実施例において繰り返し疲労性を評価するために用いた試験体の断面を示す概略説明図である。
符号の説明
11;プライマー層、防水層、保護防水層及び必要に応じて保護層を順次形成してなる積層物
21及び22;スレート板
31;シーリング材による接合部

Claims (8)

  1. プライマー層、防水層及び保護防水層を、この順に備える防水構造体の製造方法において、
    上記保護防水層は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するビニル重合体と、脂環基を有する単官能重合性不飽和単量体[m1]と、単官能の重合性不飽和単量体[m2](但し、上記単量体[m1]を除く。)及び/又は2官能の重合性不飽和単量体[m3]とを含む組成物により形成され、
    上記組成物に含有される上記ビニル重合体の含有量は、該ビニル重合体、上記単量体[m1]、[m2]及び[m3]の合計を100質量%とした場合に5〜40質量%であり、且つ、上記脂環基を有する単官能重合性不飽和単量体[m1]の含有量は、該単量体[m1]、上記単量体[m2]及び[m3]の合計を100質量%とした場合に50〜90質量%であることを特徴とする防水構造体の製造方法。
  2. 上記単官能の重合性不飽和単量体[m2]及び上記2官能の重合性不飽和単量体[m3]の少なくとも一方は、アルキレンオキサイドからなる繰り返し単位を含む請求項1に記載の防水構造体の製造方法。
  3. 上記保護防水層は、上記組成物からなる塗膜の内部に補強材を埋設させて形成される請求項1又は2に記載の防水構造体の製造方法。
  4. 上記補強材がシート状体である請求項3に記載の防水構造体の製造方法。
  5. 上記防水層は、アクリル重合体、ゴムアスファルト、酢酸ビニル重合体、エチレン・酢酸ビニル重合体、エポキシ樹脂、及び、スチレン・ブタジエン重合体から選ばれた少なくとも1種と、無機質水硬性物質とを含む水性エマルション組成物から形成される請求項1乃至4のいずれかに記載の防水構造体の製造方法。
  6. 上記防水層は、上記水性エマルション組成物からなる塗膜の内部に補強材を埋設させて形成される請求項5に記載の防水構造体の製造方法。
  7. 上記補強材が網状体である請求項6に記載の防水構造体の製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の防水構造体の製造方法により形成されたことを特徴とする防水構造体。
JP2007198092A 2007-07-30 2007-07-30 防水構造体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5034747B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007198092A JP5034747B2 (ja) 2007-07-30 2007-07-30 防水構造体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007198092A JP5034747B2 (ja) 2007-07-30 2007-07-30 防水構造体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009029090A true JP2009029090A (ja) 2009-02-12
JP5034747B2 JP5034747B2 (ja) 2012-09-26

Family

ID=40400133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007198092A Expired - Fee Related JP5034747B2 (ja) 2007-07-30 2007-07-30 防水構造体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5034747B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100958884B1 (ko) * 2009-10-08 2010-05-20 한폴 주식회사 부틸합성고무 조성물을 이용한 방수공법.
KR101035095B1 (ko) 2011-03-10 2011-05-19 주식회사 동우 이앤씨 건축사사무소 미양생 및 습윤 면 시공이 가능한 무기 복합 폴리머 도료 바닥재 조성물 및 이를 이용한 바닥재 마감공법
KR101586980B1 (ko) * 2015-08-26 2016-01-19 주식회사 태일케미칼 아라미드섬유 혼입 폴리머모르타르와 세라믹우레탄 함유 표면보호재를 이용한 콘크리트 구조물의 보수 보강 공법
CN110423556A (zh) * 2019-08-16 2019-11-08 山西省交通规划勘察设计院有限公司 一种具有高抗剪强度的桥面防水粘接层及其使用方法
CN110436851A (zh) * 2019-08-16 2019-11-12 山西省交通规划勘察设计院有限公司 一种具有高抗剪强度的降噪微表处及其制备方法
CN110452552A (zh) * 2019-08-16 2019-11-15 山西省交通规划勘察设计院有限公司 一种具有高粘接强度的防滑磨耗层及其制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0790996A (ja) * 1993-09-28 1995-04-04 Dainippon Ink & Chem Inc 複合被覆構造体、土木建築物および複合被覆構造体施工法
JPH11106453A (ja) * 1997-10-03 1999-04-20 Denki Kagaku Kogyo Kk 硬化性樹脂組成物及びコンクリート用補修剤
JP2002114830A (ja) * 2000-10-05 2002-04-16 Toagosei Co Ltd 硬化性組成物

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0790996A (ja) * 1993-09-28 1995-04-04 Dainippon Ink & Chem Inc 複合被覆構造体、土木建築物および複合被覆構造体施工法
JPH11106453A (ja) * 1997-10-03 1999-04-20 Denki Kagaku Kogyo Kk 硬化性樹脂組成物及びコンクリート用補修剤
JP2002114830A (ja) * 2000-10-05 2002-04-16 Toagosei Co Ltd 硬化性組成物

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100958884B1 (ko) * 2009-10-08 2010-05-20 한폴 주식회사 부틸합성고무 조성물을 이용한 방수공법.
KR101035095B1 (ko) 2011-03-10 2011-05-19 주식회사 동우 이앤씨 건축사사무소 미양생 및 습윤 면 시공이 가능한 무기 복합 폴리머 도료 바닥재 조성물 및 이를 이용한 바닥재 마감공법
KR101586980B1 (ko) * 2015-08-26 2016-01-19 주식회사 태일케미칼 아라미드섬유 혼입 폴리머모르타르와 세라믹우레탄 함유 표면보호재를 이용한 콘크리트 구조물의 보수 보강 공법
CN110423556A (zh) * 2019-08-16 2019-11-08 山西省交通规划勘察设计院有限公司 一种具有高抗剪强度的桥面防水粘接层及其使用方法
CN110436851A (zh) * 2019-08-16 2019-11-12 山西省交通规划勘察设计院有限公司 一种具有高抗剪强度的降噪微表处及其制备方法
CN110452552A (zh) * 2019-08-16 2019-11-15 山西省交通规划勘察设计院有限公司 一种具有高粘接强度的防滑磨耗层及其制备方法
CN110423556B (zh) * 2019-08-16 2021-03-12 山西省交通规划勘察设计院有限公司 一种具有高抗剪强度的桥面防水粘接层及其使用方法
CN110452552B (zh) * 2019-08-16 2021-05-11 山西省交通规划勘察设计院有限公司 一种具有高粘接强度的防滑磨耗层及其制备方法
CN110436851B (zh) * 2019-08-16 2021-07-20 山西省交通规划勘察设计院有限公司 一种具有高抗剪强度的降噪微表处及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5034747B2 (ja) 2012-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9969836B2 (en) Radical-polymerizable resin composition, curing method thereof, method of producing same, use of radical-polymerizable resin composition, and use method of thereof
JP7111430B2 (ja) ラジカル重合性樹脂組成物
JP5034747B2 (ja) 防水構造体及びその製造方法
JP4973965B2 (ja) ウレタン(メタ)アクリレート樹脂組成物及びそれを用いた被覆材
TWI754078B (zh) 自由基聚合性樹脂組成物及構造物修復材料
JP2018025045A (ja) 防水積層構造及びその製造方法
JPWO2011048970A1 (ja) ラジカル硬化性樹脂組成物、それを用いた舗装材、及び舗装構造体
JP2015229683A (ja) シラップ組成物、シラップ配合組成物、および積層体とその製造方法
JP2004018621A (ja) ラジカル硬化性ウレタン樹脂組成物
JP3673878B2 (ja) 床版防水材料、床版防水舗装構造体及び床版施工方法
WO2020066363A1 (ja) 構造物の補修方法
JP2020169437A (ja) 構造物の表面被覆工法
JP4314838B2 (ja) 硬化性接着剤及びそれを用いた接着方法
JP3244077B2 (ja) ビニルエステル樹脂組成物
JPH03261547A (ja) 複合被覆構造体、土木建築物及び複合被覆構造体施工法
JP2003253076A (ja) 土木建築用常温硬化型液状組成物、その硬化物、樹脂モルタル及び構造物
JP3446261B2 (ja) 複合被覆構造体、土木建築物および複合被覆構造体施工法
KR102510779B1 (ko) 섬유가 함유된 연질형 폴리우레탄을 이용한 복합방수 시공공법
JPH05230423A (ja) 接着剤組成物およびアスファルト複合被覆構造体
JPH09157336A (ja) 樹脂組成物、基材含浸材及び被覆材
JP2510615B2 (ja) 通気性防水層
JPH08269432A (ja) 凍結抑止材組成物、凍結抑止舗装構造体及びその施工方法
WO2003066772A1 (fr) Adhesif durcissable et procede de liaison utilisant celui-ci

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110913

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120605

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120618

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150713

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees