JPH11262389A - 肺胞界面活性タンパク質及び関連ポリペプチド - Google Patents

肺胞界面活性タンパク質及び関連ポリペプチド

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JPH11262389A
JPH11262389A JP11027917A JP2791799A JPH11262389A JP H11262389 A JPH11262389 A JP H11262389A JP 11027917 A JP11027917 A JP 11027917A JP 2791799 A JP2791799 A JP 2791799A JP H11262389 A JPH11262389 A JP H11262389A
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amino acid
protein
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surfactant
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Charles G Cochrane
チャールズ ジー コックラーン
Susan D Revak
スーザン ディ レーヴァック
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成肺胞界面活性物質において有用なSP1
8モノマー関連ポリペプチドを提供すること。 【解決手段】 実質的に純粋なヒトSP18モノマータ
ンパク質、それを含有し合成肺胞界面活性物質を形成す
る組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】(関連出願)本出願は、ここで参考として
引用する、1988年1月6日に出願された“肺胞界面
活性タンパク質及び関連ポリペプチド”と題する出願番
号141,200の一部継続出願である。 (技術分野)本発明は合成肺胞界面活性物質において有
用なSP18モノマー関連ポリペプチドに関する。また
本発明はヒトSP18モノマータンパク質をコードする
構造遺伝子を含む組換え核酸分子及び核組換え分子を用
いたヒトSP18モノマーの生産に関する。 (背景)肺胞界面活性物質(PS)は成熟したホ乳類の
肺胞上皮細胞に整列している。天然のPSは肺の気液界
面で相互作用し表面張力を減少させるアポタンパク質及
びリン脂質の両方を含むことから、“リポタンパク質複
合体”と呼ばれている。肺胞界面活性物質の発見及びそ
の欠陥が新生児の呼吸困難症(RDS)の第1原因であ
るという知見から、外来性のPSを用いた、障害をもつ
ヒト、特に幼児に対する効果的界面活性物質置換治療法
の開発に多くの研究がなされてきた。例えば、平均気道
圧及び酸素要求の低下により測定される肺機能の改善
が、ヒトの限界前の幼児において外来性界面活性物質を
用いて示された。ホールマン(Hallman)等,プディアト
リクス(Pediatrics),71,473−482(198
3);メリット(Merritt)等,ジャーナル・オブ・ヘデ
ィアトリスク(J. Pediatr)、108,741−745
(1986);ホールマン(Hallman)等,ジャーナル・
オブ・ベディアトリスク(J. Pediatr)、106,96
3−969(1985);モーリー(Morley)等,ラン
セット(Lancet),I,64−68(1981);メリ
ット(Merritt)等,ニューイングランド ジャーナル・
オブ・メディシン(New England J. Med.)315,78
5−790(1986);スミス(Smyth)等,ペディア
トリクス(Pediatrics),76,145−153(198
5);フジワラ(Fujiwara)等,ザ・ランセット(the
Lancet),,55−59(1980);ウォング(Kwon
g)等、ペディアトリクス(Pediatrics),76,585−
592(1985);シャピロ(Shapiro)等,ペディア
トリクス(Pediatrics),76,593−599(198
5);フジワラ(Fujiwara),“肺胞界面活性物質”ロ
バートソン(Robertson),B.,ファンゴルデ(van Go
lde),L. M. G., ベーテンバーグ(Batenberg),J,
(編),エルセビアサイエンス出版,アムステルダム,
479−503(1984)参照。
【0002】薬理学的見地から、RDSの治療に使用す
るのに最適の外来PSは、その性質の変化がバッチ間で
無視し得る、制御されかつ無菌的条件下、実験室で完全
合成されたものであろう。免疫学的複雑性を最小限にと
どめるため、外来PSのアポタンパク質成分は、ヒト中
に存在するものと同一であるべきである。不幸なこと
に、天然のPSの組成は複雑であり、かつ、本分野にお
いて肺において高い生理活性に必要とするされる生物物
理学的性質を生ずる全ての生化学成分が同定されている
わけではない。特に、本分野においては、天然PS中に
存在する全てのアポタンパク質を特徴づけてはおらず、
また現在知られているPSアポタンパク質の機能を同定
できていない。PSアポタンパク質及び界面機能におけ
るそれらの機能に関する文献は、多くの研究において不
均一なアポタンパク質調製物を用いていることから、複
雑で、一貫性がなく、またしばしば矛盾していることに
注意しなければならない。今日まで、本分野において、
天然のPS中に存在する種々のアポタンパク質の数は明
確とはなっていない。
【0003】本発明にとって、外来界面活性物質中の成
分としての低分子量(LMW)ヒトPS関連アポタンパ
ク質の使用が特に興味深い。生化学的手法を用いてヒト
PSLMWアポタンパク質を単離又は定義するいくつか
の研究が企てられてきた。例えばフィザカーリー(Phiz
ackerley)等,バイオケミカル ジャーナル(Biochem.
J.)183,731−736(1979),レバク(Re
vak)等,アメリカンレヴュー オブ・レスピレトリー・
デシーズ(Am. Rev. Resp. Dis.)134,1258−1
265(1986),スズキ(Suzuki)等,ヨーロピア
ン・ジャーナル・オブ・レスピレトリー,ディシーズ
(Eur. J. Respir, Dis,),69,335−345(1
986),タエウシュ(Taeusch)等,ペディアトリクス
(Pediatrics),77,572−581(1986),
ユ(Yu)等,バイオケミカルジャーナル(Biochem,
j,),236,85−89(1986),ウィセット
(Whitsett)等,ペディアトリック・リサーチ(Pediat
ric Res.) 20,460−467(1986),ウィセ
ット(Whitsett)等ペディアトリック リサーチ(Pedi
atric Res.) ,20,744−749(1986),タ
カハシ(Takahashi)等,バイオケム,バイオフィズ,リ
サーチ・コミュニケーション(Biochem. Biophys. Res.
Comm.)135,527−532(1986),スズキ
(Suzuki)等,エクスペリメンタル,ラング リサーチ
(Exp. Lung. Res.)11,61−73(1986),カ
ーステット(Curstedt)等,ヨーロピアン・ジャーナル
・オブ・バイオケミストリー(Eur. J. Biochem.)16
,255−262(1987),ノッター(Notter)
等,ケミストリー・アンド・フィジックス・オブリピッ
ズ(Chem. Phys. Lipids)44,1−17(1987)
及びフェルプス(Phelps)等,アメリカン・レヴュ・オ
ブ・レスピレトリー ディシーズ(Am. Rev. Respir,
Dis,)135,1112−1117(1987)参照。
【0004】最近、本分野においては、個々のLMWP
Sアポタンパク質を均一なまでに精製し得ないことに関
する問題を克服するために組換えDNA技術を応用しは
じめた。例えばグレーサー(Glasser)等(プロシーディ
ング・イン・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン
ス(Proc. Natl. Acad. Sci.)USA,84,4007
−4011(1987))はSPL(Phe)と命名した少
なくとも1個の成熟LMWアポタンパク質を生成するヒ
ト前駆体タンパク質の少なくとも一部を形成するcDN
A由来のアミノ配列を報告した。グレーサー(Glasser)
等は、SPL(Phe)のカルボキシ末端残基を決定し得
ず、従って完全な配列を同定し得なかったが、彼等は成
熟SPL(Phe)の約60個長のアミノ酸から成ることを
予測した。
【0005】ヤコブス(Jacobs)等(ジャーナル・オブ
・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol, Chem.),
262,9808−9811(1987))は、グレー
サー(Glasser)等(上述)により報告されているものと
同じ、ヒト前駆体タンパク質のcDNA及び誘導される
アミノ酸の配列を報告した。しかしヤコブス(Jacobs)
等によると、その前駆体から生成するPSP−Bと命名
した成熟LMWタンパク質は、76残基長のアミノ酸か
ら成る。さらに、ヤコブス(Jacobs)等は、報告した前
駆体タンパク質に由来するPSアポタンパク質が彼等が
臨床的に研究した界面活性調製物中に存在することが明
確ではないと述べている。以上のことから、明らかに同
じPSアポタンパク質に多くの名称が文献中で用いられ
ているのが見てとれる。それゆえ、議論の便宜上、グレ
ーサー(Glasser)等(上述)及びヤコブス(Jacobs)等
(上述)により報告されている前駆体由来の成熟タンパ
ク質を総称的に“SP18”と呼び、そのモノマー型及
びダイマー型を、適宜各々“SP18モノマー”及び
“SP18ダイマー”と呼ぶ。
【0006】イヌのSP18前駆体はホーグッド(Hawg
ood)等(プロシーディング・イン・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)U
SA,84,66−70(1987))及びシリング
(Schieling)等(国際特許出願WO86/0340
8))により報告された。しかし、両研究は、グレイサ
ー(Glasser)等(上述)及びヤコブス(Jacobs)等の研
究同様、SP18の成熟した生物学的活性型を明らかに
し得なかったことに注意すべきである。ワー(Warr)等
(プロシーディング・イン・ナショナル・アカデミー・
オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)USA,
84,7915−7919(1987))は、SP5と
命名する成熟LMWアポタンパク質を生成する前駆体を
形成する197残基のcDNA由来のアミノ酸配列を報
告した。SP18を説明するために企てた研究のよう
に、ワー(Warr)等はその前駆体タンパク質配列から生
成する成熟タンパク質のカルボキシ末端残基を決定し得
ず、従ってSP5を明確に特徴づけることはできなかっ
た。
【0007】ワー(Warr)等により報告された前駆体タ
ンパク質のアミノ酸残基配列は、グレーサー(Glasser)
等及びヤコブス(Jacobs)等により報告されたものと違
うため、本分野では天然PSは少なくとも2個のLMW
アポタンパク質を含んでいるとしているようである。し
かし、これらタンパク質の生物学的活性型は未決定のま
まである。
【0008】(要約)現在ヒトSP18はホモダイマー
・タンパク質(SP18ダイマー)であり、その成熟サ
ブユニットタンパク質(SP18モノマー)は、ドテシ
ル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(S
DS−PAGE)の測定によると約9000ダルトンの
見かけの分子量を有することが分っている。また、ヒト
SP18は、先に同定された肺胞界面活性物質の非存在
下、合成肺胞界面活性物質中の活性成分として機能し得
ることが発見された。さらに、成熟ヒトSP18モノマ
ータンパク質のカルボキシ末端アミノ酸残基配列が決定
され、従って現在はその天然型が発見されている。この
ように本発明は、実質的に単離した、又は実質的に純粋
なヒトSP18モノマーに関する。また本発明は基本的
にヒトSP18モノマータンパク質から成るDNAセグ
メントに関する。別の本発明の態様には、翻訳後のタン
パク質分解修正なしにヒトSP18モノマータンパク質
を発現しうる構造遺伝子と機能的に結合したベクターを
含む組換え核酸分子がある。
【0009】また本発明はヒトSP18モノマータンパ
ク質の調製法で、(a) 翻訳後のタンパク質分解修正な
しにヒトSP18モノマータンパク質を発現し得る構造
遺伝子に機能的に結合したベクターを含む組換えDNA
分子でトランスホームしたホ乳類細胞の培養を栄養培地
中で開始する。(b) 該細胞が該組換えDNA分子から
ヒトSP18モノマータンパク質を発現するのに十分な
時間、該培養を維持する、及び(c) 該培養物から該タ
ンパク質を回収する、以上(a) 〜(c) のステップを含む
方法に関する。さらに本発明は、配列がヒトSP18モ
ノマーのアミノ酸残基配列に対応する少なくとも10個
のアミノ酸残基で、かつせいぜい約60個のアミノ酸残
基を基本的に含むポリペプチドで、医薬的に許容し得る
リン脂質と混合した時に、該リン脂質単独の場合より高
い界面活性を有する合成界面活性物質を形成するポリペ
プチドに関する。
【0010】別の態様において、本発明はヒトSP18
モノマーのアミノ酸残基配列に対応する配列の少なくと
も10個のアミノ酸残基で、かつせいぜい約60個のア
ミノ酸残基を基本的に含むポリペプチドと混合した医薬
的に許容し得るリン脂質を含む合成肺胞界面活性物質に
関する。さらに本発明の態様には、配列が、ヒトSP1
8モノマーのアミノ酸残基配列に対応する少なくとも1
0個のアミノ酸残基で、かつせいぜい約60個のアミノ
酸残基を基本的に含むポリペプチドで、医薬的に許容し
得るリン脂質と混合した時、該リン脂質単独より高い界
面活性を有する合成界面活性物質を形成するポリペプチ
ドを、その効果的量混合した医薬的に許容し得るリン脂
質を含む、治療的に効果的な量の合成肺胞界面活性物質
を投与することを含む、呼吸困難症の治療法がある。本
発明の別の態様には、医薬的に許容し得るリン脂質と混
合した効果的量の、実質的に単離した、又は実質的に純
粋なヒトSP18モノマーを含む、治療に効果的な量の
合成肺胞界面活性物質を投与することを含む呼吸困難症
の治療法がある。
【0011】(図の簡単な説明)図1は、750ヌクレ
オチドのcDNA配列(上)及び推定されるアミノ酸残
基配列(下)を示している。各ヌクレオチド行の右側の
数字は各行の最後のヌクレオチドの位置を数字で表わし
たものである。ヌクレオチドは行当り15個のコドンに
まとめられており、各コドンによりコードされるアミノ
酸はそのコドンの下に三文字コードで示してある。この
cDNAによりコードされるアミノ酸残基配列中のいく
つかの残基の位置をその残基の下に数字で示す。成熟ヒ
トSP18モノマーのアミノ末端アミノ酸残基はPhe
(ヌクレオチド187−189でコードされる)であ
り、これを残基1と命名する。残基位置8へのカルボキ
シ末端アミノ酸残基はAsp (ヌクレオチド427−42
9でコードされている)である。それゆえ成熟SP18
モノマーをコードする構造遺伝子は81個のコドンを含
み、かつヌクレオチド187−429に対応するヌクレ
オチド配列を有する。図2は、バイオシル(Bio-Sil)H
A(ケイ酸)カラムからのPSアポタンパク質のタンパ
ク質溶出曲線を示している。選択したフラクションのピ
アスBCAタンパク質検定(実線)及びリン脂質分析
(破線)の結果を示している。フラクション当り2ミリ
リットル(ml)を採取した。フラクション28〜33に
おけるタンパク質検定のポジティブな結果はリン脂質に
よるものである。図3は低分子量(LMW)PSアポタ
ンパク質の銀染色SDS−PAGEを示している。レー
ンA及びDはケイ酸又はセファデックスLH−20クロ
マトグラフィー後のサンプルを示している。両LMWタ
ンパク質が存在する。レーンB,C,E及びFはセファ
デックスLH−60クロマトグラフィー後のSP18
(レーンB及びE)及びSP9(レーンC及びF)の分
画を示している。分子量標準をレーンGに示す。レーン
A−Cは未還元サンプルであり、レーンD−Fは電気泳
動前にβ−メルカプトエタノールで還元した同サンプル
を含んでいる。図4は100μlの食塩水(白丸)、2
mgリン脂質(PL)DPPC:PG=3:1(黒丸)、
PL+10μgSP9(白四角)、PL+10μgSP
18(黒四角)、又は2mg天然ヒト界面活性物質(黒三
角)の気管注入後30分におけるウサギ胎児肺の膨張収
縮圧力/体積曲線を示している。データは四匹の動物の
平均値±標準偏差で表わされている。図5は、食塩水
(A)、天然ヒト界面活性物質(B)、リン脂質DPP
C:PG(C)又はリン脂質+LMWアポタンパク質
(SP9+SP18)(D)による処理後のウサギ胎児
肺組織サンプル(×125倍、ヘマトキシリン−エオシ
ン染色)を示している。図6は、本発明の合成界面活性
物質を含む代表的ポリペプチドの界面活性を示してい
る。界面活性は、脈動バブル法を用いて気液間の圧力勾
配を測定することにより決定した。バブル表面における
圧力勾配は水圧(センチメートル)で記録される圧力の
絶対値である。各合成肺胞界面活性物質に対して得られ
た結果は界面活性物質中のポリペプチドと同じであっ
た。リン脂質単独の界面活性物質に対して得られた結果
(すなわちペプチド又はタンパク質を混合していない場
合)はPLと同じである。わずか8個のアミノ酸残基を
含み、かつヒトSP18モノマー残基74−81(p7
4−81)に対応する配列を有するコントロールペプチ
ドを用いた結果も示す。示されているデータは、15
秒、1分及び5分の時点に得たものである。図7は、先
にレバク(Revak)等(アメリカン・レヴュー・オブ・レ
スピレトリー・ディシーズ(Am. Rev. Respir. Di
s.),134,1258−1265(1986))によ
り報告されているウサギ胎児モデルを用いた本発明の代
表的界面活性物質の静的コンプライアンス実験の結果を
示している一連の2枚のグラフである。合成界面活性物
質又はコントロールを気管に注入後、静的コンプライア
ンス測定30分前にそのウサギを空気置換する。“X”
軸は水柱cmで表わした圧力を表わし、一方“Y”軸は体
重キログラム当りの容積(ml)を表わしている。左側の
グラフは膨張値を示し、右側グラフは収縮値を示してい
る。以下の界面活性物質のテスト結果を示してある。天
然の界面活性物質(中央に点を打った白四角)、7%p
52−81(SP18の残基52から81に対応するポ
リペプチド)を含むリン脂質(PL)(黒ダイヤモン
ド)、3%P52−81を含むPL(中央に白黒を打っ
た黒四角)、7%P36−81を含むPL(白ダイヤモ
ンド)、3%p66−81を含むPL(黒四角)、3%
p1−15を含むPL(白四角)及びPLコントロール
(黒三角)。図8は本発明の代表的合成界面活性物質の
静的コンプライアンス実験の結果を示す一連の2つのグ
ラフである。この操作は別の注入操作を用いたこと以外
図7で述べたように行った。“X”及び“Y”軸、及び
右及び左のグラフは図7に述べたものと同じである。以
下の界面活性物質のテスト結果を示す、天然界面活性物
質(中央に点を打った白四角)、10%p51−81を
含むリン脂質(PL)(黒ダイヤモンド)、10%p5
1−76を含むPL(黒四角)及びPL(黒三角)。
【0012】(本発明の詳細な説明) A.定義 (アミノ酸)ここで述べられているアミノ酸は天然のL
型のものである。標準的ポリペプチド命名法に従がい
(ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(J. Biol. Chem.)243,3557−59(196
9)、アミノ酸の略号は以下の対応表に示した。
【0013】
【0014】全てのアミノ酸残基配列は従来通り左から
右へ、アミノ末端からカルボキシ末端の方向で示される
一般式で表わされることに注意せよ。さらにアミノ酸残
基配列の始め又は終りのダッシュはアミノ末端及びカル
ボキシ末端の各々H及びOHなどの置換基への結合又
は、1個以上のアミノ酸残基配列への結合を示している
ことに注意せよ。さらにアミノ酸配列の右端にある斜線
(/)はその配列が次の行まで続くことを示しているこ
とにも注意しなければならない。
【0015】(ポリペプチド及びペプチド)ポリペプチ
ド及びペプチドは隣り合う残基のα−アミノ基とカルボ
キシル基の間のペプチド結合により互いに結合する一連
のせいぜい約60個のアミノ酸残基を示して同義的に用
いられる言葉である。 (タンパク質)タンパク質という言葉はポリペプチドと
同様に互いに結合する一連の約60個以上のアミノ酸残
基を意味する。 (ヌクレオチド)糖部分(ペントース)、リン酸及び窒
素ヘテロ塩基から成るDNA又はRNAの単量体ユニッ
ト。塩基はグリコシド炭素(ペントースの1′炭素)を
介して糖部分に結合しており、そして塩基及び糖の組合
せはヌクレオシドと呼ばれる。ヌクレオシドがそのペン
トースの3′又は5′位に結合したリン酸基を含む場
合、これをヌクレオチドと呼ぶ。
【0016】(塩基対(bp))二本鎖DNA分子中の
アデニン(A)とチミン(T)、又はシトシン(C)と
グアニン(G)の組合せ。 B.SP18モノマー含有組成物 本発明は、SP18モノマーが実質的に単離した形で又
は実質的に純粋形で存在するSP18モノマー含有組成
物(本タンパク質組成物)に関する。“単離した”とい
う言葉は、SP18モノマー及びSP18ダイマーが他
の肺胞界面活性タンパク質を含まない組成物の一部とし
て存在することを意味する。“実質的に純粋”という言
葉は、SP18モノマーが他の肺胞界面活性タンパク質
を含まない組成物の一部として存在し、かつSP18モ
ノマーの20パーセント以下、好ましくは10パーセン
ト以下、より好ましくは5パーセント以下がホモ二量体
型、すなわちSP18ダイマーの一部として存在するこ
とを意味する。
【0017】本発明のSP18モノマー含有組成物は、
ヒトSP18モノマーを含むことが好ましい。SP18
モノマー含有組成物は、図1に示す残基位置1から少な
くとも約75、好ましくは少なくとも約81までのアミ
ノ酸残基配列に対応するアミノ酸残基配列を有するSP
18モノマーを含むことがより好ましい。本発明のタン
パク質組成物の形成に用いるSP18モノマーはその配
列が図1に示されている残基位置1から81までの配列
に対応することがより好ましい。
【0018】本発明のSP18モノマー含有組成物にお
けるSP18モノマーのアミノ酸残基配列は天然のSP
18モノマーの配列に対応することが好ましい。しか
し、本発明のタンパク質組成物を形成するのに用いるS
P18モノマーは天然のSP18モノマーのアミノ酸残
基配列と同一である必要はないが、修飾が界面活性を破
壊しない限り本発明のポリペプチドに対し以下に述べる
ような種々の変化を受けうることを理解すべきである。
これらの修飾タンパク質は当分野でよく知られているよ
うに、例えばゲノムの部位指定突然変異誘発を介して生
成し得る。タンパク質又はポリペプチドの“界面活性”
とは、脂質と合せたとき、単独もしくは他のタンパク質
と組合せて、ロバートソン(Robertson)(ラング(Lun
g)、158、57−68(1980))のインビボ検
定法において活性を示す能力と定義される。この検定法
において、検定するサンプルは、気管を介して、帝王切
開により早産的に配給されるウサギ胎児又は子羊に投与
される。(これらの“プリーミー(Preemies)”はそれ
自体のPSを持たず、そのため通気により支えられてい
る。)肺コンプライアンス、血液ガス及びベンチレータ
ー圧の測定は活性の指標を提供する。また検定の予備評
価は例えばキング(King)等(アメリカンジャーナル・
オブ・フィジオロジー(Am, J, Physiol.)223、71
5−726(1972))の、又はタンパク質又はポリ
ペプチドをリン脂質と混合したときの気液界面における
表面張力測定を利用する以下に説明されるインビトロ検
定法で行なわれる。
【0019】C.核酸セグメント 生きた生物において、タンパク質又はポリペプチドのア
ミノ酸残基配列はそのタンパク質をコードする構造遺伝
子のデオキシリボ核酸(DNA)配列に遺伝子コードを
介して直接関係している。従って、構造遺伝子はアミノ
酸残基配列、すなわちそれがコードするタンパク質又は
ポリペプチドで定義し得る。遺伝子コードの重要で、か
つよく知られている特徴は縮退である。すなわち、タン
パク質を作るのに作用されるほとんどのアミノ酸につい
て、一個以上のコードヌクレオチドトリプレット(コド
ン)が1つの特定のアミノ酸残基をコード又は指定し得
る。それゆえ、多数のヌクレオチド配列が特定のアミノ
酸残基配列をコードし得る。このようなヌクレオチド配
列は、全ての生物において同じアミノ酸残基配列を生産
し得ることから機能的に等価と考えられる。ある場合に
は、プリン又はピリミジンのメチル化変異体を所定のヌ
クレオチド配列に組込み得る。しかし、いずれにしても
このようなメチル化は、そのコード関係に影響しない。
本発明のDNAセグメントは基本的にSP18、好まし
いヒトSP18モノマーをコードするDNA配列から成
ることを特徴としている。すなわち、本発明のDNAセ
グメントはSP18モノマーを発現し得る。構造遺伝子
を形成している。イントロンの存在のため、このDNA
セグメントのコドンはSP18モノマーのアミノ酸残基
配列と一致している必要はないが、核構造遺伝子は成熟
形の、すなわち翻訳後のタンパク質分解によるプロセッ
シングなしにSP18モノマーを発現し得ることが好ま
しい。該遺伝子は、核コドンがSP18モノマー中に存
在するアミノ酸をコードする、切断のない一連のコドン
として存在する、すなわちイントロンを含まない遺伝子
であることが好ましい。
【0020】従って、基本的に図1で示されているヌク
レオチド位置約187から約426まで、好ましくは約
429までの配列を含み、かつ、SP18モノマーを発
現し得るDNAセグメントは、本発明の好ましい態様の
1つを構成している。SP18モノマーをコードするD
NAセグメントは化学的手法、例えばマチューシ(Matt
euccci) 等のホスホトリエステル法(ジャーナル・オブ
・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J. Am. Chem.
Soc.)103、3185(1981))により容易に合
成し得る。もちろん、コード配列を化学的に合成するこ
とにより、望みどおりの修飾は、本来のアミノ酸残基配
列をコードする塩基の代りに適当な塩基を用いることに
より容易に行うことができる。また、本発明は、上記D
NAセグメントと等価なリボ核酸(RNA)にも関す
る。
【0021】D.組換え核酸分子 本発明の組換え核酸分子は、本発明の核酸セグメントに
機能的にベクターを結合することにより生成し得る。こ
こで用いられているように、“機能的に結合する”とい
う語句は、該核酸セグメントが、ベクターの制御下、該
セグメントにより形成される遺伝子が発現されるように
ベクターに結合していることを意味する。ここで用いら
れている“ベクター”という言葉は、細胞中で複製可能
で、かつ、他の核酸セグメントが複製し得るよう機能的
に結合し得る核酸分子を意味する。SP18モノマーを
コードする構造遺伝子の発現を指令し得るベクターは
“発現ベクター”と呼ばれる。従って、組換え核酸分子
(rDNA又はrRNA)は通常自然の中では一緒に発
現されない少なくとも2個のヌクレオチド配列を含むハ
イブリッド分子である。
【0022】本発明の核酸セグメントを機能的に結合さ
せるベクターの選択は、当分野でよく知られているよう
に、組換え核酸分子構築技術において本質的な制限とな
る、例えばタンパク質発現などの目的とする機能性及び
トランスホームする、宿主細胞に直接依存している。し
かし、本発明に関するベクターは、少なくとも複製を指
令し得、また好ましくはベクターに機能的に結合する核
酸セグメント中に含まれるSP18モノマー構造遺伝子
の発現をも指令し得る。好ましい態様において、本発明
に関するベクターは原核性レプリコン、すなわち細菌宿
主細胞等、そのベクターでトランスホームした原核性宿
主細胞中、染色体外でrDNA分子の自己複製及び保持
を指令し得る能力を有するDNA配列を含んでいる。こ
のようなレプリコンは当分野でよく知られている。さら
に、原核性レプリコンを含むこれらの態様は、それをト
ランスホームした細菌宿主に薬剤耐性を提供する遺伝子
を含んでいる。典型的な細菌の薬剤耐性遺伝子は、アン
ピシリン又はテトラサイクリンに対する耐性を提供する
ものである。原核性レプリコンを含むこれらのベクター
は大腸菌等、それをトランスホームした細菌宿主細胞中
でのSP18モノマー遺伝子発現を指令し得る(転写及
び翻訳)原核性プロモーターも含む。プロモーターとは
RNAポリメラーゼが結合し、転写を開始させるDNA
配列から形成される発現制御要素である。細菌宿主に適
合するプロモーター配列は、一般的に本発明のDNAセ
グメントの挿入に便利な制限部位を含むプラスミドベク
ター中に提供される。典型的ベクタープラスミドにはバ
イオラドラボラトリー社から入手し得るpUC8、pU
C9、pBR322及びpBR329及びファルマシア
社(N. J. ピスカタウェイ)から入手し得るpPL及び
pKK223がある。真核細胞、好ましくは脊椎動物細
胞に適合する発現ベクターも本発明のrDNA分子の形
成に使用し得る。真核細胞発現ベクターは当分野でよく
知られており、いくつかの業者から入手し得る。一般的
にこれらのベクターは目的とするDNAセグメントを挿
入するのに便利な制限部位を含むものが提供されてい
る。これらの典型的ベクターにはpSVL及びpKSV
−10(ファルマシア社)、pBPV−1/pML2d
(インターナショナルバイオテクノロジー社)及びpT
DT1(ATCC#31255)がある。
【0023】好ましい態様において、本発明のrDNA
分子の構築に使用される真核細胞発現ベクターは真核細
胞中で有効な選択マーカー、好ましくは薬剤耐性選択マ
ーカーを含んでいる。好ましい薬剤耐性マーカーは、ネ
オマイシン耐性を発現する遺伝子、すなわちネオマイシ
ンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子である。サウ
ザーン(Sowthern)等、ジャーナル・オブ・モレキュラ
ー・アンド・アプハイド・ジェネティクス(J. Mol. Ap
pl. Genet.)、、327−341(1982)。
【0024】本発明は、本発明の組換え核酸分子を形成
するためのレトロウィルス発現ベクターの使用にも関す
る。ここで用いている“レトロウィルス発現ベクター”
という語句はレトロウィルスゲノムのロングターミナル
リピート(LTR)由来のプロモーター配列を含む核酸
分子を意味する。好ましい態様において、この発現ベク
ターは真核細胞中で複製能をもたないレトロウィルス発
現ベクターである。レトロウィルスベクターの構築及び
使用法はソージ(Sovge)により報告されている(モレキ
ュラー・アンド・セルラーバイオロジー(Mol. Cell. B
iol.)、1730−37(1984)。相補的粘着末
端を介してベクターに核酸セグメントを機能的に結合さ
せるための多くの方法が開発されてきている。例えば、
相補的ホモポリマー領域を挿入する核酸セグメント及び
ベクター核酸の末端部分に付加することができる。それ
からこのベクター及び核酸セグメントを相補的ホモポリ
マー末端間の水素結合により結合して組換え核酸分子を
生成する。1個以上の制限部位を含む合成リンカーはベ
クターに核酸セグメントを結合させる別の方法を提供す
る。例えば、本発明のDNAセグメントを3′−5′エ
クソヌクレアーゼ活性で突出する3′一本鎖末端を除去
し、並びに、ポリメラーゼ活性で窪んでいる3′末端を
充填する酵素であるバクテリオファージT4DNAポリ
メラーゼ又は大腸菌DNAポリメラーゼで処理する。従
ってこれらの活性の組合せにより平滑末端DNAセグメ
ントが生成する。それから、この平滑末端セグメントを
バクテリオファージT4DNAリガーゼのような平滑末
端DNA分子のライゲーションを触媒し得る酵素の存在
下、大過剰量のリンカー分子とインキュベートする。従
って、この反応の産物は末端に多重合リンカー配列をも
つDNAセグメントである。これからこのDNAセグメ
ントを適当な制限酵素で切断し、これらのDNAセグメ
ントの末端に適合する末端を生成する酵素で切断した発
現ベクターにライゲーションする。種々の制限エンドヌ
クレアーゼ部位を含む合成リンカーは、インターナショ
ナルバイオテクノロジー社(CT.ニューヘブン)を含
む多くのメーカーから市販されている。また本発明は上
述の組換えDNA分子のRNA等価物に関する。
【0025】E.形質転換細胞及びその培養 また本発明は本発明の組換え核酸分子、好ましくは、S
P18モノマーを発現し得るrDNAでトランスホーム
した宿主細胞に関する。この宿主細胞は原核性でもよい
し、又真核性でもよい。“細胞”又は“形質転換宿主細
胞”又は“宿主細胞”は、前後関係から明らかなように
しばしば同義的に用いられる。これらの言葉は、直接処
理された細胞及びもちろんその子孫を含む。突然変異を
起こす機会及び環境の差から、全ての子孫が親細胞と全
く同一であるとは限らないことは理解される。しかし、
上述の言葉を用いたとき、このような修正を受けた細胞
も含まれている。細菌細胞は、原核性宿主細胞であるこ
とが好ましく、一般的には、例えばベセスダリサーチラ
ボラトリーズ社(MD、ベセスダ)から入手し得る大腸
菌DH5株等の大腸菌である。好ましい真核性宿主細胞
には、イースト及び好ましくはマウス、ラット、サル又
はヒトの繊維芽細胞系列などの脊椎細胞のようなホ乳類
細胞が含まれる。好ましい真核性宿主細胞にはCCL6
1としてATCCから入手し得るチャイニーズハムスタ
ー卵巣(CHO)細胞及びCRL1658としてATC
Cから入手し得るNIHスイスマウス胎児細胞NIH/
3T3が含まれる。
【0026】本発明の組換え核酸分子による適当な細胞
宿主のトランスホーメーションは、一般的に使用するベ
クターの種類に依存した従来法により行なう。原核性宿
主細胞のトランスホーメーションに関しては、例えばコ
ーエン(Cohen)等、プロシーディング・イン・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Aca
d. Sci.)USA、69、2110(1972)、及び
マニアチス(Maniatis))等、モレキュラークローニン
グ、ラボラトリーマニュアル、コールドスプリングハー
バーラボラトリー、コールドスプリングハーバー、NY
(1982)参照。レトロウィルスベクターを含む組換
え核酸分子による脊椎動物細胞のトランスホーメーショ
ンに関しては、例えば、ソージ(Sorge)等、モレキュラ
ー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol. Cell. Bio
l.)、1730−37(1984)、グラハム(Grah
am)等、ヴィロロジー(Virol.)52、456(197
3)、及びウィグラー(Wigler)等、プロシーディング
・イン・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
(Proc. Natl. Acad. Sci.)USA、76、1373−
76(1976)参照。
【0027】うまく形質転換(トランスホーム)した細
胞、すなわち、本発明の組換え核酸分子を含む細胞は、
よく知られている手法で同定し得る。例えば本発明のr
DNAの導入から生成した細胞はクローン化して、モノ
クローナルコロニーを生成し得る。これらのコロニーに
由来する細胞を収穫し、溶菌後、そのDNA含有物をサ
ウザーン(Southern)(ジャーナル・オブ・モレキュラ
ー・バイオロジー(J.Mol. Biol.)98、503(19
75))又はベレント(Berent)等(バイオテクノロジ
ー(Biotech)、、208(1985))により報告さ
れているような方法を用いrDNAの存在を試験した。
rDNA存在の直接検定に加え、トランスホーメーショ
ンの成功は、そのrDNAがSP18モノマーの発現を
指令し得る場合、従来の免疫学的方法によっても確認し
得る。例えば、本発明のDNAセグメントを機能的に結
合した発現ベクターでうまくトランスホームした細胞は
SP18モノマー抗原性を示すタンパク質を生産する。
従って、形質転換細胞を含む細胞培養物サンプルを収穫
し、その抗原に特異的な抗体を用いヒトSP18を検定
する。このような抗体の生産法及び使用法は、当分野で
よく知られている。
【0028】このように、形質転換宿主細胞自身に加え
て、本発明は栄養培地中のこれら細胞の培養物、好まし
くはモノクローナル(クローン的に均一な)培養物、又
はモノクローナル培養物由来の培養物にも関する。この
培養物はSP18モノマー抗原性を示すタンパク質、よ
り好ましくは生物学的に活性なSP18モノマーを含む
ことが望ましい。形質転換宿主細胞の培養に有用な栄養
培地は当分野でよく知られており、またいくつかのメー
カーから入手し得る。宿主細胞がホ乳類である態様にお
いては、“無血清培地”を用いることが望ましい。 F.SP18生産を目的とした組換え法 本発明の別の特徴には、SP18、好ましくはヒトSP
18モノマーの生産法がある。この方法はSP18モノ
マーを発現し得る本発明のrDNA分子でトランスホー
ムした宿主細胞、好ましくはヒト細胞を含有する栄養培
地の培養を開始することを必要とする。この培養を形質
転換細胞がSP18モノマーを発現するのに十分な時間
維持する。その後発現したタンパク質を培養物から回収
する。
【0029】培養物から発現タンパク質を回収する方法
は当分野でよく知られており、それは、従来の生化学的
手法を用いたその培養物のタンパク質含有部分の分画を
含んでいる。例えば、タンパク質の分画によく知られて
いるゲル濾過、ゲルクロマトグラフィー、超遠心、電気
泳動、イオン交換、アフィニティクロマトグラフィーな
どの方法を使用してその培養物中に存在する発現タンパ
ク質を単離し得る。さらに、免疫アフィニティー、免疫
吸着などの免疫化学的方法も、従来法を用いて行うこと
ができる。
【0030】また本発明はここで述べた組換え核酸法を
用いて生産したSP18モノマーに関する。 G.ポリペプチド 本発明のポリペプチド(本ポリペプチド)は、そのアミ
ノ酸残基配列及び新しい機能に特徴をもつ。本ポリペプ
チドを医薬的に許容し得るリン脂質と混合した時、その
リン脂質単独の界面活性より大きい界面活性を有する合
成肺胞界面活性物質が生成する(図6で示されるように
より低いΔP値及び、図7及び図8に示されるように所
定の圧力当りより大きい容積値で示される)。
【0031】図1から分るように、SP18は大きい疎
水性領域(残基1〜約75)と、それにつづくカルボキ
シ末端の比較的短かい親水性領域(残基76〜80又は
81)を有している。SP18配列のアミノ酸残基番号
に関しては図1に示されているとおりである。ある態様
において、本ポリペプチドは基本的にSP18モノマー
の配列に対応する、少なくとも約10個、好ましくは少
なくとも11個のアミノ酸残基で、かつせいぜい約60
個、一般的には約35個以下、好ましくは約25個以下
のアミノ酸残基より成る。一般に、本発明のポリペプチ
ドのアミノ酸配列は、SP18の線型配列中で単一グル
ープの連続する残基に対応している。しかし、本発明
は、SP18の1個以上の領域に対応するポリペプチド
にも関する。通常、SP18の疎水性領域の少なくとも
10個、好ましくは少なくとも15個の連続する残基に
対応する少なくとも1個の配列が本ペプチドに存在す
る。多くの疎水性領域アミノ酸配列も存在し得る。
【0032】本ポリペプチドは残基80を含むSP18
の線型配列中の少なくとも5個の連続する残基をカルボ
キシ末端配列として含むことが好ましい。従って、本発
明のポリペプチドはSP18の一部に対応する1個以上
のアミノ酸残基グループを含み、その結果SP18モノ
マーの連続する残基の最初のグループに対応する配列が
そのポリペプチド配列中のSP18モノマーの同じ部分
又は別の部分に由来する連続する残基の第2のグループ
に対応する配列に隣接することになる。また本発明は、
SP18の線型配列由来の連続するアミノ酸残基の単一
グループに対応する2個以上の配列を有するポリペプチ
ドに関する。アミノ酸残基配列が、ヒトSP18疎水性
領域に対応する代表的ポリペプチドを表1に示す。
【0033】
【表1】 表1 名 称1 アミノ酸残基配列 p1 −15 FPIPLPYCWLCRALI p11−25 CRALIKRIQAMIPKG p21−35 MIPKGALAVAVAQVC p31−45 VAQVCRVVPLVAGGI p41−55 VAGGICQCLAERYSV p46−76 CQCLAERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLR p51−65 ERYSVILLDTLLGRM p51−72 ERYSVILLDTLLGRMLPQLVCR p51−76 ERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLR p54−72 SVILLDTLLGRMLPQLVCR p54−76 SVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLR p61−75 LLGRMLPQLVCRLVL ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0034】1.各ポリペプチドの名称は、そのポリペ
プチド配列が対応する、図1に示されているヒトSP1
8モノマーのアミノ酸残基配列の部分を示している。す
なわち、それは、そのタンパク質配列中のポリペプチド
配列の位置を示している。好ましい態様において、本発
明のポリペプチドは、一般式: −RLVLRCSMDDz (式中、Zは0又は1の値をもつ整数で、Zが0のとき
そのサブスクリプトがついているD残基は存在せず、Z
が1のとき、サブスクリプトがついているD残基は存在
する)で表わされるカルボキシ末端アミノ酸残基配列を
有することを特徴とする。代表的な好ましい“カルボキ
シ末端ポリペプチド”を表2に示す。
【0035】
【表2】 表2 名 称1 アミノ酸残基配列 p71−81 CRLVLRCSMDD p66−81 LPQLVCRLVLRCSMDD p59−81 DTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMDD p52−81 RYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMDD p51−81 ERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMDD p51−80 ERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMD p36−81 RVVPLVAGGICQCLAERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMDD p32−81 AQVCRVVPLVAGGICQCLAERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMDD ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.名称は表1と同様である。
【0036】本ポリペプチドは図1に示した配列の一部
に対応するアミノ酸残基配列を有することが好ましい。
しかし、本発明のポリペプチドは本来のSP18モノマ
ーのアミノ酸残基配列と同一である必要はないことを理
解しなければならない。それゆえ、本発明のポリペプチ
ドは、その使用に際し特定の利点を提供する、保存的又
は非保存的な、挿入、欠失及び置換などの種々の変化を
受け得る。保存的置換とは1個のアミノ酸が別の生物学
的に類似するアミノ酸残基に置き換るものである。保存
的置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン又は
メチオニン等の1個の疎水性残基の別の疎水性残基への
置換、又はアルギニンとリジン間、グルタミン酸とアス
パラギン酸間、又はグルタミンとアスパラギン間などの
極性残基同志の置換を含む。また、“保存的置換”とい
う語句は、もしそのポリペプチドが必要とする結合活性
を示すならば、本来の未置換アミノ酸の代りに置換アミ
ノ酸を使用することも含む。
【0037】1つの好ましい態様においては、残基部位
71及び77のうちの少なくとも1つのシステイン
(C)残基の代りにセリン(S)残基が用いられる。こ
のセリン類似体は、残基71に置換を有するSP18モ
ノマーの残基51−76の配列又は、残基71及び77
にセリン置換をもつ残基51−81の配列に対応する配
列を有することが好ましい。本発明のポリペプチドが1
個以上の保存的又は非保存的置換が行なわれたため、本
来のSP18モノマーと同一ではない配列を持つ場合、
本発明のポリペプチドに簡便にラベル又は固体マトリク
ス又はキャリヤーを固定化し得る。“リンカー”を提供
する目的で別の残基を末端に付加する場合を除いて、通
常せいぜい約20パーセント(残基数)、より一般的に
はせいぜい10パーセント(残基数)のアミノ酸残基が
置換される。本発明のポリペプチドと使用し得るラベ
ル、固体マトリクス又はキャリヤーを以下に説明する。
【0038】通常、アミノ酸残基リンカーは、少なくと
も1個で、多いときは40個以上のアミノ酸残基からな
り、より一般的には本来のSP18モノマーのアミノ酸
残基配列に対応しない1個〜10個の残基からなる。リ
ンキングに用いられる典型的アミノ酸残基には、チロシ
ン、システイン、リジン、グルタミン酸及びアスパラギ
ン酸がある。さらに、本発明のポリペプチド配列は、ア
シル化などの末端NH2-アシル化、又はチオグリコール酸
アミド化、又はアンモニア、メチルアミン等による末端
カルボキシルアミド化による修飾配列により、天然の配
列と異なり得る。リンカーを介してキャリヤーと結合
し、当分野でキャリヤー・ハプテン結合体として知られ
ているものを形成したとき、本発明のポリペプチドは、
SPモノマーと免疫反応する抗体を誘導し得る。免疫学
的交叉反応性の確立された原則から見て、本発明は、表
1及び表2に示したポリペプチドの抗原的関連変異体に
関する。“抗原的関連変異体”とは表1又は表2のポリ
ペプチドの少なくとも6個のアミノ酸残基配列部分を含
み、かつ表1又は表2のポリペプチド及びSP18モノ
マーと免疫反応する抗体分子を誘導し得るポリペプチド
である。
【0039】別の態様において、本発明のポリペプチド
は、ゼロ以下、好ましくは−1又はそれ以下、より好ま
しくは−2又はそれ以下の混成疎水性を有するアミノ酸
残基配列を有する。ペプチドの混成疎水性値の測定は例
2で詳しく説明する。これらの疎水性ポリペプチドは、
SP18の疎水性領域の機能を果す。好ましい態様にお
いては、アミノ酸配列がSP18の疎水性及び親水性残
基を真似ている。好ましい疎水性ポリペプチドには、別
の疎水性及び親水性アミノ酸残基配列を有する配列を含
み、かつ一般式 (Za b c d で表わされる少なくとも10個のアミノ酸残基を有する
ことを特徴とするものがある。
【0040】Z及びUは、各場所においてZ及びUが独
立に選択されるアミノ酸残基である。Zは親水性アミノ
酸残基であり、R.D.E及びKからなる群から選ばれ
ることが望ましい。Uは疎水性アミノ酸残基であり、
V.I.L.C.Y及びFからなる群から選ばれること
が望ましい。“a”、“b”、“c”及び“d”は疎水
性又は親水性残基の数を示す数字である。“a”は約1
から約5、好ましくは約1から約3の平均値を持つ。
“b”は約3から約20、好ましくは約3かち約12、
最も好ましくは約3から約10の平均値を持つ。“c”
は1から10、好ましくは2から10、最も好ましくは
3から6の値を持つ。“d”は1から3、好ましくは1
から2の値を持つ。
【0041】Z及びUにより表わされるアミノ酸残基が
独立に選択されると記述したことは、各場所において、
特定のグループからの残基の選択されることを意味す
る。すなわち、例えば、“a”が2のとき、Zで表わさ
れる各疎水性残基は、独立に選択され、つまり、RR、
RD、RE、RK、DR、DD、DE、DK等を含み得
る。“a”及び“b”が平均値を持つと記述したこと
は、反復配列内の残基(Z a b )の数がそのペプチド
配列中でいくぶん変化し得るが、“a”及び“b”の平
均値は各々約1から約5及び約3から約20の値である
ことを意味している。上述の一般式の代表的な好ましい
ポリペプチドを表3に示す。
【0042】
【表3】 1.この名称は示されているアミノ酸残基配列の略号で
ある。
【0043】また、本発明は、10から60個のアミノ
酸残基からなる混成(Composite)ポリペプチドに関す
る。基本的に混成ポリペプチドはアミノ末端配列及びカ
ルボキシ末端配列からなる。アミノ末端配列は上述の一
般式で定義されるような本発明の疎水性領域ポリペプチ
ド又は疎水性ペプチドのアミノ酸配列を有する。カルボ
キシル末端配列は、カルボキシ末端ペプチドのアミノ酸
残基配列を有する。本発明のポリペプチドは、ポリペプ
チド分野で知られている手法により合成し得る。使用し
得る多くの手法の秀れた摘要書が出ている。固相ペプチ
ド合成に関しては、J.W.スチワード(Steward)及び
J.D.ヤング(Young)“固相ペプチド合成”W.H.
フリーマン社、サンフランシスコ、1969及びJ.メ
イエンホーファー(Meienhofer) “ホルモン性タンパク
質及びペプチド”2巻、46頁、アカデミックスプレス
(ニューヨーク)、1983、及び古典的液相合成に関
してはE.シュローダー(Schroder)及びK.クブケ
(Kubke)“ペプチド”1巻、アカデミックプレス(ニュ
ーヨーク)、1965参照。
【0044】一般に、これらの方法は、1個以上のアミ
ノ酸残基又は適当に保護したアミノ酸残基を成長するペ
プチド鎖に順次付加していくことを含む。通常、最初の
アミノ酸残基のアミノ基又はカルボキシル基は、適当
な、選択的に除去し得る保護基で保護しておく。リジン
のような反応性側鎖官能基を含むアミノ酸には、別の選
択的に除去し得る保護基を用いる。例として、固相合成
を用いる時、保護又は誘導アミノ酸を、その未保護カル
ボキシル基又はアミノ基を介して不活性固体サポートに
結合する。そのアミノ基又はカルボキシル基の保護基を
選択的に除去後、適当に保護した相補的(アミノ又はカ
ルボキシル)基を有する、配列中の次のアミノ酸を混合
し、固体サポートにすでに結合している残基とアミド結
合を形成するのに適した条件下で反応させる。それから
アミノ又はカルボキシル基の保護基を新しく付加したア
ミノ酸残基から除去し、同様に次のアミノ酸を付加して
いく。最終的に望ましいアミノ酸が正しい配列に結合さ
れ、残存する末端及び側鎖基の保護基(及び固体サポー
ト)を順次又は一度に除去し、最終的ポリペプチドが与
えられる。 H.合成界面活性物質 組換え的に生成したSP18及び、又は本ポリペプチド
は医薬的に許容し得るリン脂質と混合し、呼吸困難症の
治療に有用な合成肺胞界面活性物質を生成し得る。
【0045】“医薬的に許容し得る”という語句は、ヒ
トに投与したとき、アレルギー又は、同様の不都合な反
応を起こさない分子及び組成物に用いられる。タンパク
質と混合することにより合成肺胞界面活性剤を生成する
のに有用なリン脂質は当分野ではよく知られている。ノ
ッター(Notter)等、クリニカルペリナトロジー(Cli
n. Perinatology) 、14、433−79(1987)
(合成界面活性物質への天然及び合成リン脂質の使用に
関するレヴュー)参照。1つの態様において、本発明
は、医薬的に許容し得るリン脂質と混合した効果的な量
の本ポリペプチドを含む、RDSの治療に効果的な合成
肺胞界面活性物質に関する。所定のポリペプチド−リン
脂質の組合せに対する至適ポリペプチド:リン脂質重量
比の測定法はよく知られているが、治療に効果的な比
は、約1:5から約1:10,000、好ましくは約1:
100から約1:5000、及びより好ましくは約1:
500から約1:1000の範囲である。より好ましい
態様において、ポリペプチド:リン脂質重量比は約1:
5から約1:2000、好ましくは約1:7から約1:
1000及びより好ましくは約1:10から約1:10
0の範囲である。従って、本発明の合成肺胞界面活性物
質は約50、通常約80からほとんど100重量パーセ
ントの脂質及び約50、通常約20から1以下の重量パ
ーセントのポリペプチドを含み得る。本ポリペプチド
は、SP18配列の一部に対応するポリペプチドについ
ては界面活性物質の約1から約10重量パーセント、及
び全SP18モノマーに対応するポリペプチドについて
は1:100の割合で存在することが好ましい。
【0046】脂質部分は、不飽和ホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルグリセロール(PG)、トリアシル
グリセロール、パルミチン酸スフィンゴミエリン又はこ
れらの混合物と混合した、約50から約90、より好ま
しくは約50から約75重量パーセントのジパルミトイ
ルホスファチジルコリン(DPPC)であることが好ま
しい。合成肺胞界面活性物質は本ポリペプチド溶液をリ
ポソームサスペンジョンと混合する、又は、有機溶媒の
存在下、直接本ポリペプチド及び脂質を混合することに
より調製する。その後、溶媒は透析又は窒素雰囲気下、
及び、又は減圧下のエバポレーションにより除去する。
本合成肺胞界面活性物質は、例えば一般的に液体サスペ
ンジョン、乾燥粉末又はエアロゾルのように、気管内投
与用に調合するのが好ましい。例えば、合成界面活性剤
(ポリペプチド−脂質ミセル)を水、食塩水、デキスト
ロース、グリセリンなどの医薬的に許容し得る賦形剤と
液体状態で懸濁する。また、界面活性物質含有治療組成
物は、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどを含むpH
緩衝剤のような少量の非毒性補助物質を含み得る。粉末
状の合成界面活性物質を調製するためには、合成界面活
性物質をここで述べているように調製し、凍結乾燥して
から乾燥粉末として回収する。
【0047】もし、本合成界面活性物質をエアロゾルと
して使用する場合は界面活性物質及びプロペラントを一
緒にし、しっかり密封した形で供給される。投与される
界面活性物質は脂肪酸及びエステルである。しかし、本
発明の場合、界面活性物質複合物DPPC及びPGを成
分として用いることが好ましい。一般的に有用なプロペ
ラントは、室温におけるガスを圧縮したものである。ま
た低級アルカン及びフレオン等のフッ素化アルカンも使
用し得る。エアロゾルは適当なバルブを備えた容器にパ
ッケージし、その内容物は放出されるまで加圧下に維持
される。合成界面活性物はその投与型に応じ、気管チュ
ーブにより、又はエアロゾル投与により、又はサスペン
ジョン又は粉末のの吸入ガスへの噴霧により投与され
る。合成PS量は1回の投与に約1.0から約400mg/
kg、好ましくは約50mgから約500mg/kgの範囲で投
与される。新生児に対しては、一般に1〜3回の投与で
十分である。成人の場合は十分に再構成した複合体を投
与し、正常な範囲内のPO2 を生成させる(ホールマン
(Hallman)等、ジャーナル・オブ・クリニカル・インベ
スチゲーション(J. Clinical Investigation)、70
673−682、1982)。
【0048】以下の例は本発明を説明するためのもので
あり、これを制限するものではない。 (例.) (例1)天然SP18の単離及び特性化 A.方法 (LMWアポタンパク質の精製)ヒト肺胞界面活性物質
を全期半膜液から単離し、レバク(Revak)等(アメリカ
ンレヴューオブレスピラトリーデシーズ(Am. Rev. Res
pir. Dis.)、134、1258−1265(198
6))及びホールマン(Hallman)等(ペディアトリクス
(Pediatrics)、71、473−483(1983))
により報告されている、1%n−オクチル−β−D−グ
ルコピラノシドを含むトリス−EDTAバッファ中、2
00ミリグラム(mg)界面活性物質当り4ミリリットル
(ml)充填容積のDEAE−セファセルA−50(ファ
ルマシア、アプサラ、スウェーデン)カラムにかけた。
この特定のカラム及び条件は、激しい変性を起こす有機
溶媒にさらすことなく35000ダルトンのアポタンパ
ク質(他の実験に使用する)を単離するために使用し
た。この条件下でカラムに結合しない脂質及びタンパク
質を含むボイドボリュームフラクションを回収し、等容
量の2:1クロロホルム:メタノールで抽出した。
【0049】相分離を行なう遠心後、上層を(水+メタ
ノール)1/2 容積のクロロホルムで再抽出した。遠心
後、生じた下の有機相に最初の下層を加え、窒素気流中
乾燥するまでエバポレートした。100〜180mgのリ
ン脂質、LMWアポタンパク質及びオクチルグルコピラ
ノシドを含むこの抽出物を2.5mlのクロロホルム:メタ
ノール(2:1)に再び溶解した。LMWタンパク質及
びリン脂質からオクチルグルコピラノシドをうまく分離
できることが分っているタカハシ(Takahashi)等(バイ
オケム.バイオフィズ.リサーチ.コミュニケーション
(Biochem. Biophys Res. comm.)135、527−53
2(1986)の方法に従がい、直径2.5 cmのガラスカ
ラムに4℃で、2:1クロロホルム:メタノール溶液
中、38cmの高さとなるようセファデックスLH−20
を充填した。
【0050】クロロホルム:メタノール(2:1)溶液
とした2mlのフラクションをカラムに乗せ、8.5ml/h
の流速で溶出した。40mlバッファをカラムに流した
後、リン脂質が溶出してきた。オクチルグリコピラノシ
ドは56〜116ml領域に現れた。リン脂質領域を回収
し、窒素雰囲気下で乾燥後、1mlのクロロホルムに溶解
した。室温でガラスカラムにクロロホルム中9mlのバイ
オシル(Bio-Sil)HA(バイオラド社、リッチモンド、
CA州)を充填しケイ酸カラムを作製した。サンプル
(およそ50mlのリン脂質を含む)をカラムに乗せ、1
1mlのクロロホルムで洗浄した。オンラインモデル12
0AHPLCを用い、等重量のクロロホルム及びメタノ
ール(38.8g)(26.5mlクロロホルム及び50mlメ
タノール)を使用してメタノールの直線濃度勾配を作
り、これで溶出した。勾配をカラムにかけつつ各2mlの
フラクションを採取した。図1は得られたタンパク質及
びリン脂質の溶出曲線を示している。リン脂質分析はフ
ラクション17−20に小さなピーク及びフラクション
30に大きなピークを示した。ピアスBCAタンパク質
検定はフラクション12−19及び28−33がポジテ
ィブであったが、後者のピークはこの領域に存在するリ
ン脂質によるものであるらしいことに注意せよ。ドデシ
ル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動はS
P9及びSP18の間にいくらか離れて生ずるフラクシ
ョン13〜19に存在するLMWアポタンパク質を示し
た。別に、ホーグッド(Hawgood)等により考案された方
法(プロシーディング・イン・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)USA
85、66−70(1987)は、PSのブタノール抽
出及びそれにつづく酸性クロロホルム/メタノールバッ
ファ中のセファデックスLH−20クロマトグラフィー
を用いており、LMWアポタンパク質の単離に使用し得
る。さらにいくつかの実験のため、2個のLMWアポタ
ンパク質の分離をセファデックスLH−60を用いて行
った。1cm径のガラスカラムに、5%0.1N HCl を含む
クロロホルム/メタノール(1:1)中のセファデック
スLH−60(ファルマシァ社、アプサラ、スウェーデ
ン)を40cm充填した。流速は1〜2ml/hを使用し
た。0.5mlバッファ中の、バイオシル(Bio-Sil)HAカ
ラム又はホーグッド(Hawgood)等の報告したLH−20
カラム由来の約200〜700マイクログラムのタンパ
ク質を含むLMWアポタンパク質混合物をカラム上端に
乗せ、0.5ml毎のフラクションを回収した。一般的にS
P18タンパク質はフラクション16〜19に、そして
SP9はフラクション24−29に溶出した。適当なフ
ラクションを集め、窒素雰囲気下グラス中で乾燥した。
短時間の凍結乾燥でHCl の完全な除去が保証された。タ
ンパク質は使用前にメタノールに溶解した。
【0051】(SDSゲル電気泳動)16%ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動は、3×7cmミニスラブゲルを用
い、レムリ(Laemmli)(ネイチャー(Neture)、22
、680−685(1970))の方法に従がってド
デシル硫酸ナトリウムの存在下で行った(SDS・PA
GE)。サンプルには、ジスルフィド還元剤である1%
のβ−メルカプトエタノールを添加した電気泳動後、そ
のゲルを50%メタノール+12%酢酸中に一晩浸して
固定し、水で2時間洗浄後、レイ(Wray)等の方法(ア
ナリティカルバイオケミストリー(Anal. Biochem.)
18、197−203(1981))に従って銀染色し
た。 (オクチルグルコピラノシド検定)スピロ(Spiro)(メ
ソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods Enzymo
l.)、、3−5(1966))のアンスロン法に基づ
くn−オクチル−β−D−グルコピラノシドの定量法
は、レバク(Revak)等(アメリカンレヴュー・オブ・レ
スピラトリー・デシーズ(Am. Rev. Respir. Dis.)、
34、1258−1265(1986)により先に報告
されている。 (タンパク質測定)5μgまでのタンパク質を含む有機
サンプルを窒素雰囲気下で12×75mmガラス管中で乾
燥した。15マイクロリットル(μl)の1%SDS水
溶液及び300μlのBCAタンパク質検定試薬(ピア
スケミカル社、ロックフォード、IL州)を各ガラス管
のタンパク質に混合した。ガラス管にカバーをし、60
℃30分間インキュベートした。冷却後、サンプルを9
6穴平底ポリスチレン製マイクロプレートに移し、OD
550を測定した。標準試料としてウシ血清アルブミン
を用いた。脂質が存在するとき(すなわちバイオシル
(Bio-Sil)HAクロマトグラフィー前)いくらかのリン
脂質はこのBcA タンパク質検定で反応し、タンパク質定
量に誤差を生じさせることに注意せよ。一度精製してし
まえば、疎水性LMWアポタンパク質自体はBCA試薬
との反応性が低く、それ故単離タンパク質の全定量値は
アミノ酸組成物に基づくものとなる。
【0052】(リン脂質)ジパルミトイルホスファチジ
ルコリン(DPPC、β,γ−ジパルミトイル−L−α
−レシチン)及びL−α−ホスファチジル−DL−グリ
セロール(PG、卵レシチンの誘導体)は、カルバイオ
ケム−ベーリング(Calbiochem-Behring)(ラジョラ、
CA州)又はアバンチポーラ−リピッズ(Avanti Polar
-Lipids)(バーミンガム、AL州)から購入した。DP
PCはクロロホルム中のPGに重量比3:1の割合で添
加した。 (LMWアポタンパク質とリン脂質との混合)インビト
ロ検定用に、12×75mmガラス管中、4μgのSP9
又はSP18を含むメタノール溶液をクロロホルム中の
400μgDPPC:PGに添加した。簡単なボルテッ
クス攪拌後、サンプルをN2 雰囲気下で乾燥した。各々
のガラス管に90マイクロリットルの水を加え、周期的
に緩やかに攪拌しながら、37℃の水浴中で15分間イ
ンキュベートした。イオン強度は検定前に各サンプルに
10μlの9%NaClを加えて保持した。インビボのウサ
ギ実験用に、50μgのLMWアポタンパク質(SP9
及びSP18の両方を含む)、又は25μgSP9又は
25μgSP18をN2 雰囲気下で乾燥した。クロロホ
ルム中に5mgのリン脂質(DPPC:PG、3:1)を
加えた。サンプルを添加し、乾燥後、1.5mMCaCl2 を含
む100ミルモル濃度(mM) の食塩水250μl中に懸
濁して0.5〜1%タンパク質を含む20mg/mlの再構成
界面活性物質を生成した。 (界面活性検定)脈動バブルの表面張力を低める能力と
して検定する界面活性のインビトロ検定及びウサギ胎児
を用いたインビボ検定は両方共レバク(Revak)等(アメ
リカンレヴュー・オブ・レスピラトリーデシーズ(Am.
Rev. Respir. Dis.)、134、1258−1265(1
986))により先に詳細に報告されている。 (形態測定検定)水柱30cm圧で膨張させた後、水柱1
0cm圧で収縮させたウサギ胎児の肺を10%ホルマリン
に72時間浸した。パラフィンセクションの上下を正し
く配置し、前後に5ミクロン毎に切断した。ヘマトキシ
リン及びエオシン染色後、多くの断片について、上から
下へ10個の視野(100×)を計数した。各処理グル
ープの空洞体積に対する肺間隙組織の比を測定するため
標準化形態測定法(ウェイバー(Weiber) 、“立体学的
方法”1巻、アカデミックプレス版;ニューヨーク、p
33−58、1979)を用いた。肺胞周囲の交点も測
定した。
【0053】(リン脂質リン酸検定)リン脂質はバート
レット(Bartlett)の方法(ジャーナル・オブ・バイオ
ロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.) 、234
466−468(1959))に従がって定量した。 (アミノ酸分析)アミノ酸組成物に対し3個のサンプル
をHCl との110℃、24時間のインキュベーション、
HCl との150℃、24時間のインキュベーション、又
は過ギ酸との110℃、24時間のインキュベーション
とそれにつづく110℃、24時間のHCl とのインキュ
ベーションにより加水分解した。分析はベックマンモデ
ル121−Mアミノ酸分析機(ベッマンインスツルメン
ト社、フラートン、CA州)を用いた。トリプトファン
は測定しなかった。 (アミノ酸配列決定)蒸気相タンパク質配列決定はアプ
ライドバイオシステムズ470Aアミノ酸シークエンサ
ーを用いて行った(アプライド バイオシステムズ社、
フォスターシティ、CA州)を使用してメタノールの直
線濃度勾配を作成し、これで溶出を行った。
【0054】(ヒトSP18のcDNAクローンの単
離)新生物障害の外科的切除の際に得られた非罹患成人
肺組織サンプルからRNAをチャーグウィン(Chirgwi
n)等の方法(バイオケミストリー(Biochemistry)
、5294−5299(1979))に従がい調製し
た。二本鎖cDNAの調製は標準的手法を用いて行ない
(チャーグウィン(Chirgwin)等、上述及びエフストラ
チアジス(Efstratiadis)等“遺伝子工学”ステロー
(Stelow)及びホレンダー(Hollaender)編プレナムプ
レス版、ニューヨーク、、15−49(1979)、
またライブラリーは、レボク(Le Bouc)等の方法(F.
E.B.S.レターズ(Letters)、196、108−1
12(1986))に従がいラムダNM607で構築し
た。SP18クローンはアプライドバイオシステムズ社
の自動合成機を用いて合成し、かつHPLCで精製した
合成オリゴヌクレオチドプローブでファージプラークを
スクリーニングすることにより同定した(ベントン(Be
nton)等、サイエンス(Science)、196、180−1
82(1977)。最初のクローン候補は小さいヒト界
面活性アポタンパク質cDNAの部分的ヌクレオチド配
列に由来する(シリング(Schilling)等国際特許出願W
O86/03408)プローブTG996(5′CATTGC
CTGTGGTATGGCCTGCCTCC3′)を用いて得た。より大きい
クローン(1.5kbまで)は大元のクローンの1つの5′
側配列に基づくプローグTG1103(5′TCGAGCAGGA
TGACGGAGTAGCGCC 3′)を用いて単離した。cDNAク
ローンのヌクレオチド配列は適当なM13ベクターにサ
ブクローニングしたEco R1制限フラグメントを用いチェ
ーンターミネーション法(サンガー(Sanger)等、プロ
シーディング・イン・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)USA、74
5463−5467(1977))により決定した。
【0055】B.結果 (LMWアポタンパク質の特性)ヒト羊水から単離した
LMWアポタンパク質はケイ酸クロマトグラフィー又は
ホーグッド(Hawgood)等により報告されているセファデ
ックスLH−20カラムクロマトグラフィー(プロシー
ディング・イン・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)USA、85、66
−70(1987))の後、非還元条件下のSDSポリ
アクリルアミドゲル電気泳動において2個のタンパク質
バンドとして出現する。見かけの分子量18,000ダル
トンの上側バンドはダイマーであり、従ってSP18ダ
イマーと命名した。β−メルカプトエタノールの添加に
よりSP18ダイマーは還元されて9000ダルトンの
ものになり、これをSP18モノマーと命名した(図
3)。SP9と命名したもう1つのLMWアポエタンパ
ク質は還元剤の存在下又は非存在下、9及び12,000
ダルトンの間に分散した形のバンドとして出現する。S
P9はセファデックスLH−60のクロマトグラフィー
によりSP18ダイマー及びSP18モノマーと分離し
た。これらの精製タンパク質を図3に示す。
【0056】SP18モノマー及びSP9のアミノ酸組
成を測定した。これらタンパク質が極端に疎水性のた
め、HCl 加水分解は標準の110℃24時間の加水分解
に加え、さらに150℃で24時間行ない、そして、そ
の加水分解物の分析由来のバリン、ロイシン及びイソロ
イシンの計算値はこの激しい条件下で測定したものを使
用した。表3に示されているように、両タンパク質は高
密度にバリン及びロイシンを含む極端に疎水性のもので
ある。
【0057】
【表4】 表4 ヒトSP9及びSP18モノマーのアミノ酸組成 及びSP18の理論的組成との比較1 SP9 SP18 SP18 アミノ酸 (モル%) (モル%) (モル%)1 アスパラギン酸(又はアスパラギン) 1.1 3.4 3.7 スレオニン 0.8 1.5 1.2 セリン 1.8 2.7 2.5 グルタミン酸(又はグルタミン) 1.5 6.7 6.2 プロリン 8.3 7.8 7.4 グリシン 10.6 6.1 4.9 アラニン 4.9 10.2 9.9 システイン 2 9.1 7.2 8.6 バリン 3 12.2 11.7 11.1 メチオニン 3.4 3.2 3.7 イソロイシン 3 6.8 6.4 7.5 ロイシン 3 22.4 17.4 17.3 チロシン 0.7 2.2 2.5 フェニルアラニン 2.6 1.5 1.2 ヒスチジン 5.4 0.0 0.0 リジン 4.7 3.0 2.5 アルギニン 3.9 9.0 8.6 トップトファン N.D.4 N.D.4 1.2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0058】1.理論的組成は残基81までの配列デー
タに基づく。 2.システイン含量は過ギ酸及びHCl 加水分解後に測定
した。 3.イソロイシン及びロイシン含量は各々、24時間、
150℃のHCl 加水分解後に測定した。 4.トリプトファンは測定しなかった。 SP18モノマーのアミノ末端配列分析は以下の配列を
示した。 NH2-Pho-Pro-Ile-Pro-Leu-Pro-Tyr- 精製SP9モノマーの反復配列決定は、全てがロイシン
に富み、かつ少なくとも6個の保存的バリンを含む多重
ペプチドを示した。NH2 末端分析は、調製毎に各々異な
る量比でフェニルアラニン、グリシン及びイソロイシン
を示した。
【0059】(SP18cDNAのヌクレオチド配列分
析)SP18モノマーcDNAクローンのヌクレオチド
配列を図1に示す。この配列はイヌのSP18cDNA
と83%の相同性を有していた(ホーグッド(Hawgood)
等、プロシーディング・イン・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)US
A、85、66−70(1987)。大きい読み枠配列
中の配列は、単離したタンパク質のエドマン分解で測定
されたように、SP18モノマーのアミノ末端と完全に
一致するものが同定された(図3の下線部分)。このこ
とは成熟SP18モノマーが、より大きい前駆体分子の
プロセシングにより生ずることを意味している。成熟配
列においては、単一の強力なN−グリコシル化部位(As
nllo)は存在するが、チロシン硫酸化部位及び3500
0ダルトンアポタンパク質中にみられG−X−Y反復配
列(ホワイト(White)等、アドバーンスド ペディアト
リクス リサーチ(A. Pediatrics Research) 19、5
01−508(1985))は存在しない。
【0060】還元型SP18ダイマーのSDS−PAG
Eにより得られた9000ダルトンの分子量は、アミノ
末端にNH2-Pho-Pro-Ile-Pro-Leu-Pro-Tyr を持つ完全な
前駆体タンパク質配列に対して予想されていたもの(1
9772ダルトン) よりも低く、このことは、アミノ酸
70〜90個の範囲でさらにプロセシングされているこ
とを意味している。これに基づき、残基1から81を含
む推定上の9000ダルトンタンパク質の理論的アミノ
酸組成(表1)は、精製したSP18モノマーの測定値
とよく一致する。前駆体タンパク質のアミノ末端部分
(残基1−81)はアルカリ性でCOOH末端部分(残
基82−181)よりも疎水性が大きい。残基1−81
のカイト・ドゥーリトル指標は9100(pI8.6)
であり、また残基82−181の値は−3000(pI
5.91)である(カイト(Kyte)等、ジャーナル・オブ
・ペディアトリクス(J. Pediatrics)、100、619
−622(1982))。イヌの配列におけるのと同様
に(ホーグッド(Hawgood) 等、プロシーディング・イン
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.
Natl. Acad. Sci.)USA、85、66−70(198
7))アミノ末端(残基1−81)は三個の疎水性ドメ
インを含む(1〜11、22−49及び53−74)。
これらは、1個の荷電性ドメイン(残基12〜21)及
び2個の親水性かつ荷電性配列(残基47〜54及び7
2〜81)中に点在している。
【0061】(LMWアポタンパク質を用いた界面活性
の再構成)400μg/100μlのリン脂質(DPP
C:PG3:1(重量))、リン脂質+4μgSP9、
又はリン脂質+4μgSP18を含むサンプルを調製し
た。各サンプルを脈動バブルサーファクトメーターを用
い、表面張力を低める能力について検定した。その結果
を、15秒、1分(min)及び5分の時点における平均最
小表面張力として表4に示した。満期羊水から単離し、
4mg/mlに希釈した天然のヒト界面活性物質を比較とし
て示した。リン脂質も、LMWアポタンパク質も単独で
は有意な表面張力低下能を有していなかったが、リン脂
質とSP9又はSP18との混合物は有意な活性を示し
た。
【0062】1重量パーセントのSP18をリン脂質と
合わせると、等量の天然のヒト界面活性物質で得られる
値と同等のレベルにまで表面張力測定値を低下させた
(15秒間でリン脂質+SP18については6.3±0.2
dyne/cm、天然の界面活性物質については2.0±1.2dy
ne/cm)。等重量で比較するとSP9は表面張力の低下
を効果的に行なわなかった(15秒で16.7±0.8dyne
/cm)。
【0063】
【表5】 表5 脈動バブルにおける最小表面張力 15秒 1分 5分 PL2 42.9±1.4 41.6±1.6 34.9±4.9 PL+SP93 16.7±0.8 14.1±1.2 12.2±1.0 PL+SP183 6.3±0.2 5.1±1.0 4.9±0.6 天然ヒト界面活性物質4 2.0±1.2 2.4±1.4 0.4±0.4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0064】1.バブル形成から10秒後に20サイク
ル/分の脈動を開始した。全ての値はdyne・cm-1で表わ
され、それらは少なくとも3回の測定の平均値である。 2.リン脂質 DPPC:PC、3:1.4mg/ml 3.リン脂質と比較して1%(重量) 4.4mg/mlに希釈 外因性(合成)界面活性物質活性のインビボ検定は、Ca
単独又はリン脂質、リン脂質+LMWアポタンパク質、
又は天然ヒト界面活性物質を合せて含む食塩水を未熟胎
児ウサギの気道に注入することにより行った。この動物
に30分間通気してから吸引鐘中減圧下で脱気した。そ
の後肺に圧力を与えて膨張させ、各圧力で必要とされる
空気容積を記録した。水柱30cmの圧力からの収縮の際
の所定の圧力で必要とされる容積も同様に測定した。こ
の圧力/容積曲線を精製SP9又はSP18で作った合
成界面活性物質(全リン脂質濃度の0.5%(重量))を
与えた動物及び適当なコントロール動物について図4に
示した。天然の界面活性物質又は、食塩水又は、等重量
で比べてSP9より効果的であると思われるSP18を
含むリン脂質を与えた動物の比較から分るように各合成
界面活性物質で処理した動物においては、肺コンプリア
ンスの改善は明白である。SP9及びSP18の混合物
を用いて同様の実験を行った。この結果は、図4におけ
るリン脂質+SP18の曲線とほとんど同じであった。
【0065】コンプリアンス測定につづいて、その肺を
水柱30cmの圧力で膨張させ、ついで水柱10cmの圧力
で収縮させた後、固定して切断しホルマリン固定した。
この断片をヘマトキシリン及びエオシンで染色して顕微
鏡観察した。図5に示したように、食塩水(A)又はリ
ン脂質(C)で処理した肺は拡張不全であるが、天然の
界面活性物質(B)又は再構成した界面活性物質を投与
した動物の肺は正常な肺胞拡張を示した。薄い断片の形
態測定分析は、食塩水処理では、間質/空洞比が4.70
でありリン脂質単独では3.29であったのに対し、天然
の界面活性物質では0.498、再構成界面活性物質では
0.538となることを示した。これらのデータを表5に
示し、図5に見られるような空洞の有意な増加(P<0.
001、マン・ウィットニー(Mann-Whitney)Uテス
ト)と一致した。同様に肺胞周囲の比較は、界面活性物
質処理動物と比較して、食塩水又はリン脂質処理した胎
児における肺胞境界交点数に有意な増加(P<0.00
3)があることを示した。
【0066】
【表6】 表6 ウサギ胎児処理後の空洞の形態測定分析 気管注入物 間質/空洞 食塩水 4.70 リン脂質 1 3.29 リン脂質 1+LMWアポタンパク質 2 0.538 天然ヒト界面活性物質 3 0.498 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.動物当り2mgのDPPC:PG(3:1) 2.リン脂質を添加した20μgのLMWアポタンパク質 3.動物当り2mg C.討論 本実験は、既知のリン脂質に添加して生物学的に活性な
肺胞界面活性物質を作り得る、ヒト羊水界面活性物質か
ら単離した2個の低分子アポタンパク質について述べて
いる。本実験のタンパク質はSP18ダイマー、SP1
8モノマー及びSP9と命名したが、最近の文献から、
LMWPSアポタンパク質(5〜18,000ダルトンの
範囲)について多くの名称及び分子量の分類が存在する
ことは明白である。物理的性質の見かけの相違は、種の
相違、精製度の相違、及び取扱い技術の相違、SDSポ
リアクリルアミドゲルにおける標準物質に基づく低分子
量測定のバラツキ及びゲル中の低分子量タンパク質バン
ドの脂質による強力な妨害等を含む種々の因子によって
説明し得る。
【0067】アミノ酸組成及びアミノ酸配列の比較及び
特異的抗体を用いた免疫学的分析は、LMWアポタンパ
ク質の分類に役立つであろう。ここで述べられている、
還元又は非還元条件下で9〜12,000ダルトンの範囲
でSDSポリアクリルアミドゲル上に拡散したバンドを
示すSP9タンパク質はおそらくフィセット(Whitset
t)等のSAP−6(ペディアトリクスリサーチ(Pedia
trics Research)、20、744−749(198
6))、(ホーグッド(Hawgood)等のSP5−8(プロ
シーディング・イン・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)USA、85
66−70(1987)、フェルプス(Phelps)等のP
SP−6(アメリカン レヴュー オブ・レスピラトリ
ーデシーズ(Am. Rev. Respir. Dis.)、135、111
2−1117(1987))及びタカハシ(Takahashi)
等の5kDa の脂質タンパク質(バイオケム バイオフィ
ズ リサーチ コミュニケーション(Biochem. Biophy
s.Res. Comm.) 、135、527−532(1986)
と同じタンパク質であると思われる。このタンパク質の
極端な疎水性は、そのアミノ酸組成(表3)及びロイシ
ンリッチ領域に先行する少なくとも6個の保存的バリン
を示す配列データから明らかである。羊水界面活性物質
から誘導したSP9調製物中の3個のアミノ末端残基
(フェニルアラニン、グリシン及びイソロイシン)の存
在は、そのアミノ末端から1個又は2個の残基は欠けて
いるが、同一の配列を有する一群のペプチドを示してい
る。最近、フェルプス(Phelps)等は仔牛のPSP−6
アポタンパク質について同様の知見を報告している。
【0068】SP18ダイマーはジスルフィド結合して
いる2個の同一の9000ダルトンペプチド(SP9の
9000ダルトンペプチドとは異なる)から成る。SP
18モノマーのアミノ酸組成(表3)は、多数の疎水性
残基を示している。非還元SDS−PAGEにSP18
タンパクをオーバーロードしたとき、徐々に染色強度が
弱くなるバンドが36000及び56000ダルトンの
ところに見られる。このことは、タンパク質のオリゴマ
ー化を示している。還元条件では単一の9000ダルト
ンバンドのみが見られた。先に述べたように単離したS
P9及びSP18ダイマーは、リン脂質と組合せること
により生物学的活性をもつことが示された。リン脂質D
PPC:PGに対して1%(重量)のSP18の添加は
直ちに表面圧を増加し、15秒間で10dyne/cm以下に
表面張力を低下させた。DPPC:SPに対し1%のS
P9の添加はわずかに低い効果を示し、15秒、1分及
び5分間で各々16.7、14.1及び12.2dyne/cmに
まで表面張力を低下させた。SP18ダイマー及びSP
9の混合物も有効であったが、その合成効果が付加的な
ものか、相乗的なものかを決定するにはさらに実験する
ことを必要とする。ウサギ胎児モデルを用いた(シュナ
イダー(Schneider)等、ジャーナル・オブ・ペディアト
リクス(J. Pediatrics)、100、619−622、
(1982)を用いた再構成界面活性物質のインビボ実
験は、各タンパク質同様、SP18ダイマー及びSP9
の混合物についても行った。肺コンプリアンスの著しい
改善は、リン脂質単独又は食塩水を投与した動物と比較
して、天然の界面活性物質又は、SP18ダイマーアポ
タンパク質で調製した再構成界面活性物質で処理した動
物について見られた(図4)。SP9を用いたときは中
間の改善がみられた。再構成界面活性物質を調製するの
にSP18ダイマー及びSP9の混合物を用いた同様の
実験は、SP18ダイマーのみを用いたときの結果と同
様の結果を示した(図4黒四角)。しかし、この実験に
おけるSP18ダイマーとSP9の正確な比は確認し得
なかった。図5は界面活性物質注入後の拡張不全を含ま
ないことを示す肺胞の代表的顕微鏡視野を示している。
【0069】スズキ(Suzuki)等(ヨーロピアン・ジャ
ーナル・オブ・レスピラトリーデシーズ(Eur. J. Resp
ir. Dis.),69,336−345(1986))は、
ブタのLMW(<15,000ダルトン)界面活性物質ア
ポタンパク質をDPPC:PG混合物に、5:80:2
0(タンパク質:DPPC:PG)の重量比で添加した
ときの表面張力の減少(ウィルヘルムバランス又は脈動
バブルで測定)及び水柱25cmの通気圧における未成熟
ウサギの吸入容積の5倍の増加を報告した。このシステ
ム中に存在するタンパク質が1個なのか多数なのかは不
明である。また35000ダルトンのアポタンパク質を
用いた以前の実験は(レバク(Revak)等、アメリカン
レヴュー・オブ・レスピラトリーディシーズ(Am. Rev.
Respir, Dis.),134,1258−1265、19
86)は、先に述べた実験においてSP9を用いた場合
と同様に、表面張力の中程度の減少を示した。SP1
8、SP9及び35000ダルトンアポタンパク質、さ
らにはCa++及びおそらく種々のリン脂質をも含めて、こ
れらの種々の組合せ及び種々の濃度を用い、これら界面
活性物質の種々の成分間の相互作用を説明し、生物学的
活性を示す外的界面活性物質に最適な条件を決定するた
めの実験をしさらに行わなければならないことは明らか
である。
【0070】例2 ポリペプチドの界面活性のインビトロにおける評価 A.方法 (界面活性の測定)最小気泡半径時の気液界面の表面圧
の測定(水柱の高さ(cm)で示される負圧で表現され
る)は、エンホーニング(Enhorning)(ジャーナル・オ
ブ・アプライドフィジオロジー(J. Appl. physiol.)、
43、198−203、(1977))により報告され
ている脈動バブル法を用い、経時的に測定した。簡単に
言うと、エンホーニング・サーファクトメーター(Enho
rning Surfactometer )(サーファクトメーターインタ
ーナショナル、トロント、オンタリオ州)で、最大(0.
55mm)及び最小(0.4mm)径の間で、20サイクル/
min の速度で脈動する気泡の気液界面の圧力勾配(Δ
P)を測定する。37°の水で囲まれた20μlサンプ
ル室中で生成した気泡を顕微鏡で観察する一方、その圧
力変化を、0及び−2cm H2Oで校正したチャートレコー
ダーで記録した。 (混成疎水性値の測定)各ペプチドの混成疎水性値は、
ペプチド中の各アミノ酸残基に、ここで参考として引用
しているホップ(Hopp)等(プロシーディング・イン・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc. Na
tl. Acad. Sci.)USA,78,3824−3829
(1981))の表1に記述されている各親水性値を割
振ることにより決定した。所定のペプチドに対し、その
親水性値を加算し、その合計が混成疎水性値を表わして
いる。
【0071】(合成界面活性物質の調製)各ペプチドを
溶媒と混合した後、リン脂質(DPPC:PG)3:1
と合せて、以下に示す方法の1つに従がい合成界面活性
物質を作った。方法Aでは、まず400μgのリン脂質
を含むクロロホルム100μlと、16μlのペプチド
/溶媒混合物(40μgペプチド)を混合し、37℃で
約10分間その混合物を攪拌してペプチド/リン脂質混
合物を作った。窒素雰囲気下の乾燥により、そのペプチ
ド/リン脂質混合物からクロロホルムを除去した。この
ようにして生成した合成界面活性物質を90μlの H2O
と混合し、37℃で約10分間緩やかに攪拌した。つづ
いて、10μlの9%NaClを界面活性物質含有溶液に添
加した。方法Bでは、まずガラス管中に400μgのリ
ン脂質を含む100μlのクロロホルムを入れ、37℃
で約10分間、N2 下で乾燥することによりクロロホル
ムを除去した。ペプチド/溶媒混合物16μl及びH2O
74μlを、その乾燥リン脂質に混合し、37℃で約1
0分間緩やかに攪拌した。このようにして生成した合成
界面活性物質に10μlの9%NaClを混合した。
【0072】方法Cでは、まずポリペプチド−PL混合
物を43℃に10分間維持し、その後N2 下の乾燥によ
りその混合物からクロロホルムを除去した。必要な場合
は、さらにその混合物を減圧下で15分間乾燥し、乾燥
ポリペプチド−PL混合物を作った。それから4又は1
0mg/ml(表7に指示されている)の最終PL濃度を与
えるのに必要とされる体積の90%に等しいと計算され
る量の水を、各乾燥混合物に混合し、第2の混合物を作
った。この第2混合物を攪拌しながら43℃に1時間維
持した。つづいて望ましいPL濃度を与えるのに必要と
される体積の10%に等しい体積の6%NaClをその第2
混合物に混合し、この最終混合物を43℃に10分間維
持した。ほとんどの場合、この最終混合物は、3回の凍
結融解サイクルからなる最終ステップ操作を行った。 B.結果 表7に示されている合成界面活性物質は、表中に指示さ
れているように調製した。
【0073】
【表7】 表7 (2) (3) (1) リン脂質 混成疎ペプチド 溶 媒 生成混合物 混合法 水性値 n-プロピルアルコール サスペンジョン A −16.7 H2O 溶液 B + 1.7 クロロホルム サスペンジョン A − 9.2 H2O 溶液 B − 9.9 H2O 溶液 B − 5.4 H2O サスペンジョン B − 2.2 メタノール サスペンジョン A − 9.9 H2O サスペンジョン B + 3.9 H2O 溶液 B + 3.7 メタノール:H2O サスペンジョン A − 1.0 メタノール:H2O サスペンジョン A − 6.2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0074】(1) 各ポリペプチドは、溶媒μl当り2.5
μgペプチド濃度となるように指定の溶媒と混合した。 (2) 文字は、使用した合成界面活性物質調製法を示して
いる。 (3) 各ペプチドの混成疎水性値は、先に述べたように測
定したものである。 表6に示されている合成界面活性物質は、各々、先に述
べたエンホーニング(Enhorning)の“バブル検定法”を
用いインビトロで表面張力を減少させる能力により証明
される界面活性の検定を行った。図6に示されているよ
うに、本実験結果は、医薬的に許容し得るリン脂質と混
合した時、本ポリペプチドは、より低いΔP値により証
明されるように、リン脂質単独よりも、より大きい界面
活性を有する合成肺胞界面活性物質を生成する。一般的
に、ポリペプチドを用いると、10%〜80%より低い
ΔP値が得られる。本発明の範囲に従がわない8個のア
ミノ酸残基からなるコントロールペプチドp74−81
は、リン脂質単独の場合よりもより大きい活性を有する
合成PSを生成せず、このことは、アミノ酸残基長が重
要な性質であることを示していることに注意が必要であ
る。
【0075】本発明の別の代表的ポリペプチドの界面活
性も上述の“バブル検定法”を用いて測定した。この実
験結果を以下の表7に示す。各ポリペプチドを、溶媒ml
当り2.5mgポリペプチドの濃度となるように指示されて
いる溶媒と混合した。生じた混合物について、溶液又は
不溶性ポリペプチドのサスペンジョンのいずれが生成し
ているかを観察した。サスペンジョンを生成している混
合物についてはさらに10秒間の水浴超音波処理を行な
い。ガラスピペットを用いたピペッティングに適した微
細サスペンジョンにした。各ペプチドを溶媒と混合後、
ガラス管中で、クロロホルム中のリン脂質(PL)、D
PPC:PG、3:1と混合し、その結果添加したポリ
ペプチド量は、添加したPL量の10分の1(10%
(重量))となり、以下方法A.B又はCに従って合成
界面活性物質を生成した。
【0076】それから各合成界面活性物質について、先
に述べたバブル検定におけるインビトロでの表面張力の
減少能で証明される界面活性の検定を行った。圧力勾配
(ΔP)は先に述べたエンホーニングサーファクトメー
ターを用いて計測されるポリペプチド−PL最終混合物
の界面活性の尺度となる。測定値は15秒(15″)、
1分(1′)及び5分(5′)の時点で計測し、指示し
たポリペプチド−PL混合物の3回の独立した測定値の
平均値として示されている。PL単独(PL)及び天然
のヒト界面活性物質の同様なサンプルについての圧力勾
配測定値もコントロールとして計測した。本実験結果を
表8に示す。
【0077】
【表8】 表8 (1) (2) (3) 生 成 リン脂質 PL濃度ペプチド 溶 媒 混合物 混合法 mg/ml p1 -15 N-プロパノール サスペンジョン A 4 p36-81 50%クロロホルム サスペンジョン C+ 10 50%メタノール p44-80 68%クロロホルム 溶液 C− 105 32%メタノール p46-76 64%クロロホルム 溶液 C+ 10 36%メタノール p51-72 75%クロロホルム サスペンジョン C+ 10 25%メタノール p51-76 37%クロロホルム 溶液 C+ 10 63%メタノール p51-80 45%クロロホルム 溶液 C+ 10 55%メタノール p51-81 50%クロロホルム サスペンジョン C+ 10 50%メタノール p52-81 67%DMF 溶液 A 4 33%クロロホルム p54-72 76%クロロホルム サスペンジョン C+ 10 24%メタノール p54-76 71%クロロホルム サスペンジョン C+ 10 24%メタノール p59-80 32%クロロホルム サスペンジョン C− 105 68%メタノール p59-81 68%クロロホルム 溶液 C− 4 32%メタノール p64-80 48%クロロホルム 溶液 C− 105 52%メタノール p66-81 40%DMF サスペンジョン A 4 60%クロロホルム p74-81 水 溶液 B 4 DL4 47%クロロホルム 溶液 C− 4 (31mer) 53%メタノール RL4 32%クロロホルム 溶液 C− 4 68%メタノール RL8 19%クロロホルム サスペンジョン C+ 10 81%メタノール RRL7 49%クロロホルム 溶液 C− 4 51%メタノール RCL-1 79%クロロホルム サスペンジョン C+ 10 21%メタノール RCL-2 67%クロロホルム サスペンジョン C+ 10 33%メタノール RCL-3 75%クロロホルム サスペンジョン C+ 10 25%メタノール PL C+ 10 天然ヒト界面活性物質 10 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0078】 表8続き (4) 圧力勾配ペプチド 15″ 1′ 5′ p1 -15 0.94 0.82 0.48 p36-81 0.90 0.87 0.79 p44-80 0.77 0.64 0.24 p46-76 0.90 0.80 0.62 p51-72 1.15 0.76 0.33 p51-76 0.99 0.91 0.42 p51-80 0.92 0.89 0.48 p51-81 0.94 0.86 0.64 p52-81 1.33 1.19 0.96 p54-72 1.28 0.92 0.38 p54-76 0.92 0.82 0.23 p59-80 1.10 0.96 0.64 p59-81 1.08 1.02 0.75 p64-80 1.07 0.87 0.11 p66-81 1.22 1.11 0.84 p74-81 2.37 2.32 2.31 DL4 2.00 1.80 1.30 (31mer) RL4 0.58 0.65 0.33 RL8 0.68 0.69 0.19 RRL7 1.65 1.25 1.00 RCL-1 0.50 0.59 0.06 RCL-2 0.00 0.00 0.00 RCL-3 0.55 0.51 0.33 PL >2.50 >2.50 2.33 天然ヒト界面活性物質 1.06 0.89 0.79 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0079】(1) ペプチド、溶媒及びPLの当初の混合
物が溶液又はサスペンジョンのいずれであるかが示され
ている。 (2) 文字は、使用した合成界面活性物質調製法を示して
いる。“+”は、その最終混合物を、3回の凍結融解サ
イクルからなる最終ステップ操作を行ったことを示して
おり、“−”はその操作を行なわなかったことを示して
いる。 (3) 最終混合物のリン脂質(PL)濃度(“Conc”,)
は、混合物ミリリットル当りのPLミリグラム(mg/m
l)で表わされている。 (4) 圧力勾配は、例2で述べたエンホーニングサーファ
クトメーターを用いて計測したポリペプチド−PL最終
混合物の界面活性の尺度である。測定値は15秒(1
5″)、1分(1′)及び5分(5′)の時点で計測
し、指示されているポリペプチド−PL混合物の3回の
独立した測定値の平均値として表わされている。またP
L単独及び天然のヒト界面活性物質に関する同様のサン
プルについての圧力勾配測定値も示してある。 (5) これらの溶液は20mg/mlPL濃度となるように調
製し、テスト前に10mg/mlに希釈した。 これらの結果は、医薬的に許容し得るリン脂質と混合し
た場合、本ポリペプチドが所定の圧力当りより高い体積
で示されるように、リン脂質単独よりもより大きい界面
活性を有する合成肺胞界面活性物質を生成することを示
している。 例3 合成界面活性のインビボにおける評価
【0080】A.方法 (合成界面活性物質の調製)まず本ポリペプチドを例2
に述べたように溶媒と混合した。さらにこの混合物をリ
ン脂質(PL)と混合し、その結果添加したポリペプチ
ド量が以下に示されているように添加したPL量の3
%、7%又は10%(重量)となるようにした。最終的
ポリペプチド−PL混合物(合成界面活性物質)は、こ
の最終混合物が、最終混合物ml当り20mgリン脂質を含
むこと以外、例2の“合成界面活性物質の調製”セクシ
ョンに詳しく述べたように最終凍結融解ステップを用
い、方法Cに従って生成した。 (注入プロトコール1) (プロトコール):ウサギ胎児を、気管に例3Aで調製
した合成界面活性物質又は例1で述べたように調製した
天然界面活性物質(NS)2mg又は2mgのPLを含む0.
1mlの溶液を注入することにより処理した。 (プロトコール2):各成分を次に示す順序(1)0.0
5ml空気、(2) 0.1mlの例3Aで調製した合成界面活性
物質、又は2mlPL又は2mg天然界面活性物質を含む溶
液、(3) 0.1 mlの空気、で含む一本のシリンジからの気
管への注入により、合成界面活性物質をウサギ胎児に注
入する。 (プロトコール3):1つのシリンジから例3Aで述べ
たように調製した合成界面活性物質の0.1ml部分標本
(又は2mgNS又は2mgPL)を先に述べたようにウサ
ギの気管に注入し、つづいて第2のシリンジから0.05
mgのラクテートリンガーズ溶液及び0.2ml空気を注入し
た。 (プロトコール4):1つのシリンジから例3Aで述べ
たように調製した合成界面活性物質0.1ml、0.15ml空
気、0.1ml食塩水及び0.3ml空気を先に述べたように気
管に注入した。つづいて、0.3ml空気を2回注入した。 (プロトコール5):ウサギ胎児を、気管に、次に示す
注入順序(1)例3Aで調製した合成界面活性物質又は
4mg天然界面活性物質又は4mgPLを含む0.2ml溶液、
(2) 0.15ml空気、(3) 0.1ml生理食塩水及び(4) 0.3
ml空気、で4成分を含む1本のシリンジから、注入する
ことにより処理した。それから上述の注入を第1の注入
から15分後に繰り返した。 (プロトコール6):ウサギを、第1注入につづいて連
続して2回0.3mlの空気を注入し、かつ15分合成の第
2の注入を行なわないこと以外、プロトコール5で述べ
たのと同様に処理した。 (界面活性を研究するためのウサギ胎児モデル)本発明
の代表的ポリペプチドの界面活性を、以下に示す例外は
別に、先にレバク(Revak)等により詳細に報告されてい
る方法(アメリカン・レヴュー・オブ・レスピラトリー
・ディシーズ(Am. Rev. Respir. Dis.),134,12
58−1265(1986))に従がい測定した。
【0081】27日間妊娠ウサギ胎児を帝王切開により
取り出した後直ちに0.05mlノーキュロン(Norcuron)
(オルガノン社、NJ州)を注入し自然呼吸を防いだ。
その後、ウサギ胎児の体重を測定し、ついで小さなカニ
ュールを気管切開により気管内に挿入した。上述のよう
に調製した合成界面活性物質を、先の注入プロトコール
の1つを用いて、ウサギ胎児の肺に注入した。注入後そ
のウサギをベンチレーター(ベビーバード、ベビーバー
ド社、パームスプリング、CA州)に連結した特製のプ
レチスモグラフ(セレスコ伝達器を含む)に入れ、その
注入した肺を、ピーク吸入圧25cm H2O、最終排気圧4
cm H2O及び吸入時間0.5秒のサイクルを毎分30サイク
ルの速度で通気した。いくつかの実験においては、この
通気操作を通して種々の時点で動的コンプライアンス測
定を行った。他の場合には、通気後、静的・コンプライ
アンス測定を行った。
【0082】静止コンプライアンス測定は通気から30
分後に行った。この動物をベンチレーターから取り出
し、ついで、減圧下の吸引鐘中−20cm H2Oでその肺の
脱気を行った。その後、まず気管切開管に連結したT形
コネクターを介して肺を膨張させ、ついで収縮させた。
この膨張及び収縮相の間、5、10、15、20、25
及び30cm H2Oの静止圧に到達するのに必要な空気容積
を測定し、静的コンプライアンスの尺度として静止圧/
容積曲線を作った。プレチスモグラフを用い、60分の
通気時間を通して種々の時点の動的コンプライアンス測
定を行った。コンピュータによるデータ解析で各時点に
おける、体重キログラム当りcm H2O当りの空気容積mlで
表わされるコンプライアンスデータを作った。コンプラ
イアンスは以下の式で計算した。
【0083】コンプライアンス=ΔV/ΔP ΔPtp=(C-1)・(ΔV)+(R)・(F) Ptp=移動肺胞圧 C =圧力に対する弾性成分に関する体積変化) R=抵抗(圧力に対する流動に関する) F=流動 V=容積=時間に関する流動の積分値 上述の式は、C及びRに関する多重線型回帰で解ける。
コンプライアンス(C)は肺の弾性を表わしており、ま
た抵抗(R)は、肺に出入りする気体の流動に対する抵
抗に打勝つのに必要な圧力を表わしている。
【0084】B.結果 注入プロトコール1及び5を用いた静的コンプライアン
スデータを各々図7及び図8に示す。1つの例外を除い
て、リン脂質単独(PL)で処理した肺と比較して、天
然界面活性物質又はテストした合成界面活性物質で処理
した全ての肺で肺コンプリアンスの改善が見られた。p
1−15を用いて調製した合成界面活性物質(図7)
は、静的コンプライアンスで測定した場合、PL単独の
場合よりも改善された肺のコンプライアンスを示さなか
った。動的コンプリアンス実験の結果を表9に示す。
【0085】
【表9】 表 9 動的コンプライアンス 空気容積ml/cm H2 O×104 ───────────────── 体 重 g PLに対 するペプ 界面活性物質注入後の時間(分) チドの割合 10 20 30 40 PL 7 8 7 10 24 22 23 23 15 16 17 18 ──────────────────────────────────NS 265 251 168 186 418 388 405 288 155 176 172 ──────────────────────────────────p36−81 5% 255 5% 245 10% 154 10% 252 ──────────────────────────────────p44−80 10%1 27 87 138 207 10%1 20 23 35 59 ──────────────────────────────────p51−80 10%1 42 114 247 300 10%1 ──────────────────────────────────p52−81 5% 517 5% 434 10% 195 10% 43 ──────────────────────────────────p51−76 10% 33 22 56 87 10% 10 11 186 358 10% 15 36 109 241 ──────────────────────────────────p51−80 10% 17 41 52 78 10% 76 94 149 149 10% 23 71 130 156 10% 42 114 247 388 ──────────────────────────────────p59−80 10%1 24 34 68 107 10%1 55 111 190 300 ──────────────────────────────────p64−80 10%1 63 129 235 318
【0086】 表 9(続き) 動的コンプライアンス 空気容積ml/cm H2 O×104 ───────────────── 体 重 g 界面活性物質注入後の時間(分) サンプルを提供する 50 60 プロトコール#PL 11 15 4 22 20 4 21 29 4 ─────────────────────────────────NS 173 147* 4 237 * 4 172 179 4 ─────────────────────────────────p36−81 146* 3 291 3 1,162 2 623 2 ─────────────────────────────────p44−80 323 6 87 136 6 ─────────────────────────────────p51−80 6 6 ─────────────────────────────────p52−81 226* 3 55* 3 1,243 2 1,690 2 ─────────────────────────────────p51−76 124 85 4 141 144* 4 264 301 4 ─────────────────────────────────p51−80 99 208 4 217 308 4 182 109* 4 6 ─────────────────────────────────p59−80 146 132 6 376 6 ─────────────────────────────────p64−80 6 1.ウサギへの注入後、これらのサンプルは25ミクロンフィルターで濾過し た。 * 時間依存のコンプライアンスの減少は気胸の発達を示している。 表8に示されているように、本発明の合成界面活性物質
及び天然界面活性物質はリン脂質単独の場合と比べて動
的コンプライアンスを改善した。 C.討論 インビボのコンプライアンス実験は、本発明の多数の代
表的合成界面活性物質は、リン脂質単独の場合と比較し
てコンプライアンスを増加させることを示している。従
って、医薬的に許容し得るリン脂質と混合した時、本発
明のタンパク質及びポリペプチドは、リン脂質単独の場
合よりも大きい界面活性を有する合成界面活性物質を生
成する。これらの合成界面活性物質の使用は、インビボ
においてコンプライアンスを改善するのに有利である。 例4 肺上皮細胞へのC末端ペプチドの結合実験
【0087】A.方法 (ペプチド結合検定)SP18の残基74−80(VL
RCSMD)を有するペプチドを 125Iを用い(ニュー
イングランドニュクリア社、34.1モル/ml、28.0ng
/mg、75μCi/ml)ボルトン・ハンター法(ボルトン
(Bolton)等、バイオケミカル ジャーナル(Biochem.
J.)、133、529−538、1973)により放射
性ラベルした。ヒトの肺胞上皮細胞(ヒト肺がん細胞、
ATCC参照番号CCL185、一般にA549細胞と
して知られている。)を6穴組織培養皿中集密化するま
で増殖した。本実験には以下の溶液を使用した。 PBS/BSA 10mM リン酸ナトリウム+0.15M NaCl+0.5% BSA pH7.4 溶解バッファ 1% SDS水溶液 F溶液 5ml PBS/BSA+51.56μgコールドペプチド D溶液 2.5ml PBS/BSA+87μl 125I−ペプチド D1/5溶液 0.5mlD+2.0ml PBS/BSA D/125溶液 0.5mlD1/5+2.0ml PBS/BSA E溶液 2.5ml PBS/BSA+87μl 125I−ペプチド+20. 78μgコールドペプチド E1/5溶液 0.5mlE+2.0ml PBS/BSA E/125溶液 0.5mlE1/5+2.0ml PBS/BSA 以下の溶液0.5mlと22℃、15分インキュベーション
することにより、3枚の6穴プレートを前処理した。偶
数番号のウェルはPBS/BSAで前処理し、また奇数
番号のウェルはF溶液で前処理した。前処理溶液を除去
後、以下に示す溶液0.5mlを入れ、22℃で指示した時
間、緩やかに揺らしながらそのウェルをインキュベーシ
ョンした。
【0088】 ウェル サンプル インキュベーション時間(分) 1 D 7 2 E 7 3 D 1/5 7 4 E 1/5 7 5 D 1/25 7 6 E 1/25 7 7 D 30 8 E 30 9 D 1/5 30 10 E 1/5 30 11 D 1/25 30 12 E 1/25 30 13 D 143 14 E 143 15 D 1/5 143 16 E 1/5 143 17 D 1/25 143 18 E 1/25 143 インキュベーション時間の終りに、上清を各ウェルから
取り出し、計数用に保存した。各フェルは、冷(4℃)
PBS/BSAで4回洗浄した。洗浄液は計数用に保存
した。その後プレートを室温に戻してから各ウェルに1
mlの溶解バッファを入れた。全ての細胞が溶解し、プレ
ートから遊離するまで(3〜4分間)プレートを緩やか
に振盪した。各ウェルから溶液を取り出し、計数した。
溶解バッファ2mlを各ウェルに入れ、数分間混合後、結
合カウント数の計数用に取り出した。結合カウントの割
合及び絶対値を測定した。
【0089】特異的結合カウント値は非ラベル(コール
ド)ペプチドを含むウェル中の結合カウントをコールド
ペプチドなしの対応するウェルにおける結合カウントか
ら引くことにより求めた。この結果以下の表9に示す。
操作は以下のように条件を変化させて繰り返した。 D1 =1433μl PBS/BSA+167μl 125I−ペプチド 〔1.78pmol/500μl〕 D2 =183.3μl PBS/BSA+336.7μlD1 〔1.19pmol/500μl〕 D3 =275μl PBS/BSA+275μlD1 〔0.89pmol/500μl〕 D4 =366.7μl PBS/BSA+183.3μlD1 〔0.59pmol/500μl〕 D5 =458.3μl PBS/BSA+91.7μlD1 〔0.30pmol/500μl〕 D6 =513.3μl PBS/BSA+36.7μlD1 〔0.12pmol/500μl〕 E1 =1386.24μl PBS/BSA+167μl 125I−ペプチド 〔4.676ng〕+46.76μlコールドペプチド(100μg/ml) 〔4.676ng〕 E2 −E6 2 −D6 について上述したように希釈した。 F =3.398ml PBS+102.29μlコールドペプチド(100μg/ ml)
【0090】2枚の6穴プレートを1mlPBS/BSA
で1回洗浄した。偶数番号のウェルはPBS/BSAで
前処理し、奇数番号のウェルはF溶液で前処理した。前
処理溶液除去後、以下の溶液を添加した。 ウェル サンプル ウェル サンプル 1 D1 7 D4 2 E1 8 E4 3 D2 9 D5 4 E2 10 E5 5 D3 11 D6 6 E3 12 E6 緩やかに揺らしながら室温で30分間その溶液をインキ
ュベーションした。その後上清を除去し計数用に保存し
た。各ウェルを0.5mlの冷PBS/BSAで4回洗浄
し、その洗浄液は計数用に保存した。各ウェルに1mlの
1%SDSを加え細胞を可溶化した。3分後、全ての細
胞はプレートから遊離するのを見ることができた。溶解
細胞含有上清を、2回目のSDSウェル洗浄液と合せて
計数した。全カウント数及び結合カウント数の割合を測
定した。特異的結合値はコールドペプチド含有ウェル中
の結合カウントを、コールドペプチドなしのウェル結合
カウントから引くことにより測定した。その結果を以下
の表10に示す。 B.結果 結合実験の結果を以下の表10及び表11に示す。
【0091】
【表10】 表10 結合総 特異的結合ウェル 総・CPM CPM 結合率% カウント数* 1 1,109,126 24,414 2.23 2 1,087,659 17,353 1.60 0.63% 6,930 3 223,170 4,479 2.01 4 221,608 4,113 1.86 0.15% 330 5 45,877 828 1.80 6 47,731 880 1.84 -0.04% -18 7 1,103,606 25,905 2.35 8 1,152,287 19,230 1.67 0.68% 7,480 9 227,396 4,996 2.20 10 230,974 4,137 1.79 0.41% 901 11 47,899 1,030 2.15 12 49,894 922 1.85 0.30% 132 13 1,151,347 10,071 0.87 14 1,108,755 9,506 0.86 0.01% 110 15 220,340 1,692 0.77 16 229,253 1,800 0.79 -0.02% -44 17 46,893 407 0.87 18 47,426 386 0.81 0.06% 26 * 1,100,000cpm/非希釈サンプルに対して補正した。
【0092】
【表11】 表11 結 合 補正したウェル 総・CPM CPM 結合率% 差* pmol 1 3,070,705 66,954 2.78 2 2,995,775 56,055 1.87 9,390 1.78 3 2,029,323 39,562 1.95 4 2,013,557 33,573 1.67 5,723 1.19 5 1,436,189 26,883 1.87 6 1,427,731 25,073 1.76 1,755 0.89 7 994,288 15,669 1.58 8 964,481 14,776 1.53 503 0.59 9 460,317 6,513 1.41 10 479,746 6,816 1.42 -52 0.30 11 202,494 2,930 1.45 12 192,990 2,806 1.45 0 0.12 * 1.78 pmol =3,033,740 cpm に対して補正した。
【0093】C.討論 表9のデータから分るように、この実験は、非ラベルペ
プチドにより競合的に阻害されることから分るように、
本ペプチドは特異的に細胞に結合することを示してい
る。しかし、この細胞は本実験で使用したラベル化ペプ
チド量では飽和していない。さらに、本ペプチドの分解
が143分で起こっていた。第2の実験は、細胞飽和を
起こさせるため、30分のインキュベーション時間及び
ラベル化ペプチド量の増加条件下で行った。表10に見
られるように、再び特異的結合が示された。さらに、高
濃度のラベル化ペプチドにおける結合カウント数の平ば
いから示されるように飽和が達成された。このように結
合実験により、本発明のC末端ペプチドは肺上皮細胞に
特異的に結合することが示された。特定の態様及び例を
含む以上の明細は本発明の説明を意図するものであり、
これを制限するものではない。多くの変化及び修飾が本
発明の真の精神及び範囲を逸脱することなしに行い得
る。
【図面の簡単な説明】 )
【図1】 750ヌクレオチドのcDNA配列(上)及
び推定されるアミノ酸残基配列(下)を示している。
【図2】 バイオシル(Bio-Sil)HA(ケイ酸)カラム
からのPSアポタンパク質のタンパク質溶出曲線を示し
ている。
【図3】 低分子量(LMW)PSアポタンパク質の銀
染色SDS−PAGEを示している。
【図4】 100μlの食塩水(白丸)、2mgリン脂質
(PL)DPPC:PG=3:1(黒丸)、PL+10
μgSP9(白四角)、PL+10μgSP18(黒四
角)、又は2mg天然ヒト界面活性物質(黒三角)の気管
注入後30分におけるウサギ胎児肺の膨張収縮圧力/体
積曲線を示している。
【図5】 食塩水(A)、天然ヒト界面活性物質
(B)、リン脂質DPPC:PG(C)又はリン脂質+
LMWアポタンパク質(SP9+SP18)(D)によ
る処理後のウサギ胎児肺組織サンプル(×125倍、ヘ
マトキシリン−エオシン染色)を示している。
【図6】 本発明の合成界面活性物質を含む代表的ポリ
ペプチドの界面活性を示している。
【図7】 先にレバク(Revak)等(アメリカン・レヴュ
ー・オブ・レスピレトリー・ディシーズ(Am. Rev. Res
pir. Dis.),134,1258−1265(198
6))により報告されているウサギ胎児モデルを用いた
本発明の代表的界面活性物質の静的コンプライアンス実
験の結果を示している一連の2枚のグラフである。
【図8】 本発明の代表的合成界面活性物質の静的コン
プライアンス実験の結果を示す一連の2つのグラフであ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07K 14/785 ZNA C12P 21/02 C C12P 21/02 A61K 37/02 // C12N 5/10 C12N 5/00 B (72)発明者 レーヴァック スーザン ディ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92122サン ディエゴ カスケード スト リート 6561

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に純粋なヒトSP18モノマータ
    ンパク質。
  2. 【請求項2】 医薬的に許容し得るリン脂質と混合され
    る請求項1に記載のタンパク質を含有し、合成肺胞界面
    活性物質を形成することを特徴とする組成物。
  3. 【請求項3】 ヒトSP18ダイマータンパク質を更に
    有する請求項2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 翻訳後のタンパク質分解的修正なしに、
    成熟ヒトSP18モノマータンパク質を発現し得る構造
    遺伝子と機能的に結合されたベクターを含有することを
    特徴とする組換え核酸分子。
  5. 【請求項5】 10〜約60個のアミン酸残基から実質
    的になり、ヒトSP18モノマーのアミノ酸残基配列に
    対応する配列を含有することを特徴とするポリペプチ
    ド。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のポリペプチドであって、
    さらにSP18の残基1から75に位置する線型配列中
    で少なくとも15個の連続するアミノ酸残基に対応する
    配列を少なくとも1個含むことを特徴とするポリペプチ
    ド。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のポリペプチドおいて、さ
    らにSP18の線型配列中に少なくとも5個の連続する
    アミノ酸残基に対応するカルボキシ末端配列及び残基8
    0を有することを特徴とするポリペプチド。
  8. 【請求項8】 請求項5記載のポリペプチドであって、 FPIPLPYCWLCRALI 、 CRALIKRIQAMIPKG 、 MIPKGALAVAVAQVC 、 VAQVCRVVPLVAGGI 、 VAGGICQCLAERYSV 、 CQCLAERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLR 、 ERYSVILLDTLLGRM 、 ERYSVILLDTLLGRMLPQLVCR 、 ERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLR 、 SVILLDTLLGRMLPQLVCR 、 SVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLR 、及びLLGRMLPQLVCRLVLから
    なる群から選ばれるアミノ酸残基配列を有するポリペプ
    チド。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載のポリペプチドであっ
    て、さらに一般式: -RLVLRCSMDDZ (式中、Zは0か1の値をもつ整数であり、Zが0のと
    き、サブスクリプト付きのD残基は存在せず、またZが
    1のとき、サブスクリプト付きのD残基が存在する)で
    表わされるカルボキシ末端アミノ酸残基配列を有するこ
    とを特徴とするポリペプチド。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のポリペプチドであっ
    て、かつ CRLVLRCSMDD 、 LPQLVCRLVLRCSMDD 、 DTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMDD 、 RYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMDD 、 ERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMDD、 ERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMD 、 RVVPLVAGGICQCLAERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLRCSMDD、及
    びAQVCRVVPLVAGGICQCLAERYSVILLDTLLGRMLPQLVCRLVLRCSM
    DD、からなる群から選ばれるアミノ酸残基配列を有する
    ポリペプチド。
  11. 【請求項11】 10〜約60個のアミノ酸残基から実
    質的になり、SP18の疎水性及び親水性残基の形態と
    類似するアミノ酸残基配列を含有することを特徴とする
    ポリペプチド。
  12. 【請求項12】 10〜60個のアミノ酸残基のアミノ
    末端及びカルボキシ末端配列から実質的になるポリペプ
    チドであって、前記アミノ末端配列が、少なくとも10
    個のアミノ酸残基を有しかつ0未満の複合疎水性を有
    し、 前記カルボキシル末端配列が、 -RLVLRCSMDDZ (式中、Zは0か1の値をもつ整数であり、Zが0のと
    きサブスクリプト付きのD残基は存在せず、またZが1
    のとき、サブスクリプト付きのD残基が存在する)で表
    わされるカルボキシ末端アミノ酸残基配列を有すること
    を特徴とするポリペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項5に記載のポリペプチドと混合
    される医薬的に許容し得るリン脂質を含有し、前記リン
    脂質単独の場合に比べて、界面活性が高いことを特徴と
    する肺胞界面活性物質。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載のポリペプチドと混
    合される医薬的に許容し得るリン脂質を含有し、前記リ
    ン脂質単独の場合に比べて、界面活性が高いことを特徴
    とする肺胞界面活性物質。
  15. 【請求項15】 請求項12に記載のポリペプチドと混
    合される医薬的に許容し得るリン脂質を含有し、前記リ
    ン脂質単独の場合に比べて、界面活性が高いことを特徴
    とする肺胞界面活性物質。
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