JP3009690B2 - 肺胞界面活性タンパク質及び関連ポリペプチド - Google Patents

肺胞界面活性タンパク質及び関連ポリペプチド

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Description

【発明の詳細な説明】 (説 明) (関連出願) 本出願は、ここで参考として引用する、1988年1月6
日に出願された“肺胞界面活性タンパク質及び関連ポリ
ペプチド”と題する出願番号141,200の一部継続出願で
ある。
(技術分野) 本発明は合成肺胞界面活性物質において有用なSP18モ
ノマー関連ポリペプチドに関する。また本発明はヒトSP
18モノマータンパク質をコードする構造遺伝子を含む組
換え核酸分子及び該組換え分子を用いたヒトSP18モノマ
ーの生産に関する。
(背 景) 肺胞界面活性物質(PS)は成熟したホ乳類の肺胞上皮
細胞に整列している。天然のPSは肺の気液界面で相互作
用し表面張力を減少させるアポタンパク質及びリン脂質
の両方を含むことから、“リポタンパク質複合体”と呼
ばれている。肺胞界面活性物質の発見及びその欠陥が新
生児の呼吸困難症(RDS)の第1原因であるという知見
から、外来性のPSを用いた、障害をもつヒト、特に幼児
に対する効果的界面活性物質置換治療法の開発に多くの
研究がなされてきた。例えば、平均気道圧及び酸素要求
の低下により測定される肺機能の改善が、ヒトの限界前
の幼児において外来性界面活性物質を用いて示された。
ホールマン(Hallman)等、プディアトリクス(Pediatr
ics),71,473−482(1983);メリット(Merritt)
等,ジャーナル・オブ・ヘディアトリクス(J.Pediat
r)、108,741−745(1986);ホールマン(Hallman)
等,ジャーナル・オブ・ベディアトリクス(J.Pediat
r、)106,963−969(1985);モーリー(Morley)等,
ランセット(Lancet),I:64−68(1981);メリット(M
erritt)等,ニューイングランド ジャーナル・オブ・
メディシン(New England J.Med.)315,785−790(198
6);スミス(Smyth)等,ペディマトリクス(Pediatri
cs),76,145−153(1985);フジワラ(Fujiwara)
等,ザ・ランセット(the Lancet),,55−59(198
0);ウォング(Kwong)等、ペディアトリクス(Pediat
rics),76,585−592(1985);シャピロ(Shapiro)
等,ペディアトリクス(Pediatrics),76,593−599(1
985);フジワラ(Fujiwara),“肺胞界面活性物質”
ロバートソン(Robertson),B.,ファンゴルデ(van Gol
de),L.M.G.,ベーテンバーグ(Batenberg),J,(編),
エルセビアサイエンス出版,アムステルダム,479−503
(1984)参照。
薬理学的見地から、RDSの治療に使用するのに最適の
外来PSは、その性質の変化がバッチ間で無視し得る、制
御されかつ無菌的条件下、実験室で完全合成されたもの
であろう。免疫学的複雑性を最小限にとどめるため、外
来PSのアポタンパク質成分は、ヒト中に存在するものと
同一であるべきである。不幸なことに、天然のPSの組成
は複雑であり、かつ、本分野において肺において高い生
理活性に必要とされる生物物理学的性質を生ずる全ての
生化学成分が同定されているわけではない。特に、本分
野においては、天然PS中に存在する全てのアポタンパク
質を特徴づけてはおらず、また現在知られているPSアポ
タンパク質の機能を同定できていない。
PSアポタンパク質及び界面機能におけるそれらの機能
に関する文献は、多くの研究において不均一なアポタン
パク質調製物を用いていることから、複雑で、一貫性が
なく、またしばしば矛盾していることに注意しなければ
ならない。今日まで、本分野において、天然のPS中に存
在する種々のアポタンパク質の数は明確とはなっていな
い。
本発明にとって、外界界面活性物質中の成分としての
低分子量(LMW)ヒトPS関連アポタンパク質の使用が特
に興味深い。生化学的手法を用いてヒトPS LMWアポタ
ンパク質を単離又は定義するいくつかの研究が企てられ
てきた。例えばフィザカーリー(Phizackerley)等,バ
イオケミカル ジャーナル(Biochem.J.)183,731−736
(1979),レバク(Revak)等,アメリカン レヴュー
オブ・レスピレトリー・デシーズ(Am.Rev.Resp.Di
s.)134,1258−1265(1986),スズキ(Suzuki)等、ヨ
ーロピアン・ジャーナル・オブ・レスピレトリー・ディ
シーズ(Eur.J.Respir,Dis),69,335−345(1986),
タエウシュ(Taeusch)等,ペディアトリクス(Pediatr
ics),77,572−581(1986),ユ(Yu)等,バイオケミ
カル ジャーナル(Biochem,J,),236,85−89(198
6),ウィセット(Whitsett)等,ペディアトリック・
リサーチ(Pediatric Res.)20,460−467(1986),ウ
ィセット(Whitsett)等ペディアトリック リサーチ
(Pediatric Res),20,744−749(1986),タカハシ
(Takahashi)等,バイオケム,バイオフィズ,リサー
チ・コミュニケーション(Biochem.Biophys.Res.Com
m.)135,527−532(1986),スズキ(Suzuki)等,エク
スペリメンタル,ラング リサーチ(Exp.Lung.Res.)1
1,61−73(1986),カーステット(Curstedt)等,ヨー
ロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eu
r.J.Biochem.)168,255−262(1987),ノッター(Nott
er)等,ケミストリー・アンド・フィジックス・オブ
リピッズ(Chem.Phys.Lipids)44,1−17(1987)及びフ
ェルプス(Phelps)等,アメリカン・レヴュ・オブ・レ
スピレトリー ディシーズ(Am.Rev.Respir,Dis,)135,
1112−1117(1987)参照。
最近、本分野においては、個々のLMWPSアポタンパク
質を均一なまでに精製し得ないことに関する問題を克服
するために組換えDNA技術を応用しはじめた。例えばグ
レーサー(Glasser)等(プロシーディング・イン・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.
Acad.Sci.)USA、84、4007−4011(1987))はSPL(Ph
e)と命名した少なくとも1個の成熟LMWアポタンパク質
を生成するヒト前駆体タンパク質の少なくとも一部を形
成するcDNA由来のアミノ配列を報告した。グレーサー
(Glasser)等は、SPL(Phe)のカルボキシ末端残基を
決定し得ず、従って完全な配列を同定し得なかったが、
彼等は成熟SPL(Phe)の約60個長のアミノ酸から成るこ
とを予測した。
ヤコブス(Jacobs)等(ジャーナル・オブ・バイオロ
ジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、262、9808−9
811(1987))は、グレーサー(Glasser)等(上述)に
より報告されているものと同じ、ヒト前駆体タンパク質
のcDNA及び誘導されるアミノ酸の配列を報告した。しか
しヤコブス(Jacobs)等によると、その前駆体から生成
するPSP−Bと命名した成熟LMWタンパク質は、76残基長
のアミノ酸から成る。さらに、ヤコブス(Jacobs)等
は、報告した前駆体タンパク質に由来するPSアポタンパ
ク質が彼等が臨床的に研究した界面活性調製物中に存在
することが明確ではないと述べている。
以上のことから、明らかに同じPSアポタンパク質に多
くの名称が文献中で用いられてれいるのが見てとれる。
それゆえ、議論の便宜上、グレーサー(Glasser)等
(上述)及びヤコブス(Jacobs)等(上述)により報告
されている前駆体由来の成熟タンパク質を総称的に“SP
18"と呼び、そのモノマー型及びタイマー型を、適宜各
々“SP18モノマー”及び“SP18ダイマー”と呼ぶ。
イヌのSP18前駆体はホーグッド(Hawgood)等(プロ
シーディング・イン・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA、84、66−70
(1987))及びシリング(Schieling)等(国際特許出
願WO86/03408))により報告された。しかし、両研究
は、グレイサー(Glasser)等(上述)及びヤコブス(J
acobs)等の研究同様、SP18の成熟した生物学的活性型
を明らかにし得なかったことに注意すべきである。
ワー(Warr)等(プロシーディング・イン・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.S
ci.)USA、84、7915−7919(1987))は、SP5と命名す
る成熟LMWアポタンパク質を生成する前駆体を形成する1
97残基のcDNA由来のアミノ酸配列を報告した。SP18を説
明するために企てた研究のように、ワー(Warr)等はそ
の前駆体タンパク質配列から生成する成熟タンパク質の
カルボキシ末端残基を決定し得ず、従ってSP5を明確に
特徴づけることはできなかった。
ワー(Warr)等により報告された前駆体タンパク質の
アミノ酸残基配列は、グレーサー(Glasser)等及びヤ
コブス(Jacobs)等により報告されたものと違うため、
本分野では天然PSは少なくとも2個のLMWアポタンパク
質を含んでいるとしているようである。しかし、これら
タンパク質の生物学的活性型は未決定のままである。
(要 約) 現在ヒトSP18はホモダイマー・タンパク質(SP18ダイ
マー)であり、その成熟サブユニットタンパク質(SP18
モノマー)は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルア
ミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)の測定によると約9000
ダルトンの見かけの分子量を有することが分っている。
また、ヒトSP18は、先に同定された肺胞界面活性物質
の非存在下、合成肺胞界面活性物質中の活性成分として
機能し得ることが発見された。
さらに、成熟ヒトSP18モノマータンパク質のカルボキ
シ末端アミノ酸残基配列が決定され、従って現在はその
天然型が発見されている。
このように本発明は、実質的に単離した、又は実質的
に純粋なヒトSP18モノマーに関する。
また本発明は基本的にヒトSP18モノマータンパク質か
ら成るDNAセグメントに関する。
別の本発明の態様には、翻訳後のタンパク質分解修正
なしにヒトSP18モノマータンパク質を発現しうる構造遺
伝子と機能的に結合したベクターを含む組換え核酸分子
がある。
また本発明はヒトSP18モノマータンパク質の調製法
で、 (a) 翻訳後のタンパク質分解修正なしにヒトSP18モ
ノマータンパク質を発現し得る構造遺伝子に機能的に結
合したベクターを含む組換えDNA分子でトランスホーム
したホ乳類細胞の培養を栄養培地中で開始する。
(b) 該細胞が該組換えDNA分子からヒトSP18モノマ
ータンパク質を発現するのに十分な時間、該培養を維持
する、及び (c) 該培養物から該タンパク質を回収する、 以上(a)〜(c)のステップを含む方法に関する。
さらに本発明は、配列がヒトSP18モノマーのアミノ酸
残基配列に対応する少なくとも10個のアミノ酸残基で、
かつせいぜい約60個のアミノ酸残基を基本的に含むポリ
ペプチドで、医薬的に許可し得るリン脂質と混合した時
に、該リン脂質単独の場合より高い界面活性を有する合
成界面活性物質を形成するポリペプチドに関する。
別の態様において、本発明はヒトSP18モノマーのアミ
ノ酸残基配列に対応する配列の少なくとも10個のアミノ
酸残基で、かつせいぜい約60個のアミノ酸残基を基本的
に含むポリペプチドと混合した医薬的に許容し得るリン
脂質を含む合成肺胞界面活性物質に関する。
さらに本発明の態様には、配列が、ヒトSP18モノマー
のアミノ酸残基配列に対応する少なくとも10個のアミノ
酸残基で、かつせいぜい約60個のアミノ酸残基を基本的
に含むポリペプチドで、医薬的に許容し得るリン脂質と
混合した時、該リン脂質単独より高い界面活性を有する
合成界面活性物質を形成するポリペプチドを、その効果
的量混合した医薬的に許容し得るリン脂質を含む、治療
的に効果的な量の合成肺胞界面活性物質を投与すること
を含む、呼吸困難症の治療法がある。
本発明の別の態様には、医薬的に許容し得るリン脂質
と混合した効果的量の、実質的に単離した、又は実質的
に純粋なヒトSP18モノマーを含む、治療に効果的な量の
合成肺胞界面活性物質を投与することを含む呼吸困難症
の治療法がある。
(図の簡単な説明) 第1図は、750ヌクレオチドのcDNA配列(上)及び推
定されるアミノ酸残基配列(下)を示している。各ヌク
レオチド行の右側の数字は各行の最後のヌクレオチドの
位置を数字で表わしたものである。ヌクレオチドは行当
り15個のコドンにまとめられており、各コドンによりコ
ードされるアミノ酸はそのコドンの下に三文字コードで
示してある。このcDNAによりコードされるアミノ酸残基
配列中のいくつかの残基の位置をその残基の下に数字で
示す。成熟ヒトSP18モノマーのアミノ末端アミノ酸残基
はPhe(ヌクレオチド187−189でコードされる)であ
り、これを残基1と命名する。残基位置8へのカルボキ
シ末端アミノ酸残基はAsp(ヌクレオチド427−429でコ
ードされている)である。それゆえ成熟SP18モノマーを
コードする構造遺伝子は81個のコドンを含み、かつヌク
レオチド187−429に対応するヌクレオチド配列を有す
る。
第2図は、バイオシル(Bio−Sil)HA(ケイ酸)カラ
ムからのPSアポタンパク質のタンパク質溶出曲線を示し
ている。選択したフラクションのピアスBCAタンパク質
検定(実線)及びリン脂質分析(破線)の結果を示して
いる。フラクション当り2ミリリットル(m)を採取
した。フラクション28〜33におけるタンパク質検定のポ
ジティブな結果はリン脂質によるものである。
第3図は低分子量(LMW)PSアポタンパク質の銀染色S
DS−PAGEを示している。レーンA及びDはケイ酸又はセ
ファデックスLH−20クロマトグラフィー後のサンプルを
示している。両LMWタンパク質が存在する。レーンB,C,E
及びFはセファデックスLH−60クロマトグラフィー後の
SP18(レーンB及びE)及びSP9(レーンC及びF)の
分画を示している。分子量標準をレーンGに示す。レー
ンA−Cは未還元サンプルであり、レーンD−Fは電気
泳動前にβ−メルカプトエタノールで還元した同サンプ
ルを含んでいる。
第4図は100μの食塩水(白丸)、2mgリン脂質(P
L)DPPC:PG=3:1(黒丸)、PL+10μgSP9(白四角)、P
L+10μgSP18(黒四角)、又は2mg天然ヒト界面活性物
質(黒三角)の気管注入後30分におけるウサギ胎児肺の
膨張収縮圧力/体積曲線を示している。データは四匹の
動物の平均値±標準偏差で表わされている。
第5図は、食塩水(A)、天然ヒト界面活性物質
(B)、リン脂質DPPC:PG(C)又はリン脂質+LMWアポ
タンパク質(SP9+SP18)(D)により処理後のウサギ
胎児肺組織サンプル(×125倍、ヘマトキシリン−エオ
シン染色)を示している。
第6図は、本発明の合成界面活性物質を含む代表的ポ
リペプチドの界面活性を示している。界面活性は、脈動
バブル法を用いて気液の圧力勾配を測定することにより
決定した。バブル表面における圧力勾配は水圧(センチ
メートル)で記録される圧力の絶対値である。各合成肺
胞界面活性物質に対して得られた結果は界面活性物質中
のポリペプチドと同じであった。リン脂質単独の界面活
性物質に対して得られた結果(すなわちペプチド又はタ
ンパク質を混合していない場合)はPLと同じである。わ
ずか8個のアミノ酸残基を含み、かつヒトSP18モノマー
残基74−81(p74−81)に対応する配列を有するコント
ロールペプチド用いた結果も示す。示されているデータ
は、15秒、1分及び5分の時点に得たものである。
第7図は、先にレバク(Revak)等(アメリカン・レ
ヴュー・オブ・レスピレトリー・ディシーズ(Am.Rev.R
espir.Dis.)、134、1258−1265(1986))により報告
されているウサギ胎児モデルを用いた本発明の代表的界
面活性物質の静的コンプライアンス実験の結果を示して
いる一連の2枚のグラフである。合成界面活性物質又は
コントロールを気管に注入後、静的コンプライアンス測
定30分前にそのウサギを空気置換する。“X"軸は水柱cm
で表わした圧力を示わし、一方“Y"軸は体重キログラム
当りの容積(m)を表わしている。左側のグラフは膨
張値を示し、右側グラフは収縮値を示している。以下の
界面活性物質のテスト結果を示してある。天然の界面活
性物質(中央に点を打った白四角)、7%p52−81(SP1
8の残基52から81に対応するポリペプチド)を含むリン
脂質(PL)(黒ダイヤモンド)、3%P52−81を含むPL
(中央に白黒を打った黒四角)、7%P36−81を含むPL
(白ダイヤモンド)、3%p66−81を含むPL(黒四
角)、3%p1−15を含むPL(白四角)及びPLコントロー
ル(黒三角)。
第8図は本発明の代表的合成界面活性物質の静的コン
プライアンス実験の結果を示す一連の2つのグラフであ
る。この操作は別の注入操作を用いたこと以外第7図に
述べたように行った。“X"及び“Y"軸、及び右及び左の
グラフは第7図に述べたものと同じである。以下の界面
活性物質のテスト結果を示す。天然界面活性物質(中央
に点を打った白四角)、10%p51−81を含むリン脂質(P
L)(黒ダイヤモンド)、10%p51−76を含むPL(黒四
角)及びPL(黒三角)。
(本発明の詳細な説明) A.定義 (アミノ酸)ここで述べられているアミノ酸は天然の
L型のものである。標準的ポリペプチド命名法に従がい
(ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(J.Biol.Chem.)243、3557−59(1969)、アミノ酸の
略号は以下の対応表に示した。
対応表 全てのアミノ酸残基配列は従来通り左から右へ、アミノ
末端からカルボキシ末端の方向で示される一般式で表わ
されることに注意せよ。さらにアミノ酸残基配列の始め
又は終りのダッシュはアミノ末端及びカルボキシ末端の
各々H及びOHなどの置換基への結合又は、1個以上のア
ミノ酸残基配列への結合を示していることに注意せよ。
さらにアミノ酸配列の右端にある斜線(/)はその配列
が次の行まで続くことを示していることにも注意しなけ
ればならない。
(ポリペプチド及びペプチド)ポリペプチド及びペプチ
ドは隣り合う残基のα−アミノ基とカルボキシル基の間
のペプチド結合により互いに結合する一連のせいぜい約
60個のアミノ酸残基を示して同義的に用いられる言葉で
ある。
(タンパク質)タンパク質という言葉はポリペプチドと
同様に互いに結合する一連の約60個以上のアミノ酸残基
を意味する。
(ヌクレオチド)糖部分(ペントース)、リン酸及び窒
素ヘテロ塩基から成るDNA又はRNAの単量体ユニット。塩
基はグリコシド炭素(ペントースの1′炭素)を介して
糖部分に結合しており、そして塩基及び糖の組合せはヌ
クレオシドと呼ばれる。ヌクレオシドがそのペントース
の3′又は5′位に結合したリン酸基を含む場合、これ
をヌクレオチドと呼ぶ。
(塩基対(bp))二本鎖DNA分子中のアデニン(A)と
チミン(T)、又はシトシン(C)とグアニン(G)の
組合せ。
B.SP18モノマー含有組成物 本発明は、SP18モノマーが実質的に単離した形で又は
実質的に純粋形で存在するSP18モノマー含有組成物(本
タンパク質組成物)に関する。“単離した”という言葉
は、SP18モノマー及びSP18ダイマーが他の肺胞界面活性
タンパク質を含まない組成物の一部として存在すること
を意味する。
“実質的に純粋”という言葉は、SP18モノマーが他の
肺胞界面活性タンパク質を含まない組成物の一部として
存在し、かつSP18モノマーの20パーセント以下、好まし
くは10パーセント以下、より好ましくは5パーセント以
下がホモ二重体型、すなわちSP18ダイマーの一部として
存在することを意味する。
本発明のSP18モノマー含有組成物は、ヒトSP18モノマ
ーを含むことが好ましい。SP18モノマー含有組成物は、
第1図に示す残基位置1から少なくとも約75、好ましく
は少なくとも約81までのアミノ酸残基配列に対応するア
ミノ酸残基配列を有するSP18モノマーを含むことにより
好ましい。本発明のタンパク質組成物の形成に用いるSP
18モノマーはその配列が第1図に示されている残基位置
1から81までの配列に対応することがより好ましい。
本発明のSP18モノマー含有組成物におけるSP18モノマ
ーのアミノ酸残基配列は天然のSP18モノマーの配列に対
応することが好ましい。しかし、本発明のタンパク質組
成物を形成するのに用いるSP18モノマーは天然のSP18モ
ノマーのアミノ酸残基配列と同一である必要はないが、
修飾が界面活性を破壊しない限り本発明のポリペプチド
に対し以下に述べるような種々の変化を受けうることを
理解すべきである。これらの修飾タンパク質は当分野で
よく知られているように、例えばゲノムの部位指定突然
変異誘発を介して生成し得る。
タンパク質又はポリペプチドの“界面活性”とは、脂
質と合せたとき、単独もしくは他のタンパク質と組合せ
て、ロバートソン(Robertson)(ラング(Lung)、15
8、57−68(1980))のインビボ検定法において活性を
示す能力と定義される。この検定法において、検定する
サンプルは、気管を介して、帝王切開により早産的に配
給されるウサギ胎児又は子羊に投与される。(これらの
“プリーミー”(preemies)はそれ自体のPSを持たず、
そのため通気により支えられている。)肺コンプライア
ンス、血液ガス及びベンチレーター圧の測定は活性の指
標を提供する。また検定の予備評価は例えばキング(Ki
ng)等(アメリカン ジャーナル・オブ・フィジオロジ
ー(Am,J,Physiol.)223、715−726(1972))の、又は
タンパク質又はポリペプチドをリン脂質と混合したとき
の気液界面における表面張力測定を利用する以下に説明
されるインビトロ検定法で行なわれる。
C.核酸セグメント 生きた生物において、タンパク質又はポリペプチドの
アミノ酸残基配列はそのタンパク質をコードする構造遺
伝子のデオキシリボ核酸(DNA)配列に遺伝子コードを
介して直接関係している。従って、構造遺伝子はアミノ
酸残基配列、すなわちそれがコードするタンパク質又は
ポリペプチドで定義し得る。
遺伝子コードの重要で、かつよく知られている特徴は
縮退である。すなわち、タンパク質を作るのに使用され
るほとんどのアミノ酸について、一個以上のコードヌク
レオチドトリプレット(コドン)が1つの特定のアミノ
酸残基をコード又は指定し得る。それゆえ、多数のヌク
レオチド配列が特定のアミノ酸残基配列をコードし得
る。このようなヌクレオチド配列は、全ての生物におい
て同じアミノ酸残基配列を生産し得ることから機能的に
等価と考えられる。ある場合には、プリン又はピリミジ
ンのメチル化変異体を所定のヌクレオチド配列に組込み
得る。しかし、いずれにしてもこのようなメチル化は、
そのコード関係に影響しない。
本発明のDNAセグメントは基本的にSP18、好ましくは
ヒトSP18モノマーをコードするDNA配列から成ることを
特徴としている。すなわち、本発明のDNAセグメントはS
P18モノマーを発現し得る。構造遺伝子を形成してい
る。イントロンの存在のため、このDNAセグメントはSP1
8モノマーのアミノ酸残基配列と一致している必要はな
いが、該構造遺伝子は成熟形の、すなわち翻訳後のタン
パク質分解によるプロセッシングなしにPS18モノマーを
発現し得ることが好ましい。該遺伝子は、各コドンがSP
18モノマー中に存在するアミノ酸をコードする、切断の
ない一連のコドンとして存在する、すなわちイントロン
を含まない遺伝子であることが好ましい。
従って、基本的に第1図で示されているヌクレオチド
位置約187から約426まで、好ましく約429までの配列を
含み、かつ、SP18モノマーを発現し得るDNAセグメント
は、本発明の好ましい態様の1つを構成している。
SP18モノマーをコードするDNAセグメントは化学的手
法、例えばマチューシ(Matteuccci)等のホスホトリエ
ステル法(ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・
ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)103、3185(1981))
により容易に合成し得る。もちろん、コード配列を化学
的に合成することにより、望みどおりの修飾は、本来の
アミノ酸残基配列をコードする塩基の代りに適当な塩基
を用いることにより容易に行うことができる。
また、本発明は、上記DNAセグメントと等価なリボ核
酸(RNA)にも関する。
D.組換え核酸分子 本発明の組換え核酸分子は、本発明の核酸セグメント
に機能的にベクターを結合することにより生成し得る。
ここで用いられているように、“機能的に結合する”と
いう語句は、該核酸セグメントが、ベクターの制御下、
該セグメントにより形成される遺伝子が発現されるよう
にベクターに結合していることを意味する。
ここで用いられている“ベクター”という言葉は、細
胞中で複製可能で、かつ、他の核酸セグメントが複製し
得るよう機能的に結合し得る核酸分子を意味する。SP18
モノマーをコードする構造遺伝子の発現を指令し得るベ
クターは、“発現ベクター”と呼ばれる。従って、組換
え核酸分子(rDNA又はrRNA)は通常自然の中では一緒に
発現されない少なくとも2個のヌクレオチド配列を含む
ハイブリッド分子である。
本発明の核酸セグメントを機能的に結合させるベクタ
ーの選択は、当分野でよく知られているように、組換え
核酸分子構築技術において本質的な制限となる、例えば
タンパク質発明などの目的とする機能性及びトランスホ
ームする、宿主細胞に直接依存している。しかし、本発
明に関するベクターは、少なくとも複製を指令し得、ま
た好ましくはベクターに機能的に結合する核酸セグメン
ト中に含まれるSP18モノマー構造遺伝子の発現をも指令
し得る。
好ましい態様において、本発明に関するベクターは原
核性レプリコン、すなわち細菌宿主細胞等、そのベクタ
ーでトランスホームした原核性宿主細胞中、染色体外で
rDNA分子の自己複製及び保持を指令し得る能力を有する
DNA配列を含んでいる。このようなレプリコンは当分野
でよく知られている。さらに、原核性レプリコンを含む
これらの態様は、それをトランスホームした細菌宿主に
薬剤耐性を提供する遺伝子を含んでいる。典型的な細菌
の薬剤耐性遺伝子は、アンピシリン又はテトラサイクリ
ンに対する耐性を提供するものである。
原核性レプリコンを含むこれらのベクターは大腸菌
等、それをトランスホームした細菌宿主細胞中でのSP18
モノマー遺伝子発現を指令し得る(転写及び翻訳)原核
性プロモーターも含む。プロモーターとはRNAポリメラ
ーゼが結合し、転写を開始させるDNA配列から形成され
る発現制御要素である。細菌宿主に適合するプロモータ
ー配列は一般的に本発明のDNAセグメントの挿入に便利
な制限部位を含むプラスミドベクター中に提供される。
典型的ベクタープラスミドにはバイオラドラボラトリー
社から入手し得るpUC8、pUC9、pBR322及びpBR329及びフ
ァルマシア社(N.J.ピスカタウェイ)から入手し得るpP
L及びpKK223がある。真核細胞、好ましくは脊椎動物細
胞に適合する発現ベクターも本発明のrDNA分子の形成に
使用し得る。真核細胞発現ベクターは当分野でよく知ら
れており、いくつかの業者から入手し得る。一般的にこ
れらのベクターは目的とするDNAセグメントを挿入する
のに便利な制限部位を含むものが提供されている。これ
らの典型的ベクターにはpSVL及びpKSV−10(ファルマシ
ア社)、pBPV−1/pML2d(インターナショナルバイオテ
クノロジー社)及びpTDT1(ATCC#31255)がある。
好ましい態様において、本発明のrDNA分子の構築に使
用される真核細胞発現ベクターは真核細胞中で有効な選
択マーカー、好ましくは薬剤耐性選択マーカーを含んで
いる。好ましい薬剤耐性マーカーは、ネオマイシン耐性
を発現する遺伝子、すなわちネオマイシンホスホトラン
スフェラーゼ(neo)遺伝子である。サウザーン(Sowth
ern)等、ジャーナル・オブ・モレキュラー・アンド・
アプライド・ジェネティクス(J.Mol.Appl.Genet.)、
、327−341(1982)。
本発明は、本発明の組換え核酸分子を形成するための
レトロウィルス発現ベクターの使用にも関する。ここで
用いている“レトロウィルス発現ベクター”という語句
はレトロウィルスゲノムのロングターミナルリピート
(LTR)由来のプロモーター配列を含む核酸分子を意味
する。
好ましい態様において、この発現ベクターは真核細胞
中で複製能をもたないレトロウィルス発現ベクターであ
る。レトロウィルスベクターの構築及び使用法はソージ
(Sovge)により報告されている(モレキュラー・アン
ド・セルラーバイオロジー(Mol.Cell.Biol.)、1730
−37(1984)。
相補的粘着末端を介してベクターに核酸セグメントを
機能的に結合させるための多くの方法が開発されてきて
いる。例えば、相補的ホモポリマー領域を挿入する核酸
セグメント及びベクター核酸の末端部分に付加すること
ができる。それからこのベクター及び核酸セグメントを
相補的ホモポリマー末端間の水素結合により結合して組
換え核酸分子を生成する。
1個以上の制限部位を含む合成リンカーはベクターに
核酸セグメントを結合させる別の方法を提供する。例え
ば、本発明のDNAセグメントを3′−5′エクソヌクレ
アーゼ活性で突出する3′−本鎖末端を除去し、並び
に、ポリメラーゼ活性で窪んでいる3′末端を充填する
酵素であるバクテリオファージT4DNAポリメラーゼ又は
大腸菌DNAポリメラーゼで処理する。従ってこれらの活
性の組合せにより平滑末端DNAセグメントが生成する。
それから、この平滑末端セグメントをバクテリオファー
ジT4DNAリガーゼのような平滑末端DNA分子のライゲーシ
ョンを触媒し得る酵素の存在下、大過剰量のリンカー分
子とインキュベートする。従って、この反応の産物は末
端に多重合リンカー配列をもつDNAセグメントである。
それからこのDNAセグメントを適当な制限酵素で切断
し、これらのDNAセグメントの末端に適合する末端を生
成する酵素で切断した発現ベクターにライゲーションす
る。
種々の制限エンドヌクレアーゼ部位を含む合成リンカ
ーは、インターナショナルバイオテクノロジー社(CT.
ニューヘブン)を含む多くのメーカーから市販されてい
る。
また本発明は上述の組換えDNA分子のRNA等価物に関す
る。
E.形質転換細胞及びその培養 また本発明は本発明の組換え核酸分子、好ましくは、
SP18モノマーを発現し得るrDNAでトランスホームした宿
主細胞に関する。この宿主細胞は原核性でもよい、又真
核性でもよい。“細胞”又は“形質転換宿主細胞”又は
“宿主細胞”は、前後関係から明らかなようにしばしば
同義的に用いられる。これらの言葉は、直接処理された
細胞及びもちろんその子孫を含む。突然変異を起こす機
会及び環境の差から、全ての子孫が親細胞と全く同一で
あるとは限られないことは理解される。しかし、上述の
言葉を用いたとき、このような修正を受けた細胞も含ま
れている。
細菌細胞は、原核性宿主細胞であることが好ましく、
一般的には、例えばベセスダリサーチラボラトリーズ社
(MD、ベセスダ)から入手し得る大腸菌DH5株等の大腸
菌である。好ましい真核性宿主細胞には、イースト及び
好ましくはマウス、ラット、サル又はヒトの繊維芽細胞
系列などの脊椎細胞のようなホ乳類細胞が含まれる。好
ましい真核性宿主細胞にはCCL61としてATCCから入手し
得るチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞及びCRL16
58としてATCCから入手し得るNIHスイスマウス胎児細胞N
IH/3T3が含まれる。本発明の組換え核酸分子による適当
な細胞宿主のトランスホーメーションは、一般的に使用
するベクターの種類に依存した従来法により行なう。原
核性宿主細胞のトランスホーメーションに関しては、例
えばコーエン(Cohen)等、プロシーディング・イン・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Nat
l.Acad.Sci.)USA、69、2110(1972)、及びマニアチス
(Maniatis))等、モレキュラークローニング、ラボラ
トリーマニュアル、コールドスプリングハーバーラボラ
トリー、コールドスプリングハーバー、NY(1982)参
照。レトロウィルスベクターを含む組換え核酸分子によ
る脊椎動物細胞のトランスホーメーションに関しては、
例えば、ソージ(Sorge)等、モレキュラー・アンド・
セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biol.)、1730−
37(1984)、グラハム(Graham)等、ヴィロロジー(Vi
rol.)52、456(1973)、及びウィグラー(Wigler)
等、プロシーディング・イン・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA、76、
1373−76(1976)参照。
うまく形質転換(トランスホーム)した細胞、すなわ
ち、本発明の組換え核酸分子を含む細胞は、よく知られ
ている手法で同定し得る。例えば本発明のrDNAの導入か
ら生成した細胞はクローン化して、モノクローナルコロ
ニーを生成し得る。これらのコロニーに由来する細胞を
収穫し、溶菌後、そのDNA含有物をサウザーン(Souther
n)(ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー
(J.Mol.Biol.)98、503(1975))又はベレント(Bere
nt)等(バイオテクノロジー(Biotech)、、208(19
85))により報告されているような方法を用いrDNAの存
在を試験した。
rDNA存在の直接検定に加え、トランスホーメーション
の成功は、そのrDNAがSP18モノマーの発現を指令し得る
場合、従来の免疫学的方法によっても確認し得る。例え
ば、本発明のDNAセグメントを機能的に結合した発現ベ
クターでうまくトランスホームした細胞はSP18モノマー
抗原性を示すタンパク質を生産する。従って、形質転換
細胞を含む細胞培養物サンプルを収穫し、その抗原に特
異的な抗体を用いヒトSP18を検定する。このような抗体
の生産法及び使用法は、当分野でよく知られている。
このように、形質転換宿主細胞自身に加えて、本発明
は栄養培地中のこれら細胞の培養物、好ましくはモノク
ローナル(クローン的に均一な)培養物、又はモノクロ
ーナル培養物由来の培養物にも関する。この培養物はSP
18モノマー抗原性を示すタンパク質、より好ましくは生
物学的に活性なSP18モノマーを含むことが望ましい。
形質転換宿主細胞の培養に有用な栄養培地は当分野で
よく知られており、またいくつかのメーカーから入手し
得る。宿主細胞がホ乳類である態様においては、“無血
清培地”を用いることが望ましい。
F.SP18生産を目的とした組換え法 本発明の別の特徴には、SP18、好ましくはヒトSP18モ
ノマーの生産法がある。この方法はSP18モノマーを発現
し得る本発明のrDNA分子でトランスホームした宿主細
胞、好ましくはヒト細胞を含有する栄養培地の培養を開
始することを必要とする。この培養を形質転換細胞がSP
18モノマーを発現するのに十分な時間維持する。その後
発現したタンパク質を培養物から回収する。
培養物から発現タンパク質を回収する方法は当分野で
よく知られており、それは、従来の生化学的手法を用い
たその培養物のタンパク質含有部分の分画を含んでい
る。例えば、タンパク質の分画によく知られているゲル
濾過、ゲルクロマトグラフィー、超遠心、電気泳動、イ
オン交換、アフィニティクロマトグラフィーなどの方法
を使用してその培養物中に存在する発現タンパク質を単
離し得る。さらに、免疫アフィニティー、免疫吸着など
の免疫化学的方法も、従来法を用いて行うことができ
る。
また本発明はここで述べた組換え核酸法を用いて生産
したSP18モノマーに関する。
G.ポリペプチド 本発明のポリペプチド(本ポリペプチド)は、そのア
ミノ酸残基配列及び新しい機能に特徴を持つ。本ポリペ
プチドを医薬的に許容し得るリン脂質と混合した時、そ
のリン脂質単独の界面活性より大きい界面活性を有する
合成肺胞界面活性物質が生成する(第6図で示されるよ
うにより低いΔP値及び、第7図及び第8図に示される
ように所定の圧力当りより大きい容積値で示される)。
第1図から分るように、SP18は大きい疎水性領域(残
基1〜約75)と、それにつづくカルボキシ未満の比較的
短かい親水性領域(残基76〜80又は81)を有している。
SP18配列のアミノ酸残基番号に関しては第1図に示され
ているとおりである。
ある態様において、本ポリペプチドは基本的にSP18モ
ノマーの配列に対応する、少なくとも約10個、好ましく
は少なくとも11個のアミノ酸残基で、かつせいぜい約60
個、一般的には約35個以下、好ましくは約25個以下のア
ミノ酸残基より成る。
一般に、本発明のポリペプチドのアミノ酸残基は、SP
18の線型配列中で単一グループの連続する残基に対応し
ている。しかし、本発明は、SP18の1個以上の領域に対
応するポリペプチドにも関する。通常、SP18の疎水性領
域の少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個の連続
する残基に対応する少なくとも1個の配列が本ペプチド
に存在する。多くの疎水性領域アミノ酸配列も存在し得
る。
本ポリペプチドは残基80を含むSP18の線型配列中の少
なくとも5個の連続する残基をカルボキシ末端配列とし
て含むことが好ましい。従って、本発明のポリペプチド
はSP18の一部に対応する1個以上のアミノ酸残基グルー
プを含み、その結果SP18モノマーの連続する残基の最初
のグループに対応する配列がそのポリペプチド配列中の
SP18モノマーの同じ部分又は別の部分に由来する連続す
る残基の第2のグループに対応する配列に隣接すること
になる。
また本発明は、SP18の線型配列由来の連続するアミノ
酸残基の単一グループに対応する2個以上の配列を有す
るポリペプチドに関する。
アミノ酸残基配列が、ヒトSP18疎水性領域に対応する
代表的ポリペプチドを第1表に示す。
好ましい態様において、本発明のポリペプチドは、一
般式: −RLVLRCSMDD2 (式中、Zは0又は1の値をもつ整数で、Zが0のとき
そのサブスクリプトがついているD残基は存在せず、Z
が1のとき、サブスクリプトがついているD残基は存在
する)で表わされるカルボキシ末端アミノ酸残基配列を
有することを特徴とする。代表的な好ましい“カルボキ
シ末端ポリペプチド”を第2表に示す。
本ポリペプチドは第1図に示した配列の一部に対応す
るアミノ酸残基配列を有することが好ましい。しかし、
本発明のポリペプチドは本来のSP18モノマーのアミノ酸
残基配列と同一である必要はないことを理解しなければ
ならない。それゆえ、本発明のポリペプチドは、その使
用に際し特定の利点を提供する、保存的又は非保存的
な、挿入、欠失及び置換などの種々の変化を受け得る。
保存的置換とは1個のアミノ酸が別の生物学的に類似
するアミノ酸残基に置き換るものである。保存的置換の
例には、イソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニ
ン等の1個の疎水性残基の別の疎水性残基への置換、又
はアルギニンとリジン間、グルタミン酸とアスパラギン
酸間、又はグルタミンとアスパラギン間などの極性残基
同志の置換を含む。また“保存的置換”という語句は、
もしそのポリペプチドが必要とする結合活性を示すなら
ば、本来の未置換アミノ酸の代りに置換アミノ酸を使用
することも含む。
1つの好ましい態様においては、残基部位71及び77の
うちの少なくとも1つのシステイン(C)残基の代りに
セリン(S)残基が用いられる。このセリン類似体は、
残基71に置換を有するSP18モノマーの残基51−76の配列
又は、残基71及び77にセリン置換をもつ残基51−81の配
列に対応する配列を有することが好ましい。
本発明のポリペプチドが1個以上の保存的又は非保存
的置換が行なわれたため、本来のSP18モノマーと同一で
はない配列を持つ場合、本発明のポリペプチドに簡便に
ラベル又は固体マトリクス又はキャリヤーを固定化し得
る。“リンカー”を提供する目的で別の残基を末端に付
加する場合を除いて、通常せいぜい約20パーセント(残
基数)、より一般的にはせいぜい10パーセント(残基
数)のアミノ酸残基が置換される。本発明のポリペプチ
ドと使用し得るラベル、固体マトリクス又はキャリヤー
を以下に説明する。
通常、アミノ酸残基リンカーは、少なくとも1個で、
多いときは40個以上のアミノ酸残基からなり、より一般
的には本来のSP18モノマーのアミノ酸残基配列に対応し
ない1個〜10個の残基からなる。リンキングに用いられ
る典型的アミノ酸残基には、チロシン、システイン、リ
ジン、グルタミン酸及びアスパラギン酸がある。さら
に、本発明のポリペプチド配列は、アシル化などの末端
NH2−アシル化、又はチオグリコール酸アミド化、又は
アンモニウム、メチルアミン等による末端カルボキシル
アミド化による修飾配列により、天然の配列と異なり得
る。
リンカーを介してキャリヤーと結合し、当分野でキャ
リヤー・ハプテン結合体として知られているものを形成
したとき、本発明のポリペプチドは、SPモノマーと免疫
反応する抗体を誘導し得る。免疫学的交叉反応性の確立
された原則から見て、本発明は、第1表及び第2表に示
したポリペプチドの抗原的関連変異体に関する。“抗原
的関連変異体”とは第1表又は第2表のポリペプチドの
少なくとも6個のアミノ酸残基配列部分を含み、かつ第
1表又は第2表のポリペプチド及びSP18モノマーと免疫
反応する抗体分子を誘導し得るポリペプチドである。
別の態様において、本発明のポリペプチドは、ゼロ以
下、好ましくは−1又はそれ以下、より好ましくは−2
又はそれ以下の混成疎水性を有するアミノ酸残基配列を
有する。ペプチドの混成疎水性値の測定は例2で詳しく
説明する。これらの疎水性ポリペプチドは、SP18の疎水
性領域の機能を果す。好ましい態様においては、アミノ
酸配列がSP18の疎水性及び親水性残基を真似ている。
好ましい疎水性ポリペプチドには、別の疎水性及び親
水性アミノ酸残基配列を有する配列を含み、かつ一般式 (ZaUbcZd で表わされる少なくとも10個のアミノ酸残基を有するこ
とを特徴とするものがある。
Z及びUは、各場所においてZ及びUが独立に選択さ
れるアミノ酸残基である。Zは親水性アミノ酸残基であ
り、R.D.E及びKからなる群から選ばれることが望まし
い。Uは疎水性アミノ酸残基であり、V.I.L.C.Y及びF
からなる群から選ばれることが望ましい“a"、“b"、
“c"及び“d"は疏水性又は親水性残基の数を示す数字で
ある。“a"は約1から約5、好ましくは約1から約3の
平均値を持つ。“b"は約3から約20、好ましくは約3か
ら約12、最も好ましくは約3から約10の平均値を持つ。
“c"は1から10、好ましくは2から10、最も好ましくは
3から6の値を持つ。“d"は1から3、好ましくは1か
ら2の値を持つ。
Z及びUにより表わされるアミノ酸残基が独立に選択
されると記述したことは、各場所において、特定のグル
ープからの残基の選択されることを意味する。すなわ
ち、例えば“a"が2のとき、Zで表わされる各疎水性残
基は、独立に選択され、つまり、RR、RD、RE、RK、DR、
DD、DE、DK等を含み得る。“a"及び“b"が平均値を持つ
と記述したことは、反復配列内の残基(ZaUb)の数がそ
のペプチド配列中でいくぶん変化し得るが、“a"及び
“b"の平均値は各々約1から約5及び約3から約20の値
であることを意味している。
上述の一般式の代表的な好ましいポリペプチドを第3
表に示す。
また、本発明は、10から60個のアミノ酸残基からなる
混成(Composite)ポリペプチドに関する。基本的に混
成ポリペプチドはアミノ末端配列及びカルボキシ末端配
列からなる。アミノ末端配列は上述の一般式で定義され
るような本発明の疎水性領域ポリペプチド又は疎水性ペ
プチドのアミノ酸配列を有する。カルボキシル末端配列
は、カルボキシ末端ペプチドのアミノ酸残基配列を有す
る。
本発明のポリペプチドは、ポリペプチド分野で知られ
ている手法により合成し得る。使用し得る多くの手法の
秀れた摘要書が出ている。固相ペプチド合成に関して
は、J.W.スチワード(Steward)及びJ.D.ヤング(Youn
g)“固相ペプチド合成"W.H.フリーマン社、サンフラン
シスコ、1969及びJ.メイエンホーファー(Meienhofer)
“ホルモン性タンパク質及びペプチド"2巻、46頁、アカ
デミックプレス(ニューヨーク)、1983、及び古典的液
相合成に関してはE.シュローダー(Schroder)及びK.ク
ブケ(Kubke)“ペプチド"1巻、アカデミックプレス
(ニューヨーク)、1965参照。
一般に、これらの方法は、1個以上のアミノ酸残基又
は適当に保護したアミノ酸残基を成長するペプチド鎖に
順次付加していくことを含む。通常、最初のアミノ酸残
基のアミノ基又はカルボキシル基は、適当な、選択的に
除去し得る保護基で保護しておく。リジンのような反応
性側鎖官能基を含むアミノ酸には、別の選択的に除去し
得る保護基を用いる。
例として、固相合成を用いる時、保護又は誘導アミノ
酸を、その未保護カルボキシル基又はアミノ基を介して
不活性固体サポートに結合する。そのアミノ基又はカル
ボキシル基の保護基を選択的に除去後、適当に保護した
相補的(アミノ又はカルボキシル)基を有する、配列中
の次のアミノ酸を混合し、固体サポートにすでに結合し
ている残基とアミド結合を形成するのに適した条件下で
反応させる。それからアミノ又はカルボキシル基の保護
基を新しく付加したアミノ酸残基から除去し、同様に次
のアミノ酸を付加していく。最終的に望ましいアミノ酸
が正しい配列に結合され、残存する末端及び側鎖基の保
護基(及び固体サポート)を順次又は一度に除去し、最
終的ポリペプチドが与えられる。
H.合成界面活性物質 組換え的に生成したSP18及び、又は本ポリペプチドは
医薬的に許容し得るリン脂質と混合し、呼吸困難症の治
療に有用な合成肺胞界面活性物質を生成し得る。
“医薬的に許容し得る”という語句は、ヒトに投与し
たとき、アレルギー又は、同様の不都合な反応を起こさ
ない分子及び組成物に用いられる。
タンパク質と混合することにより合成肺胞界面活性剤
を生成するのに有用なリン脂質は当分野ではよく知られ
ている。ノッター(Notter)等、クリニカルペリナトロ
ジー(Clin.Perinatology)、14、433−79(1987)(合
成界面活性物質への天然及び合成リン脂質の使用に関す
るレヴュー)参照。
1つの態様において、本発明は、医薬的に許容し得る
リン脂質と混合した効果的な量の本ポリペプチドを含
む、RDSの治療に効果的な合成肺胞界面活性物質に関す
る。
所定のポリペプチド−リン脂質の組合せに対する至適
ポリペプチド:リン脂質重量比の測定法はよく知られて
いるが、治療に効果適な比は、約1:5から約1:10,000、
好ましくは約1:100から約1:5000、及びより好ましくは
約1:500から約1:1000の範囲である。より好ましい態様
において、ポリペプチド:リン脂質重量比は約1:5から
約1:2000、好ましくは約1:7から約1:1000及びより好ま
しくは約1:10から約1:100の範囲である。従って、本発
明の合成肺胞界面活性物質は約50、通常約80からほとん
ど100重量パーセントの脂質及び約50、通常約20から1
以下の重量パーセントのポリペプチドを含み得る。本ポ
リペプチドは、SP18配列の一部に対応するポリペプチド
については界面活性物質の約1から約10重量パーセン
ト、及び全SP18モノマーに対応するポリペプチドについ
ては1:100の割合で存在することが好ましい。
脂質部分は、不飽和ホスファチジルコリン、ホスファ
チジルグリセロール(PG)、トリアシルグリセロール、
パルミチン酸スフィンゴミエリン又はこれらの混合物と
混合した、約50から約90、より好ましくは約50から約75
重量パーセントのジパルミトイルホスファチジルコリン
(DPPC)であることが好ましい。合成肺胞界面活性物質
は本ポリペプチド溶液をリポソームサスペンジョンと混
合する、又は有機溶媒の存在下、直接本ポリペプチド及
び脂質を混合することにより調製する。その後、溶媒は
透析又は窒素雰囲気下、及び、又は減圧下のエバポレー
ションにより除去する。
本合成肺胞界面活性物質は、例えば一般的に液体サス
ペンジョン、乾燥粉末又はエアロゾルのように、気管内
投与用に調合するのが好ましい。例えば、合成界面活性
剤(ポリペプチド−脂質ミセル)を水、食塩水、デキス
トロース、グリセリンなどの医薬的に許容し得る賦形剤
と液体状態で懸濁する。また、界面活性物質含有治療組
成物は、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどを含む
pH緩衝剤のような少量の非毒性補助物質を含み得る。粉
末状の合成界面活性物質を調製するためには、合成界面
活性物質をここで述べているように調製し、凍結乾燥し
てから乾燥粉末として回収する。
もし、本合成界面活性物質をエアロゾルとして使用す
る場合は界面活性物質及びプロペラントを一緒にし、し
っかり密封した形で供給される。投与される界面活性物
質は脂肪酸及びエステルである。しかし、本発明の場
合、界面活性物質複合物DPPC及びPGを成分として用いる
ことが好ましい。一般的に有用なプロペラントは、室温
におけるガスを圧縮したものである。また低級アルカン
及びフレオン等のフッ素化アルカンも使用し得る。エア
ロゾルは適当なバルブを備えた容器にパッケージし、そ
の内容物は放出されるまで加圧下に維持される。
合成界面活性物質はその投与型に応じ、気管チューブ
により、又はエアロゾル投与により、又はサスペンジョ
ン又は粉末の吸入ガスへの噴霧により投与される。合成
PS量は1回の投与に約1.0から約400mg/kg、好ましくは
約50mgから約500mg/kgの範囲で投与される。新生児に対
しては、一般に1〜3回の投与で十分である。成人の場
合は十分に再構成した複合体を投与し、正常な範囲内の
PO2を生成させる(ホールマン(Hallman)等、ジャーナ
ル・オブ・クリニカル・インベスチゲーション(J.Clin
ical Investigation)、70、673−682、1982)。
以下の例は本発明を説明するためのものであり、これ
を制限するものではない。
(例.) (例1)天然PS18の単離及び特性化 A.方法 (LMWアポタンパク質の精製) ヒト肺胞界面活性物質を全期半膜液から単離し、レバ
ク(Revak)等(アメリカンレヴューオブレスピラトリ
ーデシーズ(Am.Rev.Respir.Dis.)、134、1258−1265
(1986))及びホールマン(Hallman)等(ペディアト
リクス(Pediatrics)、71、473−483(1983))により
報告されている、1%n−オクチル−β−D−グルコピ
ラノシドを含むトリス−EDTAバッファ中、200ミリグラ
ム(mg)界面活性物質当り4ミリリットル(m)充填
容積のDEAE−セファセルA−50(ファルマシア、アプサ
ラ、スウェーデン)カラムにかけた。この特定のカラム
及び条件は、激しい変性を起こす有機溶媒にさらすこと
なく35000ダルトンのアポタンパク質(他の実験に使用
する)を単離するために使用した。この条件下でカラム
に結合しない脂質及びタンパク質を含むボイドボリュー
ムフラクションを回収し、等容量の2:1クロロホルム:
メタノールで抽出した。
相分離を行なう遠心後、上層を(水+メタノール)1/
2容積のクロロホルムで再抽出した。遠心後、生じた下
の有機相に最初の下層を加え、窒素気流中乾燥するまで
エバポレートした。100〜180mgのリン脂質、LMWアポタ
ンパク質及びオクチルグルコピラノシドを含むこの抽出
物を2.5mのクロロホルム:メタノール(2:1)に再び
溶解した。
LMWタンパク質及びリン脂質からオクチルグルコピラ
ノシドをうまく分離できることが分っているタカハシ
(Takahashi)等(バイオケム.バイオフィズ.リサー
チ.コミュニケーション(Biochem.Biophys Res.com
m.)135、527−532(1986)の方法に従がい、直径2.5cm
のガラスカラムに4℃で、2:1クロロホルム:メタノー
ル溶液中、38cmの高さとなるようセファデックスLH−20
を充填した。
クロロホルム:メタノール(2:1)溶液とした2mの
フラクションをカラムに乗せ、8.5m/hの流速で溶出し
た。40mバッファをカラムに流した後、リン脂質が溶
出してきた。オクチルグリコピラノシドは56〜116m領
域に現れた。
リン脂質領域を回収し、窒素雰囲気下で乾燥後、1m
のクロロホルムに溶解した。室温でガラスカラムにクロ
ロホルム中9mのバイオシル(Bio−Sil)HA(バイオラ
ド社、リッチモンド、CA州)を充填しケイ酸カラムを作
製した。サンプル(およそ50mgのリン脂質を含む)をカ
ラムに乗せ、11mのクロロホルムで洗浄した。オンラ
インモデル120AHPLCを用い、等重量のクロロホルム及び
メタノール(38.8g)(26.5mクロロホルム及び50m
メタノール)を使用してメタノールの直線濃度勾配を作
り、これで溶出した。勾配をカラムにかけつつ各2mの
フラクションを採取した。第1図は得られたタンパク質
及びリン脂質の溶出曲線を示している。
リン脂質分析はフラクション17−20に小さなピーク及
びフラクション30に大きなピークを示した。ピアスBCA
タンパク質検定はフラクション12−19及び28−33がボジ
ティブであったが、後者のピークはこの領域に存在する
リン脂質によるものであるらしいことに注意せよ。ドデ
シル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動は
SP9及びSP18の間にいくらか離れて生ずるフラクション1
3〜19に存在するLMWアポタンパク質を示した。
別に、ホーグッド(Hawgood)等により考案された方
法(プロシーディング・イン・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA85、66
−70(1987)は、PSのブタノール抽出及びそれにつづく
酸性クロロホルム/メタノールバッファ中のセファデッ
クスLH−20クロマトグラフィーを用いており、LMWアポ
タンパク質の単離に使用し得る。さらにいくつかの実験
のため、2個のLMWアポタンパク質の分離をセファデッ
クスLH−60を用いて行った。1cm径のガラスカラムに、
5%0.1N HCを含むクロロホルム/メタノール(1:
1)中のセファデックスLH−60(ファルマシァ社、アプ
サラ、スウェーデン)を40cm充填した。流速は1〜2m
/hを使用した。0.5mバッファ中の、バイオシル(Bio
−Sil)HAカラム又はホーグッド(Hawgood)等の報告し
たLH−20カラム由来の約200〜700マイクログラムのタン
パク質を含むLMWアポタンパク質混合物をカラム上端に
乗せ、0.5m毎のフラクションを回収した。一般的にSP
18タンパク質はフラクション16〜19に、そしてSP9はフ
ラクション24−29に溶出した。適当なフラクションを集
め、質素雰囲気下グラス中で乾燥した。短時間の凍結乾
燥でHCの完全な除去が保証された。タンパク質は使用
前にメタノールに溶解した。
(SDSゲル電気泳動) 16%ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、3×7cmミ
ニスラブゲルを用い、レムリ(Laemmli)(ネイチャー
(Nature)、227、680−685(1970))の方法に従がっ
てドデシル硫酸ナトリウムの存在下で行った(SDS・PAG
E)。サンプルには、ジスルフィド還元剤である1%の
β−メルカプトエタノールを添加した。電気泳動後、そ
のゲルを50%メタノール+12%酢酸中に一晩浸して固定
し、水で2時間洗浄後、レイ(Wray)等の方法(アナリ
ティカルバイオケミストリー(Anal.Biochem.)118、19
7−203(1981))に従って銀染色した。
(オクチルグルコピラノシド検定) スピロ(Spiro)(メソッズ・イン・エンザイモロジ
ー(Methods Enzymol.)、3−5(1966))のアンス
ロン法に基づくn−オクチル−β−D−グルコピラノシ
ドの定量法は、レバク(Revak)等(アメリカンレヴュ
ー・オブ・レスピラトリー・デシーズ(Am.Rev.Respir.
Dis.)、134、1258−1265(1986)により先に報告され
ている。
(タンパク質測定) 5μgまでのタンパク質を含む有機サンプルを窒素雰
囲気下で12×75mmガラス管中で乾燥した。15マイクロリ
ットル(μ)の1%SDS水溶液及び300μのBCAタン
パク質検定試薬(ピアスケミカル社、ロックフォード、
IL州)を各ガラス管のタンパク質に混合した。ガラス管
にカバーをし、60℃30分間インキュベートした。冷却
後、サンプルを96穴平底ポリスチレン製マイクロプレー
トに移し、OD550を測定した。標準試料としてウシ血清
アルブミンを用いた。脂質が存在するとき(すなわちバ
イオシル(Bio−Sil)HAクロマトグラフィー前)いくら
かのリン脂質はこのBcAタンパク質検定で反応し、タン
パク質定量に誤差を生じさせることに注意せよ。一度精
製してしまえば、疎水性LMWアポタンパク質自体はBCA試
薬との反応性が低く、それ故単離タンパク質の全定量値
はアミノ酸組成物に基づくものとなる。
(リン脂質) ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC、β,γ
−ジパルミトイル−L−α−レシチン)及びL−α−ホ
スファチジル−DL−グリセロール(PG、卵レシチンの誘
導体)は、カルバイオケム−ベーリング(Calbiochem−
Behring)(ラジュラ、CA州)又はアバンチポーラ−リ
ピッズ(Avanti Polar−Lipids)(バーミンガム、AL
州)から購入した。DPPCはクロロホルム中のPGに重量比
3:1の割合で添加した。
(LMWアポタンパク質とリン脂質との混合) インビトロ検定用に、12×75mmガラス管中、4μgの
SP9又はSP18を含むメタノール溶液をクロロホルム中の4
00μgDPPC:PGに添加した。簡単なボルテックス撹拌後、
サンプルをN2雰囲気下で乾燥した。各々のガラス管に90
マイクロリットルの水を加え、周期的に緩やかに撹拌し
ながら、37℃の水浴中で15分間インキュベートした。イ
オン強度は検定前に各サンプルに10μの9%NaClを加
えて保持した。インビボのウサギ実験用に50μgのLMW
アポタンパク質(SP9及びSP18の両方を含む)、又は25
μgSP9又は25μgSP18をN2雰囲気下で乾燥した。クロロ
ホルム中に5mgのリン脂質(DPPC:PG、3:1)を加えた。
サンプルを添加し、乾燥後、1.5mMCaCl2を含む100ミリ
モル濃度(mM)の食塩水250μ中に懸濁して0.5〜1%
タンパク質を含む20mg/mの再構成界面活性物質を生成
した。
(界面活性検定) 脈動バブルの表面張力を低める能力として検定する界
面活性のインビトロ検定及びウサギ胎児を用いたインビ
ボ検定は両方共レバク(Revak)等(アメリカン レヴ
ュー・オブ・レスピラトリーデシーズ(Am.Rev.Respir.
Dis.)、134、1258−1265(1986)により先に詳細に報
告されている。
(形態測定検定) 水柱30cmで膨張させた後、水柱10cm圧で収縮させたウ
サギ胎児の肺を10%ホルマリンに72時間浸した。パラフ
ィンセクションの上下を正しく配置し、前後に5ミクロ
ン毎に切断した。ヘマトキシリン及びエオシン染色後、
多くの断片について、上から下へ10個の視野(100×)
を計数した。各処理グループの空洞体積に対する肺間隙
組織の比を測定するため標準化形態測定法(ウェイバー
(Weiber)、“立体学的方法"1巻、アカデミックブレス
版;ニューヨーク、p33−58、1979)を用いた。肺胞周
囲の交点も測定した。
(リン脂質リン酸検定) リン脂質はバートレット(Bartlett)の方法(ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.C
hem.)、234、466−468(1959))に従がって定量し
た。
(アミノ酸分析) アミノ酸組成物に対し3個のサンプルをHCとの110
℃、24時間のインキュベーション、HCとの150℃、24
時間のインキュベーション、又は過ギ酸との110℃、24
時間のインキュベーションとそれにつづく110℃、24時
間のHCとのインキュベーションにより加水分解した。
分析はベックマンモデル121−Mアミノ酸分析機(ベッ
マンインスツルメント社、フラートン、CA州)を用い
た。トリプトファンは測定しなかった。
(アミノ酸配列決定) 蒸気相タンパク質配列決定はアプライドバイオシステ
ムズ470Aアミノ酸シークエンサーを用いて行った(アプ
ライド バイオシステムズ社、フォスターシティ、CA
州)を使用してメタノールの直線濃度勾配を作成し、こ
れで溶出を行った。
(ヒトSP18のcDNAクローンの単離) 新生物障害の外科的切除の際に得られた非罹患成人肺
組織サンプルからRNAをチャーグウィン(Chirgwin)等
の方法(バイオケミストリー(Biochemistry)18、5294
−5299(1979))に従がい調製した。二体鎖cDNAの調製
は標準的手法を用いて行ない(チャーグウィン(Chirgw
in)等、上述及びエフストラチアジス(Efstratiadis)
等“遺伝子工学”ステロー(Stelow)及びホレンダー
(Hollaender)編プレナムプレス版、ニューヨーク、
、15−49(1979)、またライブラリーは、レボク(Le
Bouc)等の方法(F.E.B.S.レターズ(Letters)、19
6、108−112(1986))に従がいラムダNM607で構築し
た。SP18クローンはアプライドバイオシステムズ社の自
動合成機を用いて合成し、かつHPLCで精製した合成オリ
ゴヌクレオチドプローブでファージプラークをスクリー
ニングすることにより同定した(ベントン(Benton)
等、サイエンス(Science)、196、180−182(1977)。
最初のクローン候補は小さいヒト界面活性アポタンパク
質cDNAの部分的ヌクレオチド配列に由来する(シリング
(Schilling)等国際特許出願WO86/03408)プローブTG9
96(5′CATTGCCTGTGGTATGGCCTGCCTCC3′)を用いて得
た。より大きいクローン(1.5kbまで)は大元のクロー
ンの1つの5′側配列に基づくプローグTG1103(5′TC
GAGCAGGATGACGGAGTAGCGCC3′)を用いて単離した。cDNA
クラーンのヌクレオチド配列は適当なM13ベクターにサ
ブクローニングしたEco R1制限フラグメントを用いチェ
ーンターミネーション法(サンガー(Sanger)等、プロ
シーディング・イン・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA、74、5463−54
67(1977))により決定した。
B.結果 (LMWアポタンパク質の特性) ヒト羊水から単離したLMWアポタンパク質はケイ酸ク
ロマトグラフィー又はホーグッド(Hawgood)等により
報告されているセファデックスLH−20カラムクロマトグ
ラフィー(プロシーディング・イン・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)US
A、85、66−70(1987))の後、非環元条件下のSDSポリ
アクリルアミドゲル電気泳動において2個のタンパク質
バンドとして出現する。見かけの分子量18,000ダルトン
の上側バンドはダイマーであり、従ってSP18ダイマーと
命名した。β−メルカプトエタノールの添加によりSP18
ダイマーは還元されて9000ダルトンのものになり、これ
をSP18モノマーと命名した(第3図)。SP9と命名した
もう1つのLMWアポタンパク質は還元剤の存在下又は非
存在下、9及び12,000ダルトンの間に分散した形のバン
ドとして出現する。SP9はセファデックスLH−60のクロ
マトグラフィーによりSP18ダイマー及びSP18モノマーと
分離した。これらの精製タンパク質を第3図に示す。
SP18モノマー及びSP9のアミノ酸組成を測定した。こ
れらタンパク質が極端に疎水性ため、HC加水分解は標
準の110℃24時間の加水分解に加え、さらに150℃で24時
間行ない、そして、その加水分解物の分析由来のバリ
ン、ロイシン及びイソロイシンの計算値はこの激しい条
件下で測定したものを使用した。第3表に示されている
ように、両タンパク質は高密度にバリン及びロイシンを
含む極端に疎水性のものである。
SP18モノマーのアミノ末端配列分析は以下の配列を示
した。
NH2−Phe−Pro−Ile−Pro−Leu−Pro−Tyr− 精製SP9モノマーの反復配列決定は、全てがロイシン
に富み、かつ少なくとも6個の保存的バリンを含む多重
ペプチドを示した。NH2末端分析は、調製毎に各々異な
る量比でフェニルアラニン、グリシン及びイソロイシン
を示した。
(SP18cDNAのヌクレオチド配列分析) SP18モノマーcDNAクローンのヌクレオチド配列を第1
図に示す。この配列はイヌのSP18cDNAと83%の相同性を
有していた(ホーグッド(Hawgood)等、プロシーディ
ング・イン・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン
ス(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA、85、66−70(1987)。
大きい読み枠配列中の配列は、単離したタンパク質のエ
ドマン分解で測定されたように、SP18モノマーのアミノ
末端と完全に一致するものが同定された(第3図の下線
部分)。このことは成熟SP18モノマーが、より大きい前
駆体分子のプロセシングにより生ずることを意味してい
る。成熟配列においては、単一の強力なN−グリコシル
化部位(Asnllo)は存在するが、チロシン硫酸化部位及
び35000ダルトンアポタンパク質中にみられG−X−Y
反復配列(ホワイト(White)等、アドバーンスド ペ
ディアトリクス リサーチ(A.Pediatrics Research)1
9、501−508(1985))は存在しない。
還元型SP18ダイマーのSDS−PAGEにより得られた9000
ダルトンの分子量は、アミノ末端に NH2−Phe−Pro−Ile−Pro−Leu−Pro−Tryを持つ完全な
前駆体タンパク質配列に対して予想されていたもの(19
772ダルトン)よりも低く、このことは、アミノ酸70〜9
0個の範囲でさらにプロセシングされていることを意味
している。これに基づき、残基1から81を含む推定上の
9000ダルトンタンパク質の理論的アミノ酸組成(第1
表)は、精製したSP18モノマーの測定値とよく一致す
る。前駆体タンパク質のアミノ末端部分(残基1−81)
はアルカリ性でCOOH未端部分(残基82−181)よりも疎
水性が大きい。残基1−81のカイト・ドゥーリトル指標
は9100(pI8.6)であり、また残基82−181の値は−3000
(pI5.91)である(カイト(Kyte)等、ジャーナル・オ
ブ・ペディアトリクス(J.Pediatrics)、100、619−62
2(1982))。イヌの配列におけるのと同様に(ホーグ
ッド(Hawgood)等、プロシーディング・イン・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Aca
d.Sci.)USA、85、66−70(1987))アミノ末端(残基
1−81)は三個の疎水性ドメインを含む(1〜11、22−
49及び53−74)。これらは、1個の荷電性ドメイン(残
基12〜21)及び2個の親水性かつ荷電性配列(残基47〜
54及び72〜81)中に点在している。
(LMWアポタンパク質を用いた界面活性の再構成) 400μg/100μのリン脂質(DPPC:PG3:1(重量))、
リン脂質+4μgSP9、又はリン脂質+4μgSP18を含む
サンプルを調製した。各サンプルを脈動バブルサーファ
クトメーターを用い、表面張力を低める能力について検
定した。その結果を、15秒、1分(min)及び5分の時
点における平均最小表面張力として第4表に示した。満
期羊水から単離し、4mg/mに希釈した天然のヒト界面
活性物質を比較として示した。リン脂質も、LMWアポタ
ンパク質も単独では有意な表面張力低下能を有していな
かったが、リン脂質とSP9又はSP18との混合物は有意な
活性を示した。
1重量パーセントのSP18をリン脂質と合せると、等量
の天然のヒト界面活性物質で得られる値と同等のレベル
にまで表面張力測定値を低下させた(15秒間でリン脂質
+SP18については6.3±0.2dyne/cm、天然の界面活性物
質については2.0±1.2dyne/cm)。等重量で比較するとS
P9は表面張力の低下を効果的に行なわなかった(15秒で
16.7±0.8dyne/cm)。
外因性(合成)界面活性物質活性のインビボ検定は、
Ca単独又はリン脂質、リン脂質+LMWアポタンパク
質、、又は天然ヒト界面活性物質を合せて含む食塩水を
未熟胎児ウサギの気道に注入することにより行った。こ
の動物に30分間通気してから吸引鐘中減圧下で脱気し
た。その後肺に圧力を与えて膨張させ、各圧力で必要と
される空気容積を記録した。水柱30cmの圧力からの収縮
の際の所定の圧力で必要とされる容積も同様に測定し
た。この圧力/容積曲線を精製SP9又はSP18で作った合
成界面活性物質(全リン脂質濃度の0.5%(重量))を
与えた動物及び適当なコントロール動物について第4図
に示した。天然の界面活性物質又は、食塩水又は、等重
量で比べてSP9より効果的であると思われるSP18を含む
リン脂質を与えた動物の比較から分るように各合成界面
活性物質で処理した動作においては、肺コンプリアンス
の改善は明白である。SP9及びSP18の混合物を用いて同
様の実験を行った。この結果は、第4図におけるリン脂
質+SP18の曲線とほとんど同じであった。
コンプリアンス測定につづいて、その肺を水柱30cmの
圧力で膨張させ、ついで水柱10cmの圧力で収縮させた
後、固定して切断しホルマリン固定した。この断片をヘ
マトキシリン及びエオシンで染色して顕微鏡観察した。
第5図に示したように、食塩水(A)又はリン脂質
(C)で処理した肺は拡張不全であるが、天然の界面活
性物質(B)又は再構成した界面活性物質を投与した動
物の肺は正常な肺胞拡張を示した。薄い断片の形態測定
分析は、食塩水処理では、間質/空洞比が4.70でありリ
ン脂質単独では3.29であったに対し、天然の界面活性物
質では0.498、再構成界面活性物質では0.538となること
を示した。これらのデータを第5表に示し、第5図に見
られるような空洞の有意な増加(P<0.001、マン・ウ
ィットニー(Mann−Whitney)Uテスト)と一致した。
同様に肺胞周囲の比較は、界面活性物質処理動物と比較
して、食塩水又はリン脂質処理した胎児における肺胞境
界交点数に有意な増加(P<0.003)があることを示し
た。
C.討論 本実験は、既知のリン脂質に添加して生物学的に活性
な肺胞界面活性物質を作り得る、ヒト羊水界面活性物質
から単離した2個の低分子アポタンパク質について述べ
ている。本実験のタンパク質はSP18ダイマー、SP18モノ
マー及びSP9と命名したが、最近の文献から、LMWPSアポ
タンパク質(5〜18,000ダルトンの範囲)について多く
の名称及び分子量の分類が存在することは明白である。
物理的性質の見かけの相違は、種の相違、精製度の相
違、及び取扱い技術の相違、SDSポリアクリルアミドゲ
ルにおける標準物質に基づく低分子量測定のバラツキ及
びゲル中の低分子量タンパク質バンドの脂質による強力
な妨害等を含む種々の因子によって説明し得る。
アミノ酸組成及びアミノ酸配列の比較及び特異的抗体
を用いた免疫学的分析は、LMWアポタンパク質の分類に
役立つであろう。
ここで述べられている、還元又は非還元条件下で9〜
12,000ダルトンの範囲でSDSポリアクリルアミドゲル上
に拡散したバンドを示すSP9タンパク質はおそらくフィ
セット(Whitsett)等のSAP−6(ペディアトリクスリ
サーチ(Pediatrics Research)、20、744−749(198
6))、ホーグッド(Hawgood)等のSP5−8(プロシー
ディング・イン・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA、85、66−70(198
7)、フェルプス(Phelps)等のPSP−6(アメリカン
レヴューオブ.レスピラトリーデシーズ(Am.Rev.Respi
r.Dis.)、135、1112−1117(1987))及びタカハシ(T
akahashi)等の5kDaの脂質タンパク質(バイオケム バ
イオフィズ リサーチ コミュニケーション(Biochem.
Biophys.Res.Comm.)、135、527−532(1986)と同じタ
ンパク質であると思われる。このタンパク質の極端な疎
水性は、そのアミノ酸組成(第3表)及びロイシンリッ
チ領域に先行する少なくとも6個の保存的バリンを示す
配列データから明らかである。羊水界面活性物質から誘
導したSP9調製物中の3個のアミノ末端残基(フェニル
アラニン、グリシン及びイソロイシン)の存在は、その
アミノ末端から1個又は2個の残基は欠けているが、同
一の配列を有する一群のペプチドを示している。最近、
フェルプス(Phelps)等は仔牛のPSP−6アポタンパク
質について同様の知見を報告している。
SP18ダイマーはジスルフィド結合している2個の同一
の9000ダルトンペプチド(SP9の9000ダルトンペプチド
とは異なる)から成る。SP18モノマーのアミノ酸組成
(第3表)は、多数の疎水性残基を示している。非還元
SDS−PAGEにSP18タンパクをオーバーロードしたとき、
徐々に染色強度が弱くなるバンドが36000及び56000ダル
トンのところに見られる。このことは、タンパク質のオ
リゴマー化を示している。還元条件では単一の9000ダル
トンバンドのみが見られた。
先に述べたように単離したSP9及びSP18ダイマーは、
リン脂質と組合せることにより生物学的活性をもつこと
が示された。リン脂質DPPC:PGに対して1%(重量)のS
P18の添加は直ちに表面圧を増加し、15秒間で10dyne/cm
以下に表面張力を低下させた。DPPC:SPに対し1%のSP9
の添加はわずかに低い効果を示し、15秒、1分及び5分
間で各々16.7、14.1及び12.2dyne/cmにまで表面張力を
低下させた。SP18ダイマー及びSP9の混合物も有効であ
ったが、その合成効果が付加的なものか、相乗的なもの
かを決定するにはさらに実験することを必要とする。ウ
サギ胎児モデルを用いた(シュナイダー(Schneider)
等、ジャーナル・オブ・ペディアトリクス(J.Pediatri
cs)、100、619−622、1982)を用いた再構界面活性物
質のインビボ実験は、各タンパク質同様、SP18ダイマー
及びSP9の混合物についても行った。肺コンプリアンス
の著しい改善は、リン脂質単独又は食塩水を投与した動
物と比較して、天然の界面活性物質又は、SP18ダイマー
アポタンパク質で調製した再構成界面活性物質で処理し
た動物について見られた(第4図)。SP9を用いたとき
は中間の改善がみられた。再構成界面活性物質を調製す
るのにSP18ダイマー及びSP9の混合物を用いた同様の実
験は、SP18ダイマーのみを用いたときの結果と同様の結
果を示した(第4図黒四角)。しかし、この実験におけ
るSP18ダイマーとSP9の正確な比は確認し得なかった。
第5図は界面活性物質注入後の拡張不全を含まないこと
を示す肺胞の代表的顕微鏡視野を示している。
スズキ(Suzuki)等(ヨーロピアン・ジャーナル・オ
ブ・レスピラトリーデシーズ(Eur.J.Respir.Dis.)、6
9、336−345(1986))は、ブタのLMW(<15,000ダルト
ン)界面活性物質アポタンパク質をDPPC:PG混合物に、
5:80:20(タンパク質:DPPC:PG)の重量比で添加したと
きの表面張力の減少(ウィルヘルムバランス又は脈動バ
ブルで測定)及び水柱25cmの通気圧における未成熟ウサ
ギの吸入容積の5倍の増加を報告した。このシステム中
に存在するタンパク質が1個なのか多数なのかは不明で
ある。
また35000ダルトンのアポタンパク質を用いた以前の
実験は(レバク(Revak)等、アメリカン レヴュー・
オブ・レスピラトリーディシーズ(Am.Rev.Respir.Di
s.)、134、1258−1265、1986)は、先に述べた実験に
おいてSP9を用いた場合と同様に、表面張力の中程度の
減少を示した。SP18、SP9及び35000ダルトンアポタンパ
ク質、さらにはCa++及びおそらく種々のリン脂質をも含
めて、これらの種々の組合せ及び種々の濃度を用い、こ
れら界面活性物質の種々の成分間の相互作用を説明し、
生物学的活性を示す外的界面活性物質に最適な条件を決
定するための実験をしさらに行わなければならないこと
は明らかである。
例 2 ポリペプチドの界面活性のインビトロにおける評価 a.方法 (界面活性の測定) 最小気泡半径時の気液界面の表面圧の測定(水柱の高
さ(cm)で示される負圧で表現される)は、エンホーニ
ング(Enhorning)(ジャーナル・オブ・アプライドフ
ィジオロジー(J.Appl.physiol.)、43、198−203、(1
977))により報告されている脈動バブル法を用い、経
時的に測定した。
簡単に言うと、エンホーニング・サーファクトメータ
ー(Enhorning Surfactometer)(サーファクトメータ
ーインターナショナル、トロント、オンタリオ州)で、
最大(0.55mm)及び最小(0.4mm)径の間で、20サイク
ル/minの速度で脈動する気泡の気液界面の圧力勾配(Δ
P)を測定する。37゜の水で囲まれた20μサンプル室
中で生成した気泡を顕微鏡で観察する一方、その圧力変
化を、0及び−2cmH2Oで校正したチャートレコーダーで
記録した。
(混成疎水性値の測定) 各ペプチドの混成疎水性値は、ペプチド中の各アミノ
酸残基に、ここで参考として引用しているホップ(Hop
p)等(プロシーディング・イン・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA、
78、3824−3829(1981))の第1表に記述されている各
親水性値を割振ることにより決定した。所定のペプチド
に対し、その親水性値を加算し、その合計が混成疎水性
値を表わしている。
(合成界面活性物質の調製) 各ペプチドを溶媒と混合した後、リン脂質(DPPC:P
G)3:1と合せて、以下に示す方法の1つに従がい合成界
面活性物質を作った。
方法Aでは、まず400μgのリン脂質を含むクロロホ
ルム100μと、16μのペプチド/溶媒混合物(40μ
gペプチド)を混合し、37℃で約10分間その混合物を撹
拌してペプチド/リン脂質混合物を作った。窒素雰囲気
下の乾燥により、そのペプチド/リン脂質混合物からク
ロロホルムを除去した。このようにして生成した合成界
面活性物質を90μのH2Oと混合し、38℃で約10分間緩
やかに撹拌した。つづいて、10μの9%NaClを界面活
性物質含有溶液に添加した。
方法Bでは、まずガラス管中に400μgのリン脂質を
含む100μのクロロホルムを入れ、37℃で約10分間、N
2下で乾燥することによりクロロホルムを除去した。ペ
プチド/溶媒混合物16μ及びH2O74μを、その乾燥
リン脂質に混合し、37℃で約10分間緩やかに撹拌した。
このようにして生成した合成界面活性物質に10μの9
%NaClを混合した。
方法Cでは、まずポリペプチド−PL混合物を43℃に10
分間維持し、その後N2下の乾燥によりその混合物からク
ロロホルムを除去した。必要な場合は、さらにその混合
物を減圧下で15分間乾燥し、乾燥ポリペプチド−PL混合
物を作った。それから4又は10mg/m(第7表に指示さ
れている)の最終PL濃度を与えるのに必要とされる体積
の90%に等しいと計算される量の水を、各乾燥混合物に
混合し、第2の混合物を作った。この第2混合物を撹拌
しながら43℃に1時間維持した。つづいて望ましいPL濃
度を与えるのに必要とされる体積の10%に等しい体積の
6%NaClをその第2混合物に混合し、この最終混合物を
43℃に10分間維持した。ほとんどの場合、この最終混合
物は、3回の凍結融解サイクルからなる最終ステップ操
作を作った。
B.結果 第6表に示されている合成界面活性物質は、表中に指
示されているように調製した。
(1) 各ポリペプチドは、溶媒μ当り2.5μgペプ
チド濃度となるように指定の溶媒と混合した。
(2) 文字は、使用した合成界面活性物質調製法を示
している。
(3) 各ペプチドの混成疎水性値は、先に述べたよう
に測定したものである。
第6表に示されている合成界面活性物質は、各々、先
に述べたエンホーニング(Enhorning)の“バブル検定
法”を用いインビトロで表面張力を減少させる能力によ
り証明される界面活性の検定を行った。
第6図に示されているように、本実験結果は、医薬的
に許容し得るリン脂質と混合した時、本ポリペプチド
は、より低いΔP値により証明されるように、リン脂質
単独よりも、より大きい界面活性を有する合成肺胞界面
活性物質を生成する。一般的に、ポリペプチドを用いる
と、10%〜80%より低いΔP値が得られる。本発明の範
囲が従がわない8個のアミノ酸残基からなるコントロー
ルペプチドp74−81は、リン脂質単独の場合よりもより
大きい活性を有する合成PSを生成せず、このことは、ア
ミノ酸残基長が重要な性質であることを示していること
に注意が必要である。
本発明の別の代表的ポリペプチドの界面活性も上述の
“バブル検定法”を用いて測定した。この実験結果を以
下の第7表に示す。
各ポリペプチドを、溶媒m当り2.5mgポリペプチド
の濃度となるように指示されている溶媒と混合した。生
じた混合物について、溶液又は不溶性ポリペプチドのサ
スペンジョンのいずれが生成しているかを観察した。サ
スペンジョンを生成している混合物についてはさらに10
秒間の水浴超音波処理を行ない、ガラスピペットを用い
たピペッティングに適した微細サスペンジョンにした。
各ペプチドを溶媒と混合後、ガラス管中で、クロロホ
ルム中のリン脂質(PL)、DPPC:PG、3:1と混合し、その
結果添加したポリペプチド量は、添加したPL量の10分の
1(10%(重量))となり、以下方法A.B又はCに従っ
て合成界面活性物質を生成した。
それから各合成界面活性物質について、先に述べたバ
ブル検定におけるインビトロでの表面張力の減少能で証
明される界面活性の検定を行った。圧力勾配(ΔP)は
先に述べたエンホーニングサーファクトメーターを用い
て計測されるポリペプチド−PL最終混合物の界面活性の
尺度となる。測定値は15秒(15″)、1分(1′)及び
5分(5′)の時点で計測し、指示したポリペプチド−
PL混合物の3回の独立した測定値の平均値として示され
ている。PL単独(PL)及び天然のヒト界面活性物質の同
様なサンプルについての圧力勾配測定値もコントロール
として計測した。本実験結果を第7表に示す。
(1) ペプチド、溶媒及びPLの当初の混合物が溶液又
はサスペンジョンのいずれであるかが示されている。
(2) 文字は、使用した合成界面活性物質調製法を示
している。“+”は、その最終混合物を、3回の凍結融
解サイクルからなる最終ステップ操作を行ったことを示
しており、“−”はその操作を行なわなかったことを示
している。
(3) 最終混合物のリン脂質(PL)濃度(“Conc",)
は、混合物ミリリットル当りのPLミリグラム(mg/m)
で表わされている。
(4) 圧力勾配は、例2で述べたエンホーニングサー
ファクトメーターを用いて計測したポリペプチド−PL最
終混合物の界面活性の尺度である。測定値は15秒(1
5″)、1分(1′)及び5分(5′)の時点で計測
し、指示されているポリペプチド−PL混合物の3回の独
立した測定値の平均値として表わされている。またPL単
独及び天然のヒト界面活性物質に関する同様のサンプル
についての圧力勾配測定値も示してある。
(5) これらの溶液は20mg/mPL濃度となるように調
製し、テスト前に10mg/mに希釈した。
これらの結果は、医薬的に許容し得るリン脂質と混合
した場合、本ポリペプチドが所定の圧力当りより高い体
積で示されるように、リン脂質単独よりも大きい界面活
性を有する合成肺胞界面活性物質を生成することを示し
ている。
例 3 合成界面活性のインビボにおける評価 A.方法 (合成界面活性物質の調製) まず本ポリペプチドを例2に述べたように溶媒と混合
した。さらにこの混合物をリン脂質(PL)と混合し、そ
の結果添加したポリペプチド量が以下に示されているよ
うに添加したPL量の3%、7%又は10%(重量)となる
ようにした。最終的ポリペプチド−PL混合物(合成界面
活性物質)は、この最終混合物が、最終混合物m当り
20mgリン脂質を含むこと以外、例2の“合成界面活性物
質の調製”セクションに詳しく述べたように最終凍結融
解ステップを用い、方法Cに従って生成した。
(注入プロトコール) (プロトコール1):ウサギ胎児を、気管に例3Aで調製
した合成界面活性物質又は例1で述べたように調製した
天然界面活性物質(NS)2mg又は2mgのPLを含む0.1mの
溶液を注入することにより処理した。
(プロトコール2):各成分を次に示す順序(1)0.05
m空気、(2)0.1mの例3Aで調製した合成界面活性
物質、又は2mPL又は2mg天然界面活性物質を含む溶
液、(3)0.1mの空気、で含む一本のシリンジからの
気管への注入により、合成界面活性物質をウサギ胎児に
注入する。
(プロトコール3):1つのシリンジから例3Aで述べたよ
うに調製した合成界面活性物質の0.1m部分標本(又は
2mgNS又は2mgPL)を先に述べたようにウサギの気管に注
入し、つづいて第2のシリンジから0.05mのラクテー
トリンガーズ溶液及び0.2m空気を注入した。
(プロトコール4):1つのシリンジから例3Aで述べたよ
うに調製した合成界面活性物質0.1m、0.15m空気、
0.1m食塩水及び0.3m空気を先に述べたように気管に
注入した。つづいて、0.3m空気を2回注入した。
(プロトコール)5:ウサギ胎児を、気管に、次に示す注
入順序(1)例3Aで調製した合成界面活性物質又は4mg
天然界面活性物質又は4mgPLを含む0.2m溶液、(2)
0.15m空気、(3)0.1m生理食塩水及び(4)0.3m
空気、で4成分を含む1本のシリンジから、注入する
ことにより処理した。それから上述の注入を第1の注入
から15分後に繰り返した。
(プロトコール6):ウサギを、第1注入につづいて連
続して2回0.3mの空気を注入し、かつ15分合成の第2
の注入を行なわないこと以外、プロトコール5で述べた
のと同様に処理した。
(界面活性を研究するためのウサギ胎児モデル) 本発明の代表的ポリペプチドの界面活性を、以下に示
す例外は別に、先にレバク(Revak)等により詳細に報
告されている方法(アメリカン・レヴュー・オブ・レス
ピラトリー・ディシーズ(Am.Rev.Respir.Dis.)、13
4、1258−1265(1986))に従がい測定した。
27日間妊娠ウサギ胎児を帝王切開により取り出した後
直ちに0.05mノーキュロン(Norcuron)(オルガノン
社、NJ州)を注入し自然呼吸を防いだ。その後、ウサギ
胎児の体重を測定し、ついで小さなカニュールを気管切
開により気管内に挿入した。上述のように調製した合成
界面活性物質を、先の注入プロトコールの1つを用い
て、ウサギ胎児の肺に注入した。
注入後そのウサギをベンチレーター(ベビーバード、
ベビーバード社、パームスプリング、CA州)に連結した
特製のプレチスモグラフ(セレスコ伝達器を含む)に入
れ、その注入した肺を、ピーク吸入圧25cmH2O、最終排
気圧4cmH2O及び吸入時間0.5秒のサイクルを毎分30サイ
クルの速度で通気した。いくつかの実験においては、こ
の通気操作を通して種々の時点で動的コンプライアンス
測定を行った。他の場合には、通気後、静的・コンプラ
イアンス測定を行った。
静止コンプライアンス測定は通気から30分後に行っ
た。この動物をベンチレーターから取り出し、ついで、
減圧下の吸引鐘中−20cmH2Oでその肺の脱気を行った。
その後、まず気管切開管に連結したT形コネクターを介
して肺を膨張させ、ついで収縮させた。この膨張及び収
縮相の間、5、10、15、20、25及び30cmH2Oの静止圧に
到達するのに必要な空気容積を測定し、静的コンプライ
アンスの尺度として静止圧/容積曲線を作った。
プレチスモグラフを用い、60分の通気時間を通して種
々の時点の動的コンプライアンス測定を行った。コンピ
ュータによるデータ解析で各時点における、体重キログ
ラム当りcmH2O当りの空気容積mで表わされるコンプ
ライアンスデータを作った。コンプライアンスは以下の
式で計算した。
ΔPtp =(C-1)・(ΔV)+(R)・(F) Ptp =移動肺胞圧 C =圧力に対する弾性成分に関する体積変化) R =抵抗(圧力に対する流動に関する) F =流 動 V =容積=時間に関する流動の積分値 上述の式は、C及びRに関する多重線型回帰で解け
る。コンプライアンス(C)は肺の弾性を表わしてお
り、また抵抗(R)は、肺に出入りする気体の流動に対
する抵抗に打勝つのに必要な圧力を表わしている。
B.結果 注入プロトコール1及び5を用いた静的コンプライア
ンスデータを各々第7図及び第8図に示す。1つの例外
を除いて、リン脂質単独(PL)で処理した肺と比較し
て、天然界面活性物質又はテストした合成界面活性物質
で処理した全ての肺で肺コンプリアンスの改善が見られ
た。p1−15を用いて調製した合成界面活性物質(第7
図)は、静的コンプライアンスで測定した場合、PL単独
の場合よりも改善された肺コンプライアンスを示さなか
った。
動的コンプリアンス実験の結果を第8表に示す。
第8表に示されているように、本発明の合成界面活性
物質及び天然界面活性物質はリン脂質単独の場合と比べ
て動的コンプライアンスを改善した。
C.討論 インビボのコンプライアンス実験は、本発明の多数の
代表的合成界面活性物質は、リン脂質単独の場合と比較
してコンプライアンスを増加させることを示している。
従って、医薬的に許容し得るリン脂質と混合した時、本
発明のタンパク質及びポリペプチドは、リン脂質単独の
場合よりも大きい界面活性を有する合成界面活性物質を
生成する。これらの合成界面活性物質の使用は、インビ
ボにおいてコンプライアンスを改善するのに有利であ
る。
例 4 肺上皮細胞へのC末端ペプチドの結合実験 A.方 法 (ペプチド結合検定) SP18の残基74−80(VLRCSMD)を有するペプチドを125
Iを用い(ニューイングランドニュクリア社、34.1モル/
m、28.0ng/mg、75μCi/m)ボルトン・ハンター法
(ボルトン(Bolton)等、バイオケミカル ジャーナル
(Biochem.J.)、133、529−538、1973)により放射性
ラベルした。
ヒトの肺胞上皮細胞(ヒト肺がん細胞、ATCC参照番号
CCL185、一般にA549細胞として知られている。)を6穴
組織培養皿中集密化するまで増殖した。本実験には以下
の溶液を使用した。
PBS/BSA 10mMリン酸ナトリウム+0.15M NaCl+0.5%BSA pH7.4 溶解バッファ 1% SDS水溶液 F 溶 液 5m PBS/BSA+51.56μgコールドペプチド D 溶 液 2.5mPBS/BSA+87μ125I−ペプチド D1/5溶液 0.5mD+2.0m PBS/BSA D/125溶液 0.5mD1/5+2.0m PBS/BSA E 溶 液 2.5mPBS/BSA+87μ125I−ペプチド+20.78μg コールドペプチド E1/5溶液 0.5mE+2.0m PBS/BSA E1/25溶液 0.5mE1/5+2.0m PBS/BSA 以下の溶液0.5mと22℃、15分間インキュベーション
することにより、3枚の6穴プレートを前処理した。偶
数番号のウェルはPBS/BSAで前処理し、また奇数番号の
ウェルはF溶液で前処理した。前処理溶液を除去後、以
下に示す溶液0.5mを入れ、22℃で指示した時間、緩や
かに揺らしながらそのウェルをインキュベーションし
た。
ウェル サンプル インキュベーション時間(分) 1 D 7 2 E 7 3 D1/5 7 4 E1/5 7 5 D1/25 7 6 E1/25 7 7 D 30 8 E 30 9 D1/5 30 10 E1/5 30 11 D1/25 30 12 E1/25 30 13 D 143 14 E 143 15 D1/5 143 16 E1/5 143 17 D1/25 143 18 E1/25 143 インキュベーション時間の終りに、上清を各ウェルか
ら取り出し、計数用に保存した。各ウェルは、冷(4
℃)PBS/BSAで4回洗浄した。洗浄液は計数用に保存し
た。その後プレートを室温に戻してから各ウェルに1m
の溶解バッファを入れた。全ての細胞が溶解し、プレー
トから遊離するまで(3〜4分間)プレートを緩やかに
振盪した。各ウェルから溶液を取り出し、計数した。溶
解バッファ2mを各ウェルに入れ、数分間混合後、結合
カウント数の計数用に取り出した。結合カウントの割合
及び絶対値を測定した。
特異的結合カウント値は非ラベル(コールド)ペプチ
ドを含むウェル中の結合カウントをコールドペプチドな
しの対応するウェルにおける結合カウントから引くこと
により求めた。この結果を以下の第9表に示す。
操作は以下のように条件を変化させて繰り返した。
D1=1433μPBS/BSA+167μ125I−ペプチド〔1.78pmol/500μ〕 D2=183.3μPBS/BSA+336.7μD1〔1.19pmol/500μ〕 D3=275μPBS/BSA+275μD1〔0.89pmol/500μ〕 D4=366.7μPBS/BSA+183.3μD1〔0.59pmol/500μ〕 D5=458.3μPBS/BSA+91.7μD1〔0.30pmol/500μ〕 D6=513.3μPBS/BSA+36.7μD1〔0.12pmol/500μ〕 E1=1386.24μPBS/BSA+167μ125I−ペプチド〔4.676ng〕 +46.76μコールドペプチド(100μg/m)〔4.676μg〕 E2−E6 D2−D6について上述したように希釈した。
F =3.398m PBS+102.29μコールドペプチド(100μg/m) 2枚の6穴プレートを1mPBS/BSAで1回洗浄した。
偶数番号のウェルはPBS/BSAで前処理し、奇数番号のウ
ェルはF溶液で前処理した、前処理溶液除去後、以下の
溶液を添加した。ウェル サンプル ウェル サンプル 1 D1 7 D4 2 E1 8 E4 3 D2 9 D5 4 E2 10 E5 5 D3 11 D6 6 E3 12 E6 緩やかに揺らしながら室温で30分間その溶液をインキ
ュベーションした。その後上清を除去し計数用に保存し
た。各ウェルを0.5mの冷PBS/BSAで4回洗浄し、その
洗浄液は計数用に保存した。各ウェルに1mの1%SDS
を加え細胞を可溶化した。3分後、全ての細胞はプレー
トから遊離するのを見ることができた。溶解細胞含有上
清を、2回目のSDSウェル洗浄液と合せて計数した。全
カウント数及び結合カウント数の割合を測定した。特異
的結合値はコールドペプチド含有ウェル中の結合カウン
トを、コールドペプチドなしのウェル結合カウントから
引くことにより測定した。その結果を第10表に示す。
B.結果 結合実験の結果を以下の第9表及び第10表に示す。
C.討論 第9表のデータから分るように、この実験は、非ラベ
ルペプチドにより競合的に阻害されることから分るよう
に、本ペプチドは特異的に細胞に結合することを示して
いる。しかし、この細胞は本実験で使用したラベル化ペ
プチド量では飽和していない。さらに、本ペプチドの分
解が143分で起こっていた。
第2の実験は、細胞飽和を起こさせるため、30分のイ
ンキュベーション時間及びラベル化ペプチド量の増加条
件下で行った。第10表に見られるように、再び特異的結
合が示された。さらに、高濃度のラベル化ペプチドにお
ける結合カウント数の平ばいから示されるように飽和が
達成された。
このように結合実験により、本発明のC末端ペプチド
は肺上皮細胞に特異的に結合することが示された。
特定の態様及び例を含む以上の明細は本発明の説明を
意図するものであり、これを制限するものではない。多
くの変化及び修飾が本発明の真の精神及び範囲を逸脱す
ることなしに行い得る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12N 15/09 ZNA A61K 37/02 C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 レーヴァック スーザン ディ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92122 サン ディエゴ カスケード ストリート 6561 (56)参考文献 J.Phys.Chem.,Vol. 91(1987)p.4219−4228 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/785 C07K 7/06 - 7/08 A61K 37/02 WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】10〜60個のアミノ酸残基を含有し、一般
    式: (ZaUbcZd (式中、Zは、R、D、E及びKからなる群から独立に
    選ばれる親水性アミノ酸残基であり、 Uは、V、I、L、C、Y及びFからなる群から独立に
    選ばれる疎水性アミノ酸残基であり、 aは、1から5の平均値を有し、 bは、3から20の平均値を有し、 cは、2から10の値を有し、かつ dは、1から3の値を有する。) で表わされる、疎水性及び親水性アミノ酸残基の交互領
    域を有することを特徴とするポリペプチド。
  2. 【請求項2】10〜60個のアミノ酸残基から実質的にな
    り、一般式: (ZaUbcZd (式中、Zは、R、D、E及びKからなる群から独立に
    選ばれる親水性アミノ酸残基であり、 Uは、V、I、L、C、Y及びFからなる群から独立に
    選ばれる疎水性アミノ酸残基であり、 aは、1から5の平均値を有し、 bは、3から20の平均値を有し、 cは、2から10の値を有し、かつ dは、1から3の値を有する。) で表わされる、疎水性及び親水性アミノ酸残基の交互領
    域を有することを特徴とするポリペプチド。
  3. 【請求項3】 からなる群から選ばれるアミノ酸残基配列を有すること
    を特徴とするポリペプチド。
  4. 【請求項4】Zが、R又はDである請求項1に記載のポ
    リペプチド。
  5. 【請求項5】Uが、C又はLである請求項1に記載のポ
    リペプチド。
  6. 【請求項6】aが、1又は2であり、bが、4〜8であ
    り、cが、2〜4であり、そして、dが、1又は2であ
    る請求項1に記載のポリペプチド。
  7. 【請求項7】請求項1に記載のポリペプチドと混合され
    る医薬的に許容し得るリン脂質を含有し、前記リン脂質
    単独の場合に比べて、界面活性が大きいことを特徴とす
    る肺胞界面活性物質。
  8. 【請求項8】請求項2に記載のポリペプチドと混合され
    る医薬的に許容し得るリン脂質を含有し、前記リン脂質
    単独の場合に比べて、界面活性が大きいことを特徴とす
    る肺胞界面活性物質。
  9. 【請求項9】請求項3に記載のポリペプチドと混合され
    る医薬的に許容し得るリン脂質を含有し、前記リン脂質
    単独の場合に比べて、界面活性が大きいことを特徴とす
    る肺胞界面活性物質。
  10. 【請求項10】呼吸困難症の治療に有用な治療剤の製法
    であって、1種以上の医薬的に許容し得るリン脂質を、
    請求項1に記載の治療上効果的な量のポリペプチドと混
    合することを特徴とする製法。
  11. 【請求項11】呼吸困難症の治療に有用な治療剤の製法
    であって、1種以上の医薬的に許容し得るリン脂質を、
    請求項2に記載の治療上効果的な量のポリペプチドと混
    合することを特徴とする製法。
  12. 【請求項12】呼吸困難症の治療に有用な治療剤の製法
    であって、1種以上の医薬的に許容し得るリン脂質を、
    請求項3に記載の治療上効果的な量のポリペプチドと混
    合することを特徴とする製法。
  13. 【請求項13】10〜60個のアミノ酸残基のアミノ末端及
    びカルボキシ末端配列から実質的になる複合ポリペプチ
    ドであって、前記アミノ末端配列が、少なくとも10個の
    アミノ酸残基を有しかつ0未満の複合疎水性を有し、 前記カルボキシル末端配列が、 (式中、Zは0か1の値をもつ整数であり、Zが0のと
    き、サブスクリプト付きのD残基は存在せず、また、Z
    が1のとき、サブスクリプト付きのD残基が存在する)
    複合ポリペプチドであって、前記アミノ酸残基配列が、
    さらに、一般式: (ZaUbcZd (式中、Zは、R、D、E及びKからなる群から独立に
    選ばれる親水性アミノ酸残基であり、 Uは、V、I、L、C、Y及びFからなる群から独立に
    選ばれる疎水性アミノ酸残基であり、 aは、1から5の平均値を有し、 bは、3から20の平均値を有し、 cは、1から10の値を有し、かつ dは、1から3の値を有する。) で表わされる疎水性及び親水性アミノ酸残基の交互領域
    を有することを特徴とする複合ポリペプチド。
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