JPH1125966A - アルカリ二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

アルカリ二次電池用正極活物質の製造方法

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JPH1125966A
JPH1125966A JP9175434A JP17543497A JPH1125966A JP H1125966 A JPH1125966 A JP H1125966A JP 9175434 A JP9175434 A JP 9175434A JP 17543497 A JP17543497 A JP 17543497A JP H1125966 A JPH1125966 A JP H1125966A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高エネルギー密度のアルカリ二次電池用正極
活物質を製造する方法を提供する。 【解決手段】 水酸化ニッケルを主成分とし、粒子表面
にコバルト化合物を被覆した粉末を、加熱および撹拌手
段の備えられた気密容器内に投入し、次に粉末を撹拌し
ながらアルカリ水溶液を容器に投入する。これに引き続
き気密容器内に加熱空気を送り込んでコバルト化合物を
高次コバルト化合物とする方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高容量のアルカリ
二次電池に用いる事ができる正極活物質の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、アルカリ二次電池は、携帯機器の
普及に伴いその高容量化が要望されている。特にニッケ
ル−水素二次電池は、水酸化ニッケルを主体とした活物
質からなる正極と、水素吸蔵合金を活物質とした負極か
らなる二次電池であり、高容量で高信頼性の二次電池と
して急速に普及してきている。
【0003】以下に従来のアルカリ二次電池の正極につ
いて説明する。
【0004】アルカリ二次電池用の正極としては、大別
して焼結式と非焼結式とがある。前者はニッケル粉末を
焼結して得た多孔度80%程度の多孔質ニッケル焼結基
板に、硝酸ニッケル水溶液等のニッケル塩溶液を含浸
し、次いで、アルカリ水溶液に浸漬するなどして多孔質
ニッケル焼結基板中に水酸化ニッケル活物質を生成させ
て製造するものである。この電極は基板の多孔度をこれ
以上大きくする事が困難であるため、充填される活物質
量を増加させる事ができず、高容量化には限界がある。
【0005】また後者の非焼結式正極としては、例え
ば、特開昭50−36935号公報に開示された、ニッ
ケル金属よりなる三次元的に連続した多孔度95%以上
のスポンジ状多孔体基板に、活物質である水酸化ニッケ
ルを充填するものであり、これは現在高容量の二次電池
の正極として広く用いられている。この非焼結式正極に
おいては高容量化の点から、球状の水酸化ニッケルを多
孔体基板に充填することが提案されている。これはスポ
ンジ状多孔体基板の孔部(ポア)サイズは200〜50
0μm程度であり、このポアに粒径が数μm〜数10μ
mの球状水酸化ニッケルを充填するものである。この構
成では、導電ネットワークが保たれるニッケル金属骨格
近傍の水酸化ニッケルは充放電反応がスムーズに進行す
るが、骨格から離れた水酸化ニッケルの反応は十分に進
まない。そこで、この非焼結式正極では充填した水酸化
ニッケルの利用率を向上させるために、活物質である水
酸化ニッケル以外に導電剤を用いて、これで球状の水酸
化ニッケル粒子間を電気的に接続させている。この導電
剤としては、水酸化コバルト、一酸化コバルトのような
コバルト化合物や、金属コバルト、金属ニッケル等が用
いられる。これにより、非焼結式正極では活物質を高密
度に充填することが可能となり、焼結式正極に比較し高
容量化が図れる。
【0006】またさらに、高容量で過放電特性に優れサ
イクル特性向上への市場要望にあわせた、高容量ニッケ
ル−水素二次電池用正極活物質の製造方法として、コバ
ルト化合物を活物質である水酸化ニッケルに被覆し、そ
のコバルト化合物をアルカリ酸化処理することにより高
次コバルト酸化物にする方法が特開平8−148145
に、その製造方法の改良が特開平9−73900公報に
開示されている。この方法は、コバルト化合物で被覆し
た水酸化ニッケル粉末を加熱空気中で流動化させるか分
散させながら、アルカリ水溶液を噴霧する方法である。
これにより従来外部添加剤としてコバルト化合物を添加
していた製造方法に比較して活物質利用率、高率放電特
性等の電池特性を向上させ、高エネルギー密度のアルカ
リ二次電池を製造することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
開公報に記載された方法で製造されたアルカリ二次電池
用正極活物質では、水酸化ニッケル活物質の表面に被覆
したコバルト化合物の酸化状態は不十分であり、さらに
改良の余地が残されている。
【0008】水酸化ニッケル活物質の表面を被覆したコ
バルト化合物を効率よく、さらに高次のコバルト化合物
にすることにより、アルカリ二次電池における活物質の
利用率向上、高率放電特性の向上、耐過放電特性を向上
させることができる。
【0009】前述のコバルト化合物を効率よく高次酸化
物に酸化するためには、酸化させる状態を制御すること
により可能となる。コバルト化合物の酸化は、酸化温
度、アルカリ溶液の濃度、酸化雰囲気の酸素供給量と酸
化時間が重要なパラメータとなる。この酸化反応はコバ
ルト化合物、つまりここでは水酸化コバルトの酸化であ
るが、水酸化コバルトの酸化は2つのプロセスが考えら
れる。一つ目のプロセスは水酸化コバルトをアルカリ溶
液中に入れると、二価のコバルト錯イオン(HCo
2 -)として溶解する。このコバルト錯イオンは酸素が
存在すると三価のオキシ水酸化コバルト(CoOOH)
に酸化されて析出物として析出する。この反応を式で示
すと(式1),(式2)で示される。
【0010】
【式1】 Co(OH)2 + OH- = HCoO2 - + H2
【0011】
【式2】 HCoO2 - + 1/2H2O + 1/402 = CoOOH + OH- 二つ目のプロセスとしては、二価の水酸化コバルトをア
ルカリと酸素が存在する雰囲気で水を生成しながら固相
反応的に酸化して三価のオキシ水酸化コバルトに酸化す
るプロセスである。この反応を式で示すと(式3),
(式4)となる。
【0012】
【式3】 Co(OH)2 + OH- = CoOOH + H2O + e-
【0013】
【式4】 1/402 + 1/2H2O + e- = OH-した
がって効率よく水酸化コバルトを酸化させるためには、
前記プロセスをうまく制御する必要がある。一つ目のプ
ロセスは水酸化コバルトのアルカリ溶液中の溶解度に依
存する。水酸化コバルトのアルカリ溶液中の溶解度はア
ルカリ溶液の濃度に依存するが、60℃で高々数100
ppmである。従って、水酸化コバルトをアルカリ溶液
中で完全に溶解させるためには大量の溶媒であるアルカ
リ溶液が必要になる。従ってこの反応のみで、高次のオ
キシ水酸化コバルトに酸化させることは、極めて困難で
ある。またこの反応において溶解したコバルト錯イオン
は、酸素が不足していると、Co34で示されるよう
な、十分に酸化の進んでいない導電性の低い酸化物にな
ってしまう。
【0014】二つ目のプロセスであるが、アルカリ共存
下で酸素を供給すると、水酸化コバルトは酸化してオキ
シ水酸化コバルトに変化する。そのとき酸素共存下では
まず(式4)の反応が起り、(式3)の反応は連続的に
起って水酸化コバルトの酸化が起るわけである。この反
応をスムーズに進めるためにはOH-濃度を高くするこ
とと、生成した水を反応系から適度に除去することであ
る。
【0015】以上のように何れの反応とも水と酸素が重
要な働きをすることが明らかである。従って水と酸素を
うまくコントロールすることによりのみ、所望とする高
次コバルト酸化物を生成することが可能となり、高エネ
ルギー密度のニッケル−水素二次電池を提供することが
できる。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の正極活物質の製造方法は水酸化ニッケルを
主成分とし、Co,Mn,Fe,Al,Cr,Zn,M
g,Cuの群から選ばれた1種類以上の元素を固溶した
粒子表面にコバルト化合物を被覆した粉末を、加熱およ
び撹拌手段の備えられた気密容器の壁面を加熱しておい
てその内部に投入する工程と、粉末を撹拌しながらアル
カリ水溶液を容器に投入する工程と、引き続き気密容器
内に加熱空気を送り込む工程を備えたことを特徴とする
ものである。
【0017】気密容器に加熱手段と撹拌手段を備えてい
るのは、コバルト化合物を被覆した水酸化ニッケル粉末
を気密容器の内表面と効率よく接触させること、および
気体(ここでは空気)伝導により熱を効率的に伝達し
て、反応温度に粉末を加熱するためである。この工程に
より水酸化ニッケルは、均一に温度が上昇して所定の温
度にすることができる。つぎに水酸化ニッケル粉末を撹
拌しながらアルカリ水溶液を投入する。この工程では撹
拌しながらアルカリ水溶液を滴下することにより、水酸
化ニッケル粉末にアルカリ水溶液を均一に混合させるこ
とができる。引き続きおこなう加熱空気の送り込みは、
コバルトの酸化反応で生成した過剰の水を効率よく系外
に排出するとともに、酸素を必要十分量反応系に供給す
ることを目的としている。また加熱した空気を送り込む
もう一つの理由は、過剰の水が蒸発する際に蒸発潜熱が
うばわれ、反応表面での温度の低下を補うために空気を
加熱している。
【0018】本発明の製造方法によれば、酸化雰囲気を
制御することにより従来より高次なコバルト化合物を製
造することができ、高エネルギー密度で電池特性の優れ
たニッケル−水素二次電池を製造することが可能とな
る。
【0019】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、水酸化
ニッケルを主成分とし、Co,Mn,Fe,Al,C
r,Zn,Mg,Cuからなる群より選ばれた1種類以
上の元素を固溶した粒子表面にコバルト化合物を被覆し
た粉末を、加熱および撹拌手段の備えられた、加熱状態
の気密容器内に投入する工程と、粉末を撹拌しながらア
ルカリ水溶液を容器に投入する工程と、引き続き気密容
器内に加熱空気を送り込む工程を備えたことを特徴とす
るものである。
【0020】請求項2は気密容器の加熱温度が90〜1
30℃である事を特徴とするものである。密閉容器を加
熱する温度は酸化反応を制御する上で必要な熱を粉末並
びにアルカリ溶液に与えるためであり、温度が90℃以
下では蒸発した水もしくはアルカリミストが密閉容器壁
面で結露して粉末が凝集、固化してしまう。したがって
温度は90℃以上でなければならない。また、130℃
以下にするのは130℃を越える温度では、反応が激し
く起りコバルト被覆層と水酸化ニッケル界面で溶解した
コバルト錯イオンがニッケル内へ拡散して、水酸化ニッ
ケル活物質表面の結晶を乱し、利用率が低下するためで
ある。
【0021】請求項3はアルカリ水溶液の濃度を限規定
するものであり、40重量%よりも大とするものであ
る。本発明の酸化反応はアルカリ水溶液の沸点近くで起
る反応であるため、アルカリ溶液中の水の蒸発速度は早
い。しかしながら本発明の酸化反応のプロセスの一つと
しては、水酸化コバルトがアルカリ水溶液に溶解して、
コバルト錯イオンが生成し、更にこのイオンが酸素と反
応して高次コバルト化合物になる反応であるため溶液量
は多いほうがよい。従ってアルカリ水溶液の濃度が高い
ほど沸点が上昇して蒸発速度が遅くなるため、所定の温
度での液量を増加させることができる。またもう一つの
酸化プロセスとしてはOH-濃度が高いほうが酸化はす
すむため、やはりアルカリ溶液の濃度は高いほうが良
い。
【0022】請求項4はアルカリ水溶液の種類を限定す
るものであり、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウ
ムの単独もしくは混合水溶液である事を特徴とする。
【0023】図1に本発明で用いた反応装置の概観断面
図を示す。
【0024】1は気密容器、2は加熱手段、3は混合撹
拌羽根、4は撹拌羽根の回転手段であり、例えばモータ
である。5は加熱空気を気密容器に導入するための配
管、6は送風機7とヒータ8からなる加熱空気の送風手
段である。この送風手段には空気の送風量、温度、湿度
のコントロール機能が備えられている。9は排気のため
の配管、10は排風を処理するための排風処理手段であ
り、排風機11及び排風の量、温度、湿度を測定する機
能を備えている。12はアルカリ水溶液を気密容器内へ
導入するための導入口で、近くに注液制御用のバルブが
設けてある。
【0025】
【実施例】
(実施例1)図1を用いて更に詳しく動作を説明する。
アルカリ二次電池用正極活物質として、水酸化コバルト
で表面を被覆した水酸化ニッケルを用いた。水酸化コバ
ルトの被覆量は、水酸化ニッケルの重量に対して10w
t%とした。
【0026】アルカリ水溶液は水酸化ナトリウム水溶液
で濃度45wt%のものを用いた。
【0027】まず始めに、気密容器の壁内に備えられた
加熱手段2によって気密容器の内壁表面温度を100℃
とした。次に、気密容器内に水酸化コバルトで被覆した
水酸化ニッケルを1kg投入した。回転手段4で、撹拌
羽根3を回転させ、水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル
を撹拌した。次に、撹拌羽根3を回転させたままアルカ
リ水溶液導入口12から、濃度45wt%の水酸化ナト
リウム水溶液を80cc投入した。その後バルブを閉じ
た。2分間ほど撹拌した後、加熱手段を備えた送風機7
で115℃の加熱空気を気密容器に送り込んだ。この時
の送風量は2.5m3/minで湿度は0.01(kg
2O/kgdry−air)とした。この状態で約3
0分間加熱空気を送り込んだところ、ほぼ乾燥状態にな
り、反応も終了した。乾燥状態は、排気側の温度および
湿度をモニタすることによって確認した。
【0028】このプロセスにより得られた粉末は、凝集
粒のない均一にコバルトが酸化された活物質であった。
得られた粉末は、過剰のアルカリ成分を含んでいるため
水洗を行なって正極の活物質とした。得られた粉末をA
とする。
【0029】(比較例)図2に回分式流動乾燥装置の概
略図を示す。
【0030】13は円筒状の装置筐体である。14は装
置筐体内に加熱空気を送り込むための送風機で、15は
送風空気を加熱するためのヒータ、16は送風機と筐体
を接続する配管である。17は粉体を撹拌するための撹
拌羽根、18は撹拌羽根を回転させるための、例えばモ
ータからなる回転手段である。19はアルカリ水溶液を
噴霧するための2流体ノズルで、20はアルカリ溶液を
噴霧する際の圧縮空気を移送する配管、21はアルカリ
水溶液を移送する配管、22はアルカリ水溶液を貯蔵す
るタンクと、圧縮空気を作るコンプレッサーである。2
3は粉体を流動させる際の気流の整流板である。24は
粉体が流動した際に微粒子が筐体外部へ排出されないよ
うにするためのフィルタである。25は筐体13内部の
空気を排気するため筐体と排風機26を接続する配管で
ある。
【0031】本装置を用いた場合の動作を更に詳しく説
明する。
【0032】アルカリ二次電池用正極活物質として、水
酸化コバルトで被覆した水酸化ニッケルを用いた。水酸
化コバルトの被覆量は水酸化ニッケルの重量に対して1
0wt%とした。アルカリ水溶液は水酸化ナトリウム水
溶液で濃度45wt%のものを用いた。
【0033】まず始めに、筐体内に水酸化コバルト被覆
水酸化ニッケルを1kg投入した。次に撹拌羽根17を
回転手段18によって回転させる。つづいて、送風機1
4と排風機26とを動かし円筒形の筐体13内に上昇気
流を発生させる。この時ヒータ15で送風空気を加熱し
た。整流板を通った加熱空気は、投入された水酸化コバ
ルトで被覆した水酸化ニッケル粉末を流動化させること
になる。粉末が流動化している状態で2流体ノズルから
所定量のアルカリ水溶液を噴霧する。噴霧し終わるまで
にアルカリ水溶液は粒子の表面に浸透して加熱空気との
作用により、表面の水酸化コバルトは高次酸化物にな
る。噴霧終了後更に15分程度、加熱空気中で流動させ
る。その後、装置を停止させて粉体を筐体から取り出し
た。得られた粉末は、過剰のアルカリ成分を含んでいる
ため水洗を行なって、正極の活物質とした。得られた粉
末をBとする。
【0034】(電池としての実施形態)正極活物質とし
て粉末A,Bを用いた。
【0035】正極基板には発泡メタルを用いた。この発
泡メタルに、粉末AとBにそれぞれポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)の0.5wt%と水を加えペース
トを調整して充填した。その後乾燥し、引き続き圧延し
た。正極板の寸法は高さ35mm、幅120mm、圧延
後の厚さは0.78mmとした。この正極の理論容量
(水酸化ニッケルが1電子反応であると仮定して289
mAh/gとして計算する)は1600mAhであっ
た。
【0036】次に負極は、AB5型水素吸蔵合金と、炭
素材1wt%と、PTFEを1wt%と水を加えて調整
したペーストをパンチングメタルに塗布し、乾燥した
後、圧延した。負極板の寸法は高さ35mm、幅145
mm、圧延後の厚みは0.39mmとした。この電極の
理論容量(水素吸蔵合金の単位重量当りの電気量は28
0mAh/gとして計算する)は2900mAhであっ
た。
【0037】セパレータにはポリプロピレン製の不織布
を用いた。
【0038】上記の正極、負極、セパレータを正極、セ
パレータ、負極、セパレータの順に配置して全体を渦巻
状に巻き、4/5Aサイズの電池ケースに挿入し、アル
カリ電解液を所定量注液した後、封口板で封口して密閉
型ニッケル−水素二次電池を形成した。ここで用いた電
解液は7〜8規定の水酸化カリウム水溶液を用いた。
【0039】粉末Aを用いた電池を電池A、粉末Bを用
いた電池を電池Bとする。
【0040】この電池を160mAで15時間充電し、
1時間放置した後、320mAで放電電圧1Vになるま
で放電した。このサイクルを2回行なった後、45℃の
温度雰囲気で3日間エージングを行なった。エージング
後、20℃の温度雰囲気下で160mA、15時間充電
し1時間放置した後、320mAで放電電圧1Vになる
まで放電した時の放電容量から求めた利用率(実際の放
電容量/正極理論容量の百分率)は電池Aでは105
%、電池Bでは100%であった。
【0041】耐過放電試験として、1600mAで72
分間充電し、60分間放置した後、1600mAで放電
電圧1Vになるまで放電した。このサイクルを5回行っ
た5サイクル目の容量を初期容量とする。これらの容量
を確認した電池A,Bに1Ωの抵抗を接続したまま45
℃の環境に1ヶ月間保管した。保管した電池A,Bを常
温に戻した後、初期容量確認と同じ充放電を行なった。
これらの容量をそれぞれの電池の初期の容量で割った百
分率を容量回復率とする。容量回復率は、電池Aではほ
ぼ100%であるのに対し、電池Bではほぼ90%で、
電池Aの活物質利用率、高率放電特性、容量回復率が優
れている。
【0042】
【発明の効果】以上のように本発明のアルカリ二次電池
用正極活物質の製造方法で得られた活物質を用いたニッ
ケル−水素二次電池では、高容量化が可能になるととも
に、耐過放電特性を飛躍的に向上させることができ、工
業的価値は計り知れない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる反応装置の概観断面図
【図2】比較例にかかる回分式流動乾燥装置の概略図
【符号の説明】
1 気密容器 2 加熱手段 3 混合撹拌羽根 4 撹拌羽根の回転手段 5 配管 6加熱空気送風手段 7 送風機 8ヒータ 9 配管 10 排風処理手段 11 排風機 12 導入口 13 筐体 14 送風機 15 ヒータ 16 配管 17 撹拌羽根 18 回転手段 19 2流体ノズル 20,21 配管 22 タンク、コンプレッサー 23 整流板 24 フィルタ 25 配管 26 排風機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 文生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 湯浅 浩次 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸化ニッケルを主成分とし、Co,M
    n,Fe,Al,Cr,Zn,Mg,Cuからなる群よ
    り選ばれた1種類以上の元素を固溶した粒子表面にコバ
    ルト化合物を被覆した粉末を、加熱および撹拌手段が備
    えられ壁面を加熱した気密容器内に投入する工程と、粉
    末を撹拌しながらアルカリ水溶液を容器に投入する工程
    と、引き続き気密容器内に加熱空気を送り込む工程を備
    えたことを特徴とするアルカリ二次電池用正極活物質の
    製造方法。
  2. 【請求項2】前記気密容器の加熱温度が90〜130℃
    である事を特徴とする請求項1記載のアルカリ二次電池
    用正極活物質の製造方法。
  3. 【請求項3】前記アルカリ水溶液の濃度が40重量%よ
    りも大であることを特徴とする請求項1記載のアルカリ
    二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 【請求項4】前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム
    もしくは水酸化カリウムの単独もしくは混合水溶液であ
    る事を特徴とする請求項3記載のアルカリ二次電池用正
    極活物質の製造方法。
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