JPH11256292A - 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents
缶胴用アルミニウム合金板の製造方法Info
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- JPH11256292A JPH11256292A JP7654498A JP7654498A JPH11256292A JP H11256292 A JPH11256292 A JP H11256292A JP 7654498 A JP7654498 A JP 7654498A JP 7654498 A JP7654498 A JP 7654498A JP H11256292 A JPH11256292 A JP H11256292A
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Abstract
性に優れ、かつ深絞り耳率が安定して低いAl合金板の
製造方法を提供する。 【解決手段】 Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜
2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.
5%を含有するAl合金を鋳造後、均質化処理を施し、
さらに熱間圧延にあたり、開始温度380〜580℃、
終了温度200〜330℃、終了板厚1.0〜7.0m
mとし、熱延終了直後の熱延板の室温までの平均冷却速
度を100℃/時間以下として、室温で再結晶率90%
以下、耐力70MPa以上の熱延板を得、さらに2〜2
5%の1次冷間圧延後、連続焼鈍もしくはバッチ焼鈍を
施してから、60%以上の最終冷間圧延を行なう。
Description
しごき加工)による2ピースアルミニウム缶用の缶胴、
すなわちDI缶胴に用いられるAl−Mg−Mn系アル
ミニウム合金板の製造方法に関し、特に深絞り耳が低く
かつ塗装焼付後の強度が高く、しかもDI加工時の成形
性および塗装焼付後の成形性に優れたDI缶胴用アルミ
ニウム合金板の製造方法に関するものである。
程としては、缶胴素材に対して深絞り加工およびしごき
加工によるDI成形を施して缶胴形状とした後、所定の
サイズにトリミングを施して脱脂・洗浄処理を行ない、
さらに塗装および印刷を行なって焼付け(ベーキング)
を行ない、その後、缶胴縁部に対してネッキング加工、
フランジング加工を行ない、その後、別に成形した缶蓋
(缶エンド)と合せてシーミング加工を行なって缶とす
るのが通常である。
(缶胴材)としては、従来からAl−Mg−Mn系合金
であるJIS 3004合金の硬質板が広く用いられて
いる。この3004合金は、しごき加工性に優れてい
て、強度を高めるために高圧延率で冷間圧延を施した場
合でも比較的良好な成形性を示すところから、DI缶胴
材として好適であるとされている。
板の製造方法としては、DC鋳造法などによって鋳造
後、鋳塊に対し均質化処理を施し、さらに熱間圧延およ
び冷間圧延を施して所定の板厚とし、かつその過程にお
ける冷間圧延前あるいは冷間圧延中途において中間焼鈍
を施す方法が一般的である。
料コスト低減、軽量化の目的から、より薄肉化を図るこ
とが強く望まれている。そしてこのように薄肉化を図る
ためには、薄肉化に伴なって生じる缶の座屈強度低下の
問題を回避するため、材料の高強度化を図ることが不可
欠である。
うな薄肉化を図るための高強度化の要請ばかりではな
く、DI成形時における耳率が低いことが強く望まれ
る。すなわち、DI成形時の耳率が低いことは、DI成
形時の歩留りの向上と、缶胴の耳切れに起因する缶胴破
断の防止の点から必要とされている。さらに、耳率を如
何に制御するかによって、強度、フランジ成形性、耳率
のバランスに影響を及ぼすことになるから、耳率制御は
缶胴材にとって極めて重要な課題となっている。
な缶胴材製造方法では、耳率を抑えるにも限界があり、
例えば絞り比1.9において耳率を3%以下に抑えるこ
とは困難であった。
方法が、既に例えば特開平5−317914号、特開平
9−249932号において提案されている。
7914号においては、冷間圧延中途において2回焼鈍
を行なう方法が提案されているが、このように冷間圧延
中途において2回焼鈍を行なった場合、最終冷間圧延の
圧延率を大きくとれないため、強度不足が生じやすいと
いう問題があるほか、製缶時の材料の加工硬化量が大き
く、フランジ成形性が悪化する問題がある。
は、熱間圧延の最終パスにおける圧延速度、減面率、お
よび熱延終了温度を厳密に規制することによって低耳率
を達成する方法が提案されており、この方法は、ある程
度は低耳率達成に有効であるが、依然として製造チャン
スによる耳率の変動は大きく、確実かつ安定して低耳率
を得るには不充分であった。
は、缶胴材に対する諸要求を全て充分に満たすことは困
難であった。
たものであって、缶胴材として望まれる諸要求を充分に
満足し得る材料、すなわち薄肉化を図った場合でも強度
とフランジ成形性に優れ、しかも深絞りにおける材料の
耳率が確実かつ安定して低い缶胴用アルミニウム合金板
を製造し得る方法を提供することを基本的な目的とする
ものである。
するべく、本願発明者等が種々実験・検討を重ねた結
果、熱間圧延上りでの熱延板の再結晶状態を適切に制御
し、かつその熱延板に対し軽度の1次冷間圧延を施して
から中間焼鈍を行なうことによって、前述の課題を解決
し得ることを見出し、この発明をなすに至ったのであ
る。
ミニウム合金板の製造方法は、Mg0.5〜2.0%、
Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si
0.05〜0.5%を含有し、さらに必要に応じて0.
005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.000
1〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよ
び不可避的不純物よりなるアルミニウム合金をスラブに
鋳造した後、そのスラブに対し520〜630℃の範囲
内の温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにスラ
ブを熱間圧延するにあたり、380〜580℃の範囲内
の温度で熱間圧延を開始し、仕上板厚1.0〜7.0m
mの範囲内まで熱間圧延して、200〜330℃の範囲
内の温度で熱間圧延を終了させ、さらに熱間圧延終了直
後の200〜330℃の範囲内の温度から室温までの平
均冷却速度を1〜100℃/時間の範囲内として、再結
晶率が体積率で90%以下、耐力が70MPa以上の熱
延板を得、その後2〜25%の範囲内の圧延率で1次冷
間圧延を行ない、さらに1〜100℃/秒の範囲内の平
均昇温速度で330〜620℃の範囲内の温度に加熱し
て保持なしもしくは10分以下の保持を行なって、1〜
100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却する連続焼
鈍を施し、その後さらに60%以上の圧延率で最終冷間
圧延を行なうことを特徴とするものである。
合金板の製造方法は、素材アルミニウム合金として、M
g0.5〜2.0%、Mn0.5〜2.0%、Fe0.
1〜0.7%、Si0.05〜0.5%を含有し、かつ
Cu0.05〜0.5%、Cr0.05〜0.3%、Z
n0.05〜0.5%のうちの1種または2種以上を含
有し、さらに必要に応じて0.005〜0.20%のT
iを単独でもしくは0.0001〜0.05%のBと組
合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
るアルミニウム合金を用い、請求項1で規定するプロセ
ス条件と同様の条件の均質化処理−熱間圧延−1次冷間
圧延−連続焼鈍−最終冷間圧延のプロセスで製造するも
のである。
ム合金板の製造方法は、素材合金として請求項1で規定
する合金と同じアルミニウム合金を用い、かつ均質化処
理−熱間圧延−1次冷間圧延を請求項1で規定する条件
で行ない、その後の焼鈍として、0.1℃/秒以下の平
均昇温速度で加熱して250〜500℃の範囲内の温度
に0.5時間以上保持して、0.1℃/秒以下の平均冷
却速度で冷却するバッチ焼鈍を施し、その後請求項1の
方法と同様に60%以上の圧延率で最終冷間圧延を行な
うものである。
ニウム合金板の製造方法は、素材アルミニウム合金とし
て請求項2で規定する成分組成と同じ成分組成の合金を
用い、請求項3で規定するプロセスで製造するものであ
る。
て、60%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なった後に
は、さらに80〜200℃の範囲内の温度で0.5時間
以上保持する最終焼鈍を施しても良く、これを規定した
のが請求項5の発明である。
られるアルミニウム合金の成分組成の限定理由について
説明する。
による強度向上に効果があり、またMgの固溶に伴なっ
て加工硬化量の増大による強度向上が期待でき、さらに
はSiとの共存によるMg2 Siの時効析出による強度
向上も期待でき、したがってMgは缶胴材として必要な
強度を得るためには不可欠の元素である。またMgは、
加工時の転位の増殖作用があるため、再結晶粒を微細化
させるためにも有効である。但しMg量が0.5%未満
では上述の効果が少なく、一方2.0%を越えれば、高
強度は容易に得られるものの、DI加工時の変形抵抗が
大きくなって絞り性やしごき性を悪くする。したがって
Mg量は0.5〜2.0%の範囲内とした。
与する有効な元素である。特にこの発明で目的としてい
る用途である缶胴材ではDI成形時にしごき加工が加え
られるため、とりわけMnは重要となる。アルミニウム
板のしごき加工においては通常エマルジョンタイプの潤
滑剤が用いられているが、Mn系晶出物が少ない場合に
は同程度の強度を有していてもエマルジョンタイプ潤滑
剤だけでは潤滑能が不足し、ゴーリングと呼ばれる擦り
疵や焼付きなどの外観不良が発生するおそれがある。こ
の現象は晶出物の大きさ、量、種類に影響されることが
知られており、その晶出物を形成するためにMnは不可
欠な元素である。Mn量が0.5%未満ではMn系化合
物による固体潤滑的な効果が得られず、一方Mn量が
2.0%を越えればAl6 Mnの初晶巨大金属間化合物
が発生し、著しく成形性を損なう。そこでMn量は0.
5〜2.0%の範囲内とした。
て、アルミニウム基地中のMn固溶量やMn系金属間化
合物の分散状態を制御するために必要な元素である。適
正な化合物分散状態を得るためには、Mn添加量に応じ
てFeを添加することが必要である。Fe量が0.1%
未満では適正な化合物分散状態を得ることが困難であ
り、一方Fe量が0.7%を越えれば、Mn添加に伴な
って初晶巨大金属間化合物が発生しやすくなり、成形性
を著しく損なう。そこでFe量の範囲は0.1〜0.7
%とした。
の析出による時効硬化を通じて缶胴材の強度向上に寄与
する。またSiは、Al−Mn−Fe−Si系金属間化
合物を生成して、Mn系金属間化合物の分散状態を制御
するために必要な元素である。Si量が0.05%未満
では上記の効果が得られず、一方0.5%を越えれば時
効硬化により材料が硬くなりすぎて成形性を阻害する。
そこでSi量の範囲は0.05〜0.5%とした。
ては、鋳塊結晶粒微細化のためにTi、あるいはTiお
よびBを微量添加することが行なわれており、この発明
においても、必要に応じて微量のTiを単独で、あるい
はBと組合せて添加しても良い。但しTi量が0.00
5%未満ではその効果が得られず、0.20%を越えれ
ば巨大なAl−Ti系金属間化合物が晶出して成形性を
阻害するため、Tiを添加する場合のTi量は0.00
5〜0.20%の範囲内とした。またTiとともにBを
添加すれば鋳塊結晶粒微細化の効果が向上するが、Ti
と併せてBを添加する場合、B量が0.0001%未満
ではその効果がなく、0.05%を越えればTi−B系
の粗大粒子が混入して成形性を害することから、Tiと
ともにBを添加する場合のB量は0.0001〜0.0
5%の範囲内とした。
向上に寄与する元素であり、必要に応じてこれらのうち
から選ばれた1種または2種以上が添加される。これら
の各元素についてさらに説明する。
中に溶体化させておき、塗装焼付処理時にAl−Cu−
Mg系析出物として析出することによる析出硬化を利用
した強度向上に寄与する。Cu量が0.05%未満では
その効果が得られず、一方Cuを0.5%を越えて添加
した場合には、時効硬化は容易に得られるものの、硬く
なりすぎて成形性を阻害し、また耐食性も劣化する。そ
こでCu量の範囲は0.05〜0.5%とした。
るが、0.05%未満ではその効果が少なく、0.3%
を越えれば巨大晶出物生成によって成形性の低下を招く
ため、好ましくない。そこでCr量の範囲は0.05〜
0.3%とした。
子の時効析出による強度向上に寄与するが、0.05%
未満ではその効果が得られず、0.5%を越えれば、強
度への寄与については問題がないが、耐食性を劣化させ
る。そこでZn量の範囲は0.05〜0.5%とした。
すれば良い。
の作用とともに説明する。
ニウム合金鋳塊を常法に従ってDC鋳造法(半連続鋳造
法)などにより鋳造する。次いでその鋳塊に対して均質
化処理を施して、鋳塊の偏析を均質化するとともにMn
系の第2相粒子サイズと分布を最適化する。均質化処理
温度が520℃未満では均質化の効果が不充分であり、
一方630℃を越えれば共晶融解のおそれがある。均質
化処理は1時間未満では均質化が不充分となる。したが
って均質化処理は520〜630℃の範囲内の温度で1
時間以上行なう必要がある。なお均質化処理時間の上限
は特に規制しないが、経済性を考慮して通常は48時間
以下にすることが好ましい。
間圧延を行なう。この熱間圧延は、通常は粗圧延とそれ
に続く仕上圧延とに区分されるが、この発明の方法の場
合、熱間圧延の開始温度条件、すなわち粗圧延の開始温
度条件と、熱間圧延の終了温度条件、すなわち仕上圧延
の上り温度条件および上り板厚条件と、仕上圧延後の室
温までの冷却速度条件を適切に規制し、さらに仕上圧延
後の室温に至った状態での熱延板の再結晶状態を適切に
制御することが極めて重要である。そこでこれらの条件
についてさらに詳細に説明する。
度)を380〜580℃の範囲内とする。熱間圧延の開
始温度は、熱間圧延中の材料の回復および再結晶の挙動
に強い影響を及ぼし、特に最終板の深絞り耳を低くする
ために必要なキューブ方位の結晶組織(キューブ方位の
結晶粒の集合体を以下キューブバンドと称する)の形成
に重要な役割を果たしている。熱間圧延開始温度が38
0℃未満ではキューブバンドの形成量が不足しやすく、
一方580℃を越えた高温で熱間圧延を開始すれば、キ
ューブバンドの形成は容易となるものの、板の表面品質
が低下する。したがって熱間圧延開始温度は380〜5
80℃の範囲内とする必要がある。
り温度)を200〜330℃の範囲内とする。熱間仕上
圧延の上り温度が200℃未満では表面品質が低下し、
また第2相粒子周辺での再結晶核生成が増加して、その
後の再結晶でキューブ方位以外の再結晶粒が多くなり、
低耳率制御に不利となる。一方上り温度が330℃を越
えれば、熱間圧延終了後室温まで冷却した状態での再結
晶率を90%以下、耐力を70MPa以上とすることが
困難となってしまう。
〜7.0mmの範囲内とする。仕上圧延の上がり板厚が
1.0mm未満では、焼鈍後の最終的な冷間圧延での圧
延率を充分に確保することが困難となり、最終板の強度
不足が生じやすい。一方上り板厚が7.0mmを越えれ
ば、焼鈍後の最終的な冷間圧延において圧延率が高くな
り過ぎ、高強度は得られず、耳率も高くなってしまう。
0℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速度を1〜
100℃/時間の範囲内、望ましくは1〜70℃/時間
の範囲内とする。熱間圧延終了直後の上り材(コイル)
の200〜330℃の範囲内の温度から室温までの冷却
過程、特に100℃までの冷却過程は、キューブ方位再
結晶粒の核生成が生じる過程であり、この間の冷却速度
が100℃/時間を越える場合には、キューブ方位再結
晶粒の核生成が不充分となり、最終板の低耳率制御に不
利となる。一方、その間の冷却速度が1℃/時間未満の
場合は、ほぼ完全に再結晶してしまい、室温まで冷却し
た状態での再結晶率を90%以下、耐力値を70MPa
以上とすることが困難となる。
延上がり板(熱延板)の再結晶率を90%以下、耐力値
を70MPa以上とする。このことは、熱延板を完全再
結晶状態とはさせずに、部分再結晶状態とすることを意
味する。熱間圧延上り板の室温まで冷却した状態での再
結晶率と耐力値の規制は、この発明の方法において重要
であり、これらの値は最終板の低耳率制御と外観欠陥に
大きな影響を及ぼす。すなわち、熱間圧延上りの200
〜330℃の範囲内の温度から室温まで冷却する間に自
己焼鈍が進んで、再結晶率が90%を越えてしまった場
合(すなわち完全再結晶状態もしくはそれに近い再結晶
状態)あるいは耐力値が70MPaを下廻ってしまった
場合(すなわち完全焼鈍状態もしくはそれに近い焼鈍状
態)には、その後の1次冷間圧延と焼鈍によるキューブ
方位の再結晶組織を拡大させる効果が得られなくなり、
そのため最終板を低耳率に制御することが困難となり、
また同時に最終板の結晶粒の粗大化を招いて製缶時の肌
荒れやフローライン等の外観欠陥が発生しやすくなる。
したがって室温まで冷却した状態での再結晶率を90%
以下、耐力値を70MPa以上に規制する必要がある。
そしてこの範囲内でも特に再結晶率は75%以下、耐力
値は90MPa以上が好ましい。なおこのように室温ま
で冷却した状態での再結晶率には、主として熱間圧延終
了温度と、熱間圧延終了温度からの室温までの冷却速
度、さらには合金の成分組成が影響を与えるから、これ
らを相互の関係のもとに適切に調整することによって室
温での再結晶率を90%以下に制御することができ、ま
た室温まで冷却した状態での耐力値には、上述ような再
結晶率と合金成分組成が影響を与えるから、前記同様に
熱間圧延終了温度、室温までの冷却速度、合金の成分組
成を相互の関係のもとに適切に調整することによって7
0MPa以上に制御することができる。
にして得られた部分再結晶状態の熱延板に対しては、圧
延率が2〜25%の範囲内の軽度の1次冷間圧延を施
す。このように部分再結晶状態の熱延板に対し軽度の1
次冷間圧延を施して熱延板に軽度の歪みを与えることに
より、その後の焼鈍でキューブ方位の再結晶粒の生成、
成長を促進させるとともにキューブ方位以外の再結晶粒
の生成、成長を抑制する効果が得られる。
延率が2%未満では、歪み量不足によりキューブ方位の
再結晶粒の生成、成長を加速する効果およびキューブ方
位以外の再結晶粒の生成、成長を抑制する効果が不充分
となり、一方圧延率が25%を越えれば、導入された多
量の歪によりキューブ方位の再結晶粒も壊されてしまう
ため、キユーブ方位再結晶粒組織を充分に得ることが困
難となり、最終板の耳率低減効果が得られなくなる。し
たがって熱延板に対する1次冷間圧延における圧延率は
2〜25%の範囲内とした。
%の1次冷間圧延を施した後には、連続焼鈍(CAL)
もしくはバッチ焼鈍によって中間焼鈍を施す。この中間
焼鈍は、材料を完全に再結晶させ、最終冷間圧延後の最
終板の耳率を低くするために必要な工程である。
用する場合、その連続焼鈍は、1〜100℃/秒の範囲
内の平均昇温速度で330〜620℃の範囲内の温度に
加熱し、保持なしもしくは10分以下の保持の後、1〜
100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却する条件と
する。ここで、平均昇温速度、平均冷却速度が1℃/秒
未満では、連続焼鈍(CAL)方式においては生産性の
著しい低下を招き、また100℃/秒を越える平均昇温
速度、平均冷却速度はキューブ方位の再結晶粒の形成に
不利となる。また加熱到達温度が330℃未満では再結
晶が生じにくく、一方620℃を越える高温では共晶融
解が生じるおそれがある。さらに330〜620℃に1
0分を越えて保持することは、連続焼鈍の生産性を阻害
する。
ッチ焼鈍を適用する場合、平均昇温速度0.1℃/秒以
下で250〜500℃の範囲内の温度に加熱し、その範
囲内の温度で0.5時間以上保持し、平均冷却速度0.
1℃/秒以下で冷却する。ここで、平均昇温速度および
平均冷却速度が0.1℃/秒を越えれば、バッチ焼鈍方
式では熱延板コイル全体を均一に加熱もしくは冷却でき
なくなる問題が生じる。また加熱保持温度が250℃未
満では完全に再結晶させることが困難となり、一方50
0℃を越える高温では再結晶核が粗大となって、製缶時
に肌荒れやフローラインなどの表面欠陥が発生しやすく
なる。また加熱保持の時間が0.5時間未満では完全に
再結晶させることが困難であり、また熱延板のコイルの
全体を均一に加熱することが困難となる。なおバッチ焼
鈍の場合の加熱保持時間の上限は特に定めないが、通常
は経済性の観点から、24時間以内とする。
鈍による中間焼鈍を施した後には、最終板厚としかつ必
要な強度を得るために冷間圧延を施す。ここで、最終の
冷間圧延率が60%未満では、加工硬化による強度上昇
が少なく、缶胴材用の最終板に必要な強度を得ることが
困難である。
のままDI成形に供しても良いが、冷間圧延板に必要に
応じて80〜200℃の範囲内の温度で0.5時間以上
の最終焼鈍を行なっても良い。この最終焼鈍は、延性の
回復による成形性の向上を目的としたものであるが、そ
の温度が80℃未満では成形性の向上効果が充分に得ら
れず、一方200℃を越えれば軟化による強度低下が大
きくなり、また焼鈍時間が0.5時間未満では成形性向
上効果を充分に得ることができない。なお焼鈍時間の上
限は特に定めないが、生産性、経済性の点からは10時
間以下が望ましい。
て、常法に従ってDC鋳造法によりスラブに鋳塊した。
その後、均質化処理を施した後、熱間粗圧延および熱間
仕上圧延によって熱間圧延を施した。熱間圧延の詳細な
条件を表2の製造番号1〜7に示す。さらに室温まで冷
却した後の熱延板に対し、表3中に示す条件で1次冷間
圧延を施した後、中間焼鈍として連続焼鈍もしくはバッ
チ焼鈍を施し、その後最終冷間圧延を行なった。なお最
終冷間圧延後、製造番号3,5の場合を除いて最終焼鈍
を施した。
ニウム合金板について、元板の機械的性質(引張強さT
S、耐力YS、伸びEL)および塗装焼付(ベーキン
グ)を想定した200℃×20分の熱処理を行なった後
の機械的性質を調べた。また元板については、ポンチ径
48mm、ブランク径93mm、クリアランス30%の
条件にてカップ深絞り試験を行なって耳率を調べた。こ
こで、強度については、塗装焼付(ベーキング)後の耐
力として、270MPa以上の値が必要であり、また耳
率については、3%を越えれば製缶中のトラブルが発生
しやすくなることが知られている。
性、口拡げ性(フランジ成形性)、シーミング性、およ
び外観欠陥について調べた。ここで、缶切れ性について
は苛酷なしごき加工を連続10,000缶行なったとき
の缶破断の発生状況を調べ、また口拡げ性については4
段ネッキング加工後のフランジ成形性を調べ、さらにシ
ーミング性については4段ネッキング加工後のシーミン
グ加工性を調べ、そしてまた外観欠陥については、DI
缶の缶胴壁の圧延方向に沿ったフローライン状の外観欠
陥およびDI方向の縦筋の発生状況を調べ、それぞれ◎
〜×で相対評価した。これらの結果を表4に示す。
ずれもこの発明で規定する成分組成範囲内の合金につい
て、この発明で規定する製造プロセス条件を満足して製
造したものであり、この場合は表5に示すように、いず
れも耳率が3%を確実に下廻って充分な低耳率を達成で
き、かつベーキング後の耐力が270MPa以上で充分
な強度を有しており、しかもDI成形性も優れているこ
とが明らかである。
発明で規定する範囲内であるが、製造プロセス条件がこ
の発明で規定する範囲から外れたものである。すなわち
製造番号6のプロセスでは、熱間圧延上り温度が340
℃であって、この発明で規定する200〜330℃の範
囲を越え、また熱間圧延終了後の室温まで冷却した状態
での再結晶率が100%であって、この発明の再結晶率
上限90%を越えるとともに、耐力値が66MPaとこ
の発明で規定する下限70MPaを下廻り、さらに1次
冷間圧延率が30%とこの発明で規定する2〜25%の
範囲を越えており、この場合は最終板の耳率が5.8%
と高く、缶切れ性と口拡げ性が劣っていた。
この発明で規定する合金のMg量下限よりも低い合金F
を用いた例であり、この場合はベーキング後の強度が低
く、また耳率も高く、缶切れ性に劣っていた。
の発明の方法によれば、DI缶胴用材料として、缶胴の
薄肉化に充分耐え得るような高強度を有すると同時に、
DI成形性、特にフランジ成形性に優れ、しかも深絞り
耳率が安定して低いアルミニウム合金板を確実に得るこ
とができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 Mg0.5〜2.0%(重量%、以下同
じ)、Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、
Si0.05〜0.5%を含有し、さらに必要に応じて
0.005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0
001〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAl
および不可避的不純物よりなるアルミニウム合金をスラ
ブに鋳造した後、そのスラブに対し520〜630℃の
範囲内の温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらに
スラブを熱間圧延するにあたり、380〜580℃の範
囲内の温度で熱間圧延を開始し、仕上板厚1.0〜7.
0mmの範囲内まで熱間圧延して、200〜330℃の
範囲内の温度で熱間圧延を終了させ、さらに熱間圧延終
了直後の200〜330℃の範囲内の温度から室温まで
の平均冷却速度を1〜100℃/時間の範囲内として、
再結晶率が体積率で90%以下、耐力が70MPa以上
の熱延板を得、その後2〜25%の範囲内の圧延率で1
次冷間圧延を行ない、さらに1〜100℃/秒の範囲内
の平均昇温速度で330〜620℃の範囲内の温度に加
熱して保持なしもしくは10分以下の保持を行なって、
1〜100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却する連
続焼鈍を施し、その後さらに60%以上の圧延率で最終
冷間圧延を行なうことを特徴とする、缶胴用アルミニウ
ム合金板の製造方法。 - 【請求項2】 Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜
2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.
5%を含有し、かつCu0.05〜0.5%、Cr0.
05〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうちの1種
または2種以上を含有し、さらに必要に応じて0.00
5〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜
0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不
可避的不純物よりなるアルミニウム合金をスラブに鋳造
した後、そのスラブに対し520〜630℃の範囲内の
温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにスラブを
熱間圧延するにあたり、380〜580℃の範囲内の温
度で熱間圧延を開始し、仕上板厚1.0〜7.0mmの
範囲内まで熱間圧延して、200〜330℃の範囲内の
温度で熱間圧延を終了させ、さらに熱間圧延終了直後の
200〜330℃の範囲内の温度から室温までの平均冷
却速度を1〜100℃/時間の範囲内として、再結晶率
が体積率で90%以下、耐力が70MPa以上の熱延板
を得、その後2〜25%の範囲内の圧延率で1次冷間圧
延を行ない、さらに1〜100℃/秒の範囲内の平均昇
温速度で330〜620℃の範囲内の温度に加熱して保
持なしもしくは10分以下の保持を行なって、1〜10
0℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却する連続焼鈍を
施し、その後さらに60%以上の圧延率で最終冷間圧延
を行なうことを特徴とする、缶胴用アルミニウム合金板
の製造方法。 - 【請求項3】 Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜
2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.
5%を含有し、さらに必要に応じて0.005〜0.2
0%のTiを単独でもしくは0.0001〜0.05%
のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純
物よりなるアルミニウム合金をスラブに鋳造した後、そ
のスラブに対し520〜630℃の範囲内の温度で1時
間以上の均質化処理を施し、さらにスラブを熱間粗圧延
およびそれに続く熱間仕上圧延によって熱間圧延するに
あたり、380〜580℃の範囲内の温度で熱間圧延を
開始し、仕上板厚1.0〜7.0mmの範囲内まで熱間
圧延して、200〜330℃の範囲内の温度で熱間圧延
を終了させ、さらに熱間圧延終了直後の200〜330
℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速度を1〜1
00℃/時間の範囲内として、再結晶率が体積率で90
%以下、耐力が70MPa以上の熱延板を得、その後2
〜25%の範囲内の圧延率で1次冷間圧延を行ない、さ
らに0.1℃/秒以下の平均昇温速度で加熱して250
〜500℃の範囲内の温度に0.5時間以上保持して、
0.1℃/秒以下の平均冷却速度で冷却するバッチ焼鈍
を施し、その後さらに60%以上の圧延率で最終冷間圧
延を行なうことを特徴とする、缶胴用アルミニウム合金
板の製造方法。 - 【請求項4】 Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜
2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.
5%を含有し、かつCu0.05〜0.5%、Cr0.
05〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうちの1種
または2種以上を含有し、さらに必要に応じて0.00
5〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜
0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不
可避的不純物よりなるアルミニウム合金をスラブに鋳造
した後、そのスラブに対し520〜630℃の範囲内の
温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにスラブを
熱間粗圧延およびそれに続く熱間仕上圧延によって熱間
圧延するにあたり、380〜580℃の範囲内の温度で
熱間圧延を開始し、仕上板厚1.0〜7.0mmの範囲
内まで熱間圧延して、200〜330℃の範囲内の温度
で熱間圧延を終了させ、さらに熱間圧延終了直後の20
0〜330℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速
度を1〜100℃/時間の範囲内として、再結晶率が体
積率で90%以下、耐力が70MPa以上の熱延板を
得、その後2〜25%の範囲内の圧延率で1次冷間圧延
を行ない、さらに0.1℃/秒以下の平均昇温速度で加
熱して250〜500℃の範囲内の温度に0.5時間以
上保持して、0.1℃/秒以下の平均冷却速度で冷却す
るバッチ焼鈍を施し、その後さらに60%以上の圧延率
で最終冷間圧延を行なうことを特徴とする、缶胴用アル
ミニウム合金板の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの請求項に記載
の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法において、 60%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なった後、さら
に80〜200℃の範囲内の温度で0.5時間以上保持
する最終焼鈍を施すことを特徴とする、缶胴用アルミニ
ウム合金板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07654498A JP3713614B2 (ja) | 1998-03-10 | 1998-03-10 | 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07654498A JP3713614B2 (ja) | 1998-03-10 | 1998-03-10 | 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11256292A true JPH11256292A (ja) | 1999-09-21 |
JP3713614B2 JP3713614B2 (ja) | 2005-11-09 |
Family
ID=13608220
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07654498A Expired - Fee Related JP3713614B2 (ja) | 1998-03-10 | 1998-03-10 | 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3713614B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001262261A (ja) * | 2000-03-22 | 2001-09-26 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 缶底成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2002053923A (ja) * | 1999-12-23 | 2002-02-19 | Reynolds Metals Co | 成形性、耐食性、及び熱間加工性の最適の組み合わせを有するアルミニウム合金、並びにその使用方法 |
JP2006152371A (ja) * | 2004-11-29 | 2006-06-15 | Furukawa Sky Kk | 鋳造割れ性に優れた食缶用アルミニウム合金 |
-
1998
- 1998-03-10 JP JP07654498A patent/JP3713614B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002053923A (ja) * | 1999-12-23 | 2002-02-19 | Reynolds Metals Co | 成形性、耐食性、及び熱間加工性の最適の組み合わせを有するアルミニウム合金、並びにその使用方法 |
JP2001262261A (ja) * | 2000-03-22 | 2001-09-26 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 缶底成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2006152371A (ja) * | 2004-11-29 | 2006-06-15 | Furukawa Sky Kk | 鋳造割れ性に優れた食缶用アルミニウム合金 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3713614B2 (ja) | 2005-11-09 |
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