JPH04276047A - 成形用アルミニウム合金硬質板の製造方法 - Google Patents

成形用アルミニウム合金硬質板の製造方法

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JPH04276047A
JPH04276047A JP5945391A JP5945391A JPH04276047A JP H04276047 A JPH04276047 A JP H04276047A JP 5945391 A JP5945391 A JP 5945391A JP 5945391 A JP5945391 A JP 5945391A JP H04276047 A JPH04276047 A JP H04276047A
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cooling
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Shinji Teruda
照田 伸二
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Sky Aluminium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、主としてアルミニウ
ム合金製の2ピース缶の材料、特に蓋材として用いられ
る成形用のアルミニウム合金硬質板の製造方法に関する
ものであり、特に塗装焼付後の強度が高くかつ成形性に
優れ、しかも缶蓋材として用いた場合にリサイクル性に
優れたアルミニウム合金板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】周知のようにアルミニウム2ピース缶の
缶体は、DI加工による缶胴(DI缶胴)と缶蓋(エン
ド)とによって組立てられている。
【0003】これらのうち、缶体の胴材としては、深絞
り性、しごき性、さらにはDI加工−焼付塗装後のネッ
キング加工性、フランジング加工性等に優れていること
が要求され、一般にはAl−Mn系の3004合金H1
9材やH39材が使用されている。近年の薄肉化の要求
に伴ない、胴材としてもより高強度化が要求されるよう
になっているが、従来の3004合金缶胴材でも焼付塗
装後の耐力で270N/mm2 以上の強度が得られる
ようになっている。
【0004】一方缶体の蓋材としては、ビールその他の
炭酸飲料用の缶体の蓋材、すなわち内圧が高くなる用途
の缶体の蓋材では、近年の薄肉化の傾向に伴ない、焼付
塗装後の耐力で300N/mm2 以上の高強度が要求
され、そこで一般にはAl−Mg系の5182合金が多
用されており、このほか特に高強度が要求されない蓋材
では5082合金や5052合金も使用され、さらにA
l−Mn系の3004合金も使用されることがある。
【0005】なおタブ材は、一般に焼付塗装を施さない
ため、特に高強度は要求されず、耐力250N/mm2
 以上で曲げ性に優れていれば良く、5182合金、5
082合金、5052合金、3004合金のいずれも上
述の強度は得られ、かつ低加工度であるため、曲げ性に
対しても特に問題はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
アルミニウム2ピース缶体の胴材としてはAl−Mn系
の3004合金が一般的であり、蓋材としては内圧が加
わる用途ではAl−Mg系の5182合金が主流である
。ところがこのように胴材に3004合金、蓋材に51
82合金を用いた場合、使用後の缶体を回収して再溶解
して、再び2ピース缶体用の材料として用いる場合(す
なわちリサイクル時)に、再生前と同じ缶胴用3004
合金および缶蓋用5182合金を溶製するためには、新
たな純アルミ地金とMg添加用の母合金、その他若干の
成分調整材料を添加して成分調整を行なわなければなら
ない不便がある。
【0007】一方、最近では缶体のリサイクルを容易に
するため、缶胴と缶蓋とを同一成分組成の合金で構成す
る所謂ユニアロイ化の試みもなされているが、この場合
最も問題となるのは、内圧が加わる用途の缶体における
蓋材である。すなわち、缶胴のDI加工に要求されるよ
うな良好な成形性を呈し得る成分組成の合金を用いて、
内圧が加わるような用途の缶体の蓋材に要求される高強
度を達成しようとした場合、蓋材としての成形性が著し
く低下してしまう。具体的には、3004合金を缶胴、
缶蓋の両者に共用しようとする提案が既になされている
が、この場合、内圧が加わる用途の缶蓋に要求される焼
付塗装後の300N/mm2 以上の強度を得るために
はH19相当以上の冷間加工が必要となり、蓋材として
の成形性が従来の5182合金と比較して著しく劣って
しまう問題があった。したがって従来は実際にはユニア
ロイ化を達成することは困難であった。
【0008】また従来から、3004合金の強度を向上
させるため、MgやCu等の強化用合金元素を増量して
高強度を達成することが提案されているが、これらの合
金元素を単純に増量しただけの場合、特に缶体の胴材と
してはDI加工性を悪化させ、さらにはDI加工後のフ
ランジ部の加工性(ネッキング成形性、フランジ成形性
)を悪化させる等の問題が生じ、そのため単純にMgや
Cuを増量することは不適当と考えられる。
【0009】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、アルミニウム2ピース缶の蓋材に必要な焼付
塗装後の強度と成形性とを兼ね備え、しかも2ピース缶
の蓋材として使用した場合に缶のリサイクルが容易な成
形用のアルミニウム合金硬質板を製造する方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するため、本発明者等が種々実験・検討を重ねた結果、
従来から胴材に使用されている3004合金に比較的近
い成分系でその成分組成を適切に設定すると同時に、連
続鋳造圧延法(薄板連続鋳造法)の如く従来の一般的な
DC鋳造法よりも凝固速度が高い急冷凝固の鋳造を適用
してMn等の固溶量を高め、かつ2回の中間焼鈍を行な
うとともにその中間焼鈍として連続焼鈍の如く高温でか
つ急熱急冷の焼鈍を適用して中間焼鈍において固溶量を
維持させ、これらによって焼付塗装後に高強度を得るこ
とが可能となり、しかも所要の高強度を得るために最終
の冷間圧延率を比較的小さくすることが可能となって成
形性を向上させることができるとともに、最終の中間焼
鈍で再結晶粒径を適切に調整することによっても成形性
を向上させ、最終的に蓋材として用いた場合のリサイク
ル性が良好でかつ焼付塗装後の高強度と優れた成形性と
を兼ね備えたアルミニウム合金硬質板が得られることを
見出し、この発明をなすに至ったのである。
【0011】具体的には、請求項1の発明のアルミニウ
ム合金硬質板の製造方法は、Mg1.2〜 3.0wt
%、Cu0.05〜 0.5wt%、Mn 0.5〜 
2.0wt%、Fe 0.1〜 0.7wt%、Si 
0.1〜 0.5wt%を含有し、残部がAlおよび不
可避的不純物よりなる合金を、50℃/sec 以上の
凝固速度で厚さ15mm以下の薄板に連続鋳造し、次い
でただちにもしくは冷間圧延を施した後、1℃/sec
 以上の昇温速度で400〜620℃の範囲内の温度に
加熱して保持なしもしくは10分以内の保持後、1℃/
sec 以上の冷却速度で冷却する1次中間焼鈍を施し
、さらに30〜85%の範囲内の圧延率で冷間圧延を施
した後、1℃/sec 以上の昇温速度で400〜62
0℃の範囲内の温度に加熱して保持なしもしくは10分
以内の保持後1℃/sec以上の冷却速度で冷却する2
次中間焼鈍を施して、平均結晶粒径が8〜80μmの範
囲内の再結晶組織とし、その後圧延率30%以上の最終
冷間圧延を施すことを特徴とするものである。
【0012】また請求項2の発明のアルミニウム合金硬
質板の製造方法は、Mg 1.2〜 3.0wt%、C
u0.05〜 0.5wt%、Mn 0.5〜 2.0
wt%、Fe 0.1〜 0.7wt%、Si0.1〜
 0.5wt%を含有し、残部がAlおよび不可避的不
純物よりなる合金を、50℃/sec 以上の凝固速度
で厚さ15mm以下の薄板に連続鋳造し、次いでただち
にもしくは冷間圧延を施した後、1℃/sec 以上の
昇温速度で400〜620℃の範囲内の温度に加熱して
保持なしもしくは10分以内の保持後、1℃/sec 
以上の冷却速度で冷却する1次中間焼鈍を施し、さらに
30〜85%の範囲内の圧延率で冷間圧延を施した後、
1℃/sec 以上の昇温速度で400〜620℃の範
囲内の温度に加熱して保持なしもしくは10分以内の保
持後1℃/sec 以上の冷却速度で冷却する2次中間
焼鈍を施して、平均結晶粒径が8〜80μmの範囲内の
再結晶組織とし、その後圧延率30%以上の最終冷間圧
延を施した後、10〜100℃/hrの昇温速度で12
0〜220℃の範囲内の温度に加熱して30分以上保持
した後10〜100℃/hrの冷却速度で冷却する最終
焼鈍を施すことを特徴とするものである。
【0013】
【作用】先ずこの発明における成分組成限定理由を説明
する。
【0014】Mg:MgはCuやSiとの共存によりM
g2 SiやAl2 CuMgを析出させて時効硬化を
もたらし、これによって強度向上に寄与するとともに、
Mgそれ自体でも固溶強化に寄与する。またMgは冷間
圧延加工時に剪断帯を発達させて再結晶粒を微細化する
にも寄与する。Mg量が 1.2wt%未満では蓋材と
して充分な強度が得られず、一方Mg量が3.0wt%
を越えれば蓋材としての強度は得られるが、成形性を悪
化させるから、Mg量は 1.2〜 3.0wt%の範
囲内とした。なおこの範囲内でも特に 1.5〜 3.
0wt%の範囲内が好ましい。
【0015】Cu:CuもMgと同様に強度向上に寄与
し、特にMgとの共存下でGPゾーンやS′相等の時効
析出による強度向上が期待できる。特にこの発明で主用
途としている2ピース缶蓋材の如く焼付塗装処理を施す
用途、とりわけ連続焼付塗装ラインの如く220〜40
0℃の高温で焼付けする場合には、中間焼鈍に連続焼鈍
を適用して溶体化効果を得て、焼付塗装処理時の時効析
出を図り、焼付塗装後の強度低下を少なくするに有効で
ある。Cu量が0.05wt%未満ではその効果が少な
く、蓋材として必要な強度を得ることが困難となり、一
方Cu量が 0.5wt%を越えれば、溶体化後に常温
でも時効してしまうため安定した強度が得られず、また
時効硬化性が大き過ぎるため材料が硬化して成形性が低
下する。したがってCu量は0.05〜 0.5wt%
の範囲内とした。
【0016】Mn:Mnはこの発明の方法の場合のよう
に固溶量が多くなる場合には強度向上に大きく寄与する
。また一般にMnは硬質板の軟化を遅らせる効果があり
、この発明のアルミニウム合金硬質板の如く焼付塗装が
施される場合には焼付塗装処理時の強度低下を少なくす
る効果がある。さらにMnはFeやSiと共存してAl
−Mn−Fe系あるいはAl−Mn−Fe−Si系等の
微細な金属間化合物を形成して適切な金属間化合物の分
散状態を得、これにより成形性を向上させる役割を果た
す。Mn量が 0.5wt%未満ではその効果が少なく
、一方Mn量が 2.0wt%を越えれば高強度は容易
に得られるものの、材料が脆くなって成形性を低下させ
る。したがってMn量は 0.5〜 2.0wt%の範
囲内とした。
【0017】Fe:Mnと同様に金属間化合物の適切な
分散状態を得て成形性を向上させる効果がある。Fe量
が 0.1wt%未満ではその効果が得られず、 0.
7wt%を越えれば成形性を劣化させるから、Fe量は
 0.1〜 0.7wt%の範囲内とした。
【0018】Si:SiはMg2 Si等の微細析出物
を生成して強度向上に寄与するが、この発明の場合はF
eおよびMnの析出を促進させて金属間化合物の適切な
分散状態を得るに寄与する。Si量が 0.1wt%未
満ではその効果が得られず、一方 0.5wt%を越え
ればその効果が飽和する。したがってSi量は 0.1
〜 0.5wt%の範囲内とした。
【0019】なお通常のアルミニウム合金においては、
鋳塊結晶粒微細化のため、Ti単独あるいはTiをBと
組合せて微量添加することがあり、この発明でも微量の
Ti、あるいはTiおよびBを添加することは許容され
る。但しTiを添加する場合その添加量が0.01wt
%未満では鋳塊結晶粒微細化の効果が得られず、一方 
0.3wt%を越えれば成形性を害するから、Tiは0
.01〜 0.3wt%の範囲内とすることが好ましい
。またTiとともにBを添加する場合、Bが1ppm 
未満ではその効果がなく、一方500ppm を越えれ
ば成形性を害するからBは1〜500ppm の範囲内
とすることが好ましい。
【0020】またこのほか、Cr,Zr,Vはいずれも
それぞれ 0.3wt%程度以下であれば、この発明の
効果を失わずに強度向上に寄与し、またZnも 1.0
wt%程度以下であれば、この発明の効果を失わずに強
度向上に寄与するから、これらの元素をそれぞれ前述の
量以下含有することは許容される。
【0021】次にこの発明における製造プロセスを説明
する。
【0022】先ず前述のような成分組成の合金溶湯を常
法に従って溶製し、50℃/sec 以上の凝固速度で
厚さ15mm以下の薄板に鋳造する。このように50℃
/sec 以上の速い凝固速度とすることによって、凝
固速度の遅い通常のDC鋳造法(半連続鋳造法)による
鋳塊と比較してMn等の遷移元素の固溶量が多くなって
固溶強化を期待することができ、またその結果、2次中
間焼鈍後の最終冷間圧延率を下げても容易に高強度が得
られるようになるため、高強度を確保しつつ成形性を向
上させることができる。ここで、鋳造板厚が15mmよ
り厚ければ、50℃/sec 以上の高い凝固速度を得
ることが容易ではなくなるため、鋳造板厚を15mm以
下とした。なおこのような凝固速度を実操業上で実現す
るためには、連続鋳造圧延法(薄板連続鋳造法)等の所
謂連続鋳造法を適用すれば良い。
【0023】このようにして得られた薄板(鋳造板)に
対しては、一旦所要の板厚まで冷間圧延してから、ある
いは冷間圧延を施さずにそのままの板厚で、1次中間焼
鈍を施す。この1次中間焼鈍は、1℃/sec 以上の
昇温速度で400〜620℃の範囲内の温度に加熱し、
その範囲内の温度で10分以内の短時間保持を行なうか
または保持せずに直ちに、1℃/sec 以上の冷却速
度で冷却する。このような急速加熱、急速冷却の中間焼
鈍は、実操業上は所謂連続焼鈍により達成できる。
【0024】ここで、1次中間焼鈍の昇温速度または冷
却速度が1℃/sec未満では、固溶したMn等の遷移
元素が析出してしまい、固溶強化が期待できなくなるか
ら、加熱速度、冷却速度は1℃/sec 以上とする。 またこの1次中間焼鈍は、逆に過度に固溶した遷移元素
を減少させる効果もある。すなわち、過度に遷移元素が
固溶している場合には、高強度は容易に得られるものの
、材料が脆くなり、特に曲げ加工時に割れを生じやすく
なり、またこの発明で主な対象としている2ピース缶の
蓋材の如く、多少なりとも絞り加工が施される用途では
深絞り耳が低いことが望まれるが、過度に遷移元素が固
溶していれば深絞り耳が高くなってしまう。そこで1次
中間焼鈍では加熱・冷却速度を1℃/sec 以上とし
て必要な固溶量を維持すると同時に、過度の固溶元素を
減少させる効果を与えている。ここで、適切な固溶量は
、Mnを目安にすれば 0.3〜 0.8wt%であり
、この範囲内の固溶量を得るためには、1次中間焼鈍温
度を400〜620℃の範囲内とする必要がある。なお
この範囲内でも特に500〜620℃の範囲内が好まし
い。ここで、上記の範囲内の温度に到達すれば直ちに冷
却しても良いが、保持する場合は、保持時間が10分を
越えれば表面酸化等の弊害が生じるおそれがあるから、
10分以内とする必要がある。
【0025】1次中間焼鈍後には、圧延率30〜85%
の範囲内で冷間圧延を施し、さらに2次中間焼鈍として
、1℃/sec 以上の加熱速度で400〜620℃の
範囲内の温度に加熱して、その範囲内の温度で10分以
内の保持を行なうかまたは保持なしで直ちに、1℃/s
ec 以上の冷却速度で冷却する焼鈍を行ない、2次中
間焼鈍による平均再結晶粒径を8〜80μmの範囲内に
調整する。
【0026】この2次中間焼鈍前の冷間圧延率が30%
未満では、2次中間焼鈍による再結晶粒径が80μmを
越えて成形性を劣化させ、一方85%を越える場合は2
次中間焼鈍による再結晶粒径が8μm未満の極端に微細
な粒径となり、エリクセン値等で表わされる伸びは劣ら
ないものの、曲げ性が悪化する。したがって2次中間焼
鈍前の冷間圧延率は30〜85%の範囲内とする必要が
ある。一方、2次中間焼鈍における加熱速度、冷却速度
は、固溶したMn等の遷移元素の析出を防止するととも
に、Cu,Mg,Si等の時効硬化に寄与する金属元素
の固溶を維持するために、いずれも1℃/sec 以上
とする必要があり、このような急速加熱、急速冷却の2
次中間焼鈍は、1次中間焼鈍と同様に、実操業上は所謂
連続焼鈍により達成される。またこの2次中間焼鈍の加
熱到達温度は、再結晶させるために400℃以上が必要
であり、一方620℃を越えれば局部的な融解が生じて
製造上問題が生じるから、400〜620℃の範囲内と
する必要がある。なおこの範囲内でも、金属元素の固溶
を維持しかつ製造上問題ない範囲として、500〜62
0℃の範囲内が最も好ましい。また上記の範囲内の温度
に到達すれば直ちに冷却しても所期の目的は達せられる
が、10分以内の保持であれば表面酸化等の弊害が生じ
るおそれはない。
【0027】上述のような2次中間焼鈍によって平均再
結晶粒径を8〜80μmの範囲内に調整した後には、最
終の冷間圧延を施し、最終板厚とする。この最終冷間圧
延の圧延率が30%未満では所望の強度が得られないか
ら、30%以上とする。ここで、この発明の方法では前
述のようにMn等の遷移元素の固溶を維持して固溶強化
を図り、さらにはCu,Mg,Si等の時効硬化に寄与
する元素の固溶を図って必要に応じてその後行なわれる
最終焼鈍での時効析出による強度向上を図っているから
、最終冷間圧延率が比較的低くても高強度が得られ、そ
こで最終冷間圧延率の下限は従来の一般的な方法よりも
低い30%としているのである。そしてこのように比較
的低い最終冷間圧延率でも高強度が得られるところから
、最終冷間圧延率をできるだけ低くして成形性を向上さ
せることができるのであり、一般には成形性を悪化させ
ないように90%以下の最終冷間圧延率が好ましい。
【0028】上述のようにして最終板厚に仕上げた後に
は、そのまま製品板としても良いが、請求項2の発明の
場合にはさらに最終焼鈍を施す。
【0029】この最終焼鈍は、10〜100℃/hrの
加熱速度で昇温して120〜220℃の範囲内の温度に
30分以上(通常は10時間以内)保持し、10〜10
0℃/hrの冷却速度で冷却する条件とする。このよう
な条件で最終焼鈍を施すことによって時効析出を充分に
行なうことができ、そのためこの発明のアルミニウム合
金板の主用途である蓋材の如く高温短時間(220〜4
00℃×5〜300sec )の焼付塗装に供される場
合にはその焼付塗装時における強度の低下を確実に防止
できる。 ここで昇温速度または冷却速度が10℃/hr未満の場
合、また加熱保持温度が220℃を越える高温の場合、
さらに加熱保持時間が10時間を越える長時間の場合に
は、いずれも回復が進んで強度が低下してしまう。一方
、昇温速度または冷却速度が100℃/hrを越える場
合、また加熱保持温度が120℃より低温の場合、さら
には加熱保持時間が30分より短時間の場合には、いず
れも充分な時効析出が進行せず、焼付塗装時における強
度低下が著しくなる。したがって最終焼鈍の条件は前述
のような範囲内とした。なおこのような条件の最終焼鈍
には、箱型焼鈍炉を用いたバッチ式の焼鈍を適用すれば
良い。
【0030】以上のように、各プロセス条件、特に鋳造
条件(凝固速度)、1次および2次中間焼鈍条件、各冷
間圧延条件を適切に調整することによって、従来2ピー
ス缶胴材に用いられていた3004合金よりも格段に高
い強度を有しかつ従来2ピース缶蓋材として用いられて
いた5182合金と同程度の高強度を有する硬質板、す
なわち蓋材として充分な強度を有する硬質板を得ること
ができる。そして特に2次中間焼鈍後の最終冷間圧延率
が比較的低くても高強度が得られるところから、蓋材に
要求される充分な成形性をも確保することが可能となっ
たのである。したがってこの発明により得られる硬質板
は2ピース缶の蓋材に最適であるが、この発明による硬
質板の成分組成は従来から胴材として使用されている3
004合金の成分組成に近いため、2ピース缶蓋材に使
用すれば、缶胴材に近い成分組成となり、その結果アル
ミニウム缶のリサイクルを容易化することができる。ま
た缶胴材に同じ成分組成の合金板を用いて2ピース缶の
ユニアロイ化を図り、より一層のリサイクル容易化を図
ることも可能である。
【0031】
【実施例】表1に示すようなこの発明の成分組成範囲内
の符号Aの合金について、連続鋳造圧延法により凝固速
度100℃/sec で連続鋳造して板厚6mmの鋳造
板とし、表2の製造番号2〜5に示す工程・条件を適用
した。また従来の蓋材として用いられている5182合
金に相当する符号Bの合金については、DC鋳造法によ
り凝固速度10℃/sec で鋳造し、表2の製造番号
6に示す工程・条件で処理した。すなわち製造番号1,
2の場合は、連続鋳造板に冷間圧延を施してから連続焼
鈍により1次中間焼鈍を施し、さらに中間冷間圧延、連
続焼鈍による2次中間焼鈍、最終冷間圧延、最終焼鈍を
その順に施した。また製造番号3の場合は、最終焼鈍を
行なわなかった点以外は製造番号1,2の場合と同様な
工程を適用した。さらに製造番号4の場合は、連続鋳造
板に対して、冷間圧延(表2中には中間冷間圧延として
示す)を行なってから連続焼鈍による1回のみの中間焼
鈍(表2中には2次中間焼鈍として示す)を行ない、そ
のまま最終焼鈍なしで仕上げた。また製造番号5の場合
は、製造番号4の場合の連続焼鈍による中間焼鈍に代え
て箱型焼鈍炉による1回のみの中間焼鈍を行なった。そ
して製造番号6の工程は従来の一般的な蓋材製造プロセ
スであって、この場合は、DC鋳塊に対して常法に従っ
て熱間圧延を施してから1回のみの連続焼鈍による中間
焼鈍(表2には2次中間焼鈍として示す)を施し、最終
冷間圧延後、最終焼鈍を施した。
【0032】以上のような各工程中、2次中間焼鈍後の
平均結晶粒径(再結晶粒径)を調べた。また最終的に得
られた各板について、連続焼付塗装に相当する熱処理と
して、オイルバスによる270℃×20sec の熱処
理を施し、この連続焼付塗装相当熱処理後の板について
、圧延方向に対して45°方向の耐力(すなわち一般に
面内各方向のうち耐力値が最低となる方向の耐力)を調
べるとともに、成形性評価として、曲げ性、局部伸び性
を調べ、さらに製蓋性を調べたので、その結果を表3に
示す。
【0033】なおここで曲げ性は0.15mmRの18
0°曲げ試験を行ない、従来の蓋材である5182合金
(製造番号6)についての評価を良(○印)とし、それ
より若干劣る場合に△印、大幅に劣る場合に×印を付し
た。また局部伸び性は、リベット成形、ディンプル成形
、曲げ成形の総合評価を表わすものであって、直径2m
m、先端曲率半径1mmの球頭ポンチを用い、ダイス板
上に試験材料板を載置してプレス成形を行ない、かつポ
ンチ長さを 1.0mm〜 1.9mmまで 0.1m
mごとに10段階に変化(この10段階をポンチ長さの
短い方から順にランク1、ランク2、……ランク10と
する)させ、割れが発生した段階の1段階手前のランク
を表3中に記載した。したがってランクの数値が大きく
なるほど局部伸びは良好となる。さらに製蓋性は、実際
に2ピース缶の蓋に成形する実験を1万個について行な
い、割れ等の成形不良の発生の有無を調べ、従来の蓋材
である5182合金(製造番号6)の場合と同等以上の
場合に○印を、それより劣る場合に×印を付した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】表3に示すように、この発明の方法による
場合(製造番号1、製造番号3)には、焼付塗装後の耐
力として蓋材として充分な300N/mm2 以上の高
強度が得られると同時に、成形性も従来の5182合金
と同程度以上に優れていた。一方製造番号2の比較例は
、1次中間焼鈍と2次中間焼鈍との間の冷間圧延率が低
かったものであるが、この場合には再結晶粒が粗大とな
り、曲げ性、局部伸び性が若干劣っていた。また製造番
号4の比較例は、中間焼鈍後を1回しか行なわず、かつ
その中間焼鈍前の冷間圧延率が高かったものであるが、
この場合は再結晶粒径が著しく微細となって曲げ性が著
しく悪化した。さらに製造番号5の比較例は、中間焼鈍
を1回のみしか行なわず、かつその中間焼鈍を徐熱、徐
冷却の箱型焼鈍炉で行なったものであり、この場合は耐
力300N/mm2 以上の高強度を得るためには中間
焼鈍後の最終冷間圧延率を90%と著しく高くせざるを
得ず、そのため成形性が大幅に劣り、製蓋性も著しく悪
くなった。
【0038】
【発明の効果】前述の実施例からも明らかなように、こ
の発明の方法によれば、従来から2ピース缶の胴材に使
用されている3004合金に近い成分系で、焼付塗装処
理後の強度として従来の蓋材に用いられている5182
合金と同程度以上の高い強度を有すると同時に成形性に
も優れたアルミニウム硬質板を得ることが可能となった
。そしてこの発明の方法により得られた硬質板の成分組
成は、一般に2ピース缶の胴材に使用されている300
4合金の成分組成に近いため、これを2ピース缶の蓋材
に使用すれば、アルミニウム缶のリサイクルが従来より
も著しく容易となる効果も得られる。
【0039】なおこの発明の方法により得られたアルミ
ニウム合金硬質板は、2ピース缶の蓋材に最適であるが
、もちろん2ピース缶の胴材に用いて2ピース缶のユニ
アロイ化を達成することも可能であり、さらには他の焼
付塗装処理を施して用いられる成形加工用の用途にも適
用し得ることはもちろんである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  Mg 1.2〜 3.0wt%、Cu
    0.05〜0.5wt%、Mn 0.5〜 2.0wt
    %、Fe 0.1〜 0.7wt%、Si 0.1〜 
    0.5wt%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純
    物よりなる合金を、50℃/sec 以上の凝固速度で
    厚さ15mm以下の薄板に連続鋳造し、次いでただちに
    もしくは冷間圧延を施した後、1℃/sec 以上の昇
    温速度で400〜620℃の範囲内の温度に加熱して保
    持なしもしくは10分以内の保持後、1℃/sec 以
    上の冷却速度で冷却する1次中間焼鈍を施し、さらに3
    0〜85%の範囲内の圧延率で冷間圧延を施した後、1
    ℃/sec 以上の昇温速度で400〜620℃の範囲
    内の温度に加熱して保持なしもしくは10分以内の保持
    後1℃/sec 以上の冷却速度で冷却する2次中間焼
    鈍を施して、平均結晶粒径が8〜80μmの範囲内の再
    結晶組織とし、その後圧延率30%以上の最終冷間圧延
    を施すことを特徴とする、成形用アルミニウム合金硬質
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】  Mg 1.2〜 3.0wt%、Cu
    0.05〜0.5wt%、Mn 0.5〜 2.0wt
    %、Fe 0.1〜 0.7wt%、Si 0.1〜 
    0.5wt%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純
    物よりなる合金を、50℃/sec 以上の凝固速度で
    厚さ15mm以下の薄板に連続鋳造し、次いでただちに
    もしくは冷間圧延を施した後、1℃/sec 以上の昇
    温速度で400〜620℃の範囲内の温度に加熱して保
    持なしもしくは10分以内の保持後、1℃/sec 以
    上の冷却速度で冷却する1次中間焼鈍を施し、さらに3
    0〜85%の範囲内の圧延率で冷間圧延を施した後、1
    ℃/sec 以上の昇温速度で400〜620℃の範囲
    内の温度に加熱して保持なしもしくは10分以内の保持
    後1℃/sec 以上の冷却速度で冷却する2次中間焼
    鈍を施して、平均結晶粒径が8〜80μmの範囲内の再
    結晶組織とし、その後圧延率30%以上の最終冷間圧延
    を施した後、10〜100℃/hrの昇温速度で120
    〜220℃の範囲内の温度に加熱して30分以上保持し
    た後10〜100℃/hrの冷却速度で冷却する最終焼
    鈍を施すことを特徴とする、成形用アルミニウム合金硬
    質板の製造方法。
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