JPH11255981A - 粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物

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JPH11255981A
JPH11255981A JP7846198A JP7846198A JPH11255981A JP H11255981 A JPH11255981 A JP H11255981A JP 7846198 A JP7846198 A JP 7846198A JP 7846198 A JP7846198 A JP 7846198A JP H11255981 A JPH11255981 A JP H11255981A
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博秀 榎並
Tateo Ono
健郎 小野
Kenji Kubomoto
謙二 久保本
Katsuyuki Hioki
勝行 日置
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱老化による表面状態の変化を少なくし、そ
して低分子量有機物の揮発を少なくしてガラスの曇化を
防止した粉末スラッシュ成形に適する熱可塑性エラスト
マー組成物を提供する。 【解決手段】 粉末スラッシュ成形に使用する粉末状の
熱可塑性エラストマー組成物であり、少なくともポリプ
ロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、
吸油能に優れたエラストマーと、プロセスオイルと、脂
肪酸アミドと、そしてブルーム防止剤を含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉末スラッシュ成形
用熱可塑性エラストマー組成物に係り、詳しくは粉末ス
ラッシュ成形に必要な粉体流動性に優れ、成形後の表皮
の脱型が容易で、引張強度の優れ、特に熱老化による表
面状態の変化が小さく、また低分子量有機物の揮発が少
ない粉末スラッシュ成形に適する熱可塑性エラストマー
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】軟質の粉末材料を用いた粉末成形法とし
て、軟質塩化ビニル樹脂粉末を用いた粉末スラッシュ成
形法がインストルメントパネル、コンソールボックス、
ドアートリム等の自動車内装品の表皮に広く採用されて
いる。これはソフトな感触であり、皮シボやステッチを
設けることができ、また設計自由度が大きいこと等の意
匠性が良好なことによる。
【0003】この成形方法は、他の成形方法である射出
成形や圧縮成形と異なり、賦形圧力をかけないので、成
形時には粉末材料を複雑な形状の金型に均一付着させる
ためには粉体流動性に優れることがあり、金型に付着し
た粉体が溶融して無加圧下でも流動して皮膜を形成する
ために、溶融粘度が低いことも条件になっている。更
に、金型を冷却して成形された表皮を金型より容易に離
型できることも必要であった。
【0004】これを改善した一つの方法として、特開平
7−82433号公報には、ポリプロピレン樹脂と特定
のスチレン系熱可塑性エラストマーとを重量比70/3
0〜30/70の割合で混合したもの粉砕して用いるこ
とが提案されている。ここでは、スチレン系熱可塑性エ
ラストマーがスチレン含量20重量%以下のスチレン・
エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレ
ン含量20重量%以下のスチレン・エチレンプロピレン
・スチレンブロック共重合体、そしてスチレン含量20
重量%以下の水素添加スチレンブタジエンゴムから選ば
れたものであり、ポリプロピレン樹脂との相溶性が良好
で粉末成形に適した組成物になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この組成物で
もポリプロピレン樹脂と水素添加スチレンブタジエンゴ
ムの混合が水素添加スチレンブタジエンゴムがポリプロ
ピレン樹脂中で微分散するので、物性の低下は小さくて
表皮の素材には適している。しかし、水素添加スチレン
ブタジエンゴムが吸油能に劣るため、組成物中のオリゴ
マー成分が表面に移行して粘着性をもつ欠点はあった。
このため、粉末スラッシュ成形用に粉砕した熱可塑性エ
ラストマー粉も粘着性をもつために、ブロッキングし易
く、粉体流動性が悪くなっていた。また、表皮も金型か
ら脱型するとき、離型性が悪くなることがあった。
【0006】また、これを改善したものとしてポリプロ
ピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、吸
油能に優れたエラストマーと、プロセスオイルを含む粉
末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物が提案
されている。しかし、この組成物でスラッシュ成形した
シートは110〜120°Cの熱老化にとってシート表
面に粘着性と光沢が発生する欠点があり、更に組成物よ
り低分子量有機物が揮発して窓ガラスに付着して凝固
し、ガラスを曇化させる問題があった。
【0007】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、特に熱老化による表面状態の変化を小さくし、
そして低分子量有機物の揮発を少なくしてガラスの曇化
を防止した粉末スラッシュ成形に適する熱可塑性エラス
トマー組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1記
載の発明では、粉末スラッシュ成形に使用する粉末状の
熱可塑性エラストマー組成物であり、少なくともポリプ
ロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、
吸油能に優れたエラストマーと、プロセスオイルと、脂
肪酸アミドと、そしてブルーム防止剤を含んでいる粉末
スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0009】本願の請求項2記載の発明では、脂肪酸ア
ミドの添加量は、ポリプロピレン樹脂と、水素添加スチ
レンブタジエンゴムと、吸油能に優れたエラストマーか
らなるポリマーにプロセスオイルを加えたもの100重
量部に対して0.05〜5重量部である粉末スラッシュ
成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0010】本願の請求項3記載の発明では、ブルーム
防止剤は、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、
エチレンービニルアルコール共重合体のエチレンオキサ
イド付加物、そしてこれらのポリマーとシリカの混合物
から選ばれた少なくとも1種のポリマーである粉末スラ
ッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0011】本願の請求項4記載の発明では、ブルーム
防止剤の添加量は、ポリプロピレン樹脂と、水素添加ス
チレンブタジエンゴムと、吸油能に優れたエラストマー
からなるポリマーにプロセスオイルを加えたもの100
重量部に対して0.1〜10重量部である粉末スラッシ
ュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0012】本願の請求項5記載の発明では、ポリプロ
ピレン樹脂と水素添加スチレンブタジエンゴムが重量比
で80/20〜20/80である粉末スラッシュ成形用
熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0013】本願の請求項6記載の発明では、吸油能に
優れたエラストマーが水素添加スチレンブタジエンゴム
100重量部に対して20〜250重量部混合される粉
末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にあ
る。
【0014】本願の請求項7記載の発明では、吸油能に
優れたエラストマーがスチレン・エチレンプロピレン・
スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・エ
チレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEB
S)、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン
結晶ブロックコポリマー、エチレンプロピレンゴム、そ
してエチレン・オクテン共重合体から選ばれた少なくと
も1種以上のポリマーである粉末スラッシュ成形用熱可
塑性エラストマー組成物にある。
【0015】本願の請求項8記載の発明では、プロセス
オイルが吸油能に優れたエラストマー100重量部に対
して5〜200重量部混合される粉末スラッシュ成形用
熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明で使用するポリプロピレン
樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー、α−オレフィン
とのブロックあるいはランダム共重合体のいずれでもよ
いが、特にα−オレフィンとしてエチレンを用いたブロ
ックあるいはランダム共重合体が成形体の柔軟性の面か
らいって好ましい。また、圧力のかからない粉末スラッ
シュ成形に用いるためには、ポリプロピレン樹脂の溶融
流動性の指数としてJIS K7210により230°
Cで荷重2.16kgfで測定したMFR(メルトフロ
ーレート)が20g/10分以上であることが必要であ
る。上記ポリプロピレン樹脂は熱あるいは酸化によって
その主鎖が切断されるポリマーであり、架橋、硬化する
ポリエチレン等と異なる性質をもっており、有機過酸化
物によってその主鎖が切断され、分子量が低下する。
【0017】また、水素添加スチレンブタジエンゴム
(H−SBR)は、ポリプロピレン樹脂との相溶性に優
れており、ポリプロピレン樹脂に混練すると柔軟にな
り、折曲げや白化しにくい熱可塑性エラストマー組成物
が得られる。水素添加スチレンブタジエンゴムのスチレ
ン含有量は30重量%以下が好ましく、柔軟性に富む表
皮を得るためには5〜15重量%が適当である。H−S
BRは、スチレンとブタジエンがランダムに共重合して
いるスチレンブタジエンゴムを水素添加しているところ
が、ブロック共重合体であるSEBSと異なっている。
代表的なものとして、日本合成ゴム社製の商品であるダ
イナロンシリーズがある。ポリプロピレン樹脂とH−S
BRとの混合量は、重量比で80/20〜20/80の
割合であり、ポリプロピレン樹脂が多くなると、成形さ
れた表皮が硬くなり、一方少なくなると引張強度が低下
する。
【0018】吸油能に優れたエラストマーは、ポリプロ
ピレン樹脂と相溶性を有しており、プロセスオイルと組
成物中のオリゴマー成分を吸収する性質を有するもの
で、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックコ
ポリマー(SEBS)やスチレン・エチレンプロピレン
・スチレンブロックコポリマー(SEPS)等のスチレ
ン系ブロック共重合熱可塑性エラストマー、オレフィン
結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポ
リマー(CEBC)、エチレンプロピレンゴム(EP
R)、そしてエチレン・オクテン共重合体(POE)が
ある。
【0019】上記SEBSはスチレン・ブタジエン・ス
チレンブロック共重合体(SBS)を水素添加したもの
であり、シエル化学社製の商品であるクレイトンGシリ
ーズ、旭化成社製の商品であるタフテックHシリーズ等
が挙げられる。このSEBSではスチレン含量が増える
につれて強度が上昇するが、柔軟性が低下する。また、
同SEBSではスラッシュ成形時に溶融してスチレンハ
ードセグメントが凝集し、平滑なシート状成形体を得に
くいことがある。従って、スチレン含量は40%重量以
下がよい。
【0020】SEPSはスチレン・イソプレン・スチレ
ンブロック共重合体(SIS)を水素添加したもので、
クラレ社製の商品であるセプトンが代表的である。SE
BSと同様にスチレン含量が増えるにつれ柔軟性が低下
するために、スチレン含量は40重量%以下がよい。
【0021】尚、上記吸油能に優れたエラストマーは、
H−SBRに比べてポリプロピレン樹脂に対する相溶性
が劣っており、ポリプロピレン樹脂に混練、添加する
と、μm単位の大きさで分散するので、引張物性が低下
する傾向にある。しかし、ポリプロピレン樹脂にH−S
BRとプロセスオイルを添加した場合には、H−SBR
が吸油能に劣るため、組成物中のオリゴマー成分が表面
に移行(ブリード)して粘着性をもち、これを用いて粉
末スラッシュ成形用に粉砕したエラストマー粉も粘着性
をもつため、ブロッキングしやすくなって粉体流動性
や、また表皮も金型からの離型性に欠ける。これに吸油
能に優れたエラストマーを添加した場合には、組成物中
のオリゴマー成分とオイルを吸収してブリードを阻止す
ることができる。
【0022】上記吸油能に優れたエラストマーの添加量
は、H−SBR100重量部に対して20〜250重量
部である。20重量部未満になると、組成物中のオリゴ
マー成分とオイルを充分に吸収できなくなり、また25
0重量部を越えると、ポリプロピレン樹脂との分散が悪
くなり、引張物性が低下する。
【0023】また、本発明では、プロセスオイルを添加
することにより組成物中のエラストマー成分に吸収され
て溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下げ、柔軟
性をもたせる効果がある。上記プロセスオイルはゴム用
に使用されるものであり、パラフィン系、ナフテン系、
アロマ系に分類されるが、エラストマー成分との相溶性
によりパラフィン系が好ましい。添加量は吸油能に優れ
たエラストマー100重量部に対して5〜200重量部
が好ましい。200重量部を越えると、引張物性が低下
し、5重量部未満になると、溶融粘度が下がらず表皮が
硬くなる。
【0024】使用する脂肪酸アミドはRCONHR’
(R、R’はいずれも水素あるいは炭素数10以上のア
ルキル基である。)の化学構造をもち、各種の脂肪酸と
アンモニアあるいはアルキル化アミンにより合成され
る。飽和脂肪酸モノアミド、不飽和脂肪酸モノアミド、
置換アミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビス
アミド、置換尿素等がある。これらの脂肪酸アミドは分
子内に長鎖アルキル基と極性の強いアミド基をもつため
界面活性効果があるので、滑剤、分散剤としての作用の
ほか低分子量物を成形シート内部に保存させる作用もあ
り、熱老化後の粘着性や光沢の発生を阻止する。
【0025】上記脂肪酸アミドの具体例としては、ラウ
リル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、ベヘニン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミド、オレ
イン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸モノア
ミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイ
ルステアリン酸アミド等の置換アミド、エチレンビスス
テアリン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド、エ
チレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミ
ド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビ
スオレイン酸アミド等の不飽和ビスアミド、N−ステア
リルN’−ステアリル尿素、N−ブチルN’−ステアリ
ル尿素等の置換尿素を挙げることができる。
【0026】脂肪酸アミドの添加量は ポリプロピレン
樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、吸油能に
優れたエラストマーからなるポリマーにプロセスオイル
を加えたもの100重量部に対して0.05〜5重量部
であり、0.05重量部未満の場合には熱老化によって
粘着性や光沢が発生し、一方5重量部を越えると脂肪酸
アミドが成形シート表面へ移行しやすくなって表面が白
くなる。
【0027】ブルーム防止剤としては、ポリエチレング
リコール、フェノール樹脂、エチレンービニルアルコー
ル共重合体のエチレンオキサイド付加物(CPO)、そ
してこれらのポリマーとシリカの混合物の少なくとも1
種を使用することができるが、特にCPOが好ましい。
このCPOは櫛形ポリマーと呼ばれる構造をもってお
り、エラストマーマトリックスと低分子量配合剤に対し
て適度な相溶性があるためにブルーム防止効果、特に低
分子量配合剤の揮発を抑制する効果がる。
【0028】ブルーム防止剤の添加量は、ポリプロピレ
ン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、吸油能
に優れたエラストマーからなるポリマーにプロセスオイ
ルを加えたもの100重量部に対して0.1〜10重量
部であり、0.1重量部未満ではブルーム防止効果が小
さく、一方10重量部を越えると引張強度が低下する不
具合が発生する。
【0029】熱安定剤としては、通常のポリオレフィン
に用いられるものが使用できる。一般的には、フェノー
ルとリン系の酸化防止剤を併用して使用するが、特に限
定されるものではない。また、光安定剤としては、ラジ
カル捕捉剤であるヒンダードアミン、ベンゾトリアゾー
ル系のものが使用されることもある。顔料は通常のオレ
フィン系に適した有機、無機のものが使用される。更
に、脂肪酸金属塩等の滑剤や炭酸カルシウム、タルク等
の充填剤等が必要に応じて添加される。
【0030】また、本発明では、有機過酸化物を添加す
ることができる。この有機過酸化物はポリプロピレン樹
脂の主鎖を切断して、ポリプロピレン樹脂の分子量を下
げて溶融流動性を上げることになり、得られた熱可塑性
エラストマー組成物に高い溶融流動性をもたせる効果が
ある。尚、ここでは、有機過酸化物を架橋剤として使用
していない。また、加熱下で混練して得られた熱可塑性
エラストマー組成物中には、有機過酸化物は熱分解して
実質的に含有されていない。
【0031】上記有機過酸化物としては、通常、ゴム、
樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサイド、
パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、2.5−ジメチル−
2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)
ベンゼン、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解による1
分間の半減期が150〜250°Cのものが好ましい。
【0032】該有機過酸化物は、120〜250°Cの
加熱下で混練する過程で、ポリプロピレン樹脂の主鎖を
切断して分子量を低下させ、熱可塑性エラストマー組成
物に高い溶融流動性をもたせる。有機過酸化物の添加量
は熱可塑性エラストマー組成物中、0.02〜5.0重
量%であり、0.02重量%未満の場合にはポリプロピ
レン樹脂の主鎖を切断する分解能力が少なく、熱可塑性
エラストマー組成物に高い溶融流動性を付与できなくな
る。一方、5.0重量%を越えると、分解が過剰にな
り、粉体成形品の引張強度等の機械的特性が低下する。
【0033】これらの配合物の混合はポリプロピレン樹
脂、H−SBR、吸油能に優れたエラストマー、プロセ
スオイル、脂肪酸アミド、ブルーム防止剤、顔料、安定
剤、滑剤等をV型ブレンダー、タンブラー、ヘンシェル
ミキサー等を用いてドライブレンドしたものを原料供給
ホッパーより供給し、プロセスオイルは120〜250
°Cの範囲に温度調節したベント口より注入し、二軸押
出機で溶融混練してペレット化する。
【0034】また、密閉式混練機であるニーダー、バン
バリーミキサー等によってエラストマー成分であるH−
SBRと吸油能に優れたエラストマーにプロセスオイル
を添加して混練し、ペレット化した後、このペレットと
ポリプロピレン樹脂に有機過酸化物、その他の配合剤を
混合して、120〜250°Cの範囲に温度調節した一
軸あるいは二軸押出機で溶融混練してペレット化するこ
ともできる。
【0035】得られたペレットの溶融粘度であるメルト
フローレート(MFR)は、JISK7210により2
50°C、0.325kgfの荷重で5g/10分以上
が好ましい。これ未満になると、組成物の溶融流動性が
小さくなって表皮にピンホールが発生する傾向がある。
【0036】ポリプロピレン樹脂、H−SBR、プロセ
スオイル、吸油能に優れたエラストマー、脂肪酸アミ
ド、ブルーム防止剤を主とする配合から得られたペレッ
ト、あるいはこれらに有機過酸化物を添加して得られた
ペレットは、ターボミル、ピンミル、ハンマーミル等の
衝撃型微粉砕機を用いて微粉砕される。この時通常では
液体窒素を用いて冷凍粉砕される。また、配合によって
は溶融樹脂をスプレあるいはディスクアトマイザーによ
って噴霧し冷却することによって粉体化することができ
る。粉砕されたものは篩い等によって粒径が少なくとも
1,000μmの篩を通過し、平均粒径が100〜80
0μmのものが集められ、これに有機あるいは無機の粉
体性改良剤を添加、混合して粉末スラッシュ成形用に使
用する。
【0037】次いで、エラストマー組成物を用いて粉末
スラッシュ成形を行う。この成形では組成物の融点以上
に加熱された型にこれを主として重力で落下させて投入
し、一定時間経過後に型を反転し、余分の組成物を回収
箱に集める。型表面には組成物が層となって付着してお
り、時間経過とともに溶融してスキン層が形成される。
そして、型を冷却してスキン層を脱型するものであり、
これが繰り返し行われる。
【0038】型の加熱方法としては、オイル循環あるい
は熱風炉へ入れる方法が一般的である。オイル循環はパ
イプ配管配置により型温度調整が容易であるが、型面か
らのみ加熱される。一方、熱風炉を用いると、型面およ
び成形物裏面の両面からの加熱が可能であるが、生産性
を考慮して熱風を300°C以上に設定することが多い
ため、成形物裏面の熱酸化劣化を起こさないように処方
や条件を配慮する必要がある。
【0039】熱風方式は、粉末スラッシュ成形を多層
(2ないし3)に行う時に有効である。即ち、加熱され
た型に最外層となる1回目の粉末をスラッシュ成形し、
半溶融状態で2回目の粉末を付着させ、そして必要なら
3回目もスラッシュ成形し、その後加熱溶融する。この
場合、型面側のみからの加熱では、熱伝達が不充分なの
で成形物裏面からの加熱も可能な熱風炉方式が用いられ
ることが多い。
【0040】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1〜6、比較例1〜4 プロセスオイルを除いた表1に示す材料をタンブラーで
ドライブレンドしたものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社
製、PCM45)の原料供給ホッパーより供給し、プロ
セスオイルをベント口より注入しながら200°Cで押
出してペレット化した。そして、ターボミルT250−
4J(ターボ工業社製)に液体窒素に浸したペレットを
投入して粉砕し、1,000μmの篩い通過分のみを集
めた。
【0041】次に、上記粉体組成物を用いて粉末スラッ
シュ成形を行った。粉末スラッシュ成形の方法として
は、まず皮シボ模様のついた150mm×150mm×
0.9mmの板をオーブン中で250°Cに加熱し、そ
の上に上記粉体組成物を約800gのせて10分間置い
て付着させた後、溶融付着しなかった粉体を除いて、3
00°Cに調節したオーブン中で60秒間加熱し、オー
ブンより取り出し水冷して、厚さ約0.8mmの表皮を
脱型した。上記表皮の熱老化後の表面評価と曇価を測定
し、得られた結果を表1に併記する。
【0042】(表皮の熱老化後の表面評価)表皮の熱老
化後の表面評価は、上記表皮を120°Cに調節したオ
ーブン中で200時間熱老化した後、その表面の粘着性
は触手で、光沢性は目視により優劣を判断した。表面に
粘着性と光沢性の見られないものを○、多少見られるも
のを△、多く見られるものを×にした。
【0043】(曇価試験方法)曇価試験方法では、表皮
を100°で加熱し、揮発する低分子量物を透明ガラス
板に付着させ、その曇化率を調べる方法である。試験装
置はDIN75201に規定されたものを使用し、1リ
ットルのビーカーにほぼ150cm2 の表皮を入れ、1
00°Cのオイルバス中で20時間加熱後に平行光線透
過率測定械で透過率を測定した。雲価は加熱前のガラス
板の透過率より加熱後の透過率を減じた値をパーセント
(%)で示す。
【0044】
【表1】
【0045】この結果、実施例では脂肪酸アミドとブル
ーム防止剤を併用しているため熱老化後の表皮の表面に
は粘着性と光沢性が見られず、また曇価も小さくなって
いるため、表面状態の変化が少なく、そして低分子量有
機物の揮発を少なくしてガラスの曇化を防止しているこ
とが判る。一方、比較例では脂肪酸アミドとブルーム防
止剤のどちらか一方しか使用していないために熱老化後
の表皮の表面には粘着性と光沢性が見られ、また雲価も
高くなり低分子量有機物の揮発が見られる。
【0046】
【発明の効果】以上のように本願の請求項1〜8記載の
発明では、少なくともポリプロピレン樹脂と、水素添加
スチレンブタジエンゴムと、吸油能に優れたエラストマ
ーと、プロセスオイルと、脂肪酸アミドと、そしてブル
ーム防止剤を含む粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラス
トマー組成物であり、熱老化による表面状態の変化を少
なくし、そして低分子量有機物の揮発を少なくしてガラ
スの曇化を防止できる優れた効果を有している。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 21:00 23:00 (72)発明者 日置 勝行 神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ 星ベルト株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末スラッシュ成形に使用する粉末状の
    熱可塑性エラストマー組成物であり、少なくともポリプ
    ロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、
    吸油能に優れたエラストマーと、プロセスオイルと、脂
    肪酸アミドと、そしてブルーム防止剤を含んでいること
    を特徴とする粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマ
    ー組成物。
  2. 【請求項2】 脂肪酸アミドの添加量は、ポリプロピレ
    ン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、吸油能
    に優れたエラストマーからなるポリマーにプロセスオイ
    ルを加えたもの100重量部に対して0.05〜5重量
    部である請求項1記載の粉末スラッシュ成形用熱可塑性
    エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 ブルーム防止剤は、ポリエチレングリコ
    ール、フェノール樹脂、エチレンービニルアルコール共
    重合体のエチレンオキサイド付加物、そしてこれらのポ
    リマーとシリカの混合物から選ばれた少なくとも1種の
    ポリマーである請求項1記載の粉末スラッシュ成形用熱
    可塑性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 ブルーム防止剤の添加量は、ポリプロピ
    レン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、吸油
    能に優れたエラストマーからなるポリマーにプロセスオ
    イルを加えたもの100重量部に対して0.1〜10重
    量部である請求項1記載の粉末スラッシュ成形用熱可塑
    性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 ポリプロピレン樹脂と水素添加スチレン
    ブタジエンゴムが重量比で80/20〜20/80であ
    る請求項1記載の粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラス
    トマー組成物。
  6. 【請求項6】 吸油能に優れたエラストマーが水素添加
    スチレンブタジエンゴム100重量部に対して20〜2
    50重量部混合される請求項1記載の粉末スラッシュ成
    形用熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 【請求項7】 吸油能に優れたエラストマーがスチレン
    ・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(S
    EPS)、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロ
    ック共重合体(SEBS)、オレフィン結晶・エチレン
    ブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマー、エチレ
    ンプロピレンゴム、そしてエチレン・オクテン共重合体
    から選ばれた少なくとも1種以上のポリマーである請求
    項1または4記載の粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラ
    ストマー組成物。
  8. 【請求項8】 プロセスオイルが吸油能に優れたエラス
    トマー100重量部に対して5〜200重量部混合され
    る請求項1記載の粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラス
    トマー組成物。
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CN114350061A (zh) * 2021-11-30 2022-04-15 金发科技股份有限公司 一种聚丙烯组合物及其制备方法和应用

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