JP3640857B2 - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は粉末成形あるいは圧縮成形に使用できる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に係り、詳しくは粉末やペレットの状態での長期保存や高温保管にかかわらず、粉体流動性を維持し、また熱老化による物性の変化が少ない熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軟質の粉末材料を用いた粉末成形法として、軟質塩化ビニル樹脂粉末を用いた粉末スラッシュ成形法がインストルメントパネル、コンソールボックス、ドアートリム等の自動車内装品の表皮に広く採用されている。これはソフトな感触であり、皮シボやステッチを設けることができ、また設計自由度が大きいこと等の意匠性が良好なことによる。
【0003】
この成形方法は、他の成形方法である射出成形や圧縮成形と異なり、賦形圧力をかけないので、成形時には粉末材料を複雑な形状の金型に均一付着させるためには粉体流動性に優れる必要があり、金型に付着した粉体が溶融して無加圧下でも流動して皮膜を形成するために、溶融粘度が低いことも条件になっている。更に、金型を冷却して成形された表皮を金型より容易に離型できることも必要であった。
【0004】
これを改善した一つの方法として、特開平7−82433号公報には、ポリプロピレン樹脂と特定のスチレン系熱可塑性エラストマーとを重量比70/30〜30/70の割合で混合したものを粉砕して用いることが提案された。
ここでは、スチレン系熱可塑性エラストマーがスチレン含量20重量%以下のスチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン含量20重量%以下のスチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体、そしてスチレン含量20重量%以下の水素添加スチレンブタジエンゴムから選ばれたものであり、ポリプロピレン樹脂との相溶性が良好で粉末成形に適した組成物になっている。
即ち、この組成物はポリプロピレン樹脂と水素添加スチレンブタジエンゴムの混合において、水素添加スチレンブタジエンゴムがポリプロピレン樹脂中で微分散するので、物性低下は少なくて表皮の素材には適している
【0005】
更に、同出願人は改善した組成物としてポリプロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、プロセスオイルと、吸油能に優れたエラストマーに有機過酸化物を添加し、加熱下で混練したものを提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、通常、樹脂は二軸押出機等で溶融及び溶融混練後、40°C以下の冷水中でストランドを冷却し、ペレタイザーにてカットしペレット化している。ここで、汎用されているポリプロピレン樹脂は結晶性樹脂であり、このような温度範囲雰囲気中で冷却・固化を行うと、急冷された状態に近く、結晶成分は大きな結晶に成長せず、微結晶及び非晶構造を多くとるようになる。そのため、エラストマー成分に取り込まれなかったり、もしくはそこから排出されたブリードしやすいオリゴマー成分やプロセスオイルや安定剤等が、微結晶間の非晶部から表面に移行して粘着性をもち、粉末やペレットがブロッキングし易くなり、粉体性が悪くなる欠点があった。
【0007】
特に、熱可塑性エラストマー組成物の粉体は、スラッシュ成形中に室温以上の雰囲気下にあるため、粉体表面に組成物中のオリゴマー成分やプロセスオイルや安定剤等が移行し、粉体が粘着性を持ち、日数経過とともにブロッキングし易く、粉体流動性が悪くなっていた。
【0008】
また、粉末あるいは圧縮成形後のシートは、熱老化試験を行うと熱老化初期で引張伸び等の物性が急激に低下する。これは試験温度が120°Cと高温のため、急冷状態に近い組成物は非晶部が多数存在し、非晶部がアニール効果によって、結晶化が促進するため引き起こされていると考えられる。
【0009】
本発明はこのような問題点を改善するものであり、粉末やペレットの状態での長期保存や高温保管にかかわらず、オリゴマー成分をはじめ、プロセスオイルや安定剤等の表面移行を阻止することにより、粉体流動性を維持し、また粉末成形体及び圧縮成形体を放置及び熱老化後においても、物性低下を抑制した熱可塑性エラストマー組成物の製造方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願の請求項1記載の発明では、粉末成形もしくは圧縮成形に使用する熱可塑性エラストマー組成物の製造方法において、MFR値が100g/10分未満の結晶性ポリプロピレン樹脂に、熱可塑性エラストマー組成物に対して0.02〜5.0重量%の有機過酸化物を少なくとも添加し、120〜250°Cの温度で溶融混練してMFR値を100〜800g/10分にして結晶性ポリプロピレン樹脂の分子量を低下させた後、60°C以上、該ポリプロピレン樹脂の結晶化温度以下の温度範囲内で固化させ、該固化物にエラストマー成分を溶融混練する熱可塑性エラストマー組成物の製造方法にある。
【0011】
特に60°C以上、該ポリプロピレン樹脂の結晶化温度以下の温度範囲内で固化することによって徐冷状態に近づき、ラメラ結晶や球晶のような大きな結晶に成長し、ブリードしやすいオリゴマー成分やプロセスオイルや安定剤等が大きく成長した結晶間に閉じ込められたり、非晶部が減少するため、表面に移行しにくくなり、そのためペレットや粉体が長期保存や成形するような熱雰囲気中の高温保管の環境であっても、ブリードが生じにくく、ブロッキングを生じずに初期の粉体流動性を維持する事が可能になる。
【0012】
粉末成形及び圧縮成形のシートにおいて、熱老化試験を行うと熱老化初期での引張伸び等の物性低下が減少している。これは徐冷しているため、非晶部が減少し、120°Cの熱老化試験において、結晶化度の増加が少ないため、物性の低下が抑制される。また、有機過酸化物は120〜250°Cの加熱下で混練する過程で、結晶性ポリプロピレン樹脂の主鎖を切断して分子量を低下させ、熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性をもたせることができる。
【0013】
本願の請求項2記載の発明では、請求項1記載のラストマー成分が水素添加スチレンブタジエンランダム共重合体である熱可塑性エラストマー組成物の製造方法にある。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物の製造方法の概略図であり、少なくとも結晶性ポリプロピレン樹脂成分と熱可塑性エラストマー成分からなるものをV型ブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドしたブレンド物1を原料供給ホッパー2より供給し、120〜250°Cの範囲に温度調節した二軸押出機3で溶融混練を行う。無論、二軸押出機3以外に一軸押出機、密閉式混練機であるニーダー、バンバリーミキサー等を使用することもできる。
【0018】
そして、溶融状態の樹脂を60°C以上であって結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化温度以下の温度範囲、好ましくは80〜120°Cの温度範囲で冷却・固化するが、ここでは60〜100°Cの温水4を入れた浴槽5の中を通過させて固化し、結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶を成長させる。尚、冷却条件は、これ以外に溶媒もしくは空気中で行っても良い。
【0019】
熱可塑性エラストマー組成物を溶融及び溶融混練後、上記の温度で冷却・固化した場合、結晶性ポリプロピレン樹脂は徐冷状態に近づくため、ラメラ結晶や球晶のような大きな結晶に成長し、結晶化度も高くなる。ブリードしやすいオリゴマー成分やプロセスオイルや安定剤等は大きく成長した結晶間に閉じ込められたり、非晶部が減少するため、表面に移行しにくくなる。そのため、ペレットや粉体が長期保存や成形するような熱雰囲気中の高温保管の環境であっても、ブリードが生じにくく、ブロッキングを生じずに初期の粉体性を維持する事が可能になる。
【0020】
固化したストランド6をペレタイザー7にてカットしペレット化するが、その際の雰囲気温度は60°C以上であって結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化温度以下である。無論、ペレット化はドライホットカット、水中ホットカットで行ってもよい。
また、カットされたペレット8もホッパードライヤー9によって60°C以上であって結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化温度以下の温度で加熱する。
【0021】
こうして得られたペレットに有機あるいは無機系の粘着防止剤または粉体性改良剤を添加、混合して粉末成形用及び圧縮成形に使用する。
【0022】
また、粉体化は上記の配合から得られたペレットを、ターボミル、ピンミル、ハンマーミル等の衝撃型微粉砕機を用いて微粉砕される。この時通常では液体窒素を用いて冷凍粉砕される。粉砕されたものは篩い等によって粒径が少なくとも1,000μmの篩を通過し、平均粒径が100〜800μmのものが集められ、これに有機あるいは無機の粉体性改良剤を添加、混合して粉末スラッシュ成形や圧縮成形用に使用する。
【0023】
得られた粉末成形及び圧縮成形のシートにおいては、熱老化試験を行うと熱老化初期での引張伸び等の物性低下が減少する。これは、徐冷しているため、非晶部が減少し、120°Cの熱老化試験において、結晶化度の増加が少なく、物性の低下も抑制される。
【0024】
上記結晶性ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー、α−オレフィンとのブロックあるいはランダム共重合体のいずれでもよいが、特にα−オレフィンとしてエチレンを用いたブロックあるいはランダム共重合体が成形体の柔軟性の面からいって好ましい。また、圧力のかからない粉末スラッシュ成形に用いるためには、結晶性ポリプロピレン樹脂の溶融流動性の指数としてJIS K7210により230°C,荷重2.16kgfで測定したMFRが100g/10分未満を使用する。
【0025】
上記のMFR値が100g/10分未満の溶融流動性に欠ける結晶性ポリプロピレン樹脂を使用する場合には、有機過酸化物を0.02〜5.0重量%添加し、120〜250°Cの温度で混練してMFR値を100〜800g/10分になるように結晶性ポリプロピレン樹脂の低分子量化を図ることができる。
【0026】
また、MFR値が100g/10分未満の溶融流動性に欠ける結晶性ポリプロピレン樹脂を使用する場合には、該結晶性ポリプロピレン樹脂に有機過酸化物を添加して120〜250°Cの温度で溶融混練した後に、H−SBRを溶融混練することができる。H−SBRと有機過酸化物を同時に溶融混練した場合、H−SBRが低分子量化して成形シートの表面へ移行し、熱老化後に表面に粘着性や光沢が発生する。
【0027】
また、結晶性ポリプロピレン樹脂成分とエラストマー成分との混合量は、重量比で80/20〜20/80の割合が好ましく、結晶性ポリプロピレン樹脂が多くなると、成形された表皮が硬くなり、一方少なくなると引張強度が低下する。
【0028】
エラストマー成分が油展されたものは、具体的には水素添加スチレンブタジエンランダム共重合体(H−SBR)、吸油性に優れたエラストマーなどのエラストマー成分にプロセスオイルを添加した組成物であり、プロセスオイルが組成物中のエラストマー成分に吸収されて溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下げ、柔軟性をもたせる効果がある。
上記プロセスオイルはゴム用に使用されるものであり、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系に分類されるが、エラストマー成分との相溶性によりパラフィン系が好ましい。添加量はエラストマー100重量部に対して5〜200重量部が好ましい。200重量部を越えると、引張物性が低下し、5重量部未満になると、溶融粘度が下がらず表皮が硬くなる。
【0029】
H−SBRは結晶性ポリプロピレン樹脂との相溶性に優れており、結晶性ポリプロピレン樹脂に混練すると柔軟になり、折曲げや白化しにくい熱可塑性エラストマー組成物が得られる。H−SBRのスチレン含有量は50重量%未満が好ましく、柔軟性に富む表皮を得るためには5〜30重量%が適当である。
【0030】
H−SBRはスチレンとブタジエンがランダムに共重合しているスチレンブタジエンゴムを水素添加しており、ブタジエン部に1,2結合がリッチである点で、ブロック共重合体であるSEBSと異なっている。代表的なものとして、日本合成ゴム社製の商品であるダイナロンシリーズがある。結晶性ポリプロピレン樹脂とH−SBRとの混合量は、重量比で80/20〜20/80の割合であり、結晶性ポリプロピレン樹脂が多くなると、成形された表皮が硬くなり、一方少なくなると引張強度が低下する。
【0031】
吸油能に優れたエラストマーは、結晶性ポリプロピレン樹脂と相溶性を有しており、プロセスオイルと組成物中のオリゴマー成分を吸収する性質を有するもので、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックコポリマー(SEBS)やスチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロックコポリマー(SEPS)等のスチレン系ブロック共重合熱可塑性エラストマー、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマー(CEBC)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、そしてエチレン・オクテン共重合体(POE)がある。
【0032】
熱可塑性エラストマー組成物の流動性をもたせるために、有機過酸化物によって結晶性ポリプロピレン樹脂の分子量を低下させることは前述の通りである。該有機過酸化物は120〜250°Cの加熱下で混練する過程で、結晶性ポリプロピレン樹脂の主鎖を切断して分子量を低下させ、熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性をもたせる。有機過酸化物の添加量は熱可塑性エラストマー組成物中、0.02〜5.0重量%であり、0.02重量%未満の場合にはPP樹脂の主鎖を切断する分解能力が少なく、熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性を付与できなくなる。一方、5.0重量%を越えると、分解が過剰になり、粉体成形品の引張強度等の機械的特性が低下する。
【0033】
上記有機過酸化物としては、通常、ゴム、樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2.5−ジメチル−2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解による1分間の半減期が150〜250°Cのものが好ましい。
【0034】
【0035】
【0036】
【実施例】
次に、本発明を具体的な実施例により更に詳細に説明する。
実施例、比較例で使用した配合内容は表1に示す。
まず、実施例1、2は表1の配合Aを使用し、二軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)で2回混練りを行っている。1回目の混練りではPP、POE、有機過酸化物、内部離型剤をタンブラーでドライブレンドしたものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)の原料供給ホッパーより供給し、プロセスオイルをベント口より注入しながら230°C、100rpmで混練して押出し、20°Cの冷却槽で冷却してペレット化した。続いて、1回目の混練りで作製したペレットにH−SBR、安定剤をタンブラーでドライブレンドしたものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)の原料供給ホッパーより供給し、200°C、300rpmで混練して押出した。
【0037】
【表1】
Figure 0003640857
【0038】
ここで、実施例1は75°C温水中でストランドを引き、75°Cの温風で保温したペレタイザーにてペレット化し、75°Cのホッパードライヤーにてペレットを乾燥した。
【0039】
実施例2は90°C温水中でストランドを引き、90°Cの温風で保温したペレタイザーにてペレット化し、90°Cのホッパードライヤーにてペレットを乾燥した。
【0040】
これに対し、比較例1、2は表1の配合Aを使用し、二軸押出機で1回目の混練りは上記と同様の方法で行った。続いて、1回目の混練りで作製したペレットにH−SBR、安定剤をタンブラーでドライブレンドしたものを、二軸押出機の原料供給ホッパーより供給し、200°C、300rpmで混練して押出し、20°Cの冷水中で冷却を行い、室温でペレット化を行った。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
比較例3は表1の配合を使用し、PP、EPR、内部離型剤、をタンブラーでドライブレンドしたものを、二軸押出機の原料供給ホッパーより供給し、プロセスオイルをベント口より注入しながら200°C、300rpmで混練して押出し、20°Cの冷水中で冷却を行い、室温でペレット化を行った。
【0045】
上記で得られたペレットについて、偏光顕微鏡で観察を行い、結晶サイズ及び結晶量に確認した。まず、ペレットを汎用のカッターナイフで充分に光が透過するほど薄く切り取り、偏光顕微鏡の偏光下にて観察を行った。
結果として、20°Cの冷水中で作製した比較例1のペレットは偏光下でわずかな数の小さな結晶しか確認できなかったが、75°Cの雰囲気下で作製した実施例1のペレットは、比較例1よりも多数で大きい結晶が観察された。また、90°Cの雰囲気下で作製された実施例2のペレットは、実施例1よりさらに大きい結晶が観察された。
【0046】
上記で得られたペレットは液体窒素に浸し、ターボミルT250−4J(ターボ工業社製)に投入して粉砕し、500μmの篩い通過分のみを集めた。実施例1、比較例1そして3には得られた粉末に無機系の粉体性改良剤0.3重量部添加し、実施例2、比較例2には有機系の粉体性改良剤1.0重量部添加した。このようにして得られた粉体試料の粉体流動性を測定した。
【0047】
粉体流動性は流下速度の測定を行い、良否を判定した。流下速度はJIS K6721によりかさ比重測定機を用いて、ロート状の部分から粉体100ccが全て落ちる時間を測定して、粉体性を判断した。
【0048】
また、経時後の粉体性を評価するため、粉体性改良剤を添加直後に測定、その後、経時促進として50°Cに調節したオーブン中に1日放置さらに室温で1日放置した後に測定、さらに室温で5日放置した後測定を行った。ここで、50°Cオーブン中に放置する目的は、長期保存及び繰り返し成形され高温状態である粉末を想定したものである。得られた結果を表2及び表3に示す。
【0049】
【表2】
Figure 0003640857
【0050】
【表3】
Figure 0003640857
【0051】
結果として、粉体性改良剤を添加した直後は全て粉体性が良好であったが、50°Cオーブン中で経時を促進させた場合、20°Cの冷水中で作製した組成物の粉体(比較例1〜)は急激に粉体性が悪化し流下しなくなっていた。それに対し、60°C以上の雰囲気中で作製した組成物の粉体(実施例1と2)は50°Cオーブン中で経時を促進させた場合でも、充分に流下する粉体性を保っている。
【0052】
次に、上記実施例2で作製した粉末を用いてスラッシュ成形を行い得られたシートを実施例とし、比較例2で作製した粉末を用いてスラッシュ成形を行い得られたシートを比較例とした。スラッシュ成形の方法としては、まず皮シボ模様のついた150mm×150mm×3mmの板をオーブン中で250°Cに加熱し、その上に上記粉体組成物を約800gのせて10分間置いて付着させた後、溶融付着しなかった粉体を除いて、300°Cに調節したオーブン中で60秒間加熱し、オーブンより取り出し水冷して、厚さ約0.8mmの表皮を脱型した。上記のスラッシュ成形したシートの引張物性、及び120°Cに調節したオーブン中で100時間熱老化したシートの引張物性を測定した。引張物性は、スラッシュ成形で得られた表皮をJIS3号ダンベルで打ち抜き、引張速度200mm/分で引張強さと伸びを測定した。得られた結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
Figure 0003640857
【0054】
表4から、実施例のように90°C雰囲気中で作製した組成物は、比較例と比較してわかるように、熱老化後の物性が良好であり、特に伸びの低下が少なかった。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本願の各請求項記載の発明では、溶融、溶融混練後に熱可塑性エラストマー組成物を60°C以上、組成物の結晶化点以下で冷却する製造方法によって、長期保存や高温保管に関わらず粉体流動性を維持し、熱老化後も引張物性の低下が少ない組成物を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物の製造方法の概略図である。
【符合の説明】
1 ブレンド物
2 原料供給ホッパー
3 二軸押出機
4 温水
5 浴槽
6 ストランド
7 ペレタイザー
8 ペレット
9 ホッパードライヤー

Claims (2)

  1. 粉末成形もしくは圧縮成形に使用する熱可塑性エラストマー組成物の製造方法において、MFR値が100g/10分未満の結晶性ポリプロピレン樹脂に、熱可塑性エラストマー組成物に対して0.02〜5.0重量%の有機過酸化物を少なくとも添加し、120〜250°Cの温度で溶融混練してMFR値を100〜800g/10分にして結晶性ポリプロピレン樹脂の分子量を低下させた後、60°C以上、該ポリプロピレン樹脂の結晶化温度以下の温度範囲内で固化させ、該固化物にエラストマー成分を溶融混練することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  2. エラストマー成分が水素添加スチレンブタジエンランダム共重合体である請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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