JP2001226531A - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物の製造方法

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JP2001226531A JP2000040414A JP2000040414A JP2001226531A JP 2001226531 A JP2001226531 A JP 2001226531A JP 2000040414 A JP2000040414 A JP 2000040414A JP 2000040414 A JP2000040414 A JP 2000040414A JP 2001226531 A JP2001226531 A JP 2001226531A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉末やペレットの状態での長期保存や高温保
管にかかわらず、オリゴマー成分をはじめ、プロセスオ
イルや安定剤等の表面移行を阻止することにより、粉体
流動性を維持し、また粉末成形体及び圧縮成形体を放置
及び熱老化後においても、物性低下を抑制した熱可塑性
エラストマー組成物の製造方法の提供を目的とする。 【解決手段】 少なくとも結晶性ポリプロピレン樹脂成
分と熱可塑性エラストマー成分からなるブレンド物1を
原料供給ホッパー2より供給し、二軸押出機3で溶融混
練を行い、溶融状態の樹脂を60°C以上であって結晶
性ポリプロピレン樹脂の結晶化温度以下の温水4を入れ
た浴槽5中を通過させて固化して結晶性ポリプロピレン
樹脂の結晶を成長させ、固化したストランド6をペレタ
イザー7にてカットしペレット化する熱可塑性エラスト
マー組成物の製造方法にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉末成形あるいは圧
縮成形に使用できる熱可塑性エラストマー組成物の製造
方法に係り、詳しくは粉末やペレットの状態での長期保
存や高温保管にかかわらず、粉体流動性を維持し、また
熱老化による物性の変化が少ない熱可塑性エラストマー
組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軟質の粉末材料を用いた粉末成形法とし
て、軟質塩化ビニル樹脂粉末を用いた粉末スラッシュ成
形法がインストルメントパネル、コンソールボックス、
ドアートリム等の自動車内装品の表皮に広く採用されて
いる。これはソフトな感触であり、皮シボやステッチを
設けることができ、また設計自由度が大きいこと等の意
匠性が良好なことによる。
【0003】この成形方法は、他の成形方法である射出
成形や圧縮成形と異なり、賦形圧力をかけないので、成
形時には粉末材料を複雑な形状の金型に均一付着させる
ためには粉体流動性に優れる必要があり、金型に付着し
た粉体が溶融して無加圧下でも流動して皮膜を形成する
ために、溶融粘度が低いことも条件になっている。更
に、金型を冷却して成形された表皮を金型より容易に離
型できることも必要であった。
【0004】これを改善した一つの方法として、特開平
7−82433号公報には、ポリプロピレン樹脂と特定
のスチレン系熱可塑性エラストマーとを重量比70/3
0〜30/70の割合で混合したものを粉砕して用いる
ことが提案された。ここでは、スチレン系熱可塑性エラ
ストマーがスチレン含量20重量%以下のスチレン・エ
チレンブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン
含量20重量%以下のスチレン・エチレンプロピレン・
スチレンブロック共重合体、そしてスチレン含量20重
量%以下の水素添加スチレンブタジエンゴムから選ばれ
たものであり、ポリプロピレン樹脂との相溶性が良好で
粉末成形に適した組成物になっている。即ち、この組成
物はポリプロピレン樹脂と水素添加スチレンブタジエン
ゴムの混合において、水素添加スチレンブタジエンゴム
がポリプロピレン樹脂中で微分散するので、物性低下は
少なくて表皮の素材には適している
【0005】更に、同出願人は改善した組成物としてポ
リプロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴム
と、プロセスオイルと、吸油能に優れたエラストマーに
有機過酸化物を添加し、加熱下で混練したものを提案し
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、通常、樹脂は
二軸押出機等で溶融及び溶融混練後、40°C以下の冷
水中でストランドを冷却し、ペレタイザーにてカットし
ペレット化している。ここで、汎用されているポリプロ
ピレン樹脂は結晶性樹脂であり、このような温度範囲雰
囲気中で冷却・固化を行うと、急冷された状態に近く、
結晶成分は大きな結晶に成長せず、微結晶及び非晶構造
を多くとるようになる。そのため、エラストマー成分に
取り込まれなかったり、もしくはそこから排出されたブ
リードしやすいオリゴマー成分やプロセスオイルや安定
剤等が、微結晶間の非晶部から表面に移行して粘着性を
もち、粉末やペレットがブロッキングし易くなり、粉体
性が悪くなる欠点があった。
【0007】特に、熱可塑性エラストマー組成物の粉体
は、スラッシュ成形中に室温以上の雰囲気下にあるた
め、粉体表面に組成物中のオリゴマー成分やプロセスオ
イルや安定剤等が移行し、粉体が粘着性を持ち、日数経
過とともにブロッキングし易く、粉体流動性が悪くなっ
ていた。
【0008】また、粉末あるいは圧縮成形後のシート
は、熱老化試験を行うと熱老化初期で引張伸び等の物性
が急激に低下する。これは試験温度が120°Cと高温
のため、急冷状態に近い組成物は非晶部が多数存在し、
非晶部がアニール効果によって、結晶化が促進するため
引き起こされていると考えられる。
【0009】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、粉末やペレットの状態での長期保存や高温保管
にかかわらず、オリゴマー成分をはじめ、プロセスオイ
ルや安定剤等の表面移行を阻止することにより、粉体流
動性を維持し、また粉末成形体及び圧縮成形体を放置及
び熱老化後においても、物性低下を抑制した熱可塑性エ
ラストマー組成物の製造方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1記
載の発明では、粉末成形もしくは圧縮成形に使用する熱
可塑性エラストマー組成物の製造方法において、少なく
とも結晶性ポリプロピレン樹脂成分とエラストマー成分
で構成されたブレンド物を、溶融もしくは溶融混練りし
た後、60°C以上、該ポリプロピレンの結晶化温度以
下の温度範囲内で固化する熱可塑性エラストマー組成物
の製造方法にある。
【0011】特に60°C以上、該ポリプロピレンの結
晶化温度以下の温度範囲内で固化することによって徐冷
状態に近づき、ラメラ結晶や球晶のような大きな結晶に
成長し、ブリードしやすいオリゴマー成分やプロセスオ
イルや安定剤等が大きく成長した結晶間に閉じ込められ
たり、非晶部が減少するため、表面に移行しにくくな
り、そのためペレットや粉体が長期保存や成形するよう
な熱雰囲気中の高温保管の環境であっても、ブリードが
生じにくく、ブロッキングを生じずに初期の粉体流動性
を維持する事が可能になる。
【0012】また、粉末成形及び圧縮成形のシートにお
いて、熱老化試験を行うと熱老化初期での引張伸び等の
物性低下が減少している。これは徐冷しているため、非
晶部が減少し、120°Cの熱老化試験において、結晶
化度の増加が少ないため、物性の低下が抑制される。
【0013】本願の請求項2記載の発明では、ブレンド
物のエラストマー成分が油展されたものであり、オイル
を添加することにより組成物中のエラストマー成分に吸
収されて溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下
げ、柔軟性をもたせる効果がある。
【0014】本願の請求項3載の発明では、ブレンド物
が結晶性ポリプロピレン樹脂、水素添加スチレンブタジ
エンランダム共重合体,吸油性に優れたエラストマー,
そしてプロセスオイルを含んでいる。水素添加スチレン
ブタジエンランダム共重合体は結晶性ポリプロピレン樹
脂との相溶性に優れており、結晶性ポリプロピレン樹脂
に混練すると柔軟になり、折曲げや白化しにくい熱可塑
性エラストマー組成物が得られる。
【0015】本願の請求項4載の発明では、共重合物が
結晶性ポリプロピレン成分とポリオレフィンエラストマ
ー成分との共重合体である。
【0016】本願の請求項5載の発明では、ブレンド物
が結晶性ポリプロピレン樹脂、エチレン・プロピレン共
重合体ゴム、プロセスオイルを含む。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る熱可塑性エラ
ストマー組成物の製造方法の概略図であり、少なくとも
結晶性ポリプロピレン樹脂成分と熱可塑性エラストマー
成分からなるものをV型ブレンダー、タンブラー、ヘン
シェルミキサー等を用いてドライブレンドしたブレンド
物1を原料供給ホッパー2より供給し、120〜250
°Cの範囲に温度調節した二軸押出機3で溶融混練を行
う。無論、二軸押出機3以外に一軸押出機、密閉式混練
機であるニーダー、バンバリーミキサー等を使用するこ
ともできる。
【0018】そして、溶融状態の樹脂を60°C以上で
あって結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化温度以下の温
度範囲、好ましくは80〜120°Cの温度範囲で冷却
・固化するが、ここでは60〜100°Cの温水4を入
れた浴槽5の中を通過させて固化し、結晶性ポリプロピ
レン樹脂の結晶を成長させる。尚、冷却条件は、これ以
外に溶媒もしくは空気中で行っても良い。
【0019】熱可塑性エラストマー組成物を溶融及び溶
融混練後、上記の温度で冷却・固化した場合、結晶性ポ
リプロピレン樹脂は徐冷状態に近づくため、ラメラ結晶
や球晶のような大きな結晶に成長し、結晶化度も高くな
る。ブリードしやすいオリゴマー成分やプロセスオイル
や安定剤等は大きく成長した結晶間に閉じ込められた
り、非晶部が減少するため、表面に移行しにくくなる。
そのため、ペレットや粉体が長期保存や成形するような
熱雰囲気中の高温保管の環境であっても、ブリードが生
じにくく、ブロッキングを生じずに初期の粉体性を維持
する事が可能になる。
【0020】固化したストランド6をペレタイザー7に
てカットしペレット化するが、その際の雰囲気温度は6
0°C以上であって結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化
温度以下である。無論、ペレット化はドライホットカッ
ト、水中ホットカットで行ってもよい。また、カットさ
れたペレット8もホッパードライヤー9によって60°
C以上であって結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化温度
以下の温度で加熱する。
【0021】こうして得られたペレットに有機あるいは
無機系の粘着防止剤または粉体性改良剤を添加、混合し
て粉末成形用及び圧縮成形に使用する。
【0022】また、粉体化は上記の配合から得られたペ
レットを、ターボミル、ピンミル、ハンマーミル等の衝
撃型微粉砕機を用いて微粉砕される。この時通常では液
体窒素を用いて冷凍粉砕される。粉砕されたものは篩い
等によって粒径が少なくとも1,000μmの篩を通過
し、平均粒径が100〜800μmのものが集められ、
これに有機あるいは無機の粉体性改良剤を添加、混合し
て粉末スラッシュ成形や圧縮成形用に使用する。
【0023】得られた粉末成形及び圧縮成形のシートに
おいては、熱老化試験を行うと熱老化初期での引張伸び
等の物性低下が減少する。これは、徐冷しているため、
非晶部が減少し、120°Cの熱老化試験において、結
晶化度の増加が少なく、物性の低下も抑制される。
【0024】上記結晶性ポリプロピレン樹脂は、ポリプ
ロピレンホモポリマー、α−オレフィンとのブロックあ
るいはランダム共重合体のいずれでもよいが、特にα−
オレフィンとしてエチレンを用いたブロックあるいはラ
ンダム共重合体が成形体の柔軟性の面からいって好まし
い。また、圧力のかからない粉末スラッシュ成形に用い
るためには、結晶性ポリプロピレン樹脂の溶融流動性の
指数としてJIS K7210により230°C,荷重
2.16kgfで測定したMFRが100〜800g/
10分であることが必要である。上記のMFR値を有す
る結晶性ポリプロピレン樹脂は溶融流動性が良好であ
り、有機過酸化物を使用しなくても溶融流動性に優れ、
溶融粘度が低く、引張強度の優れ、熱老化により成形シ
ート表面に粘着の光沢の発生がないものを得ることがで
きる。
【0025】また、MFR値が100g/10分未満の
溶融流動性に欠ける結晶性ポリプロピレン樹脂を使用す
る場合には、有機過酸化物を0.02〜5.0重量部添
加し、120〜250°Cの温度で混練してMFR値を
100〜800g/10分になるように結晶性ポリプロ
ピレン樹脂の低分子量化を図ることができる。
【0026】また、MFR値が100g/10分未満の
溶融流動性に欠ける結晶性ポリプロピレン樹脂を使用す
る場合には、該結晶性ポリプロピレン樹脂に有機過酸化
物を添加して120〜250°Cの温度で溶融混練した
後に、H−SBRを溶融混練することができる。H−S
BRと有機過酸化物を同時に溶融混練した場合、H−S
BRが低分子量化して成形シートの表面へ移行し、熱老
化後に表面に粘着性や光沢が発生する。
【0027】また、結晶性ポリプロピレン樹脂成分とエ
ラストマー成分との混合量は、重量比で80/20〜2
0/80の割合が好ましく、結晶性ポリプロピレン樹脂
が多くなると、成形された表皮が硬くなり、一方少なく
なると引張強度が低下する。
【0028】エラストマー成分が油展されたものは、具
体的には水素添加スチレンブタジエンランダム共重合体
(H−SBR)、吸油性に優れたエラストマーなどのエ
ラストマー成分にプロセスオイルを添加した組成物であ
り、プロセスオイルが組成物中のエラストマー成分に吸
収されて溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下
げ、柔軟性をもたせる効果がある。上記プロセスオイル
はゴム用に使用されるものであり、パラフィン系、ナフ
テン系、アロマ系に分類されるが、エラストマー成分と
の相溶性によりパラフィン系が好ましい。添加量はエラ
ストマー100重量部に対して5〜200重量部が好ま
しい。200重量部を越えると、引張物性が低下し、5
重量部未満になると、溶融粘度が下がらず表皮が硬くな
る。
【0029】H−SBRは結晶性ポリプロピレン樹脂と
の相溶性に優れており、結晶性ポリプロピレン樹脂に混
練すると柔軟になり、折曲げや白化しにくい熱可塑性エ
ラストマー組成物が得られる。H−SBRのスチレン含
有量は50重量%未満が好ましく、柔軟性に富む表皮を
得るためには5〜30重量%が適当である。
【0030】H−SBRはスチレンとブタジエンがラン
ダムに共重合しているスチレンブタジエンゴムを水素添
加しており、ブタジエン部に1,2結合がリッチである
点で、ブロック共重合体であるSEBSと異なってい
る。代表的なものとして、日本合成ゴム社製の商品であ
るダイナロンシリーズがある。PP樹脂とH−SBRと
の混合量は、重量比で80/20〜20/80の割合で
あり、PP樹脂が多くなると、成形された表皮が硬くな
り、一方少なくなると引張強度が低下する。
【0031】吸油能に優れたエラストマーは、結晶性ポ
リプロピレン樹脂と相溶性を有しており、プロセスオイ
ルと組成物中のオリゴマー成分を吸収する性質を有する
もので、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロッ
クコポリマー(SEBS)やスチレン・エチレンプロピ
レン・スチレンブロックコポリマー(SEPS)等のス
チレン系ブロック共重合熱可塑性エラストマー、オレフ
ィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック
コポリマー(CEBC)、エチレンプロピレンゴム(E
PR)、そしてエチレン・オクテン共重合体(POE)
がある。
【0032】熱可塑性エラストマー組成物の流動性が必
要な場合は、有機過酸化物によって結晶性ポリプロピレ
ン樹脂の分子量を低下させても良い。該有機過酸化物は
120〜250°Cの加熱下で混練する過程で、結晶性
ポリプロピレン樹脂の主鎖を切断して分子量を低下さ
せ、熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性をも
たせる。有機過酸化物の添加量は熱可塑性エラストマー
組成物中、0.02〜5.0重量%であり、0.02重
量%未満の場合にはPP樹脂の主鎖を切断する分解能力
が少なく、熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動
性を付与できなくなる。一方、5.0重量%を越える
と、分解が過剰になり、粉体成形品の引張強度等の機械
的特性が低下する。
【0033】上記有機過酸化物としては、通常、ゴム、
樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサイド、
パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、2.5−ジメチル−
2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)
ベンゼン、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解による1
分間の半減期が150〜250°Cのものが好ましい。
【0034】上記請求項4記載の共重合物は、結晶性ポ
リプロピレン成分とポリオレフィンエラストマー成分と
の共重合体であり、例えば結晶性ポリプロピレンとエチ
レン・プロピレン共重合体ゴム(EPR)の共重合体で
ある三菱化学社製のZelasシリーズや、チッソ社製
のNEWCONシリーズ、徳山曹達社製のP.E.R.シ
リーズ、Montell社製のキャタロイシリーズがあ
る。
【0035】また、請求項5記載のエチレン・プロピレ
ン共重合体ゴム(EPR)とは、エチレン・プロピレン
・エチリデンノルボルネン共重合体ゴムなどが挙げられ
る。また、結晶性プロピレン樹脂とEPRとの混合量
は、重量比で80/20〜20/80の割合が好まし
く、結晶性プロピレン樹脂が多くなると、成形された表
皮が硬くなり、一方少なくなると引張強度が低下する。
また、得られた熱可塑性エラストマー組成物はEPR成
分が動的架橋法等により架橋あるいは部分架橋されてい
ても良い。
【0036】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。実施例、比較例で使用した配合内容は表
1に示す。まず、実施例1、2は表1の配合Aを使用
し、二軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)で2回混
練りを行っている。1回目の混練りではPP、EOR、
有機過酸化物、内部離型剤をタンブラーでドライブレン
ドしたものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM4
5)の原料供給ホッパーより供給し、プロセスオイルを
ベント口より注入しながら230°C、100rpmで
混練して押出し、20°Cの冷却槽で冷却してペレット
化した。続いて、1回目の混練りで作製したペレットに
H−SBR、安定剤をタンブラーでドライブレンドした
ものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)の原
料供給ホッパーより供給し、200°C、300rpm
で混練して押出した。
【0037】
【表1】
【0038】ここで、実施例1は75°C温水中でスト
ランドを引き、75°Cの温風で保温したペレタイザー
にてペレット化し、75°Cのホッパードライヤーにて
ペレットを乾燥した。
【0039】実施例2は90°C温水中でストランドを
引き、90°Cの温風で保温したペレタイザーにてペレ
ット化し、90°Cのホッパードライヤーにてペレット
を乾燥した。
【0040】これに対し、比較例1、2は表1の配合A
を使用し、二軸押出機で1回目の混練りは上記と同様の
方法で行った。続いて、1回目の混練りで作製したペレ
ットにH−SBR、安定剤をタンブラーでドライブレン
ドしたものを、二軸押出機の原料供給ホッパーより供給
し、200°C、300rpmで混練して押出し、20
°Cの冷水中で冷却を行い、室温でペレット化を行っ
た。
【0041】実施例3は表1の配合Bを使用し、PP−
EPR共重合体、内部離型剤、安定剤をタンブラーでド
ライブレンドしたものを、二軸押出機の原料供給ホッパ
ーより供給し、200°C、100rpmで混練して押
出し、90°C温水中でストランドを引き、90°Cの
温風で保温したペレタイザーにてペレット化し、90°
Cのホッパードライヤーにてペレットを乾燥した。
【0042】これに対し、比較例3は表1の配合Bを使
用し、PP−EPR共重合体、内部離型剤、安定剤をタ
ンブラーでドライブレンドしたものを、二軸押出機の原
料供給ホッパーより供給し、200°C、300rpm
で混練して押出し、20°Cの冷水中で冷却を行い、室
温でペレット化を行った。
【0043】実施例4は表1の配合Cを使用し、PP、
EPR、内部離型剤、をタンブラーでドライブレンドし
たものを、二軸押出機の原料供給ホッパーより供給し、
プロセスオイルをベント口より注入しながら200°
C、300rpmで混練して押出し、90°C温水中で
ストランドを引き、90°Cの温風で保温したペレタイ
ザーにてペレット化し、90°Cのホッパードライヤー
にてペレットを乾燥した。
【0044】これに対し、比較例4は表1の配合Cを使
用し、PP、EPR、内部離型剤、をタンブラーでドラ
イブレンドしたものを、二軸押出機の原料供給ホッパー
より供給し、プロセスオイルをベント口より注入しなが
ら200°C、300rpmで混練して押出し、20°
Cの冷水中で冷却を行い、室温でペレット化を行った。
【0045】上記で得られたペレットについて、偏光顕
微鏡で観察を行い、結晶サイズ及び結晶量に確認した。
まず、ペレットを汎用のカッターナイフで充分に光が透
過するほど薄く切り取り、偏光顕微鏡の偏光下にて観察
を行った。結果として、20°Cの冷水中で作製した比
較例1のペレットは偏光下でわずかな数の小さな結晶し
か確認できなかったが、75°Cの雰囲気下で作製した
実施例1のペレットは、比較例1よりも多数で大きい結
晶が観察された。また、90°Cの雰囲気下で作製され
た実施例2のペレットは、実施例1よりさらに大きい結
晶が観察された。
【0046】上記で得られたペレットは液体窒素に浸
し、ターボミルT250−4J(ターボ工業社製)に投
入して粉砕し、500μmの篩い通過分のみを集めた。
実施例1、3、そして4、比較例1、3、そして4には
得られた粉末に無機系の粉体性改良剤0.3重量部添加
し、実施例2、比較例2には有機系の粉体性改良剤1.
0重量部添加した。このようにして得られた粉体試料の
粉体流動性を測定した。
【0047】粉体流動性は流下速度の測定を行い、良否
を判定した。流下速度はJIS K6721によりかさ
比重測定機を用いて、ロート状の部分から粉体100c
cが全て落ちる時間を測定して、粉体性を判断した。
【0048】また、経時後の粉体性を評価するため、粉
体性改良剤を添加直後に測定、その後、経時促進として
50°Cに調節したオーブン中に1日放置さらに室温で
1日放置した後に測定、さらに室温で5日放置した後測
定を行った。ここで、50°Cオーブン中に放置する目
的は、長期保存及び繰り返し成形され高温状態である粉
末を想定したものである。得られた結果を表2及び表3
に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】結果として、粉体性改良剤を添加した直後
は全て粉体性が良好であったが、50°Cオーブン中で
経時を促進させた場合、20°Cの冷水中で作製した組
成物の粉体(比較例1〜4)は急激に粉体性が悪化し流
下しなくなっていた。それに対し、60°C以上の雰囲
気中で作製した組成物の粉体(実施例1〜4)は50°
Cオーブン中で経時を促進させた場合でも、充分に流下
する粉体性を保っており、実施例3においては初期とほ
とんど変わらないほど良好であった。
【0052】次に、上記実施例2で作製した粉末を用い
てスラッシュ成形を行い得られたシートを実施例5と
し、比較例2で作製した粉末を用いてスラッシュ成形を
行い得られたシートを比較例5とした。スラッシュ成形
の方法としては、まず皮シボ模様のついた150mm×
150mm×3mmの板をオーブン中で250°Cに加
熱し、その上に上記粉体組成物を約800gのせて10
分間置いて付着させた後、溶融付着しなかった粉体を除
いて、300°Cに調節したオーブン中で60秒間加熱
し、オーブンより取り出し水冷して、厚さ約0.8mm
の表皮を脱型した。上記のスラッシュ成形したシートの
引張物性、及び120°Cに調節したオーブン中で10
0時間熱老化したシートの引張物性を測定した。引張物
性は、スラッシュ成形で得られた表皮をJIS3号ダン
ベルで打ち抜き、引張速度200mm/分で引張強さと
伸びを測定した。得られた結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】表4から、実施例5のように90°C雰囲
気中で作製した組成物は、比較例5と比較してわかるよ
うに、熱老化後の物性が良好であり、特に伸びの低下が
少なかった。
【0055】
【発明の効果】以上のように本願の各請求項記載の発明
では、溶融、溶融混練後に熱可塑性エラストマー組成物
を60°C以上、組成物の結晶化点以下で冷却する製造
方法によって、長期保存や高温保管に関わらず粉体流動
性を維持し、熱老化後も引張物性の低下が少ない組成物
を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物の製
造方法の概略図である。
【符号の説明】
1 ブレンド物 2 原料供給ホッパー 3 二軸押出機 4 温水 5 浴槽 6 ストランド 7 ペレタイザー 8 ペレット 9 ホッパードライヤー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/16 C08L 23/16 25/10 25/10 // B29K 21:00 B29K 21:00 23:00 23:00 (72)発明者 岡沢 学秀 神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ 星ベルト株式会社内 Fターム(参考) 4F201 AA09 AA11K AA45K AA47J AB07 AH26 AR06 BA02 BA03 BC01 BC03 BC12 BC33 BC37 BD02 BD10 BL08 BL43 BM01 BM14 BN01 BN11 BN29 BN32 4J002 AC08X AC11X AE053 BB05X BB12W BB15W BB15X BC05X BP01X BP02W BP03X FD140 GT00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末成形もしくは圧縮成形に使用する熱
    可塑性エラストマー組成物の製造方法において、少なく
    とも結晶性ポリプロピレン樹脂成分とエラストマー成分
    で構成されたブレンド物もしくは共重合物を、溶融もし
    くは溶融混練りした後、60°C以上、該ポリプロピレ
    ンの結晶化温度以下の温度範囲内で固化することを特徴
    とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 ブレンド物のエラストマー成分が油展さ
    れたものである請求項1記載の熱可塑性エラストマー組
    成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 ブレンド物が結晶性ポリプロピレン樹
    脂、水素添加スチレンブタジエンランダム共重合体、吸
    油性に優れたエラストマー、そしてプロセスオイルを含
    んでいる請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 共重合物が結晶性ポリプロピレン成分と
    ポリオレフィンエラストマー成分との共重合体である請
    求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 ブレンド物が結晶性ポリプロピレン樹
    脂、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、プロセスオイ
    ルを含む請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物の
    製造方法。
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JP2014133831A (ja) * 2013-01-10 2014-07-24 Panasonic Corp 圧縮成形用エポキシ樹脂組成物と半導体装置

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