JPH11255971A - 熱可塑性エラストマー組成物およびそれを使用したホース - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物およびそれを使用したホース

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JPH11255971A
JPH11255971A JP6543598A JP6543598A JPH11255971A JP H11255971 A JPH11255971 A JP H11255971A JP 6543598 A JP6543598 A JP 6543598A JP 6543598 A JP6543598 A JP 6543598A JP H11255971 A JPH11255971 A JP H11255971A
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JP
Japan
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composition
hose
thermoplastic elastomer
rubber
thermoplastic
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Application number
JP6543598A
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English (en)
Inventor
Jiro Watanabe
次郎 渡邊
Yuichi Hara
祐一 原
Shigeru Yamauchi
茂 山内
Susumu Hatanaka
畑中  進
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 引張強度、伸び、モジュラス、体積変化率お
よび圧縮永久歪みを向上させた熱可塑性エラストマー組
成物の提供。 【解決手段】 熱可塑性ポリオレフィン系樹脂組成物と
エチレンアクリル酸エステル共重合体ゴム組成物が配合
比(重量比)で70/30〜15/85からなる熱可塑
性エラストマーにおいて、加硫剤の有機過酸化物が予め
前記ゴム組成物中に練り込まれ、しかる後に混練、動的
加硫されていることを特徴とする熱可塑性エラストマー
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性エラスト
マー組成物、更に詳しくは、有機過酸化物系加硫剤の配
合に工夫を加えることで物性の向上を図った熱可塑性ポ
リオレフィン系樹脂組成物とエチレンアクリル酸共重合
体ゴム組成物からなる熱可塑性エラストマー組成物に関
する。また、本発明は、この熱可塑性エラストマー組成
物を用いた耐久性に優れるホースに関する。
【0002】
【従来の技術】特開平6−240056号公報および特
開平7−149964号公報には、熱可塑性ポリオレフ
ィンとエチレンアクリル酸エステル共重合体ゴムよりな
る熱可塑性エラストマーが開示されている。そして、こ
れらの発明によれば、その動的加硫熱可塑性エラストマ
ーは、ゴム、樹脂と有機過酸化物系加硫剤を予めドライ
ブレンドしておき、これを2軸混練機で混練しながら動
的加硫する方法を採っている。しかしながら、これらの
動的加硫法によると、有機過酸化物系加硫剤がポリプロ
ピレン等の前記樹脂成分を分解するために、得られた熱
可塑性エラストマーの物性が弱くなってしまうという問
題を生じていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明で
は、有機過酸化物系加硫剤による樹脂成分の分解を抑
え、これによって諸物性の良好な熱可塑性エラストマー
組成物を得ることを目的とする。また、かかる熱可塑性
エラストマー組成物を用いたホースを提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、熱可塑
性ポリオレフィン系樹脂組成物とエチレンアクリル酸エ
ステル共重合体ゴム組成物が配合比(重量比)で70/
30〜15/85からなる熱可塑性エラストマー組成物
において、加硫剤の有機過酸化物が予め前記ゴム組成物
中に練り込まれ、しかる後に混練、動的加硫されてなる
熱可塑性エラストマー組成物が提供される。また、本発
明によれば、当該熱可塑性エラストマー組成物を用いた
ホースが提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明による熱可塑性エラストマ
ー組成物は、特定組成の熱可塑性ポリオレフィン系樹脂
組成物とエチレンアクリル酸エステル共重合体ゴム組成
物からなる組成物であって、前記熱可塑性ポリオレフィ
ン系樹脂組成物の少なくとも一部が連続相(マトリック
ス)をなし、この連続相中に動的加硫により架橋された
前記エチレンアクリル酸エステル共重合体ゴム組成物の
少なくとも一部が分散相(ドメイン)として均一に混合
されているものである。そして、従来では、かかる熱可
塑性エラストマー組成物を動的加硫により得る際に添加
していた有機過酸化物系加硫剤を、本発明では、予めゴ
ム組成物中に練り込んでおき、その後にこれを樹脂組成
物と混練、動的加硫することによって、加硫剤をゴム成
分中に選択的に配合するようにしてゴムの架橋を進め、
ひいては該加硫剤と樹脂との接触の機会を極力減少させ
ることによって、加硫剤による樹脂の分解を抑えたこと
に特徴を有するものである。本発明による熱可塑性エラ
ストマー組成物では、このような加硫剤の配合方法を採
ったことで、ゴム成分の架橋効率が上がり、これが分散
相を構成するために圧縮永久歪み等の機械的特性が一段
と向上し、そしてまた、分解が抑制された樹脂組成物が
連続相(マトリックス)を構成するために、その分諸物
性の向上が図られるものである。
【0006】本発明において連続相として用いる熱可塑
性ポリオレフィン系樹脂としては、オレフィンの単独ま
たは共重合体、すなわち、エチレン、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン、3−メチル−ブテン、1−ヘキ
セン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、1−オクテン等の単独または共重合体等が挙げ
られ、これらの1種または2種以上の混合物を用いるこ
とが出来る。このうち、ポリプロピレン系樹脂として
は、ポリプロピレンホモポリマー、エチレン含量2〜6
0重量%プロピレン・エチレンブロック共重合体、エチ
レン含量0.5〜20重量%のプロピレン・エチレンラ
ンダム共重合体等があげられる。これらの重合体のメル
トフローレートは0.1〜100g/10分であり、好
ましくは0.5〜50g/10分の範囲にある。メルト
フローレートが0.1g/10分より小さくても100
g/10分より大きくても加工性に問題が生じる。
【0007】本発明において分散相として用いるエチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体ゴムは、(a)エチレ
ンおよび(b)アクリル酸エステルよりなるものであ
る。(b)アクリル酸エステルにはメタクリル酸エステ
ルも含まれるが、これらは炭素数1〜8のアルコールよ
りなるエステルである。具体的には、アクリル酸メチ
ル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、
アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アク
リル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘ
キシル等が例示され、これらは1種でもよいし、2種以
上を混合して用いてもよい。本発明で用いるエチレン−
アクリル酸エステル共重合体ゴムにおける、上記(a)
エチレンと(b)アクリル酸エステルもしくはメタクリ
ル酸エステルの割合は、モル比で50〜85:50〜1
5、好ましくは58〜80:42〜20である。(b)
アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルの含
有率が50モル%を越えると脆化点が高くなるのでエラ
ストマーとして低温での使用が困難となる。また、15
モル%未満であると、共重合体のエラストマーとしての
十分な弾性が得られない。
【0008】また、本発明で用いるエチレン−アクリル
酸エステル共重合体ゴムには、前記各共重合体にエポキ
シ基を導入したエポキシ基含有エチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体ゴムも有効に使用できる。エポキシ基含
有エチレン−アクリル酸エステル共重合体ゴム中のエポ
キシ基の含有量は上記(a)と(b)のモル数の和に対
して0.05〜0.5モル%であり、好ましくは0.1
〜3モル%である。なお、上記のゴム成分は1種または
2種以上を併せて用いてもよい。
【0009】本発明の樹脂成分とゴム成分は本来非相溶
であるが、相溶性を高めたい場合は、相溶化剤としては
酸変性ポリオレフィン樹脂を添加してもよい。本発明で
用いる酸変性ポリオレフィン樹脂は、前記のポリオレフ
ィン樹脂を無水マレイン酸、フマル酸等で変性したもの
であり、特にマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂が好ま
しい。この相溶化剤は、ゴム成分と反応し、グラフトま
たはブロックポリマーを形成する。これによりゴム成分
の界面張力を下げ、樹脂成分と混ざりやすくする。
【0010】本発明で加硫剤として用いる有機過酸化物
は、具体的には、1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−
ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−
ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘ
キシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−
ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−
3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパ
ーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパー
オキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパー
オキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキ
シルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,
5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチル
パーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパー
オキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、
n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バ
レレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、
α,α’ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピル
ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−
ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキ
サイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシ
ン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイ
ド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,
1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイ
ド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ヘキシルヒドロ
パーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド等が
挙げられる。
【0011】本発明の熱可塑性エラストマー組成物にお
ける前記熱可塑性ポリオレフィン系樹脂組成物とエチレ
ンアクリル酸エステル共重合体ゴム組成物の配合比(重
量比)は、通常70/30〜15/85、より好ましく
は50/50〜20/80の配合で用いられる。これら
両成分の配合比をこのようにするのは、ポリオレフィン
の配合比が70より多いと柔軟性が失われ、圧縮永久
歪、低温脆化性に劣り、また体積変化率によって測定さ
れる耐油性にも劣るため、目的とするホースの材料とし
て適さない。一方、エチレンアクリル酸エステル共重合
体ゴム組成物の配合比が85より多いと、ゴムがマトリ
クスとなって熱可塑性が失われるために加工できない等
の理由による。
【0012】また、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物では、前記加硫剤の配合量としては、エチレンアクリ
ル酸エステル共重合体ゴム組成物100重量部当り、好
ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜
5重量部の量を使用する。この配合量が0.1重量部未
満では、エチレンアクリル酸共重合体ゴム組成物の架橋
が十分でなく、目的とする引張物性および圧縮永久歪を
得ることができず、また、10重量部超ではエチレンア
クリル酸共重合体ゴム組成物が前記ポリオレフィン組成
物中に充分分散する前に架橋するため、加工性が著しく
低下する。
【0013】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
は、その他に可塑剤を加えてもよく、本発明で用いる可
塑剤としては、パラフィン系プロセスオイルである場合
は特に限定されず、また、ナフテン系、アロマ系のプロ
セスオイルを併用してもよい。添加するパラフィン系プ
ロセスオイルの量はエチレン−アクリル酸共重合体ゴム
100重量部に対して3〜30重量部である。3重量部
未満では成型性が著しく低下し、30重量部をこえると
ブリードを起こす可能性がある。またポリエステル系可
塑剤を用いる場合はポリプロピレン、アジペート(PP
A)等のポリエステル系可塑剤が各々または、ブレンド
された状態で、好適に使用できる。ポリエステル系可塑
剤の添加量は、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム10
0重量部に対して3〜50重量部である。3重量部未満
では成型性が著しく低下し、50重量部を越えるとブリ
ードを起こす可能性がある。さらに、本発明の組成物に
は必要に応じて架橋促進剤、補強材、軟化剤、老化防止
剤等の配合剤を添加してもよい。
【0014】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製
造方法は、以下の手順で行なう。まず、ゴムと所定の架
橋剤を予め一般のニーダー、バンバリミキサー等を用い
て均一混合状態が得られるまで混練してゴム組成物を作
製する。この際、ゴム組成物には、カーボン、オイル、
その他炭酸カルシウム等の充填剤を適当量添加すること
も可能である。また、この混練のとき、材料温度が高く
なりすぎると混練機中でゴムが架橋反応を起こしてしま
うため、温度は120℃以下の低温に抑えて混練するこ
とが必要である。このようにして作製したゴム組成物と
熱可塑性樹脂組成物を2軸混練機等に投入し、溶融混練
を行ないながらゴム組成物を動的架橋させて、連続相
(マトリックス)を形成する熱可塑性樹脂組成物中にゴ
ム組成物を分散相(ドメイン)として分散させる。ま
た、熱可塑性樹脂組成物またはゴム組成物への各種配合
剤(加硫剤は除く)は、上記混練中に添加してもよい
が、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可
塑性樹脂組成物とゴム組成物の混練に使用する混練機と
しては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、
バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。な
かでも、熱可塑性樹脂組成物とゴム組成物の混練および
ゴム組成物の動的加硫には、2軸混練押出機を使用する
のが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順
次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可
塑性樹脂組成物が溶融する温度以上であればよい。ま
た、混練時の剪断速度は500〜7500 sec-1である
のが好ましい。混練全体の時間は、30秒から10分が
好ましい。
【0015】このようにして得られる熱可塑性エラスト
マー組成物は、連続相を形成する熱可塑性樹脂組成物の
マトリックス中に不連続相を形成するゴム組成が分散相
(ドメイン)として分散した構造をとる。かかる状態の
分散構造をとることにより、熱可塑の加工が可能とな
り、成形に際し熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得る
ことができるため、通常の樹脂用成形機、即ち押出し成
形、カレンダー成形または射出成形等によって成形加工
することが可能となる。前記した熱可塑性樹脂組成物と
ゴム組成物との相溶性が異なる場合は、第3成分として
適当な相溶化剤を添加するのが好ましい。系に相溶化剤
を混合することにより熱可塑性樹脂とゴム組成物との界
面張力が低下し、その結果、分散層を形成しているゴム
組成物の粒子が微細となることから両成分の特性はより
有効に発現されることになる。そのような相溶化剤とし
ては、一般的に熱可塑性樹脂ポリマーおよびゴムポリマ
ーの両方または片方の構造を有する共重合体、あるいは
熱可塑性樹脂ポリマーまたはゴムポリマーと反応可能な
エポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オ
キサゾリン基、水酸基等を有した共重合の構造をとるも
のとすることができる。これらは混合される熱可塑性ポ
リマーとゴムポリマーの種類によって選定すればよい
が、通常使用されるものにはスチレン/エチレン・ブチ
レンブロック共重合体(SEBS)およびそのマレイン
酸変性物、EPDM:EPDM/スチレンまたはEPD
M/アクリロニトリルグラフト共重合体およびそのマレ
イン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性
フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤
の配合量には特に限定はないが、好ましくはポリマー成
分(熱可塑性樹脂ポリマーとゴムポリマーの総和)10
0重量部に対して0.5〜10重量部がよい。
【0016】このようにして得られた本発明の熱可塑性
エラストマー組成物は、特に、耐久性、柔軟性、低圧縮
永久歪、耐熱性、耐油性に優れている。したがって、こ
のような熱可塑性エラストマー組成物は、ホースの内
管、外管材料として極めて有効に使用することができ、
ホース材料として好適である。
【0017】本発明のホースは、補強層と内管との層
間、および、補強層と外管との層間に接着層を有する。
この接着層としては、酸変性、特にマレイン酸変性のオ
レフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。また、ホース耐久
性の向上のために、補強層が複数ある場合には、補強層
間の少なくとも1層に本発明のマレイン酸変性ポリオレ
フィン系熱可塑性樹脂を含有する接着層を設けてもよ
い。ここで、変性されるポリオレフィン樹脂としては、
例えばアイソタクティック、シンジオタクティックある
いはエチレン等とのランダム、あるいはブロック共重合
体等のポリプロピレン樹脂(PP)、高密度ポリエチレ
ン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線
状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等のポリエチレ
ン樹脂やエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EE
A)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)
等の一般的なポリオレフィン系樹脂を用いることができ
る。
【0018】これらのポリオレフィン樹脂をマレイン酸
または無水マレイン酸で変性する方法は特に限定される
ものではなく、従来から公知の方法で行うことができる
が、例えば、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂は、単
軸押出機または二軸混練押出機を用い、ポリプロピレン
にマレイン酸、または、さらに無水マレイン酸、過酸化
物を加えて混練し、グラフト化反応を行うことで得るこ
とができる。マレイン酸変性率は、好ましくはマレイン
酸基換算で0.1〜10重量%とする。
【0019】本発明において好適な接着を得るには、1
90℃、荷重2.16kgf 、オリフィス径1mmおよび1
0分間の測定条件で測定したメルトインデックスが30
g/10分以下のポリエチレン樹脂のマレイン酸変性樹
脂であるのが好ましく、メルトインデックスが20〜
0.5/10分であるのがさらに好ましい。
【0020】本発明の接着層として、マレイン酸変性ポ
リオレフィン系熱可塑性樹脂に加えて、エポキシ変性ポ
リオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂をブレンドし
た樹脂を用いることもでき、ブレンド樹脂の重量比はマ
レイン酸変性ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としての効
果が損なわれない範囲内で適宜決めることができる。
【0021】次に、本発明のホースの製造方法を、添付
の図面に記載の1実施態様例に基づいて説明する。図1
は、本発明のホースの製造行程の概略を示す概略図であ
る。本発明のホースは、例えば次のようにして製造する
ことができる。すなわち、図1に示すように、予め離型
剤を塗布したマンドレル1上に、内管材用押出機2から
内管用の熱可塑性エラストマー組成物を、その上に、接
着材用押出機3から接着層を、同時に2層押出して、内
管成形用ダイス4内でチューブ状に成形を行って、内管
5を形成する。このとき、内管を予め押出した後、接着
層を内管の上に押出成形してもよい。次に、内管5と接
着層の上に補強層成形機6を用いて補強層7を形成する
が、補強層7は、ブラスメッキワイヤを複数本引きそろ
えてスパイラル状あるいはブレード状に編み組みし形成
される。ブラスメッキワイヤは、編み組みする前に含硫
黄トリアジン化合物で処理するのが好ましい。このトリ
アジン処理を行うと、ワイヤの耐食性、ワイヤのエラス
トマー組成物に対する接着性がさらに高くなる。次に、
補強層7を形成し終えたホースに、高周波誘導加熱装置
8で高周波を印可し、補強層7の補強用のワイヤに0.
1〜5秒間、局部加熱を施す。この時、ブラスメッキワ
イヤよりなる補強層7は100〜350℃に加熱され接
着層を溶融させて、十分接合させることが可能となる。
尚、補強材のワイヤの加熱は、高周波炉を用いた誘導加
熱の他、熱風加熱、赤外線加熱でも行うことができる。
加熱処理すると、接着層とワイヤが十分に接合しホース
の耐久性が向上する。中でも特に、高周波誘導加熱を行
うと、ワイヤと接触している接着層表面だけを部分溶融
することができ補強層7と接着層とを物理的、化学的に
強固に接着させられるとともに、材料の劣化も少ない。
さらに、加熱による溶融が瞬時に行われるので作業効率
も高いというメリットが得られる。最後に、十分に加熱
された補強層7の上に、内管同様に、接着材用押出機1
0から接着層を、その上に、外管材用押出機11から外
管用の熱可塑性エラストマー組成物を同時に2層押出し
て、外管成形用ダイス9内でホース状に成形を行って、
外管12を形成する。外管成形時に、まず接着層を押出
した後、外管用の熱可塑性エラストマー組成物を押出
し、外管12を形成してもよい。また、図1において
は、ブラスメッキワイヤ補強層7の高周波誘導加熱は、
外管12を形成する前に行っているが、外管12を被覆
した後に行っても、同様に、外管12と接着層の間は強
固に接着される。このようにしてホースを形成した後に
マンドレル1を除去することにより所望のホースが得ら
れる。
【0022】上述の製造方法で得られる本発明のホース
は、以下の特性を持つ。本発明のホースの製造方法にお
いては、通常のゴムホース等のホースのように後加硫工
程が不必要なので、製造工程が簡略化でき、ゴムホース
の製造より簡略である。後加硫工程が不必要なので加熱
時の熱による収縮変形等がなく、ホースの寸法が維持し
やすい。内管、外管には、プラスチックではなく、柔軟
な熱可塑性エラストマー組成物を用いているので、硬い
ワイヤブレードを補強層として用いても柔軟なホースと
なる。接着層にマレイン酸変性ポリオレフィン系熱可塑
性樹脂を用いるので、内管、外管と補強層との接合が強
固であり、耐久性に優れる。補強層に、従来用いられて
いた亜鉛メッキワイヤより強度の高いブラスメッキワイ
ヤを用いることにより、ホースの耐久性が向上する。さ
らに、ブラスメッキワイヤを含硫黄トリアジン化合物で
表面処理することにより、ワイヤの耐蝕性、およびワイ
ヤの内管、外管に対する接着性、ホースの耐久性がさら
に向上する。補強層形成後、もしくは外管形成後、接着
層の加熱を行うが、高周波誘導加熱を選択することによ
り、赤外線加熱、熱風加熱等の加熱方法に較べて、熱を
ワイヤ表面ではじいたり、失うことなく、接着層を加熱
することができ、作業性がよい。また、接着層の加熱も
均一にできる。
【0023】従って、本発明のホースは、高温高圧環境
下で長時間使用による耐久性が要求される高圧ホースと
して用いることができ、例えば、建設機械、自動車等の
耐油ホース、パワーステアリングホース、ウォータージ
ェット用ホース等として用いることができる。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。ただし、本発明は実施例の範囲に限定されるもの
ではない。
【0025】実施例1〜2および比較例1 樹脂成分、ゴム成分および加硫剤を始めとする各種配合
剤を用い、以下のようにして、下記表2に示される各種
の熱可塑性エラストマー組成物を調製した。先ず、下記
表1に示される、ゴム組成物の配合剤(有機過酸物以
外)を、密閉式のゴム用バンバリミキサーに投入して約
3分間混練してから、材料温度が150℃になった時点
で放出した。次に、ゴム配合1,2については、上記ゴ
ム組成物と有機過酸化物を再度バンバリミキサーで混練
し、120℃になった時点で放出し、ゴム配合組成物を
作製した。その後、ゴム配合1〜3は、ゴム用ペレタイ
ザを使用してペレット状にした。
【0026】
【表1】
【0027】次いで、樹脂成分、前記ペレット状のゴム
配合を表2に示す配合で2軸混練押出機に投入、混練し
て、また比較例1の場合には、更に加硫剤を2軸混練機
の中央付近から連続的に投入、混練することにより、樹
脂組成物からなるマトリックス中にドメインとして分散
しているゴム組成物を動的に加硫した。混練条件は、混
練温度200℃、剪断速度1000秒-1であった。動的
加硫終了後、2軸混練押出機から連続的にストランド状
に排出し、水冷後、カッターで長さ約3mm(直径約2m
m)に切断し、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成
物を得た。
【0028】得られた各種熱可塑性エラストマー組成物
について、単軸押出機で溶融し、T型ダイで1.5mm厚
のシートに加工し、JIS K6301に準拠して、引
張強度、伸び、M50、体積変化率および圧縮永久歪み
を測定した。結果を下記表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】実施例1および2は、加硫剤(有機過酸化
物)を予めゴム組成物中に配合しておいたことによっ
て、従来の加硫剤の配合方法を用いた比較例1に比し
て、引張強度、伸び、M50、体積変化率および圧縮永
久歪みの諸物性において優れていることを示している。
【0031】実施例3〜5、比較例2 下記表3に示す材料を用いて、内管、接着剤層、補強
層、接着剤層および外管からなる内径9.5mm、外管1
7.5mmのホースを作製した。先ず、表3に示す内管材
料と接着剤を用いて、クロスヘッド構造を有する樹脂用
押出機により、予め離型剤を塗布したポリエステルのマ
ンドレル上に内径9.5mm、厚さ1.0mmとなるように
チューブ状に押出し、内管および接着層を形成した。そ
の後編組機を用いてブラスメッキワイヤーを編組し、補
強層を形成した。さらに、これを、高周波誘導加熱装置
に通し、2次電力15kwのもとでワイヤーを180℃に
加熱した。続いて、ワイヤー上に樹脂用押出機を用いて
上記と同じ接着剤層および外管材料を2層押出しし、厚
さ1.0mmの外管を形成した。最後にマンドレルを引抜
いて供試ホースを得た。 (従来例)アクリロニトリル・ブタジエンゴムにて内管
(内径9.5mm)をマンドレル上に押出成形し、次いで
ブラスメッキワイヤ(直径0.25mm)をブレッド状に
編み組みして補強層を形成した。その後、クロロプレン
ゴムからなる外管(外径16.9mm)を押出形成し、こ
れを、150℃(20kg/cm2 )×45分の条件で加硫
接着した。当該供試ホースについて、その耐久性、曲げ
硬さおよび作業工数を試験した。その結果を以下の表3
に示す。
【0032】なお、上記の例において使用した測定法、
評価方法は、以下のとおりである。 ホース耐久性試験(インパルス試験) SAE J188タイプ1に準拠して試験を行った。オ
ートマルチ油(出光)、120℃、圧力27.5Mpa で
60万回のインパルスを与え、ホース抜けおよび本体破
壊等の有無の確認を行う。評価基準を40万回とし、そ
れ以上で異常なしの場合を合格(○)とした。
【0033】ホース曲げ硬さ試験(常温) 常温にて所定の半径を有する円弧に沿ってホースを曲
げ、曲げ力を測定した。曲げ半径は、ホース外径の10
倍(10D)から測定し初め、3倍まで順次曲げ力を測
定した(n=2)。この結果得られた曲げ力と曲げ半径
との関係をプロットした曲線より、測定の半径(4倍)
の時の数値を読み取る方法をとった。データは、従来例
で作製したホースの値を100として、実施例、比較例
のホースが同様に変形する荷重を相対値として表した。
数値が小さい程柔軟性が高い。
【0034】作業工数試験 従来例のホースを製造する工数を100として、実施
例、比較例のホースの製造工数をその相対値として表し
た。
【0035】
【表3】
【0036】実施例3〜5に示すように、本発明の熱可
塑性エラストマー組成物をホースの内管および/または
外管材料に使用した場合には、比較例2および従来例に
比して、その耐久性、曲げ強さおよび作業工数において
優れていることがわかる。
【0037】
【発明の効果】本発明により、加硫剤の有機過酸化物を
予め所定のゴム組成物中に練り込んでおき、しかる後に
これを熱可塑性ポリオレフィン系樹脂組成物と混練し、
動的加硫して得られる熱可塑性エラストマー組成物は、
耐熱性、耐油性に優れることはもちろん、格別優れた引
張強度、伸び、モジュラス、体積変化率および圧縮永久
歪み等の諸物性を有し、これは、耐久性大のホース材料
として好ましく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホースの製造工程の概略を示す概略図
である。
【符号の説明】
1…マンドレル 2…内管材用押出機 3…接着剤用押出機 4…内管成形用ダイス 5…内管 6…補強層成形機 7…補強層 8…高周波誘導加熱装置 9…外管成形用ダイス 10…接着剤用押出機 11…外管材用押出機 12…外管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑中 進 神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリオレフィン系樹脂組成物と
    エチレンアクリル酸エステル共重合体ゴム組成物が配合
    比(重量比)で70/30〜15/85からなる熱可塑
    性エラストマー組成物において、加硫剤の有機過酸化物
    が予め前記ゴム組成物に練り込まれ、しかる後に混練、
    動的加硫されていることを特徴とする熱可塑性エラスト
    マー組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の熱可塑性エラストマー
    組成物を用いたホース。
JP6543598A 1998-03-16 1998-03-16 熱可塑性エラストマー組成物およびそれを使用したホース Pending JPH11255971A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1408079A1 (en) * 2002-10-09 2004-04-14 The Goodyear Tire & Rubber Company Hose construction containing polymer composition
JP2008088336A (ja) * 2006-10-04 2008-04-17 Aron Kasei Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法

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EP1408079A1 (en) * 2002-10-09 2004-04-14 The Goodyear Tire & Rubber Company Hose construction containing polymer composition
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