JP3757608B2 - 高耐熱熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、重合体中に架橋ゴム粒子が分散している高耐熱熱可塑性エラストマー組成物に関する。さらに詳細には、4−メチル−1−ペンテン系重合体の特徴である耐熱性、離型性を備え、かつ柔軟性にも優れた高耐熱熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
架橋ゴムは優れた柔軟性と耐熱性を備えているが、成形性に問題があり、例えば射出成形する場合、ゴムに添加剤を配合、混練し、金型内に供給後、架橋する必要があるため、特殊な成形機を必要とし、成形サイクル時間が長くかつ工程が煩雑であるという問題がある。押出成形においても同様な問題があり、架橋ゴム製品を大量生産する上での問題となっている。また架橋ゴムはいったん成形、架橋した後は、加熱しても溶融しないため、融着して接合するなどの後加工ができないという問題点もある。
【0003】
例えば、ゴムホースの製造時にホース内面の真円度、寸法精度を高めるために使用されるマンドレル(円棒、心材)は、ホースの製造工程中にドラムに巻くために柔軟性が必要であるとともに、ホースの架橋工程で150℃以上、望ましくは160〜180℃の高温に曝されても変形しない耐熱性が要求される。またホースを架橋した後に切断したマンドレルを再使用するためには、マンドレル同士を融着して接合する必要がある。
【0004】
従来のマンドレルの素材としてはポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、4−メチル−1−ペンテン系重合体などの高融点樹脂、エチレン・プロピレンゴムなどの架橋ゴムが使用されているが、従来の高融点樹脂は硬いため、直径20mm程度以上の径の太いマンドレルの素材としては使用できない。一方、エチレン・プロピレンゴムなどの架橋ゴムは柔軟性、耐熱性は優れているが、マンドレル同士を融着によって接合することができず、再利用が困難であるほか、寸法精度が悪いなどの欠点がある。
【0005】
高融点樹脂の柔軟性を改良するため、軟化剤のブレンドが検討された。例えば、4−メチル−1−ペンテン系重合体にオイルをブレンドすると柔軟性は向上するが、オイルがマンドレル表面にブリードアウトしてゴムホースの内面を汚染するという問題がある。
【0006】
また架橋しないで成形でき、かつ架橋ゴム類似の性能を有する素材によるゴム代替が検討されてきた。このような性能を有する素材の中で軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン等の軟質プラスチックは成形性が良好であり、かつ柔軟性に富んでいるが、反発弾性が劣り、また130℃以上の高温下では溶融してしまうなどの欠点がある。そこで、架橋ゴムと軟質プラスチックの中間の性能を有する素材としていわゆる熱可塑性エラストマーの開発が進められてきた。
【0007】
このような熱可塑性エラストマーの例として、特公昭56−15741号には、(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム90〜40重量部、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラステイック10〜60重量部(ここで(a)+(b)は100重量部になるように選ぶ)、ならびに(c)ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質および/または(d)鉱油系軟化剤5〜100重量部からなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理して得られる部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。
しかし、上記従来の熱可塑性エラストマー組成物は150℃以下では柔軟性、反発弾性、引張特性に優れ、良好な成形性も備えているが、150℃を越える高温下では溶融するため、使用できないなど、耐熱性に問題がある。
【0008】
したがって、柔軟でかつ150℃以上の高温下で使用可能であり、しかも一般の樹脂のように熱融着可能で、さらに軟化剤などの添加剤のブリードアウトの無い素材、すなわち耐熱性の優れた熱可塑性エラストマーが望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐熱性に優れており、150℃以上の高温下でも反発弾性および引張特性に優れ、しかも柔軟性および成形性に優れ、かつ熱融着も可能な高耐熱熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記高耐熱熱可塑性エラストマーを得るため鋭意検討した結果、4−メチル−1−ペンテン系重合体中に特定粒径の架橋ゴム粒子を特定量分散させてなる熱可塑性エラストマー組成物は、150℃以上の高温下で使用可能な優れた耐熱性と柔軟性を併せ持つことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は次の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物である。
(1) (A)4−メチル−1−ペンテン系重合体20〜95重量%、および
(B)エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムの架橋物からなり、平均粒径100μm以下の架橋ゴム5〜80重量%
を含む組成物であって、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)中に架橋ゴム(B)粒子が分散している高耐熱熱可塑性エラストマー組成物。
(2) 4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)が、4−メチル−1−ペンテン含有量80〜99.9重量%、炭素数2〜20のα−オレフィン含有量0.1〜20重量%の4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体である上記(1)記載の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物。
(3) α−オレフィンが、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンからなる群から選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンである上記(2)記載の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物。
【0012】
本発明で用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、または4−メチル−1−ペンテンと他のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体である。好ましい共重合成分は、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンまたは1−エイコセン等の炭素数10〜20のα−オレフィンである。4−メチル−1−ペンテンと共重合するα−オレフィンは二種類以上の混合物であってもよい。
【0013】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)が共重合体の場合、4−メチル−1−ペンテンの含有量が80〜99.9重量%、好ましくは90〜99.9重量%、共重合成分の含有量が0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である4−メチル−1−ペンテンを主体とした共重合体が好ましい。共重合成分の含有量が上記範囲にある場合、より耐熱性に優れた組成物が得られる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)としては4−メチル−1−ペンテンと炭素数10〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体が好ましい。
【0014】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は、ASTM D 1238に準じ荷重:5.0Kg、温度:260℃の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜200g/10分、好ましくは1〜150g/10分の範囲にあるものが望ましい。
【0015】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)としては市販品を使用することもできる。具体的には、三井化学(株)製のTPX MX001、MX002、MX004、MX021、MX321、RT18またはDX845(いずれも商標)などがあげられる。また、その他のメーカー製でも上記の要件を満たす4−メチル−1−ペンテン系重合体であれば、好ましく使用可能である。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0016】
本発明で用いられる架橋ゴム(B)は平均粒径100μm以下、好ましくは0.1〜50μmの架橋されたゴムである。具体的な架橋ゴム(B)としては、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、シリコーンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムの架橋物などがあげられる。架橋ゴム(B)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0017】
本発明で用いられる架橋ゴム(B)は未加硫のゴムを加硫などの方法により架橋した架橋ゴムである。架橋するために用いる架橋剤としては公知の加硫剤が使用でき、例えばイオウ、有機ペルオキシド、ポリアミン、ポリオール、シラン化合物、金属酸化物などがあげられる。架橋剤の使用量は未加硫のゴム100gに対して通常0.001〜1モル程度であるが、架橋ゴムの柔軟性および耐熱性からは0.005〜0.5モル程度が好ましい。
【0018】
架橋に際しては架橋速度を上げるため、あるいは架橋の効率を上げるために架橋助剤、架橋促進剤を使用することもできる。架橋助剤、架橋促進剤の例としては、ジフェニルグアニジン等のアミン類;メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−べンゾチアゾールスルフェンアミド等のイオウ系化合物;トリアリルイソシアヌレート等の多官能モノマーなどがあげられる。
【0019】
本発明で用いられる架橋ゴム(B)には通常のゴムに添加されるカーボンブラック、シリカ、クレー、タルクなどの補強剤または充填剤を配合しても良い。補強剤または充填剤の配合量はゴム100重量部に対して通常0〜500重量部程度であるが、柔軟性の点から300重量部以下が好ましい。
【0020】
また本発明で用いられる架橋ゴム(B)には通常のゴムに添加される鉱油、エステル系可塑剤、ワックス、植物油、合成油などの軟化剤を配合しても良い。軟化剤の配合量はゴム100重量部に対して通常0〜300重量部程度であるが、耐熱性の点から200重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下が望ましい。
また本発明で用いられる架橋ゴム(B)には通常のゴムに添加される老化防止剤、抗酸化剤を配合しても良い。さらにポリプロピレンなどのポリオレフィンを配合してもよい。
【0021】
本発明の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物中の4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)の含有量は20〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、架橋ゴム(B)の含有量は5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%である。
【0022】
本発明の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂、軟化剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ剤、核剤、顔料、染料、補強剤、充填剤、老化防止剤、抗酸化剤など、通常ポリオレフィンまたはゴムに添加して使用される各種配合剤を他の成分として添加してもよい。
【0023】
本発明の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物は、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)中に前記架橋ゴム(B)の粒子が均一に分散している組成物である。このため本発明の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物は耐熱性に優れており、150℃以上の高温下でも反発弾性および引張特性に優れ、しかも柔軟性に優ている。4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)と前記架橋ゴム(B)とが相溶している場合では、このような特性は得られない。
【0024】
本発明の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物は、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)中に前記架橋ゴム(B)の粒子を均一に分散させることにより製造することができる。4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)中に架橋ゴム(B)の粒子を均一に分散させる方法としては、予め架橋した架橋ゴム(B)を調製して平均粒径が100μm以下となるように粉砕した後、この粒子を二軸押出機、バンバリーミキサーなどにより4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)と混練する方法;4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)と未架橋のゴム、架橋剤、その他の配合剤をブレンドした後、二軸押出機、バンバリーミキサーなどにより高温でゴムを動的架橋するとともに平均粒径が100μm以下となるように混練する方法などがあげられる。もちろん、本発明の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物の製造方法が上述の方法に限定されるわけではない。
【0025】
本発明の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性に優れるとともに高い耐熱性を有しており、150℃以上の高温下でも反発弾性および引張特性に優れている。このため、このような特性を必要とするエラストマー素材として利用することができる。例えば、ゴムホースの加硫の際に使用するマンドレルの素材として有用である。特に20mm以上の太い径のゴムホースの加硫の際に使用するマンドレルの素材として有用である。本発明の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物からなるマンドレルは、20mm以上の太い径の場合でも、柔軟性に優れているためドラムに容易に巻くことができ、しかもホースの架橋工程の温度、例えば150〜180℃の高温に曝されても変形せず、さらに切断されたマンドレルは融着して接合することにより再利用することができるほか、ホースの内面を汚染することもない。
【0026】
【発明の効果】
本発明の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物は、4−メチル−1−ペンテン系重合体中に特定の平均粒径を有する架橋ゴムの粒子が特定量分散しているので、耐熱性に優れており、150℃以上の高温下でも反発弾性および引張特性に優れ、しかも柔軟性および成形性に優れ、かつ熱融着も可能である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下本発明の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物について実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
実施例で使用した熱可塑性エラストマー組成物は下記の条件で作製した。また実施例に示した物性の測定方法および条件は下記の通りである。
【0028】
《熱可塑性エラストマー組成物中の架橋ゴムの粒径測定》
電子顕微鏡により、熱可塑性エラストマー組成物の断面を5000倍に拡大した写真を撮影し、画像解析により、分散した架橋ゴム成分の平均粒径を測定した。
《曲げ弾性率の測定》
ASTM D790により、熱可塑エラストマー組成物の厚さ2mmのシートの曲げ弾性率を測定した。
《たわみ量(熱たわみ試験)》
図1に示すように、厚さ2mm、長さ120mm、幅20mmの試験片1の一方の端部2を、固定台3とクランプ4とで挟持し、170℃で5時間保持した後、試験片1の他方の端部5のたわみ量D(mm)を測定した。
【0029】
《高温圧縮歪み(熱クリープ試験)》
作製した直径20mmのマンドレルを長さ15mmに切断し、170℃、10kg荷重で5時間圧縮した時の歪み率(歪み/15mm×100%)を測定した。
《マンドレルの融着試験》
特開平8−336845号の図1〜3に記載されているマンドレル融着用のバット融着機を用いて、同公報に記載されている融着方法(バット融着)に従って、作製した直径20mmのマンドレル同士を融着し、融着後のマンドレルの融着部を曲げて割れが発生するかどうかを目視で調べた。すなわち、端部が楔状の凸状形状のマンドレルと、端部がV溝状の凹状形状のマンドレルとを、凸部と凹部とを嵌合させて融着し、融着後のマンドレルの融着部を曲げて割れが発生するかどうかを目視で調べた。
《ブリードアウト試験》
作製したマンドレルの表面に軟化剤がブリードアウトするかどうかを目視で調べた。
【0030】
製造例1
微粒子架橋EPDMマスターバッチの作製
エチレン含有率70モル%、ヨウ素価15、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕60のエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(以下、EPDMと略す)60重量部、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T、230℃)13g/10分、密度0.91g/cm3のポリプロピレン30重量部、およびナフテン系プロセスオイル10重量部をバンバリーミキサーにより窒素雰囲気中、180℃で5分間混練したのちロールを通し、シートカッターにより未加硫ゴムのペレットを製造した。
【0031】
次にこのペレットと、1,3−ビス(tert−ブチルオキシイソプロピル)ベンゼン0.3重量部をジビニルベンゼン0.5重量部に溶解分散させた溶液とをタンブラーブレンダーにより混合し、溶液をペレット表面に均一に付着させた。次いで、このペレットを押出機で窒素雰囲気下において210℃で押し出すことにより、ポリプロピレンを基質として、その中に、EPDMが架橋した架橋ゴムが分散した架橋ゴム組成物のペレット(以下、微粒子架橋EPDMマスターバッチと略す)を得た。
【0032】
実施例1
4−メチル−1−ペンテン系重合体〔商品名:TPX MX002(三井化学(株)製、ASTM D 1238に準じ荷重5.0Kg、温度260℃の条件で測定したMFR:23g/10分、4−メチル−1−ペンテン含有量:93重量%、炭素数16,18のオレフィンの混合物(商品名:ダイヤレンD−168)の含有量:7重量%〕90重量部と、合成油(商品名:ルーカントHC−20(三井化学(株)製、粘度=20cps)10重量部とをブレンドし、合成油含有TPXを得た。この合成油含有TPXの80重量部と、製造例1で作製した微粒子架橋EPDMマスターバッチ20重量部とをブレンドし、二軸押出機により260℃で溶融混練して押し出すことにより、平均粒径20μmのEPDM架橋ゴム14重量%が4−メチル−1−ペンテン系重合体中に平均粒径17μmで分散する目的とする熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
【0033】
得られた熱可塑性エラストマー組成物を280℃でプレス成形し、厚さ2mmのシートを作製した。また得られた熱可塑性エラストマー組成物を45mmの押出機(設定温度:280℃)で押出断面が20mmφの円形のダイを通して押出して、マンドレルを作製した。
得られたシートおよびマンドレルを用いて曲げ弾性率の測定、熱たわみ試験、熱クリープ試験、マンドレルの融着試験、ブリードアウト試験を行った。結果を表1に示す。
【0034】
実施例2
配合比を、合成油含有TPX60重量部、微粒子架橋EPDMマスターバッチ40重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。なお得られた熱可塑性エラストマー組成物ペレット中の架橋ゴム含有量は28重量%、平均粒径は19μmであった。
【0035】
実施例3
配合比を、合成油含有TPX40重量部、微粒子架橋EPDMマスターバッチ60重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。なお得られた熱可塑性エラストマー組成物ペレット中の架橋ゴム含有量は42重量%、平均粒径は21μmであった。
【0036】
実施例4
実施例1で用いたものと同じ4−メチル−1−ペンテン系重合体80重量部と、粉末状架橋シリコーンゴム(商品名:トレフィルR−900、平均粒径20μm、トーレシリコーン社製)20重量部とをブレンドし、二軸押出機により260℃で溶融混練して押し出すことにより、4−メチル−1−ペンテン系重合体中に平均粒径18μmの粉末状架橋シリコーンゴムが20重量%分散する目的とする熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
この熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして厚さ2mmのシートおよび直径20mmφのマンドレルを作製し、物性を測定した。結果を表1に示す。
【0037】
実施例5
配合比を、4−メチル−1−ペンテン系重合体60重量部、粉末状架橋シリコーンゴム40重量部に変更した以外は実施例4と同様に行った。結果を表2に示す。なお得られた熱可塑性エラストマー組成物ペレット中の架橋ゴム含有量は40重量%、平均粒径は19μmであった。
【0038】
実施例6
配合比を、4−メチル−1−ペンテン系重合体40重量部、粉末状架橋シリコーンゴム60重量部に変更した以外は実施例4と同様に行った。結果を表2に示す。なお得られた熱可塑性エラストマー組成物ペレット中の架橋ゴム含有量は60重量%、平均粒径は18μmであった。
【0039】
実施例7
実施例6において、トレフィルR−900の代わりに、別の粉末状架橋シリコーンゴム(商品名:トレフィルE−850、平均粒径70μm、トーレシリコーン社製)を用いた以外は実施例6と同様に行った。結果を表2に示す。なお得られた熱可塑性エラストマー組成物ペレット中の架橋ゴム含有量は60重量%、平均粒径は65μmであった
【0040】
比較例1
4−メチル−1−ペンテン系重合体(商品名:TPX MX002(三井化学(株)製、MFR:23)を単独で用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0041】
比較例2
4−メチル−1−ペンテン系重合体(商品名:TPX MX002(三井化学(株)製、MFR:23g/10分)90重量部と、合成油(商品名:ルーカントHC−20(三井化学(株)製、粘度=20cps)10重量部とをブレンドした合成油含有TPXを用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0042】
比較例3
市販の熱可塑性エラストマー(商品名:ミラストマーM2400B(三井化学(株)製、MFR:23g/10分)90重量部と、合成油(商品名:ルーカントHC−20(三井化学(株)製、粘度=20cps)10重量部とをブレンドしたものを用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0043】
比較例4
実施例1で用いた合成油含有TPXの60重量部と、製造例1で得た未加硫ゴムのペレット40重量部とをブレンドし、二軸押出機により260℃で溶融混練して押し出すことにより、平均粒径20μmの未架橋EPDM28重量%が4−メチル−1−ペンテン系重合体中に平均粒径16μmで分散する熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
この熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして厚さ2mmのシートおよび直径20mmφのマンドレルを作製し、物性を測定した。結果を表3に示す。
【0044】
【表1】
表1
【0045】
【表2】
表2
【0046】
【表3】
【0047】
表1〜表3の結果から明らかなように、各実施例の熱可塑性エラストマー組成物は柔軟性に優れるとともに従来の熱可塑性エラストマーが溶融する170℃の高温化でも優れた耐歪み性を維持している。
また、軟化剤のブリードアウトも無く、融着も容易であり、ゴムホース用のマンドレルの素材などに適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において用いた熱たわみ試験用のたわみ試験装置の一部の側面図である。
【符号の説明】
1 試験片
2、5 端部
3 固定台
4 クランプ
D たわみ量
Claims (3)
- (A)4−メチル−1−ペンテン系重合体20〜95重量%、および
(B)エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムの架橋物からなり、平均粒径100μm以下の架橋ゴム5〜80重量%
を含む組成物であって、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)中に架橋ゴム(B)粒子が分散している高耐熱熱可塑性エラストマー組成物。 - 4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)が、4−メチル−1−ペンテン含有量80〜99.9重量%、炭素数2〜20のα−オレフィン含有量0.1〜20重量%の4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体である請求項1記載の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物。
- α−オレフィンが、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンからなる群から選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンである請求項2記載の高耐熱熱可塑性エラストマー組成物。
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