JPH11255446A - エレベータの安全スイッチ用短絡装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全に、かつ、効率よく安全スイッチの点検
作業を可能ならしめるエレベータの安全スイッチ用短絡
装置の提供。 【解決手段】 箱状の本体ケース２と、この本体ケース
２から引き出されたコード３、３ａの末端にそれぞれ設
けられ、かつ、エレベータの安全スイッチを短絡するク
リップ端子４、４ａと、クリップ端子４、４ａ間に接続
され、かつ、前記本体ケース２に収納され、しかも、設
定時間経過後に前記安全スイッチの短絡を解除するタイ
マー５と、本体ケース２に収納され、かつ、安全スイッ
チの短絡が前記タイマー５により解除されると作動する
報知器６と、この報知器６が作動しているのを停止させ
るために本体ケース２の上面に設けられた手動スイッチ
７と、本体ケース２の上面に設けられ、かつ、タイマー
５の設定時間を調整するダイヤル８を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ダウンリミットス
イッチやファイナルリミットスイッチなどの安全スイッ
チを短絡して、点検作業を行う場合、たとえば高速エレ
ベータ等の最下階におけるドアロックスイッチの点検作
業をする場合に好適なエレベータの安全スイッチ用短絡
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】エレベータの乗り場のドアに設置されて
いるドアロックスイッチの点検作業は乗りかご上に乗っ
た作業員によって行われることが多いが、一般に、最下
階ドアのドアロックスイッチの点検作業に最適な位置ま
で乗りかごを下降させることは困難であった。つまり、
エレベータには通常、最下階ドア近傍の昇降路壁にダウ
ンリミットスイッチおよびファイナルリミットスイッチ
が固設されていて、乗りかごが正規の最下階停止位置よ
りも下降してしまうとすぐに、乗りかごの側面に固設さ
れているカムがダウンリミットスイッチを投入して該乗
りかごが減速し、その直後に該カムがファイナルリミッ
トスイッチを投入して該乗りかごが緊急停止するように
設計されているので、この緊急停止位置よりもさらに下
方へ乗りかごを移動させることはできなかった。

【０００３】そこで、たとえば、特開平８−３３３０６
４号公報に示すように、最下階ドア近傍の昇降路壁に固
定され、かつ、乗りかごのカムが到達すると該乗りかご
を緊急停止させるリミットスイッチを備えたエレベータ
において、前記カムが到達すると乗りかごを停止させる
過下降用停止スイッチを、前記リミットスイッチの下方
に直列に追加するとともに、この直列回路と前記緊急停
止動作が実行可能な通常の回路のうちいずれかを選択す
るための切替スイッチを、昇降路壁の所定位置（最下階
に停止した乗りかご上を足場とする作業者の作業空間）
に設け、この切替スイッチを操作して前記リミットスイ
ッチを短絡させることで、前記カムが前記リミットスイ
ッチに到達しても乗りかごを停止させずに過下降させ、
かつ、前記カムが過下降用停止スイッチに到達したとき
に乗りかごを停止させるようにしたものが開発されてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来例には、次の
ような問題点がある。

【０００５】（１）過下降用停止スイッチや切替スイッ
チを設けるために、大幅にエレベータを改造することに
なり、製作性が悪い。

【０００６】（２）切替スイッチで、緊急停止動作が可
能な通常の回路と、リミットスイッチと過下降用停止ス
イッチの直列回路とを切り替えるようにすることはエレ
ベータの法令に違反するという問題がある。

【０００７】本発明の目的は、上記問題点にかんがみ、
エレベータの法令に違反することなく、ドアロックスイ
ッチ等の点検作業を、安全に、かつ、効率よく行わしめ
ることを可能にする構造の簡単なエレベータの安全スイ
ッチ用短絡装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的は、箱状の本体
ケースと、この本体ケースから引き出された少なくとも
２個のコードの先端にそれぞれ設けられ、かつ、エレベ
ータの安全スイッチを短絡する少なくとも２個のクリッ
プ端子と、これら２個のクリップ端子間に接続され、か
つ、前記本体ケースに収納され、しかも、設定時間経過
後に前記安全スイッチの短絡を解除するタイマーと、前
記本体ケースに収納され、かつ、前記安全スイッチの短
絡が前記タイマーにより解除されると作動する報知器
と、この報知器が作動しているのを停止させるために、
前記本体ケースの上面に設けられた手動スイッチと、前
記本体ケースの上面に設けられ、かつ、前記タイマーの
設定時間を調整するダイヤルとからなる構成としたこと
により達成される。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に基づき説明する。

【００１０】図１において、エレベータの安全スイッチ
用短絡装置１は、箱状の本体ケース２と、この本体ケー
ス２の上面２ａから引き出された２個のコード３、３ａ
の末端にそれぞれ設けられ、かつ、エレベータの安全ス
イッチを短絡する２個のクリップ端子４、４ａと、この
２個のクリップ端子４、４ａ間に接続され、かつ、本体
ケース２に収納され、しかも、設定時間経過後にエレベ
ータの安全スイッチの短絡を解除するタイマー５と、こ
のタイマー５によりエレベータの安全スイッチの短絡が
解除されると作動し、かつ、本体ケース２に収納された
ブザーなどからなる報知器６と、この報知器６が作動し
ているのを停止させるために本体ケース２の上面２ａに
設けられた手動スイッチ７と、本体ケース２の上面２ａ
に設けられ、かつ、タイマー５の設定時間を調整するダ
イヤル８とを有している。

【００１１】本体ケース２は、磁石などの吸着手段９、
９ａによって、図２に示すごときエレベータの機械室１
０に設けられた制御盤１１に脱着可能に取り付けられ
る。機械室１０には、巻上器１２が設置されている。エ
レベータの昇降路１３内には、乗りかご１４とカウンタ
ーウエイト１５が上下方向に移動可能な状態でも設けら
れている。乗りかご１４とカウンターウエイト１５は、
ロープ１６によって連結されている。

【００１２】エレベータの最下階の乗り場側ドア１７の
上方には、図２に示すように、ドアロックスイッチ１８
が設けられている。図２は、作業者Ａが乗りかご１４上
に乗ってドアロックスイッチ１８の点検作業をしている
状態を示している。乗りかご１４は、昇降路１３の側壁
に固定したガイドレール１９に沿って上下方向に移動す
るようになっている。ガイドレール１９の下端側には、
図３に示すように、ダウンリミットスイッチ２０とファ
イナルリミットスイッチ２１が支持体２２によって固定
されている。乗りかご１４には、図３に示すように、カ
ム体２３が固定されている。カム体２３でレバー２０ａ
あるいはレバー２１ａが押されたときに、ダウンリミッ
トスイッチ２０あるいはファイナルリミットスイッチ２
１が開放される構成になっている。

【００１３】安全スイッチ用短絡装置１のクリップ端子
４、４ａを、図２に示す制御盤１１の端子盤２４に接続
した状態の電気回路は、図４のとおりである。図４にお
いては、ダウンリミットスイッチ２０とファイナルリミ
ットスイッチ２１とは、２個の安全スイッチ用短絡装置
１を用いて、別々に短絡するようにしている。

【００１４】図４において、乗りかご制御回路２５に
は、ダウンリミットスイッチ２０とファイナルリミット
スイッチ２１が直列に接続されている。ダウンリミット
スイッチ２０あるいはファイナルリミットスイッチ２１
が開放されると、乗りかご制御回路２５が開放される。

【００１５】クリップ端子４、４ａの間には、タイマー
５とこのタイマー５の常閉接点５ｂの直列回路が接続さ
れている。常閉接点５ｂは、タイマー５の設定時間が経
過すると開放されるようになっている。報知器６には、
乾電池２６と手動スイッチ７とタイマー５の常開接点５
ａが直列に接続されている。常開接点５ａは、タイマー
５の設定時間が経過すると閉成されるようになってい
る。

【００１６】本体ケース１は、縦寸法Ｌ₁を最長約１３
３ｍｍに、横寸法Ｌ₂を最長約８３ｍｍに、奥行き寸法
Ｌ₃を最長約４２ｍｍに、それぞれ設定されている。こ
の本体ケース１に、乾電池２６、報知器６及びタイマー
５が収納されている。

【００１７】上記安全スイッチ用短絡装置１を用いたド
アロックスイッチ１８の点検作業は、次のようにして行
われる。

【００１８】（１）２人の作業者Ａ、Ｂのうち１人が機
械室１０に入り、安全スイッチ用短絡装置１を吸着手段
９、９ａにより制御盤に固定するとともに、クリップ端
子４、４ａを端子盤２４に接続することでダウンリミッ
トスイッチ２０及びファイナルリミットスイッチ２１を
短絡させる。

【００１９】（２）次に、２人の作業者Ａ、Ｂは乗りか
ご１４上に乗ってその乗りかご１４を、最下階のドアロ
ックスイッチ１８を乗りかご１４上で点検可能位置まで
移動させる。

【００２０】（３）次に、２人の作業者Ａ、Ｂは乗りか
ご１４上で連絡を取り合いながらドアロックスイッチ１
８の点検を行う。

【００２１】（４）ドアロックスイッチ１８の点検作業
が終了すると乗りかご１４を最上階に移動させて、２人
の作業者Ａ、Ｂのうち１人が機械室１０に入り、制御盤
１１から安全スイッチ用短絡装置１を取り除き、その短
絡装置１を片付ける。

【００２２】上記点検作業によれば、ドアロックスイッ
チの点検を２人で行うことが可能であるとともに、その
２人は乗りかご１４上で連絡を取り合いながら点検作業
を行うことができるので安全である。また、タイマー５
の設定時間が経過すると報知器６が作動して、クリップ
端子４、４ａが端子盤４、４ａに接続したままであるこ
とを作業者Ａ、Ｂに知らせるので、クリップ端子４、４
ａの取り忘れを防止することができる。さらに、上記点
検作業によれば、従来に比べて約１／３に作業時間を低
減できるし、その上、上記安全スイッチ用短絡装置１に
よれば、エレベータを何ら改造することなく、ドアロッ
クスイッチの点検作業を行うことができる。

【００２３】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、エレベ
ータを改造することなく、ドアロックスイッチ等の安全
スイッチに係わる点検作業を安全に、かつ、効率よく行
うことのできるきわめて構造の簡単なエレベータの安全
スイッチ用短絡装置がえられた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示し、エレベータの安全
スイッチ用短絡装置の外観斜視図である。

【図２】本発明の一実施形態を示し、エレベータ最下階
におけるドアロックスイッチの点検作業状態説明図であ
る。

【図３】ダウンリミットスイッチ及びファイナルリミッ
トスイッチ部分の概略説明図である。

【図４】本発明の一実施形態を示し、安全スイッチ用短
絡装置の電気回路図である。

【符号の説明】

１ 安全スイッチ用短絡装置 ２ 本体ケース ３ コード ４ クリップ ５ タイマー目盛 ６ 報知器 ７ 手動スイッチ ８ タイマーダイヤル ９ 磁石

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 箱状の本体ケースと、この本体ケースか
   ら引き出された少なくとも２個のコードの先端にそれぞ
   れ設けられ、かつ、エレベータの安全スイッチを短絡す
   る少なくとも２個のクリップ端子と、これら２個のクリ
   ップ端子間に接続され、かつ、前記本体ケースに収納さ
   れ、しかも、設定時間経過後に前記安全スイッチの短絡
   を解除するタイマーと、前記本体ケースに収納され、か
   つ、前記安全スイッチの短絡が前記タイマーにより解除
   されると作動する報知器と、この報知器が作動している
   のを停止させるために、前記本体ケースの上面に設けら
   れた手動スイッチと、前記本体ケースの上面に設けら
   れ、かつ、前記タイマーの設定時間を調整するダイヤル
   とからなることを特徴とするエレベータの安全スイッチ
   用短絡装置。
2. 【請求項２】 前記本体ケースは、縦寸法を最長約１３
   ３ｍｍに、横寸法を最長約８３ｍｍに、奥行き寸法を最
   長約４２ｍｍに、それぞれ設定するとともに、前記本体
   ケースをエスカレータの機械室に設置した制御盤に磁石
   などの吸着手段により着脱可能に取り付けたことを特徴
   とする請求項１記載のエレベータの安全スイッチ用短絡
   装置。