JPH11252956A - 積層型圧電素子とこれを用いた超音波モータ - Google Patents

積層型圧電素子とこれを用いた超音波モータ

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JPH11252956A
JPH11252956A JP10049461A JP4946198A JPH11252956A JP H11252956 A JPH11252956 A JP H11252956A JP 10049461 A JP10049461 A JP 10049461A JP 4946198 A JP4946198 A JP 4946198A JP H11252956 A JPH11252956 A JP H11252956A
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JP
Japan
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piezoelectric element
hole
ring
ultrasonic motor
laminated piezoelectric
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JP10049461A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Kawabata
勉 川畑
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Star Micronics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波形の乱れを低減すると共に振動の低下を抑
制した積層型圧電素子と、この積層型圧電素子を用いて
固定子に発生する変位量の減衰を防止した超音波モータ
を提供すること。 【解決手段】 左右に隣り合う領域61〜610の厚さ方
向の分極が逆向きのリング状圧電素子4a〜4eが、上
下に隣り合う領域の厚さ方向の分極が逆向きになるよう
に内部電極を介して少なくとも三枚積み重ねられて成る
積層体と、積層体の最上面及び最下面に設けられた外部
電極8a,8bとを備え、上面の外部電極8aと一部の
内部電極、下面の外部電極8bと他の内部電極とが、積
層体に穿設されたスルーホール12内のスルーホール電
極によって互いに導通される積層型圧電素子2におい
て、スルーホール12は、各領域61〜610のリング中
心近傍で、且つ、各領域61〜610の一端又は両端近傍
に位置することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型圧電素子と
これを用いた超音波モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、圧電素子を複数積み重ねた積
層型圧電素子が知られているが、この積層型圧電素子を
振動させる場合にも、圧電素子を振動させる場合と同様
に、圧電素子に歪みを生じさせるために外部電極と内部
電極を導通する必要がある。積層型圧電素子の外部電極
と内部電極とを導通する一つの手法として、特開平6−
77550号公報に掲載されているように、圧電素子の
端面に外部電極を塗布し、これによって内部電極との導
通を図る技術が知られている。しかし、この技術を用い
た場合、内部電極の厚さが薄いため外部電極との接触面
積が少なく、圧電素子端面に塗布された外部電極と内部
電極とが導通不良になることがある。
【0003】このような外部電極と内部電極との導通不
良を防止すべく案出された導通手法として、積層型圧電
素子の積層方向にスルーホールを形成し、この内部にス
ルーホール電極を設ける技術が知られている。このスル
ーホールを備えた積層型圧電素子に関する技術文献とし
て、例えば、特開平6−120580号公報や特開平6
−165540号公報がある。特開平6−120580
号公報に掲載された積層型圧電素子では、圧電素子の積
層方向にスルーホールである貫通孔を設け、この貫通孔
の内部の電極により、各電極間の導通を図っている。ま
た、同様に特開平6−165540号公報にも、グリー
ンシートに穿設したスルーホール内に導電ペーストを充
填させ、これを焼成することによって各電極を導通する
ためのスルーホール電極を形成する技術が掲載されてい
る。
【0004】これらの積層型圧電素子によれば、上記特
開平6−77550号公報に掲載されているような、圧
電素子の端面に外部電極を塗布する積層型圧電素子と異
なり、スルーホール内の電極が周囲の内部電極によって
固定されているため、内部電極と外部電極との導通不良
を低減することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平6
−120580号公報や特開平6−165540号公報
に記載された積層型圧電素子においては、積層型圧電素
子に発生する波形に乱れが生じたり、積層型圧電素子の
振動が小さくなる場合があり、このような積層型圧電素
子を超音波モータの固定子(ステータ)として用いる
と、固定子に発生する波形が乱れたり、変位量が減衰す
るという問題があった。
【0006】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、波形の乱れを低減すると共に、振動の低下を
抑制した積層型圧電素子と、この積層型圧電素子を用い
て固定子に発生する変位量の減衰を防止した超音波モー
タを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明は、円周方向に複数の領域に分
割されると共に、左右に隣り合う当該領域の厚さ方向の
分極が互いに逆向きのリング状圧電素子が、上下に対向
する領域の厚さ方向の分極が互いに逆向きになるように
内部電極膜を介して少なくとも三枚積み重ねられて成る
積層体と、当該積層体の最上面及び最下面に設けられた
外部電極膜とを備え、上面の外部電極膜と一部の内部電
極膜、下面の外部電極膜と他の内部電極膜とが、積層体
の厚さ方向に穿設されたスルーホール内のスルーホール
電極によって互いに導通される積層型圧電素子におい
て、スルーホールは、リング状圧電素子の各領域のリン
グ中心近傍で、且つ、各領域の一端又は両端近傍に位置
することを特徴とする。
【0008】請求項1記載の発明に係る積層型圧電素子
によれば、スルーホールがリング状圧電素子の各領域の
リング中心近傍に設けられているため、リング中心近傍
よりも振動の大きな外周部分における分極された範囲、
即ち、外周部分における振動範囲がスルーホールが配置
されない分だけ広くなり、積層型圧電素子の振動の低下
が抑制される。さらに、スルーホールが各領域の一端又
は両端の近傍、即ち、本発明の積層型圧電素子に交流電
圧を印加した場合に発生する二つの定在波のうち一方の
定在波の振幅の無い節に相当する位置の近傍に設けられ
ているため、定在波の振幅が大きな位置にスルーホール
を設けた場合と比較して、スルーホールが設けられた部
分の定在波の振幅変化は小さく、波形の乱れが低減され
る。
【0009】請求項2記載の発明に係る超音波モータ
は、請求項1記載の積層型圧電素子を弾性体の裏面に設
けて成る振動体を、固定子として備えたことを特徴とす
る。
【0010】請求項2記載の発明に係る超音波モータに
よれば、弾性体の裏面に、波形の乱れを低減すると共に
振動の低下を抑制する積層型圧電素子を設けて成る振動
体を固定子として備えているため、固定子の表面に発生
する波形の乱れが低減されると共に、固定子の変位量の
減衰も防止される。
【0011】請求項3記載の発明に係る超音波モータ
は、請求項1記載の積層型圧電素子を弾性体の裏面に設
けて成る振動体を、固定子及び移動子として備えたこと
を特徴とする。
【0012】請求項3記載の発明に係る超音波モータに
よれば、弾性体の裏面に、波形の乱れを低減すると共に
振動の低下を抑制する積層型圧電素子を設けて成る振動
体を固定子及び移動子として備えているため、固定子及
び移動子の表面に発生する波形の乱れが低減されると共
に、固定子の変位量の減衰も防止される。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項2又は請求
項3記載の超音波モータにおいて、スルーホールが、交
流電圧を印加することにより積層型圧電素子に発生する
二つの定在波のうち一つの定在波の節に相当する位置の
近傍に設けられていることを特徴とする。
【0014】請求項4記載の発明に係る超音波モータに
よれば、スルーホールが二つの定在波のうち一方の定在
波の節に相当する位置、即ち、振幅の無い位置の近傍に
設けられているため、他の位置にスルーホールを設けた
場合と比較して、スルーホールが設けられた部分の定在
波の振幅変化は小さく、波形の乱れが低減される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る積層型圧電素
子の好適な実施形態について詳細に説明する。同一要素
又は同一機能を有する要素には同一符号を用いるものと
し、重複する記載は省略する。
【0016】(積層型圧電素子の構成)図1は、本実施
形態に係る超音波モータ用の積層型圧電素子2の全体斜
視図である。図のように、積層型圧電素子2は、PZT
(チタン酸ジルコン酸鉛)からなるリング状圧電素子4
a〜4eを5枚積み重ねて構成されている。また、各リ
ング状圧電素子4a〜4eは、領域61〜610に10分
割されており、最上に位置するリング状圧電素子4eの
各領域61〜610の上面及び最も下に位置するリング状
圧電素子4aの各領域61〜610の下面には、それぞれ
外部電極8a,8bが設けられている。外部電極8a,
8bは、Agで形成されており、その形状は各領域61
〜610と略同形である。また、各外部電極8a,8bの
周囲には、それぞれリング状圧電素子4eの上面、リン
グ状圧電素子4aの下面の露出部分が存在し、この露出
部分が非導電部10を形成している。さらに、詳細は後
述するが、各領域61〜610にはスルーホール12が設
けられている。
【0017】図2は、積層型圧電素子2の一つの領域6
2を、説明の便宜のために各リング状圧電素子4a〜4
eに分離した分解斜視図である。リング状圧電素子4b
〜4eのリング中心近傍で、図中の左端には、第1スル
ーホール12aが上下方向に穿設されている。さらに、
この第1スルーホール12aの内部には、AgPdまた
はAu、Pt、Pd等からなる第1スルーホール電極1
4aが充填されている。一方、リング状圧電素子4a〜
4dのリング中心近傍で、図中の右端には、第2スルー
ホール12bが上下方向に穿設されている。そして、こ
の第2スルーホール12bの内部には、AgPdまたは
Au、Pt、Pd等からなる第2スルーホール電極14
bが充填されている。
【0018】リング状圧電素子4a〜4dの上面には、
それぞれ内部電極16a〜16dが設けられている。内
部電極16a〜16dは、Agで形成されており、内部
電極16aと内部電極16c、内部電極16bと内部電
極16dがそれぞれ同一形状で、かつ、同一の大きさと
なっている。また、各内部電極16a〜16dの周囲に
は、リング状圧電素子4a〜4dの上面の露出部分が存
在し、この露出部分が非導電部10を形成している。さ
らに、内部電極16aと内部電極16cについては、第
2スルーホール12bの周囲に相当する部分が切り欠か
れ、リング状圧電素子4a及び4cの一部が露出してい
る。このため、内部電極16a及び内部電極16cは、
第2スルーホール電極14bと絶縁されている。一方、
内部電極16bと内部電極16dについては、第1スル
ーホール12aの周囲に相当する部分が切り欠かれ、内
部電極16b及び内部電極16dは、第1スルーホール
電極14aと絶縁されている。
【0019】図3は、図2に示す積層型圧電素子のIII-
III断面図である。この図に示されているように、第1
スルーホール電極14aを介して、外部電極8a、内部
電極16c及び内部電極16aが導通されている。ま
た、第2スルーホール電極14bを介して、外部電極8
b、内部電極16b及び内部電極16dが導通されてい
る。図中の矢印18は、分極方向を示しており、各リン
グ状圧電素子4a〜4eの内部電極16a〜16d及び
外部電極8aで覆われた部分が、分極されている。ま
た、矢印18の指す方向に、正の電荷が蓄積されてお
り、上下に対向する各リング状圧電素子4a〜4eの厚
み方向の分極は、逆向きになっている。即ち、外部電極
8a側を正、外部電極8b側を負となるように直流電圧
を印加すると、領域62におけるリング状圧電素子4a
〜4eは、全て、積層方向に縮むと共に円周方向に広が
ることになる。
【0020】図4(a)は、リング状圧電素子4aの平
面図である。図のように、全ての領域61〜610におい
て、図2の領域62のように、リング中心近傍で、且
つ、リング中心から見て右端の位置に、第2スルーホー
ル12bが設けられている。また、各内部電極16aと
第2スルーホール12bとの間には非導電部10が存在
し、何れの第2スルーホール電極14bも、内部電極1
6bと絶縁されている。また、領域62〜65の4つの領
域はsin側電極部となっており、領域67〜610は、
cos側電極部となっている。さらに、sin側電極部
及びcos側電極部は、リング状圧電素子4aが周方向
全体で5波長(5λ)の定在波を発生し得るように機械
角36°で等配されている。また、領域61は、機械角
で18°、電気角で90°になるように、そして、領域
6は、機械角で54°、電気角で270°になるよう
に設けられている。さらに、円周方向に隣り合う領域の
厚さ方向の分極は、逆向きになっている(図中+−参
照)。尚、上方、即ち、外部電極8a側に正の電荷が蓄
積された領域をプラス記号で表し、負の電荷が蓄積され
た領域をマイナス記号で表した。
【0021】図4(b)は、リング状圧電素子4bの平
面図である。図のように、全ての領域61〜610におい
て、図2の領域62のように、リング中心近傍の両端
に、第1スルーホール12aと第2スルーホール12b
が設けられている。また、各内部電極16bと第1スル
ーホール12aとの間には非導電部10が存在し、何れ
の第1スルーホール電極14aも、内部電極16bと絶
縁されている。これに対し、第2スルーホール12bの
周囲には非導電部10が存在しないため、各第2スルー
ホール電極14bは、内部電極16bと導通している。
図3の説明で述べたように、同じ領域のリング状圧電素
子は、電圧を印加した場合に全て同じ方向に伸縮するた
め、リング状圧電素子4bの各領域61〜610のプラス
・マイナス記号は、リング状圧電素子4aの対応する各
領域61〜610のプラス・マイナス記号とは逆になって
いる。そして、リング状圧電素子4aはリング状圧電素
子4c,4eと、また、リング状圧電素子4bはリング
状圧電素子4dとそれぞれ対応する領域同士のプラス・
マイナス記号は、等しくなっている。
【0022】(積層型圧電素子の製造方法)次に、本実
施形態に係る超音波モータ用の積層型圧電素子の製造方
法の好適な一例を説明する。
【0023】図5は、積層型圧電素子2の製造工程図で
ある。まず、図5に示す第1の工程で、グリーンシート
を所望の大きさに切り出し、パンチング機で所定位置に
直径約100μmのスルーホールを形成する。ここで、
スルーホールを形成する所定の位置とは、以下の工程を
経て得られる積層型圧電素子のリング中心近傍で、且
つ、上述の各領域の一端又は両端付近を意味する。第2
の工程では、スルーホール内に、スルーホール印刷技法
によってAgPdまたはAu、Pt、Pd等からなる導
電ペーストを埋め込む。続いて、第3の工程で、グリー
ンシート上に、Agからなる内部電極材を厚膜印刷技法
によって所定の位置にパターン印刷する。図6は、スル
ーホールを穿設し、内部電極材を印刷した状態のグリー
ンシート4a’を示す図である。尚、このグリーンシー
ト4a’は、リング状圧電素子4aに相当するものであ
る。
【0024】図5の第4の工程では、各リング状圧電素
子4a〜4eに相当する5枚のグリーンシートを積層す
る。第5の工程では、積層されたグリーンシートを、約
40℃から120℃に昇温し、等方圧プレス機によって
1000kg/cm2以上の圧力を加えて一定時間保持
することにより、各グリーンシートを密着させる。第6
の工程では、加圧したグリーンシートを焼成する。この
工程では、グリーンシート及び導電ペースト内に含まれ
る有機物を分解するために約500℃で焼く仮焼と、グ
リーンシートをセラミックとして成形するために約10
00℃から1200℃で焼く本焼が行われる。
【0025】第7の工程では、焼成されたセラミックの
表裏面を研磨する。そして、第8の工程で、研磨された
セラミックの表裏面にAgからなる外部電極材を印刷
し、第9の工程で外部電極材を焼き付け温度約700℃
から900℃で焼き付ける。第10の工程では、セラミ
ックの積層体を切削治具にてリング状に加工する。第1
1の工程で、セラミックの積層体に約3kV/mmの直
流電圧を印加し、分極処理を施すことにより、分極の方
向は上下に対向する領域同士で互いに逆向きとなり、図
1に示す本実施形態に係る超音波モータ用の積層型圧電
素子2が完成する。尚、上述のように、円周方向に左右
に隣り合う領域同士では、分極の方向は互いに逆向きに
なるようにする。
【0026】(超音波モータ)次に、本発明に係る積層
型圧電素子を用いた超音波モータの実施形態について説
明する。
【0027】図7は、図1に示す積層型圧電素子を用い
た第1実施形態に係る超音波モータを示す横断面図であ
る。この超音波モータは、機械的駆動機構から成る超音
波モータ本体101及び超音波モータ本体101の駆動
を行う駆動回路102から構成される。
【0028】超音波モータ本体101は、超音波モータ
が適用される例えばカメラ等の本体機器の固定側に固定
される固定用ベース103と、この固定用ベース103
に重ねて固定された外縁円形のステータ105と、固定
用ベース103及びステータ105の中央部を貫通し、
当該ステータ105に固定された軸受107により回転
自在に支持された回転軸104と、この回転軸104に
圧入固定され、上記ステータ105に対向する外縁円形
のロータ(移動子)106と、を備えている。ロータ1
06は、ステータ105の表面(図中上側)の円周方向
に進行する進行波により回転する(詳しくは後述す
る)。
【0029】上記ステータ105は、金属から成る円環
状の弾性体105eの裏面外周部に、積層型圧電素子2
を貼着して構成されている。この弾性体105eの外周
部105o及び内周部105iは厚肉であり、外周部1
05oの裏面に上記積層型圧電素子2が貼着され、内周
部105iが、例えばネジ留め等により固定用ベース1
03に固定される。弾性体105eの外周部105oと
内周部105iとの間の円環状の中間部105mは薄肉
であり、この中間部105mが外周部105oの振動を
容易にさせると共に、外周部105oと内周部105i
との間の振動伝達を抑制している。
【0030】上記ロータ106は、金属から成る円環状
の弾性体から構成される。このロータ106の内周部1
06i及びステータ105の外周部105oに対向する
外周部106oは厚肉であり、ロータ106の外周部1
06oと内周部106iとの間に、円環状の薄肉中間部
106mを備え、内周部106iが上記回転軸104に
圧入固定される。この回転軸104の上部には、フラン
ジ部104fが設けられ、さらに下部には、例えばCリ
ング等のスナップリング109が取り付けられており、
このスナップリング109と上記軸受107との間に、
スペーサ110を介して圧縮バネ111が介挿されてい
る。この圧縮バネ111とフランジ部104fによっ
て、回転軸104及びロータ106は常時下方に付勢さ
れている。
【0031】ロータ106は、外周部106oにおける
上記ステータ105の外周部105oに対向する面の略
中央部に、幅狭円環状の凸部106pを有する。ステー
タ側弾性体105eとロータ106を全面接触させる
と、励振側(ステータ側弾性体)の振動が相手側(ロー
タ)に大部分伝わって進行波の変位量が減衰してしまう
が、ロータ106は凸部106pを有しており、圧接面
が全面接触に比して狭小にされることから、ステータ側
弾性体105eに正常な進行波を形成することができ
る。ロータ側凸部106pとステータ105の外周部1
05oとの間には、例えば樹脂等より成る環状の緩衝摩
擦部材112が介在し、緩衝摩擦部材112はこれらと
圧接状態にある。すなわち、ロータ側凸部106pは、
圧縮バネ111の弾性力によって緩衝摩擦部材112を
介してステータ105の外周部105oを押圧してい
る。
【0032】以上が超音波モータ本体101の構成であ
り、当該超音波モータ本体101の駆動を行う駆動回路
102に対して前述した積層型圧電素子2のsin側電
極部及びcos側電極部が接続されている。この駆動回
路102は、グランド(GND)と積層型圧電素子2の
sin側電極部との間に正弦波電圧信号(sin波電圧
信号)を印加し、グランドとcos側電極部との間にこ
れと電気角で90°の位相差を有する正弦波電圧信号
(cos波電圧信号)を同時に印加する。この時、印加
される電圧信号の周波数は、ステータ105自身が最も
共振する周波数(共振周波数)若しくはその近傍の周波
数である。
【0033】このような周波数の信号が積層型圧電素子
2に印加されると、積層型圧電素子2が振動して、ステ
ータ105の外周部105oの表面に、位相の異なる二
つの定在波が発生することになる。この二つ定在波のう
ち一つの定在波は、積層型圧電素子2の円周方向に隣り
合う各領域の境界で節となり、振幅がゼロとなる。ま
た、この定在波は、二つの境界の中間地点で腹となり、
振幅が最大になる。同時に、他方の定在波は、各領域の
境界において腹となり、振幅が最大になる。そして、こ
れら二つの定在波が合成されることにより、外周部10
5oの表面を円周方向に進む進行波が発生する。
【0034】進行波が発生すると、ステータ105の外
周部105oの表面上の微小領域各点は、進行波の進行
方向及びステータ側弾性体105eの厚み方向で規定さ
れる平面内で、上記進行波の進行方向とは逆回りの楕円
運動を行う。この楕円運動による駆動力は、当該ステー
タ105の外周部105oに圧接する緩衝摩擦部材11
2を介して、正確にロータ側凸部106pに摩擦伝達さ
れる。これにより、ロータ106は、進行波の進行方向
とは逆方向に回転する。この時、緩衝摩擦部材112に
より、異音(囓り音)の発生が防止されると共に圧接部
の耐久性が向上される。また、印加電圧の位相を逆にす
れば、進行波の進行方向が逆となり、ロータ106も上
記回転方向とは逆方向に回転する。
【0035】ここで、特に、本実施形態における超音波
モータに備えられた積層型圧電素子2は、図2を用いて
説明したように、第1スルーホール12a及び第2スル
ーホール12bリング状圧電素子4a〜4eの各領域6
a〜jのリング中心近傍に設けられているため、リング
中心近傍よりも振動の大きな外周部分における分極され
た範囲、即ち、外周部分の振動する範囲が、第1スルー
ホール12aや第2スルーホール12bが配置されない
分だけ広くなり、積層型圧電素子の振動の低下が抑制さ
れ、ひいては、ステータ105表面の変位量の減衰も防
止される。
【0036】さらに、第1スルーホール12a又は第2
スルーホール12bが各領域6a〜jの一端又は両端、
即ち、各領域の境界近傍に穿設されているため、第1ス
ルーホール12a及び第2スルーホール12bは、積層
型圧電素子2に交流電圧を印加した場合に発生する二つ
の定在波の内、一つの定在波の節に相当する位置近傍に
位置することになる。このため、定在波の振幅が大きな
位置にスルーホールを設けた場合と比較して、スルーホ
ールが設けられた部分の定在波の振幅変化は小さく、積
層型圧電素子2、さらには、ステータ105表面の波形
の乱れが低減される。尚、一方の定在波の節に相当する
位置にスルーホールがあるとき、このスルーホールは、
他方の定在波の腹に相当する位置にあるため、スルーホ
ールは、いずれかの定在波の腹又は節に相当する位置の
近傍にあれば良いことになる。
【0037】次に、本発明に係る超音波モータの第2実
施形態について説明する。本実施形態の超音波モータで
は、ロータを弾性体で構成すると共に、ステータのみな
らず当該ロータの裏面にも積層型圧電素子2を固定し、
この積層型圧電素子2に、第1実施形態で説明したよう
な位相の異なる2相の信号を印加することにより、ロー
タ表面にも円周方向に進む進行波を発生させる。そし
て、このロータ表面に発生した進行波と前述のステータ
表面に発生した進行波を利用して、ロータを回転駆動す
るものである。
【0038】本実施形態の超音波モータにおいても、ロ
ータの裏面に設けられた積層型圧電素子2のスルーホー
ルがリング状圧電素子の各領域のリング中心近傍で、且
つ、各領域の一端又は両端に位置するため、第1実施形
態の超音波モータのように、ステータ表面の変位量の減
衰を防止でき、さらには、ステータ表面の波形の乱れを
低減することができる。
【0039】以上、本発明者によってなされた発明を実
施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施
形態に限定されるものではない。例えば、リング状圧電
素子は必ずしも5つ積み重ねる必要はなく、少なくとも
3つ積み重ねれば良い。また、1枚のリング状圧電素子
の領域数も、適宜変更することができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の積層型圧
電素子によれば、波形の乱れを低減すると共に、振動の
低下を抑制することができ、さらに、この積層型圧電素
子を用い本発明の超音波モータによれば、固定子に発生
する波形の乱れを低減すると共に、変位量の減衰を防止
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層型圧電素子の全体斜視図であ
る。
【図2】積層型圧電素子の領域62の分解斜視図であ
る。
【図3】図2に示す積層型圧電素子のIII-III断面図で
ある。
【図4】リング状圧電素子の平面図である。
【図5】積層型圧電素子の製造工程図である。
【図6】リング状圧電素子4aに相当するグリーンシー
トを示す図である。
【図7】積層型圧電素子を用いた超音波モータの断面図
である。
【符号の説明】
2…積層型圧電素子、4a〜4e…リング状圧電素子、
1〜610…領域、8a,8b…外部電極、10…非導
電部、12a…第1スルーホール、12b…第2スルー
ホール、16a〜16d…内部電極。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円周方向に複数の領域に分割されると共
    に、左右に隣り合う当該領域の厚さ方向の分極が互いに
    逆向きのリング状圧電素子が、上下に対向する前記領域
    の厚さ方向の分極が互いに逆向きになるように内部電極
    膜を介して少なくとも三枚積み重ねられて成る積層体
    と、当該積層体の最上面及び最下面に設けられた外部電
    極膜とを備え、前記上面の外部電極膜と一部の前記内部
    電極膜、前記下面の外部電極膜と他の前記内部電極膜と
    が、前記積層体の厚さ方向に穿設されたスルーホール内
    のスルーホール電極によって互いに導通される積層型圧
    電素子において、 前記スルーホールは、前記リング状圧電素子の前記各領
    域のリング中心近傍で、且つ、前記各領域の一端又は両
    端近傍に位置することを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の積層型圧電素子を弾性体
    の裏面に設けて成る振動体を、固定子として備えたこと
    を特徴とする超音波モータ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の積層型圧電素子を弾性体
    の裏面に設けて成る振動体を、固定子及び移動子として
    備えたことを特徴とする超音波モータ。
  4. 【請求項4】 前記スルーホールは、交流電圧を印加す
    ることにより前記積層型圧電素子に発生する二つの定在
    波のうち一つの定在波の節に相当する位置の近傍に設け
    られていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載
    の超音波モータ。
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