JPH11251126A - 酸化物永久磁石およびその製造方法 - Google Patents

酸化物永久磁石およびその製造方法

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JPH11251126A
JPH11251126A JP10050267A JP5026798A JPH11251126A JP H11251126 A JPH11251126 A JP H11251126A JP 10050267 A JP10050267 A JP 10050267A JP 5026798 A JP5026798 A JP 5026798A JP H11251126 A JPH11251126 A JP H11251126A
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JP
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oxide permanent
slurry
mno
magnetoplumbite
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JP10050267A
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Fumihiko Hirata
文彦 平田
Mitsuaki Sasaki
光昭 佐々木
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残留磁束密度が高く、温度係数が磁気バブル
メモリモジュール用に適した酸化物永久磁石およびその
製造方法を提供することである。 【解決手段】 ストロンチウムおよびバリウムの中から
選ばれる少なくとも1種を含有するマグネトプランバイ
ト型の酸化物永久磁石であって、MnOを0.5〜5.
0wt%、ZnOを0.3〜3.0wt%含有し、残留
磁束密度Brの温度係数が−0.20〜−0.25%/
℃であることを特徴とする酸化物永久磁石であって、
前記酸化物永久磁石は、ストロンチウムおよびバリウム
の中から選ばれる少なくとも1種を含有するマグネトプ
ランバイト型のフェライト粉末と、(1−x−y)Mn
O・xZnO・yFe23(x=0.07〜0.25、
y=0.50〜0.60)で表される組成を有するフェ
ライト粉末と、さらにSi,Ca等を含む焼結助剤とを
秤量して混合し、湿式粉砕してスラリーを得た後、湿式
磁場成形、焼成を行うことによって得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物永久磁石お
よびその製造方法に関するものであり、特に、磁気バブ
ルメモリーモジュールに用いる酸化物永久磁石およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】〔磁気バブルメモリーモジュール〕ま
ず、磁気バブルメモリーモジュールについて説明する。
【0003】磁気バブルメモリーモジュールとは、膜面
に垂直な方向に強い一軸の磁気異方性をもつ強磁性薄膜
(垂直磁化膜)において、安定に存在する円柱状磁区で
ある、バブル磁区を記憶担体とするメモリーモジュール
のことであり、記録密度が高く、不揮発性、高信頼性を
有することから、電子交換機、数値制御機械や産業用ロ
ボットなどの特定用途を中心に、一部パーソナルコンピ
ュータなどにも用いられている。
【0004】この磁気バブルメモリーモジュールは、バ
ブルの情報を不揮発性にするとともに、構造の簡略化と
電力節減のために永久磁石を利用した磁気回路によって
バイアス磁界を発生させている。このとき、メモリチッ
プのバイアス動作マージンは温度とともに変化してしま
う。ここで、バイアス動作マージンとは、バブル磁区が
消滅あるいは生成するバイアス磁界の臨界点のことであ
る。したがって、バイアス磁界をメモリチップの動作マ
ージンの中心値に常に合わせる必要がある。そのための
方法としては、次の2つが考えられる。
【0005】(方法1)バイアス動作マージンの変化の
原因となるメモリチップの温度変化を抑制する。
【0006】(方法2)バイアス磁界の温度変化をメモ
リチップの温度変化と同じにする。
【0007】しかし、実際には、上記の(方法1)は極
めて困難である。そのため、(方法2)を用いる必要が
ある。
【0008】〔磁気バブルメモリーモジュール用の酸化
物永久磁石〕(方法2)を行うためには、磁気バブルメ
モリーモジュールに用いる永久磁石として、温度特性な
どの諸特性が安定している材料を用いる必要がある。特
に、残留磁束密度とその温度係数は重要な特性である。
ここで、残留磁束密度(Br)とは、磁性体に磁界を印
加したときの外部磁界(H)と磁性体の磁束密度(B)
との関係を示すB−H曲線において、H=0の点のBの
ことである。また、残留磁束密度の温度係数とは、温度
変化1℃あたりのBrの変動率のことである。このよう
な特性を満足する材料としては、マグネトプランバイト
型の酸化物永久磁石が知られている。ここでマグネトプ
ランバイト型の酸化物永久磁石とは、MO・nFe23
(MはBa,Sr,Pb、n=5.0〜6.2)で表さ
れる組成からなるが、最近は安全上の理由からMとして
Pbが用いられることはほとんどないため、MはBaお
よびSrの中から選ばれる少なくとも1種以上のものに
限られる。以下これらを単にSrフェライト、Baフェ
ライトと呼ぶ。
【0009】一般的なSrフェライト磁石やBaフェラ
イト磁石は、そのパーミアンス係数によっても若干異な
るが、残留磁束密度Brの温度係数は−0.18〜−
0.20%/℃である。ここで、パーミアンス係数と
は、永久磁石の組み込まれた磁気回路のB−H曲線図に
おいて、永久磁石の動作点のH軸に対する勾配のことで
ある。
【0010】それに対して、メモリチップの温度係数は
−0.20〜−0.25%/℃であり、一般的なSrフ
ェライト磁石やBaフェライト磁石のそれとは異なる。
したがって、一般的なSrフェライト磁石やBaフェラ
イト磁石は、磁気バブルメモリーモジュール用の永久磁
石として必ずしも適切とはいえない。
【0011】〔磁気バブルメモリーモジュール用酸化物
永久磁石の改良〕そのため、Srフェライト磁石または
Baフェライト磁石についていくつかの改良が考えられ
た。例えば、特開昭56−105605号には、次のよ
うな改良方法が報告されている。
【0012】Srフェライト磁石またはBaフェライト
磁石を構成するFe23の一部をCr23,Al23
Ga23のうちの一種または二種以上で置換する。この
ような置換を行うことにより、磁石の温度係数をメモリ
チップの温度係数と近似の値にすることができる。
【0013】しかしながら、この方法では、残留磁束密
度Brが著しく低下してしまう。そのため、磁気バブル
メモリモジュールの磁気回路に組み込んだ際、充分なバ
イアス磁界を達成できない場合があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の技術における問題点を解決するためになされた
ものである。したがって、本発明が解決しようとする課
題は、残留磁束密度が高く、その温度係数が磁気バブル
メモリモジュール用に適した酸化物永久磁石とその製造
方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本発明では、基本的に、ストロンチウムおよびバ
リウムの中から選ばれる少なくとも1種を含有するマグ
ネトプランバイト型の酸化物永久磁石に、MnOとZn
Oを含有させるという手段をとる。
【0016】すなわち、本発明は、ストロンチウムおよ
びバリウムの中から選ばれる少なくとも1種を含有する
マグネトプランバイト型の酸化物永久磁石であって、M
nOを0.5〜5.0wt%、ZnOを0.3〜3.0
wt%含有し、前記酸化物永久磁石の残留磁束密度Br
の温度係数が−0.20〜−0.25%/℃であること
を特徴とする。
【0017】マグネトプランバイト型の酸化物永久磁石
を製造する方法であって、混合工程とスラリー形成工程
と成形工程と焼成工程とを含み、前記混合工程は、少な
くとも、ストロンチウムおよびバリウムの中から選ばれ
る少なくとも1種を含有するマグネトプランバイト型の
フェライト粉末と、(1−x−y)MnO・xZnO・
yFe23(x=0.07〜0.25、y=0.50〜
0.60)で表される組成を有するフェライト粉末とを
秤量し、混合することによって混合粉末をつくる工程で
あり、前記スラリー形成工程は、前記混合工程の後に行
われ、前記混合粉末を湿式粉砕してスラリーを得る工程
であり、前記成形工程は、前記スラリー形成工程の後に
行われ、前記スラリーを湿式磁場成形によって成形体を
得る工程であり、前記焼成工程は、前記成形工程の後に
行われ、前記成形体を焼成する工程であることを特徴と
する。
【0018】前記混合工程において、さらに焼結助剤を
秤量して混合することを特徴とする。
【0019】前記焼結助剤が、SiおよびCaを含んで
いることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0021】〔酸化物永久磁石の組成〕本発明の酸化物
永久磁石は、SrフェライトやBaフェライトのマグネ
トプランバイト型の永久磁石である。具体的には、MO
・nFe23(MはSrおよびBaの中から選ばれる少
なくとも1種、n=5.0〜6.2)であるが、より高
い磁気特性を得るためには、MがSrであるほうが好ま
しい。また、さらに高く安定した磁気特性を得るため
に、焼成時の焼結助剤として、SiおよびCaが含まれ
ていることが好ましい。Siの含有量はSiO2に換算
して0.2〜0.6wt%であることが好ましく、Ca
の含有量はCaCO3に換算して0.6〜1.5wt%
であることが好ましい。
【0022】〔MnO,ZnOの含有量〕MnOとZn
Oの含有量は、MnOが0.5〜5.0wt%、好まし
くは1.0〜3.0wt%、より好ましくは1.5〜
2.0wt%であり、ZnOは0.3〜3.0wt%、
好ましくは0.4〜1.5wt%、より好ましくは0.
5〜0.7wt%の範囲とする。どちらか一方または両
方の含有量が前記範囲の下限を下回る場合、温度係数が
−0.20%/℃を超えてしまい、前記範囲の上限を上
回る場合は温度係数が−0.25%/℃未満になってし
まうからである。また、MnOとZnOのどちらか一方
だけしか含有しない場合は、磁気特性が低下してしまう
ので、両方含有していることが必要である。
【0023】〔製造方法〕本発明の酸化物永久磁石の製
造方法は、特に限定はされないが、以下に好ましい一例
を説明する。
【0024】Fe23とSrCO3をSrO・nFe2
3(n=5.0〜6.2)の組成となるように秤量し
て、湿式アトライターで混合し、乾燥後、1200〜1
350℃の範囲で1時間程度仮焼きし、乾式振動ミルで
平均粒径2.0〜2.5μmまで粉砕する。こうして得
られた粉末を、以後Srフェライト粉末と称する。
【0025】次に、Fe23とMnO,ZnOを、(1
−x−y)MnO・xZnO・yFe23(x=0.0
7〜0.25、y=0.50〜0.60)の組成となる
ように秤量して、湿式ボールミルで混合し、乾燥後、7
00〜1000℃で1時間程度仮焼きし、乾式振動ミル
で平均粒径2.0〜2.5μmまで粉砕する。こうして
得た粉末を、以後MnZnフェライト粉末と称する。
【0026】前記Srフェライト粉末と前記MnZnフ
ェライト粉末を、MnOとZnOの含有量が、それぞ
れ、0.5〜5.0wt%,0.3〜3.0wt%の範
囲になるように秤量し、さらに焼結助剤(SiO2、C
aCO3等)を所定量秤量して混合し、湿式アトライタ
ーで平均粒径0.8〜1.2μmまで粉砕してスラリー
を得る。このスラリーを濃度調整してから湿式磁場成形
し、得られた成形体を1200〜1250℃の範囲で1
時間程度焼成することによって本発明の酸化物永久磁石
を得ることができる。
【0027】
【実施例】以下,本発明の実施例について説明する。
【0028】〔実施例〕Fe23を1000g、SrC
3を155.4g秤量して、湿式アトライターで混合
し、乾燥後、1300℃で1時間仮焼きし、乾式振動ミ
ルで平均粒径2〜2.5μmまで粉砕して、Srフェラ
イト粉末を作製した。(n=5.95)次に、Fe23
を1000g、MnOを303.1g、ZnOを95.
3g秤量して、前記の作製方法でMnZnフェライト粉
末を作製した。(x=0.10、y=0.535) 前記Srフェライト粉末と前記MnZnフェライト粉
末、さらにSrCO3と焼結助剤としてSiO2およびC
aCO3を表2に示す組成で秤量し、湿式アトライター
で平均粒径0.8〜1.2μmまで粉砕してスラリーを
得た。このスラリーを固形分74重量%に調整し、直径
30mm,高さ13〜15mmの円柱状に湿式磁場成形
し、得られた成形体を1240℃で1時間焼成した。
【0029】このようにして得られた磁石の残留磁束密
度Brを、自記磁束計により測定した。またその磁石の
中心部を、直径5mm,高さ5.5mmの円柱状に切り
出し、VSM(振動試料型磁力計)により、−20〜1
20℃の温度範囲でBrの温度係数を測定した。測定結
果は表2と図1の試料No.1−1,1−2に示す。
【0030】〔比較例〕Fe23とSrCO3に加え
て、前記特開昭56−105605号に開示されている
Al23,Cr23,Ga23をそれぞれ表1に示す組
成で秤量し、前記Srフェライト粉末と同様の作製方法
で得た粉末を、Al置換フェライト粉末、Cr置換フェ
ライト粉末、Ga置換フェライト粉末と称する。
【0031】
【表1】
【0032】これらの置換フェライト粉末と前記Srフ
ェライト粉末を表2に示す組成で秤量し、実施例と同様
の方法で磁石を作製し、これらの磁石の磁気特性と温度
係数を実施例と同様の測定方法で測定した。測定結果は
表2と図1の試料No.2−1〜2−7に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】表2と図1より、実施例の酸化物永久磁
石は、同様の温度係数範囲において、Al,Cr,Ga
置換フェライト粉末を用いた酸化物永久磁石に比べ、残
留磁束密度Brが高く、Srフェライト粉末のみを用い
た酸化物永久磁石とほぼ同等のBrが得られていること
がわかる。
【0035】したがって、本発明によって、磁気バブル
メモリーモジュール用として望ましい温度係数範囲にお
いて、高い残留磁束密度Brをもつ酸化物永久磁石を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化物永久磁石の残留磁束密度Brとその温度
係数の関係を示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ストロンチウムおよびバリウムの中から
    選ばれる少なくとも1種を含有するマグネトプランバイ
    ト型の酸化物永久磁石であって、 MnOを0.5〜5.0wt%、ZnOを0.3〜3.
    0wt%含有し、 前記酸化物永久磁石の残留磁束密度Brの温度係数が−
    0.20〜−0.25%/℃であることを特徴とする酸
    化物永久磁石。
  2. 【請求項2】 マグネトプランバイト型の酸化物永久磁
    石を製造する方法であって、 混合工程とスラリー形成工程と成形工程と焼成工程とを
    含み、 前記混合工程は、少なくとも、ストロンチウムおよびバ
    リウムの中から選ばれる少なくとも1種を含有するマグ
    ネトプランバイト型のフェライト粉末と、(1−x−
    y)MnO・xZnO・yFe23(x=0.07〜
    0.25、y=0.50〜0.60)で表される組成を
    有するフェライト粉末とを秤量し、混合することによっ
    て混合粉末をつくる工程であり、 前記スラリー形成工程は、前記混合工程の後に行われ、
    前記混合粉末を湿式粉砕してスラリーを得る工程であ
    り、 前記成形工程は、前記スラリー形成工程の後に行われ、
    前記スラリーを湿式磁場成形によって成形体を得る工程
    であり、 前記焼成工程は、前記成形工程の後に行われ、前記成形
    体を焼成する工程であることを特徴とする酸化物永久磁
    石の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記混合工程において、さらに焼結助剤
    を秤量して混合することを特徴とする請求項2記載の酸
    化物永久磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記焼結助剤が、SiおよびCaを含ん
    でいることを特徴とする請求項3記載の酸化物永久磁石
    の製造方法。
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