JP2000138114A - フェライト磁石粉末および該磁石粉末を用いた磁石およびそれらの製造方法 - Google Patents
フェライト磁石粉末および該磁石粉末を用いた磁石およびそれらの製造方法Info
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- JP2000138114A JP2000138114A JP10311890A JP31189098A JP2000138114A JP 2000138114 A JP2000138114 A JP 2000138114A JP 10311890 A JP10311890 A JP 10311890A JP 31189098 A JP31189098 A JP 31189098A JP 2000138114 A JP2000138114 A JP 2000138114A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 飽和磁化σSと保磁力の両方を向上させたフ
ェライト磁石粉末および磁石を提供する。 【解決手段】 SrをLaで置換し、FeをCoおよび
Znの両方で置換したLa-Co-Zn系フェライト磁石
粉末であって、1100℃から1450℃の温度で仮焼
結を実行することによって製造する。
ェライト磁石粉末および磁石を提供する。 【解決手段】 SrをLaで置換し、FeをCoおよび
Znの両方で置換したLa-Co-Zn系フェライト磁石
粉末であって、1100℃から1450℃の温度で仮焼
結を実行することによって製造する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト磁石粉
末および該磁石粉末を用いた磁石およびそれらの製造方
法に関する。
末および該磁石粉末を用いた磁石およびそれらの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライトは二価陽イオン金属の酸化物
と三価の鉄とが作る化合物の総称であり、フェライト磁
石はモーターや発電機などの種々の用途に使用されてい
る。フェライト磁石の材料としては、マグネトプランバ
イト型の六方晶構造を持つSrフェライト(SrFe12
O19)またはBaフェライト(BaFe12O19)が広く
用いられている。これらのフェライトは、酸化鉄とスト
ロンチウム(Sr)またはバリウム(Ba)等の炭酸塩
を原料とし、粉末冶金法によって比較的安価に製造され
る。
と三価の鉄とが作る化合物の総称であり、フェライト磁
石はモーターや発電機などの種々の用途に使用されてい
る。フェライト磁石の材料としては、マグネトプランバ
イト型の六方晶構造を持つSrフェライト(SrFe12
O19)またはBaフェライト(BaFe12O19)が広く
用いられている。これらのフェライトは、酸化鉄とスト
ロンチウム(Sr)またはバリウム(Ba)等の炭酸塩
を原料とし、粉末冶金法によって比較的安価に製造され
る。
【0003】マグネトプランバイト型フェライトの基本
組成は、通常、「MO・nFe2O3」の化学式で表現さ
れる。元素Mは二価陽イオンとなる金属であり、Sr、
Ba、Pb、Niその他から選択される。このフェライ
ト中の各サイトにおける鉄イオン(Fe3+)はスピン磁
気モーメントを持ち、酸素イオン(O-2)を介して超交
換相互作用によって結合している。Fe3+の各サイトに
おいて、Fe3+の磁気モーメントはc軸に沿って「上向
き」または「下向き」の状態にある。「上向き」の磁気
モーメントを持つサイトの数と「下向き」の磁気モーメ
ントを持つサイトの数との間に差異があるため、結晶全
体としては強磁性を示す(フェリ磁性体)。
組成は、通常、「MO・nFe2O3」の化学式で表現さ
れる。元素Mは二価陽イオンとなる金属であり、Sr、
Ba、Pb、Niその他から選択される。このフェライ
ト中の各サイトにおける鉄イオン(Fe3+)はスピン磁
気モーメントを持ち、酸素イオン(O-2)を介して超交
換相互作用によって結合している。Fe3+の各サイトに
おいて、Fe3+の磁気モーメントはc軸に沿って「上向
き」または「下向き」の状態にある。「上向き」の磁気
モーメントを持つサイトの数と「下向き」の磁気モーメ
ントを持つサイトの数との間に差異があるため、結晶全
体としては強磁性を示す(フェリ磁性体)。
【0004】マグネトプランバイト型フェライト磁石の
磁気性能のうち、残留磁束密度(Br)は結晶のIsを
向上させ、焼結体の密度および結晶の配向度を増加させ
ることによって改善できることが知られている。一方、
保磁力(HcJ)は単磁区結晶の存在率を高めることによ
って改善できることも知られている。しかし、残留磁束
密度(Br)を向上させる目的で焼結体の密度を高くし
ようとすると、結晶成長が助長されために保磁力
(HcJ)が低下してしまう。逆に、Al2O3等の添加に
よって結晶粒サイズを制御し、それによって保磁力を向
上させようとすると、焼結体の密度低下などに起因して
残留磁束密度が低下してしまう。このようなフェライト
磁石の磁気特性を改善する目的で、フェライトの組成、
添加物および製造条件について種々の検討がなされてき
たが、残留磁束密度と保磁力の両方を向上させたフェラ
イト磁石の開発は難しかった。
磁気性能のうち、残留磁束密度(Br)は結晶のIsを
向上させ、焼結体の密度および結晶の配向度を増加させ
ることによって改善できることが知られている。一方、
保磁力(HcJ)は単磁区結晶の存在率を高めることによ
って改善できることも知られている。しかし、残留磁束
密度(Br)を向上させる目的で焼結体の密度を高くし
ようとすると、結晶成長が助長されために保磁力
(HcJ)が低下してしまう。逆に、Al2O3等の添加に
よって結晶粒サイズを制御し、それによって保磁力を向
上させようとすると、焼結体の密度低下などに起因して
残留磁束密度が低下してしまう。このようなフェライト
磁石の磁気特性を改善する目的で、フェライトの組成、
添加物および製造条件について種々の検討がなされてき
たが、残留磁束密度と保磁力の両方を向上させたフェラ
イト磁石の開発は難しかった。
【0005】本出願人は、原料にCoを添加することに
よって残留磁束密度を低下させずに保磁力を向上させた
フェライト磁石を開発した(特公平4−40843号公
報および特公平5−42128号公報)。
よって残留磁束密度を低下させずに保磁力を向上させた
フェライト磁石を開発した(特公平4−40843号公
報および特公平5−42128号公報)。
【0006】その後、FeをZnで置換し、SrをLa
で置換することによって飽和磁化(σS)を向上させた
フェライト磁石が提案された(特開平9−115715
号公報および特開平10−149910号公報)。フェ
ライト磁石は、前述のようにFe3+の磁気モーメントが
サイトによって逆方向を向くフェリ磁性体であるため、
その飽和磁化は相対的に低い。しかし、上記公報には、
Feの磁気モーメントよりも小さな磁気モーメントを有
するイオンをFeイオンの特定サイトに置くことによっ
て「下向き」の磁気モーメントを減少させ、それによっ
て飽和磁化σSを向上できると記載されている。なお、
この公報には、Laの代わりにNdやPrを用いる例、
Znの代わりにMn、Co、Niを用いる例も記載され
ている。
で置換することによって飽和磁化(σS)を向上させた
フェライト磁石が提案された(特開平9−115715
号公報および特開平10−149910号公報)。フェ
ライト磁石は、前述のようにFe3+の磁気モーメントが
サイトによって逆方向を向くフェリ磁性体であるため、
その飽和磁化は相対的に低い。しかし、上記公報には、
Feの磁気モーメントよりも小さな磁気モーメントを有
するイオンをFeイオンの特定サイトに置くことによっ
て「下向き」の磁気モーメントを減少させ、それによっ
て飽和磁化σSを向上できると記載されている。なお、
この公報には、Laの代わりにNdやPrを用いる例、
Znの代わりにMn、Co、Niを用いる例も記載され
ている。
【0007】日本応用磁気学会学術講演概要集(199
8年9月20日配布)には、LaおよびCoを添加した
Sr1−xLaxCox・Fe12-xO19組成物によって保
磁力(HcJ)と飽和磁化(σs)の両方を向上させたフ
ェライト磁石が開示されている。
8年9月20日配布)には、LaおよびCoを添加した
Sr1−xLaxCox・Fe12-xO19組成物によって保
磁力(HcJ)と飽和磁化(σs)の両方を向上させたフ
ェライト磁石が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のフェライト磁石においても、保磁力および飽和磁化の
両方についての特性改善は不十分である。特に、Feを
Coで置換し、SrをLaで置換したSr1-xLaxCo
x・Fe12-xO19組成物について、特開平10−149
910号公報に開示されているような温度(1200
℃)で仮焼を行った場合、飽和磁化σSは高くても保磁
力は高くないという問題がある。
のフェライト磁石においても、保磁力および飽和磁化の
両方についての特性改善は不十分である。特に、Feを
Coで置換し、SrをLaで置換したSr1-xLaxCo
x・Fe12-xO19組成物について、特開平10−149
910号公報に開示されているような温度(1200
℃)で仮焼を行った場合、飽和磁化σSは高くても保磁
力は高くないという問題がある。
【0009】上記日本応用磁気学会学術講演概要集(1
998年9月20日配布)では、Znの代わりにCoを
用いてFeを置換することによって保磁力がある程度改
善されることが報告されているが、その原因は記載され
ておらず、また保磁力改善および残留磁束密度改善の程
度も不十分であると考えられる。
998年9月20日配布)では、Znの代わりにCoを
用いてFeを置換することによって保磁力がある程度改
善されることが報告されているが、その原因は記載され
ておらず、また保磁力改善および残留磁束密度改善の程
度も不十分であると考えられる。
【0010】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、飽和磁化と保磁力の両方を更
に向上させたフェライト磁石粉末および該磁石粉末を用
いた磁石を提供することにある。
であり、その主な目的は、飽和磁化と保磁力の両方を更
に向上させたフェライト磁石粉末および該磁石粉末を用
いた磁石を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による磁石粉末
は、(1-x)SrO・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3
・yCoO・zZnOで表現されるフェライトの主相を
有する磁石粉末であって、x、yおよびzはモル比を示
し、0.1≦x≦0.4、0.03≦y≦0.3、0.
03≦z≦0.3、5.5≦n≦6.5である。
は、(1-x)SrO・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3
・yCoO・zZnOで表現されるフェライトの主相を
有する磁石粉末であって、x、yおよびzはモル比を示
し、0.1≦x≦0.4、0.03≦y≦0.3、0.
03≦z≦0.3、5.5≦n≦6.5である。
【0012】本発明による他の磁石粉末は、(1-x)AO
・(x/2)B2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・yCoO・zZn
Oで表現されるフェライトの主相を有する磁石粉末であ
って、元素Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択
された少なくとも一種類の元素であり、元素BはYを含
む希土類元素およびBiから選択された少なくとも一種
類の元素を含み、x、yおよびzはモル比を示し、0.
1≦x≦0.4、0.03≦y≦0.3、0.03≦z
≦0.3、5.5≦n≦6.5である。
・(x/2)B2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・yCoO・zZn
Oで表現されるフェライトの主相を有する磁石粉末であ
って、元素Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択
された少なくとも一種類の元素であり、元素BはYを含
む希土類元素およびBiから選択された少なくとも一種
類の元素を含み、x、yおよびzはモル比を示し、0.
1≦x≦0.4、0.03≦y≦0.3、0.03≦z
≦0.3、5.5≦n≦6.5である。
【0013】0.2≦y/(y+z)≦0.6であるこ
とが好ましい。
とが好ましい。
【0014】好ましい実施形態では、異方性磁界HAが
20kOe以上で、飽和磁化σSが70emu/g以上
である。
20kOe以上で、飽和磁化σSが70emu/g以上
である。
【0015】本発明による焼結磁石は、前記磁石粉末か
ら形成されている。また、本発明によるボンド磁石は前
記磁石粉末を含んでいる。
ら形成されている。また、本発明によるボンド磁石は前
記磁石粉末を含んでいる。
【0016】本発明による磁石粉末の製造方法は、Sr
CO3およびFe2O3の粉末に対して、La、Co、お
よびZnの各々の酸化物の粉末を添加した原料混合粉末
を用意する工程と、前記原料混合粉末を仮焼し、それに
よって(1-x)SrO・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2
O3・yCoO・zZnO(0.1≦x≦0.4、0.0
3≦y≦0.3、0.03≦z≦0.3、5.5≦n≦
6.5)の組成を有するフェライトの仮焼体を形成する
工程と、前記仮焼体を粉砕する工程とを包含する。
CO3およびFe2O3の粉末に対して、La、Co、お
よびZnの各々の酸化物の粉末を添加した原料混合粉末
を用意する工程と、前記原料混合粉末を仮焼し、それに
よって(1-x)SrO・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2
O3・yCoO・zZnO(0.1≦x≦0.4、0.0
3≦y≦0.3、0.03≦z≦0.3、5.5≦n≦
6.5)の組成を有するフェライトの仮焼体を形成する
工程と、前記仮焼体を粉砕する工程とを包含する。
【0017】前記仮焼は、1100℃から1450℃ま
での範囲内の温度で実行することが好ましい。また、
0.2≦y/(y+z)≦0.8であることが好まし
い。
での範囲内の温度で実行することが好ましい。また、
0.2≦y/(y+z)≦0.8であることが好まし
い。
【0018】本発明による磁石の製造方法は、SrCO
3およびFe2O3の粉末に対して、La、Co、および
Znの各々の酸化物の粉末を添加した原料混合粉末を用
意する工程と、前記原料混合粉末を仮焼し、それによっ
て(1-x)SrO・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・
yCoO・zZnO(0.1≦x≦0.4、0.03≦
y≦0.3、0.03≦z≦0.3、5.5≦n≦6.
5)の組成を有するフェライトの仮焼体を形成する工程
と、前記仮焼体を粉砕し、フェライト磁石粉末を形成す
る工程と、前記フェライト磁石粉末を成形・焼結する工
程と、を包含する。
3およびFe2O3の粉末に対して、La、Co、および
Znの各々の酸化物の粉末を添加した原料混合粉末を用
意する工程と、前記原料混合粉末を仮焼し、それによっ
て(1-x)SrO・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・
yCoO・zZnO(0.1≦x≦0.4、0.03≦
y≦0.3、0.03≦z≦0.3、5.5≦n≦6.
5)の組成を有するフェライトの仮焼体を形成する工程
と、前記仮焼体を粉砕し、フェライト磁石粉末を形成す
る工程と、前記フェライト磁石粉末を成形・焼結する工
程と、を包含する。
【0019】前記仮焼は、1100℃から1450℃ま
での範囲内の温度で実行することが好ましい。また、
0.2≦y/(y+z)≦0.8であることが好まし
い。
での範囲内の温度で実行することが好ましい。また、
0.2≦y/(y+z)≦0.8であることが好まし
い。
【0020】本発明による他の磁石の製造方法は、Sr
CO3およびFe2O3の粉末に対して、La、Co、お
よびZnの各々の酸化物の粉末を添加した原料混合粉末
を用意する工程と、前記原料混合粉末を仮焼し、それに
よって(1-x)SrO・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2
O3・yCoO・zZnO(0.1≦x≦0.4、0.0
3≦y≦0.3、0.03≦z≦0.3、5.5≦n≦
6.5)の組成を有するフェライトの仮焼体を形成する
工程と、前記仮焼体を粉砕し、フェライト磁石粉末を形
成する工程と、前記フェライト磁石粉末からボンド磁石
を形成する工程とを包含する。
CO3およびFe2O3の粉末に対して、La、Co、お
よびZnの各々の酸化物の粉末を添加した原料混合粉末
を用意する工程と、前記原料混合粉末を仮焼し、それに
よって(1-x)SrO・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2
O3・yCoO・zZnO(0.1≦x≦0.4、0.0
3≦y≦0.3、0.03≦z≦0.3、5.5≦n≦
6.5)の組成を有するフェライトの仮焼体を形成する
工程と、前記仮焼体を粉砕し、フェライト磁石粉末を形
成する工程と、前記フェライト磁石粉末からボンド磁石
を形成する工程とを包含する。
【0021】前記仮焼は、1100℃から1450℃ま
での範囲内の温度で実行することが好ましい。また、
0.2≦y/(y+z)≦0.8であることが好まし
い。
での範囲内の温度で実行することが好ましい。また、
0.2≦y/(y+z)≦0.8であることが好まし
い。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の磁石粉末は、(1-x)Sr
O・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・yCoO・z
ZnOで表現されるマグネトプランバイト型フェライト
の主相を有している。Srの一部はLaで置換され、そ
の置換量xは0.1≦x≦0.4の範囲にある。Feの
一部はCoおよびZnで置換され、置換量yおよびz
は、それぞれ、0.03≦y≦0.3、0.03≦z≦
0.3の範囲内にある。また、nは、5.5≦n≦6.
5の範囲内にある。
O・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・yCoO・z
ZnOで表現されるマグネトプランバイト型フェライト
の主相を有している。Srの一部はLaで置換され、そ
の置換量xは0.1≦x≦0.4の範囲にある。Feの
一部はCoおよびZnで置換され、置換量yおよびz
は、それぞれ、0.03≦y≦0.3、0.03≦z≦
0.3の範囲内にある。また、nは、5.5≦n≦6.
5の範囲内にある。
【0023】本願発明者は、La、CoおよびZnの全
てを原料粉末に添加し、仮焼を1100℃〜1450℃
の範囲内の温度で実行すると、飽和磁化と保磁力の両方
が向上する事実を見いだした。特に、飽和磁化と保磁力
をより大きく増加させるには、仮焼温度は1250℃か
ら1450℃の範囲内にあることが好ましく、1300
℃から1450℃の範囲内にあることが更に好ましいこ
とを確認した。仮焼温度が1350℃から1450℃の
範囲内でも非常に好ましい結果が得られている。
てを原料粉末に添加し、仮焼を1100℃〜1450℃
の範囲内の温度で実行すると、飽和磁化と保磁力の両方
が向上する事実を見いだした。特に、飽和磁化と保磁力
をより大きく増加させるには、仮焼温度は1250℃か
ら1450℃の範囲内にあることが好ましく、1300
℃から1450℃の範囲内にあることが更に好ましいこ
とを確認した。仮焼温度が1350℃から1450℃の
範囲内でも非常に好ましい結果が得られている。
【0024】本発明によれば、異方性磁界HAが18k
Oeを越え、しかも飽和磁化σsが69.2emu/g
を越える磁気特性が得られる。組成比(置換量)と仮焼
結温度を調整することによって、異方性磁界HAが20
kOe、飽和磁化σsが70emu/g、更には異方性
磁界HAが21kOe、飽和磁化σsが71emu/gと
いう特性が達成される。
Oeを越え、しかも飽和磁化σsが69.2emu/g
を越える磁気特性が得られる。組成比(置換量)と仮焼
結温度を調整することによって、異方性磁界HAが20
kOe、飽和磁化σsが70emu/g、更には異方性
磁界HAが21kOe、飽和磁化σsが71emu/gと
いう特性が達成される。
【0025】なお、本発明では、マグネトプランバイト
型フェライトのFe3+を価数の異なるCo2+およびZn
2+で置換するために、Srの一部をLaで置換し、上記
価数の違いを補償している。
型フェライトのFe3+を価数の異なるCo2+およびZn
2+で置換するために、Srの一部をLaで置換し、上記
価数の違いを補償している。
【0026】次に、本発明の磁石粉末の製造方法を説明
する。
する。
【0027】まず、SrCo3の粉末とFe2O3(α酸
化鉄)の粉末とを1:5.5から1:6.5の範囲のモ
ル比で混合する。このとき、La2O3、CoOおよびZ
nO等を原料粉末に添加する。各粉末の一次粒径は、例
えば、次の通りである。SrCo3:約0.8μm、F
e2O3粉末:約0.5μm、La2O3:約1.0μm
は、CoO:約1.0μm、ZnO:約1.0μm。
化鉄)の粉末とを1:5.5から1:6.5の範囲のモ
ル比で混合する。このとき、La2O3、CoOおよびZ
nO等を原料粉末に添加する。各粉末の一次粒径は、例
えば、次の通りである。SrCo3:約0.8μm、F
e2O3粉末:約0.5μm、La2O3:約1.0μm
は、CoO:約1.0μm、ZnO:約1.0μm。
【0028】La、CoおよびZnの添加は、このよう
にLa、CoおよびZnの各々の酸化物の粉末として添
加することが好ましいが、酸化物以外の化合物(例えば
炭酸塩、水酸化物、硝酸塩など)の粉末状態であっても
よい。
にLa、CoおよびZnの各々の酸化物の粉末として添
加することが好ましいが、酸化物以外の化合物(例えば
炭酸塩、水酸化物、硝酸塩など)の粉末状態であっても
よい。
【0029】上記粉末に対して、必要に応じて、SiO
2、CaCo3、SrCO3、Al2O3、Cr2O3等を含
む他の化合物を1重量%程度添加しても良い。
2、CaCo3、SrCO3、Al2O3、Cr2O3等を含
む他の化合物を1重量%程度添加しても良い。
【0030】混合した原料粉末は、次に、ロータリーキ
ルン等を用いて大気中で1100〜1450℃の温度に
加熱し、固相反応によってマグネトプランバイト型フェ
ライトフェライト化合物を形成する。このプロセスを
「仮焼」と呼び、得られた化合物を「仮焼体」と呼ぶ。
仮焼時間は、1〜5時間であることが好ましい。
ルン等を用いて大気中で1100〜1450℃の温度に
加熱し、固相反応によってマグネトプランバイト型フェ
ライトフェライト化合物を形成する。このプロセスを
「仮焼」と呼び、得られた化合物を「仮焼体」と呼ぶ。
仮焼時間は、1〜5時間であることが好ましい。
【0031】この仮焼工程によって得られた仮焼体は以
下の化学式で表されるマグネトプランバイト型フェライ
トの主相を有しており、その平均粒径は、1〜10μm
の範囲にある。
下の化学式で表されるマグネトプランバイト型フェライ
トの主相を有しており、その平均粒径は、1〜10μm
の範囲にある。
【0032】(1-x)SrO・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)
Fe2O3・yCoO・zZnO 0.1≦x≦0.4、0.03≦y≦0.3、0.03
≦z≦0.3、5.5≦n≦6.5 この仮焼体を粉砕または解砕することによって本発明の
磁石粉末を得ることができる。
Fe2O3・yCoO・zZnO 0.1≦x≦0.4、0.03≦y≦0.3、0.03
≦z≦0.3、5.5≦n≦6.5 この仮焼体を粉砕または解砕することによって本発明の
磁石粉末を得ることができる。
【0033】図1は、y+z=0.3に保持しながら、
組成比yおよびzを変化させた実施例に関する磁気特性
を示している。グラフの縦軸は異方性磁界および飽和磁
化を示し、横軸はFeと置換する添加元素の全体に対す
るZnの割合(z/0.3×100%)を示している。
組成比yおよびzを変化させた実施例に関する磁気特性
を示している。グラフの縦軸は異方性磁界および飽和磁
化を示し、横軸はFeと置換する添加元素の全体に対す
るZnの割合(z/0.3×100%)を示している。
【0034】図1には、仮焼(Calcine)温度が120
0℃、1300℃および1350℃の場合の仮焼体磁気
特性が示されている。異方性磁界HAおよび飽和磁化σS
は、それぞれ、パルス磁化装置によって測定した。測定
方法は以下の通りである。
0℃、1300℃および1350℃の場合の仮焼体磁気
特性が示されている。異方性磁界HAおよび飽和磁化σS
は、それぞれ、パルス磁化装置によって測定した。測定
方法は以下の通りである。
【0035】一般に強磁性体(フェロ磁性体)またはフ
ェリ磁性体の強磁界での磁化曲線は下記の式で表現され
る。
ェリ磁性体の強磁界での磁化曲線は下記の式で表現され
る。
【0036】I=IS(1−a/H−b/H2+・・・)+
χ0μ0H この式は、飽和漸近則と呼ばれている。第1項は磁気モ
ーメントが結晶異方性その他の原因で磁界の方向に完全
に揃わないために生じる項である。第2項は、磁気モー
メントの大きさそのものが磁界によって増加する項であ
る。自発磁化IS(σS)を実験的に求めるには、磁気異
方性が特に大きくない場合(K1〜104J/m3)に
は、Hが106A/m以上の磁界に対してb/H2の項は
ほとんど無視できるので、それ以上の磁界に対してはχ
0Hまたはa/Hなる項の存在の有無を調べ、前者の場
合はHを0に、後者の場合は1/Hをゼロに外挿するこ
とによってISを求めることができる。
χ0μ0H この式は、飽和漸近則と呼ばれている。第1項は磁気モ
ーメントが結晶異方性その他の原因で磁界の方向に完全
に揃わないために生じる項である。第2項は、磁気モー
メントの大きさそのものが磁界によって増加する項であ
る。自発磁化IS(σS)を実験的に求めるには、磁気異
方性が特に大きくない場合(K1〜104J/m3)に
は、Hが106A/m以上の磁界に対してb/H2の項は
ほとんど無視できるので、それ以上の磁界に対してはχ
0Hまたはa/Hなる項の存在の有無を調べ、前者の場
合はHを0に、後者の場合は1/Hをゼロに外挿するこ
とによってISを求めることができる。
【0037】なお、モル比6.0のマグネトプランバイ
ト型Srフェライト(SrO・6Fe2O3)の仮焼粉末
を測定した磁化曲線において、磁化Iは外部磁界Hが3
0kOe以上では直線になる。このため、上式の第1項
はISとなり、第2項のHの一次式となるので、Hをゼ
ロに外挿して、そのy切片をσSとした。その結果、S
rO・6Fe2O3の飽和磁化は69.2±0.1emu
/gであった。また、異方性磁界HAは、同じパルス磁
化測定装置によって2階微分磁化率の測定から求めた。
その結果、SrO・6Fe2O3のHAは1.43MA/
m(18kOe)であった。
ト型Srフェライト(SrO・6Fe2O3)の仮焼粉末
を測定した磁化曲線において、磁化Iは外部磁界Hが3
0kOe以上では直線になる。このため、上式の第1項
はISとなり、第2項のHの一次式となるので、Hをゼ
ロに外挿して、そのy切片をσSとした。その結果、S
rO・6Fe2O3の飽和磁化は69.2±0.1emu
/gであった。また、異方性磁界HAは、同じパルス磁
化測定装置によって2階微分磁化率の測定から求めた。
その結果、SrO・6Fe2O3のHAは1.43MA/
m(18kOe)であった。
【0038】図1のグラフから以下のことがわかる。
【0039】1. Znに加えてCoを添加すると、磁
気特性は仮焼温度に依存するようになる。特に異方性磁
界HAの仮焼温度依存性は、Coの置換割合が大きくな
るほど増大する。
気特性は仮焼温度に依存するようになる。特に異方性磁
界HAの仮焼温度依存性は、Coの置換割合が大きくな
るほど増大する。
【0040】2. Coの置換割合(y/0.3×10
0%)が20%以上の場合、言い換えるとZnの置換割
合(z/0.3×100%)が80%以下の場合、異方
性磁界HAが18kOe以上に増大する。仮焼結温度が
高いほど、異方性磁界HAの増加は顕著になる。
0%)が20%以上の場合、言い換えるとZnの置換割
合(z/0.3×100%)が80%以下の場合、異方
性磁界HAが18kOe以上に増大する。仮焼結温度が
高いほど、異方性磁界HAの増加は顕著になる。
【0041】3. Znの添加が少ない場合、仮焼温度
の増加に伴って異方性磁界HAは大きく増大するが、飽
和磁化σsは低下する。Znの置換割合を増加させる
と、異方性磁界HAは低下するが、飽和磁化σSは増加す
る。
の増加に伴って異方性磁界HAは大きく増大するが、飽
和磁化σsは低下する。Znの置換割合を増加させる
と、異方性磁界HAは低下するが、飽和磁化σSは増加す
る。
【0042】4. 異方性磁界HAを18kOe以上に
維持しながら、69.2emu/g以上の飽和磁化σs
を達成するには、Znの置換割合(z/0.3×100
%)を20%から80%の範囲とし、しかも仮焼結温度
を1350℃以上にすればよい。
維持しながら、69.2emu/g以上の飽和磁化σs
を達成するには、Znの置換割合(z/0.3×100
%)を20%から80%の範囲とし、しかも仮焼結温度
を1350℃以上にすればよい。
【0043】ここで、異方性磁界HAが18kOe、飽
和磁化σsが69.2emu/gという値は、添加物を
加えないSrフェライトの異方性磁界HAおよび飽和磁
化σsの大きさに相当する。すなわち、適当な量のCo
およびZnをSrフェライトに添加し、そのFeをCo
およびZnで置換すれば、Srフェライトの異方性磁界
HAおよび飽和磁化σsの両方を同時に改善することが
できる。
和磁化σsが69.2emu/gという値は、添加物を
加えないSrフェライトの異方性磁界HAおよび飽和磁
化σsの大きさに相当する。すなわち、適当な量のCo
およびZnをSrフェライトに添加し、そのFeをCo
およびZnで置換すれば、Srフェライトの異方性磁界
HAおよび飽和磁化σsの両方を同時に改善することが
できる。
【0044】La添加SrフェライトのFeをCoのみ
で置換した仮焼体(La−Co)と、FeをZnのみで
置換した仮焼体(La−Zn)と、FeをCoおよびZ
nで置換した仮焼体(La−Co−Zn)とについて、
各々の磁気特性を測定し、比較した。図2は、上記各仮
焼体の異方性磁界HAおよび飽和磁化σSを示すグラフで
ある。
で置換した仮焼体(La−Co)と、FeをZnのみで
置換した仮焼体(La−Zn)と、FeをCoおよびZ
nで置換した仮焼体(La−Co−Zn)とについて、
各々の磁気特性を測定し、比較した。図2は、上記各仮
焼体の異方性磁界HAおよび飽和磁化σSを示すグラフで
ある。
【0045】図2のグラフから明らかなように、Coお
よびZnの何れか一方の元素のみでFeを置換した場合
(グラフ中の黒丸および黒三角)は、異方性磁界HAお
よび飽和磁化σSの一方が低下している。これに対し
て、FeをCoおよびZnの両方で置換した場合(グラ
フ中の白丸)は、異方性磁界HAおよび飽和磁化σsの
両方が改善されている。特に、図2のグラフからは、L
a−Co仮焼体とLa−Zn仮焼体とを混在させた場合
に得られると予想される磁気特性よりも、La−Co−
Zn仮焼体の磁気特性が優れているということがわか
る。CoおよびZnの両方を添加することによってなん
らかの相乗効果が生じていると考えられる。
よびZnの何れか一方の元素のみでFeを置換した場合
(グラフ中の黒丸および黒三角)は、異方性磁界HAお
よび飽和磁化σSの一方が低下している。これに対し
て、FeをCoおよびZnの両方で置換した場合(グラ
フ中の白丸)は、異方性磁界HAおよび飽和磁化σsの
両方が改善されている。特に、図2のグラフからは、L
a−Co仮焼体とLa−Zn仮焼体とを混在させた場合
に得られると予想される磁気特性よりも、La−Co−
Zn仮焼体の磁気特性が優れているということがわか
る。CoおよびZnの両方を添加することによってなん
らかの相乗効果が生じていると考えられる。
【0046】図3は、仮焼温度が1250℃、1300
℃および1350℃の場合のX線回折パターンを示して
いる。回折パターンは、仮焼温度にほとんど依存してい
ないようである。しかし、図1に示すデータから明らか
なように、仮焼温度が高いほど、仮焼体の磁気特性は向
上する。仮焼温度が高いほど磁気特性が改善される理由
は、Coおよび/またはZnとFeとの置換が生じるサ
イトが仮焼温度によって変化し、仮焼温度の増加が異方
性磁界HAおよび飽和磁化σSを増大させるためであると
予想される。
℃および1350℃の場合のX線回折パターンを示して
いる。回折パターンは、仮焼温度にほとんど依存してい
ないようである。しかし、図1に示すデータから明らか
なように、仮焼温度が高いほど、仮焼体の磁気特性は向
上する。仮焼温度が高いほど磁気特性が改善される理由
は、Coおよび/またはZnとFeとの置換が生じるサ
イトが仮焼温度によって変化し、仮焼温度の増加が異方
性磁界HAおよび飽和磁化σSを増大させるためであると
予想される。
【0047】図4は、x=y+z、y=zの場合におけ
る磁気特性のLa置換量依存性を示している。図4のグ
ラフから、仮焼温度が1300℃以上の場合、La置換
量xが0.1≦x≦0.4の範囲内にあるとき、異方性
磁界HAおよび飽和磁化σSの両方が改善されることがわ
かる。特に、仮焼温度が1350℃の場合は、0.1≦
x≦0.6の広い範囲で磁気特性が改善されている。こ
れに対して、仮焼温度が1200℃の場合は、La、C
oおよびZnの添加によって、飽和磁化σsが低下して
しまう。実験によると、仮焼温度が1250℃〜145
0℃の範囲にあれば、0.1≦x≦0.4の範囲で異方
性磁界HAおよび飽和磁化σsの両方が改善された。
る磁気特性のLa置換量依存性を示している。図4のグ
ラフから、仮焼温度が1300℃以上の場合、La置換
量xが0.1≦x≦0.4の範囲内にあるとき、異方性
磁界HAおよび飽和磁化σSの両方が改善されることがわ
かる。特に、仮焼温度が1350℃の場合は、0.1≦
x≦0.6の広い範囲で磁気特性が改善されている。こ
れに対して、仮焼温度が1200℃の場合は、La、C
oおよびZnの添加によって、飽和磁化σsが低下して
しまう。実験によると、仮焼温度が1250℃〜145
0℃の範囲にあれば、0.1≦x≦0.4の範囲で異方
性磁界HAおよび飽和磁化σsの両方が改善された。
【0048】このように本発明によれば、CoおよびZ
nでFeを置換することによって、異方性磁界HAおよ
び飽和磁化σSの両方を同時に向上させることができ
る。
nでFeを置換することによって、異方性磁界HAおよ
び飽和磁化σSの両方を同時に向上させることができ
る。
【0049】次に、本発明によるフェライト磁石の製造
方法を説明する。
方法を説明する。
【0050】まず、前述の方法によって仮焼体を製造す
る。次に、仮焼結体を振動ミル、ボールミルおよび/ま
たはアトライターを用いた微粉砕工程によって、仮焼結
体を微粒子に粉砕する。微粒子の平均粒径は0.4〜
0.7μm程度(空気透過法)にすることが好ましい。
微粉砕工程は、乾式粉砕と湿式粉砕とを組み合わせて行
うことが好ましい。湿式粉砕に際しては、水などの水系
溶媒や種々の非水系溶媒を用いることができる。湿式粉
砕に際して溶媒と仮焼体粉末とが混合したスラリーが生
成される。スラリーには公知の各種界面活性剤を添加す
ることが好ましい。
る。次に、仮焼結体を振動ミル、ボールミルおよび/ま
たはアトライターを用いた微粉砕工程によって、仮焼結
体を微粒子に粉砕する。微粒子の平均粒径は0.4〜
0.7μm程度(空気透過法)にすることが好ましい。
微粉砕工程は、乾式粉砕と湿式粉砕とを組み合わせて行
うことが好ましい。湿式粉砕に際しては、水などの水系
溶媒や種々の非水系溶媒を用いることができる。湿式粉
砕に際して溶媒と仮焼体粉末とが混合したスラリーが生
成される。スラリーには公知の各種界面活性剤を添加す
ることが好ましい。
【0051】その後、スラリー中の溶媒を除去しながら
磁場中または無磁場中でプレス成形する。プレス成形の
後、脱脂工程、焼結工程、加工工程、洗浄工程、検査工
程などの公知の製造プロセスを経て、最終的にフェライ
ト磁石の製品が完成する。焼結工程は、空気中で例えば
1150℃から1250℃の温度範囲で0.5〜2時間
程度のあいだ行えばよい。焼結工程で得られる焼結磁石
の平均粒径は例えば1〜1.5μmである。
磁場中または無磁場中でプレス成形する。プレス成形の
後、脱脂工程、焼結工程、加工工程、洗浄工程、検査工
程などの公知の製造プロセスを経て、最終的にフェライ
ト磁石の製品が完成する。焼結工程は、空気中で例えば
1150℃から1250℃の温度範囲で0.5〜2時間
程度のあいだ行えばよい。焼結工程で得られる焼結磁石
の平均粒径は例えば1〜1.5μmである。
【0052】なお、上記フェライト磁石粉末をフレキシ
ビリティのあるゴムや硬質軽量のプラスチックなどと混
ぜ固めてボンド磁石を作製することもできる。この場
合、本発明の磁石粉末をバインダおよび添加物と混合・
混練した後、成形加工を行う。成形加工は、射出成形、
押出成形、ロール成形などの方法によって実行される。
ビリティのあるゴムや硬質軽量のプラスチックなどと混
ぜ固めてボンド磁石を作製することもできる。この場
合、本発明の磁石粉末をバインダおよび添加物と混合・
混練した後、成形加工を行う。成形加工は、射出成形、
押出成形、ロール成形などの方法によって実行される。
【0053】本発明では、前述のように比較的に高い温
度で仮焼を行うことにより、磁気特性の向上をはかるこ
とができる。仮焼温度を高くすると、一般にはその後の
粉砕が困難になり、焼結性も劣化する。そのため、化焼
温度は低くする(例えば1200℃程度にする)ことが
望ましいと考えられている。本発明では、仮焼温度を1
250℃以上の高温にする場合、仮焼前に微細に造粒
し、造粒粉以上に粒成長させないようにしたり、粒成長
した粒子をローラミルやロッドミルなどによって粗粉砕
する等の処置を行って高仮焼温度による弊害を排除して
いる。
度で仮焼を行うことにより、磁気特性の向上をはかるこ
とができる。仮焼温度を高くすると、一般にはその後の
粉砕が困難になり、焼結性も劣化する。そのため、化焼
温度は低くする(例えば1200℃程度にする)ことが
望ましいと考えられている。本発明では、仮焼温度を1
250℃以上の高温にする場合、仮焼前に微細に造粒
し、造粒粉以上に粒成長させないようにしたり、粒成長
した粒子をローラミルやロッドミルなどによって粗粉砕
する等の処置を行って高仮焼温度による弊害を排除して
いる。
【0054】なお、Srの代えて、Ba、CaおよびP
bから選択された少なくとも一種類の元素が用いられて
も良い。また、Laに代えて、またLaと共に、Yを含
む希土類元素およびBiから選択された少なくとも一種
類の元素でSrの一部を置換しても良い。本発明で重要
な点は、CoおよびZnの両方でFeの一部を置換する
という点にある。
bから選択された少なくとも一種類の元素が用いられて
も良い。また、Laに代えて、またLaと共に、Yを含
む希土類元素およびBiから選択された少なくとも一種
類の元素でSrの一部を置換しても良い。本発明で重要
な点は、CoおよびZnの両方でFeの一部を置換する
という点にある。
【0055】(実施例)まず、(1-x)SrO・(x/2)La
2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・yCoO・zZnOの組成
において、y+z=0.3、y/(y+z)=0.5と
なるように配合した原料粉末を1350℃で仮焼するこ
とによって本発明による磁石粉末を作製した。
2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・yCoO・zZnOの組成
において、y+z=0.3、y/(y+z)=0.5と
なるように配合した原料粉末を1350℃で仮焼するこ
とによって本発明による磁石粉末を作製した。
【0056】次に、この磁石粉末を更に0.52μmの
大きさになるまで微粉砕した後、得られた微粉砕にCa
Co3=0.7wt%、SiO2=0.4wt%を添加し
混合した。このようにして得られた微粉砕粉を磁界中で
成形した後、1230℃で30分間焼結し、焼結磁石を
作製した。
大きさになるまで微粉砕した後、得られた微粉砕にCa
Co3=0.7wt%、SiO2=0.4wt%を添加し
混合した。このようにして得られた微粉砕粉を磁界中で
成形した後、1230℃で30分間焼結し、焼結磁石を
作製した。
【0057】得られた焼結磁石の磁気特性は、残留磁束
密度Br=4.55kG、保磁力Hcj=4.50kO
e、(BH)max=4.8MGOeであった。
密度Br=4.55kG、保磁力Hcj=4.50kO
e、(BH)max=4.8MGOeであった。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、仮焼体および磁石粉末
の飽和磁化および保磁力について、その両方の向上を同
時に実現できるため、磁気特性に優れた磁石を製造する
ことが可能になる。
の飽和磁化および保磁力について、その両方の向上を同
時に実現できるため、磁気特性に優れた磁石を製造する
ことが可能になる。
【図1】本発明の実施例における組成比yおよびzを変
化させた場合の磁気特性を示すグラフである(y+z=
0.3)。
化させた場合の磁気特性を示すグラフである(y+z=
0.3)。
【図2】本発明の実施例における異方性磁界HAおよび
飽和磁化σsを示すグラフである。
飽和磁化σsを示すグラフである。
【図3】本発明の実施例における仮焼温度が1250
℃、1300℃および1350℃の場合のX線回折パタ
ーンを示すグラフである。
℃、1300℃および1350℃の場合のX線回折パタ
ーンを示すグラフである。
【図4】本発明の実施例における磁気特性のLa置換量
x依存性を示すグラフである(x=y+z、y=z)。
x依存性を示すグラフである(x=y+z、y=z)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 穴本 修司 佐賀県杵島郡北方町大字大崎2738 住特フ ェライト株式会社内 (72)発明者 古地 勇 佐賀県杵島郡北方町大字大崎2738 住特フ ェライト株式会社内 Fターム(参考) 4G002 AA03 AA07 AA08 AA09 AA10 AB01 AE04 4G018 AA01 AA08 AA09 AA10 AA11 AA12 AA13 AA22 AA25 AA27 AA34 AA37 AB04 AC01 AC02 AC11 AC16 5E040 AB04 AB09 BB00 BD01 CA01 HB01 HB17 NN02 NN15 NN18
Claims (14)
- 【請求項1】 (1-x)SrO・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/
2)Fe2O3・yCoO・zZnOで表現されるフェライ
トの主相を有する磁石粉末であって、 x、yおよびzはモル比を示し、 0.1≦x≦0.4、 0.03≦y≦0.3、 0.03≦z≦0.3、 5.5≦n≦6.5、であることを特徴とする磁石粉
末。 - 【請求項2】 0.2≦y/(y+z)≦0.8である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁石粉末。 - 【請求項3】 異方性磁界HAが20kOe以上で、飽
和磁化σSが70emu/g以上であることを特徴とす
る請求項1または2に記載の磁石粉末。 - 【請求項4】 請求項1から3の何れかひとつに記載の
磁石粉末を含むボンド磁石。 - 【請求項5】 請求項1から3の何れかひとつに記載の
磁石粉末から形成された焼結磁石。 - 【請求項6】 SrCO3およびFe2O3の粉末に対し
て、La、Co、およびZnの各々の酸化物粉末を添加
した原料混合粉末を用意する工程と、 前記原料混合粉末を仮焼し、それによって(1-x)SrO
・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・yCoO・zZ
nO(0.1≦x≦0.4、0.03≦y≦0.3、
0.03≦z≦0.3、5.5≦n≦6.5)の組成を
有するフェライトの仮焼体を形成する工程と、 前記仮焼体を粉砕する工程と、を包含する磁石粉末の製
造方法。 - 【請求項7】 前記仮焼を1100℃から1450℃ま
での範囲内の温度で実行することを特徴とする請求項6
に記載の磁石粉末の製造方法。 - 【請求項8】 0.2≦y/(y+z)≦0.8である
ことを特徴とする請求項6または7に記載の磁石粉末の
製造方法。 - 【請求項9】 SrCO3およびFe2O3の粉末に対し
て、La、Co、およびZnの各々の酸化物の粉末を添
加した原料混合粉末を用意する工程と、前記原料混合粉
末で仮焼し、それによって(1-x)SrO・(x/2)La2O
3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・yCoO・zZnO(0.1≦
x≦0.4、0.03≦y≦0.3、0.03≦z≦
0.3、5.5≦n≦6.5)の組成を有するフェライ
トの仮焼体を形成する工程と、 前記仮焼体を粉砕し、フェライト磁石粉末を形成する工
程と、 前記フェライト磁石粉末を成形・焼結する工程と、を包
含する磁石の製造方法。 - 【請求項10】 SrCO3およびFe2O3の粉末に対
して、La、Co、およびZnの各々の酸化物の粉末を
添加した原料混合粉末を用意する工程と、 前記原料混合粉末をで仮焼し、それによって(1-x)Sr
O・(x/2)La2O3・(n-(y+z)/2)Fe2O3・yCoO・z
ZnO(0.1≦x≦0.4、0.03≦y≦0.3、
0.03≦z≦0.3、5.5≦n≦6.5)の組成を
有するフェライトの仮焼体を形成する工程と、 前記仮焼体を粉砕し、フェライト磁石粉末を形成する工
程と、 前記フェライト磁石粉末からボンド磁石を形成する工程
と、を包含する磁石の製造方法。 - 【請求項11】 前記仮焼を1100℃から1450℃
までの範囲内の温度で実行することを特徴とする請求項
9または10に記載の磁石の製造方法。 - 【請求項12】 0.2≦y/(y+z)≦0.8であ
ることを特徴とする請求項9から11の何れかひとつに
記載の磁石の製造方法。 - 【請求項13】 (1-x)AO・(x/2)B2O3・(n-(y+z)/2)
Fe2O3・yCoO・zZnOで表現されるフェライト
の主相を有する磁石粉末であって、 元素Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択された
少なくとも一種類の元素であり、 元素BはYを含む希土類元素およびBiから選択された
少なくとも一種類の元素を含み、 x、yおよびzはモル比を示し、 0.1≦x≦0.4、 0.03≦y≦0.3、 0.03≦z≦0.3、 5.5≦n≦6.5であることを特徴とする磁石粉末。 - 【請求項14】 請求項13に記載の磁石粉末から形成
された磁石。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10311890A JP2000138114A (ja) | 1998-11-02 | 1998-11-02 | フェライト磁石粉末および該磁石粉末を用いた磁石およびそれらの製造方法 |
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---|---|---|---|
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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---|---|
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003056578A1 (en) * | 2001-12-27 | 2003-07-10 | Ssangyong Materials Corporation | Magnetoplumbite-type ferrite magnet having improved properties and preparation thereof |
JP2006093196A (ja) * | 2004-09-21 | 2006-04-06 | Tdk Corp | フェライト磁性材料 |
JP2009246243A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Tdk Corp | フェライト焼結磁石 |
CN106098286A (zh) * | 2016-05-30 | 2016-11-09 | 南通万宝实业有限公司 | 一种交流电机用复合铁氧体材料及其制备方法 |
CN110156452A (zh) * | 2019-05-28 | 2019-08-23 | 横店集团东磁股份有限公司 | 一种m型锶铁氧体及其制备方法 |
-
1998
- 1998-11-02 JP JP10311890A patent/JP2000138114A/ja active Pending
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