JPH11240948A - ポリアミノ酸誘導体の製造方法 - Google Patents

ポリアミノ酸誘導体の製造方法

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JPH11240948A
JPH11240948A JP36784698A JP36784698A JPH11240948A JP H11240948 A JPH11240948 A JP H11240948A JP 36784698 A JP36784698 A JP 36784698A JP 36784698 A JP36784698 A JP 36784698A JP H11240948 A JPH11240948 A JP H11240948A
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acid derivative
polyamino acid
extraction
acidic catalyst
producing
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JP36784698A
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English (en)
Inventor
Katsuhiko Machida
勝彦 町田
Shinji Ogawa
伸二 小川
Toshio Kato
敏雄 加藤
Makoto Sukegawa
誠 助川
Yoshihiro Irisato
義広 入里
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸性触媒を抽出溶剤で効率良く除去し、酸性
触媒や抽出溶剤を低エネルギーで回収、リサイクルでき
るポリアミノ酸誘導体の製造方法を提供する。 【解決手段】 酸性触媒を含有するポリアミノ酸誘導体
から、抽出溶剤で酸性触媒を抽出除去する抽出工程を含
むポリアミノ酸誘導体の製造方法であって、その抽出溶
剤が、抽出工程においてポリアミノ酸誘導体を実質的に
溶解せず、酸性触媒を少なくとも一部溶解する機能を有
し、かつ抽出工程における抽出処理温度が、60℃以
上、300℃以下であることを特徴とする酸性触媒を1
重量%以下含有する又は酸性触媒を含まないポリアミノ
酸誘導体の製造方法が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミノ酸誘導
体の製造方法に関し、更に詳しくは、混在する酸性触媒
の量が顕著に低減されたポリアミノ酸誘導体の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】[ポリアミノ酸誘導体及びその製造方法
の技術的背景]ポリアミノ酸誘導体は、生分解性を有す
るため地球環境に優しく、また生体内に吸収されても酵
素作用により消化吸収される。しかも、生体内での抗原
性を示さず、分解生成物も毒性が無いことが明らかにさ
れているので、人に対してもやさしい素材である。
【0003】ポリアミノ酸誘導体の生分解性という特徴
は、従来の非生分解性材料を用いた場合に生じている様
々な問題、例えば、ポリマー廃棄時の焼却処理あるいは
埋立処理に伴う過大な環境負荷等の解決に大きく貢献す
る。
【0004】ポリアミノ酸誘導体の一つであるポリコハ
ク酸イミドは、ポリアスパラギン酸、架橋ポリアスパラ
ギン酸等の、別のポリアミノ酸誘導体製造における好適
な中間体である。
【0005】ポリアスパラギン酸は、洗浄剤成分、スケ
ール防止剤、鉱物分散剤等として、また架橋ポリアスパ
ラギン酸は、高い吸水性能を有することから吸水材、保
水材等として、従来の非生分解性材料を代替し得る非常
に有用なポリマーである。
【0006】ポリコハク酸イミドは、例えば、P.Ne
riらの方法(Journal of Medicinal Chemistry、
1973年16巻8号)によって製造することができ
る。P.Neriらは、アスパラギン酸を重合してポリ
コハク酸イミドを得る方法において、使用するリン酸触
媒の量と、生成するポリコハク酸イミドの分子量との関
係を報告している。
【0007】P.Neriらによれば、ポリアミノ酸誘
導体として特に有用な、重量平均分子量4万程度のポリ
コハク酸イミドを得るには、原料のアスパラギン酸1重
量部に対し、リン酸触媒を0.3〜2重量部程度の多量
使用して重合する必要がある。当然のことながら、多量
のリン酸触媒を用いて重合を行って得たポリコハク酸イ
ミドは、リン酸触媒を高濃度に含有した状態となってい
る。したがって、重合後、ポリコハク酸イミドからリン
酸触媒を除去する必要がある。
【0008】[ポリアミノ酸誘導体からの酸性触媒分離
方法]ポリアミノ酸誘導体の一つであるポリコハク酸イ
ミドから酸性触媒を除去する方法としては、例えば、以
下の方法(1)〜(5)がある。
【0009】(1) P.Neriらは、リン酸触媒を
用いてポリコハク酸イミドを得た後、リン酸触媒を含有
するポリマーを直接ジメチルホルムアミド(DMF)に
溶解し、再沈殿し、さらに水で数回洗浄することによっ
て触媒を除去する技術を報告している(Journal of M
edicinal Chemistry、1973年16巻8号)。しか
し、再沈殿後洗浄を行う際の温度条件、得られたポリマ
ー中に残存するリン酸触媒の量、及び、洗浄に用いる水
の使用量について何ら報告していない。
【0010】(2) 欧州特許出願公開EP70702
6号(特開平8−231710号に対応)には、酸性触
媒の除去に関する技術が開示されている。具体的には、
ポリイミド(即ちポリコハク酸イミド)を、極性非プロ
トン系溶剤(DMF、ホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド等)に溶解し、次いで、ポリイミドに対する貧溶剤
(水、エーテル、エタノール、アセトン等)を使用して
再沈殿させることによって精製する技術が開示されてい
る。しかし、酸性触媒分離に用いる溶剤の使用量、再沈
殿後洗浄を行う際の温度条件、得られたポリマー中に残
存する酸性触媒の量について、具体的な示唆も開示もな
い。
【0011】(3) 同じく欧州特許出願公開EP70
7026号には、酸性触媒の除去に関する別の技術も開
示されている。具体的には、リン酸触媒を用いてアスパ
ラギン酸を重合した後、リン酸触媒を含有したままのポ
リイミド(即ちポリコハク酸イミド)を、ポリイミドに
対する貧溶媒(水、エーテル、エタノール、アセトン
等)を使用して洗浄することによって精製する技術が開
示されている。しかし、洗浄の温度条件、得られたポリ
マー中に残存するリン酸触媒の量について、具体的な示
唆も開示もない。一方、その比較例9及び10には、洗
浄の為にポリコハク酸イミドの重量の155倍(比較例
9)、129倍(比較例10)という大量の水が必要で
あることが開示されている。
【0012】(4) 同じく欧州特許出願公開EP70
7026号には、酸性触媒の除去に関する別の技術も開
示されている。具体的には、重合後、ポリコハク酸イミ
ド中に含有されるリン酸触媒を洗浄除去する前に、中和
処理を行う方法である。ただし、中和処理を行う場合
は、ポリコハク酸イミドでなく、ポリアスパラギン酸塩
が得られる。また、リン酸もリン酸塩として回収されて
いる。この場合も前記と同様に、洗浄の諸条件について
具体的な示唆も開示もない。
【0013】(5) 国際公開97/28219号に
は、リン酸触媒を用いてアスパラギン酸を重合後、リン
酸触媒を含有したポリコハク酸イミドを直接水で洗浄す
ることによって、リン酸触媒の含有量を0%にする技術
が開示されている。しかし、洗浄の温度条件、水の使用
量について、具体的な示唆も開示もない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述し
た各々の従来の技術について検討した結果、従来の技術
に従い好ましいとされている条件下でポリアミノ酸誘導
体を製造する場合は、酸性触媒を使用するので、少なく
とも以下に挙げる問題(a)〜(d)があると考えた。 (a) 酸性触媒を使用すると、得られるポリマーが酸
性触媒を含有するので少なくとも以下に示す問題点 i)
〜 vi)がある。 i) 経時的に、ポリマー中に混在する酸性触媒が原因と
なって、ポリマーが吸湿することがある。 ii) 経時的に、ポリマー中に混在する酸性触媒が原因
となって、ポリマーが着色することがある。 iii) 経時的に、ポリマー中に混在する酸性触媒が原因
となって、ポリマーが変性することがある。 iv) ポリマーを、ライフケア製品類やライフケア製品
類の原料に使用しようとする場合に、経時的に、ポリマ
ー中に混在する酸性触媒が原因となって、酸性を生じ、
問題となることがある。 v) ポリマーを、酸性化合物や塩基性化合物と反応
(例えば、化学修飾反応、加水分解反応等)させようと
したとき、酸性触媒の存在により、化学量論的に反応さ
せることが困難である。また、この場合、ポリマーを単
に中和処理すると、問題となることがある。具体的に
は、ポリコハク酸イミドを架橋して、架橋ポリコハク酸
イミドを製造する場合に、酸性触媒の存在により架橋度
の調整が困難となって生成物の吸水性能の低下や収率の
低下が生じる。 vi) 触媒の回収、リサイクルを全く行わない場合に
は、ポリアミノ酸誘導体の製造の為に大量の酸性触媒を
使用し、廃棄することとなり、効率が悪い。また、ポリ
マーを廃棄した場合に、酸性触媒のリン分等で、河川、
湖沼、海洋の汚染、及び/又は、富栄養化を招来する虞
がある。
【0015】(b) 前記の従来法(1)および(2)
のように、DMF(沸点153℃)、ホルムアミド(沸
点210℃)、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)
等の非プロトン性極性溶剤で、ポリマーと共に、ポリマ
ー中に混在する酸性触媒を、一旦、一緒に溶解し、その
後、過剰量のポリマー析出用溶剤(ポリコハク酸イミド
に対しては貧溶媒であって、酸性触媒に対しては良溶媒
である溶剤)に排出することにより、ポリマー中に混在
する酸性触媒を低減する操作には、例えば、以下に示す
問題点 i)〜v)がある。 i) DMF等の非プロトン性極性溶剤は、高い沸点を有
するので、ポリマー中に溶剤が残留してしまう。 ii) 溶剤が高沸点なので、この操作により生じた大量
の廃液(高沸点の有機溶剤、ポリマー析出用溶剤、及
び、酸性触媒等を含有する洗浄液)を処理することが困
難である。 iii) 工程が複雑である。 iv) 酸性触媒、及び/又は、溶剤のリサイクルが困難
である。 v) 触媒中に触媒分離用溶剤の変性物または分解物が
含有され、ポリアミノ酸誘導体製造用の触媒として再使
用する際、反応に悪影響を及ぼす虞がある。
【0016】(c) 前記の従来法(3)及び(5)の
ように、酸性触媒を含有するポリマーを直接、貧溶媒で
洗浄する方法には、例えば、以下に示す問題点 i)〜 ii
i)がある。 i) 貧溶媒として水を用いる場合、大量の水が必要なの
で節水の要請に合致しない。また、溶媒及び/又は酸性
触媒を回収する為には多大なエネルギーを必要とし、省
エネルギーの要請に合致しない。 ii) 洗浄により排出される希薄な酸性触媒濃度を有す
る洗浄液から、酸性触媒を回収し、リサイクルすること
は困難である。 iii) 洗浄により排出される洗浄液中の酸性触媒によ
り、河川、湖沼、海洋の汚染及び/又は富栄養化を招来
する虞がある。
【0017】(d) 前記の従来技術(4)のように、
リン酸触媒を除去せず、ポリコハク酸イミドの加水分解
と同時に中和処理する方法には、例えば、以下に示す問
題点i)〜 iii)がある。 i) ポリアミノ酸誘導体製造の際に用いられる大量の酸
性触媒が、全て塩として排出されるので、河川、湖沼、
海洋の汚染及び/又は富栄養化を招来する虞がある。 ii) 酸性触媒含有量の低減されたポリコハク酸イミド
が目的物の場合には、中和処理操作の過程で、ポリコハ
ク酸イミドの少なくとも一部が加水分解し、ポリアスパ
ラギン酸塩を生じるため好ましくない。 iii) 酸性触媒が塩になるので、イオン交換等を経なけ
ればポリアミノ酸誘導体製造用に再使用できず、リサイ
クルが困難である。
【0018】本発明者らは、従来の技術における上記各
問題点に鑑み、これらの問題点を解決することは極めて
意義深いと考え、以下の課題<1>〜<3>を解決する
ことを目的とした。なお、このような課題は、本発明者
らが初めて着想したものであり、課題自体が新規であ
る。 <1> ポリアミノ酸誘導体の乾燥重量を基準として、
酸性触媒を1重量%以下含有するポリアミノ酸誘導体を
効率良く製造すること。 <2> ポリアミノ酸誘導体の製造工程において使用し
た酸性触媒を低エネルギーで回収し、リサイクルするこ
と。 <3> ポリアミノ酸誘導体中に混在する酸性触媒を、
抽出溶剤を使用して低減する操作により生じた抽出液
(有機溶剤及び/又は水、酸性触媒等を含有する洗浄
液)から、抽出溶剤を低エネルギーで回収し、リサイク
ルすること。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的は、酸性触媒を
含有するポリアミノ酸誘導体から、抽出溶剤で該酸性触
媒を抽出除去する抽出工程(工程A)を含むポリアミノ
酸誘導体の製造方法であって、前記抽出溶剤が、前記抽
出工程において、前記ポリアミノ酸誘導体を実質的に溶
解せず、前記酸性触媒を少なくとも一部溶解する機能を
有し、かつ、該抽出工程における抽出処理温度が、60
℃以上、300℃以下であることを特徴とする、酸性触
媒を1重量%以下含有する又は酸性触媒を含まないポリ
アミノ酸誘導体の製造方法により達成される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0021】[ポリアミノ酸誘導体]本発明において、
ポリアミノ酸誘導体とは、例えば、ポリコハク酸イミ
ド、ポリアスパラギン酸、それらポリマーの架橋体、及
びそれらがペンダント基などにより化学修飾された誘導
体を含む。また、ポリアミノ酸誘導体の主鎖基本骨格の
繰り返し単位は、アスパラギン酸構造単位とアスパラギ
ン酸以外のアミノ酸構造単位からなる共重合体であって
も構わない。共重合体である場合には、ブロック・コポ
リマーであっても、ランダム・コポリマー、グラフト・
コポリマーであっても構わない。
【0022】本発明では、結合の様式に関わらず、ポリ
マー中のアスパラギン酸構造からなる繰り返し単位部分
を「ポリアスパラギン酸残基」と呼ぶ。ポリアスパラギ
ン酸残基から成る繰り返し単位の数は、特に限定されな
いが、分子を構成する繰り返し単位の総数に対して、1
%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。具体的
には、ポリアミノ酸誘導体の主鎖基本骨格の繰り返し単
位としては、アスパラギン酸残基単独、又は、グルタミ
ン酸若しくはリジンとの共重合体から構成されることが
好ましく、特に工業的生産の点から、前記繰り返し単位
がアスパラギン酸残基単独からなることが好ましい。
【0023】ポリアミノ酸誘導体であるポリアスパラギ
ン酸、架橋ポリアスパラギン酸の主鎖基本骨格は、主鎖
中のアミド結合が、α結合である場合と、β結合である
場合とがある。アスパラギン酸構造のα位のカルボキシ
ル基と結合した場合がα結合であり、アスパラギン酸構
造のβ位のカルボキシル基と結合した場合がβ結合であ
る。このポリアスパラギン酸構造のα結合とβ結合は、
通常、混在する。本発明では、その結合様式は特に限定
されない。
【0024】ポリアミノ酸誘導体の主鎖部分の構造は、
線状構造であっても、分岐状構造を有するものであって
もよい。ポリアミノ酸誘導体の主鎖構造部分の分子量
は、特に限定されないが、分子量が高い方が好ましい。
例えば、架橋ポリアスパラギン酸の場合には、主鎖構造
部分の分子量が高いほど、吸水材、保水材等としての能
力が高くなる。ポリアミノ酸誘導体の主鎖構造部分の重
量平均分子量は、好ましくは3万以上、より好ましくは
5万以上、特に好ましくは8万以上である。
【0025】ポリアミノ酸誘導体の架橋部分の結合は、
特に限定されない。その具体例としては、例えば、アミ
ド結合、エステル結合、チオエステル結合から成る構造
を挙げることができる。これらは単独でもよいし、複数
の構造が混在していても構わない。ここで、架橋部分の
量は特に限定されないが、架橋部分を有する繰り返し単
位の数は、重合体全体の繰り返し単位の総数を基準とし
て、0.001〜30%が好ましく、0.01〜10%
がより好ましい。
【0026】[ポリアミノ酸誘導体を製造するための原
料]本発明において、ポリアミノ酸誘導体を製造する際
に使用する原料は特に制限されない。ポリアミノ酸誘導
体の主鎖基本骨格を構成するための原料として、アスパ
ラギン酸を用いる場合には、L体、D体、DL体の何れ
を用いてもよい。
【0027】また、アスパラギン酸と他のアミノ酸との
共重合体を製造する場合には、例えば、アスパラギン酸
を除く19種類の必須アミノ酸、L−オルニチン、一連
のα−アミノ酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、中性
アミノ酸、酸性アミノ酸、酸性アミノ酸のω−エステ
ル、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のN置換体、アス
パラギン酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテ
ーム)等のアミノ酸及びアミノ酸誘導体、L−システイ
ン酸等のアミノスルホン酸等を挙げることができる。α
−アミノ酸は、L体、D体、DL体の何れでも良い。
【0028】架橋用原料としては、架橋部分の結合を構
成できる多官能性化合物であれば、特に限定されない。
例えば、ポリアミン、ポリチオール、ポリオール等の多
官能性化合物を挙げることができる。その具体例として
は、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、1,4−ブタンジアミン、ペンタメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミ
ン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、
デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ド
デカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、
ヘキサデカメチレンジアミン、1−アミノ−2,2−ビ
ス(アミノメチル)ブタン、テトラアミノメタン、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族
ポリアミン;ノルボルネンジアミン、1,4−ジアミノ
シクロヘキサン、1,3,5−トリアミノシクロヘキサ
ン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニ
レンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン
等の芳香族ポリアミン;塩基性アミノ酸もしくはそれら
のエステル類、シスタミン等のモノアミノ化合物の分子
1個又はそれ以上が1個又はそれ以上のジスルフィド結
合により結合した化合物及びその誘導体等のポリアミ
ン;1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチ
オール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサン
ジチオール、ペンタエリスリチオール等の脂肪族ポリチ
オール;シクロヘキサンジチオール等の脂環式ポリチオ
ール;キシリレンジチオール、ベンゼンジチオール、ト
ルエンジチオール等の芳香族ポリチオール;トリメチロ
ールプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチロ
ールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)
ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレー
ト)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプ
トプロピオネート)ポリチオール等のエステル類;エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオール
類;が挙げられる。また、リジン、シスチン、オルニチ
ンに代表されるタンパク質構成アミノ酸又はそれらの塩
又はエステル類が挙げられる。
【0029】これらのうち、架橋用原料には、臭気が少
なく、反応性の高い、エチレンジアミン、プロピレンジ
アミン、1,4−ブタンジアミン、ヘプタメチレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、リジン、オルニチン、
シスタミンが好ましい。
【0030】[酸性触媒]ポリアミノ酸誘導体の重合の
際に用いる酸性触媒は、一般的にはリン酸素酸であり、
好ましくはオルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、五
酸化リン、およびその組み合わせからなる。
【0031】本発明では、ポリアミノ酸誘導体中に混在
する酸性触媒を良好に抽出除去可能なので、酸性触媒の
使用量は、従来技術よりも広い範囲で選択可能である。
その使用量は、原料モノマー1重量部に対して、好まし
くは0.01〜2重量部、より好ましくは0.05〜1
重量部、特に好ましくは0.1〜0.8重量部、最も好
ましくは0.2〜0.7重量部である。
【0032】[抽出溶剤]抽出溶剤としては、抽出工程
において、ポリアミノ酸誘導体を実質的に溶解せず、酸
性触媒を少なくとも一部溶解する機能を有する溶剤を使
用すればよい。具体的には、有機溶剤、有機溶剤と水及
び/又は酸性触媒との混合物、水、水および酸性触媒と
の混合物のうち少なくとも一つを使用することができ
る。抽出溶剤は、主に、酸性触媒に対する抽出能力、抽
出を行う際の温度及び圧力条件、溶剤自体の安定性を考
慮して選択すればよい。
【0033】抽出溶剤の抽出能力の目安としては、比誘
電率εr値が挙げられる。本発明では、25℃での比誘
電率が、好ましくは2以上、より好ましくは10以上、
さらに好ましくは15以上、最も好ましくは19以上で
ある抽出溶剤を使用するとよい。
【0034】抽出溶剤に用いられる有機溶剤の具体例と
しては、炭素数1〜9のアルコール類、炭素数3〜9の
ケトン類、炭素数3〜9のエーテル類、炭素数3〜9の
酢酸エステル類が挙げられる。
【0035】さらに具体的には、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブ
タノール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコー
ル、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタ
ノール、イソアミルアルコール、4−メチル−2−ペン
タノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−
ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノー
ル、2−ヘプタノール、1−オクタノール等のアルコー
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ペン
タノン、3−ペンタノン等のケトン類;ジイソプロピル
エーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル
等の酢酸エステル類;が挙げられる。
【0036】これらのうち、好ましい有機溶剤は、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブ
タノール、2−ブタノール、i−ブチルアルコール、t
−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノ
ール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、1−
オクタノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジ
イソプロピルエーテル、酢酸ブチルであり、より好まし
い有機溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、i−ブ
チルアルコール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノ
ール、2−ペンタノール、アセトン、ジイソプロピルエ
ーテルであり、特に好ましい有機溶剤は、メタノール、
イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノ
ール、i−ブチルアルコール、アセトン、ジイソプロピ
ルエーテルであり、最も好ましい有機溶剤は、メタノー
ル、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、アセト
ン、ジイソプロピルエーテルである。
【0037】水と共沸混合物を形成する有機溶剤を使用
する場合は、その共沸組成の水を含有した混合物を用い
るとよい。また、抽出を行う温度および圧力条件下で飽
和溶解度分の水を含有する有機溶剤混合物を用いること
もでき、逆に、抽出を行う温度および圧力条件下で飽和
溶解度分の有機溶剤を含有する水混合物を用いることも
できる。さらに、水と完全に混合する有機溶剤の場合に
は、任意の割合で水と有機溶剤を混合して用いればよ
い。
【0038】抽出溶剤中には、酸性触媒が含有されてい
てもよい。その酸性触媒の含有量は、ポリマー中の酸性
触媒の残存量が所望の程度に低減できるように、抽出溶
剤の抽出能力をあまり低下させない量にすればよい。抽
出溶剤中の酸性触媒量は、一般的には95重量%以下、
好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは50重量
%以下、特に好ましくは30重量%以下、最も好ましく
は10重量%以下である。
【0039】[抽出工程における操作]抽出は、酸素濃
度を低減した雰囲気下で実施することが好ましい。特
に、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気
下で実施することが好ましい。
【0040】抽出工程は、回分式あるいは連続式操作
で、固体状のポリアミノ酸誘導体と、液体、非凝縮性ガ
ス又は超臨界流体である抽出溶剤とを十分に接触させて
行う。ここで、非凝縮性ガスとは、温度が溶剤の臨界温
度を超え、圧力が臨界圧力未満である溶剤の状態であ
り、超臨界流体とは、臨界温度及び臨界圧力を超えた温
度及び圧力下にある溶剤の状態である。
【0041】例えば、抽出溶剤の臨界温度が300℃未
満の場合、抽出工程における抽出処理温度を、60℃以
上、該臨界温度未満とすれば、通常の液体状の抽出溶剤
による抽出が可能である。また、抽出溶剤の臨界温度が
300℃未満の場合、抽出工程における抽出処理温度
を、臨界温度以上、300℃以下とすれば、その抽出溶
剤の非凝縮性ガス及び/又は超臨界流体で抽出除去を行
うことになる。
【0042】酸性触媒を含有するポリアミノ酸誘導体と
抽出溶剤を十分に接触させるための装置としては、撹拌
槽、固定床型抽出器、移動床型抽出器、ロトセル抽出
器、ルルギ型抽出器等が挙げられる。
【0043】抽出操作は、1段あるいは多段抽出で実施
する。多段抽出では抽出溶剤を向流式あるいは並流式で
使用するが、特に向流式が好ましい。多段抽出において
は酸性触媒を含有する抽出溶剤を、少なくとも一部の段
において使用してもよい。
【0044】抽出溶剤の使用量は、通常、ポリアミノ酸
誘導体1重量部に対して、好ましくは0.1〜100重
量部、より好ましくは0.3〜50重量部、特に好まし
くは0.5〜30重量部、最も好ましくは1〜20重量
部である。抽出溶剤を過剰に用いると、抽出液中の酸性
触媒濃度が低くなるので、抽出後、酸性触媒と抽出溶剤
を分離する際の効率が悪くなる。一方、抽出溶剤が少な
過ぎると、抽出液中の酸性触媒濃度が増加するので、ポ
リマー中に残存する酸性触媒の濃度が増大する。抽出溶
剤の使用量をより少なくし、効率良く抽出操作を行うに
は、多段向流型の抽出操作が好ましい。
【0045】多段抽出を行う場合には、各段の間で、ポ
リアミノ酸誘導体と、酸性触媒および抽出溶剤からなる
抽出液とを可能な限り分離した後、次の段の操作を行う
ことが好ましい。具体的には、固体状であるポリアミノ
酸誘導体100重量部当たりに含有される抽出液が、一
般的には50重量部以下、好ましくは30重量部以下、
より好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量
部以下、最も好ましくは1重量部以下となるまで分離を
行う。
【0046】抽出液と固体状のポリアミノ酸誘導体との
分離は、具体的には、ろ過機、遠心分離機、沈降分離装
置、浮上分離装置あるいはそれらを組み合わせた工程に
より実施できる。なお、ポリアミノ酸誘導体と抽出液を
分離した後、さらに、同じ種類あるいは異なる種類の抽
出溶剤を用いて、ポリアミノ酸誘導体中に含まれる抽出
液の置換洗浄を行ってもよい。置換洗浄操作1回当たり
に用いる抽出溶剤量は、ポリアミノ酸1重量部当たり、
好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.0
5〜5重量部、特に好ましくは0.1〜2重量部であ
る。
【0047】本発明では、抽出を行う際の温度は、60
℃以上、300℃以下である。この温度が60℃未満で
あると、ポリアミノ酸誘導体中の酸性触媒残存濃度が高
くなる。一方、300℃を超えると、ポリアミノ酸誘導
体の一部が変性し、分子量が低下し、場合によっては着
色し、ポリマーの品質低下を招く。この温度は、75℃
以上、250℃以下が好ましく、90℃以上、220℃
以下がより好ましく、100℃以上、200℃以下が特
に好ましい。
【0048】抽出を行う際の圧力は、使用する抽出溶剤
の物性で決定される。抽出操作を行う温度が、抽出溶剤
の臨界温度より低い場合は、少なくとも一部に液相が存
在する圧力とする。例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴ
ン等の不活性ガス雰囲気下で抽出を行う場合は、そのガ
スにより、抽出温度での抽出溶剤の飽和蒸気圧以上に加
圧するとよい。
【0049】また、抽出を行う温度が、抽出溶剤の臨界
温度より高い場合は、酸性触媒の少なくとも一部を、抽
出溶剤中に溶解させ得る圧力とすればよい。この場合、
抽出溶剤は、非凝縮性ガスまたは超臨界流体として用い
られる。
【0050】多段抽出を行う場合には、各段における温
度及び/又は圧力を、前記の範囲内で異なる値に設定し
てもよい。
【0051】抽出時間は、一般的には0.5秒〜12時
間、好ましくは1秒〜5時間、より好ましくは3秒〜2
時間、特に好ましくは5秒〜60分、最も好ましくは1
0秒〜30分である。ここで、抽出時間とは、抽出を行
う温度下で、ポリマーと抽出溶剤及び/又は抽出液が接
触している時間とする。抽出時間を適度に長くすれば、
抽出を十分に行えるのでポリアミノ酸誘導体中に残存す
る酸性触媒量が減少する。一方、抽出時間を適度に短く
すれば、大型装置が不要となり、装置設計が容易になる
と共に、ポリアミノ酸誘導体が熱にさらされる時間が短
くなるので、ポリアミノ酸誘導体の一部変性、分子量の
低下、着色、その他の品質低下を防止できる。
【0052】[抽出工程におけるポリアミノ酸誘導体の
形態]抽出工程に供給されるポリアミノ酸誘導体は、粉
粒状であることが好ましい。例えば、塊状のポリアミノ
酸誘導体は、任意の乾式粉砕操作及び/又は湿式粉砕操
作を連続式あるいは回分式で行い、粉粒状のポリアミノ
酸誘導体にできる。粉粒状のポリアミノ酸誘導体の平均
粒径は、一般的には5mm以下、好ましくは1mm以
下、より好ましくは500μm以下、特に好ましくは2
00μm以下、最も好ましくは100μm以下とする。
ただし、本発明はこれに限定されない。5mmより大き
い平均粒径を有する塊状ポリマーを抽出工程に供給する
場合でも、特に撹拌槽を用いた抽出操作においては、酸
性触媒の抽出進行に伴ってポリマーの細粒化が生じ、抽
出操作に好適なポリマー形態とすることができる。
【0053】[ポリマー回収工程]抽出工程を経た混合
物を、抽出溶剤/酸性触媒混合溶液からなる抽出液と、
固体のポリアミノ酸誘導体とに分離することにより、酸
性触媒の残存量が低いポリアミノ酸誘導体が得られる。
【0054】このポリマー回収工程における分離操作と
しては、先に述べた多段抽出の各段の間で行なう分離操
作と同様な方法が挙げられる。すなわち、具体的には、
ろ過機、遠心分離機、沈降分離装置、浮上分離装置ある
いはそれらを組み合わせた工程により分離を実施でき
る。
【0055】また、分離したポリアミノ酸誘導体につい
て、さらに乾燥操作を行っても構わない。乾燥操作は、
常圧下又は減圧下において実施される。具体的には、例
えば材料静置型乾燥器、材料移送型乾燥器、材料攪拌型
乾燥器、熱風移送型乾燥器、円筒乾燥器、赤外線乾燥
域、及び、高周波乾燥器からなる群より選択される、少
なくとも一つの装置を用いて、連続式又は回分式の乾燥
操作を行なう。
【0056】[ポリアミノ酸誘導体中の酸性触媒残存
量]本発明においては、酸性触媒を1重量%以下含有す
る又は酸性触媒を含まないポリアミノ酸誘導体を得る。
酸性触媒が1重量%を超えて残存すると、先に述べたよ
うな各問題点(a)- i)〜 vi)が生じる。酸性触媒の残
存量は、0.0001〜1重量%が好ましく、0.00
01〜0.2重量%がより好ましく、0.0001〜
0.05重量%が特に好ましく、0.0001〜0.0
1重量%が最も好ましい。この残存量を、0.0001
重量%以上にすれば、抽出溶剤の使用量を適度に抑える
ことができる。酸性触媒の残存量は、元素分析あるいは
X線分析等で測定できる。
【0057】[酸性触媒回収工程]抽出後、抽出溶剤/
酸性触媒混合溶液からなる抽出液は、蒸発操作、蒸留操
作、液液抽出操作、濾過操作、膜分離操作、吸着操作、
イオン交換操作およびそれらを組み合わせた工程(酸性
触媒回収工程)によって、実質的に抽出溶剤を含有する
系と実質的に酸性触媒を含有する系に分離することがで
きる。
【0058】例えば、蒸留操作による抽出溶剤と酸性触
媒との分離を行う場合、水あるいは水蒸気を同時に供給
することで蒸留後の酸性触媒中に残存する有機溶剤をさ
らに減少させることもできる。また、使用する有機溶剤
が水と二液相を形成する場合には、蒸留で生じる蒸気を
凝縮させることで、主として有機溶剤からなる油相と、
主として水からなる水相とを形成させ、これらのうち油
相のみを取り出すことによって、水含有量の低下した抽
出溶剤を回収することもできる。また、抽出液が異なる
種類の抽出溶剤と二液相を形成する場合には、液液抽出
操作によって、抽出溶剤と酸性触媒を分離することもで
きる。
【0059】[抽出溶剤再生工程]回収した抽出溶剤中
には、ポリアミノ酸誘導体製造に由来する不純物が含有
されている場合があり、ポリアミノ酸誘導体の製造に再
使用すると、ポリアミノ酸誘導体の着色、不純物含有等
の品質低下の原因となる虞があり好ましくない。不純物
としては、重合時の副生物等の有機物、装置材質の腐食
等に由来する金属等の無機物などが挙げられる。抽出溶
剤の一部に不都合な不純物が含まれる場合は、再使用に
先立ち、さらに、蒸発操作、蒸留操作、液液抽出操作、
濾過操作、膜分離操作、吸着操作、イオン交換操作ある
いはそれらを組み合わせた工程を経て、不純物含有量を
所望の濃度まで低減した後、再使用する。
【0060】[酸性触媒再生工程]抽出溶剤と分離した
酸性触媒中には、ポリアミノ酸誘導体製造に由来する不
純物が含有されており、ポリアミノ酸誘導体の製造に再
使用すると、ポリアミノ酸誘導体の着色等の原因になり
好ましくない。不純物としては、重合時の副生物等の有
機物、装置材質の腐食等に由来する金属等の無機物など
が含まれる。
【0061】抽出溶剤と分離した酸性触媒を、ポリアミ
ノ酸誘導体製造用に再使用可能とするための工程は、不
純物含有量を低減する操作および/または濃縮操作から
なる。これら2つの操作を実施する場合、順序は限定し
ない。また各操作を繰り返し実施してもよい。
【0062】具体的な操作としては、蒸発操作、蒸留操
作、液液抽出操作、酸化分解操作、加熱操作、濾過操
作、膜分離操作、吸着操作、イオン交換操作のうち少な
くとも1つの操作を実施し、酸性触媒中に含有される不
純物(この場合、水も不純物とする)、及び/又は、水
を低減して、酸性触媒を濃縮することにより、酸性触媒
を精製して、ポリアミノ酸誘導体の製造に再度使用可能
な酸性触媒を得る。
【0063】前記操作のうち酸化分解操作を行う場合、
酸化剤として、過酸化水素、塩素酸、塩素酸塩、亜塩素
酸塩、次亜塩素酸塩、過塩素酸、金属酸塩のうち少なく
とも1つを回収した酸性触媒中に添加することが好まし
い。これらのうち過酸化水素は系内に不純物を持ち込ま
ないという点でより好ましい。
【0064】また酸化分解操作を行う際には、酸性触媒
濃度が高いほど操作が容易になるため、好ましくは20
重量%以上、より好ましくは30重量%以上、特に好ま
しくは40重量%以上の酸性触媒濃度とする。したがっ
て、酸性触媒濃度が低い場合には、先ず濃縮操作を経た
後、酸化分解操作を行うことが好ましい。
【0065】酸化分解操作を行う温度は、好ましくは5
0〜250℃、より好ましくは80〜200℃、最も好
ましくは100〜170℃である。温度が低すぎると十
分に酸化分解することができず、高すぎると装置材質の
腐食が顕著となり、装置設計が困難になる。
【0066】酸化分解操作を行う圧力は、酸性触媒と酸
化剤の混合物が液相を維持する圧力でよく、窒素、二酸
化炭素、アルゴン等の酸化分解操作において不活性なガ
スで加圧してもよい。酸化剤の使用量は、酸性触媒回収
液中の有機物含有量で決定される。例えば、過酸化水素
を用いる場合の使用量の目安としては、酸性触媒1重量
部当たり、好ましくは0.0001〜0.5重量部、よ
り好ましくは0.001〜0.1重量部を用いる。酸化
剤の使用量が少なすぎると十分な処理効果が得られな
い。逆に酸化剤を過剰に用いても処理効果は変わらな
い。
【0067】加熱操作を行う温度は、80〜300℃、
好ましくは100〜200℃である。温度が低すぎると
加熱処理の効果が小さく、高すぎると装置材質の腐食等
が顕著となるため装置設計が困難になる。
【0068】吸着処理を行う場合には、活性炭等の吸着
剤を使用し、常法に従って実施できる。特に酸化分解処
理あるいは加熱処理と吸着処理を組み合わせるのが効果
的である。
【0069】酸性触媒の濃縮操作は、蒸発器、薄膜蒸発
器、液中燃焼装置等を用いて温度80〜300℃にて常
圧下あるいは減圧下で実施される。酸性触媒は、好まし
くは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、
特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは85重
量%以上に濃縮し、再使用する。
【0070】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0071】本実施例中におけるリン酸触媒の使用量
は、オルトリン酸(分子量98)として評価した値であ
る。
【0072】ポリマーの重量平均分子量は、得られたポ
リマーを分子量測定用DMF(臭化リチウム0.01m
ol/L含有)に溶解させてGPC分析で評価した値で
ある。また残存リン酸濃度は、元素分析によって評価し
た値である。
【0073】さらに、抽出溶剤の使用量、及び、抽出液
を抽出溶剤と酸性触媒に分離する為の所要エネルギーの
評価は、以下の様にして行なった。
【0074】抽出液を蒸留操作によって、抽出溶剤と酸
性触媒とに分離する際に要するエネルギーは、抽出溶剤
の蒸発に必要なエネルギーが主である。抽出溶剤の蒸発
に必要なエネルギーは、各抽出溶剤の物性値である蒸発
潜熱と、抽出溶剤の使用量から、その概略を把握するこ
とができる。標準沸点下における抽出溶剤の重量当たり
の蒸発潜熱は、メタノールでは1.1[kJ/g]、I
PAでは0.66[kJ/g]、水では2.3[kJ/
g]である。
【0075】ここでは、酸性触媒の抽出除去の為に用い
た抽出溶剤の使用量として、以下の式で「抽出溶剤比」
を定義する。
【0076】抽出溶剤比=(抽出に用いた溶剤量[g]+
濾過に用いた溶剤量[g])÷PSI重量[g] また、抽出液から抽出溶剤と酸性触媒を分離する為に必
要なエネルギーとして以下の式で「エネルギー比」を定
義する。
【0077】エネルギー比=抽出溶剤比×蒸発潜熱[k
J/g] また、「相対比」とは、実施例4におけるエネルギー比
で、各実施例におけるエネルギー比を除した値である。
【0078】(1)ポリコハク酸イミドの製造 <実施例1>1Lのナス型フラスコに、L−アスパラギ
ン酸(L−Asp)133.1gと85重量%リン酸7
0.0gを装入し、エバポレーターに取り付けた。回転
下、200mmHg減圧下、140℃まで3時間かけて
昇温すると、反応マスは低粘性の液体状態を経て塊状状
態に変化した。さらに185℃まで3時間かけて昇温す
ると、固体状へと変化した。次いで、5mmHg減圧
下、185〜195℃で10時間反応させ、その後室温
まで冷却して、ポリコハク酸イミド(PSI)を粉砕
し、回収した。
【0079】次いで、攪拌装置を備えた反応容器に、上
記PSI粉体とイソプロピルアルコール(IPA)30
0gを装入し、攪拌下、80℃で1時間抽出操作を行っ
た。次いで、室温まで冷却してから濾過し、濾塊をIP
A100gで洗浄した。この抽出、洗浄操作を10回繰
り返した後、乾燥を行い、PSI96.9gを得た。結
果を以下に示す。
【0080】収量 96.9g 収率 99.7% 重量平均分子量(Mw) 11.8万 残存リン酸濃度 0.19重量% 抽出溶剤比 41 エネルギー比 27 相対比 1.4。
【0081】<実施例2>85重量%リン酸の量を4
5.0gとしたこと以外は、実施例1と同じ操作を行
い、PSI粉体を得た。
【0082】次いで、攪拌装置を備えた反応容器に、上
記PSI粉体とIPA−リン酸混合溶剤(リン酸分20
重量%)310gを装入し、攪拌下、80℃で1時間抽
出操作を行った。次いで、室温まで冷却してから濾過
し、濾塊をIPA120gで洗浄した。2回目以降は、
IPA310gを抽出溶剤として用い、同様の操作を9
回繰り返した後、乾燥を行い、PSI97.0gを得
た。結果を以下に示す。
【0083】収量 97.0g 収率 99.8% 重量平均分子量(Mw) 4.4万 残存リン酸濃度 0.16重量% 抽出溶剤比 43 エネルギー比 29 相対比 1.5。
【0084】<実施例3>300ccナス型フラスコ
に、L−Asp10.0gと、85重量%リン酸5.2
gとを装入し、エバポレーターに取り付けた。回転下、
200mmHg減圧下、140℃まで3時間かけて昇温
すると、反応マスは低粘性の液体状態を経て塊状状態に
変化した。さらに180℃まで2時間かけて昇温する
と、固体状へと変化した。次いで、5mmHg減圧下、
180〜190℃で8時間反応させ、その後室温まで冷
却して、PSIを粉砕し、回収した。
【0085】次いで、反応マスを抽出器に充填し、高圧
用ポンプを用いて流量4g/分で水を連続的に供給し、
140℃、1MPaに保って40分間、固定床型で抽出
操作を行った。次いで、室温まで冷却後、PSI湿体を
回収し、乾燥し、PSI6.6gを得た。結果を以下に
示す。
【0086】収量 6.6g 収率 90.5% 重量平均分子量(Mw) 8.6万 残存リン酸濃度 0.026重量% 抽出溶剤比 24 エネルギー比 56 相対比 2.9。
【0087】<実施例4>L−Aspの量を12.0
g、85重量%リン酸の量を6.5gとしたこと以外
は、実施例3と同じ操作を行い、PSI粉体を得た。
【0088】次いで、反応マスを抽出器に充填し、高圧
用ポンプを用いて流量5g/分でメタノールを連続的に
供給し、170℃、2.5MPaに保って30分間、固
定床型で抽出操作を行った。次いで、室温まで冷却後、
PSI湿体を回収し、乾燥し、PSI8.7gを得た。
結果を以下に示す。
【0089】収量 8.7g 収率 98.8% 重量平均分子量(Mw) 10.4万 残存リン酸濃度 0.072重量% 抽出溶剤比 17 エネルギー比 19 相対比 1。
【0090】<実施例5>L−Aspの量を9.0g、
85重量%リン酸の量を4.0gとしたこと以外は、実
施例3と同じ操作を行い、PSI粉体を得た。
【0091】次いで、反応マスを抽出器に充填し、高圧
用ポンプを用いて流量4.5g/分で含水IPA(IP
A88重量%+水12重量%)を連続的に供給し、19
0℃、2.5MPaに保って25分間、固定床型で抽出
操作を行った。次いで、室温まで冷却後、PSI湿体を
回収し、乾燥し、PSI6.2gを得た。結果を以下に
示す。
【0092】収量 6.2g 収率 94.4% 重量平均分子量(Mw) 7.1万 残存リン酸濃度 0.10重量% 抽出溶剤比 18 エネルギー比 16 相対比 0.8。
【0093】<比較例1>実施例1と同じ操作を行い、
PSI粉体を得た。次いで、反応マスにIPA300g
を装入し、20℃に保って同温度で1時間抽出操作を行
った。次いで、濾過を行って抽出液を分離し、濾塊はI
PA110gで洗浄した。この操作を14回繰り返した
後、乾燥し、PSI 102.3gを得た。結果を以下
に示す。
【0094】収量 102.3g 収率 99.7% 重量平均分子量(Mw) 11.5万 残存リン酸濃度 5.5重量% 抽出溶剤比 56 エネルギー比 37 相対比 1.9。
【0095】<比較例2>実施例3と同じ操作を行い、
PSI粉体を得た。次いで、反応マスを抽出器に充填
し、高圧用ポンプを用いて流量4g/分で水を連続的に
供給し、15℃、0.1MPaに保って、固定床型で抽
出操作を行った。20時間経過後、抽出器内からPSI
湿体を回収し、乾燥し、PSI7.3gを得た。結果を
以下に示す。 収量 7.3g 収率 99.6% 重量平均分子量(Mw) 11.9万 残存リン酸濃度 1.2重量% 抽出溶剤比 6.6×102 エネルギー比 1.5×103 相対比 79。
【0096】<比較例3>実施例3と同じ操作を行い、
PSI粉体を得た。次いで、反応マスを抽出器に充填
し、高圧用ポンプを用いて流量5g/分で含水IPA
(IPA88重量%+水12重量%)を連続的に供給
し、330℃、20MPaに保って、固定床型で抽出操
作を行った。20分経過後、抽出器出口側の抽出液冷却
管に閉塞が生じ、圧力が上昇したため、抽出操作を停止
した。室温まで冷却後、抽出器内からPSI湿体を回収
し、乾燥し、PSI 1.5gを得た。結果を以下に示
す。
【0097】収量 1.5g 粗収率(理論収量に対する実収量の割合) 20.6% 重量平均分子量(Mw) 1.4万。
【0098】<比較例4>実施例3と同じ操作を行い、
PSI粉体を得た。次いで、反応マスを流通式反応器に
充填し、高圧用ポンプを用いて流量5g/分で水を連続
的に供給し、340℃、15MPaに保って、固定床型
で抽出操作を行った。15分経過後、抽出器出口側の抽
出液冷却管に閉塞が生じ、圧力が上昇したため、抽出操
作を停止した。室温まで冷却後、抽出器内からPSI湿
体を回収し、乾燥し、PSI0.6gを得た。結果を以
下に示す。
【0099】収量 0.6g 粗収率 8.2%。
【0100】以上の実施例1〜5(及び後述する実施例
6)の結果を下記表1にまとめて示し、比較例1〜4の
結果を下記表2にまとめて示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】 <実施例6>実施例5と同様の操作を4回行い、抽出液
442gを得た。このうち、400gについて濾過を行
い、エバポレーターで47gまで濃縮して抽出溶剤を回
収し、500ml蒸留フラスコに移液した。20mmH
g減圧下、90℃まで昇温し、少量の水を滴下しなが
ら、同温度で4時間減圧濃縮し、粗リン酸23.6gお
よび抽出溶剤を分離回収した。
【0103】粗リン酸のうち7.0gを反応容器に移液
し、撹拌下、35重量%濃度の過酸化水素水1gを添加
し、窒素加圧下で140℃まで昇温して4時間保持し
た。次いで、室温まで冷却し、脱圧し、濾過を行い、さ
らにこの粗リン酸を85重量%となるまで濃縮した。
【0104】L−Asp8.0gと共に、上述のように
して回収、濃縮したリン酸を4.0g用いたこと以外
は、実施例3と同じ操作を行い、PSI粉体を得た。
【0105】次いで、反応マスを抽出器に充填し、高圧
用ポンプを用いて流量4.4g/分で回収した含水IP
A(IPA88重量%+水12重量%)を連続的に供給
し、185℃、2.5MPaに保って25分間、固定床
型で抽出操作を行った。次いで、室温まで冷却後、PS
I湿体を回収し、乾燥し、PSI5.6gを得た。結果
を以下に示す。
【0106】収量 5.6g 収率 95.4% 重量平均分子量(Mw) 9.7万 残存リン酸濃度 0.13重量% 抽出溶剤比 20 エネルギー比 17 相対比 0.9。
【0107】<比較例5>実施例6で回収した粗リン酸
のうち7gをそのまま用い、重合反応容器にL−Asp
8.0gとともに装入し、実施例1と同様の操作を行
い、PSIを得た。PSIの重量平均分子量は8.5万
であったが、実施例6よりも顕著な着色がみられた。
【0108】<比較例6>実施例6で回収した粗リン酸
のうち7gを反応容器に移液し、撹拌下、35重量%濃
度の過酸化水素水1.5gを添加し、40℃下で4時間
保持した。次いで、室温まで冷却してから濾過を行い、
さらにこの粗リン酸を85重量%となるまで濃縮した。
重合反応容器にL−Asp8.0gと共に回収、濃縮し
たリン酸のうち4.0gを装入し、実施例5と同様の操
作を繰り返し、PSIを得た。PSIの重量平均分子量
は8.8万であったが、実施例6よりも顕著な着色がみ
られた。
【0109】実施例6及び比較例5及び6の結果を下記
表3にまとめて示す。
【0110】
【表3】 [凡例] 1)酸性触媒を再使用して製造したポリコハク酸イミド
の重量平均分子量。 2)酸性触媒を再使用して製造したポリコハク酸イミド
の部分的な着色の有無。 (2)架橋ポリアスパラギン酸の製造 下記実施例7及び比較例8における収率は、ポリコハク
酸イミドをポリアスパラギン酸Na塩、L−リジン1塩
酸塩をL−リジンNa塩、L−リジンメチルエステル2
塩酸塩をL−リジンメチルエステル、として評価した重
量の総和で、生成した吸水性ポリマーの重量を除した値
である。
【0111】<実施例7>撹拌装置を備えたフラスコ
に、DMF38.8gと、実施例4と同様の操作で得た
PSI9.7g(0.1モル・リン酸付着分0.08重
量%)とを装入し、、窒素気流下に、架橋剤混合液7.
7g[L−リジン塩酸塩2.3g(0.012モル)と
L−リジンメチルエステル2塩酸塩0.7g(0.00
3モル)とイオン水3.9gからなる混合溶液を95%
水酸化ナトリウム0.8g(0.019モル)で塩酸を
中和した液]を、25〜30℃で、30分かけて装入し
た。25〜30℃で25分後に、反応マスは架橋物特有
のゲル状になり、撹拌を停止した。同温度で19時間放
置した。
【0112】次いで、イオン水77.6gとIPA3
8.8gからなる混合液をミキサーに装入し、撹拌下に
架橋ゲル状物を排出し、固体を析出させた。その後、2
5〜30℃で15.3%水酸化ナトリウムを装入して、
pH11〜12に保持して、架橋物を加水分解した。加
水分解後、7%塩酸溶液でpH7まで中和し、濾過し
た。濾塊を55%含水IPA溶液で洗浄し、乾燥して、
架橋ポリアスパラギン酸14.9g(収率92%)を得
た。
【0113】ここで得られたポリマーのイオン水に対す
る吸水量(ポリマー1g当たりの吸水量)は、590g
(40分後)であった。
【0114】<比較例7>撹拌装置を備えたフラスコ
に、DMF38.8gと、比較例1と同様の操作で得た
PSI10.03g(0.1モル・リン酸付着分3.3
重量%)とを装入し、窒素気流下に架橋剤混合液7.7
g[L−リジン塩酸塩2.3g(0.012モル)とL
−リジンメチルエステル2塩酸塩0.7g(0.003
モル)とイオン水3.9gからなる混合溶液を95%水
酸化ナトリウム0.8g(0.019モル)で塩酸を中
和した液]を、25〜30℃で30分かけて装入した。
【0115】これを25〜30℃で47時間撹拌した
が、反応マスは架橋物特有のゲル状にはならなかった。
【0116】<比較例8>撹拌装置を備えたフラスコ
に、DMF38.8gと、比較例1と同様の操作で得た
PSI9.98g(0.1モル・リン酸付着分2.8重
量%)とを装入し、窒素気流下に架橋剤混合液7.8g
[L−リジン塩酸塩2.3g(0.012モル)とL−
リジンメチルエステル2塩酸塩0.7g(0.003モ
ル)とイオン水3.9gからなる混合溶液を95%水酸
化ナトリウム0.93g(0.022モル)で塩酸およ
び付着リン酸分を中和した液]を25〜30℃で30分
かけて装入した後、同温度で22時間撹拌した。以下、
実施例7と同様に処理して吸水性ポリマー12.4g
(収率76%)を得た。ここで得られたポリマーのイオ
ン水に対する吸水量(ポリマー1g当たりの吸水量)
は、210g(40分後)であった。
【0117】実施例7及び比較例7及び8の結果を下記
表4にまとめて示す。
【0118】
【表4】 [実施例と比較例の比較・考察] (1) ポリコハク酸イミドの製造試験 比較例1及び2では、常温付近の低温下で酸性触媒の抽
出を行ったため、残存する酸性触媒濃度が高かった。ま
た、抽出液を、抽出溶剤と酸性触媒に分離するために要
するエネルギーも極めて大きくなった。例えば、低温下
で酸性触媒の抽出を試みた比較例2では、高温下で酸性
触媒の抽出を行った実施例4よりもポリマー中の残存リ
ン酸濃度が高くなり、さらに、抽出溶剤と酸性触媒との
分離には、実施例4の約80倍という極めて大きなエネ
ルギーが要求された。比較例3及び4では、過度の高温
下で酸性触媒の抽出を試みたため、ポリマーの分解、変
性が生じた。比較例5では、回収した酸性触媒をそのま
ま使用したため、生成したポリアミノ酸誘導体の一部に
着色が生じた。比較例6では、回収した酸性触媒を低温
下で酸化剤処理したため、生成したポリコハク酸イミド
の一部に着色が生じた。
【0119】対照的に、実施例1〜6では、酸性触媒量
の低減されたポリコハク酸イミドを、効率よく製造する
ことができ、かつ、酸性触媒および抽出溶剤を再使用す
ることができた。
【0120】(2) 架橋ポリアスパラギン酸の製造試
験 比較例7では、含有する酸性触媒量が多いポリコハク酸
イミドから、吸水性ポリマーである架橋ポリアスパラギ
ン酸を得ようと試みたが、吸水性ポリマーは得られなか
った。比較例8では、含有する酸性触媒量が多いポリコ
ハク酸イミドの架橋を試みたが、生成した吸水性ポリマ
ーの性能及び収率は低かった。
【0121】対照的に、実施例7では、酸性触媒量の低
減されたポリコハク酸イミドを用いたことで、低酸性触
媒含有量かつ高吸水性能を有する架橋ポリアスパラギン
酸が、高収率で得られた。
【0122】
【発明の効果】このように、本発明によって、酸性触媒
量が顕著に低減されたポリアミノ酸誘導体を効率良く製
造することができるとともに、ポリアミノ酸誘導体製造
に用いた酸性触媒及び/又は抽出溶剤を低エネルギーで
回収し、リサイクル(再使用)することができる。ま
た、酸性触媒量が顕著に低減されたポリコハク酸イミド
は、吸水性ポリマーとして有用な架橋ポリアスパラギン
酸の製造原料として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 助川 誠 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 入里 義広 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性触媒を含有するポリアミノ酸誘導体
    から、抽出溶剤で該酸性触媒を抽出除去する抽出工程
    (工程A)を含むポリアミノ酸誘導体の製造方法であっ
    て、 前記抽出溶剤が、前記抽出工程において、前記ポリアミ
    ノ酸誘導体を実質的に溶解せず、前記酸性触媒を少なく
    とも一部溶解する機能を有し、かつ、該抽出工程におけ
    る抽出処理温度が、60℃以上、300℃以下であるこ
    とを特徴とする、酸性触媒を1重量%以下含有する又は
    酸性触媒を含まないポリアミノ酸誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 抽出溶剤の臨界温度が300℃未満であ
    り、抽出工程における抽出処理温度が、60℃以上、該
    臨界温度未満である請求項1記載のポリアミノ酸誘導体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 抽出溶剤の臨界温度が300℃未満であ
    り、抽出工程における抽出処理温度が、該臨界温度以
    上、300℃以下であり、該抽出溶剤の非凝縮性ガス及
    び/又は超臨界流体で抽出除去を行う請求項1記載のポ
    リアミノ酸誘導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 抽出工程(工程A)を経た混合物を、抽
    出溶剤/酸性触媒混合溶液からなる抽出液と、固体のポ
    リアミノ酸誘導体とに分離するポリマー回収工程(工程
    B)、及び、該抽出液を、実質的に抽出溶剤を含有する
    系と実質的に酸性触媒を含有する系に分離する酸性触媒
    回収工程(工程C)をさらに含む請求項1〜3の何れか
    一項記載のポリアミノ酸誘導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 酸性触媒回収工程(工程C)で得られた
    実質的に抽出溶剤を含有する系から抽出溶剤を精製し
    て、抽出工程(工程A)に再度使用可能な抽出溶剤を得
    る抽出溶剤再生工程(工程D)、及び/又は、酸性触媒
    回収工程(工程C)で得られた実質的に酸性触媒を含有
    する系から酸性触媒を精製して、ポリアミノ酸誘導体を
    得る為の反応に再度使用可能な酸性触媒を得る酸性触媒
    再生工程(工程E)をさらに含む請求項4記載のポリア
    ミノ酸誘導体の製造方法。
  6. 【請求項6】 抽出溶剤再生工程(工程D)は、実質的
    に抽出溶剤を含有する系に対して、蒸発操作、蒸留操
    作、液相/液相抽出操作、濾過操作、膜分離操作、吸着
    操作、及び、イオン交換操作からなる群から選択された
    少なくとも一種の操作を行い、該系内に存在する不純物
    の含有量を低減して、抽出溶剤を回収することにより、
    抽出溶剤を精製する工程である請求項5記載のポリアミ
    ノ酸誘導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 酸性触媒再生工程(工程E)は、実質的
    に酸性触媒を含有する系に対して、蒸発操作、蒸留操
    作、液相/液相抽出操作、酸化分解操作、加熱操作、濾
    過操作、膜分離操作、吸着操作、及び、イオン交換操作
    からなる群から選択された少なくとも一種の操作を行
    い、該系内に存在する不純物の含有量を低減して、酸性
    触媒を回収することにより、酸性触媒を精製する工程で
    ある請求項5記載のポリアミノ酸誘導体の製造方法。
  8. 【請求項8】 酸性触媒は、リン酸素酸を含有する請求
    項1〜7の何れか一項記載のポリアミノ酸誘導体の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 リン酸素酸は、オルトリン酸、ピロリン
    酸、ポリリン酸、及び、五酸化リンからなる群から選択
    された少なくとも一種を含有する請求項8記載のポリア
    ミノ酸誘導体の製造方法。
  10. 【請求項10】 抽出溶剤は、有機溶剤である請求項1
    〜9の何れか一項記載のポリアミノ酸誘導体の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 抽出溶剤は、有機溶剤と、水及び/又
    は酸性触媒との混合溶剤である請求項1〜9の何れか一
    項記載のポリアミノ酸誘導体の製造方法。
  12. 【請求項12】 抽出溶剤は、炭素原子数1〜9のアル
    コール、炭素原子数3〜9のケトン、炭素原子数3〜9
    のエーテル、及び、炭素原子数3〜9の酢酸エステルか
    らなる群から選択された少なくとも一種の有機溶剤を含
    有する請求項1〜9の何れか一項記載のポリアミノ酸誘
    導体の製造方法。
  13. 【請求項13】 有機溶剤は、メタノール、イソプロピ
    ルアルコール、及び、アセトンからなる群から選択され
    た少なくとも一種を含有する請求項12のポリアミノ酸
    誘導体の製造方法。
  14. 【請求項14】 抽出溶剤は、水、又は水と酸性触媒と
    の混合溶剤である請求項1〜9の何れか一項記載のポリ
    アミノ酸誘導体の製造方法。
  15. 【請求項15】 重量平均分子量3万以上を有するポリ
    アミノ酸誘導体を得る請求項1〜14の何れか一項記載
    のポリアミノ酸誘導体の製造方法。
  16. 【請求項16】 ポリアミノ酸誘導体が、ポリコハク酸
    イミド及び/又はポリアスパラギン酸である請求項1〜
    15の何れか一項記載のポリアミノ酸誘導体の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 ポリアミノ酸誘導体が、架橋ポリコハ
    ク酸イミド及び/又は架橋ポリアスパラギン酸である請
    求項1〜15の何れか一項記載のポリアミノ酸誘導体の
    製造方法。
  18. 【請求項18】 酸性触媒を0.0001〜0.2重量
    %含有するポリアミノ酸誘導体を得る請求項1〜17の
    何れか一項記載のポリアミノ酸誘導体の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項1記載の方法により製造された
    ポリアミノ酸誘導体。
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