JPH11240098A - 透明積層体 - Google Patents

透明積層体

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JPH11240098A
JPH11240098A JP10044028A JP4402898A JPH11240098A JP H11240098 A JPH11240098 A JP H11240098A JP 10044028 A JP10044028 A JP 10044028A JP 4402898 A JP4402898 A JP 4402898A JP H11240098 A JPH11240098 A JP H11240098A
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JP
Japan
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layer
transparent
coating composition
meth
cured product
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Application number
JP10044028A
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English (en)
Inventor
Satoshi Kondo
聡 近藤
Toshihiko Higuchi
俊彦 樋口
Takashi Shibuya
崇 澁谷
Hirotsugu Yamamoto
博嗣 山本
Yukio Sanegiri
幸男 実桐
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高度な耐摩耗性を発現する硬化物層を表面に有
する透明樹脂板を用いた軽量の積層体を提供する。 【解決手段】紫外線硬化性被覆組成物から形成された硬
化物からなる内層とその内層に接したポリシラザンに由
来するシリカからなる最外層の2層で構成された透明硬
化物層2が形成された、透明樹脂板1の端面1aが平滑
化処理された透明積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明樹脂板にハー
ドコート層が設けられた透明積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物や自動車の窓には、従来からガラ
ス板(無機ガラスをいう、以下同様)が用いられてい
た。一方で、不当な外力が加えられた場合にはガラス板
は破損のおそれがある。そこで、ガラス板の代替物とし
て透明樹脂板を用いることが提案されている。とりわけ
芳香族ポリカーボネート樹脂(以下PCという)は耐破
砕性、透明性、軽量性、易加工性などに優れ、その特徴
を生かして、外壁、アーケード等の大面積の透明部材と
して各方面で使用されている。
【0003】ところが、こうした透明樹脂板をガラス板
の代替として使用するには表面の硬度が充分ではなく、
傷つきやすく磨耗しやすいことから透明性が損なわれや
すいという欠点を有している。
【0004】従来、PCの耐擦傷性や耐磨耗性を改良す
るために多くの試みがなされてきた。最も一般的な方法
の一つに分子中にアクリロイル基等の重合性官能基を2
個以上有する重合硬化性化合物を基材に塗布し、熱また
は紫外線等の活性エネルギー線により硬化させ、耐擦傷
性に優れた透明硬化物層を有する成形品を得る方法があ
る。この方法は、被覆用の組成物も比較的安定で、特に
紫外線硬化が可能であるため生産性に優れ、成形品に曲
げ加工を施した場合でも硬化被膜にクラックが発生する
ことがなく表面の耐擦傷性や耐磨耗性を改善できる。し
かし、硬化被膜が有機物のみからなることから表面の耐
擦傷性の発現レベルには限界がある。
【0005】一方、より高い表面硬度を基材に付与させ
るための方法として、金属アルコキシド化合物を基材に
塗布し熱により硬化させる方法がある。金属アルコキシ
ドとしてはケイ素系の化合物が広く用いられており、耐
磨耗性にきわめて優れた硬化被膜を形成できる。しか
し、硬化被膜と基材との密着性に乏しいため、硬化被膜
の剥離やクラックを生じやすい等の欠点があった。
【0006】これらの技術の欠点を改良する方法として
特開昭61−181809に示されるようにアクリロイ
ル基を有する化合物とコロイド状シリカの混合物を基材
に塗布し、紫外線等の活性エネルギー線により硬化さ
せ、耐擦傷性に優れた透明硬化物層を形成する方法があ
る。コロイド状シリカを重合硬化性化合物と併用するこ
とにより、かなり高い表面硬度と生産性を両立させう
る。しかし、まだその表面耐擦傷性の発現レベルにおい
て先の金属アルコキシド化合物を基材に塗布し熱により
硬化させる方法には劣っていた。
【0007】また、前記ケイ素系金属アルコキシド化合
物の代わりにポリシラザンを用いる、すなわち、ポリシ
ラザンを基材に塗布し熱等により硬化させる方法も知ら
れている(特開平8−143689)。ポリシラザンは
酸素の存在下で縮合反応や酸化反応が起こり、窒素原子
を含むこともあるシリカ(二酸化ケイ素)に変化すると
考えられており、最終的には実質的に窒素原子を含まな
いシリカの被膜が形成される。ポリシラザンに由来する
シリカの被膜は高い表面硬度を有する。しかし、この被
膜は金属アルコキシド化合物の場合と同様に被膜と基材
との密着性に乏しいため、被膜の剥離やクラックを生じ
やすい等の欠点がある。
【0008】さらに、特開平9−39161にはプラス
チックフィルム上に保護被膜を形成し、その表面にポリ
シラザン溶液を塗工してシリカの表面層を形成する方法
が記載されている。保護被膜はプラスチックフィルムが
ポリシラザン溶液の溶媒に侵されることを防ぐために設
けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ポリシラザン等から形
成されるシリカの層の表面は耐磨耗性を有することが知
られている。しかし、単にポリシラザン等から形成され
るシリカの層を設けただけでは、所望の表面特性を得ら
れないことがあった。これに対し本発明者は、このシリ
カ層の表面の耐磨耗性や耐擦傷性などの表面特性はその
下層の材質により変化することを見いだした。この原因
はシリカ層とその下層との密着性やその下層のシリカ層
に接する表面の耐磨耗性に影響されることにあると考え
られる。
【0010】一方で、所望の表面特性が得られた場合に
も、長期耐久性を評価した場合、ハードコート層を有す
る透明樹脂板の端面からクラックが発生する現象が見ら
れた。これに対し本発明者は、透明樹脂板の端面から侵
入する水分がハードコート層を劣化させうることを見い
だした。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者はより高い表面
特性のシリカ層表面を与える下層の材質について検討し
た結果、特定の材質と表面特性を有する下層の材料を見
いだした。下層の材料はシリカ層と高い密着性を有し、
透明樹脂板とも充分な密着性を有するものである。すな
わち、最外層は無機物の被膜であるにもかかわらず、内
層に対して、および結果的に透明樹脂板に対して、充分
密着し、ガラスと同等ないしそれに近い表面耐磨耗性を
有した透明硬化物層が形成された透明積層体を見いだし
た。さらにこの場合に、端面から侵入する水分を防止す
ることにより、長期的な耐久性を発現する透明積層体を
見いだした。本発明はこの透明積層体にかかわる下記発
明である。
【0012】表裏2面と外周の端面とを有する透明樹脂
板と、該透明樹脂板の表裏の少なくとも一方の面に設け
られた少なくとも2層の透明硬化物層とを備えた透明積
層体であって、少なくとも2層の透明硬化物層のうち最
外層に接する内層が活性エネルギー線硬化性の重合性官
能基を2個以上有する多官能性化合物(a)を含む活性
エネルギー線硬化性被覆組成物(A)の硬化物である耐
摩耗性の層で、最外層が実質的に有機基を含まないシリ
カを形成しうる硬化性被覆組成物(B)の硬化物である
シリカ層であり、端面に平滑化処理が施されてなること
を特徴とする透明積層体。
【0013】表裏2面と外周の端面とを有する透明樹脂
板と、該透明樹脂板の表裏の少なくとも一方の面に設け
られた少なくとも2層の透明硬化物層とを備えた透明積
層体であって、少なくとも2層の透明硬化物層のうち最
外層に接する内層が活性エネルギー線硬化性の重合性官
能基を2個以上有する多官能性化合物(a)を含む活性
エネルギー線硬化性被覆組成物(A)の硬化物である耐
摩耗性の層で、最外層が実質的に有機基を含まないシリ
カを形成しうる硬化性被覆組成物(B)の硬化物である
シリカ層であり、端面に防水性被覆層が形成されてなる
ことを特徴とする透明積層体。
【0014】本発明における透明硬化物層は少なくとも
2層の構成からなり、シリカの被膜である最外層が相対
的に柔らかい透明合成樹脂基材に直接積層されているの
ではなく、耐摩耗性の高い硬い透明硬化物内層上に積層
されている。このため透明被覆成型品に対して傷を付け
ようとして加えられた外力による最外層の変位が小さく
なることで、通常の無機質被膜が与える表面特性以上の
表面特性が得られると考えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明をさら
に詳細に説明する。図1および図2は、本発明の透明樹
脂板の一例を示す部分的断面図であり、10は透明積層
体、1は透明樹脂板、2は少なくとも2層構造の透明硬
化物層、3は防水性被覆層である。
【0016】図1における透明積層体10は、透明樹脂
板1の表裏両面(1b、1c)に透明硬化物層2が設け
られ、透明樹脂板1の端面1aに平滑化処理が施されて
いる。端面1aは、適宜の研磨手段により平滑化されて
いる。この研磨手段としては、かんな、やすり、NCル
ーター等が例示できる。これらの研磨手段により、端面
1aの凹凸深さが好ましくは0.05〜0.2mmに平
滑化される。
【0017】ところで、種々の用途に応じた透明樹脂板
を得るためにはいくつかの手法があり、大面積の板状に
成形されたものを所定の形状に切断加工する、所定の形
状の金型内に溶融した透明樹脂材料を注入し固化させ
る、等がある。このうち、切断加工により所定形状の透
明樹脂板を得る場合には、上記図1で示した端面の平滑
化は特に効果的である。
【0018】すなわち、切断加工後の透明樹脂板の端面
には、特に大きな凹凸が形成されている。そのため、こ
の凹部に水分の集中を受けやすくなり透明積層体の劣化
が顕著に現れる。そこで、こうした大きな凹凸を平滑化
することによって、水分の集中を防止でき長期的耐久性
を得ることができる。なお、金型を用いた場合でも、金
型の表面粗さがそのまま端面の粗さに影響を与えるの
で、端面の平滑化は有効である。
【0019】一方で、特に透明樹脂板としてPC板を用
いた場合には、PCが水分透過しやすいものであること
から、長期耐久性を低下させることがある。すなわち、
PC板自身に水分が浸透していき、透明被覆層を劣化さ
せることが考えられる。透明積層体の最外層はシリカ層
であるため、水分の侵入を防止できる。しかし、端面に
シリカ層がない場合には、透明樹脂板内への水分の侵入
を防止しにくい。
【0020】そこで、図2に示すように透明樹脂板の端
面に防水性被覆層を設けることが好ましい。図2におけ
る透明積層体10は、透明樹脂板1の表裏両面(1b、
1c)に透明硬化物層2が設けられ、透明樹脂板1の端
面1aに防水性被覆層3が設けられたものである。
【0021】防水性被覆層3は樹脂材料から形成するこ
とが好ましく、用いる材料としてエポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデ
ン樹脂、スチレン系熱可塑性樹脂、オレフィン系熱可塑
性樹脂、変性シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリサ
ルファイド系樹脂、ブチルゴム等の各種防水性(低透湿
性)材料を例示できる。
【0022】これらの樹脂材料を用いて防水性被覆層3
を透明樹脂板1の端面1aに形成する方法としては、例
えば次のものが挙げられる。必要に応じて樹脂材料を溶
媒に溶解させた塗工溶液を準備し、端面1aにはけ等を
用いて塗布する。必要に応じて樹脂材料を溶媒に溶解さ
せた溶液を準備し、端面1aを溶液をはった浴に浸す。
これらの後工程に、必要に応じて風乾、さらに必要に応
じて加熱乾燥する。これにより、透明樹脂板1の端面1
aに防水性被覆層3を形成できる。こうして設けられる
防水性被覆層は、その厚みが0.01〜0.5mm程度
になるように形成されることが好ましい。
【0023】なお、図1に示した端面1aに平滑化処理
を施す工程と表裏面(1b、1c)に透明硬化物層2を
形成する工程、図2に示した端面1aに防水性被覆層3
を形成する工程と表裏面(1b、1c)に透明硬化物層
2を形成する工程、のそれぞれは、適宜の順序で行いう
る。そのうち、透明硬化物層2を先に形成することは、
透明樹脂板自身の成形工程に鑑みて好ましい。これは、
大面積の板から所定形状にする場合には、所定形状に透
明樹脂板を切断する前に透明硬化物層を形成しておくこ
とが効率的であり、金型を用いて所定形状の透明樹脂板
を成形する場合には、透明樹脂板の成形時に透明硬化物
層を有するフィルムを金型内に入れ透明樹脂板と一体化
が可能だからである。また、金型内に防水性被覆層の材
料をも入れておき、透明樹脂板の成形時に透明硬化物層
および防水性被覆層をそれぞれ形成することもできる。
【0024】本発明における透明樹脂板の材料としては
各種透明合成樹脂を使用しうる。たとえば、PC、ポリ
メチルメタクリレート樹脂(アクリル樹脂)、ポリスチ
レン樹脂などの透明合成樹脂材料が使用可能である。特
にPC板が好ましい。透明樹脂板の厚さは1〜100m
mであることが窓材などの用途に好ましい。この両面ま
たは片面に少なくとも2層の透明硬化物層が形成され
る。
【0025】本発明における透明硬化物層は、最外層に
直接接する透明硬化物層と最外層を形成する透明硬化物
層との少なくとも2層構成からなる。透明樹脂板(以
下、単に基材ともいう)と透明硬化物層との間には他の
合成樹脂からなる第3の層が存在していてもよい。たと
えば、熱可塑性アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂の層や
接着剤層が存在していてもよい。通常は透明硬化物層と
最外層の2層からなる。なお、透明硬化物層は種類の異
なる2層以上の透明硬化物からなっていてもよい。
【0026】透明硬化物層のうち最外層に接する内層で
ある、活性エネルギー線硬化性被覆組成物(A)の硬化
物の層は最外層と高い密着性を有する。また、基材とも
高い密着性を有する。この内層と基材との間に第3の層
が存在する場合、その層は両者に対し充分な密着性を有
することが好ましい。この内層はさらに充分な耐摩耗性
を有する。この内層はJIS−R3212における耐摩
耗性試験による試験回数100回後の曇価(摩耗試験後
の曇価と摩耗試験前の曇価との差)が15%以下の耐摩
耗性を有することが好ましい。耐摩耗性試験は、基材
(必ずしも基材であることを要しない)に被覆組成物
(A)の硬化物の層を形成した試験片を用いて行いう
る。本発明における透明被覆成形品自体はこの硬化物の
層の上に最外層が形成されているので、この透明被覆成
形品自体を内層の耐摩耗性試験に供することは困難であ
る。内層のより好ましい耐摩耗性は試験回数100回後
の曇価が10%以下、特に5%以下、のものである。
【0027】密着性と耐摩耗性の高い内層を得るため
に、活性エネルギー線硬化性の被覆組成物(A)として
多官能性化合物(a)を用いる。また、同様に高い耐摩
耗性の硬化物を形成するために、被覆組成物(A)に平
均粒径200nm以下のコロイド状シリカを配合してコ
ロイド状シリカを含む硬化物を形成することも好まし
い。なお、多官能性化合物(a)を活性エネルギー線
(特に紫外線)で効率よく硬化させるために、通常被覆
組成物(A)は光重合開始剤を含む。
【0028】被覆組成物(A)における活性エネルギー
線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多官能性化合
物(a)は、1種類の多官能性化合物であってもよく、
また複数の種類の化合物を用いてもよい。複数の場合、
同一範疇の異なる化合物であってもよく、範疇の異なる
化合物であってもよい。たとえば、それぞれがアクリル
ウレタンである異なる化合物の組み合わせであってもよ
く、一方がアクリルウレタン、他方がウレタン結合を有
しないアクリル酸エステル化合物である組み合わせであ
ってもよい。
【0029】活性エネルギー線硬化性の重合性官能基を
2個以上有する多官能性化合物における活性エネルギー
線硬化性の重合性官能基としては、(メタ)アクリロイ
ル基、ビニル基、アリル基などのα,β−不飽和基やそ
れを有する基であり、(メタ)アクリロイル基であるこ
とが好ましい。すなわち、多官能性化合物としては、
(メタ)アクリロイル基から選ばれる1種以上の重合性
官能基を2個以上有する化合物が好ましい。さらにその
うちでも紫外線によってより重合しやすいアクリロイル
基が好ましい。なお、この多官能性化合物は1分子中に
2種以上の重合性官能基を合計2個以上有する化合物で
あってもよく、また同じ重合性官能基を合計2個以上有
する化合物であってもよい。多官能性化合物1分子中に
おける重合性官能基の数は2個以上であり、その上限は
特に限定されない。通常は2〜50個が適当であり、特
に3〜30個が好ましい。
【0030】本明細書では、アクリロイル基およびメタ
クリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基とい
う。(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリレート等も表現も同様とする。な
お、上記のようにこれらの基や化合物のうちでより好ま
しいものはアクリロイル基を有するもの、たとえばアク
リロイルオキシ基、アクリル酸、アクリレート等であ
る。
【0031】多官能性化合物(a)として好ましい化合
物は(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物で
ある。そのうちでも(メタ)アクリロイルオキシ基を2
個以上有する化合物、すなわち多価アルコールなどの2
個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸と
のポリエステル、が好ましい。
【0032】被覆組成物(A)において、多官能性化合
物(a)として2種以上の多官能性化合物が含まれてい
てもよい。また、多官能性化合物とともに、活性エネル
ギー線によって重合しうる重合性官能基を1個有する単
官能性化合物が含まれていてもよい。この単官能性化合
物としては(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好
ましく、特にアクリロイル基を有する化合物が好まし
い。
【0033】被覆組成物(A)においてこの単官能性化
合物を使用する場合、多官能性化合物(a)とこの単官
能性化合物との合計に対するこの単官能性化合物の割合
は、特に限定されないが0〜60重量%が適当である。
単官能性化合物の割合が多すぎると硬化塗膜の硬さが低
下し耐磨耗性が不充分となるおそれがある。多官能性化
合物(a)とこの単官能性化合物との合計に対する単官
能性化合物のより好ましい割合は組成物0〜30重量%
である。
【0034】多官能性化合物(a)としては、重合性官
能基以外に種々の官能基や結合を有する化合物であって
もよい。たとえば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン
原子、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、チ
オエーテル結合、アミド結合、ジオルガノシロキサン結
合などを有していてもよい。特に、ウレタン結合を有す
る(メタ)アクリロイル基含有化合物(いわゆるアクリ
ルウレタン)とウレタン結合を有しない(メタ)アクリ
ル酸エステル化合物が好ましい。以下これら2種の多官
能性化合物について説明する。
【0035】ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイ
ル基含有化合物(以下アクリルウレタンという)は、た
とえば、(1)(メタ)アクリロイル基と水酸基を有す
る化合物(X1)と2個以上のイソシアネート基を有す
る化合物(以下ポリイソシアネートという)との反応生
成物、(2)化合物(X1)と2個以上の水酸基を有す
る化合物(X2)とポリイソシアネートとの反応生成
物、(3)(メタ)アクリロイル基とイソシアネートを
有する化合物(X3)と化合物(X2)との反応生成
物、などがある。これらの反応生成物においては、イソ
シアネート基が存在しないことが好ましい。しかし、水
酸基は存在してもよい。したがって、これらの反応生成
物の製造においては、全反応原料の水酸基の合計モル数
はイソシアネート基の合計モル数と等しいかそれより多
いことが好ましい。
【0036】(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する
化合物(X1)としては、(メタ)アクリロイル基と水
酸基をそれぞれ1個ずつ有する化合物であってもよく、
(メタ)アクリロイル基2個以上と水酸基1個を有する
化合物、(メタ)アクリロイル基1個と水酸基2個以上
を有する化合物、(メタ)アクリロイル基と水酸基をそ
れぞれ2個以上有する化合物であってもよい。具体例と
して、上記順に、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレ
ートなどがある。これらは2個以上の水酸基を有する化
合物と(メタ)アクリル酸とのモノエステルまたは1個
以上の水酸基を残したポリエステルである。
【0037】さらに化合物(X1)としては、エポキシ
基を1個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸との開
環反応生成物であってもよい。エポキシ基と(メタ)ア
クリル酸との反応によりエポキシ基が開環してエステル
結合が生じるとともに水酸基が生じ、(メタ)アクリロ
イル基と水酸基を有する化合物となる。またエポキシ基
を1個以上有する化合物のエポキシ基を開環させて水酸
基含有化合物としそれを(メタ)アクリル酸エステルに
変換することもできる。
【0038】エポキシ基を1個以上有する化合物として
は、いわゆるエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシ
ドが好ましい。ポリエポキシドとしては、たとえば多価
フェノール類−ポリグリシジルエーテル(たとえばビス
フェノールA−ジグリシジルエーテル)などのグリシジ
ル基を2個以上有する化合物や脂環族エポキシ化合物が
好ましい。さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリ
レートと水酸基やカルボキシル基を有する化合物との反
応生成物も化合物(X1)として使用できる。エポキシ
基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえばグ
リシジル(メタ)アクリレートがある。
【0039】ポリイソシアネートとしては、通常の単量
体状のポリイソシアネートでもよく、ポリイソシアネー
トの多量体や変性体またはイソシアネート基含有ウレタ
ンプレポリマーなどのプレポリマー状の化合物であって
もよい。多量体としては3量体(イソシアヌレート変性
体)、2量体、カルボジイミド変性体などがあり、変性
体としてはトリメチロールプロパン等の多価アルコール
で変性して得られるウレタン変性体、ビュレット変性
体、アロハネート変性体、ウレア変性体などがある。プ
レポリマー状のものの例としては、後述ポリエーテルポ
リオールやポリエステルポリオールなどのポリオールと
ポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネ
ート基含有ウレタンプレポリマーなどがある。これらポ
リイソシアネートは2種以上併用して使用できる。
【0040】具体的な単量体状のポリイソシアネートと
しては、たとえば、以下のポリイソシアネートがある
([ ]内は略称)。2,6−トリレンジイソシアネー
ト、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス
(4−フェニルイソシアネート)[MDI]、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート[XDI]、水添XD
I、水添MDI。
【0041】ポリイソシアネートとしては特に無黄変性
ポリイソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネ
ート基を有しないポリイソシアネート)が好ましい。具
体的にはヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族
ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど
の脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネ
ートなどの芳香族ポリイソシアネートがある。上記のよ
うにこれらポリイソシアネートの多量体や変性体等も好
ましい。
【0042】2個以上の水酸基を有する化合物(X2)
としては、多価アルコールや多価アルコールに比較して
高分子量のポリオールなどがある。多価アルコールとし
ては、2〜20個の水酸基を有する多価アルコールが好
ましく、特に2〜15個の水酸基を有する多価アルコー
ルが好ましい。多価アルコールは脂肪族の多価アルコー
ルであってもよく、脂環族多価アルコールや芳香核を有
する多価アルコールであってもよい。
【0043】芳香核を有する多価アルコールとしてはた
とえば多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物や
多価フェノール類−ポリグリシジルエーテルなどの芳香
核を有するポリエポキシドの開環物などがある。高分子
量のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリ
エステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオー
ル、ポリカーボネートポリオールなどがある。また、ポ
リオールとして水酸基含有ビニルポリマーをも使用でき
る。これら多価アルコールやポリオールは2種以上併用
できる。
【0044】多価アルコールの具体例としてはたとえば
以下の多価アルコールがある。エチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキ
サン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエ
リスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエ
リスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシ
アヌレート、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシ
アヌレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル
の開環物、ビニルシクロヘキセンジオキシドの開環物。
【0045】ポリオールの具体例としてはたとえば以下
のポリオールがある。ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオ
キシド付加物、ポリテトラメチレングリコール等のポリ
エーテルポリオール。ポリε−カプロラクトンポリオー
ル等の環状エステルを開環重合して得られるポリエステ
ルポリオール。アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、マ
レイン酸、フマル酸、アゼライン酸、グルタル酸等の多
塩基酸と上記多価アルコールとの反応で得られるポリエ
ステルポリオール。1,6−ヘキサンジオールとホスゲ
ンの反応で得られるポリカーボネートジオール。
【0046】水酸基含有ビニルポリマーとしてはたとえ
ばアリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキシア
ルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレートなどの水酸基含有単量体とオレフィンなどの
水酸基不含単量体との共重合体がある。(メタ)アクリ
ロイル基とイソシアネートを有する化合物(X3)とし
ては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレー
ト、メタクリロイルイソシアネート、3−または4−イ
ソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネー
トなどがある。
【0047】次に、ウレタン結合を有しない(メタ)ア
クリル酸エステル化合物について説明する。多官能性化
合物(a)として好ましいウレタン結合を有しない(メ
タ)アクリル酸エステル化合物としては、前記化合物
(X2)と同様の2個以上の水酸基を有する化合物と
(メタ)アクリル酸とのポリエステルが好ましい。2個
以上の水酸基を有する化合物としては前記多価アルコー
ルやポリオールが好ましい。さらに、2個以上のエポキ
シ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成
物である(メタ)アクリル酸エステル化合物も好まし
い。
【0048】2個以上のエポキシ基を有する化合物とし
てはエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドがあ
る。たとえば、グリシジルエーテル型ポリエポキシド、
脂環型ポリエポキシドなどのエポキシ樹脂として市販さ
れているものを使用できる。
【0049】ウレタン結合を含まない多官能性化合物の
具体例としてはたとえば以下のような化合物がある。以
下の脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリレート。
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ
(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレー
ト。
【0050】以下の芳香核またはトリアジン環を有する
多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレー
ト。トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)
イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレー
ト、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチル)ビスフェノールA、ビス(2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールS、ビ
ス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェ
ノールF、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジメタクリ
レート。
【0051】以下の水酸基含有化合物−アルキレンオキ
シド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物
−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポリ
オキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレート。
ただし、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオ
キシドを表す。トリメチロールプロパン−EO付加物の
トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−
PO付加物のトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトール−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)ア
クリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシア
ヌレート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリ
レート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ
ート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレー
ト。
【0052】多官能性化合物(a)としては、被覆組成
物(A)の硬化物が充分な耐摩耗性を発揮しうるため
に、少なくともその一部(好ましくは30重量%以上)
が3官能以上の多官能性化合物からなることが好まし
い。好ましくはその50重量%以上が3官能以上の多官
能性化合物からなる。また、具体的な好ましい多官能性
化合物(a)は下記のアクリルウレタンとウレタン結合
を有しない多官能性化合物である。
【0053】アクリルウレタンの場合、ペンタエリスリ
トールやその多量体であるポリペンタエリスリトールと
ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレート)の反応生成物であるアクリルウレタン、また
はペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールの
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートとポリイソシアネ
ートとの反応生成物であるアクリルウレタンであって3
官能以上(好ましくは4〜20官能)の化合物が好まし
い。
【0054】ウレタン結合を有しない多官能性化合物と
しては、ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレ
ートとイソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートが
好ましい。ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリ
レートとは、ペンタエリスリトールやポリペンタエリス
リトールと(メタ)アクリル酸とのポリエステル(好ま
しくは4〜20官能のもの)をいう。イソシアヌレート
系ポリ(メタ)アクリレートとは、トリス(ヒドロキシ
アルキル)イソシアヌレートまたはその1モルに1〜6
モルのカプロラクトンやアルキレンオキシドを付加して
得られる付加物と(メタ)アクリル酸とのポリエステル
(2〜3官能のもの)をいう。これら好ましい多官能性
化合物と他の2官能以上の多官能性化合物(特に多価ア
ルコールのポリ(メタ)アクリレート)とを併用するこ
とも好ましい。これら好ましい多官能性化合物は全多官
能性化合物(a)に対して30重量%以上、特に50重
量%以上が好ましい。
【0055】多官能性化合物(a)とともに使用できる
単官能性化合物としては、たとえば分子中に1個の(メ
タ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。そのよ
うな単官能性化合物は、水酸基、エポキシ基などの官能
基を有していてもよい。好ましい単官能性化合物は(メ
タ)アクリル酸エステル、すなわち(メタ)アクリレー
トである。
【0056】具体的な単官能性化合物としてはたとえば
以下の化合物がある。メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート。
【0057】最外層に直接接する透明硬化物層の耐摩耗
性や硬度を高める意味で組成物(A)は有効量の平均粒
径200nm以下のコロイド状シリカを含むことができ
る。コロイド状シリカの平均粒径は1〜100nmであ
ることが好ましく、特に1〜50nmが好ましい。コロ
イド状シリカはまた下記表面修飾されたコロイド状シリ
カであることが、コロイド状シリカの分散安定性および
コロイド状シリカと多官能性化合物との密着性向上の面
で好ましい。
【0058】これらコロイド状シリカを使用する場合、
その使用する効果を充分発揮するためにはコロイド状シ
リカの量は、透明硬化物層の硬化性成分(多官能性化合
物と単多官能性化合物の合計)100重量部に対して5
重量部以上が適当であり、10重量部以上が好ましい。
この量が少ない場合には充分な耐摩耗性が得られ難い。
また多すぎると被膜に曇り(ヘーズ)が発生しやすくな
り、また得られた透明被覆成形品を熱曲げ加工などの2
次加工を行う場合にはクラックが生じやすくなるなどの
問題を生じやすくなる。したがって、透明硬化物層にお
けるコロイド状シリカ量の上限は硬化性成分100重量
部に対して300重量部であることが好ましい。より好
ましいコロイド状シリカの量は硬化性成分100重量部
に対して50〜250重量部である。
【0059】コロイド状シリカとしては表面未修飾のコ
ロイド状シリカを使用できるが、好ましくは表面修飾さ
れたコロイド状シリカを使用する。表面修飾されたコロ
イド状シリカの使用は組成物中のコロイド状シリカの分
散安定性を向上させる。修飾によってコロイド状シリカ
微粒子の平均粒径は実質的に変化しないか多少大きくな
ると考えられるが、得られる修飾コロイド状シリカの平
均粒径は上記範囲のものであると考えられる。以下表面
修飾されたコロイド状シリカ(以下単に修飾コロイド状
シリカという)について説明する。
【0060】コロイド状シリカの分散媒としては種々の
分散媒が知られており、原料コロイド状シリカの分散媒
は特に限定されない。必要により分散媒を変えて修飾を
行うことができ、また修飾後に分散媒を変えることもで
きる。修飾コロイド状シリカの分散媒はそのまま基材に
直接接する透明硬化物層の硬化組成物の媒体(溶媒)と
することが好ましい。基材に直接接する透明硬化物層の
硬化組成物の媒体としては、乾燥性などの面から比較的
低沸点の溶媒、すなわち通常の塗料用溶媒、であること
が好ましい。製造の容易さなどの理由により、原料コロ
イド状シリカの分散媒、修飾コロイド状シリカの分散媒
および透明硬化物層の硬化組成物の媒体はすべて同一の
媒体(溶媒)であることが好ましい。このような媒体と
しては、塗料用溶媒として広く使用されているような有
機媒体が好ましい。
【0061】分散媒としては、たとえば以下のような分
散媒を使用できる。水。メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノー
ル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エ
チレングリコールのような低級アルコール類。メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセ
ロソルブ類。ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレ
ン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンな
ど。
【0062】前記のように特に分散媒としては有機分散
媒が好ましく、上記有機分散媒のうちではさらにアルコ
ール類およびセロソルブ類が好ましい。なお、コロイド
状シリカとそれを分散させている分散媒との一体物をコ
ロイド状シリカ分散液という。
【0063】コロイド状シリカの修飾は加水分解性ケイ
素基または水酸基が結合したケイ素基を有する化合物
(以下これらを修飾剤という)を用いて行うことが好ま
しい。加水分解性ケイ素基の加水分解によってシラノー
ル基が生じ、これらシラノール基がコロイド状シリカ表
面に存在すると考えられるシラノール基と反応して結合
し、修飾剤がコロイド状シリカ表面に結合すると考えら
れる。修飾剤は2種以上を併用してもよい。また後述の
ように互いに反応性の反応性官能基を有する修飾剤2種
をあらかじめ反応させて得られる反応生成物を修飾剤と
して用いることもできる。
【0064】修飾剤は2個以上の加水分解性ケイ素基や
シラノール基を有していてもよく、また加水分解性ケイ
素基を有する化合物の部分加水分解縮合物やシラノール
基を有する化合物の部分縮合物であってもよい。好まし
くは1個の加水分解性ケイ素基を有する化合物を修飾剤
として使用する(修飾処理過程で部分加水分解縮合物が
生じてもよい)。また、修飾剤はケイ素原子に結合した
有機基を有し、その有機基の1個以上は反応性官能基を
有する有機基であることが好ましい。
【0065】好ましい反応性官能基はアミノ基、メルカ
プト基、エポキシ基および(メタ)アクリロイルオキシ
基である。反応性官能基が結合する有機基としては、反
応性官能基を除いて炭素数8以下のアルキレン基やフェ
ニレン基が好ましく、特に炭素数2〜4のアルキレン基
(とりわけポリメチレン基)が好ましい。具体的な修飾
剤としては反応性官能基の種類によって分けると、たと
えば以下のような化合物がある。
【0066】(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン
類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルメチルジメトキシシランなど。
【0067】アミノ基含有シラン類;γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−
ビニルベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメ
トキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリ
メトキシシランなど。
【0068】メルカプト基含有シラン類;γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエ
トキシシランなど。エポキシ基含有シラン類;γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリエトキシシランなど。イソシアネート基含
有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシ
シラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラ
ンなど。
【0069】互いに反応性の反応性官能基を有する修飾
剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成物とし
ては、たとえば、アミノ基含有シラン類とエポキシ基含
有シラン類との反応生成物、アミノ基含有シラン類と
(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類との反応生
成物、エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラ
ン類との反応生成物、メルカプト基含有シラン類同士2
分子の反応生成物などがある。
【0070】コロイド状シリカの修飾は通常、加水分解
性基を有する修飾剤を触媒存在下にコロイド状シリカに
接触させて加水分解することにより行う。たとえば、コ
ロイド状シリカ分散液に修飾剤と触媒を添加し、コロイ
ド状シリカ分散液中で修飾剤を加水分解することによっ
て修飾できる。触媒としては、酸やアルカリがある。好
ましくは無機酸および有機酸から選ばれる酸を使用す
る。無機酸としては、たとえば塩酸、フッ化水素酸、臭
化水素酸等のハロゲン化水素酸や硫酸、硝酸、リン酸等
を使用できる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ
酸、アクリル酸、メタクリル酸等を使用できる。反応温
度としては室温から用いる溶媒の沸点までの間が好まし
く、反応時間は温度にもよるが0.5〜24時間の範囲
が好ましい。
【0071】コロイド状シリカの修飾において、修飾剤
の使用量は特に限定されないが、コロイド状シリカ(分
散液中の固形分)100重量部に対し、修飾剤1〜10
0重量部が適当である。修飾剤の量が1重量部未満では
表面修飾の効果が得られにくい。また、100重量部超
では未反応の修飾剤やコロイド状シリカ表面に担持され
ていない修飾剤の加水分解物〜縮合物が多量に生じ、透
明被覆層の硬化組成物の硬化の際それらが連鎖移動剤と
して働いたり、硬化後の被膜の可塑剤として働き、硬化
被膜の硬度を低下させるおそれが生じる。
【0072】前記のように多官能性化合物(a)を硬化
させるために通常被覆組成物(A)は光重合開始剤を含
む。光重合開始剤としては、公知〜周知のものを使用で
きる。特に入手容易な市販のものが好ましい。透明硬化
物層において複数の光重合開始剤を使用してもよい。光
重合開始剤としては、アリールケトン系光重合開始剤
(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ア
ルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイ
ン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケター
ル類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエ
ステル類など)、含イオウ系光重合開始剤(たとえば、
スルフィド類、チオキサントン類など)、アシルホスフ
ィンオキシド系光重合開始剤、その他の光重合開始剤が
ある。特に、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤
の使用が好ましい。また、光重合開始剤はアミン類など
の光増感剤と組み合わせて使用することもできる。具体
的な光重合開始剤としては、たとえば以下のような化合
物がある。
【0073】4−フェノキシジクロロアセトフェノン、
4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブ
チル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフ
ェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1
−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1
−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル
(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−
{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロ
パン−1−オン。
【0074】ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソ
プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベ
ンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル
安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベ
ンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化
ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベ
ンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−
ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,1
0−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベン
ゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−
ジエチルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステ
ル、メチルフェニルグリオキシレート。
【0075】4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニル
スルフィド、チオキサントン、2−クロルチオキサント
ン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオ
キサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジ
クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサント
ン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン。2,4,
6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシ
ド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6
−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−
トリメチルペンチルホスフィンオキシド。
【0076】被覆組成物(A)における光重合開始剤の
量は硬化性成分(多官能性化合物(a)と単官能性化合
物の合計)100重量部に対して0. 01〜20重量
部、特に0. 1〜10重量部が好ましい。
【0077】被覆組成物(A)は上記基本的成分以外に
溶剤や種々の配合剤を含むことができる。溶剤は通常必
須の成分であり、多官能性化合物が特に低粘度の液体で
ない限り溶剤が使用される。溶剤としては、多官能性化
合物(a)を硬化成分とする被覆用組成物に通常使用さ
れる溶剤を使用できる。また原料コロイド状シリカの分
散媒をそのまま溶剤としても使用できる。さらに基材の
種類により適切な溶剤を選択して用いることが好まし
い。
【0078】溶剤の量は必要とする組成物の粘度、目的
とする硬化被膜の厚さ、乾燥温度条件などにより適宜変
更できる。通常は組成物中の硬化性成分に対して100
倍以下、好ましくは0.1〜50倍用いる。溶剤として
はたとえば前記コロイド状シリカの修飾するための加水
分解に用いる溶媒として挙げた、低級アルコール類、ケ
トン類、エーテル類、セロソルブ類などの溶剤がある。
そのほか、酢酸n−ブチル、ジエチレングリコールモノ
アセテートなどのエステル類、ハロゲン化炭化水素類、
炭化水素類などがある。耐溶剤性の低い芳香族ポリカー
ボネート樹脂の被覆には低級アルコール類、セロソルブ
類、エステル類、それらの混合物などが適当である。
【0079】被覆組成物(A)には、必要に応じて紫外
線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱重合防止剤などの
安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、
顔料、分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤
類、酸、アルカリおよび塩類などから選ばれる硬化触媒
等を適宜配合して用いてもよい。
【0080】被覆組成物(A)には、特に、紫外線吸収
剤や光安定剤を配合することが好ましい。紫外線吸収剤
としては合成樹脂用紫外線吸収剤として通常使用されて
いるようなベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾ
フェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤な
どが好ましい。光安定剤としては同様に合成樹脂用光安
定剤として通常使用されているようなヒンダードアミン
系光安定剤(2,2,4,4−テトラアルキルピペリジ
ン誘導体など)が好ましい。
【0081】このような被覆組成物(A)を硬化させる
活性エネルギー線としては特に紫外線が好ましい。しか
し、紫外線に限定されず、電子線やその他の活性エネル
ギー線を使用できる。紫外線源としてはキセノンラン
プ、パルスキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、
超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク
灯、タングステンランプ等が使用できる。
【0082】被覆組成物(A)を用いて形成される硬化
物の層の厚さは1〜50μmであることが好ましい。こ
の層厚が50μm超では、活性エネルギー線による硬化
が不充分になり基材との密着性が損なわれやすく好まし
くない。また、1μm未満では、この層の耐摩耗性が不
充分となるおそれがあり、またこの層の上の最外層の耐
摩耗性や耐擦傷性が充分発現できないおそれがある。よ
り好ましい層厚は2〜30μmである。
【0083】次に最外層の実質的に有機基を含まないシ
リカの層を形成しうる硬化性被覆組成物(B)は、シリ
カを形成しうる可溶性化合物と通常は溶剤を含む。実質
的に有機基を含まないシリカを形成しうる可溶性化合物
としては、4官能性の加水分解性シラン化合物やその部
分加水分解縮合物、およびポリシラザンなどがある。4
官能性の加水分解性シラン化合物やその部分加水分解縮
合物としては、たとえばテトラアルコキシシランやその
部分加水分解縮合物がある。しかし好ましくはポリシラ
ザンが用いられる。ポリシラザンはより緻密な構造のシ
リカを形成することより、より表面特性の優れた最外層
が得られる。
【0084】ポリシラザンとしては実質的に有機基を含
まないポリシラザン(ペルヒドロポリシラザン)、アル
コキシ基などの加水分解性基がケイ素原子に結合したポ
リシラザン、窒素原子にアルキル基などの有機基が結合
しているポリシラザンなどがある。このようなポリシラ
ザンはたとえ有機基を有していても硬化の際の加水分解
反応により実質的に有機基を含まないシリカは形成され
る。特にペルヒドロポリシラザンはその焼成温度の低さ
および焼成後の硬化被膜の緻密さの点で好ましい。な
お、ポリシラザンが充分に硬化した硬化物は窒素原子を
ほとんど含まないシリカとなる。
【0085】ポリシラザンとしては、鎖状、環状もしく
は架橋構造を有する重合体、または分子内にこれらの複
数の構造の混合物からなる。ポリシラザンの分子量とし
ては数平均分子量で200〜5万であるものが好まし
い。数平均分子量が200未満では焼成しても均一な硬
化被膜が得られにくい。また、数平均分子量が5万超で
は溶剤に溶解しがたくなり、また被覆組成物(B)が粘
調になるおそれがあることより、好ましくない。
【0086】ポリシラザンを溶解する溶剤としては脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化
水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、
脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。具体的に
は、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタ
ン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタ
ン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素、塩化メチレ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エ
チレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン、テトラク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルエーテル、
イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチル
エーテル、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒ
ドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類などが
ある。
【0087】これらの溶剤を使用する場合、ポリシラザ
ンの溶解度や溶剤の蒸発速度を調節するために複数の種
類の溶剤を混合してもよい。溶剤の使用量は採用される
塗工方法およびポリシラザンの構造や平均分子量などに
よって異なるが、固形分濃度で0. 5〜80重量%の範
囲で調製することが好ましい。
【0088】ポリシラザンを硬化させてシリカとするた
めには通常焼成と呼ばれる加熱が必要である。しかし、
本発明においては基材が合成樹脂であることよりその焼
成温度は制限される。すなわち、基材の耐熱温度以上に
加熱して硬化させることは困難である。一般的に被覆組
成物(A)の硬化物の耐熱性は基材のそれよりも高い。
しかし場合によってはこの硬化物の耐熱性が基材の耐熱
性よりも低い場合があり、その場合はこの硬化物の耐熱
温度よりも低い温度でポリシラザンを硬化させる必要が
生じることもある。したがって、本発明においてポリシ
ラザンの焼成温度は芳香族ポリカーボネート樹脂などの
通常の合成樹脂を基材とする場合は180℃以下とする
ことが好ましい。
【0089】ポリシラザンの焼成温度を低下させるため
に通常は触媒が使用される。触媒の種類や量により低温
で焼成でき、場合によっては室温での硬化が可能とな
る。また、焼成を行う雰囲気としては空気中などの酸素
の存在する雰囲気であることが好ましい。ポリシラザン
の焼成によりその窒素原子が酸素原子に置換しシリカが
生成する。充分な酸素の存在する雰囲気中で焼成するこ
とにより緻密なシリカの層が形成される。また、水や水
蒸気による処理も低温での硬化に有用である(特開平7
−223867参照)。
【0090】触媒としては、より低温でポリシラザンを
硬化させうる触媒を用いることが好ましい。そのような
触媒としては、たとえば、金、銀、パラジウム、白金、
ニッケルなどの金属の微粒子からなる金属触媒(特開平
7−196986参照)、アミン類や酸類(特開平9−
31333参照)がある。アミン類としては、例えば、
アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミ
ン、アリールアミン、ジアリールアミン、環状アミンな
どがある。酸類としては、例えば酢酸などの有機酸や塩
酸などの無機酸がある。
【0091】金属触媒の微粒子の粒径は0. 1μmより
小さいことが好ましく、さらに硬化物の透明性を確保す
るためには0. 05μmよりも小さいことが好ましい。
加えて、粒径が小さくなるに従い比表面積が増大し触媒
能が増大することより触媒性能向上の面でもより小さい
粒系の触媒を使用することが好ましい。アミン類や酸類
はポリシラザン溶液に配合することができ、またアミン
類や酸類の溶液(水溶液を含む)やそれらの蒸気(水溶
液からの蒸気を含む)をポリシラザンに接触させること
で硬化を促進させることができる。ポリシラザンに触媒
を配合して使用する場合、触媒の配合量としてはポリシ
ラザン100重量部に対して0. 01〜10重量部、よ
り好ましくは0. 05〜5重量部である。配合量が0.
01重量部未満では充分な触媒効果が期待できず、10
重量部超では触媒同士の凝集が起こりやすくなり、透明
性を損なうおそれがあるために好ましくない。
【0092】また、この被覆組成物(B)には必要に応
じて紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止
剤などの安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降
防止剤、顔料、分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面
活性剤類を適宜配合して用いてもよい。被覆組成物
(B)を用いて形成される硬化物の層の厚さは0.05
〜10μmであることが好ましい。この最外層の層厚が
10μm超では、耐擦傷性などの表面特性のそれ以上の
向上が期待できないうえ、層が脆くなり被覆成形品のわ
ずかな変形によってもこの層にクラックなどが生じやす
くなる。また、0.05μm未満では、この最外層の耐
摩耗性や耐擦傷性が充分発現できないおそれがある。よ
り好ましい層厚は0.1〜3μmである。
【0093】上記のような2種類の被覆組成物(A)、
(B)を用いて形成される2層の透明な硬化物の層を形
成する方法としては通常の被覆手法を採用できる。たと
えば、基材上にまず被覆組成物(A)を塗工して硬化さ
せ、次にその硬化物の表面に被覆組成物(B)を塗工し
て硬化させることにより目的とする透明被覆成形品が得
られる。
【0094】これら被覆組成物を塗工する手段としては
特に制限されず、公知〜周知の方法を採用できる。たと
えば、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、
バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブ
レードコート法、エアーナイフコート法、スピンコート
法、スリットコート法、マイクログラビアコート法等の
方法を採用できる。塗工後被覆組成物が溶剤を含んでい
る場合は乾燥して溶剤を除き、次いで、被覆組成物
(A)を用いた層の場合は紫外線等を照射して硬化さ
せ、被覆組成物(B)を用いた層の場合は加熱してまた
は室温に放置して硬化させる。アミン類や酸類の水溶液
や蒸気に接触させて硬化を促進することもできる。
【0095】被覆組成物(A)の硬化と被覆組成物
(B)の塗工〜硬化の組み合わせ(タイミング)として
は以下の4つ方法が挙げられる。 1)被覆組成物(A)を塗工した後に充分な量の活性エ
ネルギー線を照射して充分に硬化を終了させた後、組成
物(B)をその上に塗工する方法(前記した方法)。
【0096】2)被覆組成物(A)を塗工して被覆組成
物(A)の未硬化物の層を形成した後、その未硬化物層
の上に被覆組成物(B)塗工して被覆組成物(B)の未
硬化物の層を形成し、その後に充分な量の活性エネルギ
ー線を照射して被覆組成物(A)の未硬化物の硬化を終
了させる方法。この場合被覆組成物(B)の未硬化物は
被覆組成物(A)の未硬化物とほぼ同時に硬化するか、
被覆組成物(A)の未硬化物の硬化後加熱等により硬化
される。
【0097】3)被覆組成物(A)を塗工した後に指触
乾燥状態になる最低限の活性エネルギー線(通常約30
0mJ/cm2 までの照射量)を一旦照射して被覆組成
物(A)の部分硬化物の層を形成した後、その部分硬化
物層の上に被覆組成物(B)塗工して被覆組成物(B)
の未硬化物の層を形成し、その後に充分な量の活性エネ
ルギー線を照射して被覆組成物(A)の未硬化物の硬化
を終了させる方法。被覆組成物(B)の未硬化物の硬化
は上記2)の場合と同様である。
【0098】4)上記2)〜3)のように被覆組成物
(A)の未硬化物または部分硬化物の層と被覆組成物
(B)の未硬化物の層とを形成した後、被覆組成物
(B)の未硬化物を先に部分硬化ないし完全硬化させて
その後に被覆組成物(A)の未硬化物または部分硬化物
を完全硬化させる。この場合、被覆組成物(B)の未硬
化物を硬化させる時点では被覆組成物(A)は未硬化物
よりも部分硬化物であることが好ましい。
【0099】2つの硬化物層の層間密着力を上げるため
には、上記2)または3)の方法がより好ましい。ただ
し、2)の方法の場合は、被覆組成物(B)塗工する方
法としてディッピング法を用いると被覆組成物(A)の
未硬化物の成分が被覆組成物(B)のディッピング液を
汚染するおそれがあるため、このようなディッピング法
による塗工は適さないなどの制約がある。また、4)の
方法は、被覆組成物(A)を完全に硬化させる際に硬化
阻害要因となりやすい酸素の浸透に対して被覆組成物
(B)の部分硬化物〜完全硬化物の層がバリアー層とし
て作用し、被覆組成物(A)の硬化物が硬化不充分とな
るおそれを低減する。
【0100】さらに、本発明における透明被覆成形品の
特徴としてその耐摩耗性や耐擦傷性などの表面特性がガ
ラスとほぼ同等のレベルを有することから、従来ガラス
が用いられていた各種用途として使用できる。この用途
のうちには車両用窓材としての用途などがある。ただ
し、このような用途では曲げ加工した成形品が必要とな
る場合が多い。こうした曲げ加工された本発明における
透明被覆成形品を製造する場合、曲げ加工された基材を
用いて本発明の透明被覆成形品となしうる。しかし、曲
げ加工された基材を用いる場合は塗工〜硬化による各層
の形成が困難となることが少なくない。一方、本発明者
らの従来からの検討によれば、被覆組成物(A)の硬化
物の層が形成された基材は熱曲げ加工等により曲げ加工
ができる。しかし、被覆組成物(B)の硬化物の層が形
成された場合はその硬化物が硬いことより曲げ加工は困
難である。
【0101】本発明者は、被覆組成物(B)の未硬化物
や部分硬化物の層であれば、そのような層を有する基材
(被覆組成物(A)の硬化物の層を有する)を曲げ加工
できることを見いだした。また、前記2)や3)の方法
のように被覆組成物(A)の未硬化物や部分硬化物の層
の上に被覆組成物(B)の未硬化物や部分硬化物の層を
形成した状態で曲げ加工することもできる。曲げ加工し
た後ないし曲げ加工とほぼ同時に被覆組成物(B)の未
硬化物や部分硬化物を硬化させることにより、目的とす
る曲げ加工された被覆成形品が得られる。曲げ加工は通
常加熱状態で加工を行う。したがって、曲げ加工のため
の加熱によって被覆組成物(B)の未硬化物や部分硬化
物が硬化するが、通常は曲げ加工に要する時間に比較し
て被覆組成物(B)の未硬化物や部分硬化物の硬化に要
する時間が長いことより、被覆組成物(B)の硬化によ
って曲げ加工が困難になるおそれは少ない。
【0102】したがって、本発明の曲げ加工された被覆
成形品は、基材上に被覆組成物(A)の未硬化物、部分
硬化物ないし硬化物の層およびその層の表面に被覆組成
物(B)の未硬化物ないし部分硬化物の層を形成した後
これらの層を有する基材を曲げ加工し、次いで被覆組成
物(B)の未硬化物ないし部分硬化物を、および被覆組
成物(A)の未硬化物や部分硬化物が存在する場合はそ
れを、硬化させることにより、製造できる。
【0103】具体的には、たとえば、被覆組成物(B)
の未硬化物や部分硬化物の層を形成した後、基材の熱軟
化温度に5分間程度加熱し、続いて曲げ加工を施す。そ
の後基材の熱軟化温度よりも低くかつ被覆組成物(B)
の未硬化物や部分硬化物が硬化しうる温度に保持して硬
化を行うことにより、本発明の曲げ加工された被覆成形
品が得られる。このような方法により、被覆組成物
(B)が充分に硬化する前に基材が変形し、その後硬い
シリカの層が形成されるためにこのシリカ層にクラック
等の不具合が生じることがない。
【0104】こうした本発明の透明積層体は、自動車な
どの車両用のウインドガラス、機械類の内部監視用の覗
き窓、建築用の窓ガラス、その他、高速道路用の防音壁
板や水族館の水槽用板材として、好適に使用できる。
【0105】
【実施例】以下、本発明を合成例、構成例1〜4、端面
例1〜3および構成体例1〜12(構成体例1〜9が実
施例、構成体例10〜12が比較例)に基づき説明する
が、本発明はこれらに限定されない。構成例1〜4およ
び構成体例1〜12についての各種物性の測定および評
価は以下に示す方法で行い、その結果を表1(構成
例)、表2(構成体例)に示した。なお、表1には通常
の建築用ガラス板を使用した物性の測定および評価の結
果も示す。
【0106】[ア]初期曇価、耐磨耗性 JIS−R3212における耐磨耗試験法に準じ、2つ
のCS−10F磨耗輪にそれぞれ500gの重りを組み
合わせ500回転と1000回転させたときの曇価をヘ
ーズメータにて測定した。曇価(ヘーズ)の測定は磨耗
サイクル軌道の4カ所で行い、平均値を算出した。初期
曇価は耐磨耗試験前の曇価の値(%)を、耐磨耗性は
(磨耗試験後曇価)−(磨耗試験前曇価)の値(%)を
示す。
【0107】[イ]密着性 サンプルを剃刀の刃で1mm間隔で縦横それぞれ11本
の切れ目を付け、100個の碁盤目を作る。そして、市
販のセロハンテープをよく密着させた後、90度手前方
向に急激にはがした際の、被膜が剥離せずに残存した碁
盤目の数(m)をm/100で表す。
【0108】[ウ]耐候性 サンシャインウエザーメータを用いてブラックパネル温
度63℃で、降雨12分、乾燥48分のサイクルで30
00時間、5000時間暴露後、外観の評価を行った。
【0109】[合成例]エチルセロソルブ分散型コロイ
ド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11n
m)100重量部に3−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加え、
100℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟
成することにより、メルカプトシラン修飾コロイド状シ
リカ分散液を得た。
【0110】[構成例1]撹拌機および冷却管を装着し
た100mlの4つ口フラスコに、イソプロパノール1
5g、酢酸ブチル15g、エチルセロソルブ7. 5g、
アシルホスフィンオキシド150mg、2−{2−ヒド
ロキシ−5−(2−アクリロイルオキシエチル)フェニ
ル}ベンゾトリアゾール1000mg、およびビス(1
−オクチロキシ−2,2,6,6,テトラメチル−4−
ピペリジニル)セバケート200mgを加え溶解させ、
続いて水酸基を有するジペンタエリスリトールポリアク
リレートと部分ヌレート化ヘキサメチレンジイソシアネ
ートの反応生成物であるウレタンアクリレート(1分子
あたり平均15個のアクリロイル基を含有)10. 0g
を加え常温で1時間撹拌して被覆用組成物を得た(塗工
液1とする)。
【0111】厚さ3mmの透明なPC板(580mm×
300mm)にバーコータを用いてこの被覆用組成物を
塗工(ウエット厚み16μm)して、80℃の熱風循環
オーブン中で5分間保持した。これを空気雰囲気中、高
圧水銀灯を用いて3000mJ/cm2 (波長300〜
390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を
照射し、膜厚5μmの透明硬化物層を形成した。
【0112】そして、この上にさらに低温硬化性ペロヒ
ドロポリシラザンのキシレン溶液(固形分10%、東燃
株式会社製、商品名「L110」)(塗工液2とする)
をもう一度バーコータを用いて塗工(ウエット厚み6μ
m)して、80℃の熱風循環オーブン中で10分間保持
し、続いて100℃の熱風循環オーブン中で120分間
保持する事で最外層を本質的に硬化させた。そして、I
R分析により最外層が完全なシリカ被膜になっているこ
とを確認した。こうしてPC板上に総膜厚6.2μmの
透明硬化物層を形成した。このサンプルを用いて
[ア]、[イ]に示した評価を行った。その結果を表1
に示した。
【0113】なお、塗工液1を充分硬化させた内層を形
成したPC板の別のサンプルについて、内層表面の耐摩
耗性を評価した結果、100回転後の耐摩耗性は2.8
%であった。
【0114】[構成例2]撹拌機および冷却管を装着し
た100mlの4つ口フラスコに、イソプロパノール1
5g、酢酸ブチル15g、アシルホスフィンオキシド1
50mg、2−{2−ヒドロキシ−5−(2−アクリロ
イルオキシエチル)フェニル}ベンゾトリアゾール10
00mg、およびビス(1−オクチロキシ−2,2,
6,6,テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート
200mgを加え溶解させ、続いてトリス(アクリロキ
シエチル)イソシアヌレート10. 0gを加え常温で1
時間撹拌した。続いて、合成例で合成したメルカプトシ
ラン修飾コロイド状シリカ分散液を30. 3g加え更に
室温で15分撹拌して被覆用組成物を得た(塗工液3と
する)。
【0115】そして、厚さ3mmの透明なPC板(58
0mm×300mm)にバーコータを用いてこの塗工液
3を塗工(ウエット厚み16μm)して、80℃の熱風
循環オーブン中で5分間保持した。これを空気雰囲気
中、高圧水銀灯を用いて150mJ/cm2 (波長30
0〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外
線を照射し、膜厚5μmの部分硬化物層を形成した。そ
して、この上に塗工液2をもう一度バーコータを用いて
塗工(ウエット厚み6μm)して、80℃の熱風循環オ
ーブン中で10分間保持した後、これを空気雰囲気中、
高圧水銀灯を用いて3000mJ/cm2 (波長300
〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線
を照射した。最後に本サンプルを100℃の熱風循環オ
ーブン中で120分間保持した後に[ア]、[イ]に示
した評価を行い、その結果を表1に示した。
【0116】なお、塗工液3を充分硬化させた内層を形
成したPC板の別のサンプルについて、内層表面の耐摩
耗性を評価した結果、100回転後の耐摩耗性は0.9
%であった。
【0117】[構成例3]構成例1におけるサンプル調
整方法を以下のように変更した。
【0118】塗工液1を塗工後、80℃の熱風循環オー
ブン中で5分間保持し、これを空気雰囲気中、高圧水銀
灯を用いて150mJ/cm2 (波長300〜390n
m領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、
膜厚5μmの部分硬化物層を形成した。そして、この上
に塗工液2をもう一度バーコータを用いて塗工(ウエッ
ト厚み6μm)して、80℃の熱風循環オーブン中で1
0分間保持した後、これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を
用いて3000mJ/cm2 (波長300〜390nm
領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射した。
最後に本サンプルを100℃の熱風循環オーブン中で1
20分間保持した後に[ア]、[イ]、に示した評価を
行い、その結果を表1に示した。
【0119】[構成例4]構成例2におけるサンプル調
整方法を以下のように変更した。
【0120】塗工液3を塗工後、80℃の熱風循環オー
ブン中で5分間保持し、これを空気雰囲気中、高圧水銀
灯を用いて150mJ/cm2 (波長300〜390n
m領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、
膜厚5μmの部分硬化物層を形成した。そして、この上
に塗工液2をもう一度バーコータを用いて塗工(ウエッ
ト厚み6μm)して、80℃の熱風循環オーブン中で1
0分間保持した後、これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を
用いて3000mJ/cm2 (波長300〜390nm
領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射した。
最後に本サンプルを100℃の熱風循環オーブン中で1
20分間保持した後に[ア]、[イ]、に示した評価を
行い、その結果を表1に示した。
【0121】
【表1】
【0122】次に、透明硬化物層が設けられた透明樹脂
板の端面の複数の処理例に基づきサンプルを作製し、透
明積層体の長期耐久性を評価した。
【0123】透明硬化物層が設けられた透明樹脂板を電
動鋸(幅8mm、刃厚0.65mm、刃数14)により
100×100mmの大きさに切り出した。この切り出
したままの状態のものを端面例1という。
【0124】次いで、切り出したものの端面を紙ヤスリ
(リケンコランダム研磨布社製AA−100)で荒削り
した後に、さらに紙ヤスリ(リケンコランダム研磨布社
製AA−400)で端面仕上げを行った。これを端面例
2という。
【0125】切り出したままのものを上記の紙ヤスリ処
理にかえて防水性被覆層を端面に形成した。具体的に
は、硬化触媒を添加したエポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ株式会社製エピコート828;硬化触媒としてエポ
メートRX221を40ppm添加)を端面にはけで塗
工し、3時間風乾した。これを端面例3という。
【0126】[構成体例1〜4]構成例1〜4を用い
て、端面例2の端面処理されたサンプルを作製した。構
成例1のサンプルの端面が端面例2のものを構成体例
1、構成例2のサンプルの端面が端面例2のものを構成
体例2、構成例3のサンプルの端面が端面例2のものを
構成体例3、構成例4のサンプルの端面が端面例2のも
のを構成体例4という。これらの構成体1〜4を、
[ウ]に示した評価を行ったところ、3000時間、5
000時間のいずれにおいても、外観の変化は生じなか
った。
【0127】[構成体例5〜8]構成例1〜4を用い
て、端面例3の端面処理されたサンプルを作製した。構
成例1のサンプルの端面が端面例3のものを構成体例
5、構成例2のサンプルの端面が端面例3のものを構成
体例6、構成例3のサンプルの端面が端面例3のものを
構成体例7、構成例4のサンプルの端面が端面例3のも
のを構成体例8という。これらの構成体5〜8を、
[ウ]に示した評価を行ったところ、3000時間、5
000時間のいずれにおいても、外観の変化は生じなか
った。
【0128】[構成体例9〜12]構成例1〜4を用い
て、端面例1の端面処理されたサンプルを作製した。構
成例1のサンプルの端面が端面例1のものを構成体例
9、構成例2のサンプルの端面が端面例1のものを構成
体例10、構成例3のサンプルの端面が端面例1のもの
を構成体例11、構成例4のサンプルの端面が端面例1
のものを構成体例12という。これらの構成体9〜12
を、[ウ]に示した評価を行ったところ、3000時間
では外観の変化は生じなかったが、5000時間ではサ
ンプルの端部にクラックが発生していた。
【0129】
【発明の効果】本発明の透明積層体は、その表裏のうち
の少なくとも一方に透明硬化物層を設けて、無機ガラス
に匹敵する高い耐摩耗性、および耐擦傷性を有する表面
特性に優れた軽量の積層体を提供できる。特に、この透
明積層体の端面に平滑化処理を施したり、防水性被覆層
を設けているので、水分の浸透による透明硬化物層の劣
化等の長期耐久性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体の例の部分的断面図
【図2】本発明の積層体の例の部分的断面図
【符号の説明】 1:透明樹脂板 2:2層構造の透明硬化物層 3:防水性被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 博嗣 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 実桐 幸男 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表裏2面と外周の端面とを有する透明樹脂
    板と、該透明樹脂板の表裏の少なくとも一方の面に設け
    られた少なくとも2層の透明硬化物層とを備えた透明積
    層体であって、少なくとも2層の透明硬化物層のうち最
    外層に接する内層が活性エネルギー線硬化性の重合性官
    能基を2個以上有する多官能性化合物(a)を含む活性
    エネルギー線硬化性被覆組成物(A)の硬化物である耐
    摩耗性の層で、最外層が実質的に有機基を含まないシリ
    カを形成しうる硬化性被覆組成物(B)の硬化物である
    シリカ層であり、端面に平滑化処理が施されてなること
    を特徴とする透明積層体。
  2. 【請求項2】表裏2面と外周の端面とを有する透明樹脂
    板と、該透明樹脂板の表裏の少なくとも一方の面にに設
    けられた少なくとも2層の透明硬化物層とを備えた透明
    積層体であって、少なくとも2層の透明硬化物層のうち
    最外層に接する内層が活性エネルギー線硬化性の重合性
    官能基を2個以上有する多官能性化合物(a)を含む活
    性エネルギー線硬化性被覆組成物(A)の硬化物である
    耐摩耗性の層で、最外層が実質的に有機基を含まないシ
    リカを形成しうる硬化性被覆組成物(B)の硬化物であ
    るシリカ層であり、端面に防水性被覆層が形成されてな
    ることを特徴とする透明積層体。
  3. 【請求項3】被覆組成物(A)が、さらに平均粒径20
    0nm以下のコロイド状シリカを含む、請求項1または
    2記載の透明積層体。
  4. 【請求項4】被覆組成物(A)の硬化物の層の厚さが1
    〜50μmである、請求項1、2または3記載の透明積
    層体。
  5. 【請求項5】被覆組成物(A)の硬化物が、JIS−R
    3212に準じる耐摩耗性試験における供試体回転回数
    を100回とした場合の曇価が10%以下の耐摩耗性を
    有する硬化物である、請求項1、2、3または4記載の
    透明積層体。
  6. 【請求項6】被覆組成物(B)が、ポリシラザンを含む
    被覆組成物である、請求項1、2、3、4または5記載
    の透明積層体。
  7. 【請求項7】被覆組成物(B)の硬化物の層の厚さが
    0.05〜10μmである、請求項1、2、3、4、5
    または6記載の透明積層体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7226651B2 (en) 2002-03-26 2007-06-05 Tdk Corporation Article with composite hardcoat layer and method for forming composite hardcoat layer
JP2011037948A (ja) * 2009-08-07 2011-02-24 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 耐摩耗性シリコーンコーティング組成物並びに被覆物品及びその製造方法

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JP2011037948A (ja) * 2009-08-07 2011-02-24 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 耐摩耗性シリコーンコーティング組成物並びに被覆物品及びその製造方法

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