JPH11237331A - アルミニウム材料の耐食性試験方法 - Google Patents

アルミニウム材料の耐食性試験方法

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JPH11237331A
JPH11237331A JP3824698A JP3824698A JPH11237331A JP H11237331 A JPH11237331 A JP H11237331A JP 3824698 A JP3824698 A JP 3824698A JP 3824698 A JP3824698 A JP 3824698A JP H11237331 A JPH11237331 A JP H11237331A
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Masahiro Kojima
正博 小島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 孔食を主体とする腐食形態を示すアルミニウ
ム材料について、短期間で実機の耐久性と相関性の高い
試験結果が得られる耐食性試験方法を目的とする。 【解決手段】 腐食液噴霧ステップ、乾燥ステップ、湿
潤ステップより構成されるサイクル試験であって、サイ
クル試験に先だって試験体表面に腐食促進物質を付着さ
せることにより、あるいは腐食液として腐食性の高い、
腐食促進物質添加塩水または酸性塩水を使用して、腐食
が促進される環境でサイクル試験を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム材
料の腐食を促進して短時間で耐食性を試験する耐食性試
験方法に関し、特に熱交換器等の自動車用アルミニウム
製品の耐食性試験に適した耐食性試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用等の各種熱交換器の材料として
は、アルミニウムまたはその合金が多く使用されてい
る。また、熱交換器は、その使用環境において、排ガス
等の汚染空気に曝されるとともに、降雨や日照により湿
潤と乾燥と繰返し、長期使用の間には腐食は免れない。
そのため、的確な製品の耐久性予測や製品開発を行う上
で、製品または材料金属の耐食性試験は不可欠である。
【0003】各種金属材料の耐食性試験は、短時間で試
験を行うために試験体を腐食促進環境下において行う。
一般的な耐食性試験法として、例えば、連続的に塩水を
噴霧する塩水噴霧試験方法(JIS Z2371),酸
性水を噴霧するキャス試験(JIS H8681)、A
STM G85−85,Method G43 SWA
AT等が知られており、熱交換器の耐食性試験としても
これらの試験法が広く採用されている。また、特に自動
車用部品の耐食性試験法として、(財)自動車技術会制
定の自動車規格JASO M609−91 自動車用材
料腐食試験方法、M610−92 自動車部品外観腐食
試験法があり、一定サイクルで塩水噴霧、乾燥、湿潤を
繰返すこの試験方法も採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
一般的な耐食性試験法のうち、塩水噴霧試験方法は塩水
の噴霧時間が長いために、孔食を主とする実機とは異な
る形態で腐食が発生進行し、市場における耐久性を的確
に予測することが困難である。さらに、腐食の促進性が
低いために、短期間で試験を実施することができない。
また、酸性液を用いるキャス試験やSWAATでは腐食
の促進性はあるが、やはり実機の腐食形態とは異なるた
めに、市場における耐久性を的確に予測することができ
ない。
【0005】また、JASO M609−91やM61
0−92は、市場の腐食環境に近い腐食試験方法である
が、裸鋼板、塗装板、ステンレス、めっき品、アルミニ
ウム材料など、あらゆる金属材料を対象にした試験方法
であり、個々の材料すべてに対して短期間で腐食を発生
させる最適な耐食性試験方法とは言い難い。
【0006】このように、既存の耐食性試験方法におい
ては、アルミニウム材料およびその製品、特に熱交換器
等の自動車用アルミニウム製品を対象として、市場相関
がありかつ腐食を短時間で発生させる最適条件が確立さ
れていない。
【0007】この発明は、このような技術背景に鑑み、
孔食を主体とする腐食形態を示すアルミニウム材料につ
いて、短期間で実機の耐久性と相関性の高い試験結果が
得られるアルミニウム材料の耐食性試験方法の提供を目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の第1のアルミ
ニウム材料の耐食性試験方法は、前記目的を達成するた
めに、試験体の表面に腐食促進物質を付着させたのち、
試験体に腐食液を噴霧する腐食液噴霧ステップ、試験体
を乾燥環境に保持する乾燥ステップ、試験体を湿潤環境
に保持する湿潤ステップにより構成されるサイクル試験
を行う試験方法であって、前記腐食促進物質は、塩化ナ
トリウム、鉄化合物、銅化合物のうちのいずれか1種以
上であり、これらの化合物の10〜40℃、0.1〜2
0%溶液に試験体を5秒間〜2分間浸漬後、乾燥させて
前記腐食促進物質を析出付着させることを特徴とする。
また、第2のアルミニウム材料の耐食性試験方法は、試
験体に腐食液を噴霧する腐食液噴霧ステップ、試験体を
乾燥環境に保持する乾燥ステップ、試験体を湿潤環境に
保持する湿潤ステップにより構成されるサイクル試験を
行う試験方法であって、前記腐食液は、0.1〜10%
塩化ナトリウム溶液に、0.01〜5%の鉄化合物、
0.01〜5%の銅化合物のうちの1種以上を添加した
ものであることを特徴とするものである。また、第3の
アルミニウム材料の耐食性試験方法は、試験体に腐食液
を噴霧する腐食液噴霧ステップ、試験体を乾燥環境に保
持する乾燥ステップ、試験体を湿潤環境に保持する湿潤
ステップにより構成されるサイクル試験を行う試験方法
であって、前記腐食液は、0.1〜10%塩化ナトリウ
ム溶液に、酢酸、塩酸、硝酸または蓚酸のうちのいずれ
か1種以上の添加によりpH2〜5に調整された酸性溶
液であることを特徴とするものである。
【0009】この発明のアルミニウム材料の耐食性試験
方法は、いずれも塩水等の腐食液の噴霧、乾燥、湿潤よ
り構成されるサイクル試験であるが、サイクル試験に先
だって試験体表面に腐食促進物質を付着させることによ
り、あるいは腐食液として単なる塩水よりも腐食性の高
いものを使用することにより、従来より腐食が促進され
る環境でサイクル試験を行うものである。以下に、各試
験方法について詳述する。
【0010】第1のアルミニウム材料の耐食性試験方法
は、試験体の表面に腐食促進物質を付着させた状態でサ
イクル試験を行う。
【0011】前記腐食促進物質のうち、塩化ナトリウム
は、JIS Z2371 塩水噴霧試験方法を始めとし
て広く用いられている一般的な腐食促進物質である。ま
た、鉄化合物や銅化合物も腐食の促進に有効な物質であ
る。鉄化合物として、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第
二鉄、蓚酸第二鉄を例示できる。また、銅化合物として
塩化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、蓚酸第二銅を例
示できる。これらの腐食促進物質は1種を用いれば腐食
促進の効果が得られ、2種以上を併用することもでき
る。
【0012】そして、前記腐食促進物質は、これらの物
質の溶液に試験体を浸漬したのち乾燥させることにより
付着させる。付着量は腐食を促進するために1〜2mg
/cm2 が好ましい。そして、前記付着量を確保するた
めに、溶液の濃度は0.1〜20%、溶液の温度は10
〜40℃とし、浸漬時間を5秒間〜2分間の範囲とする
必要がある。腐食促進物質溶液濃度の好ましい下限値は
1%であり、好ましい上限値は10%である。また、温
度の好ましい上限値は30℃である。また、浸漬時間の
好ましい下限値は10秒間であり、好ましい上限値は1
分間である。
【0013】前記腐食促進物質を付着させた後のサイク
ル試験は、孔食を早期に発生させかつ腐食の進行速度を
促進するために、腐食水噴霧条件、乾燥環境条件、湿潤
環境条件、あるいはさらに各ステップの保持時間やサイ
クル頻度等に基づいて、次の3方法のうちのいずれかを
採用することが好ましい。なお、これらのサイクル試験
の条件は、後に詳述するこの発明の第2および第3のア
ルミニウム材料の耐食性試験方法におけるサイクル試験
と、腐食液の組成以外は共通である。
【0014】第1のサイクル試験は、腐食促進を腐食挙
動の異なる2段階で行い孔食を発生かつ進行させる方法
であって、試験体に対し、主として孔食を早期に発生さ
せる孔食発生促進過程を実施した後、続いて主として孔
食の成長を促進する孔食成長促進過程を実施することに
より、該試験体の耐食性を試験する方法である。前記孔
食発生促進過程は、試験体に、腐食液を0.5〜2時間
噴霧する腐食液噴霧ステップ、次いで前記試験体を50
〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時
間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜6
0℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に1〜5時
間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、
前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の33〜67%と
なるように設定し、3.4〜8サイクル/日の頻度で1
〜10日間行うものであり、前記孔食成長促進過程は、
前記試験体に、腐食液を0.5〜2時間噴霧する腐食液
噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度
40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥
ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80
〜100%RHの湿潤環境中に6〜45時間保持する湿
潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステ
ップ時間が1サイクル中の50〜95%となるように設
定し、0.5〜2サイクル/日の頻度で1サイクル以上
行うものである。これらの過程は、いずれも腐食液噴霧
ステップ、乾燥ステップ、湿潤ステップを1サイクルと
してこれを反復して行うものであるが、1サイクル中の
湿潤ステップ時間の割合を、孔食発生促進過程で短く、
孔食成長促進過程で長く設定している点で異なってい
る。
【0015】なお、前記孔食発生促進過程および孔食成
長促進過程は、腐食挙動が異なるといってもいずれも腐
食形態は孔食でありかつ腐食を促進するものであるか
ら、単独で実施した場合でも、腐食の進行速度が若干低
下するものの、市場の腐食形態を再現するサイクル試験
とすることができる。上述の第1のサイクル試験が2つ
の異なる過程を組合せたものであるのに対し、第2のサ
イクル試験は第1のサイクル試験の孔食発生促進過程を
単独で行うものであり、第3のサイクル試験は孔食成長
促進過程を単独で行うものである。これらの単一過程に
よるサイクル試験では、試験に要する期間が若干長くな
るものの、同一サイクルの反復実施であるからサイクル
管理が簡単であるという利点がある。
【0016】以下に、各ステップの条件について詳述す
る。なお、孔食発生促進過程および孔食成長促進過程に
おける各ステップの条件は、保持時間およびサイクル頻
度を除いて共通である。
【0017】[腐食液噴霧ステップ]腐食液噴霧ステッ
プは、試験体に腐食液を噴霧して試験体表面に腐食促進
物質を付着させるとともに、試験体表面が常時濡れてい
る状態を保持する。腐食液として、第1のサイクル試験
ではpH6〜8に調整された2〜6%塩化ナトリウム水
溶液を用いる。塩化ナトリウムは腐食促進成分であり、
塩化ナトリウム濃度が2%未満では腐食の進行が遅く試
験に長時間を要し、6%を超えても腐食進行が飽和す
る。塩化ナトリウム濃度の好ましい下限値は3%であ
り、好ましい上限値は5%である。また、塩化ナトリウ
ム水溶液をpH6〜8の中性とすることにより市場の腐
食形態を再現することができる。塩化ナトリウム水溶液
のpHの好ましい下限値は6.5であり、好ましい上限
値は7.5である。また、前記腐食液の噴霧雰囲気は、
適度な腐食速度を確保するために40〜60℃の範囲と
している。40℃未満では腐食の発生が遅れ、60℃を
超えると水和酸化膜が成長し、カソードの還元反応は抑
制されてしまい腐食速度は遅くなるためである。腐食液
噴霧雰囲気温度の好ましい下限値は45℃であり、好ま
しい上限値は55℃である。
【0018】[乾燥ステップ]乾燥ステップは、試験体
を50〜70℃、湿度40%RH以下の乾燥環境中で保
持して、試験体表面から水分を除去するとともに腐食を
促進する。乾燥環境における温度は、50℃未満では腐
食の促進が不十分で試験に長時間を要し、一方70℃を
超えると試験装置の耐熱性を確保するために、装置の構
成材料に制限がある。好ましい乾燥環境温度の下限値は
55℃であり、好ましい上限値は65℃である。また、
湿度は、40%RHを超えると付着水分が蒸発しにくく
なり乾燥しにくくなる。湿度の好ましい上限値は30%
RHである。
【0019】[湿潤ステップ]湿潤ステップは、試験体
を湿度40〜60℃、湿度80〜100%RHの湿潤環
境中に1〜5時間保持することにより、乾燥した試験体
表面に再び水分を与えて腐食を促す。湿潤環境における
温度は、40℃未満では腐食の促進が不十分で試験に長
時間を要し、一方60℃を超えると水和酸化膜が成長
し、カソードの還元反応は抑制されてしまい腐食速度は
遅くなる。好ましい湿潤環境温度の下限値は45℃であ
り、好ましい上限値は55℃である。また、相対湿度
は、80%RH未満では試験体表面に十分な水分を与え
ることができない。湿度の好ましい下限値は90%RH
であり、好ましい上限値は98%RHである。
【0020】次に、孔食発生促進過程および孔食成長促
進過程における各ステップの保持時間およびサイクル頻
度について、表1を参照しつつ説明する。
【0021】
【表1】
【0022】[孔食発生促進過程]腐食液噴霧ステップ
の保持時間は0.5〜2時間とする。0.5時間未満で
は腐食を促進する効果に乏しく、2時間を超えると腐食
形態が面状腐食になりやすい。腐食液噴霧ステップの保
持時間の好ましい下限値は1時間であり、好ましい上限
値は1.5時間である。
【0023】乾燥ステップの保持時間は1〜3時間とす
る。1時間未満または3時間を超える場合は、腐食の進
行速度が低下する。乾燥ステップの保持時間の好ましい
下限値は1時間であり、好ましい上限値は2時間であ
る。
【0024】湿潤ステップの保持時間は1〜5時間と
し、後述の孔食成長促進過程よりも短く設定する。1時
間未満では腐食を促進する効果に乏しく、5時間を超え
て湿潤状態を持続すると孔食を発生させる効果が低下す
る。湿潤ステップの保持時間の好ましい下限値は2時間
であり、好ましい上限値は4時間である。
【0025】孔食を早期に発生させるために、3つのス
テップ時間を上述の範囲とし、さらに、特に孔食の早期
発生に深く関与する1サイクル中の湿潤ステップ時間の
割合を33〜67%となるように、各ステップ保持時間
を設定する。湿潤ステップ時間の割合が前記範囲内にあ
るときに、孔食を早期に発生させかつ腐食の進行を促進
する効果が大きい。1サイクル中の湿潤ステップ時間の
割合の好ましい下限値は40%であり、好ましい上限値
は60%である。
【0026】また、腐食液噴霧ステップ、乾燥ステッ
プ、湿潤ステップを1サイクルとするサイクル頻度は
3.4〜8サイクル/日の範囲とする。換言すれば、相
対的に湿潤ステップ時間を短くしてサイクル頻度を多く
することにより、孔食を早期に発生させかつ腐食の進行
を促進する効果が大きい。サイクル頻度の好ましい下限
値は4サイクル/日であり、好ましい上限値は6サイク
ル/日である。
【0027】[孔食成長促進過程]腐食液噴霧ステップ
および乾燥ステップの保持時間は、上述の孔食発生促進
過程におけるそれぞれの保持時間と同一である。
【0028】湿潤ステップの保持時間は6〜45時間と
し、上述の孔食発生促進過程よりも長く設定する。6時
間未満であっても45時間を超えても孔食の成長を促進
する効果が低下する。湿潤ステップの保持時間の好まし
い下限値は12時間であり、好ましい上限値は36時間
である。
【0029】孔食の成長を促すために、3つのステップ
時間を上述の範囲とし、さらに、特に孔食の成長に深く
関与する1サイクル中の湿潤ステップ時間の割合を50
〜95%となるように、各ステップ保持時間を設定す
る。湿潤ステップ時間の割合が前記範囲内にあるとき
に、孔食を早期に発生させかつ腐食の進行を促進する効
果が大きい。1サイクル中の湿潤ステップ時間の割合の
好ましい下限値は67%であり、好ましい上限値は92
%である。
【0030】また、サイクル頻度は0.5〜2サイクル
/日の範囲とする。換言すれば、湿潤ステップ時間を長
く設定してサイクル頻度を少なくすることにより、孔食
を成長させる効果が大きい。サイクル頻度の好ましい下
限値は0.62サイクル/日であり、好ましい上限値は
1.6サイクル/日である。
【0031】第1のサイクル試験は、前記孔食発生促進
過程1〜10日間実施して、早期に孔食を発生させた
後、続いて前記孔食成長促進過程を実施して孔食を成長
させるものである。前記孔食発生促進過程の実施期間
は、3〜5日間が好ましい。また、前記孔食成長促進過
程は1サイクル以上任意の期間実施し、特に期間は限定
しない。
【0032】また、第2のサイクル試験は前記孔食発生
促進過程のみを実施するものであり、第3のサイクル試
験は前記孔食成長促進過程のみを実施するものであっ
て、いずれも1サイクル以上任意の期間実施する。
【0033】第2のアルミニウム材料の耐食性試験方法
は、腐食液として塩化ナトリウムに他の腐食促進物質を
添加して腐食促進性を高めたものを使用して、上述のサ
イクル試験を行うものである。
【0034】前記腐食液の組成において、塩化ナトリウ
ム濃度は0.1〜10%とする。塩化ナトリウム濃度が
0.1%未満では腐食の進行が遅く試験に長時間を要
し、10%を超えると腐食進行が飽和するためである。
塩化ナトリウム濃度の好ましい下限値は1%であり、好
ましい上限値は5%である。また、添加する腐食促進物
質は第1の耐食性試験方法において付着物として用いた
と同じ鉄化合物または銅化合物であり、これらを1種以
上用いる。鉄化合物または銅化合物の濃度は0.01〜
5%とする。0.01%未満では、腐食の進行が遅く、
5%を超えると腐食進行は飽和するためである。鉄化合
物または銅化合物の濃度の好ましい下限値はそれぞれ
0.1%であり、好ましい上限値はそれぞれ1%であ
る。
【0035】第3のアルミニウム材料の耐食性試験方法
は、腐食液として酸の添加により酸性に調整した塩化ナ
トリウム溶液を用いる。塩化ナトリウム濃度は第2の耐
食性試験方法と同じく0.1〜10%とする。また、腐
食液のpHは、2未満ではアルミニウムが全面溶解し、
局部腐食が得られないという不都合が生じ、また5を超
えると不十分な腐食の促進性が得られないため、pH2
〜5とする。腐食液の好ましいpHの上限値はpH4.
5である。また、pH調整に用いる酸は、酢酸、塩酸、
硫酸、硝酸、蓚酸といった腐食性の強い酸を用い、これ
らの1種以上で調整する。
【0036】この発明の第1のアルミニウム材料の耐食
性試験方法は、試験体の表面に腐食促進物質を付着させ
た上で、腐食液噴霧、乾燥環境保持、湿潤環境保持のサ
イクル試験を行うことにより、アルミニウム材料に短期
間で孔食を発生させかつ進行させることができる。その
ため、孔食を起こすような状況で使用されるアルミニウ
ム材料やアルミニウム製品の耐食性について短期間で的
確に評価することができる。
【0037】また、第2および第3のアルミニウム材料
の耐食性試験方法は、腐食性を高めた腐食液を用いて、
腐食液噴霧、乾燥環境保持、湿潤環境保持のサイクル試
験を行うことにより、アルミニウム材料に短期間で孔食
を発生させかつ進行させることができる。そのため、孔
食を起こすような状況で使用されるアルミニウム材料や
アルミニウム製品の耐食性について短期間で的確に評価
することができる。
【0038】
【実施例】次に、この発明のアルミニウム材料の耐食性
試験方法の具体的実施例について説明する。
【0039】以下の実験例において、試験体として、J
IS A1050からなる肉厚0.4mmの多穴管押出チ
ューブと、JIS A3003+2%Znからなる芯材
の両面にJIS A4343+2%Znからなるろう材
を10%でクラッドしたブレージングシートで製作した
コルゲートフィンとを組合せ、これらを弗化物系フラッ
クスを用いて窒素雰囲気中で600℃、5分間の加熱し
てろう付した熱交換器のミニサンプルを使用した。
【0040】[実施例1]試験体を、20℃、5%塩化
ナトリウム溶液に中に30秒間浸漬した後、60℃乾燥
炉内で2時間乾燥させ、試験体表面に塩化ナトリウムを
析出付着さた。次いで、腐食液噴霧ステップ、乾燥ステ
ップ、湿潤ステップを1サイクルとするサイクル試験
を、次に示す条件で実施した。
【0041】(腐食液噴霧ステップ)試験体に、50
℃、pH6.5、濃度5%の塩化ナトリウム溶液を1時
間噴霧した。
【0042】(乾燥ステップ)60℃、湿度30%RH
の乾燥環境中で2時間保持した。
【0043】(湿潤ステップ)50℃、湿度95%RH
の湿潤環境中で3時間保持した。
【0044】上記条件においては、1サイクル中の湿潤
ステップ時間の割合は50%ととなり、サイクル頻度は
4サイクル/日となる。
【0045】[実施例2]試験体を、20℃、1%塩化
第二鉄溶液に中に1分間浸漬した後、60℃乾燥炉内で
2時間乾燥させ、試験体表面に塩化第二鉄を析出付着さ
た。次いで、腐食液噴霧ステップ、乾燥ステップ、湿潤
ステップを1サイクルとするサイクル試験を、次に示す
条件で実施した。
【0046】(腐食液噴霧ステップ)試験体に、50
℃、pH6.5、濃度5%の塩化ナトリウム溶液を1時
間噴霧した。
【0047】(乾燥ステップ)60℃、湿度30%RH
の乾燥環境中で2時間保持した。
【0048】(湿潤ステップ)50℃、湿度95%RH
の湿潤環境中で6時間保持した。
【0049】上記条件においては、1サイクル中の湿潤
ステップ時間の割合は67%となり、サイクル頻度は
2.67サイクル/日となる。
【0050】[実施例3]試験体を、20℃、5%塩化
ナトリウム+1%硫酸第二銅の混合溶液に中に1分間浸
漬した後、60℃乾燥炉内で2時間乾燥させ、試験体表
面に塩化ナトリウムおよび硫酸第二銅を析出付着さた。
次いで、実施例1と同じサイクル試験を3日間実施した
後、続いて実施例2と同じサイクル試験を実施する、2
段階のサイクル試験を行った。
【0051】[実施例4]腐食液として塩化ナトリウム
溶液に代えて5%塩化ナトリウム+1%塩化第二銅溶液
を用いた以外は、実施例3と同じ2段階のサイクル試験
を行った。
【0052】[実施例5]腐食液として、塩化ナトリウ
ム溶液に代えて酢酸の添加によりpH3に調整した5%
塩化ナトリウム溶液を用いた以外は、実施例3と同じ2
段階のサイクル試験を行った。
【0053】[比較例1]JIS Z2371 塩水噴
霧試験方法に準拠し、pH6.5、濃度5%の塩化ナト
リウム水溶液を50℃で連続噴霧した。
【0054】[比較例2]JIS H8681 キャス
試験方法に準拠し、酸性塩水を49℃で連続噴霧した。
【0055】[比較例3]ASTM G85−85,M
ethod G43 SWAATに準拠し、ASTM人
工海水と酢酸により調整した酸性腐食液を0.5時間噴
霧、1.5時間湿潤環境保持を1サイクルとするサイク
ル試験を実施した。
【0056】[比較例4]JASO M610−92自
動車部品外観腐食試験法(CCT)に準拠し、35℃で
2時間の塩水噴霧、60℃で4時間の乾燥環境保持、5
0℃、95%RHで2時間の湿潤環境保持を1サイクル
とするサイクル試験を実施した。
【0057】各試験体について、試験後開始後、30日
目、60日目および90日目に、チューブの腐食状態を
肉眼で観察するとともに、孔食の深さを測定し、腐食形
態と腐食促進度について評価した。表2に、試験方法の
概要を示すとともに評価結果を示す。
【0058】
【表2】
【0059】表2の結果より、この発明の方法によれ
ば、市場の実機の腐食形態である孔食が再現できるとと
もに、短期間で腐食を進行させることができることを確
認できた。そして、この試験方法によりアルミニウム材
料の耐久性を短期間で評価することができる。
【0060】
【発明の効果】以上の次第で、この発明の第1のアルミ
ニウム材料の耐食性試験方法は、試験体の表面に腐食促
進物質を付着させたのち、試験体に腐食液を噴霧する腐
食液噴霧ステップ、試験体を乾燥環境に保持する乾燥ス
テップ、試験体を湿潤環境に保持する湿潤ステップによ
り構成されるサイクル試験を行う試験方法であって、前
記腐食促進物質は、塩化ナトリウム、鉄化合物、銅化合
物のうちのいずれか1種以上であり、これらの化合物の
10〜40℃、0.1〜20%溶液に試験体を5秒間〜
2分間浸漬後、乾燥させて前記腐食促進物質を析出付着
させるから、サイクル試験のみからなる従来の試験方法
よりも、アルミニウム材料に短期間で孔食を起こさせか
つ進行させることができる。そのため、孔食を生じる状
況で使用されるアルミニウム材料やアルミニウム製品の
耐食性について、実機の耐久性と相関性の高い試験結果
が得られ、その試験結果に基づき、市場における製品の
耐久性を的確に予測することができるとともに、用途に
応じた耐食性材料や製品の開発も的確に行うことができ
る。孔食を起こすようなアルミニウム材料ないし製品と
して、自動車用熱交換器、特にコンデンサ、海洋雰囲気
や融雪剤散布地区等の塩害地域で使用される各種アルミ
ニウム製品を例示でき、これらの耐久性の評価と品質保
証を的確に行え、また耐久性の改善にも寄与することが
できる。
【0061】また、第2のアルミニウム材料の耐食性試
験方法は、試験体に腐食液を噴霧する腐食液噴霧ステッ
プ、試験体を乾燥環境に保持する乾燥ステップ、試験体
を湿潤環境に保持する湿潤ステップにより構成されるサ
イクル試験を行う試験方法であって、前記腐食液は、
0.1〜10%塩化ナトリウム溶液に、0.01〜5%
の鉄化合物、0.01〜5%の銅化合物のうちの1種以
上を添加したものであるから、単なる塩水を噴霧する従
来のサイクル試験方法よりもアルミニウム材料に短期間
で孔食を起こさせかつ進行させることができ、第1の耐
食性試験方法と同様の効果が得られる。
【0062】また、第3のアルミニウム材料の耐食性試
験方法は、試験体に腐食液を噴霧する腐食液噴霧ステッ
プ、試験体を乾燥環境に保持する乾燥ステップ、試験体
を湿潤環境に保持する湿潤ステップにより構成されるサ
イクル試験を行う試験方法であって、前記腐食液は、
0.1〜10%塩化ナトリウム溶液に、酢酸、塩酸、硝
酸または蓚酸のうちのいずれか1種以上の添加によりp
H2〜5に調整された酸性溶液であるから、単なる塩水
を噴霧する従来のサイクル試験方法よりもアルミニウム
材料に短期間で孔食を起こさせかつ進行させることがで
き、第1の耐食性試験方法と同様の効果が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 室岡 秀一 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内 (72)発明者 小堀 一博 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内 (72)発明者 小島 正博 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内 (72)発明者 寺田 隆 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試験体の表面に腐食促進物質を付着させ
    たのち、試験体に腐食液を噴霧する腐食液噴霧ステッ
    プ、試験体を乾燥環境に保持する乾燥ステップ、試験体
    を湿潤環境に保持する湿潤ステップにより構成されるサ
    イクル試験を行う試験方法であって、 前記腐食促進物質は、塩化ナトリウム、鉄化合物、銅化
    合物のうちのいずれか1種以上であり、これらの化合物
    の10〜40℃、0.1〜20%溶液に試験体を5秒間
    〜2分間浸漬後、乾燥させて前記腐食促進物質を析出付
    着させることを特徴とするアルミニウム材料の耐食性試
    験方法。
  2. 【請求項2】 試験体に腐食液を噴霧する腐食液噴霧ス
    テップ、試験体を乾燥環境に保持する乾燥ステップ、試
    験体を湿潤環境に保持する湿潤ステップにより構成され
    るサイクル試験を行う試験方法であって、 前記腐食液は、0.1〜10%塩化ナトリウム溶液に、
    0.01〜5%の鉄化合物、0.01〜5%の銅化合物
    のうちの1種以上を添加したものであることを特徴とす
    るアルミニウム材料の耐食性試験方法。
  3. 【請求項3】 試験体に腐食液を噴霧する腐食液噴霧ス
    テップ、試験体を乾燥環境に保持する乾燥ステップ、試
    験体を湿潤環境に保持する湿潤ステップにより構成され
    るサイクル試験を行う試験方法であって、 前記腐食液は、0.1〜10%塩化ナトリウム溶液に、
    酢酸、塩酸、硝酸または蓚酸のうちのいずれか1種以上
    の添加によりpH2〜5に調整された酸性溶液であるこ
    とを特徴とするアルミニウム材料の耐食性試験方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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