JP5630032B2 - 自動車の鋼板合わせ部用の金属材料の耐食性評価方法及び金属材料の腐食促進試験装置 - Google Patents
自動車の鋼板合わせ部用の金属材料の耐食性評価方法及び金属材料の腐食促進試験装置 Download PDFInfo
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Description
暴露試験としては、実際の環境における腐食を再現するため、暴露試験場における長期暴露試験や、自動車に試験片を取り付けて走行するOn Vehicle Test などが行われている。このような暴露試験に基づいて表面処理鋼板の製品設計をすることも行われているが、長期暴露試験は長時間を要するという問題があり、製品によっては10年以上の時間を要する。そのため、自動車等の製品設計を行う上で、使用される鋼板の寿命を短期間で予測できる耐食性評価方法の重要性が増している。
また、複合サイクル腐食試験方法が幾つか提案されている。例えば、非特許文献1には、試験片に塩水を付着させた後に、露点温度を一定(33℃)にした湿潤工程と乾燥工程とを繰り返す腐食促進試験方法が提案されている。この試験方法は、湿潤工程(35℃、相対湿度90%)7時間−移行時間1時間−乾燥工程(42℃、相対湿度60%)3時間−移行時間1時間を1サイクルとしたサイクル腐食試験である。
特許文献1には、金属材料の表面に塩化物イオンを含む塩分を付着させる工程(A)と、金属材料に温度と相対湿度をステップ状に変化させて設定した乾燥工程及び湿潤工程を行うことを1サイクルとし、このサイクルを1乃至複数回行う工程(B)からなり、工程(A)と工程(B)からなる工程を1乃至複数回行って耐食性を評価することを特徴とする金属材料の耐食性評価方法が提案されている。
また、環境条件だけでなく、自動車の形状を模擬して加工した試験片を腐食試験に用いる場合もある。自動車において、腐食が激しい代表的な部位としては、フードパネル、ドア、クオーター、ホイールハウス、サイドシルなどの鋼板合わせ部が挙げられることから、このような部位に合わせて、合わせ部形状で評価することが必要となる。例えば、鋼板合わせ部の穴あき腐食に対する耐食性は、合わせ内部特有の腐食環境を模擬するために、鋼板を重ね合わせた試験片やヘミング形状に加工した試験片が用いられる。また、自動車のプレス成型を模擬して、表面処理鋼板に張出し加工や深絞り加工を付与した試験片が腐食試験に供されている(例えば、特許文献2)。
また、非特許文献2では、自動車におけるドアヘム部を模擬した試験片を用いて腐食試験を行うことにより、ドアヘム部における鋼板の耐久性を評価している。しかし、使用される材料が本来持つ耐久性を発現する構造かどうかを決定する手段には至っていない。
非特許文献3では、自動車の腐食が発生しやすい鋼板合わせ部や袋構造部の長期防錆保証対応が示されているが、これは経験的かつ定性的な判断によるものであり、その根拠及び定量的判断については示されていない。
一方、非特許文献4には、市場走行車から採取した鉄系腐食生成物のX線回折法(内部標準法)による定量解析を行い、ドアやサイドシルなどの鋼板合わせ部では特徴的な鉄錆組成を有することを見出している。
非特許文献1では、湿潤工程時間/(乾燥工程時間+湿潤工程時間)が70%と湿潤工程時間が極めて長く、実際の使用環境における腐食現象を再現できないという問題点があった。
特許文献1では、被試験体を洗浄する工程がないことから、サイクル毎に付着される試験液に含まれる塩分が被試験体表面に蓄積してしまい、実際の使用環境を再現できないという問題があった。
このように、塩水噴霧・乾燥・湿潤等を組み合わせた複合サイクル腐食試験では実環境を適切に再現しておらず、実際の腐食環境を適切に再現した腐食促進試験法がない。更に、腐食促進試験法の種類によって材料の耐食性の序列が逆転する場合もあった。これは、材料によって耐環境性が違うため、例えば塩分の多い環境では耐食性を示すが塩分の少ない環境では耐食性が劣る材料、逆に塩分の多い環境では耐食性を示さないが塩分の少ない環境では耐食性を示す材料があるためである。
自動車の形状を模擬して加工した試験片を腐食試験に用いる場合(特許文献2、非特許文献2〜4)についても、以下の問題がある。
現在は、鋼板を重ね合わせていない平板試験片で合わせ内部特有の腐食環境を模擬することが困難であるため、合わせ部を模擬した試験片を用いている。しかし、このような合わせ部を模擬した試験片は、試験片の作製に時間がかかること、試験片を分解するまで内部の状況が不明であるため多くの試験片を準備して評価しなければならないこと、合わせ部内部には塩水の浸入が不均一であり結果がばらつく場合があること、という問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、鋼板を重ね合わせていない平板試験片を用いて、実際の自動車の鋼板合わせ部の腐食に対して相関性が高い、金属材料の耐食性評価方法及び前記耐食性評価方法を行うための金属材料の腐食促進試験装置を提供することを目的とする。
鋼板を重ね合わせていない平板試験片を用いて、自動車の鋼板合わせ部特有の腐食環境を模擬するためには、湿潤環境における雰囲気中の酸素濃度を低下させて、前記試験片を腐食環境に供して耐食性を評価することが重要となる。
[1]下記の工程(A)及び下記の工程(B)の各工程を1回以上行うことにより耐食性を評価することを特徴とする金属材料の耐食性評価方法。
工程(A):金属材料の表面に塩化物イオンを含む塩水を接触させ塩分を付着させる工程
工程(B):金属材料に対して、湿潤工程での雰囲気中の酸素濃度が0〜18体積%の範囲内で温度及び相対湿度を変化させて設定した湿潤工程と乾燥工程とを繰り返すことを1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回行う工程
湿潤工程:温度;20〜60℃、相対湿度;80〜100%、保持時間;2〜12時間
乾燥工程:温度;20〜60℃、相対湿度;75%以下、保持時間;2〜12時間
条件(C):前記工程(A)における塩分物イオンを含む塩分濃度条件
また、短期間の試験で、適切且つ高精度に金属材料の耐食性評価を行うことが可能となり、自動車の部材設計に対して特に有効な発明である。
[実施形態1]
本発明に係る耐食性評価方法について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態の一つであり、金属材料の耐食性評価を行うための腐食促進試験の工程を示す図である。図1に示される腐食促進試験では、実際の環境を模擬するために種々の環境因子を組み合わせた、下記の工程(A)及び下記の工程(B)の各工程を1回以上行う。
工程(A):金属材料の表面に塩化物イオンを含む塩水を接触させ塩分を付着させる工程。
工程(B):金属材料に対して、湿潤工程での雰囲気中の酸素濃度が0〜18体積%の範囲内で温度及び相対湿度を変化させて設定した湿潤工程と乾燥工程とを繰り返すことを1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回行う工程。
本発明において、金属材料の表面に塩分を付着させる方法としては、塩水浸漬、塩水噴霧、塩水シャワー、塩水滴下等を用いることができる。使用する塩化物イオンを含む塩水の濃度は0.01〜10質量%、前記(A)の工程の時間は10秒〜2時間として、金属材料の表面に塩化物イオンを含む塩水を接触させることが好ましい。
0.01質量%以上とすると腐食の進行が遅すぎることがなく、一方、10質量%以下とすると実際の腐食環境における腐食との相関を高くできる。
金属材料の表面に塩化物イオンを含む塩水を接触させる時間(以下、「所要時間」と称すこともある)を10秒以上とすると塩分の付着が十分であるため腐食が進行しないことがない。2時間以下とすると試験片を塩水に接触させたときの塩水溶液による試験片の腐食の進行が大きくなりすぎることがなく、実際の腐食環境における腐食との相関が高くなり好ましい。
また、塩水の流量分布が均等となることから、塩水噴霧を選択することが好ましい。塩水噴霧に用いるスプレーノズルの種類としては、一流体スプレーノズル(圧力をもって送られる液体が微細化して噴霧されるノズル)、二流体スプレーノズル(圧搾空気等の高速の流体を利用して液体を微細化するノズル)等がある。二流体スプレーノズルにも液体の供給方式の違いにより、液加圧タイプ(液体を加圧して二流体ノズルに供給)、サクションタイプ(圧搾空気の力で液体を吸い上げて噴霧)がある。また、塩水を用いることからノズルの材料はステンレス等の耐食金属を用いることが好ましい。
工程(B)では、金属材料に対して、湿潤工程での雰囲気中の酸素濃度が0〜18体積%の範囲内で温度及び相対湿度を変化させて設定した湿潤工程と乾燥工程とを繰り返すことを1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回行う。
(B)の湿潤工程と乾燥工程を繰り返す工程において、湿潤工程及び乾燥工程は、互いに異なる温度、相対湿度に設定される。湿潤工程から乾燥工程へ移行(又は逆方向に移行)すると、温度と相対湿度が設定変更される。この設定変更はステップ状に変更されることが好ましい。本発明においてステップ状に変更するとは、後述する移行時間を30分未満として温度と相対湿度を変更する場合を意味する。
(B)の工程において、少なくとも1回の湿潤工程における雰囲気中の酸素濃度は0〜18体積%の範囲とし、好ましくは酸素濃度が0〜10体積%、より好ましくは0〜5体積%以下とする。
これは、試験槽内の雰囲気中の酸素濃度を低下させることにより(大気中の酸素濃度は通常20.9体積%程度)、鋼板を重ね合わせていない平板試験片でも合わせ内部特有の腐食環境を模擬することを可能とするためである。その結果、合わせ部を模擬した試験片に比べて試験片の作製の時間が短くなる。試験片を分解しなくても内部の腐食状況が観察できるため試験片の数を減らすことができる。さらには、塩水の付着が均一に管理しやすいため、試験結果のバラツキが小さくなる。また、雰囲気中の酸素濃度の調整は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスに酸素を混合して行えばよく、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスと大気を混合して調整しても良い。試験槽内への空気を流し入れる際には空気を加湿することが好ましい。空気を加湿しない場合、乾燥した空気により試験槽内の相対湿度が低下することがあるためである。空気を加湿する方法は特に限定しないが、水中で空気をバブリングして加湿する方法、水蒸気を混合する方法などが挙げられる。
湿潤工程の相対湿度は80〜100%が好ましい。湿潤工程の相対湿度が80%未満であると湿潤の影響が不十分となり評価に時間がかかる場合がある。塩化物の中で塩化ナトリウムは飽和臨界蒸気圧が最も高く相対湿度換算で約75〜78%である。したがって、相対湿度を80%以上にしておくといずれの塩化物も表面は化学凝縮作用により湿潤状態を保つことができる。一方、相対湿度が100%を超えると結露によって生成した水膜厚さが厚くなりすぎて付着塩分が流されやすくなる。
湿潤工程の条件において、保持時間は2〜12時間が好ましい。保持時間が2時間未満では、試験槽内の腐食環境が一定にならず試験槽内の場所によって試験結果のばらつきが大きくなったり、複数の試験装置で評価する場合に腐食環境に差が生じ、試験結果にばらつきが生じたりする。一方、12時間を超えると、実際の腐食環境と合わなくなり、更に耐食性の評価に長時間を要することになる。
乾燥工程の相対湿度は75%以下が好ましい。自動車の使用される環境で腐食に影響を及ぼす塩の中で飽和臨界蒸気圧の高い塩は塩化ナトリウムである。塩化ナトリウムの飽和臨界蒸気圧は相対湿度換算で約75〜78%であり75%以下で乾燥する。そのため、自動車の使用される乾燥した環境を想定した場合、実環境における自動車用鋼板等の腐食形態を再現するためには乾燥工程の相対湿度を75%以下に設定する必要がある。また、海塩は塩化ナトリウムと塩化マグネシウムがその主成分である。塩化マグネシウムの飽和臨界蒸気圧は相対湿度換算で約30〜35%であり海塩に含まれる化学物質では最も低く乾燥しにくい。そのため、自動車の使用される環境を想定した場合、実環境における自動車用鋼板等の腐食を再現するためには乾燥工程の相対湿度をより好ましくは30%以下に設定する。
乾燥工程の保持時間は2〜12時間であることが好ましい。保持時間が12時間を越えると腐食の促進効果が小さくなり試験に時間がかかる上、実際の腐食環境と合わなくなる場合がある。保持時間が2時間未満では、試験装置内の腐食環境が一定にならず試験装置内の場所によって試験結果のばらつきが大きくなったり、複数の試験装置によって腐食環境に差が生じ、試験結果にばらつきが生じたりする場合がある。
自動車の使用される環境において、塩の種類や塩分量は使用地域や使用場所によって異なる。そして、金属材料の耐食性に及ぼす環境因子の影響は金属材料の種類によって様々である。よって、環境因子を変化させて腐食促進試験を行い、各金属材料の耐食性の特性を調べることが望ましい。図2は、3種類の金属材料において、環境因子として塩分付着量を例にとり、腐食促進試験の或る試験期間における塩分付着量と腐食量との関係を比較して示した図である。また、ここで腐食量とは、塗装膜の膨れ幅(または、単に、膨れ幅)や亜鉛めっきや下地鋼材の腐食量等を示す。図2からも明らかなように、塩分付着量と腐食量との関係を示す直線の傾きは金属材料No.1、No.2、No.3で異なり、塩分付着量水準a、b、cにおいて、金属材料No.1、No.2、No.3の腐食量の序列が入れ替わっている。
また、工程(A)における塩分付着量条件(「条件(D)」と定義する)、または、工程(B)における乾燥工程の条件と湿潤工程の条件との組み合わせからなる条件(「条件(E)」と定義する)、若しくは、条件(D)及び条件(E)の2水準以上に対して、金属材料の耐食性評価を行うことが好ましい。
図7〜図11は、本発明に係る金属材料の耐食性評価方法を行うための腐食促進試験装置の構成の一例を示す概略図である。これらの図において、符号1は窒素ガスボンベ、符号2は酸素ガスボンベ(又は大気)、符号3は試験片(金属材料)、符号4は浸漬槽、符号5は塩水、符号6はスプレー、符号7はスプレーノズル、符号8はステージである。
本発明の腐食促進試験装置は、図7〜図11に示すように、金属材料の表面に塩化物イオンを含む塩水を接触させ塩分を付着させる装置及び乾燥湿潤試験装置で構成される。そして、図7〜図11に示す各乾燥湿潤試験装置には、窒素ガスボンベ1と酸素ガスボンベ(又は大気)2が接続されており、それぞれのガスの流量を調整して、試験槽内の雰囲気中の酸素濃度を調整する。
図7に示す腐食促進試験装置では、塩分付着装置及び乾燥湿潤試験装置が別々の装置になっており、恒温恒湿槽が乾燥湿潤試験装置として設置される。塩分付着装置(塩水浸漬槽)では、試験片3(金属材料)を浸漬槽4に浸漬することで、浸漬槽4内の塩水5が試験片3(金属材料)の表面に付着する。そして、試験片3(金属材料)は、定期的に塩分付着装置、乾燥湿潤試験装置(恒温恒湿槽)の間を手動で移動する。
図8に示す腐食促進試験装置では、塩分付着装置(塩水スプレー装置)及び乾燥湿潤試験装置が別々の装置になっており、恒温恒湿槽が乾燥湿潤試験装置として設置される。塩分付着装置(塩水スプレー装置)では、スプレー6により試験片3(金属材料)に塩水5が噴霧されることで、塩水5が試験片3(金属材料)の表面に付着する。そして、試験片3(金属材料)は、定期的に塩分付着装置、乾燥湿潤試験装置(恒温恒湿槽)の間を手動で移動する。
図9に示す腐食促進試験装置では、塩分付着装置、乾燥湿潤試験装置が別々の装置になっており、恒温恒湿槽が乾燥湿潤試験装置として設置される。塩分付着装置では、スプレーノズル7によりステージ8上に置かれた試験片3(金属材料)に霧状の塩水5が噴霧されることで、塩水5が試験片3(金属材料)の表面に付着する。そして、試験片3(金属材料)は、定期的に塩分付着装置、乾燥湿潤試験装置(恒温恒湿槽)の間を手動で移動する。
図10に示す腐食促進試験装置では、塩分付着装置及び乾燥湿潤試験装置が横並びに配置されている。塩分付着装置では、スプレーノズル7によりステージ8上に置かれた試験片3(金属材料)に霧状の塩水5が噴霧されることで、塩水5が試験片3(金属材料)の表面に付着する。そして、試験片3(金属材料)は、定期的に塩分付着装置、乾燥湿潤試験装置(恒温恒湿槽)の間を自動的に移動する。
図11に示す腐食促進試験装置では、塩分付着装置及び乾燥湿潤試験装置が一体装置となっており、定期的に塩分付着を行い、その後、乾燥工程及び湿潤工程の繰り返しを行う。
冷間圧延鋼板(板厚0.8mm)を150mm×70mmに切断し、有機溶剤中で超音波脱脂した後、端面と裏面をシールテープで被覆し、評価面を120mm×50mmとした。表1〜表4に示す条件で、工程(A)(塩分付着工程)、工程B(乾燥工程と湿潤工程との繰り返し)を順次行う耐食性評価試験を施した(本発明例1〜25)。また、比較のために、表5に示す条件で耐食性評価試験を施した(比較例1〜3)。
腐食試験後の腐食生成物をカッターナイフとワイヤーブラシを用いて採取した。腐食生成物中の鉄系酸化物(鉄錆)量をX線回折法の内部標準法による定量解析により測定した。X線回折法の内部標準法は、既知の内部標準物質と検体とを一定の割合で混合して、この内部標準物質に対する各成分の強度比から含有率を求める方法である。定量解析の鉄系酸化物は、α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOH、Fe3O4の4種を対象とした。内部標準物質としては鉄系酸化物とX線パターンが重ならず、また化学的に安定なCaF2を適用した。また、定量解析では、腐食生成物とCaF2とを5対1に混合した。結晶性の鉄系酸化物の成分比の総和を全量(100%)から差し引いた値を非晶質な腐食生成物の成分量とした。得られた結果を表6に示す。また、表6の結果を基に、鉄系酸化物の酸化還元反応を考慮した以下の分類による3元に整理した結果を図12に示す。
I:「α-FeOOH」
II:「Fe3O4+γ-FeOOH」
III:「β-FeOOH+非晶質」
さらに、表6では、図12において、得られた腐食生成物の組成が、北米融雪塩散布地域を走行した実車の鋼板合わせ部から採取した腐食生成物の範囲内である場合を実車再現性あり:○、該範囲外である場合を、実車再現性なし:×と評価した。
2 酸素ガスボンベ(又は大気)
3 試験片(金属材料)
4 浸漬槽
5 塩水
6 スプレー
7 スプレーノズル
8 ステージ
Claims (7)
- 下記の工程(A)及び下記の工程(B)の各工程を1回以上行うことにより耐食性を評価することを特徴とする自動車の鋼板合わせ部用の金属材料の耐食性評価方法。
工程(A):金属材料の表面に塩化物イオンを含む塩水を接触させ塩分を付着させる工程
工程(B):金属材料に対して、湿潤工程での雰囲気中の酸素濃度が0〜18体積%の範囲内で温度及び相対湿度を変化させて設定した湿潤工程と乾燥工程とを繰り返すことを1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回行うとともに、前記湿潤工程を先に行いその後に前記乾燥工程を行う工程 - 前記工程(A)は、塩水浸漬、塩水噴霧、塩水シャワー、塩水滴下のいずれか一つ以上により、塩水の濃度:0.01〜10質量%で、時間:10秒〜2時間で行うことを特徴とする請求項1に記載の自動車の鋼板合わせ部用の金属材料の耐食性評価方法。
- 前記工程(A)は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、海塩、人工海水、塩化ナトリウム−塩化マグネシウム混合物、塩化ナトリウム−塩化カルシウム混合物、塩化マグネシウム−塩化カルシウム混合物のいずれか一つ以上を含む塩水を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動車の鋼板合わせ部用の金属材料の耐食性評価方法。
- 前記工程(B)において、湿潤工程及び乾燥工程は下記の条件範囲内で行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の自動車の鋼板合わせ部用の金属材料の耐食性評価方法。
湿潤工程:温度;20〜60℃、相対湿度;80〜100%、保持時間;2〜12時間
乾燥工程:温度;20〜60℃、相対湿度;75%以下、保持時間;2〜12時間 - 前記工程(B)において、湿潤工程と乾燥工程の間には、30分〜2時間の移行時間を設けることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の自動車の鋼板合わせ部用の金属材料の耐食性評価方法。
- 下記の条件(C)の2水準以上について、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の金属材料の耐食性評価方法を行うことを特徴とする自動車の鋼板合わせ部用の金属材料の耐食性評価方法。
条件(C):前記工程(A)における塩分物イオンを含む塩分濃度条件 - 請求項6に記載の金属材料の耐食性評価方法により2水準以上で耐食性を評価し、該評価結果に基づき、前記水準間を外れる領域での耐食性を外挿して評価することを特徴とする、自動車の鋼板合わせ部用の金属材料の耐食性評価方法。
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