JP4218280B2 - 家電用鋼板および家電向電気電子部品用鋼板の耐食性評価方法 - Google Patents

家電用鋼板および家電向電気電子部品用鋼板の耐食性評価方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、OA機器(複写機、パソコン等)、AV機器(テレビ、ビデオ等)、冷蔵庫、洗濯機等の家電用鋼板および家電向電気電子部品用鋼板(以下、家電用鋼板等と略す。)の耐食性評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
家電用鋼板等の種類としては、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、化成処理鋼板、塗装鋼板等がある。中でも、化成処理鋼板としてはクロメ−ト処理材が多く使われている。これら家電用鋼板等は、家電製品に使用される際に、耐食性が評価されている。
【0003】
近年、クロメート処理材の皮膜中に含有する6価クロムが人体の健康に影響を及ぼす疑いがあるという理由からクロムフリー表面処理鋼板も検討され、既に実用化されている。今後、クロメート材からクロムフリー材への代替が増大すると予想される。
【0004】
一方、日本の家電業界各社は、環境保全・省資源の観点から、「グリーン調達制度」を制定して、家電製品のリサイクルや部品のリユースの推進を図っており、製品や部品の使用期間が延長されるようになることから、製品の寿命設計がさらに重要になる。
【0005】
以上のように、クロムフリー材等の新しい材料の使用拡大、市場の国際化、リユースなどにより使用期間の延長が図られている。
【0006】
暴露試験に基づいて表面処理鋼板の製品設計をすることも行われているが、長期暴露試験は長時間を要するという問題があり、家電製品によっては10年以上の時間を要する。更に、家電製品の使用される環境では、一般に腐食速度が小さいため定量的なデータが少ない。特に、クロムフリー材等の新しい材料では使用実績が短く、長期耐食データがないという問題点もある。そのため、家電製品等の製品設計を行う上で、家電製品に使用される鋼板の寿命を短期間で予測できる耐食性評価方法の重要性が増している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の家電製品向けの鋼板の耐食性評価方法としては、塩水噴霧試験等の腐食促進試験と、家電製品の実際の使用環境における長期暴露試験が行われてきた。しかしながら、長期暴露試験には前記問題点があり、塩水噴霧試験は家電製品の使用されている実際の腐食環境との相関が低いと考えられ、長期寿命との相関も不明である。
【0008】
また、塩水噴霧・乾燥・湿潤等を組み合わせた複合サイクル試験が数多く開発されてきた。しかし、従来の複合サイクル試験も実環境を適切に再現しておらず、実際の腐食環境を適切に再現した腐食促進試験法がない。更に、腐食促進試験法の種類によって材料の耐食性の序列が逆転する場合もあった。これは、材料によって耐環境性が違うため、例えば塩分の多い環境では耐食性を示すが塩分の少ない環境では耐食性が劣る材料、逆に塩分の多い環境では耐食性を示さないが塩分の少ない環境では耐食性を示す材料があるためである。
【0009】
家電製品が使用される環境では、塗装冷延鋼板に糸状さびが発生し、塗装亜鉛めっき鋼板ではブリスター(水疱状の塗膜膨れ)が発生しない。しかし、従来の塩水噴霧試験や複合サイクル試験では、塗装冷延鋼板に糸状さびが発生せず、塗装亜鉛めっき鋼板ではブリスターが発生し、実際の家電製品の腐食環境を再現できていない。また、実際の環境では塗装亜鉛めっき鋼板は塗装冷延鋼板に比べて耐食性が良いが、従来の塩水噴霧試験や複合サイクル試験では塗装亜鉛めっき鋼板と塗装冷延鋼板の耐食性が逆転する場合があった。
【0010】
家電製品の使用環境も多種多様であり、塩分量の多い屋外環境、温度の高い屋外環境、湿度の高い屋内環境、塩分量が小さく湿度が低い屋内環境などが挙げられる。これらの使用環境に対して塩水噴霧試験等の1種類の腐食促進試験により評価することは、耐食性が不足する場合や過剰品質になる場合もあった。
【0011】
前記問題点を改善する複合サイクル試験方法が提案されている。
【0012】
(1)VOLVO Corporate Standard STD 1027,1375(established 1995-06 JB)では、試験片に塩水を付着させた後に、露点温度を一定にした湿潤工程と乾燥工程を繰り返す促進試験方法が提案されている。本試験方法は湿潤工程(35℃、RH90%)7時間−移行時間1時間−乾燥工程(42℃、RH60%)3時間−移行時間1時間 を1サイクルとしたサイクル腐食試験である。しかし、本試験は湿潤工程時間/(乾燥工程時間+湿潤工程時間)が70%と極めて長く、家電製品が使用されている環境とは異なっているために、実際の使用環境における腐食現象を再現できないという問題があった。
【0013】
(2)材料と環境 第49巻 第2号 p.72(2000)では、試験片に塩水を付着させた後に露点温度を一定にした湿潤工程と乾燥工程を繰り返す海岸付近の腐食環境を模擬した腐食試験を実施している。この試験条件は乾燥工程(20℃、65%)11時間−移行時間1時間−湿潤工程(13℃、95%)11時間−移行時間1時間 を1サイクルとするものである。しかし、本腐食試験を家電用鋼板等の耐食性評価方法として用いた場合、温度が低く促進性が低いこと、乾燥工程の湿度が65%と高く乾燥が不十分であり、家電製品が使用されている環境を模擬していないという問題があった。
【0014】
(3)特開平10-253524号公報では、試験片に塩水を付着させた後に、実際の腐食環境を模擬して試験片に連続的な温度変化を与え乾燥と湿潤を繰り返す促進試験方法が提案されている。本試験方法によれば、対象となる環境を再現できるかもしれないが、指定された環境毎に試験サイクルを組まなければならず、汎用性に欠ける。また、サイクルが複雑で、条件設定に時間がかかるという問題があった。
【0015】
(4)特開昭56-79237号公報では、試験片の表面に水溶性塩類および固形粒子を付着させ、水溶性塩分の成分と付着量を変化させることにより腐食環境条件の影響を制御する耐食性試験法が提案されている。しかし、塩分量の多い厳しい腐食環境(例えば、NaCl付着量:1、5、10mg/cm)のみで試験を実施しており、実環境に近いマイルドな腐食環境における評価については記載されていない。
【0016】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、実環境を模擬した家電用鋼板等の耐食性評価方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の手段は次のとおりである。
【0018】
(1)下記(A)の工程と下記(B)の工程とからなる工程を複数回繰り返えして耐食性を評価する家電用鋼板等の耐食性評価方法であり
(A)被試験体の表面に塩化物イオンを含む塩分を7日間に1回乃至1日間に1回付着させる工程。
【0019】
(B)被試験体に温度と相対湿度をステップ状に変化させて設定した、乾燥工程を先に行い、その後に湿潤工程を行うことを1サイクルとする工程であって、このサイクルを複数回行う工程。
【0020】
前記(A)の工程は、海塩、人工海水、塩化ナトリウム−塩化マグネシウム混合物の溶液から選択された塩水を用いた、塩水浸漬、塩水噴霧、または塩水滴下によりおこない、被試験体の表面に付着させる塩化物イオンを含む塩分の付着量を0.1〜10000mg/mの範囲で設定し、前記(A)の工程の時間は10分以内として、塩水溶液による被試験体の腐食を進行させず、
前記(B)の工程の乾燥工程と湿潤工程の露点変動が±5℃以内に設定され、乾燥工程時間≧湿潤工程時間、かつ、乾燥工程は、温度40〜60℃、相対湿度40%以下、保持時間2〜12時間、湿潤工程は、温度20〜60℃、相対湿度80〜96%、保持時間2〜12時間の範囲から設定した1つの条件で耐食性を評価することを特徴とする家電用鋼板および家電向電気電子部品用鋼板の耐食性評価方法。
【0021】
(2)前記(A)の工程で被試験体の表面に付着させる塩化物イオンを含む塩分の付着量を2水準以上設定し、前記で設定した水準毎に請求項1に記載の方法で耐食性を評価することを特徴とする家電用鋼板および家電向電気電子部品用鋼板の耐食性評価方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0023】
本発明に係る家電用鋼板等の耐食性評価方法について、図1を参照して説明する。図1は、本発明法で耐食性評価を行うための腐食促進試験の工程を説明する図である。図1に示される腐食促進試験は、実際の環境を模擬するために、種々の環境因子を組み合わせた、下記(A)の工程と下記(B)の工程とからなる工程を1乃至複数回繰り返えして行う。
【0024】
(A)被試験体の表面に塩化物イオンを含む塩を付着させる工程。
【0025】
(B)被試験体に温度と相対湿度をステップ状に変化させて設定した乾燥工程と湿潤工程を行うことを1サイクル(単位サイクル)とし、このサイクルを1乃至複数回行う工程。
【0026】
(A)の工程の塩分付着方法は特に限定されず、塩水浸漬、塩水噴霧、塩水滴下等の方法を用い、使用する溶液の塩分濃度を変化させればよい。家電製品の使用される環境では飛来海塩が製品の腐食に影響を及ぼすことから、使用する塩水としては海塩または人工海塩、塩化ナトリウム−塩化マグネシウム混合物、塩化ナトリウムの溶液を用いる。
【0027】
(A)の工程の塩分付着方法において、被試験体の表面に付着させる塩化物イオンを含む塩分の付着量は、0.1〜10000mg/mの範囲で設定される。これは、エアコン室外機などの家電製品が使用される屋外環境における塩分付着量は、沖縄などの塩害地域の場合10〜10000mg/mの範囲であり、内陸部など比較的塩分の少ない地位の場合1〜100mg/mの範囲であり、テレビ、VTRなどの家電製品が使用される屋内環境における付着塩分量は0.1〜10mg/mの範囲であることから、家電製品の使用される環境の付着塩分量は0.1〜10000mg/mの範囲で設定すればよい。
【0028】
(A)の工程の塩分付着方法において、塩水浸漬等により試験片を塩水に接触させる時間は10分以内である。10分を越えて試験片を塩水に接触させると塩水溶液による試験片の腐食が進行することがあり、実際の腐食環境における腐食との相関が低くなる恐れがあるためである。
【0029】
家電製品の使用される環境において、付着塩分量は使用地域や使用場所によって異なる。家電用鋼板等の耐食性に及ぼす付着塩分量の影響は材料の種類によって様々であることから、付着塩分量を変化させて腐食促進試験を行うことにより、材料の耐食性の特性を調べることが望ましい。
【0030】
図2は腐食促進試験の或る試験期間における付着塩分量と腐食量の関係を示した特性図である。ここで腐食量とは、塗膜の膨れ幅(又は、単に、膨れ幅)や亜鉛めっきや下地鋼材の腐食量などを示す。そのため、家電製品の腐食に及ぼす塩分付着量の影響を調べるために、(A)の工程の付着塩分量は少なくとも2水準以上の条件で行うことが望ましい。
【0031】
材料A、B、Cの付着塩分量と腐食量との関係の直線の傾きは異なり、付着塩分量a、b、cにおいて材料A、B、Cの腐食量の序列が入れ替わっている。このように、ひとつの試験条件で腐食促進試験を行うことは耐食性評価の判断を間違う可能性があり、環境因子を変化させて腐食促進試験を行うことにより、材料の耐食性の特性を調べることができる。
【0032】
一方、実際の腐食環境における環境因子は、従来の腐食促進試験法に比べてマイルドである。例えば、実際の腐食環境における付着塩分量は腐食促進試験における付着塩分量に比べて少ない場合が多い。そこで、付着塩分量の少ない腐食促進試験を行うことが好ましいが、腐食速度が小さく評価に時間がかかるという問題がある。そこで、付着塩分量の多い条件を含む少なくとも2水準以上の付着塩分量を設定し腐食促進試験を行い、付着塩分量の少ない腐食環境における腐食量を外挿によりも求めることができる。
【0033】
(B)の乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程は、実際の環境における昼夜の温度差による夜間の結露現象を模擬しているため、露点温度一定条件とする。例えば、図3中、条件1、条件2で示されるような露点温度一定条件とする。なお、図3中に示される曲線は露点温度が一定となる温度(℃)−相対湿度(%)の関係曲線である。ここで、露点温度とは空気中の水蒸気の圧力が飽和蒸気圧に等しくなる温度である。
【0034】
乾燥工程、湿潤工程は、互いに異なる温度、相対湿度に設定される。乾燥工程から湿潤工程へ移行(又は逆方向に移行)すると、温度と相対湿度がステップ状に設定変更される。乾燥工程から湿潤工程までの移行時間、湿潤工程から乾燥工程までの移行時間をあらかじめ設定してもよい。これは、移行時間を設定しない場合、試験装置によって乾燥工程から湿潤工程までの移行時間や、湿潤工程から乾燥工程までの移行時間に差が生じ、試験結果のばらつきが生じることがあるためである。
【0035】
(A)の工程で付着された塩分が(B)の工程で金属材の表面からすぐに流出してしまうことを防止する観点から、(B)の工程は、先ず乾燥工程を行うことが好ましい。また、(A)の工程で付着させた塩分を乾燥させた後、(B)の工程を行ってもよい。
【0036】
乾燥工程と湿潤工程は、露点温度一定条件とするが、これは、乾燥工程と湿潤工程の露点変動が±5℃以内に設定されることを意味している。
【0037】
乾燥工程と湿潤工程の条件について、家電製品が使用される環境の場合、乾燥時間≧湿潤時間であり、湿潤時間は12時間以内である。これは、家電製品の使用される屋外の環境や屋内の乾燥した環境を想定した場合、湿潤時間が長くなると家電用鋼板等の腐食形態や耐食性の序列が実際の腐食環境と合わなくなるためである。例えば、家電製品の使用される環境では、塗装冷延鋼板に糸状さびが発生し、塗装亜鉛めっき鋼板ではブリスターが発生しない。しかし、乾燥時間<湿潤時間であり、あるいは湿潤時間が12時間を越えると、塗装冷延鋼板に糸状さびが発生せず、塗装亜鉛めっき鋼板ではブリスターが発生し、実際の家電製品の腐食形態を再現できなくなる。また、乾燥時間は12時間以内である。乾燥時間が12時間を越えると腐食の促進効果が小さくなり試験に時間がかかる。
【0038】
乾燥工程の条件について、乾燥温度は40〜60℃に設定する。これは、家電製品の使用される環境を想定した場合、乾燥温度が60℃を超えると家電用鋼板等の腐食形態や耐食性の序列が実際の腐食環境と合わなくなる場合があるからである。家電用鋼板等としては主に亜鉛系めっき鋼板が使用され、これは亜鉛が鉄に対して犠牲溶解し鉄を防食する機能を有している。しかし、温度が60℃を超えると鉄が亜鉛に対して犠牲溶解する傾向があり、60℃を超えることが少ない実際の環境と異なった腐食現象を呈してしまう場合があるためである。また、乾燥温度が40℃未満では腐食の促進効果が小さく試験に時間がかかる。
【0039】
乾燥工程の条件について、相対湿度は40%以下とする。家電製品の使用される環境では飛来海塩が製品の腐食に影響を及ぼし、その海塩は塩化ナトリウムと塩化マグネシウムがその主成分である。塩化ナトリウムの飽和臨界蒸気圧は相対湿度換算で約75〜78%であり80%以下で乾燥するが、塩化マグネシウムの飽和臨界蒸気圧は相対湿度換算で約30〜35%であり海塩に含まれる化学物質では最も低く乾燥しにくい。そのため、家電製品の使用される屋外の環境や屋内の乾燥した環境を想定した場合、実環境における家電用鋼板等の腐食形態を再現するためには乾燥工程の相対湿度を40%以下に設定する必要がある。
【0040】
湿潤工程の条件について、温度と相対湿度は乾燥工程の条件との露点変動が±5℃以内になるように設定すればよいが、温度は20〜60℃に設定する。温度が20℃未満では腐食の促進効果が小さく試験に時間がかかり、温度が60℃を超えると鉄が亜鉛に対して犠牲溶解する傾向があり、60℃を超えることが少ない実際の環境と異なった腐食現象を呈してしまう場合があるためである。
【0041】
湿潤工程の条件について、相対湿度は80〜96%の範囲内である。湿潤工程の相対湿度が80%未満であると湿潤の影響が不十分となり評価に時間がかかるためである。塩化物の中で塩化ナトリウムは飽和臨界蒸気圧が相対湿度換算で約75〜78%である。したがって、いずれの塩化物も相対湿度を80%以上にしておくと表面は化学凝縮作用により湿潤状態を保つことができる。また、相対湿度が96%を超えると結露によって生成した水膜厚さが厚くなりすぎて付着塩分が流されやすくなるためである。
【0042】
乾燥工程と湿潤工程の条件において、乾燥時間と湿潤時間はいずれも2時間以上である。乾燥時間または湿潤時間が2時間未満では、ひとつの試験装置内の腐食環境が一定にならず試験装置内の場所によって試験結果のばらつきが大きくなることがあること、複数の試験装置によって腐食環境に差が生じ、試験結果のばらつきが生じることがあるためである。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1〜13)
表1〜表6中の実施例1〜13に示す塩分付着工程、乾燥工程、湿潤工程の試験条件で塗装冷延鋼板と塗装亜鉛めっき鋼板の耐食性評価を行った。比較として、表7〜表8中の比較例1〜6に示す試験条件で塗装冷延鋼板と塗装亜鉛めっき鋼板の耐食性評価を行った。ここで、家電製品の使用される環境では、塗装冷延鋼板に糸状さびが発生し、塗装亜鉛めっき鋼板ではブリスターが発生しない。
【0045】
【表1】
Figure 0004218280
【0046】
【表2】
Figure 0004218280
【0047】
【表3】
Figure 0004218280
【0048】
【表4】
Figure 0004218280
【0049】
【表5】
Figure 0004218280
【0050】
【表6】
Figure 0004218280
【0051】
【表7】
Figure 0004218280
【0052】
【表8】
Figure 0004218280
【0053】
表9に示すように、実施例1〜13の試験条件では塗装冷延鋼板に糸状さびが発生し、塗装亜鉛めっき鋼板ではブリスターが発生しないことから、家電製品の腐食環境を再現していることが分かる。一方、比較例1〜6の試験条件では、塗装冷延鋼板に糸状さびが発生せず、塗装亜鉛めっき鋼板ではブリスターが発生していることから、家電製品の腐食環境を再現していないことが分かる。
【0054】
【表9】
Figure 0004218280
【0055】
(実施例14)
図4は、塩分量を3水準に設定した腐食促進試験の試験条件を示す図である。塩分付着方法として10分間の塩水浸漬を週2回行い、使用する塩水は人工海水を希釈して準備した。人工海水の塩水濃度(質量%)は3%、0.3%、0.03%の3水準である。なお、予備試験の結果、各塩分濃度に浸漬した後の付着塩分量はそれぞれ、0.6、0.06、0.006g/mであった。また、乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程は露点温度一定条件として、図4の条件を設定し、乾燥と湿潤の間には1時間の移行時間を設定した。
【0056】
図5は、図4に示した条件の腐食促進試験(塩水濃度3%:付着塩分量0.6g/m)により得られた塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅と試験時間との関係を示した特性図である。このようなデータが試験条件毎に作成される。
【0057】
図6は、試験期間28日の塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅と付着塩分量の関係を示した図である。付着塩分量が多くなるほど腐食量が大きくなっており、付着塩分量の対数と塗膜の膨れ幅の対数は良好な直線関係があることが分かる。また、付着塩分量に対応した膨れ幅を求めることができ、例えば塩分付着量が0.1g/mにおける塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅はそれぞれ、0.9、1.7、0.5mmである。ここで、腐食速度が小さく評価に時間がかかる付着塩分量の少ない範囲も直線を外挿することができ、例えば塩分付着量が0.001g/mにおける塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅はそれぞれ、0.02、0.05、0.1mmである。
【0058】
このように、家電製品の使用される環境を模擬した腐食試験条件により家電用鋼板等の適切な耐食性評価を行うことができるだけでなく、対象となる家電製品の使用される環境の付着塩分量に対応した耐食性評価を把握することができる。
【0059】
(実施例15)
実施例14と同じ試験条件で、3水準の塩分量を4水準に変更して腐食促進試験を行い、化成処理鋼材A、B、Cの耐食性評価を行った。ここで、人工海水の塩水濃度(質量%)は3%、0.3%、0.03%、0.003%の4水準である。なお、予備試験の結果、各塩分濃度に浸漬した後の付着塩分量はそれぞれ、0.6、0.06、0.006、0.0006g/mであった。
【0060】
図7は、付着塩分量と化成処理鋼材A、B、Cの白さび発生日数との関係を示した図である。試験期間は60日まで実施しており、化成処理鋼材Cについては塩分付着量0.0006g/mの条件では60日間で白錆が発生していない。付着塩分量が大きいほど白さび発生日数が短くなっており、付着塩分量の対数と白さび発生日数の対数は良好な直線関係があることが分かる。ここで、化成処理鋼材Cについては塩分付着量0.0006g/mの条件では60日間で白錆が発生していないので、付着塩分量の多い条件の結果(3点)に基づいて白さび発生時間を外挿して求めることもできる。
【0061】
このように、家電製品の使用される環境を模擬した腐食試験条件により家電用鋼板等の適切な耐食性評価を行うことができるだけでなく、付着塩分量が少ないため腐食速度が小さく評価に時間がかかる場合でも付着塩分量の多い条件の試験結果から外挿して評価することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、家電製品の使用環境における適用可能範囲を明らかにすることができ、短期間の試験で、且つ適切な家電用鋼板等の耐食性評価が可能になる。なお、本発明は、家電製品の部材設計に特に有効な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐食性評価を行うための腐食促進試験工程を示す図。
【図2】腐食促進試験法の或る試験期間における付着塩分量と腐食量の関係を示した特性図。
【図3】本発明法において、腐食促進試験の乾燥工程と湿潤工程の条件を説明する図。
【図4】実施例14において、塩分量を3水準に設定した腐食促進試験の試験条件を示す図。
【図5】図5に示した条件の腐食促進試験(塩水濃度3%:付着塩分量0.6g/m)により得られた塗装鋼材A,B,Cの膨れ幅と試験時間との関係を示した特性図。
【図6】試験期間28日の塗装鋼材A,B,Cの膨れ幅と付着塩分量の関係を示した図。
【図7】付着塩分量と化成処理鋼板A,B,Cの白さび発生日数との関係を示した特性図。

Claims (2)

  1. 下記(A)の工程と下記(B)の工程とからなる工程を複数回繰り返えして耐食性を評価する家電用鋼板および家電向電気電子部品用鋼板の耐食性評価方法であり、
    (A)被試験体の表面に塩化物イオンを含む塩分を7日間に1回乃至1日間に1回付着させる工程。
    (B)被試験体に温度と相対湿度をステップ状に変化させて設定した、乾燥工程を先に行い、その後に湿潤工程を行うことを1サイクルとする工程であって、このサイクルを複数回行なう工程。
    前記(A)の工程は、海塩、人工海水、塩化ナトリウム−塩化マグネシウム混合物の溶液から選択された塩水を用いた、塩水浸漬、塩水噴霧、または塩水滴下によりおこない、被試験体の表面に付着させる塩化物イオンを含む塩分の付着量を0.1〜10000mg/mの範囲で設定し、前記(A)の工程の時間は10分以内として、塩水溶液による被試験体の腐食を進行させず、
    前記(B)の工程の乾燥工程と湿潤工程の露点変動が±5℃以内に設定され、乾燥工程時間≧湿潤工程時間、かつ、乾燥工程は、温度40〜60℃、相対湿度40%以下、保持時間2〜12時間、湿潤工程は、温度20〜60℃、相対湿度80〜96%、保持時間2〜12時間の範囲から設定した1つの条件で耐食性を評価することを特徴とする家電用鋼板および家電向電気電子部品用鋼板の耐食性評価方法。
  2. 前記(A)の工程で被試験体の表面に付着させる塩化物イオンを含む塩分の付着量を2水準以上設定し、前記で設定した水準毎に請求項1に記載の方法で耐食性を評価することを特徴とする家電用鋼板および家電向電気電子部品用鋼板の耐食性評価方法。
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