JP4767887B2 - 船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法 - Google Patents

船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法 Download PDF

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Description

本発明は、船舶バラストタンク環境で使用される鋼材等の金属材料の耐食性を実験室的にしかも短時間で評価することのできる、船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法に関する。
船舶で最も腐食する部位のひとつとして船舶バラストタンクが挙げられる。船舶バラストタンクは、船舶の喫水を保つために海水を出し入れするタンクである。この船舶バラストタンク内壁鋼材の腐食環境は、大きく2つに分けられる。その一つは、船舶バラストタンク内の大部分を占めるタンク底板のような、海水の出し入れで、海水浸漬環境と湿潤環境とが繰り返される環境である。もう一つは、デッキ裏鋼板やデッキ裏ロンジのように、船舶バラストタンク内に海水が導入されても、海水浸漬環境にならず、船舶運航中のローリング等で海水付着が生じる海水付着環境と湿潤環境の繰り返しとなる環境である。
船舶バラストタンク内壁鋼材の防食には、鋼材の表面を100〜300μmのタールエポキシ樹脂または変性タールエポキシ樹脂で保護する重防食や、さらには亜鉛系合金での犠牲金属による電気防食が併用される。
また、船舶バラストタンクには、船舶建造工程での鋼板の仮置き時の腐食を防ぐことを主目的とする亜鉛系のプライマが製鉄所または造船所にて鋼板表面に塗布される。船舶のブロック建造時、鋼板表面から赤錆の発生が観察されない限り、さび落としとなる2次処理は行わない。従って、亜鉛系のショッププライマは、溶接ヒュームなどの影響を受けず、腐食が顕著でない大部分は建造後もそのまま残され、上層にタールエポキシ樹脂または変性タールエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂が塗布される場合が主となる。
船舶バラストタンク内デッキ裏は薄水膜下腐食となり、薄水膜であるが故、犠牲陽極での犠牲防食の効果は期待できない。船舶バラストタンクの防食方法については、ほぼ30年来変化しておらず、塗装のアプリケーションでのばらつきはあるが、およそ10〜15年で塗装による防食寿命が尽き、再塗装、または鋼板の切替となる。これまで、船舶バラストタンクの防食寿命延長化を目指し、様々な船舶バラストタンクを模擬した腐食試験法が提案されてきた。例えば、特許文献1に、実際の海水配管や船舶バラストタンクの腐食状況を把握するための腐食試験装置が開示されている。
実開平07−008756号公報
しかしながら、特許文献1で実施例として開示された、船舶のバラストタンク腐食を模擬した試験は、温度40℃の人工海水と温度40℃、湿度100%の大気に繰り返し曝されるようにした一試験水準のみの腐食評価試験であるため、船舶バラストタンク内環境の温度、相対湿度が、航路、昼夜、タンクによって大きく変動する実環境を模擬した試験としては不十分なものと言わざるを得ない。また、船舶のバラストタンクの腐食を模擬した試験には、実際の船舶バラストタンクで採用されている亜鉛系金属による電気防食の影響も考慮すべき場合があるが、上記特許文献1に記載の試験では、電気防食については何ら考慮されていない。
さらに、本発明者らの調査によれば、デッキ裏は、海水の付着はあり得るが、海水浸漬は生じず、さらに、浸漬環境と湿潤環境の繰り返しが生じるデッキ裏以外の環境でも、タンク内鋼板は、湿潤環境時、各々の相対湿度に応じて吸湿量が変化するため、鋼板表面での塩濃度が大きく変わることが判明した。その結果、船舶バラストタンク内の鋼板の腐食速度が大きく変化することは容易に推測できるうえ、船舶バラストタンク内の環境は、相対湿度100%のみの環境とは異なる環境と考えられることから、上記特許文献1に記載の試験では、船舶バラストタンク用の金属材料の耐食性を十分評価できないという問題があった。
また、本発明者らの別の調査によれば、実船舶バラストタンク内壁鋼材からは、上記特許文献1に記載の試験では開示されていない亜鉛を多く含んだ鉄錆が観察され、また、上記特許文献1に記載の試験で高耐食性を示す金属材料が実バラストタンク環境では必ずしも優れた耐食性を示さないことが判明している。このように、上記特許文献1に記載の試験では、船舶バラストタンク用の金属材料の耐食性を十分評価できないという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題点を有利に解決するために、船舶バラストタンク環境を部位ごとにより正確に模擬し、実験室的にしかも短時間で評価することのできる、船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法を提供することを目的とする。
本発明は、以上のような検討に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1) 空荷での一航海中のバラストタンク内の海水浸漬環境を模擬するように、0℃から60℃の温度範囲で任意に変動させ昇温と降温を行う温度変動パターンを持たせた海水または人工海水の浸漬環境工程と、実荷での一航海中のバラストタンク内の湿潤環境を模擬するように、温度を0℃から80℃の範囲で任意に決定して保持し、かつ、相対湿度を25%から100%の範囲で任意に変動させ湿度の上昇と下降を行う湿度変動パターンを持たせた湿潤環境工程との2つの工程で1往復の航海を模擬し、これら2つの工程を交互に繰り返して金属材料試験片に付与することを特徴とする、船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法。
(2) 前記海水または人工海水の浸漬環境工程に代えて、空荷での一航海中のバラストタンク内の海水付着環境を模擬するように、温度を0℃から80℃の範囲で任意に決定して保持し、相対湿度を100%に保持する環境と塩水噴霧する環境とを繰り返し、相対湿度を100%に保持する時間と塩水噴霧する時間とを任意に変動させた塩水噴霧パターンを持たせた塩水噴霧環境工程を用いることを特徴とする、上記(1)に記載の船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法。
(3) 前記海水または人工海水の浸漬環境工程で、亜鉛含有量が質量%で30%以上の亜鉛系金属を、前記金属材料試験片と電気的に接触させて配設することを特徴とする、上記(1)に記載の船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法。
(4) 前記金属材料試験片を、カセットホルダーに保持して、一度に複数枚の腐食試験を可能とすることを特徴とする、上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法。
本発明は、海水が出し入れされる船舶バラストタンク環境を模擬し、船舶バラストタンクでの腐食性、さび状態を短時間で評価することができるため、船舶バラストタンク腐食評価試験方法として好適であることから、産業上の価値は極めて高いといえる。
船舶バラストタンクでは、タンク内の温度、相対湿度が腐食に大きく影響を及ぼす。例えば、重油タンク隣接部などは、腐食が激しい部位である。重油タンクの加温により、隣接鋼板温度が高くなり、腐食が激しくなるからである。また、デッキ裏鋼板及びデッキ裏ロンジは、その他の鋼板に比べ、腐食が激しいことが知られている。これは、昼夜の温度変化に伴う結露による薄水膜下での腐食の影響が大きいためである。従って、実船舶バラストタンク環境を考慮するためには、一航海で一サイクルの、さらには、一昼夜で一サイクルの、それぞれの温度、相対湿度の変化を考慮しなければならない。
また、海水の出し入りが繰り返される船舶バラストタンク環境の腐食生成物を分析した結果、錆中には亜鉛、カルシウム、マグネシウムが多く含まれており、これらは船舶バラストタンク内壁鋼材の腐食挙動に重要な因子であることが判明した。
この腐食メカニズムについては不明な点が多いが、少なくとも、船舶バラストタンク内壁鋼材は、地鉄が露出している金属部で腐食が進行することが観察されている。この腐食挙動を具体的に考察すれば、まず、海水浸漬時に、鋼板側は電子の授受、溶液側はカルシウムイオンやマグネシウムイオン、亜鉛イオンなどのカチオン種の鋼材表面への濃縮、または、塩化物イオンなどのアニオン種の溶液沖合いへの拡散で、亜鉛系金属と船舶バラストタンク内壁鋼材の間で電気的回路が形成されて、地鉄露出部は亜鉛系金属で犠牲防食される。一方、湿潤状態では、亜鉛系犠牲金属による犠牲防食効果は起こらず、相対湿度環境での薄水膜下での腐食となる。
本発明者らは、以上のような詳細な検討の結果、亜鉛系金属が、浸漬時、犠牲防食だけでなく、カルシウム、マグネシウムの酸化物を鋼板表面に付着させ、この付着物が湿潤時の鋼板表面の防食状態形成に寄与すること、さらに、亜鉛系金属が、上記電気回路により、塩基性塩化亜鉛を形成することで、防食性を向上させることを明らかにした。結局のところ、亜鉛系金属は、不明な点が多いが、温度、相対湿度同様に腐食状態、腐食挙動を大きく左右する因子として考えられる。
以下に、本発明の特定事項について説明する。
試験槽の溶液は、実環境を模擬するために、実海水または実海水を模擬した人工海水とする。
また、バラストタンク内壁鋼材の腐食環境は2つに分類できる。1つは海水浸漬環境と湿潤環境の繰り返し環境であり、もう1つは海水のスプラッシュ環境と湿潤環境の繰り返し環境である。デッキ裏ロンジやデッキ裏鋼板以外のタンク底板は、海水浸漬環境と湿潤環境での腐食試験方法を選択することが好ましい。また、デッキ裏鋼板やデッキ裏ロンジは、バラスト水の張水量にもよるが、海水浸漬が生じない場合、海水スプラッシュを模擬した塩水噴霧環境と湿潤環境の繰り返しでの腐食試験方法を選択することが好ましい。
腐食試験方法の環境条件は、海水浸漬環境と湿潤環境の繰り返しと、塩水噴霧環境と湿潤環境の繰り返しの条件以外は、特に、規定はしない。実船を想定した場合、同じ時間での繰り返しサイクルが好ましい。再現性、加速性を加味する場合、24〜336時間で繰り返すサイクルが好ましい。
本発明例の試験環境を浸漬環境と湿潤環境、塩水噴霧環境の三つに分類したのは、それぞれ異なる環境を模擬し、それぞれのバラスト内壁鋼材の腐食環境に相当した模擬環境で、数多くの金属材料を幅広い条件下で試験評価するためである。
まず、浸漬環境についての試験環境について説明する。浸漬環境の海水、人工海水の温度を0〜60℃としたのは、実海水の温度変化、重油タンク加温による温度上昇などを考慮し、さらに、加速評価の観点も加味して、実バラストタンク内壁鋼材の腐食状態を保持できる適正温度範囲とするためである。好ましくは重油タンク隣接部を模擬する場合は、20〜60℃であり、一般的な実バラストタンクの観点からは、好ましくは20〜40℃である。また、「空荷での一航海中のバラストタンク内の海水浸漬環境を模擬するように」と規定しているように、模擬したい船舶の航路をまず特定し、その航路での一航海における温度変動(一航海中及び昼夜の温度変動)を模擬する温度変動パターンを決定する。
次に、湿潤環境についての試験環境について説明する。まず、湿潤環境の温度変化を0〜80℃にしたのは、実環境の温度変化、重油タンク加温による温度上昇などを考慮し、加速評価の観点も加味して、実バラストタンク内壁鋼材の腐食状態を保持できる適正温度範囲とするためである。さらに、湿潤環境の相対湿度を25〜100%RHとしたのは、腐食は、濡れが生じることで進行することから、100%RHを最大とした。また、海水の主成分であるNaClとMgCl2の潮解する湿度が、NaClは75%前後であり、MgCl2は30%程度であることから、25%RH未満では、薄水膜は乾燥し、腐食の進行に大きな差が得られないことから25%RH以上とした。各種相対湿度の変化は、水液膜の厚さ、塩分濃度を変化させ、腐食速度、腐食生成物が大きく変化すること、さらに実バラストタンクの実態を考慮しても、昼夜の太陽光による鋼板温度の変化、重油タンク隣接部の鋼板温度の上昇による鋼板表面近傍の相対湿度の変化が考えられ、鋼板近傍での相対湿度変動がバラストタンク内の腐食の加速、再現に及ぼす影響が非常に大きい。従って、船舶バラストタンクの腐食環境を模擬するためには、相対湿度を25〜100%RHで変動することが不可欠であり、変動方法で促進率を制御することができる。相対湿度が100%RHは、薄水膜の塩分量が薄く、腐食が進行しにくく、効率的な加速性が得られないため、相対湿度の変動パターンは加速性を考慮すると相対湿度30〜99%RHが好ましい。さらに再現性を考慮しつつ、加速性を向上させる観点から、相対湿度の変動パターンは60〜95%RHが好ましい。また、その他の促進率の制御方法として、浸漬時間と湿潤時間の関係、噴霧時間と湿潤時間の関係を変動させることが挙げられる。これは、実船での張水率の変動を模擬している。また、「実荷での一航海中のバラストタンク内の湿潤環境を模擬するように」と規定しているように、模擬したい船舶の航路をまず特定し、その航路での一航海における実荷での温度を決定し、さらに湿度変動(一航海中及び昼夜の湿度変動)を模擬する湿度変動パターンを決定する。
また、塩水噴霧環境についての試験環境について説明する。塩水噴霧環境での温度は実環境の海水の適正範囲内の0〜80℃であれば特に限定しない。また、塩水噴霧時間も船舶ローリングによる海水のスプラッシュを模擬することから特に限定はしないが、半航海は湿潤環境であり、湿潤環境と塩水噴霧環境を1サイクルとすると、塩水噴霧環境の割合は1〜50%が好ましい。さらに加速率を考慮すると20〜50%が好ましい。また、「空荷での一航海中のバラストタンク内の海水付着環境を模擬するように」と規定しているように、模擬したい船舶の航路をまず特定し、その航路での一航海における空荷での温度を決定し、さらに相対湿度100%RH保持環境と塩水噴霧環境の繰り返しパターンについて環境変動(一航海中及び昼夜の湿度変動)を模擬する変動パターンを決定する。
また、試験時間は長いほど良いが、加速性、再現性を考慮すると4000〜10000時間が好ましい。
また、実環境を再現しながら海水中の溶存酸素を確保するためには、浸漬環境に曝される浸漬時間と湿潤環境に曝される湿潤時間との和で、前記浸漬時間を除したバラスト率が、金属材料試験片の全面で40%以上とする必要があり、そのために、浸漬水槽に振幅を与えるなどして、浸漬水槽内の海水もしくは人工海水の水面を揺動させるか、または金属材料試験片そのものを揺動させると好ましい。
実船舶バラストタンク環境では、鋼材表面にカルシウム、マグネシウム、亜鉛などを含む沈着物が生じ、鋼材表面の腐食環境に大きく影響を与える。本発明では、海水または人工海水の浸漬環境工程で、亜鉛含有量が質量%で30%以上の亜鉛系金属を、金属材料試験片と電気的に接触させて配設することができる。犠牲防食効果を発現させるために亜鉛含有量を30質量%以上とした。また、亜鉛系金属は平均防食電流密度が数〜数十mA/m2になるよう配設することが好ましい。特に、経済性と耐食性の観点から5〜100mA/m2がより好ましい。
さらに、簡便に数種類の試験を多数一度に実施可能とするため、カセットホルダーを使用して、金属材料試験片を、カセットホルダーに保持することができる。
以下に、本発明の実施例について図面および表を参照して説明する。
図1に、浸漬環境と湿潤環境の繰り返し腐食試験の実施要領を模式的に示す。1は浸漬環境に用いる浸漬水槽であり、8は湿潤環境に用いる湿潤槽である。試験片7はカセットホルダー5に挿入する。評価試験は、浸漬水槽1による浸漬環境と湿潤槽8による湿潤環境との繰り返しサイクル腐食試験である。浸漬環境工程では、電気防食有無の比較評価も行った。電気防食有りにおいては、図1に示すように、水槽内に亜鉛系犠牲金属2を浸漬し、この亜鉛系犠牲金属2と試験片7とを電気防食のための配線4で接続する。亜鉛系犠牲金属2には亜鉛含有量が55質量%の金属を用いた。
また、図2には、塩水噴霧環境と湿潤環境の繰り返し腐食試験の実施要領を模式的に示す。8は湿潤環境に用いる湿潤槽である。9は塩水噴霧環境に用いる塩水噴霧槽であり、10は塩水噴霧機である。塩水噴霧槽内の塩水噴霧機は海水のスプラッシュを模擬するようなものであれば、どのような塩水噴霧方法でも良い。
使用試験材の材質は、普通鋼を用いた。試験片サイズは、150×70×5mmである。試験片の表面処理は、ショットブラスト面に、次の処理を施した3種類を準備した。さらに、人工的な地鉄露出部として試験片下部にXカットを入れた。
(a)無機Znリッチプライマ15μmを塗布したもの
(b)タールエポキシ樹脂200〜250μmと無機Znリッチプライマ15μmを塗布したもの
(c)タールエポキシ樹脂200〜250μmを塗布したもの
腐食試験は、下記に示す(i)、(ii)の条件にて実施した。
(i)浸漬環境と湿潤環境を用いた相対湿度変化による腐食評価試験(タンク底模擬)
浸漬環境と湿潤環境の試験サイクルは、次のとおり168時間(=7日)ずつ交互に繰り返すものとし、合計10000時間腐食環境に曝露した試験片の耐食性を評価した。
浸漬環境の試験サイクルでは、空荷での一航海中のバラストタンク内の海水浸漬環境を模擬するように、海水または人工海水の温度を、0℃から60℃まで70時間かけて上昇させ、60℃に28時間保持し、60℃から0℃まで70時間かけて降下させるパターンの168時間(=7日)を浸漬工程の1サイクルとした。
本発明例において、湿潤環境の試験サイクルでは、実荷での一航海中のバラストタンク内の湿潤環境を模擬するように、湿潤環境温度を4水準とし、それぞれ0℃、25℃、40℃、80℃で保持し、さらに相対湿度変動は以下A、B、Cの3つのパターンで移行する24時間(=1日)を1サイクルとして7サイクル(=7日、168時間)を湿潤工程の1サイクルとした。
[パターンA] 相対湿度25%RHを2時間保持した後、25%RHから100%RHまでを2時間で移行し、100%RHで18時間保持した後、100%RHから25%RHまでを2時間で移行するパターン。
[パターンB] 相対湿度25%RHを2時間保持した後、25%RHから85%RHまでを2時間で移行し、85%RHで18時間保持した後、85%RHから25%RHまでを2時間で移行するパターン。
[パターンC] 相対湿度25%RHを2時間保持した後、25%RHから70%RHまでを2時間で移行し、70%RHで18時間保持した後、70%RHから25%RHまでを2時間で移行するパターン。
比較例において、温度を25℃又は40℃で一定、湿度を100、70、30%RHで一定にした条件を湿潤環境として設定し、浸漬環境については上記本発明例と同様の条件とした。
基準として、実船のタンク底に2.5年間暴露した試験片を用いた。
本発明例、比較例、基準のいずれも、浸漬環境における電気防食の有無の比較を行った。
(ii)塩水噴霧環境と湿潤環境を用いた相対湿度変化による腐食評価試験(デッキ裏模擬)
塩水噴霧環境と湿潤環境の試験サイクルは、次のとおり168時間(=7日)ずつ交互に繰り返すものとし、合計10000時間腐食環境に曝露した試験片の耐食性を評価した。
本発明例において、塩水噴霧環境の試験サイクルでは、空荷での一航海中のバラストタンク内の海水付着環境を模擬するように、塩水噴霧槽の温度を40℃の1水準とし、相対湿度100%RHに保持した環境と、塩水噴霧する環境を以下D、E、Fの3つのパターンで移行する42時間を1サイクルとして4サイクル(=7日、168時間)を塩水噴霧工程の1サイクルとした。なお、塩水としては、海水または人工海水を用いた。
[パターンD] 相対湿度100%RHに保持した環境で41時間保持後、1時間塩水噴霧する環境に保持するパターン。
[パターンE] 相対湿度100%RHに保持した環境で30時間保持後、12時間塩水噴霧する環境に保持するパターン。
[パターンF] 相対湿度100%RHに保持した環境で6時間保持後、36時間塩水噴霧する環境に保持するパターン。
本発明例において、湿潤環境の試験サイクルでは、実荷での一航海中のバラストタンク内の湿潤環境を模擬するように、湿潤環境温度を40℃の1水準で保持し、さらに相対湿度変動は上記A、B、Cの3つのパターンで移行する24時間(=1日)を1サイクルとして7サイクル(=7日、168時間)を湿潤工程の1サイクルとした。
比較例において、塩水噴霧環境では常時塩水噴霧又は上記Fパターンを採用し、湿潤環境では上記Aパターン又は30、100%RH一定のパターンを採用した。
基準として、実船のデッキ裏に2.5年間暴露した試験片を用いた。
上記(i)、(ii)の腐食試験終了後、試験材の錆組成、および最大局部腐食深さによる腐食速度を、実環境に2.5年曝露した基準サンプルを基準として評価した。
表1〜3には、実船バラストタンク曝露サンプルを基準としつつ、錆組成についてX線分析で解析し、それぞれ多い順に◎、○、△、×で評価した。表1、2は(i)の腐食試験結果であり、表1については電気防食なし、表2については電気防食有無の比較を行っている。表3は(ii)の腐食試験結果である。
表1の13−1〜24−3に示すサンプルは、実船暴露試験での0−1、0−2、0−3サンプルと同様のFe34を主組成とするが、CaCO3や、MgOは多く含まれないものであった。また、表2の25−1〜36−3に示すサンプルは、電気防食を付加したものであり、Fe34を主組成とし、CaCO3や、MgOを多く含む錆組成であった。さらに、表3に示す塩水噴霧と湿潤環境の繰り返しサイクル試験でも、実船暴露サンプルと同様の錆組成であることがわかった。
促進率は、表4〜6に示すように、実環境に2.5年間曝露した試験片との比較で、最大局部深さにて評価した。表4、5は(i)の腐食試験結果であり、表4については電気防食なし、表5については電気防食有りである。表6は(ii)の腐食試験結果である。なお、最大局部深さは、実船バラストタンク曝露サンプルの表面処理条件(無機Znプライマ材、無機Znプライマ材+エポキシ系塗装、エポキシ系塗装の3種類)ごとの最大局部深さを1とした基準に対する割合で示した。すべてのサンプルにおいて、実船に対し、加速していることがわかった。
Figure 0004767887
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本発明の一実施例である浸漬環境と湿潤環境の繰り返し腐食試験の実施要領を模式的に示す図である。 本発明の別の実施例である塩水噴霧環境と湿潤環境の繰り返し腐食試験の実施要領を模式的に示す図である。
符号の説明
1 浸漬水槽
2 亜鉛系犠牲金属
3 人工海水面
4 電気防食のための配線
5 カセットホルダー
6 人工海水出入管
7 試験片
8 湿潤槽
9 塩水噴霧槽
10 塩水噴霧機

Claims (4)

  1. 空荷での一航海中のバラストタンク内の海水浸漬環境を模擬するように、0℃から60℃の温度範囲で任意に変動させ昇温と降温を行う温度変動パターンを持たせた海水または人工海水の浸漬環境工程と、実荷での一航海中のバラストタンク内の湿潤環境を模擬するように、温度を0℃から80℃の範囲で任意に決定して保持し、かつ、相対湿度を25%から100%の範囲で任意に変動させ湿度の上昇と下降を行う湿度変動パターンを持たせた湿潤環境工程との2つの工程で1往復の航海を模擬し、これら2つの工程を交互に繰り返して金属材料試験片に付与することを特徴とする、船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法。
  2. 前記海水または人工海水の浸漬環境工程に代えて、空荷での一航海中のバラストタンク内の海水付着環境を模擬するように、温度を0℃から80℃の範囲で任意に決定して保持し、相対湿度を100%に保持する環境と塩水噴霧する環境とを繰り返し、相対湿度を100%に保持する時間と塩水噴霧する時間とを任意に変動させた塩水噴霧パターンを持たせた塩水噴霧環境工程を用いることを特徴とする、請求項1に記載の船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法。
  3. 前記海水または人工海水の浸漬環境工程で、亜鉛含有量が質量%で30%以上の亜鉛系金属を、前記金属材料試験片と電気的に接触させて配設することを特徴とする、請求項1に記載の船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法。
  4. 前記金属材料試験片を、カセットホルダーに保持して、一度に複数枚の腐食試験を可能とすることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の船舶バラストタンク用金属材料の腐食試験方法。
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