JP5808366B2 - 床下部品の腐食度計測方法及び床下部品の耐食性予測方法 - Google Patents
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Description
さらに、防錆力の高い電着塗装が施された床下部品は、腐食促進度が低くなる傾向がある。このため、従来の塩害耐久試験では、10年を超える長期間の腐食環境を再現し、耐食性の評価を行うことが困難であるという問題もあった。
例えば、特許文献1及び2には、金属材料で構成される移動体の一部にACM型腐食センサを設置し、腐食環境においてセンサ出力値を計測し、環境の腐食性の評価を行う方法が開示されている。
さらに、ACM型腐食センサを用いて床下部品の耐食性を評価する場合、降雪量により変動する融雪剤の散布量等についても考慮する必要があることから、最低でも越冬期間(4月程度)における連続的な計測を必要とし、依然として耐食性評価には長期間を要することが考えられた。
サスペンション等の床下部品は、フロント側の床下部品では、フロントタイヤの先端で跳ね上げた車体内側方向の水によって濡れる(図2(a)を参照。)。一方、リヤ側の床下部品では、フロントタイヤで跳ね上げた水が路面へ落ちて跳ね返ったものが再び床下部品へ付着することで濡れる(図2(b)を参照。)。
そのため、塩水路走行直後における床下部品の被水量は、フロント側のほうがリヤ側に比べて多い。
しかしながら、塩水路走行後に一般路(水の溜まっていない一般的な道路)を一定期間走行した場合、フロントロアアーム等のフロント側の床下部品に比べてリヤクロスメンバやリヤサブフレーム等のリヤ側の床下部品の方が、塩分付着量が多くなる。これは、上述したフロント側の床下部品が上下揺動自在に車体に連結される一方、上述したリヤ側の床下部品は、車体に直接若しくは弾性体マウントを介して固定されるためである。すなわち、塩水路の走行後に一般路を走行すると、走行時間の経過と共にフロント側の床下部品に付着した塩水は、フロント側の床下部品の揺動や走行中の風等の影響によって飛散及び蒸発することとなるが、リヤ側の床下部品に付着した塩水は、リヤ側の床下部品の揺動や風による影響が少ないため、塩水が除去されることなく多く残留するためである。
また、走行した自動車を、特定の湿度環境で一定期間放置した場合、一旦鈍化した床下部品の腐食が再び促進することがある。これは、床下部品に付着した塩分が吸湿し、塩の水溶液を形成して腐食を増大させるものと考えられる。
[1]床下部品の少なくとも一箇所に腐食センサを設置した自動車を、塩化物含有量が0.1質量%以上の塩水路で、30km/h以上の速度で50m以上走行させる工程と、
前記塩水路走行後、前記自動車を、20km/h以上の速度で30分以上走行させる工程と、
前記走行後の自動車を、20〜40℃の温度で且つ30%以上の相対湿度において、4時間以上保持する工程と、
前記塩水路走行工程、前記走行工程及び前記保持工程から選ばれた一つ以上の工程において、前記腐食センサの出力値を取得する工程と、
を備えることを特徴とする床下部品の腐食度計測方法。
本発明による床下部品の腐食度計測方法は、図1に示すように、床下部品の少なくとも一箇所に腐食センサを設置した自動車を、塩化物含有量が0.1質量%以上の塩水路で、30km/h以上の速度で50m以上走行させる工程(図1(a))と、前記塩水路走行後、前記自動車を、20km/h以上の速度で30分以上走行させる工程(図1(b))と、前記走行後の自動車を、20〜40℃の温度で且つ30%以上の相対湿度において、4時間以上保持する工程(図1(b))と、前記塩水路走行工程、前記走行工程及び前記保持工程から選ばれた一つ以上の工程において、前記腐食センサの出力値を取得する工程(図1(d))と、を備えることを特徴とする。
また、自動車の床下部品とは、自動車の床下に設置される鋼材からなる部品のことを意味し、例えば、サスペンション、エンジンマウント、エンジンクレードル、ブレーキ及び燃料系部品等が挙げられる。
本発明による床下部品の腐食度計測方法は、床下部品の少なくとも一箇所に腐食センサを設置した自動車を、塩化物含有量が0.1質量%以上の塩水の溜まった塩水路で、30km/h以上の速度で50m以上走行させる工程を備える。
この工程は、自動車の床下部品に、適量の塩水(塩化物を含有した水)を付着させるための工程である。
なお、前記自動車の速度は、30km/h以上であれば、走行中に変化しても構わないが、塩水付着量を安定させる点からは一定の速度で走行させることが好ましい。
なお、自動車による前記塩水路の走行方法は、特に限定はされないが、50m以上を連続して走行させることが好ましい。塩水の付着量を安定させるためである。
本発明の床下部品の腐食度計測方法は、前記塩水路走行工程の後、前記自動車を、一般路を20km/h以上の速度で30分以上走行させる工程を備える。
この工程は、主にフロント側の床下部品に付着した塩水を、走行時間の経過と共に、車両の揺動や走行中の風等の影響により飛散及び蒸発させ、除去するための工程である。
本発明の床下部品の腐食度計測方法は、前記一般路走行工程の後、前記走行後の自動車を、20〜40℃の温度で且つ30%以上の相対湿度において、4時間以上保持する工程を備える。
この工程は、床下部品に付着した塩分に吸湿させ、新たな腐食を発生させるための工程である。この工程によって、従来の腐食度計測方法では考慮されていなかった、一度腐食の進行が鈍化した後に再び腐食が進行する事象についても実現することが可能となる。
ここで、塩分の吸湿は、付着した塩の種類とその環境の相対湿度に依存する。環境の相対湿度が付着した塩の平衡相対湿度以上であれば塩は吸湿する。一般的に、融雪剤として使用される塩は、塩化ナトリウム、塩化カルシウムである。塩化ナトリウムは、相対湿度が約70%を超えると吸湿し始め、塩化カルシウムは、相対湿度が約30%を超えると吸湿し始める。つまり、相対湿度が30%未満ではこれらの塩が吸湿することがなく、塩の水溶液が形成されず、腐食は増大しない。
本発明による床下部品の耐食性予測方法は、上述した床下部品の腐食度計測方法によって得られた計測値を用いて、床下部品の耐食性を予測することを特徴とする。
本発明の腐食度計測方法によって得られた計測値を用いて耐食性の予測を行うことで、市場における床下部品の耐食性を正確且つ短期間で予測できる。
(実施例1)
床下部品であるフロントアーム及びリヤクロスメンバにACM型腐食センサを装着した自動車をサンプルとして用意した。前記ACM型腐食センサの装着箇所は、(i)フロントアーム上面、(ii)フロントアーム下面、(iii)リヤクロスメンバの任意の位置A〜E、である。
上述した自動車を、塩化物含有量が1質量%の塩水路(塩水深さ:30mm)で、50km/hの速度で50m以上走行させた(塩水路走行工程)。
その後、平坦な路面及びダート路の混在したコースを、20km/h以上の速度で30分以上走行させた(一般路走行工程)。
走行後、サンプルの自動車を、恒温恒湿槽(温度:30℃、相対湿度:80%)で24時間保持した(保持工程)。
サンプルの自動車を、恒温恒湿槽ではなく、野外に2日間放置したこと以外は、実施例1と同様の条件によって実施を行った。
実施例について、以下の評価を行った。
(1)床下部品に付着した塩水量について
実施例1において、塩水路走行工程から一般路走行工程の最初の5分間まで、設置した各ACM型腐食センサから得られた電流値(μA)を測定した。そして、経過時間とACMセンサ電流値との関係を示したグラフを作成した(図3)。
また、各実施例において、一般路走行工程の1時間についても同様に、設置した各ACM型腐食センサから得られた電流値(μA)を測定した。そして、経過時間とACMセンサ電流値との関係を示したグラフを作成した(図4)。
図3の結果から、塩水路走行直後のACMセンサ電流値は、フロントアームのほうがリヤクロスメンバに比べて高く、フロントタイヤからの跳ね上げによる塩水付着の影響が大きく反映されていることがわかった。
一方、図4の結果から、一般路を長時間走行すると、リヤクロスメンバのほうがフロントアームに比べてACMセンサ電流値が高くなっていることから、飛散や蒸発が行われずに残留した塩水が影響していることがわかった。
実施例1の保持工程において、各ACM型腐食センサから得られた電流値を測定した。そして、経過時間と各ACMセンサ電流値との関係を示したグラフを作成した(図5)。
実施例2の保持工程において、各ACM型腐食センサから得られた電流値を測定した。そして、経過時間と各ACMセンサ電流値との関係を示したグラフを作成した(図6)。
図5及び図6の結果から、恒温恒湿槽での保持及び野外での保持のいずれにおいても、一旦ACMセンサ電流値が低下した後、急激に上昇を始めることがわかった。これは、各床下部品において一般路走行工程の後に塩水の水分が除去されて残留した塩分が吸湿して塩の水溶液を生じる結果、再び腐食が進行を開始したことを示す。
上記評価(2)にて測定された各ACMセンサ電流値を平均したもの(平均ACMセンサ電流値)と腐食速度の関係を示すグラフを作成した(図7及び図8)。実施例1のグラフが図7、実施例2のグラフが図8である。
図7及び図8の結果から、平均ACMセンサ電流値と腐食速度は良好な比例関係にあり、各床下部品のACMセンサ電流値を計測することで、市場における床下部品の腐食速度についても推定が可能となることがわかった。
Claims (7)
- 床下部品の少なくとも一箇所に腐食センサを設置した自動車を、塩化物含有量が0.1質量%以上の塩水路で、30km/h以上の速度で50m以上走行させる工程と、
前記塩水路走行後、前記自動車を、20km/h以上の速度で30分以上走行させる工程と、
前記走行後の自動車を、20〜40℃の温度で且つ30%以上の相対湿度において、4時間以上保持する工程と、
前記塩水路走行工程、前記走行工程及び前記保持工程から選ばれた一つ以上の工程において、前記腐食センサの出力値を取得する工程と、
を備えることを特徴とする床下部品の腐食度計測方法。 - 前記塩化物は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムからなる群より選択された少なくとも一種であり、塩化物含有量が0.1質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の床下部品の腐食度計測方法。
- 前記走行後の自動車の保持は、恒温保持であることを特徴とする請求項1又は2に記載の床下部品の床下部品の腐食度計測方法。
- 前記走行後の自動車の保持は、恒湿保持であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の床下部品の腐食度計測方法。
- 前記腐食センサが、ACM型腐食センサであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の床下部品の腐食度計測方法。
- 前記床下部品は、サスペンション、エンジンマウント、エンジンクレードル、ブレーキ及び燃料系部品からなる群より選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の床下部品の腐食度計測方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の床下部品の腐食度計測方法によって得られた計測値を用いて、床下部品の耐食性を予測することを特徴とする床下部品の耐食性予測方法。
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