JPH11236424A - 電荷輸送性ブロック共重合体の製造方法及びその共重合体を用いた電子写真感光体 - Google Patents

電荷輸送性ブロック共重合体の製造方法及びその共重合体を用いた電子写真感光体

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JPH11236424A
JPH11236424A JP4024098A JP4024098A JPH11236424A JP H11236424 A JPH11236424 A JP H11236424A JP 4024098 A JP4024098 A JP 4024098A JP 4024098 A JP4024098 A JP 4024098A JP H11236424 A JPH11236424 A JP H11236424A
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block copolymer
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JP4024098A
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English (en)
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Masakazu Iijima
正和 飯島
Yasuhiro Yamaguchi
康浩 山口
Fumiaki Taho
文明 田甫
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Fuji Xerox Co Ltd
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光有機電位減衰特性をS字型にする電荷輸送
性高分子として、高純度で安価に容易に得られる電荷輸
送性ブロック共重合体の製造方法及び耐久性に優れた高
性能の電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックを
有する電荷輸送性ブロック共重合体の製造方法におい
て、末端に反応性官能基を有する電荷輸送性高分子と酸
ハロゲン基を有する低分子重合開始剤とを、第3級芳香
族アミン又はアルキル尿素誘導体の存在下に反応させ
て、末端に重合開始基を有する電荷輸送性ブロックを生
成させ、次に、得られた電荷輸送性ブロックに絶縁性モ
ノマーを重合させるものである。このブロック共重合体
の製造方法は、広範囲の重合体の合成に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な電荷輸送性
ブロック共重合体の製造方法及び該方法により得られた
電荷輸送性ブロック共重合体を用いる電子写真感光体に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真技術は、高印字品質が高速で得
られる等の利点を有することから、近年、複写機、プリ
ンター、ファクシミリ等の分野において、中心的役割を
果たしている。電子写真技術の心臓部である電子写真感
光体の感光材料としては、従来からセレン、セレン−テ
ルル合金、セレン−ヒ素合金等の無機光導電性材料が広
く用いられてきた。一方では、これらの無機系感光体に
比べて、コスト、製造性、廃棄性等の点で優れた利点を
有する有機光導電性材料を用いた電子写真感光体の研究
も活発に行われ、現在では無機系感光体を凌駕するに至
っている。特に、光電導の素過程である光電荷発生と電
荷輸送とを、それぞれ別々の層に担わせる機能分離型積
層構成からなる感光体の発明により、材料選択の自由度
が拡大したことに伴い、著しい性能の向上が達成され
た。
【0003】すなわち、従来、電荷発生能と電荷輸送能
の両機能に優れた材料の設計開発は困難なものとされて
いたが、機能分離型積層構成の採用により、それぞれ単
一機能のみに集中した最適化設計が可能となり、高性能
の電子写真感光体を得ることができるようになった。現
在、機能分離積層型有機感光体用の電荷発生層として
は、キノン系顔料、ぺリレン系顔料、アゾ系顔料、フタ
ロシアニン系顔料、セレン等の電荷発生能に優れた顔料
を蒸着等により直接成膜したもの或いは高濃度で結着樹
脂中に分散させたものが実用化されている。一方、電荷
輸送層としては、ヒドラゾン系化合物、ベンジジン系化
合物、アミン系化合物、スチルベン系化合物等の電荷輸
送能に優れた低分子化合物を絶縁性樹脂中に分子分散さ
せたものが実用化されている。
【0004】ところで、原稿を光学的に感光体上に結像
させて露光を行う従来のアナログ方式の電子写真複写機
に用いる感光体には、濃度階調による中間調の再現性を
良好にするために、図1に示すような光誘起電位減衰特
性を持つ感光体、すなわち、露光量に比例して電位減衰
を起こす感光体(以下、「J字型感光体」という。)が
要求される。上記した無機系感光体及び機能分離積層型
有機感光体は、いずれもこの範疇に入る光誘起電位減衰
特性を示すものである。
【0005】しかしながら、近年の高画質化、高付加価
値化、ネットワーク化等の要請に伴い盛んに研究開発が
行われているデジタル方式の電子写真装置では、一般に
ドット等の面積率で階調を表わす面積階調方式が採用さ
れるため、むしろ、図2に示すように、ある露光量に達
するまでは電位減衰することなく、その一定の露光量を
越えると急峻な電位減衰が起こる、いわゆるS字型の光
誘起電位減衰特性を示す感光体(以下、「S字型感光
体」という。)を使用する方が、画素の鮮鋭度が高めら
れる等の点から望ましい。
【0006】S字型光誘起電位減衰特性については、Z
nO等の無機顔料又はフタロシアニン等の有機顔料を樹
脂中に粒子分散した単層型感光体において公知の現象で
ある{例えば、R.M.Schaffert:「Ele
ctrophotography」,Focal Pr
ess,p.344(1975)、J.W.Weig
l,J.Mammino,G.L.Whittake
r,R.W.Radler,and J.F.Byrn
e:「Current Problems inEle
ctrophotography」,Walter d
e Gruyter, p.287(1972)}。
【0007】現在、半導体レーザーの発信波長(近赤外
域)に光感度を有するフタロシアニン系顔料を結着樹脂
中に粒子分散させたレーザー露光用の単層感光体が多用
されており、それに関する研究成果が多数提案されてい
る{例えば、グエン・チャン・ケー,相沢:日本化学会
誌,p.393(1986)、特開平1−169454
号公報、同2−207258号公報、同3−31847
号公報、同5−313387号公報等}。しかしなが
ら、これらの単層型感光体では、単一材料が電荷発生と
電荷輸送の両機能を担うことが必要とされるものの、上
述したように両機能共に優れた性能を有する材料は稀有
であり、実用に耐え得る材料は未だ得られていない。特
に、顔料粒子は、一般に多くのトラップレベルを有する
ため、電荷輸送能が低く、電荷が残留し、繰り返し安定
性が低い等の欠点がある。これらの問題を根本的に解決
し、材料選択の自由度を上げ、ひいては総合的な感光体
特性を向上させるためには、S字型感光体においても、
機能分離構成の導入が不可欠になっている。
【0008】これらの課題に対し、D.M.Pai等
は、電荷発生層と電荷輸送層からなる2層構成の積層型
感光体において、電荷輸送層として、少なくとも2つの
電荷輸送領域及び1つの電気的不活性領域を含むと同時
に、該電荷輸送領域が、互いに接触して回旋状電荷輸送
路を形成する不均一電荷輸送層を用いることにより、任
意の電荷発生層と組合せてS字型光誘起電位減衰特性が
実現できることを発明し、S字型感光体への機能分離構
成の導入に先鞭を付けた{特開平6−83077号公報
(米国特許第5306586号明細書)}。さらに、本
発明者等は、先に電荷発生層、不均一電荷輸送層及び均
一電荷輸送層からなる3層構成の積層型感光体がS字型
光誘起電位減衰特性を示すことを発明(特願平7−20
8552号公報)し、上記D.M.Pai等の発明より
も、さらに機能分離度を高めることに成功した。
【0009】しかしながら、上記した発明において、感
光体の光誘起電位減衰特性をS字型にする機能(以下、
「S字化」という)を担う不均一電荷輸送層には、フタ
ロシアニン顔料微結晶の樹脂分散膜、六方晶セレン微結
晶の樹脂分散膜又はポリビニルカルバゾール−ドデシル
メタクリレート相分離系ブロック共重合体が使用できる
ことが開示されているに過ぎないし、また、これらに
は、次のような問題点があり、上記の発明を実用化する
には、新規な不均一電荷輸送層用材料の開発が不可欠で
ある。
【0010】すなわち、フタロシアニン顔料又は六方晶
セレン等の電荷発生能を有する着色顔料は、不均一電荷
輸送層用電荷輸送材料として用いられると、特に電荷輸
送層側から電荷発生層を露光する構成を採った場合、不
均一電荷輸送層における光吸収及びそれに伴う電荷発生
により、光感度や帯電性に悪影響が及んだり、繰り返し
安定性が低下する等の問題が生起する。これらの問題
は、不均一電荷輸送層に吸収のない波長域に光感度を有
する電荷発生層を用い、かつ該波長域内のみの露光を行
う露光装置を用いれば回避することは可能であるが、使
用する材料や装置に制約が課せられることとなり、根本
的な改善策が望まれる。さらに、フタロシアニン顔料の
樹脂分散膜や六方晶セレンの樹脂分散膜を製造するに
は、これら顔料の粉砕及び/又は分散工程を必要とする
し、また、その粉砕には莫大なエネルギーを要するばか
りでなく、不純物混入の危険性を伴う。さらにまた、一
般に、それらの安定した分散液を得ることは困難であ
り、分散溶剤やバインダー樹脂の探索に多大な労力を要
すると共に、採択する材料に著しい制約を受ける。ま
た、一般に、分散液中における結晶成長や凝集化による
分散液の変性が避けられないことから、長期に亘る使用
は不可能であり、コストアップ要因となる。
【0011】一方、ポリビニルカルバゾール−ドデシル
メタクリレート相分離系ブロック共重合体は、特殊な2
官能性開始剤を用いて合成されるが、その製造は困難な
ものであり、高コストである上に、機械的強度が弱く、
電荷移動度が小さく、電荷注入性が低い等の問題を有す
るものである。しかし、相分離系ブロック共重合体は、
均一な塗布液が調整され、乾燥時にミクロに相分離して
所望の不均一電荷輸送構造を形成できるものであり、し
かも、上記した顔料における粉砕/分散に係る問題がな
いという利点があり、また、上記のような顔料を用いる
際に生起する光吸収に係わる顔料固有の問題も発生しな
い。
【0012】ところで、ポリビニルカルバゾールは、電
子写真感光体の電荷輸送性高分子材料として有効なもの
であることは周知であるが、機械的強度に劣るととも
に、電荷移動度が小さくて電荷注入性が低い等の実用上
の本質的な問題があった。これらの問題を解決するため
に、電荷輸送層に要求される電荷輸送能と、成膜性、可
撓性、強度等の機械的特性とを分離させ、それぞれを別
々の材料に担わせる機能分離の発想に基づいた材料開発
が行われてきた。
【0013】現在、電子写真用の電荷輸送層材料として
は、高い電荷輸送能を有するトリアリールアミン等の電
荷輸送性低分子化合物と、成膜性、可撓性及び強度に優
れたポリカーボネート系樹脂とからなる分子分散系複合
材料が主流になっている。しかし、これらの複合材料
は、分子分散している電荷輸送性低分子化合物が経時に
より及び/又は加熱により結晶化し、その特性が劣化す
るために、特に高温下の使用又は発熱を伴うデバイスに
適用するには制限があった。また、これらの複合材料を
用いた感光体は、高画質が得られる液体現像方式の電子
写真装置に用いた場合、その感光体が現像液に触れる
と、電荷輸送性低分子化合物の溶解又は結晶化等が起こ
るため、電荷輸送層が変性したりクラックが発生するこ
とがある。さらにまた、十分な電荷輸送性を確保するに
は、電荷輸送性低分子化合物を樹脂中に35〜60重量
%の高濃度で分散させることが必要であり、可撓性、強
度等の機械的特性に優れた樹脂を用いても、複合膜とし
ての機械的特性には限界があった。
【0014】さらに、有機電荷輸送材料が、高寿命化、
高耐久化及び低コスト化の要請されている電子写真感光
体を始めとする有機電子デバイスとして幅広く活用され
るには、上記のような課題の克服が不可欠であり、その
手段として、近年、ポリビニルカルバゾールに代わる高
性能の電荷輸送性高分子に関する研究開発が、再び活発
化している。これまでに、トリアリールアミン系の電荷
輸送性低分子化合物が、高い電荷輸送性を有するという
知見を基にして、主鎖又は側鎖にトリアリールアミン骨
格を含む電荷輸送性高分子が数多く開発されている(例
えば、米国特許第4,959,288号明細書、特開平
8−176293号公報等)。しかしながら、これらの
電荷輸送性高分子は、単独重合体又は数種のモノマーを
混合して共重合させたランダム共重合体であり、本質的
に相分離性を示すものではなく、それらの単独ではS字
化する不均一電荷輸送層を形成することはできない。
【0015】そこで、本発明者等は、先に、上記の電荷
輸送性高分子に、それと相溶しない絶縁性高分子を加え
た相分離性ポリマーブレンドが、S字化する不均一電荷
輸送層として機能することを見出した。しかしながら、
このポリマーブレンドでは、乾燥速度及び乾燥温度等の
成膜条件により、相分離のスケールが大きく変動し、そ
れに伴って電子写真特性が大きく変化するという製造再
現性上の問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような実情に鑑みなされたものであり、
上記のような問題を克服した特定の電荷輸送性ブロック
共重合体の新規な重合方法を見出し、それを用いた電荷
輸送性ブロック共重合体を含む高性能の電子写真感光体
を提供するものである。すなわち、本発明の目的は、感
光体の光有機電位減衰特性をS字型にする電荷輸送性高
分子として、高純度で、かつ安価に容易に得られる電荷
輸送性ブロック共重合体の新規な製造方法を提供するこ
とにある。また、本発明の他の目的は、良好な電子写真
特性を有し、高画質が得られると共に、耐久性に優れた
高性能の電子写真感光体を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、電荷輸送
材料及び高分子材料について検討し、先に、トリアリー
ルアミン構造を含む電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロッ
クからなる特定の共重合体が電荷輸送材料として優れた
総合特性を有し、その両ブロックが非相溶性のものは、
S字型感光体用の不均一電荷輸送層材料として好適であ
ることを見出した。さらに、引き続き鋭意検討した結
果、特定の構造を持つ電荷輸送性高分子と低分子重合開
始剤とを、特定の条件下に重合させて得られた電荷輸送
性ブロックに、絶縁性モノマーを共重合させて得られる
電荷輸送性ブロック共重合体は、優れた電荷輸送特性を
有するとともに、安価にかつ高純度で製造できることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】すなわち、本発明は、電荷輸送性ブロック
と絶縁性ブロックを有する電荷輸送性ブロック共重合体
の製造方法において、末端に反応性官能基を有する電荷
輸送性高分子と酸ハロゲン基を有する低分子重合開始剤
とを、第3級芳香族アミン又はアルキル尿素誘導体の存
在下に反応させて、末端に重合開始基を有する電荷輸送
性ブロックを生成させ、次に、得られた電荷輸送性ブロ
ックに絶縁性モノマーを重合させることを特徴とする。
【0019】本発明における電荷輸送性ブロック共重合
体において、電荷輸送性ブロックとしては、下記一般式
(2)又は下記一般式(3)で示される構造の少なくと
も1種を繰り返し構造単位として含有するものであるこ
とが好ましい。
【化5】 (式中、Ar1 及びAr2 は、それぞれ独立に、置換も
しくは未置換のアリール基を示し、X1 は芳香族環構造
を有する2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素
基を示し、X2 及びX3 は、それぞれ独立に、置換もし
くは未置換のアリーレン基を示し、L1 は、枝分れもし
くは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基又はヘテロ
原子含有炭化水素基を示し、m及びnは、それぞれ0又
は1の整数である。)
【化6】 (式中、Ar3 及びAr4 は、それぞれ独立に、置換も
しくは未置換のアリール基を示し、L2 は芳香族環構造
を有する3価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素
基を示す。)
【0020】また、その絶縁性ブロックとしては、下記
一般式(4)で示される絶縁性モノマーの重合体である
ことが好ましい。
【化7】 (式中、R1 〜R3 は、それぞれ独立に、水素原子、ハ
ロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基又はアリ
ール基を示し、R4 はハロゲン原子、置換もしくは未置
換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル
基、アシルオキシ基、又はアルコキシカルボニル基を示
す。)
【0021】本発明の製造方法に用いられる低分子重合
開始剤は、アゾ化合物であることが好ましく、特に、下
記一般式(1)で示される非対称アゾ化合物が好まし
い。 X−L−N=N−Y (1) (式中、Lは、枝分れもしくは環構造を含んでもよい2
価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示し、
Xは、酸ハロゲン基を示し、Yは下記部分構造式(a)
から選ばれる1価のヘテロ原子含有炭化水素基を示
す。)
【化8】 (式中、R1 〜R9 は、それぞれ独立に、置換もしくは
未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシル基、ア
ルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基を示
す。) 本発明の電子写真感光体は、上記の電荷輸送性ブロック
共重合体を含有する電荷輸送層を有することを特徴とす
るものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の電荷輸送性ブロック共重合体の製造方法
は、末端に反応性官能基を有する電荷輸送性高分子と、
その官能基と反応結合し得る官能基を一つ持つ低分子重
合開始剤とから、末端に重合開始基を有する電荷輸送性
高分子開始剤を合成し、得られた高分子開始剤に絶縁性
モノマーを重合させることを特徴としており、末端に反
応性官能基を導入できる任意の電荷輸送性高分子から電
荷輸送性ブロック共重合体を得ることができる。この方
法は、適用範囲の広いものであり、目的に応じた種々の
構造を有する電荷輸送性ブロック共重合体を容易に製造
することができる。
【0023】また、本発明の製造方法によれば、トリア
リールアミン構造を含む電荷輸送性ブロックによる高い
電荷輸送能に加えて、電荷輸送能を損ねることなく、絶
縁性ブロックを導入させるというアロイ化の手法によ
り、機械的強度、ガラス転移温度、結晶化度、屈折率、
接着性、吸着性、可撓性、溶解性、溶融性及び相分離状
態等の諸性能を制御した電荷輸送性ブロック共重合体を
得ることが可能である。さらに、所望の他の特性を発揮
する成分を共重合化させることにより、さらに高機能化
材料へと展開させることも可能である。このような電荷
輸送性高分子の諸性能は、従来の単なる単独重合体やラ
ンダム共重合体によっては、輸送能に影響を及ぼすこと
なく制御することは困難である。また、本発明により得
られた電荷輸送性ブロック共重合体は、不純物の混入が
少なく、電子写真感光体等の有機電子デバイスに応用す
ると、優れた電子写真特性を発揮するものである。
【0024】本発明における電荷輸送性共重合体におい
て、電荷輸送性ブロックとしては、電荷輸送能を有する
ものであれば如何なるものも使用することができるが、
特に、下記一般式(2)または一般式(3)で示される
少なくとも1種を繰り返し単位として含有し、その繰り
返し単位中にトリアリールアミン構造を含むとともに、
電荷輸送性ブロックの分子量が2000以上のものが、
電荷移動度、電荷注入性、電荷寿命、可視光並びに赤外
光透過性及び化学的安定性等の点で好ましい。
【0025】
【化9】 一般式(2)において、Ar1 及びAr2 は、それぞれ
独立に、置換もしくは未置換のアリール基から選ばれ
る。そのアリール基の具体例としては、フェニル基、ビ
フェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ、そ
の置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、
ハロゲン原子等が挙げられる。
【0026】X1 は芳香族環構造を有する2価の炭化水
素基又はヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる。具体
例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェ
ニレン基、ナフチレン基、メチレンジフェニル基、シク
ロヘキシリデンジフェニル基、オキシジフェニル基、チ
オジフェニル基等、およびこれらのメチル置換体、エチ
ル置換体、メトキシ置換体又はハロゲン置換体等が挙げ
られ、この中でも特に置換もしくは未置換のビフェニレ
ン基が電荷輸送性の点で、特に好ましい。X2 及びX3
は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換のアリーレン
基から選ばれ、具体的には、フェニレン基、ビフェニレ
ン基、ターフェニレン基、ナフチレン基等及びこれらの
メチル置換体、エチル置換体、メトキシ置換体又はハロ
ゲン置換体等が挙げられる。
【0027】L1 は、枝分れもしくは環構造を含んでも
よい2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基か
ら選ばれ、上記の好ましい特性の少なくとも1つを発揮
する限り任意であるが、エーテル結合、エステル結合、
カーボネート結合、シロキサン結合等から選ばれる結合
基を含み、かつ炭素数が20以下のものが好ましい。そ
の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【化10】
【0028】
【化11】 一般式(3)において、Ar3 及びAr4 は、それぞれ
独立に、置換もしくは未置換のアリール基から選ばれ
る。そのアリール基の具体例としては、フェニル基、ビ
フェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ、ま
た、置換基としては、炭素数1〜12個のアルキル基又
はアルコキシ基、ジアリールアミノ基、ハロゲン原子等
が挙げられる。
【0029】L2 は、芳香族環構造を有する3価の炭化
水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれ、上記
の好ましい特性の少なくとも1つを発揮する限り任意で
あるが、炭素数が20以下のものが好ましい。その具体
例としては、以下のものが挙げられる。
【化12】
【0030】また、本発明において、電荷輸送性共重合
体の絶縁性ブロックとしては、下記一般式(4)で示さ
れる絶縁性モノマーの少なくとも1種を重合して得られ
たものは、良好な機械的強度、可撓性及び透明性等を有
するから好ましい。
【化13】
【0031】一般式(4)において、R1 〜R3 は、そ
れぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは
未置換のアルキル基又はアリール基から選ばれる。置換
もしくは未置換のアルキル基又はアリール基の具体例と
しては、メチル基、エチル基、メトキシ基、クロロメチ
ル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。R4 は、
ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、アリ
ール基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基又は
アルコキシカルボニル基から選ばれる。そのアルキル
基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基及びアル
コキシカルボニル基の炭素数としては、炭素原子数1〜
18個の範囲のものが好ましく、またアリール基として
は、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ
る。その置換基としては、ハロゲン原子、フェニル基、
ヒドロキシ基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ
基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
【0032】一般式(4)で示される絶縁性モノマーと
しては、具体例には、オレフィン、ビニルアセタール、
アルキルメタクリレート、アルキルアクリレート、塩化
ビニル、スチレン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテ
ル、カーボネート、エステル、シロキサンが挙げられ、
絶縁性ブロックとしては、上記モノマーの重合体である
ポリオレフィン、ポリビニルアセタール、ポリアルキル
メタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアルキル
ビニルエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポ
リシロキサン等及びこれらのブロック、グラフト、ラン
ダム又は交互共重合体等が挙げられる。
【0033】本発明により得られる電荷輸送性ブロック
共重合体は、その構成ブロックの連結形式については如
何なる構成のものでもよい。すなわち、電荷輸送性ブロ
ックをA及び絶縁性ブロックをBで表わすと、本発明の
電荷輸送性ブロック共重合体は、AB型ジブロック共重
合体、ABA型及びBAB型トリブロック共重合体、な
らびに(AB)n型、(AB)nA型及びB(AB)n
型マルチブロック共重合体、もしくはABA型等のブロ
ック共重合体の側鎖に、A及び/又はBをグラフト化し
たブロック−グラフト共重合体等を含むものである。
【0034】本発明における電荷輸送性ブロック共重合
体の製造方法は、末端に反応性官能基を有する電荷輸送
性高分子と、その官能基と反応結合し得る酸ハロゲン基
を有する低分子重合開始剤とを、第3級芳香族アミン又
はアルキル尿素の存在下に反応させることにより、末端
に重合開始基を有する電荷輸送性高分子開始剤を生成さ
せ、次いで、得られた高分子開始剤に前記のモノマーを
重合させるものであり、その個々の素反応に関しては、
合成化学上の公知の知見を活用することができる{例え
ば、第4版実験化学講座28 高分子合成(丸善、19
92)、マクロモノマーの化学と工業(アイピーシー、
1990)、高分子の相溶化と評価技術(技術情報協
会、1992)、高分子新素材 One Point
12 ポリマーアロイ(共立、1988)等参照}。
【0035】本発明の製造方法に用いる末端に反応性官
能基を有する電荷輸送性高分子は、任意の合成方法によ
り得ることができる。例えば、重縮合系及び付加縮合系
の高分子であれば、本質的に末端には反応性官能基を有
するものであるし、また、付加縮合系の高分子であれ
ば、成長高分子の活性末端と反応結合し得る基と所望の
反応性官能基を兼ね備えた化合物を用いて、重合を停止
させることにより、所望の反応性官能基を末端に有する
高分子化合物を得ることができる。
【0036】反応性官能基の具体例としては、ヒドロキ
シル基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基、ア
ミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、メラミン基、
フェノール基、ハロゲン化メチル基、アルコキシシリル
基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。また、こ
の反応性官能基は、電荷輸送性高分子の両末端に同じも
のが存在しても、異なるものが存在しているものでもよ
いし、また、片末端のみに存在しているものでもよい。
【0037】また、酸ハロゲン基を有する低分子重合開
始剤としては、電荷輸送性高分子の末端官能基と反応し
て結合する官能基を少なくとも一個持つと共に、目的と
する絶縁性モノマーの重合を開始できるものであれば如
何なるものも使用可能であるが、保存安定性等の点か
ら、アゾ化合物が好ましく、特に、下記一般式(1)で
示される非対称アゾ化合物が好ましい。 X−L−N=N−Y (1) (式中、Lは、枝分れもしくは環構造を含んでもよい2
価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示し、
Xは、酸ハロゲン基を示し、Yは、下記部分構造式
(a)から選ばれる1価のヘテロ原子含有炭化水素基を
示す。)
【0038】
【化14】 (式中、R1 〜R9 は、それぞれ独立に、置換もしくは
未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシル基、ア
ルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基を示
す。)
【0039】一般式(1)において、Xで示される酸ハ
ロゲン基としては、フッ素化カルボニル基、塩素化カル
ボニル基、沃素化カルボニル基、臭素化カルボニル基等
のハロゲン化カルボニル基が挙げられるが、なかでも、
塩素化カルボニル基が合成の容易さ及びコストの点から
好ましい。一般式(1)において、Yが部分構造式
(a)から選択されるものは、脱窒素で生じるYラジカ
ルの重合開始能が低いため、対称構造の重合開始剤を使
用する際に発生する前記一般式(4)で示されるモノマ
ー(絶縁性モノマー)の単独重合物の副生を抑制できる
という利点がある。この単独重合物が混在すると、相分
離状態を変化させるのみならず、積層構成においては界
面に偏析して電荷の注入性に悪影響を及ぼし、感光体特
性を著しく悪化させる。また、混在する単独重合物が、
電荷輸送性ブロック共重合体と溶解性に差異がある場
合、再沈殿化及び/又は抽出等を用いて両者を分離する
が、その分離工程を設けることによるコストアップを招
くことになる。さらに、両者の溶解度に差異がない場合
には、分離が困難であるから、上述の感光体特性上の弊
害は避けられない。
【0040】本発明に使用される上記一般式(1)で示
される非対称アゾ化合物の具体例を表1に示す。
【表1】
【0041】また、低分子重合開始剤の重合開始基とし
ては、アゾ、過酸エステル、パーオキシ、ジチオカルバ
マート、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属アル
キル、ハロゲン化アルキル等が挙げられる。なかでも、
アゾ、過酸エステル、パーオキシ、ジチオカルバマート
等はビニル系モノマーのラジカル重合の開始に使用さ
れ、また、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属ア
ルキル等は、環状エステル、環状アミド等の開環重合又
はビニル系モノマーのアニオン重合の開始に使用され
る。ハロゲン化アルキル等は、適当な共開始剤を併用す
ることにより、ビニル系モノマーのカチオン重合又はラ
ジカル重合を開始させることができ、その共開始剤とし
ては、カチオン重合ではTiCln (OR)4-n 等のル
イス酸等、また、ラジカル重合ではCu(I)錯体、R
u(II)錯体等が挙げられる。これらの中でも、特に、
アゾ基は、保存安定性が高いものである上に、特殊な共
開始剤を必要としないこと及び重合条件が比較的温和で
あり、再現性、コスト、重合装置が簡便であること等か
ら特に好ましい。
【0042】本発明において、アゾ基を有する低分子重
合開始剤としては、具体的には、2,2′−アゾビス
(イソブチロニトリル)、4,4′−アゾビス(4−シ
アノペンタン酸クロリド)等のアゾ基に対し、左右対称
の構造を有するもの、さらに、絶縁性モノマーの単独重
合物の副生を抑制するには、(4−クロロカルボニルフ
ェニルアゾ)−メチルマロノニトリル等の末端官能基と
反応し結合する酸ハロゲン基を1個のみ有する非対称構
造のアゾ開始剤が好ましい。
【0043】この非対称アゾ開始剤の合成には、R.K
eber,O.Nuyken,M.Dorn:Makr
omol.Chem.,179,1803(197
8)、N.Fery,R.Hoene,K.Haman
n:Angew.Chim.Internat.Edi
t.,11,337(1972)、O.Nuyken,
U.Presenz:Polym.Bull.,20,
335(1988)、O.Nuyken,L.Dyck
erhoff,R.Kerber:Angew.Mac
romol.Chem.,143,11(1986)等
の文献に記載の方法等を適宜採用することができる。
【0044】一般にアルコール類を酸ハロゲン化物でエ
ステル化する際、副生するハロゲン化水素による副反応
を抑制して反応を促進させるために、ピリジン等の塩基
が添加される(日本化学会編「実験化学講座19」第3
版476頁)。本発明の高分子電荷輸送剤と酸ハロゲン
基を有する低分子重合開始剤の反応に使用される塩基に
ついて種々検討したところ、特定の第3芳香族アミンま
たはアルキル尿素誘導体を用いることにより副反応を制
御できるとともに、高い収率で得られること、また、特
性にも優れた高分子重合開始剤を得ることを見出した。
これらの反応の詳細な機構は明らかではないが、上記の
塩基を本発明の反応において他の塩基、例えばトリエチ
ルアミンを用いた場合、その一部が反応系内で酸ハロゲ
ン基を有する低分子重合開始剤と錯体を形成し副反応の
抑制に直接的に寄与しないことを見出し、一方、本発明
の上記、第3芳香族アミン、アルキル尿素誘導体におい
ては錯体形成が見られないことから本発明の反応促進に
より寄与していると推察される。
【0045】本発明において、末端に反応性官能基を有
する電荷輸送性高分子と酸ハロゲン基を有する低分子重
合開始剤とを反応させる際に使用される第3級芳香族ア
ミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ
メチル−o−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トル
イジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−
ジエチル−o−トルイジン、N,N−ジエチル−p−ト
ルイジン、N,N−ジエチル−m−トルイジン等が挙げ
られるが、これらに限定されるものではなく、その他の
第3級芳香族アミンも適宜使用することができる。ま
た、上記反応に使用されるアルキル尿素誘導体として
は、1,1,3,3−テトラメチル尿素、1,1,3,
3−テトラエチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,1
−ジメチル尿素、O−エチル−N−フェニルイソ尿素等
が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、そ
の他のアルキル尿素誘導体も適宜使用することができ
る。
【0046】本発明により得られる電荷輸送性ブロック
共重合体の分子量は、特に制限されるものではないが、
機械的強度、成膜性等の高分子特性を発揮するには20
00以上であることが望まれる。分子量の上限には、電
気的特性上の制限は特にないが、湿式塗布法により成膜
する際に、適当な溶液粘度を与える範囲内にあることが
必要となり、通常、5000000以下であることが好
ましい。
【0047】一般に、ポリマーブレンド、ポリマーアロ
イの分野においては、ごく普通に知られているように、
異種の高分子化合物は互いに相溶しないため、それらの
混合物及びブロック共重合体又はグラフト共重合体は相
分離状態を形成する。一般に、単なる重合体混合物、す
なわち、ポリマーブレンドでは、その相分離の大きさは
数μm以上のマクロなもの(マクロ相分離)となる。こ
れに対し、各成分が共有結合で連結されたブロック共重
合体又はグラフト共重合体は、サブミクロン以下の微細
なドメインからなる相分離状態(ミクロ相分離)を形成
する。ブロック共重合体又はグラフト共重合体における
相分離の大きさは、一般に各ブロックの平均長と同一次
元であり、分子量の2/3乗根にほぼ正比例することが
知られている。本発明の電荷輸送性ブロック共重合体
は、通常、ミクロ相分離状態を形成するが、必ずしもミ
クロ相分離状態で存在するとは限られず、各ブロックの
組合せによっては相溶性を示し、相分離していないもの
も含まれる。
【0048】本発明により得られる電荷輸送性ブロック
共重合体は、高い電荷輸送能と優れた機械的特性等を兼
ね備えているものであるから、電子写真感光体、有機E
L素子、有機フォトリフラクティブ素子、有機光センサ
ー等の各種有機電子デバイスの電荷輸送材料として利用
でき、特に機能分離型電子写真感光体に好適に用いられ
る。
【0049】例えば、高い電荷輸送性と成膜性、顔料へ
の吸着性及び接着性を具備するものは、電荷発生能を有
する顔料と併用することにより、優れた単層型感光体及
び積層型感光体用の電荷発生層を形成することができ
る。また、高い電荷輸送性と機械的強度、化学的強度及
び低表面エネルギーを具備するものは、電荷輸送層又は
表面保護層用材料として有効である。特に、絶縁性ブロ
ックにヒドロキシル基、アルコキシシリル基等の架橋サ
イトを導入したものは、それらを架橋硬化させると非常
に強靭な電荷輸送性膜を形成し、表面保護層として特に
好ましい。さらに、電荷輸送性ブロックがドメインとな
り、絶縁性ブロックがマトリックスとなるミクロ相分離
状態を形成するものは、上述したように、機能分離S字
型感光体用の不均一電荷輸送層として好適に用いられ
る。
【0050】特に、電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロッ
クが非相溶性の共重合体では、サブミクロン規模のミク
ロ相分離構造を形成するため、それを不均一電荷輸送層
に用いた積層型感光体は、S字型感光体として機能し、
上述のような従来のS字型感光体が持つ課題を根本的に
解決することができる。
【0051】S字型光誘起電位減衰特性が発現される機
構に関しては、トラップ説{例えば、北村,小門:電子
写真学会誌、Vol.20,p.60(1982)}、
D.M.Paiらが提唱している回旋状電導説等の幾つ
かのものが存在するが、未だ確立されていない。しか
し、これまでにS字型感光体として報告されている上記
の顔料樹脂分散型単層感光体、D.M.Pai等の電荷
発生層及び不均一電荷輸送層からなる積層感光体及び本
発明者等が見出した電荷発生層、不均一電荷輸送層及び
均一電荷輸送層からなる積層感光体においては、少なく
とも電荷発生領域に隣接する電荷輸送領域の電荷輸送路
が、電気的不活性マトリックス中に電荷輸送性ドメイン
が分散された不均一な構造を有するという共通点が認め
られる。なお、ここにいう電気的不活性とは、その輸送
エネルギーレベルが、電荷輸送ドメインの輸送エネルギ
ーレベルから大きくかけ離れており、通常の電界強度で
は、実質的に輸送電荷が注入されることがなく、輸送電
荷にとって事実上の電気的絶縁状態にあることを意味す
る。
【0052】本発明の非相溶性の電荷輸送性ブロックと
絶縁性ブロックからなる共重合体を含有する相分離系不
均一電荷輸送層を用いた積層型感光体が、S字型光誘起
電位減衰特性を発揮する機構については、必ずしも明ら
かではないが、D.M.Paiらが唱える回旋状電導説
によれば、S字型光誘起電位減衰が起こる過程は、以下
のようなものであると推定される。
【0053】まず、不均一電荷輸送層では、電気的不活
性マトリックス中に分散された電荷輸送性ドメインが互
いに接触し、回旋状の電荷輸送路を形成しているものと
考えられる。この場合、電子写真感光体が帯電されて感
光層に高電界が印加されると、露光により電荷発生層で
発生した電荷は、電界によるクーロン力により電界に沿
って電荷発生層から電荷輸送層に注入され、電荷輸送性
ドメイン中を電界方向に移動する。
【0054】しかし、電荷輸送性ドメインの末端凸部に
到達すると、電気的不活性マトリックスの障壁に突き当
り、電界により移動方向が規制されているため、その電
荷の移動は一旦停止する。この間の移動距離が、感光層
の全膜厚に対して十分に小さければ、この間の電位減衰
は無視できるものとなる。表面電荷に相当する電荷の殆
ど全てが注入された後、その注入電荷の近傍において
は、表面に垂直な局部的電界は無視できるほど小さくな
り、停止していた電荷は、電界による束縛から解放され
て表面に垂直な方向とは異なる方向に拡散することが可
能となり、回旋状に連なる連結路を辿って最初に電荷が
停止した位置よりも深部に達する。この深部において、
電荷は、再び十分な高電界によりドメイン内を電界方向
に沿って移動し、再び電気的不活性マトリックスの障壁
に突き当って、移動を停止する。しかし、同様な他の電
荷も移動して電界強度は低下しているので、より多くの
電荷が回旋状電荷輸送路を通って次の絶縁性障壁にまで
到達する。このように、電荷の移動はカスケード的に起
こり、S字型の光誘起電位減衰となると説明されている
(D.M.Pai等)。なお、顔料樹脂分散型単層構成
のS字型感光体においては、露光光は表面近傍で吸収さ
れて電荷が発生するため、その光吸収/電荷発生の領域
を電荷発生層、それに続く残りの領域を電荷輸送層と見
なすことができるから、同様に上記の説明が該当するこ
とになる。
【0055】本発明の非相溶性の電荷輸送性ブロックと
絶縁性ブロックからなる共重合体を含有する相分離系不
均一電荷輸送層を用いた積層型感光体が、S字型の光誘
起電位減衰挙動を呈するのも、電荷輸送性ブロック相が
電荷輸送性ドメインを形成し、絶縁性ブロック相が電気
的不活性マトリックスを形成して、上記のような現象が
起きていることによるものと推定される。
【0056】光誘起電位減衰特性のS字性の尺度には、
例えば、帯電電位を50%減衰させるに要する露光量E
50%と10%減衰させるに要する露光量E10%との比
(E50%/E10%)が用いられる。一般に、理想的なJ
字型感光体では、電位減衰が露光量に比例していると、
E50%/E10%の値は5となる。ところが、通常のJ字
型感光体は、電界強度の低下に伴って電荷発生効率及び
/又は電荷輸送能が低下するために、E50%/E10%値
は5を越える値になる。一方、S字型感光体では、ある
露光量までは全く電位減衰せず、その露光量で急激に残
留電位レベルまで電位減衰する完全な階段状の光誘起電
位減衰曲線を示すものは、E50%/E10%値が1とな
る。
【0057】したがって、S字型とはE50%/E10%値
が、1以上5未満の値を示すものとして規定されるもの
であり、良好なデジタル特性を発揮するには、E50%/
E10%値は3未満であることが好ましく、より好ましく
は2未満である。但し、階調性を高める等の理由からア
ナログ特性を併用する場合には、E50%/E10%値は、
約1.5〜4の範囲内においても好適な結果が得られ
る。本発明のS字型電子写真感光体は、このような好ま
しいE50%/E10%値を示すものである。
【0058】さらに、本発明における電子写真感光体を
構成する各層及びその機能について説明する。図3ない
し図6は、本発明のS字型電子写真感光体の層構成を示
す模式的断面図である。図3においては、導電性支持体
1上に電荷発生層2が設けられ、その上にS字化と電荷
輸送を担う不均一電荷輸送層3が設けられている。図4
においては、導電性支持体1上に電荷発生層2が設けら
れ、その上にS字化を担う不均一電荷輸送層3が設けら
れ、さらにその上に、主な電荷輸送を担う均一電荷輸送
層4が設けられている。図5においては、導電性支持体
1上に不均一電荷輸送層3が設けられ、その上に電荷発
生層2が設けられている。図6においては、導電性支持
体1上に均一電荷輸送層4が設けられ、その上に不均一
電荷輸送層3が設けられ、さらにその上に、電荷発生層
2が設けられている。本発明の電子写真感光体には、さ
らに所望により下引き層、保護層、乱反射層等を適宜設
けることができる。
【0059】本発明の電子写真感光体においては、前記
のように、電荷発生層で発生した電荷が、不均一電荷輸
送層の電気的不活性マトリックスの障壁により最初に一
時停止するまでの間の移動距離が、感光層の全膜厚に対
して十分小さければ、その間の電位減衰は無視できるも
のとなり、より理想的なS字性が示される。つまり、電
荷発生層とS字化不均一電荷輸送層とは、近接している
方がより良いS字性を与える。ただし、電荷の注入や電
荷の発生を補助する等を目的として、電荷発生層と不均
一電荷輸送層の間に適当な中間層を設けることができ
る。また、電荷発生層と不均一電荷輸送層の間に均一電
荷輸送層を挿入し、その均一電荷輸送層の膜厚を変える
ことにより、E50%/E10%値を1〜5の範囲内の任意
の値に設定することも可能である。
【0060】S字化電荷輸送層は、電気的不活性マトリ
ックス中に電荷輸送性ドメインが分散された不均一構造
を特徴とする電荷輸送路を形成する層であって、本発明
により得られる絶縁性ブロックと電荷輸送性ブロックか
らなるブロック共重合体の中で、両ブロックが互いに非
相溶性でありミクロ相分離構造を与えるものから形成さ
れる。また、S字化電荷輸送層において、回旋状電荷輸
送経路の形成は、電荷輸送性ドメイン同士の確率的な接
触に依存する。その接触率が高すぎると電荷輸送経路は
回旋状とはならないためにS字性が低下し、また、接触
率が少なすぎると電荷輸送層全体を貫いて連続した電荷
輸送経路が形成できなくなり、残留電位の増大を招く。
電荷輸送性ドメイン相互の接触とは、必ずしも直接接触
している必要はなく、電荷輸送性ドメイン間の非常に薄
い絶縁層については、電荷がそのギャップを飛び越える
ことができ、かつそこでの捕獲が無視できるものであれ
ば、その存在は許容される。ここにいう回旋状電荷輸送
路とは、電荷の移動が膜厚方向に対して1回以上逆行す
るように形成されている電荷輸送路のことである。
【0061】電気的不活性マトリックスを形成する絶縁
性ブロックとしては、主輸送電荷に対し、電気的に不活
性なものならば如何なるものでも構わないが、1013Ω
・cm以上の体積抵抗率を有するものが好ましく、より
好ましくは1014Ω・cm以上の体積抵抗率を有するも
のである。体積抵抗率が1013Ω・cmより低いと、電
気的不活性マトリックスの電気的絶縁性が不十分で、S
字性が失われたり、暗減衰が増加したりする傾向にあ
る。
【0062】本発明のS字型感光体に用いるブロック共
重合体中の電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックの組成
比は、それらの相分離により得られる電荷輸送性ドメイ
ンと電気的不活性マトリックスの体積比は、10/1〜
1/10の範囲内で任意に設定されるが、4/1〜1/
2の範囲が好ましい。電荷輸送性ドメインの体積比が上
記範囲より大きくなると、電荷輸送性ドメインが密に接
触するか又は電荷輸送性ブロックがマトリックスとなっ
て実質的に均一な構造の電荷輸送路を形成し、上記のS
字型光誘起電位減衰の特性発現に不可欠な電荷輸送路の
不均一構造が形成されず、S字性が失われる傾向にあ
る。他方、その体積比が上記範囲より少ないと、電荷輸
送路が分断されて、残留電位が増大し、応答速度の低下
等の障害を招く傾向にある。
【0063】不均一電荷輸送層の相分離構造としては、
電荷輸送性ブロックがドメインとなり、絶縁性ブロック
がマトリックスとなるものであれば如何なる構造でも構
わないが、電荷輸送性ブロックからなる相が島、絶縁性
ブロックからなる相が海となる海−島構造の相分離構造
が形成される際に、より良いS字性が得られる。また、
スピノーダル分解により得られる変調構造を形成する場
合にも、好ましいS字性が得られる。
【0064】相分離状態は構成ブロックの種類及び分子
量により、熱力学的に最も安定な構造が存在し、一般
に、Aブロック及びBブロックからなる共重合体では、
連結形式とは無関係に、A/B組成比のみに依存し、A
/B比の増加に伴ってAが球状ドメインでありBがマト
リックスのもの、Aが棒状ドメインでありBがマトリッ
クスのもの、A/B交互層、Bが球状ドメインでAがマ
トリックスのもの、Bが棒状ドメインでAがマトリック
スのものへと系統的に変化する。しかしながら、湿式塗
布法により成膜する場合には、使用される溶媒及び乾燥
速度等により、相分離状態を任意に制御することができ
る。例えば、A/B比が大きく熱力学的にはB球Aマト
リックス構造を形成する場合でも、塗布溶媒として、B
が良溶媒でAが貧溶媒となる溶媒を選択すれば、A球B
マトリックス構造のものを得ることができる。また、
A、B両者の良溶媒を用いて急速に溶媒を除去すると、
スピノーダル分解状態で凍結した相分離構造(変調構
造)のものが得られる。また、A/B比が大きくて、熱
力学的にはB球Aマトリックス構造を形成する共重合体
に、Bのみと相溶性のある重合体を添加すると、Aが
球、B及びBのみと相溶性のある重合体がマトリックス
となる相分離構造のものが得られる。
【0065】また、本発明に用いるS字化電荷輸送層の
膜厚は0.1〜50μmの範囲が適当であり、好ましく
は0.2〜15μm、さらに好ましくは0.5〜5μm
の範囲である。上記範囲より薄いとS字性が低下する傾
向にある。膜厚の上限に関しては、用いるS字化電荷輸
送層の電荷輸送能により制限され、応答速度、残留電位
等が許容される範囲内で設定される。
【0066】電荷輸送性ドメインの平均粒子径は0.0
05〜3μmが好ましく、より好ましくは0.007〜
1μm、特に好ましくは0.01〜0.5μmの範囲で
ある。電荷輸送性ドメインの平均粒子径が上記範囲より
大きいと、好ましい膜厚の範囲内でのS字化に必要な電
荷輸送路の不均一構造の形成が確率的に低くなり、S字
性が低下することになる。他方、電荷輸送性ドメインの
平均粒子径が上記範囲より小さい場合には、電荷輸送路
が均一な構造に近付き、またS字性が低下することにな
る。
【0067】電荷輸送性ドメインの電荷移動度は、電子
写真感光体の応答速度を支配する一因子であり、移動度
が高いものほど、高速の電子写真装置に好適に用いられ
る。本発明の電子写真装置においては、少なくとも現像
に用いる電界強度域において、10-6cm2 /Vs以上
であることが好ましい。より好ましくは5×10-6cm
2 /Vs以上である。尚、電荷輸送性ドメインの電荷移
動度を、直接測定することは困難であり、電荷輸送性ブ
ロックと同一構造の電荷輸送性高分子の電荷移動度で代
用することができる。また、S字化電荷輸送層中に、主
たる輸送電荷と逆極性の電荷のみを輸送し得る化合物を
添加することにより、残留電位の低下、繰り返し安定性
の向上等の効果を得ることもできる。
【0068】また、S字化電荷輸送層中に、電荷輸送性
ブロック共重合体に加え、電荷輸送性高分子及び/又は
絶縁性高分子を添加することもできる。電荷輸送性高分
子を添加する場合、ブロック共重合体の電荷輸送性ブロ
ックと相溶性を有することが好ましい。また絶縁性高分
子を添加する場合には、ブロック共重合体の絶縁性ブロ
ックと相溶性を有することが好ましい。
【0069】本発明の電子写真感光体の導電性支持体と
しては、感光体の支持体として公知の任意のものから選
択することができ、不透明なもの又は実質的に透明なも
のも使用することができ、具体的には、アルミニウム、
ニッケル、ステンレス鋼等の金属類;アルミニウム、チ
タン、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、白金、ジ
ルコニウム、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、I
TO等の薄膜を設けたプラスチック、ガラス及びセラミ
ックス等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、プラ
スチック、ガラス及びセラミックス等が挙げられる。こ
れらの導電性支持体の形状は、ドラム状、シート状、プ
レート状等の適宜の形状とすることができる。また、そ
れらの支持体表面には、必要に応じて、各種の処理を行
うことができ、例えば、酸化処理、薬品処理、着色処
理、砂目立て又はホーニング等の機械的粗面化処理等を
行うことができる。支持体表面の酸化処理や機械的粗面
化処理は、支持体表面を粗面化するのみならず、その上
に塗布される層の表面形状をも制御し、露光用光源とし
てレーザー等の可干渉光源を用いた場合に問題となる支
持体表面及び/又は積層界面の正反射による干渉縞の発
生を防止するという利点がある。
【0070】下引き層は、導電性支持体と光導電層の間
に任意に設けられるものであり、感光層の帯電時におい
て導電性支持体から感光層への電荷の注入を阻止すると
共に、感光層を導電性支持体と一体的に接着保持させる
接着層としての作用又は場合により干渉縞の原因となる
光の正反射を防止する作用等を示すものである。下引き
層としては、公知の材料を用いることができ、例えば、
ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポ
リアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェ
ノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニ
リデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルア
ルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、アルコール可
溶性ナイロン樹脂、ニトロセルロース、ポリアクリル
酸、ポリアクリルアミド等の樹脂及びこれらの共重合体
又はジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキ
シド化合物、シランカップリング剤等の硬化性金属有機
化合物を、単独で又は2種以上を混合して用いることが
できる。また、帯電極性と同極性の電荷のみを輸送し得
る材料も使用可能である。
【0071】下引き層の膜厚は、0.01〜10μmが
適当であり、好ましくは0.05〜5μmの範囲であ
る。その形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコ
ーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレー
コーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティ
ング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーテ
ィング法等の公知方法を用いることができる。
【0072】電荷発生層には、J字型、S字型を問わず
積層感光体の電荷発生材料に用いられる公知のものから
選択される。例えば、非晶質セレン、セレン−テルル合
金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物及びセレ
ン合金、酸化亜鉛、酸化チタン、a−Si、a−SiC
等の無機系光導電性材料、フタロシアニン系、スクアリ
ウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、多
環キノン系、ピレン系、ピリリウム塩系、チアピリリウ
ム塩系等の有機顔料及び染料等が挙げられる。また、こ
れらの電荷発生材料は、単独で又は2種以上を混合して
用いられる。
【0073】なかでも、フタロシアニン系化合物は、デ
ジタル式の電子写真装置の光源として現在広く使用され
ているLED及びレーザーダイオードの発信波長である
600〜850nmに優れた光感度を有するため、本発
明における電荷発生材料として特に好ましい。フタロシ
アニン系化合物としては、無金属フタロシアニン、金属
フタロシアニン及びこれらの誘導体が利用できる。金属
フタロシアニンの中心金属としては、Cu、Ni、Z
n、Co、Fe、V、Si、Al、Sn、Ge、Ti、
In、Ga、Mg、Pb、Li等のものが挙げられ、ま
た、これらの中心金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化
物、アルキル化物、アルコキシ化物等も有効である。具
体的には、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフ
タロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、バ
ナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニ
ン、ジクロロ錫フタロシアニン、ジメトキシ珪素フタロ
シアニン等を挙げることができる。また、上記化合物の
フタロシアニン環に任意の置換基が導入された置換フタ
ロシアニン類も使用することができる。さらにまた、上
記化合物のフタロシアニン環中の任意の炭素原子が、窒
素原子で置換されたアザフタロシアニン類も有効であ
る。これらフタロシアニン系化合物の形態としては、ア
モルファス又は全ての結晶形のものが使用可能である。
【0074】上記のフタロシアニン系化合物の中で、無
金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロロ
ガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシ
アニン及びジクロロ錫フタロシアニンは、特に優れた光
感度を有しており、本発明の電荷発生材料として好まし
く用いられる。フタロシアニン系化合物は、通常、正孔
を主たる輸送電荷とするp型半導体の性質を有している
のに対し、ジクロロ錫フタロシアニン、電子吸引性基を
有するフタロシアニン類及びアザフタロシアニン類は電
子を主たる輸送電荷とするn型半導体であるため、電荷
発生材料としてこれらのフタロシアニン系化合物を含
み、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層を順次積層
して形成されるS字型感光体は、それを負帯電で使用し
た場合、高感度でかつ導電性支持体からの正電荷の注入
が抑えられ、暗減衰が小さく帯電性が高いという良好な
電子写真特性を示す。
【0075】また、六方晶セレン、多環キノン系顔料及
びペリレン系顔料も電荷発生効率に優れているため、電
荷発生材料として好ましく使用できる。レーザー光のビ
ーム径は発信波長が短くなるほど小径化できるため、さ
らに高画質化を目指して露光用レーザーの短波長化が検
討されているが、これらの化合物は、紫外域から可視域
に光感度を有するため、短波長レーザー用の電荷発生材
料として特に好ましく用いることができる。
【0076】電荷発生層は、電荷発生材料を真空蒸着法
により直接成膜したり、電荷発生材料を結着樹脂中に分
散又は溶解することにより形成される。電荷発生層に結
着樹脂を用いる場合、その結着樹脂の種類には特に限定
されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニ
ルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリ
ル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ
ビニルアセテート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコー
ン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂
等が用いられる。これらの結着樹脂は、ブロック、ラン
ダム又は交互共重合体であってもよく、これらの結着樹
脂は単独で又は2種以上を混合して用いる。また、前記
のように、本発明に係わる電荷輸送性ブロック共重合体
も電荷発生層用の結着樹脂として有効である。
【0077】電荷発生材料と結着樹脂との配合比(体積
比)は、10/1〜1/10の範囲が好ましい。より好
ましくは3/1〜1/1の範囲に設定される。電荷発生
材料の結着樹脂に対する配合比がその範囲より多くなる
と、暗減衰が増大し、また湿式塗布法では均質な膜を得
ることが困難になる。また、その範囲より少ないと光感
度の低下、残留電位の増大等の障害が発生する。また、
電荷発生層の膜厚は、通常、0.05〜5μmの範囲で
あり、好ましくは0.1〜2.0μmの範囲に設定され
る。その塗布には、ブレードコーティング法、ワイヤー
バーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コ
ーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコ
ーティング法、カーテンコーティング法等の公知方法が
用いられる。
【0078】本発明の電荷輸送層には、上記した電荷輸
送性ブロック共重合体を含有する不均一電荷輸送層を有
するものであるが、均一電荷輸送層を併設する場合、そ
の均一電荷輸送層には、当該分野においてJ字型積層感
光体の電荷輸送層に用いられている公知の材料から適宜
選択して使用される。例えば、ベンジジン系化合物、ア
ミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合
物、カルバゾール系化合物等を、単独でまたは2種以上
を混合して、絶縁性樹脂(例えば、ポリカーボネート、
ポリアリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリア
ルキルメタクリレート等)中に均一に分子分散した固溶
膜が用いられ、また、それ自体電荷輸送能を有する高分
子化合物等を用いることもできる。さらに、セレン、a
−Si、a−SiC等の電荷輸送能を有する無機物質も
使用できる。電荷輸送能を有する高分子化合物として
は、ポリビニカルバゾール等の電荷輸送能を示す基を側
鎖に含む高分子化合物、特開平5−232727号公報
等に開示されているような電荷輸送能を示す基を主鎖に
含む高分子化合物、ポリシラン等が挙げられる。
【0079】本発明のS字型感光体の均一電荷輸送層と
しては、特に製造上、電荷輸送性高分子化合物を用いる
ことが好ましい。すなわち、不均一電荷輸送層と均一電
荷輸送層を積層成膜する場合、均一電荷輸送層に低分子
化合物の電荷輸送材料を使用すると、その低分子化合物
が不均一電荷輸送層中に混入し、不均一電荷輸送層の電
気的不活性マトリックスの主な電荷に対する絶縁性が低
下してS字性が損なわれたり、或いは不均一電荷輸送層
中に混入した低分子化合物が不均一電荷輸送層中で電荷
トラップとなり、残留電位の増大、輸送能の低下及び光
感度の低下等の障害を引き起こす。この問題は、湿式塗
布法によって成膜する際に特に顕著になる(もっとも、
上層の塗布溶剤には、下層を溶解及び膨潤し難いものを
選択するか、不均一電荷輸送層を、架橋硬化性にして上
層の塗布溶剤による溶解及び膨潤を防止する等により、
回避することは可能である)。ところが、上述のよう
に、高分子同士は、通常、相溶することなく相分離を起
こすから、均一電荷輸送層に電荷輸送性高分子を用いる
と、不均一電荷輸送層樹脂と相溶することなく相分離す
るため、上記のような混入の問題は殆ど発生せず、材料
及び製造法の選択について制約が解消されるという利点
がある。
【0080】そして、本発明の均一電荷輸送層用の電荷
輸送性高分子としては、上記一般式(2)又は(3)で
表される構造の少なくとも1種を繰り返し単位として含
有する電荷輸送性樹脂が、高い電荷輸送能を有し、機械
的特性にも優れているので好ましい。特に、不均一電荷
輸送層に用いた電荷輸送性ブロック共重合体の電荷輸送
性ブロックと同一構造の電荷輸送性高分子を均一電荷輸
送層に用いると、不均一電荷輸送層から均一電荷輸送層
への電荷の注入が非常にスムーズになるから好ましい。
また、均一電荷輸送層中には電荷輸送性マトリックスに
囲まれるような電気的不活性な領域が存在してもよく、
例えば、表面摩擦力の低減、磨耗の低減、又は表面への
異物付着の低減等を目的として低表面エネルギーの絶縁
性粒子等を含有させることができる。さらにまた、均一
電荷輸送層には電荷輸送能の向上等を目的として、電荷
輸送性微粒子等を添加こともできる。
【0081】また、電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロッ
クが相溶性である電荷輸送性ブロック共重合体も、均一
電荷輸送層として有効に利用できる。さらに、上述した
ように均一電荷輸送層中には電荷輸送性マトリックスに
囲まれるような電気的不活性な領域が存在してもよいた
め、電荷輸送性ブロックがマトリックスになり、絶縁性
ブロックがドメインとなるミクロ相分離状態を形成する
電荷輸送性ブロック共重合体も、均一電荷輸送層として
用いることができる。また、均一電荷輸送層が感光体の
最表層となる構成のものでは、機械的強度の観点から、
架橋硬化性材料を用いて形成される均一電荷輸送層を用
いることが好ましい。
【0082】本発明に用いる均一電荷輸送層は1層又は
複数層からなり、その全膜厚は50μm以下、好ましく
は30μm以下に設定される。その塗布液の塗布には、
ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング
法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビ
ードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カ
ーテンコーティング法等の公知方法を用いる。また、セ
レン、a−Si等の気相成膜可能なものは、真空蒸着法
等により直接成膜することもできる。本発明における不
均一電荷輸送層及び均一電荷輸送層を含む電荷輸送層全
体の合計膜厚は、5〜50μmの範囲であり、好ましく
は10〜40μmの範囲に設定される。
【0083】電荷輸送層が電荷発生層と露光光源の間に
存在する場合、実効の光感度の低下を防止するために、
電荷輸送層は、露光波長の光に対して実質的に透明であ
ることが望ましい。電荷輸送層における露光に用いる光
の透過率は50%以上が好ましく、より好ましくは70
%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。し
かし、低感度において使用することが望まれる場合に
は、露光波長の光を吸収する物質を添加して、光感度を
実効的に調整することもできる。
【0084】本発明において、感光層の上に、必要に応
じて設けられる保護層は、帯電部材から発生するオゾン
や酸化性ガス等、紫外光等による化学的ストレス、現像
剤、紙、クリーニング部材等との接触に起因する機械的
ストレスから感光層を保護し、感光層の実質の寿命を改
善するために有効であり、特に、単層型感光体や図5及
び図6に見られる積層型感光体のように、電荷発生領域
を最上層に持つ場合に、顕著な効果が現れる。
【0085】保護層は、導電性材料を適当な結着樹脂中
に含有させて形成される。その導電性材料としては、例
えば、ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、酸化
アンチモン、酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、
ITO等の金属酸化物等が用いられる。結着樹脂として
は、ポリアミド、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリカ
ーボネート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリ
コーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂等の公知の樹脂を用いる。また、アモルファスカー
ボン等の半導電性無機膜も保護層として用いることがで
きる。これらの抵抗制御型の保護層は、その電気抵抗が
109 〜1014Ω・cmの範囲内にあることが必要であ
る。電気抵抗がこの範囲以上になると残留電位が増加
し、他方、この範囲以下になると沿面方向において電荷
漏洩が無視できなくなり、解像度の低下が発生する。保
護層の膜厚は0.5〜20μmであり、好ましくは1〜
10μmの範囲に設定される。また、保護層を設けた場
合、必要に応じて、感光層と保護層との間に、保護層か
ら感光層への電荷の漏洩を阻止するブロッキング層を設
けることができる。このブロッキング層には、保護層の
場合と同様に公知のものを用いることができる。
【0086】本発明の電子写真感光体には、電子写真装
置中で発生するオゾンや酸化性ガス或いは光、熱による
感光体の劣化を防止する目的で、各層又は最上層中に酸
化防止剤、光安定剤、熱安定剤等を添加することができ
る。酸化防止剤としては、公知のものを用いることがで
き、例えば、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミ
ン類、フェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、スピ
ロクロマン類、スピロインダノン類、有機硫黄化合物、
有機燐化合物等が挙げられる。また、光安定剤として
は、公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾフ
ェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テ
トラメチルピペリジン等及びそれらの誘導体又は光励起
状態をエネルギー移動或いは電荷移動により失活し得る
電子吸引性化合物又は電子供与性化合物等が挙げられ
る。さらに、表面磨耗の低減、転写性の向上、クリーニ
ング性の向上等を目的として、最表面層にフッ素樹脂等
の低表面エネルギーの絶縁性粒子を分散させてもよい。
【0087】本発明の電子写真感光体を搭載する電子写
真装置としては、電子写真法を用いられている如何なる
ものも使用可能であるが、特にデジタル処理された画像
信号に基づき露光を行う電子写真装置が好ましい。デジ
タル処理された画像信号に基づき露光を行う電子写真装
置とは、レーザー又は電子写真装置LED等の光源を用
い、2値化又はパルス幅変調や強度変調を行い多値化さ
れた光により露光を行う電子写真装置であり、具体的に
は、LEDプリンター、レーザープリンター、レーザー
露光式デジタル複写機等が挙げられる。搭載する電子写
真感光体は、E50%/E10%値が5以下のものが好まし
く、デジタル特性を発揮するには、E50%/E10%値が
3未満のものがより好ましく、2未満のものが特に好ま
しい。
【0088】また、現像後の感光体の初期化或いは電子
写真特性の安定化等を目的として、画像形成用の露光光
源とは別に、光源を併用することができ、その光源の発
光域としては、不均一電荷輸送層に吸収されるものでも
吸収されないものでもよいが、少なくとも電荷発生層ま
で光が届くことが好ましい。
【0089】図7は、本発明の電子写真装置の一例を示
す概略構成図である。この装置はレーザープリンターで
あり、円筒形の感光体ドラム11の周りに残留電荷を除
去するための除電用光源(赤色LED)12、帯電用ス
コロトロン13、露光用レーザー光学系14、現像器1
5、転写用コロトロン16及びクリーニングブレード1
7がこの順序で配置されている。露光用レーザー光学系
14は、発信波長780nmの露光用レーザーダイオー
ドを備えており、デジタル処理された画像信号に基づい
て発光する。発光したレーザー光14aはポリゴンミラ
ーと複数のレンズ、ミラーにより走査されながら感光体
上を露光するように構成されている。なお、18は用紙
を示す。
【0090】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではなく、当業者は合成化学及び電子写真技術の公知の
知見から、以下の実施例に変更を加えることが可能であ
る。 合成例1 反応性重合開始剤 4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロリド)の合
成 塩化チオニル220mlを氷冷し、これに4,4′−ア
ゾビス(4−シアノ吉草酸)100gを徐々に加えた
後、30℃において6時間加熱し、次いで、過剰の塩化
チオニルを減圧下で留去した。その残留物をクロロホル
ムにより再結晶して4,4′−アゾビス(4−シアノ吉
草酸クロリド)結晶42gを得た。
【0091】合成例2 反応性官能基を1個有する非対称アゾ開始剤の合成 水200mlと35%塩酸30mlとからなる塩酸水溶
液中に4−アミノ安息香酸12.5gを0℃にて溶解さ
せ、更に氷120gを添加した。これを氷冷下、亜硝酸
ナトリウム6.5gを溶解させた水100ml中に滴下
した。更に、これを、氷冷下、酢酸ナトリウム90g、
メチルマロノニトリル(メチルジシアノメチル)7.5
g、エタノール120ml及び水200mlからなる溶
液中に滴下した。この溶液を0℃で1時間撹拌した後、
20℃に昇温してさらに45分間撹拌した。この中に、
35%塩酸とジエチルエーテルを加えて有機相と水相に
分離し、有機相を単離した。この有機相を水で洗浄し、
硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、溶剤で留去し、
更に真空下で乾燥させて(4−カルボキシフェニルア
ゾ)−メチルマロノニトリル(メチルジシアノメチル)
8.3gを得た。次に、得られた(4−カルボキシフェ
ニルアゾ)−メチルマロノニトリル(メチルジシアノメ
チル)7.5gをトルエン250mlに溶解し、これ
に、氷冷下、五塩化燐7.0gを塩化メチレン10ml
中に溶解させた溶液を滴下した。この溶液を0℃で10
分間撹拌した後、20℃に昇温して更に3日間撹拌し
た。これにヘキサン1000mlを加え、20℃で一晩
放置し、生成物を晶出させた。この晶出物を瀘別し、真
空下で乾燥させることにより、反応性官能基として塩素
化カルボニル基を1個有するアゾ型重合開始剤である
(4−塩素化カルボニルフェニルアゾ)−メチルマロノ
ニトリル4.8gを得た。
【0092】合成例3 反応性官能基を両末端に有する電荷輸送性高分子の合成 3,3′−ジメチル−N,N′−ビス(p,m−ジメチ
ルフェニル)−N,N′−ビス[4−(2−メトキシカ
ルボニルエチル)フェニル]−[1,1′−ビフェニ
ル]−4,4′−ジアミン100g、エチレングリコー
ル200g及びテトラブトキシチタン5gを、窒素気流
下に3時間加熱還流させた。反応の進行を知るために
3,3′−ジメチル−N,N′−ビス(p,m−ジメチ
ルフェニル)−N,N′−ビス[4−(2−メトキシカ
ルボニルエチル)フェニル]−[1,1′−ビフェニ
ル]−4,4′−ジアミンが消費されたことを確認した
後、0.5mmHgに減圧してエチレングリコールを留
去しながら235℃に加熱し、さらに3時間反応を続け
た。得られた反応生成物を室温まで冷却し、次に、塩化
メチレンを加えて不溶分を溶解させ、アセトンから再沈
殿することにより、両末端にヒドロキシ基を有する電荷
輸送性ポリエステル重合体90gを得た。得られた重合
体の数平均分子量は5.8×104 であった。また、得
られる重合体の分子量は、反応温度及び反応時間により
制御することが可能であり、約2000から20000
0の範囲で任意の重量平均分子量のものを合成すること
ができた。
【0093】実施例1 合成例3で得られた両末端にヒドロキシル基を有する電
荷輸送性高分子(重量平均分子量80000)30gと
N,N−ジメチルアニリン0.5gをトルエン120m
lに溶解させ、この溶液中に、合成例1で得られたアゾ
開始剤3.4gをトルエン80gに溶解させた溶液を室
温にて滴下により添加し、その後、30℃において6時
間反応させた。この反応生成物をトルエン600mlに
溶解させて、メタノール3000ml中に滴下する再沈
殿操作を3回繰り返し行って精製し、両末端にアゾ型重
合開始基を有する電荷輸送性高分子29gを得た。得ら
れた高分子は、電荷輸送性ブロック固有のプロトンと両
末端アゾ型重合開始基固有のプロトンに対応するピーク
の積分比から、電荷輸送性高分子末端基の反応率は81
%であった。
【0094】次に、得られた両末端にアゾ型重合開始基
を有する電荷輸送性高分子5.0gとn−ドデシルメタ
クリレート4.2gをトルエン80mlに溶解させ、乾
燥窒素気流下、65℃にて100時間反応させた。反応
生成物をトルエン200mlに溶解させて、メタノール
1000ml中に滴下する再沈殿操作を3回繰り返し行
って精製し、下記構造式(X)で示される重量平均分子
量18.5万の電荷輸送性トリブロック共重合体8.3
gを得た。なお、式中の括弧は、繰り返し単位を意味す
る。得られた電荷輸送性トリブロック共重合体の 1H−
NMRスペクトルにおける各ブロック固有のプロトンに
対応するピークの積分比から、電荷輸送性ブロックとポ
リ(n−ドデシルメタクリレート)からなる両側絶縁性
ブロックとの重量組成比は、約6:5と計算された。
【化15】
【0095】実施例2 合成例3で得られた両末端にヒドロキシル基を有する電
荷輸送性高分子(重量平均分子量80000)30gと
N,N−ジメチル−o−トルイジン0.5gをトルエン
120mlに溶解させ、この溶液中に、合成例2で得ら
れたアゾ開始剤3.4gをトルエン80gに溶解させた
溶液を室温にて滴下により添加し、その後、30℃にお
いて6時間反応させた。この反応生成物を、トルエン6
00mlに溶解させて、メタノール3000ml中に滴
下する再沈殿操作を3回繰り返し行って精製し、両末端
にアゾ型重合開始基を有する電荷輸送性高分子29gを
得た。得られた高分子は、電荷輸送性ブロック固有のプ
ロトンと両末端アゾ型重合開始基固有のプロトンに対応
するピークの積分比から、電荷輸送性高分子末端基にの
反応率は84%であった。
【0096】次に、得られた両末端にアゾ型重合開始基
を有する電荷輸送性高分子5.0gとn−ドデシルメタ
クリレート4.2gをトルエン80mlに溶解させ、乾
燥窒素気流下、65℃にて100時間反応させた。この
反応生成物をトルエン200mlに溶解させて、メタノ
ール1000ml中に滴下する再沈殿操作を3回繰り返
し行って精製し、構造式(X)で示される重量平均分子
量17万の電荷輸送性トリブロック共重合体8.4gを
得た。得られた電荷輸送性トリブロック共重合体の 1
−NMRスペクトルにおける各ブロック固有のプロトン
に対応するピークの積分比から、電荷輸送性ブロックと
ポリ(n−ドデシルメタクリレート)からなる両側絶縁
性ブロックとの重量組成比は、約6:5と計算された。
【0097】実施例3 合成例3で得られた両末端にヒドロキシル基を有する電
荷輸送性高分子(重量平均分子量80000)30gと
N,N−ジメチル−p−トルイジン0.5gをトルエン
120mlに溶解させ、この溶液中に、合成例2で得ら
れたアゾ開始剤3.4gをトルエン80gに溶解させた
溶液を室温にて滴下により添加し、その後、30℃で6
時間反応させた。この反応生成物をトルエン600ml
に溶解させて、メタノール3000ml中に滴下する再
沈殿操作を3回繰り返し行って精製し、両末端にアゾ型
重合開始基を有する電荷輸送性高分子28gを得た。得
られた高分子は、電荷輸送性ブロック固有のプロトンと
両末端アゾ型重合開始基固有のプロトンに対応するピー
クの積分比から、電荷輸送性高分子末端基の反応率は8
5%であった。
【0098】次に、得られた両末端にアゾ型重合開始基
を有する電荷輸送性高分子5.0gとn−ドデシルメタ
クリレート4.2gをトルエン80mlに溶解させ、乾
燥窒素気流下、65℃にて100時間反応させた。反応
生成物をトルエン200mlに溶解させて、メタノール
1000ml中に滴下する再沈殿操作を3回繰り返し行
って精製し、構造式(X)で示される重量平均分子量1
7.5万の電荷輸送性トリブロック共重合体7.8gを
得た。得られた電荷輸送性トリブロック共重合体の 1
−NMRスペクトルにおける各ブロック固有のプロトン
に対応するピークの積分比から、電荷輸送性ブロックと
ポリ(n−ドデシルメタクリレート)からなる両側絶縁
性ブロックとの重量組成比は、約5:2と計算された。
【0099】比較例1 実施例1で用いたN,N−ジメチルアニリンを用いなか
った以外は、実施例1と同様にして、両末端にアゾ型重
合開始基を有する電荷輸送性高分子29gを得た。電荷
輸送性ブロック固有のプロトンと両末端アゾ型重合開始
基固有のプロトンに対応するピークの積分比から、電荷
輸送性高分子末端基に対する反応率は45%であった。
次に、得られた両末端にアゾ型重合開始基を有する電荷
輸送性高分子5.0gとn−ドデシルメタクリレート
4.2gをトルエン80mlに溶解させ、乾燥窒素気流
下、65℃にて100時間反応させた。この反応生成物
をトルエン160mlに溶解させて、メタノール800
ml中に滴下する再沈殿操作を3回繰り返し行って精製
し、構造式(X)で示される重量平均分子量15.6万
の電荷輸送性トリブロック共重合体6.6gを得た。得
られた電荷輸送性トリブロック共重合体の 1H−NMR
スペクトルにおける各ブロック固有のプロトンに対応す
るピークの積分比から、電荷輸送性ブロックとポリ(n
−ドデシルメタクリレート)からなる両側絶縁性ブロッ
クとの重量組成比は、約3:2と計算された。
【0100】比較例2 実施例1で用いたN,N−ジメチルアニリンに代えてト
リエチルアミンを用いた以外は、実施例1と同様にし
て、両末端にアゾ型重合開始基を有する電荷輸送性高分
子29gを得た。電荷輸送性ブロック固有のプロトンと
両末端アゾ型重合開始基固有のプロトンに対応するピー
クの積分比から、電荷輸送性高分子末端基の反応率は5
5%であった。次に、得られた両末端にアゾ型重合開始
基を有する電荷輸送性高分子5.0gとn−ドデシルメ
タクリレート4.2gをトルエン80mlに溶解させ、
乾燥窒素気流下、65℃にて100時間反応させた。こ
の反応生成物をトルエン160mlに溶解させて、メタ
ノール800ml中に滴下する再沈殿操作を3回繰り返
し行って精製し、構造式(X)で示される重量平均分子
量16万の電荷輸送性トリブロック共重合体5.2gを
得た。得られた電荷輸送性トリブロック共重合体の 1
−NMRスペクトルにおける各ブロック固有のプロトン
に対応するピークの積分比から、電荷輸送性ブロックと
ポリ(n−ドデシルメタクリレート)からなる両側絶縁
性ブロックとの重量組成比は、約3:2と計算された。
【0101】実施例4 合成例3で得られた両末端にヒドロキシル基を有する電
荷輸送性高分子(重量平均分子量80000)30gと
1,1,3,3−テトラメチル尿素0.5gをトルエン
120mlに溶解させ、これに合成例1で得られた塩素
化カルボニル基を1個有するアゾ開始剤3.4gをトル
エン80gに溶解させた溶液を室温にて滴下して加え
た。その後、30℃で6時間反応させた。反応生成物を
トルエン600mlに溶解させて、メタノール3000
ml中に滴下する再沈殿操作を3回行うことによって精
製し、両末端にアゾ型重合開始基を有する電荷輸送性高
分子29gを得た。電荷輸送性ブロック固有のプロトン
と両末端アゾ型重合開始基固有のプロトンに対応するピ
ークの積分比から、電荷輸送性高分子末端に対する反応
率は86%であった。
【0102】次に、得られた両末端にアゾ型重合開始基
を有する電荷輸送性高分子5.0gとn−ドデシルメタ
クリレート4.2gをトルエン80mlに溶解させ、乾
燥窒素気流下、65℃にて100時間反応させた。反応
生成物をトルエン200mlに溶解させて、メタノール
1000ml中に滴下する再沈殿操作を3回行うことに
よって精製し、構造式(X)で示される重量平均分子量
18万の電荷輸送性トリブロック共重合体8.5gを得
た。得られた電荷輸送性トリブロック共重合体の 1H−
NMRスペクトルにおける各ブロック固有のプロトンに
対応するピークの積分比から、電荷輸送性ブロックとポ
リ(n−ドデシルメタクリレート)からなる両側絶縁性
ブロックとの重量組成比は、約6:5と計算された。
【0103】実施例5 合成例3で得られた両末端にヒドロキシル基を有する電
荷輸送性高分子(重量平均分子量80000)30gと
1,1,3,3−テトラエチル尿素0.46gをトルエ
ン120mlに溶解させ、ここに合成例2で得られた塩
素化カルボニル基を1つ有するアゾ開始剤3.4gをト
ルエン80gに溶解させた溶液を室温にて滴下し加え
た。その後、30℃で6時間反応させた。反応生成物を
トルエン600mlに溶解させて、メタノール3000
ml中に滴下する再沈殿操作を3回行うことによって精
製し、両末端にアゾ型重合開始基を有する電荷輸送性高
分子28gを得た。電荷輸送性ブロック固有のプロトン
と両末端アゾ型重合開始基固有のプロトンに対応するピ
ークの積分比から、電荷輸送性高分子末端基に対する反
応率は81%であった。
【0104】次に、得られた両末端にアゾ型重合開始基
を有する電荷輸送性高分子5.0gとn−ドデシルメタ
クリレート4.2gをトルエン80mlに溶解させ、乾
燥窒素気流下、65℃にて100時間反応させた。反応
生成物をトルエン160mlに溶解させて、メタノール
800ml中に滴下する再沈殿操作を3回行うことによ
って精製し、構造式(X)で示される重量平均分子量1
7万の電荷輸送性トリブロック共重合体7.8gを得
た。得られた電荷輸送性トリブロック共重合体の 1H−
NMRスペクトルにおける各ブロック固有のプロトンに
対応するピークの積分比から、電荷輸送性ブロックとポ
リ(n−ドデシルメタクリレート)からなる両側絶縁性
ブロックとの重量組成比は、約5:2と計算された。
【0105】実施例6 アルミニウム基板上に、ジルコニウムアルコキシド化合
物(オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)1
5重量部、シランカップリング剤(A1110、日本ユ
ニカー社製)1重量部、ポリビニルブチラール樹脂(エ
スレックBM−S、信越化学工業社製)1重量部、イソ
プロパノール15重量部及びn−ブタノール15重量部
からなる溶液を浸漬コーティング法で塗布し、50℃8
5%RHの条件下で10分間加湿処理を行い、さらに1
60℃において15分間加熱処理し、膜厚0.8μmの
下引き層を形成した。次に、CuKαを線源とするX線
回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角度(2θ
±0.2°)、7.4°、16.6°、25.5°、及
び28.3°に強い回折ピークを有するクロロガリウム
フタロシアニン微結晶4重量部を、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体(UCARソリューションビニル樹脂VM
CH、ユニオンカーバイド社製)2重量部、キシレン6
7重量部、及び酢酸n−ブチル33重量部と混合し、ガ
ラスビーズとともにペイントシェーク法で5時間処理し
て分散した後、得られた塗布液を浸漬コーティング法で
上記下引き層上に塗布し、100℃において10分間加
熱乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。次
に、実施例1で得られたトリブロック共重合体10重量
部をトルエン90重量部に溶解させた溶液を、上記電荷
発生層上に浸漬コーティング法にて塗布した後、135
℃で10分間加熱乾燥させて、膜厚3μmのS字化電荷
輸送層を形成した。
【0106】次に、電荷輸送性高分子である重量平均分
子量4万の下記構造式(Y)で示される繰り返し単位よ
りなる化合物20重量部をクロロベンゼン80重量部に
溶解した塗布液を、上記S字化電荷輸送上に浸漬コーテ
ィング法で塗布し、135℃において1時間加熱乾燥さ
せて、膜厚20μmの均一電荷輸送層を形成し、図4に
示す層構成の電子写真感光体を作製した。
【化16】
【0107】得られた電子写真感光体について、静電複
写紙試験装置(エレクトロスタティックアナライザーE
PA−8100、川口電機製作所社製)を用いて、常温
常湿(20℃、40%RH)の環境下、電子写真特性の
評価を行った。コロナ放電電圧を調整し、感光体表面を
−750Vに帯電させた後、干渉フィルターを通し78
0nmに単色化したハロゲンランプ光を感光体表面上で
10mW/m2 の光強度になるように調整し、5秒間照
射したところ、図2のようなS字型の光誘起電位減衰を
示した。E50%/E10%値は1.6であり、E50%値は
10mJ/m2、残留電位は20Vであった。
【0108】比較例3 実施例6に用いたトリブロック共重合体に代えて、比較
例2で製造したトリブロック共重合体を用いた以外は、
実施例6と同様にして、電子写真感光体を作製した。得
られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例6と同
様の方法で評価したところ、その光誘起電位減衰特性は
E50%/E10%値が2.3、E50%値が19mJ/
2 、残留電位が25Vであった。
【0109】実施例7 アルミニウム基板の代わりに表面にホーニングによる粗
面化処理を施したアルミニウムドラムを使用した以外
は、実施例6と同様に電子写真感光体を作製し、レーザ
ープリンター(Laser Press 4105、富
士ゼロックス社製)に搭載し、印字試験を行った。この
際、最適な露光量を得るため、レーザー光の光路にND
フィルターを入れた。なお、画質評価は、1枚目と20
00枚連続印字後の印字サンプルについて、目視により
行った。
【0110】比較例4 アルミニウム基板の代わりに表面にホーニングによる粗
面化処理を施したアルミニウムドラムを使用した以外
は、比較例3と同様に電子写真感光体を作製し、実施例
7と同様に印字試験を行った。実施例7と比較例4で得
られた印字の品質を比べたところ、実施例7の方が細線
の再現性及び鮮鋭性等の点で、印字品質が優れていた。
また、実施例7で得られた1枚目と2000枚目の印字
品質は同等のものであり、本発明の電子写真感光体は高
い耐久性を有していた。
【0111】
【発明の効果】本発明のブロック共重合体の製造方法
は、広範囲の機能性重合体の製造に適用できると共に、
安価に、かつ高純度の電荷輸送性ブロック共重合体を容
易に得ることができるものであり、また、この製造方法
により得られた電荷輸送性ブロック共重合体を用いた電
子写真感光体は、高性能であり、かつ耐久性に優れてい
るという卓越した効果を奏する。特に、本発明の製造方
法により得られる相分離型の電荷輸送性ブロック共重合
を含む不均一電荷輸送層を有する機能分離積層型感光体
は、優れたS字化電位減衰特性を示し、それを使用した
デジタル式電子写真装置は、優れた印字品質並びに優れ
た画質を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 J字型電子写真感光体における露光量と表面
電位の関係を示すグラフである。
【図2】 S字型電子写真感光体における露光量と表面
電位の関係を示すグラフである。
【図3】 本発明の電子写真感光体の一例を示す模式的
断面図である。
【図4】 本発明の電子写真感光体の他の一例を示す模
式的断面図である。
【図5】 本発明の電子写真感光体の他の一例を示す模
式的断面図である。
【図6】 本発明の電子写真感光体の他の一例を示す模
式的断面図である。
【図7】 デジタル処理された画像信号に基づき露光を
行う本発明の電子写真装置の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
1…導電性支持体、2…電荷発生層、3…不均一電荷輸
送層(S字化電荷輸送層)、4…均一電荷輸送層、11
…感光体ドラム、12…除電用光源、13…帯電用スコ
ロトロン、14…露光用レーザー光学系、15…現像
器、16…転写用コロトロン、17…クリーニングブレ
ード、18…用紙。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックを
    有する電荷輸送性ブロック共重合体の製造方法におい
    て、末端に反応性官能基を有する電荷輸送性高分子と酸
    ハロゲン基を有する低分子重合開始剤とを、第3級芳香
    族アミン又はアルキル尿素誘導体の存在下に反応させ
    て、末端に重合開始基を有する電荷輸送性ブロックを生
    成させ、次に、得られた電荷輸送性ブロックに絶縁性モ
    ノマーを重合させることを特徴とする電荷輸送性ブロッ
    ク共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記低分子重合開始剤が、アゾ化合物で
    あることを特徴とする請求項1に記載の電荷輸送性ブロ
    ック共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アゾ化合物が、下記一般式(1)で
    示される非対称アゾ化合物であることを特徴とする請求
    項2に記載の電荷輸送性ブロック共重合体の製造方法。 X−L−N=N−Y (1) (式中、Lは、枝分れもしくは環構造を含んでもよい2
    価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示し、
    Xは、酸ハロゲン基を示し、Yは下記部分構造式(a)
    から選ばれる1価のヘテロ原子含有炭化水素基を示
    す。) 【化1】 (式中、R1 〜R9 は、それぞれ独立に、置換もしくは
    未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシル基、ア
    ルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基を示
    す。)
  4. 【請求項4】 前記電荷輸送性ブロックが、下記一般式
    (2)又は下記一般式(3)で示される構造の少なくと
    も1種を繰り返し構造単位として含有するものであるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電
    荷輸送性ブロック共重合体の製造方法。 【化2】 (式中、Ar1 及びAr2 は、それぞれ独立に、置換も
    しくは未置換のアリール基を示し、X1 は芳香族環構造
    を有する2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素
    基を示し、X2 及びX3 は、それぞれ独立に、置換もし
    くは未置換のアリーレン基を示し、L1 は、枝分れもし
    くは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基又はヘテロ
    原子含有炭化水素基を示し、m及びnは、それぞれ0又
    は1の整数である。) 【化3】 (式中、Ar3 及びAr4 は、それぞれ独立に、置換も
    しくは未置換のアリール基を示し、L2 は芳香族環構造
    を有する3価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素
    基を示す。)
  5. 【請求項5】 前記一般式(2)中のX1 が、置換もし
    くは未置換のビフェニレン基であることを特徴とする請
    求項4に記載の電荷輸送性ブロック共重合体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記絶縁性ブロックが、下記一般式
    (4)で示される絶縁性モノマーの重合体であることを
    特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電荷輸
    送性ブロック共重合体の製造方法。 【化4】 (式中、R1 〜R3 は、それぞれ独立に、水素原子、ハ
    ロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基又はアリ
    ール基を示し、R4 はハロゲン原子、置換もしくは未置
    換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル
    基、アシルオキシ基、又はアルコキシカルボニル基を示
    す。)
  7. 【請求項7】 前記請求項1〜6のいずれか1項により
    得られた電荷輸送性ブロック共重合体を含有する電荷輸
    送層を設けたことを特徴とする電子写真感光体。
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