JPH11231368A - ブレ補正装置 - Google Patents

ブレ補正装置

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JPH11231368A
JPH11231368A JP10034572A JP3457298A JPH11231368A JP H11231368 A JPH11231368 A JP H11231368A JP 10034572 A JP10034572 A JP 10034572A JP 3457298 A JP3457298 A JP 3457298A JP H11231368 A JPH11231368 A JP H11231368A
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JP
Japan
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command value
position command
unit
shake
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Application number
JP10034572A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Takeuchi
宏 竹内
Kazutoshi Usui
一利 臼井
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Priority to US09/163,436 priority patent/US5978600A/en
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特別なセンサを用いることなく高精度にブレ
を補正することができるブレ補正装置を提供する。 【解決手段】 理想的駆動電流演算部7は、ブレ補正レ
ンズが加速度を受けなかったときの理想的な駆動電流を
演算する。疑似アクチュエータ71は、実際のアクチュ
エータと同様の挙動をするアクチュエータのモデルであ
り、固有角振動数ωn、減衰定数ζ、アクチュエータ駆
動能力定数βなどによってモデルを記述する。EEPR
OM10は、これらの定数を調整時に記憶し、理想的駆
動電流演算部7は、これらの定数をブレ補正時に読み出
して、理想的駆動電流を演算する。実際のアクチュエー
タに流れる駆動電流と理想的駆動電流の差は、手ブレに
よる加速度に対応する信号成分である。ブレ補正レンズ
の目標位置は、この信号成分に基づいて演算できるため
に、角速度センサなどの特別なセンサが必要ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラなどにおけ
る手ブレなどによるブレを補正するブレ補正装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、カメラが振動することにより
生ずる像面でのブレを補正するために、撮影光学系の一
部を構成するブレ補正光学系(以下、ブレ補正レンズと
いう)を光軸と略直交する方向などに駆動して、ブレを
キャンセルするブレ補正装置が知られている。このよう
なブレ補正装置は、角速度センサや加速度センサなどに
よって手ブレを検出し、この検出信号に基づいて駆動信
号を演算する。ブレ補正レンズは、光軸方向と略直交に
移動可能なように支持されている。アクチュエータは、
この駆動信号に基づいて、結像面(フィルム面)でのブ
レを打ち消す方向に、ブレ補正レンズを駆動する。
【0003】撮影時においてカメラブレの原因となるブ
レには、ピッチング、ヨーイング、縦の平行ブレ、横の
平行ブレ及びローリングなどがある。ピッチング及びヨ
ーイングは、近接撮影ではなく、かつ、撮影倍率が小さ
いときには、フィルム面上で大きなブレとして影響し、
相対的に光軸Iを動かしてフィルム面上の像を動かして
しまう。このために、従来のブレ補正装置は、ピッチン
グ及びヨーイングの影響のみを補正するものが多い。
【0004】図11は、従来のブレ補正装置を搭載した
カメラシステムの斜視図である。図12は、従来のブレ
補正装置における信号の流れを示すブロック図である。
なお、図12は、図11に示すx軸方向の信号の流れを
示し、y軸方向の信号の流れは、x軸方向の信号の流れ
と同じであり、図示を省略する。
【0005】角速度センサ160は、カメラのピッチン
グ及びヨーイングを検出するセンサである。角速度セン
サ160は、図中x軸方向とy軸方向にそれぞれ1台づ
つ設けられており、それぞれピッチング検出用とヨーイ
ング検出用のセンサである。角速度センサ160は、通
常、コリオリ力を検出する圧電振動ジャイロ型角速度セ
ンサを使用する。角速度センサ160は、積分器600
に接続されている。
【0006】積分器600は、角速度センサ160が出
力するブレ検出信号を時間で積分するものである。積分
器600は、このブレ検出信号(角速度信号)をカメラ
のブレ角度に変換して、ブレ補正レンズ130を目標位
置に駆動するための目標位置信号を、サーボ回路300
に出力する。
【0007】ブレ補正レンズ130は、光軸Iと略直交
する平面内で駆動することによって、像面に結像する像
を動かしてブレを補正するレンズである。ブレ補正レン
ズ130は、ピッチング、ヨーイングなどのカメラの動
きに伴う光軸Iの動きをキャンセルする方向に駆動し
て、フィルム面上での像の動きを止めて、手ブレを補正
する。ブレ補正レンズの動きとカメラのブレ角には、以
下の数1に示す関係がある。
【0008】
【数1】
【0009】ここで、Xは、ブレ補正レンズの動き(m
m)であり、fは、焦点距離(mm)であり、θは、カ
メラのブレ角(rad)であり、αは、補正光学系補正
定数である。補正光学系補正定数αは、ブレ補正レンズ
の移動量に対する像面での像の移動量の比を表し、光学
系の設計によって変化する。
【0010】ブレ補正レンズ130は、光軸Iと略直交
する平面内で移動可能なように、例えば、光軸I方向に
高い剛性を備えた図示しない弾性支持部材により、片持
ち式に支持されている。このために、ブレ補正レンズ1
30は、光軸Iに対して略直交する方向の力が加わる
と、光軸Iと略直交する平面内で移動することができ
る。また、ブレ補正レンズ130は、その可動部を鋼球
を介して、光軸Iと直交する平面にばねなどで押し付け
て支持したり、スライド部材やリンク部材などを介して
支持してもよい。
【0011】サーボ回路300は、目標位置信号に基づ
いてブレ補正レンズ130を駆動するための回路であ
る。サーボ回路300は、位置検出センサ400が検出
したブレ補正レンズ130の位置が、ブレ補正レンズ1
30の目標位置に追従するように、アクチュエータ10
0を駆動するための駆動信号を演算する。サーボ回路3
00は、PWMドライバ200に接続されている。
【0012】PWMドライバ200は、入力した駆動信
号(駆動電圧)に応じて、アクチュエータ100に駆動
電流を流すためのものである。
【0013】アクチュエータ100は、ブレ補正レンズ
130をx軸方向及びy軸方向に駆動するためのもので
ある。アクチュエータ100は、図中x軸方向とy軸方
向にそれぞれ1台づつ設けられており、それぞれブレ補
正レンズ130をx軸方向、y軸方向に駆動する。
【0014】位置検出センサ400は、ブレ補正レンズ
130のx軸方向及びy軸方向の位置をモニタするセン
サである。位置検出センサ400は、光軸Iを挟み、ア
クチュエータ100と対向する位置に設けられている。
位置検出センサ400は、図中x軸方向とy軸方向にそ
れぞれ1台づつ設けられており、それぞれブレ補正レン
ズ130のx軸方向、y軸方向における位置を検出す
る。位置検出センサ400は、例えば、ブレ補正レンズ
130を光学的にモニタするものであり、ブレ補正レン
ズ130の位置に応じた位置検出信号を、サーボ回路3
00にフィードバックする。
【0015】このようなブレ補正装置は、レリーズボタ
ンを撮影者が半押し動作して、カメラが撮影準備状態で
あるときや、レリーズボタンを撮影者が全押し動作して
露光動作をするときに、ブレ補正レンズ510を駆動す
る。その結果、シャッタ秒時を通常よりも長く設定して
も、ブレのない写真を撮影することができる。
【0016】このような従来のブレ補正装置としては、
例えば、特開平6−35023号公報に開示されたブレ
補正装置が知られている。このブレ補正装置は、ピッチ
方向及びヨー方向のブレを検出する角速度センサと、ブ
レを補正するブレ補正レンズと、このブレ補正レンズを
駆動するアクチュエータなどを備えている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】従来のブレ補正装置
は、ブレを検出するために、角速度センサなどのセンサ
を必要としている。しかし、これらのセンサは、高価で
あるために、ブレ補正装置を備えたカメラなどの撮影機
器も高価になってしまうという問題があった。
【0018】本発明の課題は、特別なセンサを用いるこ
となくブレを高精度に補正することができるブレ補正装
置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下のような
解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容
易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付
して説明するが、これに限定するものではない。すなわ
ち、請求項1の発明は、ブレを補正するブレ補正光学系
(13)と、前記ブレ補正光学系を駆動する駆動部
(1)と、前記ブレ補正光学系がブレによる加速度を受
けたときの駆動信号を検出する駆動信号検出部(5)
と、前記ブレ補正光学系がブレによる加速度を受けなか
ったときの理想的駆動信号を演算する理想的駆動信号演
算部(7)と、前記駆動信号と前記理想的駆動信号とに
基づいて、位置指令値を演算する位置指令値演算部
(6)と、前記位置指令値に基づいて、前記駆動部を制
御する制御部(3)と、前記理想的駆動信号を演算する
ための定数及び/又は係数を記憶する記憶部(10)と
を含み、前記理想的駆動信号演算部は、前記定数及び/
又は前記係数と前記位置指令値とに基づいて、前記理想
的駆動信号を演算することを特徴とするブレ補正装置で
ある。
【0020】請求項2の発明は、請求項1に記載のブレ
補正装置において、前記記憶部は、前記駆動部に関する
固有角振動数(ωn)、減衰定数(ζ)及び駆動能力定
数(β)を記憶することを特徴とするブレ補正装置であ
る。
【0021】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
に記載のブレ補正装置において、温度を検出する温度検
出部(15)を備え、前記記憶部は、温度補正係数を記
憶し、前記理想的駆動信号演算部は、前記温度検出部が
検出した温度と前記温度補正係数とに基づいて、前記定
数及び/又は前記係数の少なくとも一部を補正して、前
記理想的駆動信号を演算することを特徴とするブレ補正
装置である。
【0022】請求項4の発明は、請求項1から請求項3
までのいずれか1項に記載のブレ補正装置において、前
記記憶部は、前記理想的駆動信号演算部の周波数特性に
関する係数を記憶することを特徴とするブレ補正装置で
ある。
【0023】請求項5の発明は、請求項1から請求項4
までのいずれか1項に記載のブレ補正装置において、前
記記憶部は、書換え可能な記憶素子であることを特徴と
するブレ補正装置である。
【0024】請求項6の発明は、ブレを補正するブレ補
正光学系(13)と、前記ブレ補正光学系を駆動する駆
動部(1)と、前記ブレ補正光学系がブレによる加速度
を受けたときの駆動信号を検出する駆動信号検出部
(5)と、前記ブレ補正光学系がブレによる加速度を受
けなかったときの理想的駆動信号を演算する理想的駆動
信号演算部(7)と、前記駆動信号と前記理想的駆動信
号とに基づいて、位置指令値を演算する位置指令値演算
部(6)と、前記位置指令値に基づいて、前記駆動部を
制御する制御部(3)とを含み、前記理想的駆動信号演
算部は、少なくとも2次以上の遅れ系で近似されてお
り、前記位置指令値に基づいて、前記理想的駆動信号を
演算することを特徴とするブレ補正装置である。
【0025】請求項7の発明は、請求項6に記載のブレ
補正装置において、前記理想的駆動信号演算部は、固有
角振動数(ωn)、減衰定数(ζ)及び駆動能力定数
(β)によって、前記駆動部のモデルを表現することを
特徴としているブレ補正装置である。
【0026】請求項8の発明は、請求項1から請求項7
までのいずれか1項に記載のブレ補正装置において、前
記ブレ補正光学系が重力加速度を受けるときに生ずる信
号を、前記駆動信号から除去するフィルタ部(8)を備
えることを特徴とするブレ補正装置である。
【0027】請求項9の発明は、請求項8に記載のブレ
補正装置において、前記フィルタ部は、直流成分を除去
するDCカットフィルタ(8)であり、前記DCカット
フィルタの出力信号をA/D変換するA/D変換器
(9)を備えることを特徴とするブレ補正装置である。
【0028】請求項10の発明は、請求項1から請求項
7までのいずれか1項に記載のブレ補正装置において、
前記ブレ補正光学系が重力加速度を受けるときに生ずる
信号を、前記駆動信号及び前記理想的駆動信号から除去
して積分する積分部(61)を備えることを特徴とする
ブレ補正装置である。
【0029】請求項11の発明は、請求項1から請求項
10までのいずれか1項に記載のブレ補正装置におい
て、前記位置指令値を修正して、修正位置指令値を出力
する位置指令値修正部(11)を備え、前記制御部は、
前記修正位置指令値に基づいて、前記ブレ補正光学系の
可動限界よりも狭い範囲で、このブレ補正光学系を前記
駆動部に駆動させることを特徴とするブレ補正装置であ
る。
【0030】請求項12の発明は、請求項1から請求項
10までのいずれか1項に記載のブレ補正装置におい
て、前記ブレ補正光学系の駆動位置を検出し、位置検出
信号を出力する位置検出部(4)と、前記位置検出信号
に基づいて、前記位置指令値を修正して、修正位置指令
値を出力する駆動位置修正部(12)とを含み、前記制
御部は、前記修正位置指令値に基づいて、前記ブレ補正
光学系の可動範囲の中心又はその近傍で、このブレ補正
光学系を前記駆動部に駆動させることを特徴とするブレ
補正装置である。
【0031】請求項13の発明は、請求項1から請求項
12までのいずれか1項に記載のブレ補正装置におい
て、前記位置指令値又は前記修正位置指令値は、前記制
御部及び前記理想的駆動信号演算部に、同じ値で同時に
入力することを特徴とするブレ補正装置である。
【0032】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、図面を参
照して、本発明の第1実施形態について、さらに詳しく
説明する。まず、本発明の第1実施形態に係るブレ補正
装置を一眼レフカメラに搭載した例を挙げて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置を搭
載したカメラシステムのブロック図である。なお、以下
では、図11及び図12に示す部材又はブロックと同一
の部材又はブロックは、対応する番号を付して説明し、
詳細な説明は省略する。また、以下では、一つの軸に対
する加速度を検出する場合を例に挙げて、説明する。本
発明の第1実施形態に係るブレ補正装置は、図1に示す
ように、カメラボディ80に着脱自在に装着された交換
レンズ70に搭載されている。
【0033】(交換レンズ)交換レンズ70は、アクチ
ュエータ1と、ドライバ2と、位置検出センサ4と、駆
動電流測定装置5と、ブレ補正レンズ13と、ブレ補正
CPU30と、EEPROM10と、温度検出部15
と、レンズ側CPU40と、EEPROM41と、焦点
距離検出部42と、被写体距離検出部43などを備えて
いる。
【0034】ブレ補正レンズ13は、撮影光学系の一部
又は全部を構成し、主光学系の光軸Iに対して略直交す
る方向に駆動することによって、ブレを補正するレンズ
である。このブレ補正レンズ13は、その外周部がレン
ズ枠14の内周部に保持されており、このレンズ枠14
は、光軸I方向に所定の剛性を備えるワイヤ1gによっ
て、xy平面内で移動自在となるように片持ち支持され
ている。
【0035】アクチュエータ1は、ドライバ2が出力す
る駆動電流を、ブレ補正レンズ13を駆動する駆動力に
変換し、ブレ補正レンズ13をx軸方向に駆動するもの
である。アクチュエータ1は、例えば、ムービングコイ
ル型の電磁的なアクチュエータによって、ブレ補正レン
ズ13を駆動する。アクチュエータ1は、取付部材1f
に取り付けられたヨーク1dと、このヨーク1dとの間
に磁界を形成するマグネット1bと、ヨーク1dとマグ
ネット1bとの間に配置され、レンズ枠14に取り付け
られたコイル1aと、取付部材1eのレンズ枠14側の
面に取り付けられ、マグネット1cを固定するヨーク1
cと、取付部材1eに対してレンズ枠14を移動自在に
指示するワイヤ1gとを備えている。アクチュエータ1
は、マグネット1b、ヨーク1dなどとの間で磁気回路
を形成している。なお、ブレ補正レンズ13をy軸方向
に駆動するアクチュエータは、アクチュエータ1と同一
構造であり、図示を省略する。
【0036】アクチュエータ1は、磁力線の中にあるコ
イル1aに電流が流れると、電流の流れる方向及び磁力
線の方向に対して直角方向に、フレミングの左手の法則
によって電磁力を発生する。アクチュエータ1は、ドラ
イバ2がコイル1aに駆動電流を流すと、光軸Iに略直
交する方向の駆動力を発生して、ブレ補正レンズ13を
目標位置に追従して駆動する。
【0037】本発明の第1実施形態では、ピッチングと
ヨーイングに対応する加速度を検出するセンサとして、
アクチュエータ1、ブレ補正レンズ13及びレンズ枠1
4を兼用している。このために、精度のよいアクチュエ
ータなどのモデルを、ブレ補正装置内に備えている必要
があり、アクチュエータ1などは、数学的にモデル化し
やすい構造に設計することが好ましい。スライド部材や
鋼球などを介して、転がりや摺動によってレンズ枠14
を支持する構造では、力に対する変位の動特性のモデル
として、固体摩擦による不感帯のような、非線形で精度
の悪い要素が入り好ましくない。一方、弾性支持部材が
可動部を支持する構造では、簡単で精度のよい線形なモ
デルによって、動特性を表すことができる。アクチュエ
ータ1は、4本のワイヤ1gを光軸Iと平行に張り、一
端を取付部材4eに固定し、他端をレンズ枠14に固定
して、ワイヤ1gと直交する平面内(xy平面内)でブ
レ補正レンズ13を平行移動可能としている。
【0038】位置検出センサ4は、ブレ補正レンズ13
のx軸方向の位置を光学的にモニタするセンサである。
位置検出センサ4は、取付部材4aに取り付けられた赤
外発光ダイオード(IRED)(以下、LEDという)
4bと、取付部材4eに取り付けられた1次元の位置検
出素子(Position Sensitive De
vice(以下、PSDという))4dと、LED4b
とPSD4dとの間に配置され、かつ、レンズ枠14の
外周部に取り付けられ、LED4bからの光束を制限す
るスリット部材4cとを備えている。位置検出センサ4
は、LED4bから投光され、スリット部材4cを通し
てPSD4dに入射する赤外光を検出する構造となって
いる。位置検出センサ4は、スリット部材4cが移動す
ることにより、PSD4d上で移動する光の位置を検出
し、ブレ補正レンズ13の実際の駆動位置を検出する。
位置検出センサ4は、ブレ補正レンズ13の位置に応じ
た位置検出信号を、ブレ補正CPU30にフィードバッ
クする。なお、ブレ補正レンズ13のy軸方向の位置を
検出する位置検出センサは、位置検出センサ4と同一構
造であり、図示を省略する。
【0039】ドライバ2は、ブレ補正CPU30が出力
する位置指令値に基づいて、アクチュエータ1に電力を
供給するものである。ドライバ2は、例えば、消費電力
の少ないPWMドライバである。ドライバ2は、電流増
幅を行って、アクチュエータ1のコイル1a及び駆動電
流測定装置5に、駆動電流(駆動信号)を流す。
【0040】駆動電流測定装置5は、ドライバ2が出力
する駆動電流を測定する装置である。駆動電流測定装置
5は、例えば、この駆動電流を抵抗に通し、その両端電
位差をとることによって、ブレ補正レンズ13がブレに
よる加速度を受けたときの駆動電流を検出する。駆動電
流測定装置5は、この駆動電流をサンプリング及びA/
D変換して、ディジタル信号として連続的に取り込む。
駆動電流測定装置5は、検出した駆動電流値を位置指令
値演算部6に出力する。
【0041】ブレ補正CPU30は、駆動電流測定装置
が測定した駆動電流及び位置検出センサ4が出力する位
置検出信号に基づいて、ブレ補正レンズ13を目標位置
に駆動するための位置指令値を演算したり、ブレ補正レ
ンズ13の実際の位置と位置指令値との偏差が、所定値
よりも小さいか否かを判断したりする中央処理部であ
る。ブレ補正CPU30は、交換レンズ70とカメラボ
ディ80との間に設けられたレンズ接点60を介して、
ボディ側CPU50に接続されており、ボディ側CPU
50との間で通信が可能である。ブレ補正CPU30に
は、ドライバ2と、位置検出センサ4と、駆動電流測定
装置5と、EEPROM10と、温度検出部15と、レ
ンズ側CPU40とが接続されている。
【0042】温度検出部15は、カメラの温度をモニタ
するものである。温度検出部15は、検出した温度に関
する温度情報をブレ補正CPU30に出力する。
【0043】レンズ側CPU40は、例えば、EEPR
OM41から読み出したレンズデータ、焦点距離検出部
42が出力する焦点距離情報、被写体距離検出部43が
出力する被写体距離情報などをブレ補正CPU30に送
信したりする中央処理部である。レンズ側CPU40に
は、交換レンズ70に関する種々の固有情報であるレン
ズデータを書き込んだEEPROM41と、焦点距離を
検出して、焦点距離に関する焦点距離情報を出力する焦
点距離検出部42と、被写体距離を検出して、被写体距
離に関する被写体距離情報を出力する被写体距離検出部
43とが接続されている。
【0044】(カメラボディ)カメラボディ80は、ボ
ディ側CPU50と、レリーズスイッチ52と、表示装
置53と、ファインダスクリーン91、ファインダ光学
系92及び接眼レンズ93に、撮影光学系を透過してき
た光束を振り分けるクイックリターンミラー90と、ク
イックリターンミラー90を駆動するミラー駆動部94
などを備えている。
【0045】ボディ側CPU50は、例えば、レリーズ
スイッチ52のON動作に基づいてブレ補正開始信号を
発生して、ブレ補正レンズ13の駆動開始をブレ補正C
PU30に指示したり、表示装置53に所定の表示を指
示したり、ミラー駆動部94を駆動制御したりする中央
処理部である。ボディ側CPU50には、レリーズスイ
ッチ52と、表示装置53と、ミラー駆動部94とが接
続されている。
【0046】レリーズスイッチ52は、図示しないレリ
ーズボタンの半押し動作を検出して、一連の撮影準備動
作を開始するとともに、レリーズボタンの全押し動作を
検出して、ミラー駆動部94の駆動などの撮影動作を開
始させるスイッチである。
【0047】表示部53は、ブレ補正動作に関する情報
を表示するものである。表示部53は、例えば、LED
や液晶表示装置などによって、ブレ補正動作を正常に行
っているときには、ファインダ91内にその旨を表示す
る。
【0048】図2は、本発明の第1実施形態に係るブレ
補正装置における信号の流れを示すブロック図である。
図2は、アクチュエータ1がブレ補正レンズ13に加え
た力に対して、このブレ補正レンズ13の位置がどのよ
うに変化するのかを示すブロック図である。本発明の第
1実施形態に係るブレ補正装置は、角速度センサや加速
度センサなどの特別のセンサを用いずに、ブレ補正レン
ズ13及びレンズ枠14の質量と、これらを駆動するア
クチュエータ1を加速度センサとして兼用している。こ
のブレ補正装置は、演算した加速度に基づいて、カメラ
のブレを演算し、アクチュエータによってブレ補正レン
ズ13を駆動して、像面における像のブレを補正してい
る。このようなアクチュエータを利用した加速度センサ
は、サーボ型加速度計の拡張といえる。
【0049】サーボ型加速度計は、計測する加速度の軸
方向に駆動可能なように支持され、ある質量をもつ可動
部と、この可動部を駆動する電磁アクチュエータと、こ
の可動部の位置を検出するセンサなどを備えている。位
置検出センサは、可動部の位置を常にモニタしており、
電磁アクチュエータとクローズドループを形成してい
る。そして、電磁アクチュエータは、可動部の位置があ
る一点に固定するように、この可動部を駆動している。
このサーボ型加速度計に加速度が加わると、慣性によっ
て可動部が微小に動き、この動きをキャンセルするよう
に電磁アクチュエータに電流が流れる。したがって、電
磁アクチュエータに流れる電流を測定することによっ
て、サーボ型加速度計に加わる加速度に比例した信号を
得ることができる。
【0050】アクチュエータ1は、ブレ補正レンズ13
及びレンズ枠14が質量をもつ可動部に相当すると考え
ると、サーボ型加速度計と非常に似た構成になる。ただ
し、サーボ型加速度計は、可動部の位置を一定に駆動制
御するのに対して、アクチュエータ1は、時間によって
変化する目標位置に、可動部を追従して駆動制御する点
が異なる。
【0051】制御部3は、位置指令値に応じた位置に、
ブレ補正レンズ13の位置が一致し追従するように、ド
ライバ2に駆動信号を出力するサーボ回路に相当する部
分である。制御部3は、位置指令値演算部6が演算した
位置指令値と、位置検出センサ4のPSD4dが出力す
る位置検出信号とを比較してゲインを掛けるとともに、
必要に応じて適切な位相補償などを行ってから、ドライ
バ2に駆動電流を出力する。
【0052】理想的駆動電流演算部7は、ブレ補正レン
ズ13がブレによる加速度を受けなかったときのアクチ
ュエータ1の理想的な駆動電流を演算するものである。
理想的駆動電流演算部7は、位置指令値演算部6が演算
した位置指令値に基づいて、手ブレによる加速度がない
状態での仮想的な駆動電流(理想的駆動電流)を演算し
て、この理想的駆動電流を位置指令値演算部6に出力す
る。
【0053】アクチュエータ1に流れる電流は、サーボ
型加速度計に加わる加速度に応じた電流成分と、ブレ補
正レンズ13を目標位置に駆動するための電流成分とを
合成したものを含んでいる。理想的駆動電流演算部7
は、この加速度に応じた電流成分を取り出すために、実
際のアクチュエータ1、ドライバ2、制御部3及び位置
検出センサ4など(以下、実際のシステムという)と同
様の挙動をするフィードバック系のモデル(以下、疑似
システムという)を内部に備えている。理想的駆動電流
演算部7は、入力した位置指令値に応じて変化する理想
的駆動電流を、シミュレーションして演算する。理想的
駆動電流演算部7は、アクチュエータ1のコイル1aに
流れる電流が、手ブレ加速度がないときにどのような値
になるかをシミュレーションし、実際のコイル1aに流
れる電流とシミュレーションした電流とを比較すること
によって、その差分を演算することができる。理想的駆
動電流演算部7は、例えば、ソフトウェアによってモデ
ルを記述して、マイクロプロセッサで演算を行う。
【0054】図3は、本発明の第1実施形態に係るブレ
補正装置における理想的駆動電流演算部内の信号の流れ
を示すブロック図である。理想的駆動電流演算部7は、
疑似アクチュエータ71と、疑似ドライバ72と、疑似
制御部73と、疑似位置検出センサ74と、逆起電圧モ
デル75とからなる。
【0055】疑似制御部73は、実際の制御部3と同様
な挙動をする制御部のモデルである。疑似制御部73
は、実際の制御部3と同じ演算をモデルとし、実際の制
御部3と同等の演算をソフトウェアで行う。
【0056】疑似ドライバ部72は、実際のドライバ2
と同様な挙動をするドライバのモデルである。疑似ドラ
イバ部72は、実際にはPWMドライバを用いている
が、コイルのインダクタンスのために電流はパルス的で
はなく、ほぼ滑らかに流れるために、電圧ドライバと同
様に考えることができる。この場合に、アクチュエータ
1のコイル1aを逆起電圧モデル75を考慮に入れるこ
とによって、アクチュエータ1のコイル1aに流れる電
流値を求めるモデルを作ることができる。
【0057】疑似位置検出センサ74は、実際の位置検
出センサ4と同様な挙動をする位置検出センサのモデル
である。疑似位置検出センサ74は、位置検出センサ4
の感度を表す定数で表現することができる。
【0058】疑似アクチュエータ71は、実際のアクチ
ュエータ1、ブレ補正レンズ13及びレンズ枠14と同
様な挙動をするアクチュエータなどのモデルである。疑
似アクチュエータ71は、機械的な動特性を数式に置き
換えてモデルを作る必要がある。駆動力に対するブレ補
正レンズ13の変位の伝達関数は、弾性支持部材によっ
てブレ補正レンズ13を支持したときには、以下の数2
に示すように、2次遅れ系の形で近似して示すことがで
きる。
【0059】
【数2】
【0060】ここで、Xは、ブレ補正レンズの動き(変
位)であり、Fは、アクチュエータ駆動力であり、m
は、可動部質量であり、cは、粘性係数であり、kは、
ばね定数である。
【0061】また、疑似アクチュエータ71は、可動部
質量m、粘性係数c、ばね定数kの代わりに、この系の
固有角振動数、減衰定数、アクチュエータ駆動能力定数
を使って、駆動電流に対するブレ補正レンズの変位の伝
達関数として、以下の数3に示すように記述することが
できる。
【0062】
【数3】
【0063】ここで、Xは、ブレ補正レンズの動き(変
位)であり、Iは、アクチュエータ駆動電流であり、β
は、アクチュエータ駆動能力定数、ωnは、固有角振動
数であり、ζは、減衰定数である。
【0064】可動部質量m、粘性係数c、ばね定数kの
うち、特に、粘性係数cの値を実験的に求めることは困
難である。このために、アクチュエータ1などに関連す
るアクチュエータ駆動能力定数β、固有角振動数ωn、
減衰定数ζを調整時などに演算して、疑似アクチュエー
タ71のモデルをこれらの値によって表現するのが便利
である。
【0065】EEPROM10は、理想的駆動電流演算
部7が理想的駆動電流を演算するときの定数及び/又は
係数を書換え可能に記憶する記憶装置である。EEPR
OM10は、ソフトウェアでモデルを記述して構成した
ときに、アクチュエータ駆動能力定数β、固有角振動数
ωn、減衰定数ζなどの値を調整時又は出荷時に書き込
んで記憶する。理想的駆動電流演算部7は、EEPRO
M10からこれらの値を、ブレ補正時に読み出して所定
の演算に使用する。
【0066】アクチュエータ駆動能力定数β、固有角振
動数ωn、減衰定数ζは、一般的に、温度特性をもって
いる。例えば、アクチュエータ駆動能力定数βは、磁気
回路に使用するマグネット1bの特性や、コイル1aの
特性によって左右する。マグネット1bの諸特性やコイ
ル1aの電気抵抗などは、比較的大きな温度特性をもっ
ているために、アクチュエータ駆動能力定数β、固有角
振動数ωn、減衰定数ζは、経時変化や温度などによっ
て変化する可能性がある。EEPROM10は、温度特
性を補正するための温度補正係数を、補正の必要な各定
数分を記憶している。このために、理想的駆動信号演算
部7は、温度検出部15が検出した温度情報と、EEP
ROM10が記憶する温度補正係数とに基づいて、これ
らの定数を調整時に補正して、理想的駆動電流を演算す
る。なお、疑似アクチュエータ71は、そのモデルをア
ナログ回路で構成したときには、例えば、半固定抵抗な
どによって、これらの定数に対応する値を調整すること
ができる。
【0067】このように、疑似アクチュエータ71、疑
似ドライバ72、疑似制御部73、疑似位置検出センサ
74及び逆起電圧モデル75をつなぎ合わせて、フィー
ドバックループを作り、全体のモデルを構成することが
できる。理想的駆動電流演算部7は、ソフトウェアでモ
デルを構成したときには、入力した位置指令値に対する
各変数をサンプリング時間毎に数値計算によってシミュ
レーションし、駆動電流を表す変数として出力する。こ
のように、それぞれのモデルにおいてシミュレーション
を行って、それをつなげる形で全体を構成する方法は、
非線形な要素などが途中に入っても実現することができ
る。また、温度特性などによって、諸定数などが変化し
ても、簡単にモデルを修正することができる。
【0068】図4は、本発明の第1実施形態に係るブレ
補正装置における位置指令値演算部のブロック図であ
る。位置指令値演算部6は、ブレ補正レンズ10を目標
位置に駆動するための位置指令値を演算するものであ
る。位置指令値演算部6は、積分器61と、ゲインコン
トローラ62と、重力加速度演算部63とを備えてい
る。位置指令値演算部6は、駆動電流測定装置5が検出
した駆動電流値と、理想的駆動電流演算部7が演算した
理想的駆動電流値とを比較して、手ブレ加速度に応じた
加速度信号を演算する。位置指令値演算部6は、光軸に
直交する2方向の加速度に対応する加速度信号を、積分
器61で2回積分して変位を求め、ゲインコントローラ
62でゲインをかけて、ピッチング及びヨーイングのブ
レ角θを演算する。位置指令値演算部6は、このピッチ
ング及びヨーイングのブレ角θに基づいて、像面におけ
るブレを打ち消すために、ブレ補正レンズ13の目標位
置に関する位置指令値を数1によって演算する。なお、
位置指令値演算部6は、制御部3及び理想的駆動電流演
算部7に、同じ値の位置指令値を同時に出力する。
【0069】アクチュエータ1がブレ補正レンズ13を
駆動するときに、ブレ補正レンズ13及びレンズ枠14
などの可動部の質量に手ブレ加速度を掛けた力が、ブレ
補正レンズ13に外乱として作用する。その結果、手ブ
レ加速度に起因する力によって、アクチュエータ1のコ
イル1aに電流が流れる。ブレ補正レンズ13の位置
は、フィードバックがかかっているために位置指令値に
追従するが、手ブレ加速度に起因する力は、余分な駆動
電流値として影響を及ぼす。位置指令値演算部6は、外
乱(手ブレ加速度)がない状態を仮想して求めた理想的
駆動電流値と、実際の駆動電流値との差をとることによ
って、手ブレ加速度に比例した値(加速度信号)を演算
する。この加速度信号の大きさは、手ブレ加速度の大き
さと、アクチュエータ駆動能力定数βによって、以下の
数4により表すことができる。
【0070】
【数4】
【0071】ここで、ΔIは、実際の駆動電流と理想的
駆動電流との差(加速度信号)であり、aは、手ブレに
よる加速度であり、βは、アクチュエータ駆動能力定数
であって、単位電流当たりで可動部に発生可能な加速度
である。
【0072】重力加速度演算部63は、重力加速度を推
定して演算する部分である。加速度信号ΔIは、手ブレ
加速度による信号に加えて、重力加速度による信号を含
んでいるために、重力加速度による信号成分を加速度信
号ΔIから差し引いて、手ブレによる加速度成分を求め
る必要がある。重力によってサーボがかかっている状態
では、ブレ補正レンズ13の目標位置指令値と実際の位
置指令値との偏差が、僅かながら生ずる。
【0073】重力加速度演算部63は、重力推定のアル
ゴリズムの一例として、この偏差の方向と大きさを見る
ことによって、重力加速度による信号成分を推定するこ
とができる。また、重力加速度演算部63は、加速度信
号のうち低周波成分又はDC成分を重力加速度による信
号成分とみなし、低周波成分及びDC成分をDCカット
フィルタでカットして、重力加速度による信号成分を除
去することもできる。
【0074】積分器61は、手ブレ加速度による信号成
分を、変位の次元に直すためのものである。積分器61
は、加速度信号を2回積分することによって、ブレ補正
レンズ13の位置における手ブレによる変位に対応する
値を演算する。重力加速度などのDC成分の信号を含む
加速度信号を積分すると、積分結果が無限大に発散して
しまう可能性がある。このために、積分器61は、DC
成分を積分せずに、手ブレ周波数領域の信号のみを積分
する。
【0075】積分器61は、例えば、1次や2次のロー
パスフィルタによって構成することができる。この場合
に、1次のローパスフィルタで1回目の積分を行って、
2次のローパスフィルタで2回目の積分を行えば、これ
らのローパスフィルタのカットオフ周波数よりも高い周
波数領域を使うことによって、手ブレ周波数領域を積分
することができる。例えば、1次のローパスフィルタの
20(dB/dec)でゲインが下がる領域と、2次の
ローパスフィルタの40(dB/dec)でゲインが下
がる領域とを使えば、手ブレ周波数領域を積分すること
ができる。また、ローパスフィルタのカットオフ周波数
は、補正の対象となる手ブレ周波数よりも低い周波数に
設定する。さらに、2次のローパスフィルタを使えば、
減衰率のパラメータを調整することによって、ブレ補正
システムの周波数特性を一部調整することもできる。
【0076】ゲインコントローラ62は、積分器61が
2回積分した信号にゲインをかけて、位置指令値を演算
するものである。ゲインコントローラ62は、ブレ補正
開始直後やブレ補正動作の異常時などに、ゲインの大き
さを可変可能である。また、ゲインコントローラ62
は、レンズ焦点距離や撮影距離などの変化に応じて、ゲ
インの大きさを可変可能である。手ブレによる変位は、
例えば、被写体が近距離にないときには、以下の数5に
よって求めることができる。
【0077】
【数5】
【0078】ここで、Xは、ブレ補正レンズの必要な駆
動量であり、yは、手ブレによる変位であり、fは、レ
ンズ焦点距離であり、lは、手ブレ回転中心からブレ補
正レンズまでの距離であり、αは、補正光学系補正定数
である。ゲインの大きさは、手ブレ回転中心からブレ補
正レンズまでの距離lと、レンズ焦点距離fと、補正光
学系補正定数αと、撮影距離などから決定される。ゲイ
ンは、以下の数6に示すように、手ブレによる変位yに
対するブレ補正レンズ13の必要な駆動量で表すことが
できる。
【0079】
【数6】
【0080】数6に示すように、ゲインGは、手ブレ回
転中心からブレ補正レンズまでの距離l、レンズ焦点距
離f、補正光学系補正定数αの値で変化し、撮影距離な
どでも変化する可能性がある。このために、ブレ補正時
にこれらの値が読み込まれて、それに対する適切なゲイ
ンGの大きさが演算される。また、これらのパラメータ
に対する適切なゲインの値を、テーブルに記憶してお
き、ブレ補正動作時にテーブルからパラメータに応じた
ゲインの値を読み込んでもよい。
【0081】つぎに、本発明の第1実施形態に係るブレ
補正装置を搭載したカメラシステムの動作を説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置を搭
載したカメラシステムの動作を説明するフローチャート
である。本フローは、図1に示すレリーズスイッチ52
の半押し動作(撮影準備動作)、又は、半押し動作と同
時の全押し動作(撮影準備動作を経ない撮影動作)によ
って、ブレ補正動作のルーチンを開始する。
【0082】ステップ(以下、Sとする)101におい
て、ブレ補正動作開始と同時に、測距及び測光が開始さ
れる。ボディ側CPU50は、図1に示すレリーズスイ
ッチ52の半押し動作、又は、半押し動作と同時の全押
し動作に基づいて、レンズ側接点60を介して、ブレ補
正CPU30にブレ補正開始信号を出力する。同時に、
被写体距離検出部43が、被写体までの距離を測り、図
示しない測光回路が、被写体の明るさを測る。
【0083】S102において、ブレ補正レンズ13の
位置指令値がゼロに固定されるとともに、S103にお
いて、制御部3のゲイン及び位置指令値演算部6のゲイ
ンがゼロに設定される。ブレ補正CPU30は、図2及
び図4に示す制御部3のゲインをゼロに設定するととも
に、ゲインコントローラ62によってゲインをゼロに設
定するように、位置指令値演算部6に指示する。位置指
令値演算部6は、ゲインコントローラ62を制御して、
位置指令値をゼロに固定する。
【0084】本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置
は、アクチュエータ1、ブレ補正レンズ13及びレンズ
枠14を加速度センサとして利用している。このため
に、制御部3、ドライバ2、アクチュエータ1及び位置
検出センサ4からなるフィードバック系では、ブレ補正
レンズ13の位置が目標位置に十分に追従する必要があ
る。ブレ補正レンズ13の位置が目標位置に追従してい
ない状態では、アクチュエータ1の駆動電流を検出して
も、手ブレ加速度を検出することができない。電源投入
直後は、ブレ補正レンズ13の位置が目標位置に追従す
るまでに多少の時間がかかる。その結果、この時間内で
は、加速度を検出することができないために、目標位置
を演算することができず、ブレ補正制御が不可能になる
可能性がある。同様に、理想駆動電流演算部7内のフィ
ードバック系も、位置の変数が目標の変数に追従してい
る必要がある。
【0085】本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置
は、レンズ側CPU30がブレ補正開始信号を受信した
ときに、ブレ補正動作を直ちに開始せずに、ブレ補正レ
ンズ13の目標位置をゼロに固定している。その結果、
実際のシステム及び疑似システムのフィードバック系
は、レンズ側CPU30がブレ補正開始信号を受信して
から所定時間内ではゼロを目標に制御され、所定時間経
過後に、加速度が検出可能になってから、手ブレ補正を
開始する。
【0086】S104において、LED4b及びPSD
4dの回路電源がON動作する。ブレ補正CPU30
は、図1に示すLED4b及びPSD4dの処理回路へ
の電源の供給を、図示しない電源回路に指示する。
【0087】S105において、ブレ補正レンズ13の
メカロックがOFF動作する。ブレ補正装置は、ブレ補
正動作停止時に、ブレ補正レンズ13を所定位置に固定
する図示しない固定部材を備えており、ブレ補正CPU
30は、ブレ補正レンズ13の固定解除をこの固定部材
に指示する。
【0088】S106において、ドライバ2の電源がO
N動作される。ブレ補正CPU30は、ドライバ2への
電源の供給を、図示しない電源回路に指示する。
【0089】S107において、サーボ回路がクローズ
される。ブレ補正CPU30は、制御部3のサーボ回路
をクローズして、位置指令値がゼロの状態でアクチュエ
ータ1の制御を開始する。
【0090】S108において、疑似システムのサーボ
回路がクローズされる。ブレ補正CPU30は、実際の
サーボ回路の制御と同時に、疑似制御部73のサーボ回
路もクローズして、疑似アクチュエータ71の制御を開
始する。
【0091】S109において、サーボゲインが所定値
まで徐々に上がる。ブレ補正CPU30は、制御部3の
ゲインを可変制御して、サーボゲインを所定値まで徐々
に上げるとともに、疑似制御部73のゲインも可変制御
して、サーボゲインを所定値まで徐々に上げる。
【0092】S110において、実際のシステムの偏差
が、所定値よりも小さいか否かが比較される。ブレ補正
レンズ13の位置は、目標位置に十分に追従している必
要がある。ブレ補正CPU30は、ブレ補正レンズ13
の実際の位置と目標位置(位置指令値)との偏差が、予
め定めたしきい値よりも小さいか否かを判断するルーチ
ンを、ソフトウェア上で構成している。この偏差が所定
値よりも小さいときには、S111に進む。一方、この
偏差が所定値以上であるときには、S109に戻り、ブ
レ補正CPU30は、偏差が小さくなるまでサーボゲイ
ンを可変制御する。
【0093】S111において、疑似システムの偏差
が、所定値よりも小さいか否かが比較される。ブレ補正
CPU30は、疑似システムにおけるブレ補正レンズの
実際の位置と目標位置(位置指令値)との偏差が、予め
定めたしきい値よりも小さいか否かを判断するルーチン
を、ソフトウェア上で構成している。この偏差が所定値
よりも小さいときには、S112に進む。一方、この偏
差が所定値以上であるときには、S109に戻り、ブレ
補正CPU30は、偏差が小さくなるまでサーボゲイン
を可変制御する。
【0094】本発明の第1実施形態では、ブレ補正CP
U30は、半押し動作時にこの偏差と比較するための第
1のしきい値と、半押し動作と同時に全押し動作をした
ときに、この偏差と比較する第2のしきい値とを備えて
いる。一眼レフカメラでは、撮影者は、半押し動作中
に、ブレ補正動作をファインダ91上で確認した後に、
露光を行っている。半押し動作中は、像が不連続に動か
ないように、ブレ補正レンズ13を不連続に駆動しない
ように制御する必要があるが、露光までの時間があるた
めに、ブレ補正動作を比較的ゆっくり開始してもよい。
一方、半押し動作と同時に全押し動作をしたときには、
すぐに露光が開始するために、なるべく早くブレ補正動
作を開始する必要がある。このために、像の動きのスム
ーズさを多少犠牲にしても、ブレ補正動作を早く開始す
ることが好ましい。
【0095】また、レンズシャッタカメラでは、ファイ
ンダでブレ補正動作を確認することがない。このため
に、一眼レフカメラにおいて、半押し動作と同時に全押
し動作をしたときと同様に、ブレ補正レンズの動きのス
ムーズさを多少犠牲にしても、ブレ補正動作を早く開始
することが好ましい。その結果、本発明の第1実施形態
では、第1のしきい値は、第2のしきい値よりも小さな
値に設定している。
【0096】S112において、焦点距離f及び撮影距
離が検出される。焦点距離検出部42は、例えば、ズー
ム環に設けたエンコーダなどによって、焦点距離fを検
出する。レンズ側CPU40は、焦点距離検出部42が
検出した焦点距離情報を、ブレ補正CPU30に送信す
る。撮影距離は、例えば、AFセンサの測距結果に基づ
いて検出されたり、合焦レンズの繰り出し量や距離環の
回転量に対応する信号を出力するロータリエンコーダな
どによって演算されて、ブレ補正CPU30に送信され
る。
【0097】S113において、補正光学系補正定数α
が演算される。ブレ補正CPU30は、焦点距離fに応
じて、補正光学系補正定数αを演算する。
【0098】S114において、位置指令値演算部6
は、焦点距離f、撮影距離及び補正光学系補正定数αに
基づいて、ゲインGを演算する。
【0099】S115において、ブレ補正レンズ13の
位置指令値が、位置指令値演算部6が演算した位置指令
値にゼロから切り替えられる。ブレ補正CPU30は、
ゼロに固定していた位置指令値を、演算した位置指令値
に切り替えるように、位置指令値演算部6に指示する。
【0100】S116において、位置指令値演算部6の
ゲインが徐々に上げられる。ブレ補正CPU30は、ゲ
インを徐々に上げるように、位置指令値演算部6に指示
し、位置指令値演算部6は、ゲインコントローラ62を
制御して、ゲインをゼロから徐々に上げる。
【0101】S117において、位置指令値演算部6の
ゲインが、演算した所定値になったか否かが判断され
る。ブレ補正CPU30は、位置指令値演算部6のゲイ
ンが、S114において演算した所定値と同じになった
か否かを判断する。位置指令値演算部6のゲインが、所
定値と同じになったときには、S118に進む。位置指
令値演算部6のゲインが、所定値を下回るときには、S
116に戻り、位置指令値演算部6は、ゲインコントロ
ーラ62を制御して、ゲインをさらに上げる。
【0102】S118において、露光が許可され、S1
19において、半押しタイマがスタートする。ボディ側
CPU50は、図示しない半押しタイマをスタートす
る。
【0103】S120において、半押しタイマがタイム
アウトしたか否かが判断される。ボディ側CPU50
は、半押しタイマが所定時間を経過したか否かを判断
し、半押しタイマがタイムアウトしたときには、S12
1に進み、半押しタイマがタイムアウトしなかったとき
には、S125に進む。
【0104】S121において、レリーズスイッチ52
が全押し動作したか否かが判断される。ボディ側CPU
50は、レリーズスイッチ52が全押し動作したか否か
を判断し、レリーズスイッチ52が全押し動作したとき
には、S122に進む。レリーズスイッチ52が全押し
動作しなかったときには、S120に戻り、ボディ側C
PU50は、半押しタイマがタイムアウトしたか否かを
繰り返し判断する。
【0105】S122において、ボディ側CPU50
は、ミラー駆動部94にミラーアップを指示する。ミラ
ー駆動部94は、図1に示す鎖線位置までミラー94を
駆動する。そして、S123において、露光が開始され
る。
【0106】S124において、ボディ側CPU50
は、ミラー駆動部94にミラーダウンを指示する。ミラ
ー駆動部94は、ミラー94を鎖線位置から実線位置ま
で駆動する。そして、S124において、露光が終了さ
れる。
【0107】S125において、位置指令値演算部6の
ゲインがゼロに設定される。ブレ補正CPU30は、ゲ
インコントローラ62によってゲインをゼロに設定する
ように、位置指令値演算部6に指示する。位置指令値演
算部6は、ゲインコントローラ62を制御して、位置指
令値をゼロに設定する。
【0108】S126において、サーボゲインがゼロに
設定される。ブレ補正CPU30は、制御部3のゲイン
をゼロに設定する。
【0109】S127において、ドライバ2への電源が
OFF動作される。ブレ補正CPU30は、ドライバ2
への電源の供給停止を、図示しない電源回路に指示す
る。
【0110】S128において、ブレ補正レンズ13の
メカロックがON動作する。ブレ補正CPU30は、ブ
レ補正レンズ13を所定位置で固定するように、固定部
材に指示する。位置指令値演算部6、理想的駆動電流演
算部7、ブレ補正動作のルーチンを終了して、本フロー
が終了する。
【0111】つぎに、本発明の第1実施形態に係るブレ
補正装置においてブレ補正制御が不可能になったときの
動作を説明する。図6は、本発明の第1実施形態に係る
ブレ補正装置においてブレ補正制御が不可能になったと
きの動作を説明するフローチャートである。
【0112】S201において、アクチュエータ1の駆
動電流がしきい値以上になったか否かが判断される。ブ
レ補正CPU30は、アクチュエータ1に流れる駆動電
流をモニタして、この駆動電流の絶対値又は絶対値の移
動平均が、所定時間以上、所定値よりも大きいときに
は、ブレ補正制御が不可能な状態であると判断する。位
置指令値演算部6は、ソフトウェアで構成されているた
めに、この駆動電流は、A/D変換されている。このた
めに、特別な電流センサなどを設けなくても、位置指令
値演算部6は、この駆動電流をマイコン上でモニタする
ことができる。アクチュエータ1の駆動電流がしきい値
以上であるときには、S206に進み、アクチュエータ
1の駆動電流がしきい値を下回るときには、S202に
進む。
【0113】S202において、ブレ補正レンズ13の
位置が可動範囲のリミット以上であるか否かが判断され
る。ブレ補正CPU30は、位置検出センサ4が出力す
る位置検出信号をモニタして、ブレ補正レンズ13が可
動範囲の限界に達したか否かを判断する。ブレ補正CP
U30は、ブレ補正レンズ13が可動範囲のリミット以
上であるとき、又は、ブレ補正レンズ13が所定時間以
上、リミット以上であるときには、ブレ補正制御が不可
能であると判断する。ブレ補正レンズ13の位置が可動
範囲のリミット以上であるときには、S203に進み、
ブレ補正レンズ13の位置が可動範囲のリミットを下回
るときには、S208に進む。
【0114】S203において、位置指令値演算部6の
ゲインが下げられる。ブレ補正CPU30は、ゲインを
下げるように位置指令値演算部6に指示し、位置指令値
演算部6は、ゲインコントローラ62を制御して、ゲイ
ンを一旦ゼロまで下げる。
【0115】S204において、積分器61がリセット
される。ブレ補正CPU30が積分器61をリセットす
る。
【0116】S205において、位置指令値演算部6の
ゲインが所定値まで上げられて、ブレ補正が続行され
る。ブレ補正CPU30は、ゲインを上げるように位置
指令値演算部6に指示し、位置指令値演算部6は、ゲイ
ンコントローラ62を制御して、ゼロから所定値までゲ
インを再び上げる。その結果、ブレ補正制御が不可能な
状態からブレ補正制御が正常な状態に復帰して、ブレ補
正制御を続行することができる。
【0117】S206において、ドライバ2への電源が
OFF動作され、S207において、ブレ補正動作が終
了される。ブレ補正CPU30は、ドライバ2への電源
の供給停止を、図示しない電源回路に指示して、ブレ補
正動作を終了する。
【0118】S208において、位置指令値がブレ補正
レンズ13の可動範囲のリミット以上であるか否かが判
断される。ブレ補正CPU30は、位置指令値演算部6
が演算した位置指令値をモニタして、ブレ補正レンズ1
3の可動範囲の限界に、この位置指令値が達したか否か
を判断する。位置指令値演算部6は、位置指令値をマイ
コン上で計算し、D/A変換器を通して出力するため
に、特別なハードウェアがなくてもマイコン上で位置指
令値をモニタすることができる。ブレ補正CPU30
は、位置指令値がブレ補正レンズ13の可動範囲のリミ
ット以上であるとき、又は、位置指令値が所定時間以
上、リミット以上であるときには、ブレ補正制御が不可
能であると判断する。位置指令値がブレ補正レンズ13
の可動範囲のリミット以上であるときには、S203に
進む。ブレ補正レンズ13の可動範囲のリミットを位置
指令値が下回るときには、S209に進み、ブレ補正動
作が続行される。
【0119】本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置
は、以下に記載するような効果を有する。 (1) 本発明の第1実施形態は、アクチュエータ1、
ブレ補正レンズ13及びレンズ枠14を加速度センサと
して利用している。理想的駆動電流演算部7は、実際の
システムと同様の挙動をする疑似システムを備えてお
り、手ブレ加速度がなかったときの理想的駆動電流を演
算する。位置指令値演算部6は、ブレ補正レンズ10が
ブレによる加速度を受けたときの駆動電流と理想的駆動
電流との差分を演算して、手ブレ加速度に相当する加速
度信号を演算する。このために、角速度センサや加速度
センサなどの高価な特別のセンサがなくても、ブレ補正
装置を構成することができるとともに、高精度にブレを
補正することができる。その結果、このブレ補正装置を
搭載した安価なカメラを、製造することができる。ま
た、角速度センサや加速度センサなどに電源を供給する
必要がないために、消費電力の低減を図ることができ
る。
【0120】(2) 本発明の第1実施形態は、アクチ
ュエータ1に関する固有角振動数ωn、減衰定数ζ、ア
クチュエータ駆動能力定数β及び温度補正係数などを記
憶するEEPROM10を備えている。このために、E
EPROM10は、これらの定数を調整時などに記憶す
ることができるとともに、理想的駆動電流演算部7内に
高精度のモデルを設けて、ブレを正確に補正することが
できる。
【0121】(3) 本発明の第1実施形態は、温度検
出部15が検出した温度情報と、EEPROM10が記
憶する温度補正係数とに基づいて、固有角振動数ωn、
減衰定数ζ及びアクチュエータ駆動能力定数βを、理想
的駆動電流演算部7によって補正するとができる。この
ために、EEPROM10に調整時において記憶したこ
れらの定数を、検出した温度に応じて補正することによ
って、温度特性を補正し、理想的駆動電流演算部7を高
精度なモデルにすることができる。
【0122】(4) 本発明の第1実施形態は、重力加
速度に相当する信号成分を重力加速度演算部63が演算
して、手ブレ加速度に相当する加速度信号を積分器61
が積分している。このために、重力などの外乱に対して
安定したブレ補正装置を実現することができる。また、
DC成分や低周波成分を積分しない積分器61を設ける
ことによって、DC成分のゲインを低く抑えることがで
きるとともに、発散しにくい安定したブレ補正動作を実
現することができる。
【0123】(5) 本発明の第1実施形態は、ブレ補
正開始信号を受信して、ブレ補正レンズ13の実際の位
置と目標位置との偏差が所定値よりも小さくなった後
に、位置指令値演算部6が演算した位置指令値に基づい
て、アクチュエータ1を制御部3が駆動制御している。
このために、ブレ補正動作の起動時にブレ補正制御を直
ちに開始して、ブレ補正制御が不可能になるのを防止す
ることができるとともに、ブレ補正制御を安定して行っ
て、ブレ補正レンズ13をスムーズに起動することがで
きる。また、この偏差が所定値よりも小さくなる時間が
短いときには、ブレ補正動作を素早く開始することがで
きるとともに、この時間が長くても、偏差が所定値より
も小さくなるまで待つことによって、ブレを確実に補正
することができる。
【0124】(6) 本発明の第1実施形態は、ブレ補
正レンズ13の実際の位置と目標位置との偏差を、半押
し動作時に比較するための第1のしきい値と、半押し動
作と同時に全押し動作をしたときに、この偏差と比較す
るための第2のしきい値とを備えている。ブレ補正開始
時におけるブレ補正レンズ13の動きは、この偏差の度
合いによってスムーズさが異なる。このために、ブレ補
正CPU30は、半押し動作時には、値の小さい第1の
しきい値とこの偏差とを比較して、多少時間がかかって
も、この偏差が小さくなってからブレ補正動作を開始し
ている。その結果、ブレ補正レンズ13が不連続に駆動
するのを確実に防止することができる。また、ブレ補正
CPU30は、半押し動作と同時に全押し動作となった
ときには、値の大きい第2のしきい値とこの偏差とを比
較している。その結果、この偏差が多少大きくても、ブ
レ補正動作を開始するのに問題のないレベルであるとき
には、ブレ補正動作を開始することで露光を早く開始す
ることができる。
【0125】(7) 本発明の第1実施形態は、ゲイン
を可変可能なゲインコントローラ62を位置指令値演算
部6が備えている。ブレ補正レンズ13の実際の位置と
目標位置との偏差が小さくなって、ブレ補正を開始する
ときに、例えば、ステップ状に位置指令値が急激に変化
すると、ブレ補正制御が不可能になる可能性がある。こ
のために、ゲインコントローラ62は、ブレ補正を開始
するときに、十分に補正可能な所定値まで連続的にゲイ
ンをゼロから変化している。その結果、ブレ補正制御が
不可能にならないように、ブレ補正効果を徐々に大きく
して、ブレ補正動作をスムーズに行ったり露光を開始す
ることができる。
【0126】また、位置指令値演算部6は、ブレ補正レ
ンズ13に加わる加速度を高精度に検出しているため
に、フォーカシング時のレンズ駆動による振動などによ
って、動作が不安定になる可能性がある。また、位置指
令値演算部6のゲインGは、撮影距離に応じて変化す
る。距離エンコーダなどを備える交換レンズでは、レン
ズ駆動を終了したときに、撮影距離を知ることができ
る。位置指令値演算部6は、レンズ駆動の終了と同時
に、ゲインコントローラ62によってゲインを大きくし
て、ブレ補正を開始することができる。
【0127】(8) 本発明の第1実施形態は、ブレ補
正制御が不可能な状態になったときには、位置指令値演
算部6のゲインを一旦ゼロに下げた後に、所定値までゲ
インを再び上げている。カメラの姿勢が急激に変化する
と、ブレ補正レンズ13の位置が可動範囲の限界を越え
て、ブレ補正制御が不可能になる可能性がある。このた
めに、ブレ補正CPU30は、ゲインを一旦ゼロにする
ように位置指令値演算部6に指示し、アクチュエータ1
がブレ補正レンズ30をゼロ位置に戻してから、ゲイン
を再び上げるように位置指令値演算部6に指示してい
る。その結果、ブレ補正制御が何らかの原因で制御不能
になって、ブレを補正できなくなっても、ブレ補正制御
が不可能な状態から正常な状態に素早く復帰し、ブレ補
正を速やかに再開することができる。
【0128】(9) 本発明の第1実施形態に係るブレ
補正装置は、ブレ補正を十分に行っているときには、そ
の旨を撮影者に知らせるための表示部53を備えてい
る。ブレ補正レンズ13の実際の位置と位置指令値との
偏差が所定値よりも大きいとき、ゲインを徐々に上げて
いるとき、ブレ補正制御が不可能なとき、ブレ補正レン
ズ13がリミット部材に当たっているときなどには、ブ
レを補正することができない。ブレ補正CPU30は、
例えば、図示しないブレ補正モードスイッチがON動作
しており、かつ、位置指令値演算部6のゲインが所定値
まで上がっているときには、ブレ補正動作が正常である
と判断することができる。表示部53は、ブレ補正動作
が正常であるときには、ファインダ91内にその旨を表
示するために、撮影者は、ブレ補正動作を行っているこ
とを確認しながら、撮影を行うことができる。
【0129】(第2実施形態)図7は、本発明の第2実
施形態に係るブレ補正装置における理想的駆動電流演算
部内の信号の流れを示すブロック図である。以下では、
図1〜図4に示した部材又はブロックと同一の部材又は
ブロックは、同一の番号を付して説明し、その詳細な説
明は省略する。
【0130】本発明の第2実施形態に係るブレ補正装置
は、第1実施形態と異なり、図1及び図2に示すドライ
バ2をPWMドライバに代えて、入力した電圧に比例し
た電流を出力する電流ドライバを用いた他の実施形態で
ある。理想的駆動電流演算部7は、ドライバ2に電流ド
ライバを用いたときには、逆起電力を考慮に入れずにモ
デルを作ることができ、このモデルは、定数のみで表す
ことができる。
【0131】本発明の第2実施形態は、PWMドライバ
に代えて電流ドライバを用いているために、図3に示す
逆起電圧モデル75を省略することができる。また、ド
ライバに入力する信号を駆動電流として利用することが
できるために、図1及び図2に示す駆動電流測定装置5
が不要となって、ブレ補正装置を簡単に構成することが
できる。
【0132】(第3実施形態)図8は、本発明の第3実
施形態に係るブレ補正装置における信号の流れを示すブ
ロック図である。以下では、図1〜図4に示した部材又
はブロックと同一の部材又はブロックは、同一の番号を
付して説明し、その詳細な説明は省略する。
【0133】本発明の第3実施形態に係るブレ補正装置
は、第1実施形態及び第2実施形態と異なり、重力によ
って生ずる加速度成分を含むアクチュエータ1の駆動電
流から、手ブレによる加速度成分を取り出すときの他の
実施形態である。本発明の第3実施形態に係るブレ補正
装置は、手ブレによる加速度を検出してブレを補正する
ために、重力加速度の影響を強く受ける。重力加速度
は、手ブレによって生ずる加速度よりもはるかに大きい
ために、ブレ補正レンズ13の駆動方向への重力加速度
の成分は、カメラの僅かな姿勢変化によっても、無視で
きない大きさの変動を受ける。このために、アクチュエ
ータ1の駆動電流は、大きな変動を受けて、手ブレによ
る微小な信号は、重力による大きな信号に埋もれてしま
う。
【0134】DCカットフィルタ8は、低周波で変動す
る加速度成分を重力による成分とみなして、アクチュエ
ータ1の駆動電流をDCカットするフィルタである。D
Cカットフィルタ8は、例えば、オペアンプ、抵抗及び
コンデンサで構成したアナログフィルタである。
【0135】A/D変換器9は、DCカットフィルタ8
の出力信号をA/D変換するためのものである。また、
理想的駆動電流演算部7は、実際のDCカットフィルタ
8と同様の特性を有する疑似DCカットフィルタ78を
備えている。
【0136】本発明の第3実施形態に係るブレ補正装置
は、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以
下の効果を有する。 (1) 本発明の第3実施形態は、アクチュエータ1の
駆動電流をA/D変換器9によってA/D変換する前
に、DCカットフィルタ8によってこの駆動電流からD
C成分を除去している。アクチュエータ1の駆動電流を
DCカットしないでA/D変換すると、重力加速度に埋
もれる手ブレによる加速度信号を検出するために、非常
に大きなダイナミックレンジを有するA/D変換器が必
要となる。本発明の第3実施形態は、DCカット後にA
/D変換を行っているために、重力成分の多くを取り除
くことができるとともに、コスト面や変換速度の面で有
利となる。また、小さな手ブレによる信号のみをA/D
変換するために、A/D変換の精度上有利であるととも
に、大きなダイナミックレンジを有し、高価で変換速度
の遅いA/D変換器を使用する必要がない。
【0137】(2) 本発明の第3実施形態は、理想的
駆動電流演算部7が疑似DCカットフィルタ78を備え
ているために、実際のアクチュエータ1及び制御部3の
サーボ回路と理想的駆動電流演算部7内のモデルとを同
じにすることができる。
【0138】(第4実施形態)図9は、本発明の第4実
施形態に係るブレ補正装置における理想的駆動電流演算
部内の信号の流れを示すブロック図である。以下では、
図1〜図4に示した部材又はブロックと同一の部材又は
ブロックは、同一の番号を付して説明し、その詳細な説
明は省略する。
【0139】本発明の第4実施形態に係るブレ補正装置
は、本発明の第1実施形態〜第3実施形態と異なり、ア
クチュエータ1、ドライバ2、制御部3及び位置検出セ
ンサ4などのモデルをつないだ後の全体を、一つにまと
めてソフトウェア上で表現した他の実施形態である。
【0140】理想的駆動電流演算部7は、図9に示すよ
うなモデルを表現して、マイクロプロセッサなどで理想
的駆動電流を演算する。この場合に、全体のモデルが備
える特性を伝達関数の形で表すと、それぞれのブロック
の定数、伝達関数を使って、ラプラス変換後の表示で以
下の数7のように表現することができる。
【0141】
【数7】
【0142】ここで、F(s)は、理想的駆動電流演算
部の伝達関数であり、Cは、制御部の伝達関数であり、
Mは、アクチュエータの伝達関数であり、Aは、ドライ
バの伝達関数であり、Pは、位置検出センサの定数であ
る。
【0143】本発明の第4実施形態は、これらの伝達関
数から求めた周波数特性が、手ブレ補正に使用する周波
数帯域で同じ周波数特性をもつように、モデルを記述し
ている。理想的駆動電流演算部7は、数7に示す特性を
備えるディジタルフィルタと同様な形にまとめて演算を
行う。この場合に、理想的駆動電流演算部7は、サンプ
リングした位置指令値が入力し、理想的駆動電流を出力
する。理想的駆動電流演算部7は、その特性を実現する
いくつかの係数の配列でディジタルフィルタを表現す
る。理想的駆動電流演算部7は、アクチュエータ1を含
む実際のシステムの特性に合うように、これらの配列を
選びEEPROM10に記憶するとともに、これらの配
列をブレ補正時に読み出して、理想的駆動電流を演算す
る。
【0144】本発明の第4実施形態は、モデル全体を一
つにまとめて表現しているために、一つのブロックとし
てコンパクトにモデルを記述することができるととも
に、演算速度を向上することができる。
【0145】(第5実施形態)図10は、本発明の第5
実施形態に係るブレ補正装置における信号の流れを示す
ブロック図である。以下では、図1〜図4に示した部材
又はブロックと同一の部材又はブロックは、同一の番号
を付して説明し、その詳細な説明は省略する。
【0146】本発明の第5実施形態は、本発明の第1実
施形態〜第4実施形態と異なり、ソフトリミット部11
と、センタリングバイアステーブル部12とを設けた他
の実施形態である。
【0147】ソフトリミット11は、ブレ補正レンズ1
3をその可動範囲よりも狭い範囲内で駆動するために、
位置指令値を修正するものである。ソフトリミット11
は、位置指令値がある範囲を越えて入力したときに、こ
の位置指令値が飽和するように修正して、修正位置指令
値を出力するものである。ソフトリミット11は、制御
部3及び理想的駆動電流演算部7に、同じ値の修正位置
指令値を同時に出力する。制御部3は、この修正位置指
令値に基づいて、アクチュエータ1を駆動制御し、理想
的駆動電流演算部7は、この位置指令値に基づいて、理
想的駆動電流を演算する。
【0148】センタリングバイアステーブル12は、位
置検出信号がある範囲を越えて入力したときに、ブレ補
正レンズ13が可動範囲の中心又はその近傍で駆動する
ように、この位置検出信号を修正して、修正位置検出信
号を出力するものである。センタリングバイアステーブ
ル12は、図10に示すように、入力した位置検出信号
が所定範囲内にあるときには、修正位置検出信号をゼロ
にして出力する。センタリングバイアステーブル12
は、入力した位置検出信号が所定範囲を越えるときに
は、可動範囲の中心又はその近傍に向けてブレ補正レン
ズ13を引き戻すフィードバックがかかるように、修正
位置検出信号を徐々に大きな値にして出力する。センタ
リングバイアステーブル12は、ゲインコントローラ6
2の出力信号から修正位置検出信号を減算した信号を、
位置指令値としてソフトリミット11に出力する。
【0149】本発明の第5実施形態に係るブレ補正装置
は、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下
の効果を有する。 (1) アクチュエータ1、ブレ補正レンズ13及びレ
ンズ枠14を角速度センサとして兼用するためには、実
際のシステム及び疑似システムが同じ目標位置に対し
て、同じように追従する必要がある。しかし、実際のシ
ステムは、ブレ補正レンズ13の可動範囲の限界に、機
械的なリミット部材を備えており、位置指令値の振幅が
このリミットを越えると、ブレ補正レンズ13がこのリ
ミット部材に当たってしまう。その結果、実際のシステ
ムと疑似システムの動作が全く異なってしまうために、
加速度を検出できず、ブレ補正動作が不可能になってし
まう。
【0150】本発明の第5実施形態は、ブレ補正レンズ
13がリミット部材に当たる前に、位置指令値を一定レ
ベルで制限(ある値でクリップ)するソフトリミット1
1を備えている。このために、ブレ補正レンズ13をそ
の可動範囲よりも狭い範囲内で駆動することができる。
その結果、実際のシステムと疑似システムの動作が同じ
になるために、ブレ補正レンズ13がリミット部材に当
たって、ブレ補正動作が不可能になるのを防止すること
ができる。
【0151】(2) 本発明の第5実施形態は、ソフト
リミット11によって位置指令値を修正する前に、ブレ
補正レンズ13が可動範囲の限界に近づいたときに、こ
の可動範囲の中心又はその近傍にブレ補正レンズ13を
引き戻すセンタリングバイアステーブル12を備えてい
る。このために、ファインダ91上における像の不連続
で不自然な動きを小さくすることができる。
【0152】本発明は、以上説明した実施形態に限定す
るものではなく、以下に記載するように、種々の変形又
は変更が可能であって、これらも本発明の均等の範囲内
である。 (1) 駆動電流測定装置5は、駆動電流を直接検出す
る場合に限定するものではなく、間接的に検出してもよ
い。また、駆動電流測定装置5は、電流センサによって
駆動電流を測定してもよい。
【0153】(2) 位置指令値演算部6は、積分器6
1によって積分した後に、ゲインコントローラ62によ
ってゲインを掛けているが、積分とゲインの順番は逆で
あってもよい。
【0154】(3) 理想的駆動電流演算部7は、オペ
アンプなどのアナログフィルタによって構成してもよ
い。理想的駆動電流演算部7は、そのモデルをアナログ
回路で構成するときには、アクチュエータ1、ドライバ
2、制御部3及び位置検出センサ4に対応する演算回路
をそれぞれオペアンプで構成し、これらをつなぎ合わせ
てフィードバックループを作ることができる。また、理
想的駆動電流演算部7は、位置指令値を回路に入力し
て、駆動電流を表す信号を取り出すことで実現すること
ができる。
【0155】理想的駆動電流演算部7は、数2に示すよ
うに、2次の遅れ系のモデルを例に挙げて説明している
が、3次以上の遅れ系のモデルであってもよい。また、
理想的駆動電流演算部7は、温度検出部15が検出した
温度と温度補正係数とに基づいて、固有角振動数ωn、
減衰定数ζ、アクチュエータ駆動能力定数βなどの一部
を補正してもよい。
【0156】(4) DCカットフィルタ8は、ソフト
ウェアで構成したディジタルフィルタであってもよく、
アクチュエータ1の駆動電流をA/D変換して取り込ん
だ後に、DCカットをしてもよい。また、DCカットフ
ィルタ8に代えて、重力による駆動電流を演算によって
推定し、アクチュエータ1の駆動電流から重力による信
号成分を減算してもよい。この場合には、ソフトウェア
上で推定した重力による信号成分を、D/A変換器によ
ってアナログ値として出力し、アクチュエータ1の駆動
電流からこの重力による信号成分をアナログ的に減算し
た後に、A/D変換をすればよい。さらに、アクチュエ
ータ1の駆動電流から重力による信号成分を、D/A変
換後にソフトウェア上で減算してもよい。
【0157】重力による信号成分を推定するアルゴリズ
ムは、DCカットフィルタ8よりも、ソフトウェアで構
成したほうが演算の自由度が高いために、重力により信
号成分を効果的に減算できる可能性がある。ブレ補正レ
ンズ13の実際の位置と位置指令値との偏差は、重力に
よりサーボがかかっている状態でも僅かに生ずるため
に、重力により信号成分を推定するアルゴリズムとして
は、例えば、この偏差の方向と大きさをみて、重力によ
る信号成分を推定する方法がある。
【0158】(5) EEPROM10は、フラッシュ
メモリ、PROM、EPROMなどの不揮発性半導体メ
モリなどの書換え可能な記憶素子であってもよい。
【0159】(6) センタリングバイアステーブル1
2は、図10に示すようなテーブルに代えて、演算によ
って修正位置検出信号を出力するものであってもよい。
【0160】(7) ブレ補正CPU30は、ブレ補正
レンズ13の実際の位置と位置指令値との偏差が、所定
値よりも小さいか否かを判定しているが、ブレ補正開始
信号を受信してから所定時間を経過したか否かを判断し
てもよい。この場合には、ブレ補正開始信号を受信して
からブレ補正を直ちに開始するのではなく、ブレ補正開
始信号を受信してから所定時間は、位置指令値をゼロに
固定する。そして、実際のシステム及び疑似システムの
フィードバック系をクローズして、ゼロに固定していた
位置指令値を所定時間経過後に、位置指令値演算部6が
演算した位置指令値に切り替えて、ブレ補正動作を開始
する。
【0161】(8) ゲインコントローラ62は、位置
指令値演算部6が演算した所定値とゼロとの間でゲイン
を可変しているが、ゼロに限定するものではなく、他の
小さな値と所定値との間でゲインを可変してもよい。ま
た、図6に示すS206において、アクチュエータ1の
駆動電流がしきい値以上であるときには、ドライバ2へ
の電源供給をOFF動作しているが、これに限定するも
のではない。例えば、ブレ補正CPU30は、位置指令
値演算部6にゲインをゼロに下げるように指示し、S2
03以降の処理を行ってもよい。
【0162】(9) 本発明の実施形態は、ボディ側C
PU50、レンズ側CPU40及びブレ補正CPU30
を備えるカメラを例に挙げて説明したが、各CPUは、
他のCPUを兼用してもよい。例えば、レンズ、ボディ
一体型のカメラについては、1つのCPUに全ての機能
を持たせてもよい。また、本発明の実施形態は、一眼レ
フカメラにブレ補正装置を搭載した例を挙げて説明した
が、レンズシャッタカメラ(コンパクトカメラ)にも、
本発明を適用することができる。さらに、本発明は、ビ
デオカメラや双眼鏡などの光学装置についても、適用す
ることができる。
【0163】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によ
れば、角速度センサや加速度センサなどの高価な特別な
センサを用いずに、ブレ補正装置のコストダウンを図る
ことができるとともに、高精度にブレを補正することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置を搭
載したカメラシステムのブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置にお
ける信号の流れを示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置にお
ける理想的駆動電流演算部の信号の流れを示すブロック
図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置にお
ける位置指令値演算部のブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置を搭
載したカメラシステムの動作を説明するフローチャート
である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るブレ補正装置にお
いてブレ補正制御が不可能になったときの動作を説明す
るフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係るブレ補正装置にお
ける理想的駆動電流演算部の信号の流れを示すブロック
図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るブレ補正装置にお
ける信号の流れを示すブロック図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るブレ補正装置にお
ける理想的駆動電流演算部の信号の流れを示すブロック
図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るブレ補正装置に
おける信号の流れを示すブロック図である。
【図11】従来のブレ補正装置を搭載したカメラシステ
ムの斜視図である。
【図12】従来のブレ補正装置における信号の流れを示
すブロック図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ 2 ドライバ 3 制御部 4 位置検出センサ 5 駆動電流測定装置 6 位置指令値演算部 7 理想的駆動電流演算部 8 DCカットフィルタ 9 A/D変換器 10 EEPROM 11 ソフトリミット 12 センタリングバイアステーブル 13 ブレ補正レンズ 30 ブレ補正CPU 61 積分器 62 ゲインコントローラ 63 重力加速度演算部 71 疑似アクチュエータ 72 疑似ドライバ 73 疑似制御部 74 疑似位置検出センサ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレを補正するブレ補正光学系と、 前記ブレ補正光学系を駆動する駆動部と、 前記ブレ補正光学系がブレによる加速度を受けたときの
    駆動信号を検出する駆動信号検出部と、 前記ブレ補正光学系がブレによる加速度を受けなかった
    ときの理想的駆動信号を演算する理想的駆動信号演算部
    と、 前記駆動信号と前記理想的駆動信号とに基づいて、位置
    指令値を演算する位置指令値演算部と、 前記位置指令値に基づいて、前記駆動部を制御する制御
    部と、 前記理想的駆動信号を演算するための定数及び/又は係
    数を記憶する記憶部とを含み、 前記理想的駆動信号演算部は、前記定数及び/又は前記
    係数と前記位置指令値とに基づいて、前記理想的駆動信
    号を演算すること、 を特徴とするブレ補正装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のブレ補正装置におい
    て、 前記記憶部は、前記駆動部に関する固有角振動数、減衰
    定数及び駆動能力定数を記憶すること、 を特徴とするブレ補正装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のブレ補正
    装置において、 温度を検出する温度検出部を備え、 前記記憶部は、温度補正係数を記憶し、 前記理想的駆動信号演算部は、前記温度検出部が検出し
    た温度と前記温度補正係数とに基づいて、前記定数及び
    /又は前記係数の少なくとも一部を補正して、前記理想
    的駆動信号を演算すること、 を特徴とするブレ補正装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれか1
    項に記載のブレ補正装置において、 前記記憶部は、前記理想的駆動信号演算部の周波数特性
    に関する係数を記憶すること、 を特徴とするブレ補正装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれか1
    項に記載のブレ補正装置において、 前記記憶部は、書換え可能な記憶素子であること、 を特徴とするブレ補正装置。
  6. 【請求項6】 ブレを補正するブレ補正光学系と、 前記ブレ補正光学系を駆動する駆動部と、 前記ブレ補正光学系がブレによる加速度を受けたときの
    駆動信号を検出する駆動信号検出部と、 前記ブレ補正光学系がブレによる加速度を受けなかった
    ときの理想的駆動信号を演算する理想的駆動信号演算部
    と、 前記駆動信号と前記理想的駆動信号とに基づいて、位置
    指令値を演算する位置指令値演算部と、 前記位置指令値に基づいて、前記駆動部を制御する制御
    部とを含み、 前記理想的駆動信号演算部は、少なくとも2次以上の遅
    れ系で近似されており、前記位置指令値に基づいて、前
    記理想的駆動信号を演算すること、 を特徴とするブレ補正装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のブレ補正装置におい
    て、 前記理想的駆動信号演算部は、固有角振動数、減衰定数
    及び駆動能力定数によって、前記駆動部のモデルを表現
    すること、 を特徴とするブレ補正装置。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項7までのいずれか1
    項に記載のブレ補正装置において、 前記ブレ補正光学系が重力加速度を受けるときに生ずる
    信号を、前記駆動信号から除去するフィルタ部を備える
    こと、 を特徴とするブレ補正装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のブレ補正装置におい
    て、 前記フィルタ部は、直流成分を除去するDCカットフィ
    ルタであり、 前記DCカットフィルタの出力信号をA/D変換するA
    /D変換器を備えること、 を特徴とするブレ補正装置。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項7までのいずれか
    1項に記載のブレ補正装置において、 前記ブレ補正光学系が重力加速度を受けるときに生ずる
    信号を、前記駆動信号及び前記理想的駆動信号から除去
    して積分する積分部を備えること、 を特徴とするブレ補正装置。
  11. 【請求項11】 請求項1から請求項10までのいずれ
    か1項に記載のブレ補正装置において、 前記位置指令値を修正して、修正位置指令値を出力する
    位置指令値修正部を備え、 前記制御部は、前記修正位置指令値に基づいて、前記ブ
    レ補正光学系の可動限界よりも狭い範囲で、このブレ補
    正光学系を前記駆動部に駆動させること、 を特徴とするブレ補正装置。
  12. 【請求項12】 請求項1から請求項10までのいずれ
    か1項に記載のブレ補正装置において、 前記ブレ補正光学系の駆動位置を検出し、位置検出信号
    を出力する位置検出部と、 前記位置検出信号に基づいて、前記位置指令値を修正し
    て、修正位置指令値を出力する駆動位置修正部とを含
    み、 前記制御部は、前記修正位置指令値に基づいて、前記ブ
    レ補正光学系の可動範囲の中心又はその近傍で、このブ
    レ補正光学系を前記駆動部に駆動させること、を特徴と
    するブレ補正装置。
  13. 【請求項13】 請求項1から請求項12までのいずれ
    か1項に記載のブレ補正装置において、 前記位置指令値又は前記修正位置指令値は、前記制御部
    及び前記理想的駆動信号演算部に、同じ値で同時に入力
    すること、 を特徴とするブレ補正装置。
JP10034572A 1997-09-30 1998-02-17 ブレ補正装置 Pending JPH11231368A (ja)

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