JP2004226692A - 振動検出装置及びブレ補正カメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】電源投入直後に使用しても、高精度な振動検出及びブレ補正動作を行うことができる振動検出装置及びブレ補正カメラを提供する。
【解決手段】カメラが静止しているか否かを支持状態検出部により判定し、静止している場合には、角速度センサ10の出力をドリフト成分としてドリフト記憶部32に記憶する。また、静止していない場合には、ドリフト記憶部32に記憶されている角速度センサ10のドリフト成分を角速度センサ出力から減算した後、基準値を演算してブレ補正動作を行う。
【選択図】 図3
【解決手段】カメラが静止しているか否かを支持状態検出部により判定し、静止している場合には、角速度センサ10の出力をドリフト成分としてドリフト記憶部32に記憶する。また、静止していない場合には、ドリフト記憶部32に記憶されている角速度センサ10のドリフト成分を角速度センサ出力から減算した後、基準値を演算してブレ補正動作を行う。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ等の撮影装置における手振れ等による像ブレを補正するブレ補正装置に用いられる振動検出装置及びブレ補正カメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、振動検出装置を含んだブレ補正装置の基本的な構成を示すブロック図である。この図を用いてブレ補正装置のメカニズムを説明する。
まず、カメラに加えられた振動を角速度センサ110により検出する。角速度センサ110は、通常コリオリ力を検出する圧電振動式角速度センサを用いる。角速度センサ110の出力は、基準値演算部122へ送信される。
【0003】
角速度センサ110の静止時の出力は、温度などの使用条件によって変化する。そのため、事前に静止時の出力値を保持しておいても意味がない。従って、角速度センサ110が使用される段階になったところでその値を何らかの方法で求めなければならない。
しかし、ブレ補正機構を内蔵したカメラ等の光学装置が使用される段階では、既に使用者の手振れによって振動している状態にあることが殆どである。よって、使用段階になったところで角速度センサ110の静止時の出力を直接求めることはできない。
そこで、角速度センサ110の出力の移動平均値、又は、ローパスフィルタにより抽出した低周波成分を角速度センサ110の静止時の出力として振動の基準値とするのが一般的である。
【0004】
基準値演算部122は、角速度センサ110の出力より振動の基準値を演算する。その後、角速度センサ110からの振動検出信号から基準値を減算し、積分部124へ送信する。
【0005】
積分部124は、角速度の単位で表されている振動検出信号を時間積分し、カメラの振れ角度に変換する。
目標駆動位置演算部126は、積分部124から送られてきた振れ角度情報にレンズの焦点距離などの情報を加味し、ブレ補正光学系140を駆動するための目標駆動位置情報を演算する。
この目標駆動位置情報に応じてブレ補正光学系140を動かすために、駆動信号演算部128は、目標駆動位置情報とブレ補正光学系140の位置情報との差をとり、コイル133へ駆動電流を流す。
【0006】
ブレ補正光学系140を動かすためのアクチュエータは、ヨーク131、マグネット132、コイル133から構成されている。コイル133は、ヨーク131とマグネット132により形成される磁気回路内に置かれており、コイル133に電流を流すと、フレミングの左手の法則により、アクチュエータに駆動力が発生する。コイル133は、図9に示すように、ブレ補正光学系140を収めている鏡筒142に取り付けられている。ブレ補正光学系140、及び、鏡筒142は、光軸Iに垂直な方向に動くことができるような構造となっているため、コイル133に電流を流すことによりブレ補正光学系140を光軸Iに直交する方向に駆動させることが可能となる。
【0007】
ブレ補正光学系140の動きは、赤外線発光ダイオード(以下、IRED)134、スリット板135、スリット136、PSD(Position Sensitive Device)137により構成される光学的位置検出装置によりモニタしている。IRED134が発光した光は、まずスリット136を通過することにより、光線の幅を絞られ、PSD137へ到達する。PSD137は、その受光面上の光の位置に応じた信号を出力する素子である。
【0008】
図9に示す通り、スリット板135は、鏡筒142に取り付けられているため、ブレ補正光学系140の動きがスリット板135に設けられたスリット136の動きとなり、PSD137の受光面上の光の動きとなる。従って、PSD137の受光面上の光の位置がブレ補正光学系140の位置と等価となる。PSD137により検出された信号は、位置信号138としてフィードバックされる。
このようなブレ補正装置は、主にカメラなどの撮影装置や双眼鏡などの光学装置に内蔵され、これらの装置が手持ちで使用されているときの使用者の手振れによる像ブレを補正するのに有効である。
【0009】
また、ブレ補正装置が手持ちされている場合と三脚などに固定されている場合とでは、振動の状態が大きく異なる。そこで、各状態において最適な制御をするために、ブレ補正装置が三脚などに固定されているか否か(静止しているか否か)を判定して判定結果を出力する支持状態判定部(静止状態判定部)を備えて、装置の支持状態に合った制御を行う技術が知られている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−38461号公報
【特許文献2】
特開2000−122106号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の装置は、通常、ブレ補正装置が使用される段階になったところ(例えば、カメラの半押し動作)で角速度センサ110に電源が投入される。しかし、角速度センサ110は、電源投入直後は不安定で、電源投入後数秒間は、出力がドリフトする(時間経過により出力オフセット値が変わる)。角速度センサ110の出力にドリフトがあると移動平均やローパスフィルタ出力が本来求めたい値(=角速度センサ静止時の出力)からずれてしまい、それがそのまま誤差となってしまう。その場合、ブレ補正効果が思うように得られないという問題があった。また、最悪の場合かえって像を悪化させてしまったりするという問題があった。
【0012】
本発明の課題は、電源投入直後に使用しても、高精度な振動検出及びブレ補正動作を行うことができる振動検出装置及びブレ補正カメラを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。すなわち、請求項1の発明は、振動を検出して振動検出信号を出力する振動検出部(10)と、前記振動検出部が前記振動検出信号を出力している間、前記振動検出部を含む装置が静止しているか否かを判定して判定結果を出力する静止状態判定部(20)と、前記静止状態判定部が前記振動検出部を含む装置が静止していると判定しているときに、前記振動検出信号を記憶する振動検出信号記憶部(32)と、を備える振動検出装置である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の振動検出装置において、前記静止状態判定部(20)が静止していると判定していないときに、前記振動検出信号記憶部(32)に記憶された記憶信号に基づいて非静止状態における前記振動検出信号を処理する振動検出信号処理部(32,34,S230)を備えること、を特徴とする振動検出装置である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載の振動検出装置において、前記振動検出信号処理部(32,34,S230)は、前記振動検出信号から前記振動検出信号記憶部(32)に記憶された記憶信号に基づいた値を減算する処理を行うこと、を特徴とする振動検出装置である。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、前記振動検出信号記憶部(32)は、電源投入から所定時間経過までの間に前記振動検出信号を新たに記憶すること、を特徴とする振動検出装置である。
【0017】
請求項5の発明は、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、前記振動検出信号処理部(32,34,S230)は、電源投入から前記所定時間の間は、前記振動検出信号記憶部(32)に記憶された記憶信号に基づいた値を用いて処理を行い、前記所定時間経過後は、前記所定時間の終端付近の値に基づいた値又は所定値を用いて処理を行うこと、を特徴とする振動検出装置である。
【0018】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の振動検出装置において、前記所定時間は、前記振動検出部(10)の出力が安定するのに必要な時間以上あること、を特徴とする振動検出装置である。
【0019】
請求項7の発明は、請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、前記振動検出信号処理部(32,34,S230)により処理された前記振動検出信号に基づいて振動の基準値を演算する基準値演算部(34)を備えること、を特徴とする振動検出装置である。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の振動検出装置と、像ブレを補正するブレ補正光学系(50)と、前記ブレ補正光学系を駆動する駆動部(40)と、前記振動検出信号より駆動信号を演算し、演算結果を駆動信号として出力することにより、前記駆動部の駆動を制御する制御部(30)と、を備えたブレ補正カメラである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について、更に詳しく説明する。
図1は、本発明によるブレ補正カメラの実施形態の概要を示すブロック図である。
本実施形態におけるブレ補正カメラは、角速度センサ10,支持状態検出部20,ブレ補正駆動信号演算部30,ブレ補正駆動部40,ブレ補正光学系50,半押しタイマ60,電源供給部70,レンズ鏡筒80,カメラボディ90,半押しスイッチSW1,全押しスイッチSW2等を備えている。
【0022】
角速度センサ10は、カメラに印可された振動を角速度値で検出するセンサであり、角速度センサ10にかかるコリオリ力を利用して角速度を検出し、検出結果を電圧値として出力する振動検出部である。通常は、2軸方向で角速度を検出する必要があるため角速度センサ10は2つ搭載されるが、ここでは簡単のため一軸分のみ示し、もう一方の一軸分は、省略している。角速度センサ10の出力信号は、ブレ補正駆動信号演算部30へ送信される。なお、ここでは図示していないが、通常は、角速度センサ出力を増幅した信号(以下、振動検出信号)をブレ補正駆動信号演算部30に送信する。
また、角速度センサ10は、後述の電源供給部100より電源が供給されている間のみ、角速度の検出が可能となる。
【0023】
支持状態検出部20は、角速度センサ10の出力から、カメラの支持状態(カメラが静止しているか否か)を検出する静止状態検出部である。
支持状態検出部20は、以下の2種類の状態を判別して検出結果として出力する。
固定状態:三脚などの土台に固定されている状態であり、カメラが振動していない状態。
手持ち状態:手持ち、又は、一脚に取り付けての使用状態であり、手振れなどでカメラが振動している状態。
支持状態検出部20におけるカメラの支持状態の検出方法については、後に説明する。
支持状態検出部20の検出結果は、ブレ補正駆動信号演算部30へ送信される。
【0024】
ブレ補正駆動信号演算部30は、角速度センサ10より送信されてきた振動検出信号から、ブレ補正光学系50を駆動するための駆動信号を演算し、駆動を制御する制御部である。
ブレ補正駆動信号演算部30では、最初に角速度センサ10より送信されてきた振動検出信号からドリフト成分を減算する。ブレ補正駆動信号演算部30には、角速度センサ10のドリフト成分を記憶しておくドリフト記憶部32(図3参照)が設けられており、このドリフト記憶部32からの情報に基づいてドリフト成分を減算する。
【0025】
また、ブレ補正駆動信号演算部30には、支持状態検出部20の検出結果を伝えられており、検出結果が固定状態の場合、その時の角速度センサ出力をドリフト成分としてドリフト記憶部32に記憶させる。
【0026】
ブレ補正駆動信号演算部30は、ドリフト成分を減算した後、振動検出信号の基準値を演算する。これは、移動平均やディジタルローパスフィルタを使用するのが一般的である。次に、振動検出信号から基準値を減算し、それを積分することにより角変位信号に変換する。角変位信号に変換した後、レンズの焦点距離などの諸条件によって決まる定数を掛け、角度ブレ量を求める。その後、角度ブレ量から平行ブレ量を抽出し、これらのブレ量からブレ補正光学系50を駆動するための駆動信号を演算して出力する。
なお、このブレ補正駆動信号演算部30の詳細については、後述の図3において説明する。
【0027】
ブレ補正駆動部40は、ブレ補正駆動信号演算部30からのブレ補正駆動信号に基づいて、ブレ補正光学系50を駆動する駆動部である。これには、ブレ補正光学系50を駆動するためのアクチュエータや、ブレ補正光学系50の位置を検出する位置検出センサ等が含まれる。
【0028】
ブレ補正光学系50は、撮影装置の結像光学系に内蔵されており、光軸と略直交する平面内を動くことができる単レンズ、又は、複数枚のレンズより構成されるレンズ群である。ブレ補正光学系50は、ブレ補正駆動部40によって光軸と略直交する方向に駆動され、結像光学系の光軸Iを偏向させる。
【0029】
写真等の像のブレは、手振れ等のカメラに加えられる振動により、露光中に結像面(フィルム面)の像が動いてしまうことにより発生する。しかし、図1に示すようなブレ補正カメラにおいては、角速度センサ10などの振動検出センサが内蔵されており、その振動検出センサにより、カメラに加えられた振動を検出することができる。そして、カメラに加えられた振動が検出されれば、その振動による結像面の像の動きを知ることができるので、結像面上の像の動きが止まるようにブレ補正光学系50を動かすことで、結像面上の像の動き、すなわち像ブレを補正することができる。
【0030】
半押しタイマ60は、カメラの半押しスイッチSW1がONとなったと同時にONとなるタイマである。半押しスイッチSW1が押されている間は、ONのままであり、また、半押しスイッチSW1がOFFとなってからも、一定時間はこの半押しタイマ60はONのままとなっている。
【0031】
電源供給部70は、カメラの半押タイマ60がONの間は、角速度センサ10を始め、カメラ及びレンズ内で電源を必要とする所に電源を供給し続ける。また、半押しタイマ60がOFFの時は、電源の供給を停止する。従って、カメラの半押しタイマがONの間のみ、角速度センサ10によるカメラの振動検出が可能となる。
【0032】
半押しスイッチSW1は、不図示のレリーズボタンの半押し動作に連動してONとなるスイッチである。このスイッチがONとなることにより、不図示の測光部による測光演算、オートフォーカス駆動などが開始される。
【0033】
全押しスイッチSW2は、不図示のレリーズボタンの全押し動作に連動してONとなるスイッチである。このスイッチがONとなることにより、図示しないシャッタ機構によるシャッタの開閉、フィルム巻き上げ機構によるフィルムの巻き上げなど一連の撮影動作が行われる。
【0034】
なお、本実施形態におけるレンズ鏡筒80とカメラボディ90とは、いわゆる一眼レフタイプの形態であるが、本発明を実施するに当たり、レンズ鏡筒80とカメラボディ90とは、一眼レフのような交換式でもよいし、コンパクトカメラのような非交換式でもよい。
【0035】
図2は、本実施形態におけるブレ補正カメラの動作を表すフローチャートである。
ステップ(以下、Sとする)10では、半押しスイッチSW1がONか否かを検出する。半押しスイッチSW1がONの場合はS20へ進み、OFFの場合はS90へ進む。
S20では、半押しタイマ60がOFFか否かを検出する。半押しタイマ60がOFFの場合は、S30へ進み、ONの場合は、S50へ進む。
S30では、半押しタイマ60をONとする。
S40では、角速度センサ10をONとする。
【0036】
S50では、支持状態の検出が行われていないときには支持状態の検出を開始し、既に支持状態の検出が行われている場合には、継続する。
ここで、支持状態検出部20によるカメラの支持状態の検出方法について説明する。
本実施形態における支持状態検出部20は、角速度センサ10の出力値を監視し、この出力値が所定値以上の状態が所定時間以上続いた場合に手持ち状態であると判断する。
また、支持状態検出部20は、角速度センサ10の出力値が所定値以下の状態が所定時間以上続いた場合に固定状態であると判断する。
【0037】
さらに、支持状態検出部20は、レンズ鏡筒80へ電源が供給されてから(カメラの電源がON又は半押しタイマ60がONとなってから)0.3秒間については、上記判断とは関係なく強制的に固定状態であるとして検出結果を出力する。なお、この0.3秒という時間については、0.3〜0.5秒程度の範囲で設定することが望ましい。この電源投入直後の判定を強制的に固定状態とするのは、電源投入直後の角速度センサ10のドリフト成分が非常に大きいことから、正確な判断をすることができず、動作が不安定になることを防止するためである。
なお、支持状態検出部20によるカメラの支持状態の検出方法については、上述の方法に限らず、例えば、電源投入後所定の時間が経過しても角速度センサ10の出力に極値が現れなかったら固定状態であると判断してもよい。
【0038】
S60では、ブレ補正動作が行われていないときにはブレ補正動作を開始し、既にブレ補正動作が行われている場合には、継続する。
S70では、全押しスイッチSW2がONか否かを検出する。全押しスイッチSW2がONの場合にはS80へ進み、OFFの場合にはS10へ戻る。
【0039】
S80では、ミラーのアップ、露光開始及び終了、ミラーのダウン、フィルムの巻き上げなどの一連の撮影動作を行う。
S90では、半押しタイマ60がONであるか否かを判定する。半押しタイマ60がONである場合には、S50へ進み、OFFである場合にはS100へ進む。
S100では、ブレ補正光学系50の駆動を停止する。
S110では、ブレ補正光学系50駆動信号等の演算を停止する。
S120では、角速度センサ10をOFFとして、S10へ戻る。
【0040】
図3は、ブレ補正駆動信号演算部30の内部構成を示すブロック図である。
ブレ補正駆動信号演算部30は、ドリフト記憶部32,基準値演算部34,積分部36,駆動信号出力切り替え部38等を有している。
【0041】
ドリフト記憶部32は、角速度センサ10のドリフト成分を記憶しておく振動検出信号記憶部であるとともに、振動検出信号からこのドリフト記憶部32に記憶されたドリフト成分を減算する振動検出信号処理部の役割も果たしている。
ドリフト記憶部32は、支持状態検出部20からの情報を受け取り、固定判定であればその時の角速度センサ出力をドリフト成分として記憶する。
【0042】
なお、上述したように電源投入から0.3秒までは、強制的に固定判定となっているので、電源投入直後のドリフト記憶部32は、角速度センサ出力を仮に記憶する。そして、0.3秒経過後も固定判定であれば、ドリフト記憶部32は、角速度センサ出力をドリフト成分として記憶する。この逆に0.3秒経過後に手持ち判定であるとなった場合には、ドリフト記憶部32は、仮に記憶していた角速度センサ出力を消去してしまい、以前にドリフト成分として記憶しておいた角速度センサ出力を更新しないで保持する。
【0043】
支持状態検出部20から受け取った情報が手持ち判定であれば、記憶しておいたドリフト成分を角速度センサ出力から差し引いてドリフト成分を除去する。ドリフト成分を除去することにより、次の基準値演算の精度が上がり、結果としてブレ補正効果を向上することができる。
【0044】
基準値演算部34は、振れ(振動)の基準となる基準値を角速度センサ出力から演算する。この基準値の演算は、角速度センサ10が完全に静止したと仮定した時の出力を算出することが主な目的である。振れの基準値演算は、角速度センサ出力の移動平均値を使用したり、センサ出力の低周波成分を抽出して使用したりするのが一般的である。
【0045】
積分部36は、角速度センサ10から基準値を引いた信号を積分して角度振れ量に変換し、さらに被写体距離や焦点距離に依存する定数をかけ、ブレ補正光学系50を駆動させるための駆動信号を演算する部分である。
【0046】
駆動信号出力切り替え部38は、支持状態検出部20の検出結果に応じて出力する駆動信号を切り替える部分である。手持ち判定時は、積分部36で演算された駆動信号を出力するようにするので、ブレ補正光学系50が駆動される。
一方、固定判定時は、駆動信号を0にして出力するので、ブレ補正光学系50は、定位置制御されてブレ補正動作が停止する。
なお、固定判定時はドリフト記憶部32が、その時の角速度センサ10の出力をドリフト成分として記憶すると同時に、角速度センサ10の出力からドリフト成分を減算しているため、センサ出力は0となる。つまり、実質的にはブレ補正動作が停止するため、駆動信号切り替え部38は、省くことも可能である。
【0047】
図4は、ブレ補正駆動信号演算部30の演算の流れを示すフローチャートである。
S200では、支持状態検出部20の支持状態判定結果をモニタする。固定状態判定であればS210へ進み、手持ち状態判定であればS230へ進む。
S210では、支持状態検出部20の支持状態判定結果が固定状態判定であれば角速センサ10は静止していると考えられるので、このときの角速度センサ出力=ドリフト成分と見なすことができる。よって、このステップでは角速度センサ出力をドリフト成分として記憶する。
【0048】
S220では、固定判定なので駆動信号出力切り替え部38は駆動信号を0として出力する。このようにすることによりブレ補正動作が停止する。
S230では、角速度センサ出力に含まれるドリフト成分を除去するため、ドリフト記憶部32に記憶されたドリフト成分を角速度センサ出力から減算する。このS230における減算処理が、振動検出信号処理部としての処理となる。
S240では、ドリフト成分を除去した角速度センサ出力を元に基準値を演算する。
S250では、角速度センサ出力からS240で演算した基準値を減算し、さらに被写体距離や焦点距離などに依存する定数をかけてブレ補正光学系50を駆動するための駆動信号を演算する。
【0049】
ここで、ドリフト記憶部32に記憶されたドリフト成分を角速度センサ出力から減算することが、ブレ補正動作にどのように影響するのかを説明する。
図5は、角速度センサ10のドリフト成分の一例を示すグラフである。
図5中で、時間=0の位置が角速度センサ10に電源が投入された時間である。電源投入直後は、出力の変動が大きいが、時間の経過とともに変動が小さくなり、最終的には所定の値に落ち着くことが判る。
【0050】
図6は、角速度センサ10の出力に図5に示したドリフト成分が含まれている場合であって、角速度センサ10が手振れ(ここでは正弦波としている)によって振動しているときの出力(破線)と、そのときの基準値演算結果(実線)を併せて示した図である。
ドリフト成分が含まれていることから、正弦波で振動している場合であっても、角速度センサ10からの出力が全体的に上昇するように変動しており、これにより、基準値演算結果も同様に変動している。
【0051】
図7は、図6に示した角速度センサ10の出力からドリフト成分を除去した後の出力と、そのドリフト成分を除去した後の出力を基に演算した基準値演算結果を併せて示した図である。
この場合、ドリフト成分を除去しているので、出力が安定し、基準値もすぐに安定している。
【0052】
図8は、図6及び図7に表示した基準値の誤差の絶対値を求めて示したグラフである。
ドリフト成分を含む図6の場合の誤差(実線)は、角速度センサ10のドリフトが安定するまで大きく変動し、誤差が所定の値以下に落ち着くまでに時間を要している。一方、ドリフト成分を含まない図7の場合の誤差(破線)は、ドリフト成分がある場合と比べて短時間で安定している。従って、ドリフト成分を除去することにより、早期にブレ補正の精度を向上することができ、早期に効果的なブレ補正を行うことができる。
【0053】
図5に示した角速度センサ10のドリフトのパターンは、センサが違えばパターンは異なるが、1つのセンサに注目すれば、極端に大きい差はない。
また、上述のように、手振れ信号が含まれる角速度センサ出力からドリフト成分を引くことにより、ブレ補正の精度を向上することができる。
最近のブレ補正装置には、装置の固定状態を検出する機能が内蔵されてきている。これは、装置が三脚などの土台に固定されているか、手持ちで使用されているかを見分ける機能である。
【0054】
したがって、支持状態の検出結果が三脚などに固定となっている場合、その時の角速度センサ出力をモニタすれば、それが角速度センサ10のドリフトパターンとなり、メモリなどと組み合わせれば、新たに部品を追加することなく、ドリフトパターンをある程度記憶することができる。
そこで、本実施形態では、支持状態の検出とドリフトパターンの記憶とを組み合わせ、精度の高いブレ補正を行えるようにした。
【0055】
本実施形態によれば、支持状態判定結果に応じて角速度センサ10のドリフトを記憶させ、角速度センサ10の出力からドリフト成分を除去することにより、製造時にドリフトの検査をする必要がなくなる。
また、ドリフト成分を除去するので、早期にブレ補正の精度を向上することができ、ブレ補正効果を向上することができる。
さらに、新たにハードウェアを追加する必要がないため、安価であって故障の少ない装置を提供することができる。
さらにまた、使用者が必要なときに、三脚に取り付けたり安定した所に載置したりして、その場で角速度センサ10のドリフト成分を記憶させることにより、簡単にキャリブレーション(校正)を行うことができる。
【0056】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
本実施形態において、固定判定時は、常にドリフトを記憶させる例を示したが、実際にドリフトが大きいのはセンサの電源を投入した直後なので、例えば、電源投入後、所定の時間だけ記憶させるようにしてもよい。この場合、電源投入後どのくらいの時間をここで言う所定時間とすればよいかが問題となるが、一般に用いられている角速度センサは、電源投入後3〜5秒経過すると、ドリフト成分が少なくなって比較的安定した出力を得られる。したがって、例えば、電源投入後、3〜5秒間だけドリフトを記憶させるようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態において、手持ち判定時は、常にドリフトを減算する例を示したが、実際にドリフトが大きいのはセンサの電源を投入した直後なので、ドリフトが安定するまでの所定時間経過後には、減算するドリフト成分を変更するなどして、ドリフトが安定している時点に応じた処理を行うようにしてもよい。
【0058】
さらに、本実施形態において、支持状態検出部20は、角速度センサ10の出力からカメラの支持状態を検出する例を示したが、これに限らず、例えば、三脚座部分に設けられたスイッチなどにより、カメラが三脚などに固定されていることを検出するようにしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)静止状態判定部が振動検出部を含む装置が静止していると判定しているときに、振動検出信号を記憶する振動検出信号記憶部を備えるので、電源投入直後に使用しても、静止状態の振動検出信号を利用することができ、高精度な振動検出を行うことができる。
【0060】
(2)静止状態判定部が静止していると判定していないときに、振動検出信号記憶部に記憶された記憶信号に基づいて非静止状態における振動検出信号を処理するので、非静止状態において静止状態の振動検出信号を利用することができ、高精度な振動検出を行うことができる。
【0061】
(3)振動検出信号処理部は、振動検出信号から振動検出信号記憶部に記憶された記憶信号に基づいた値を減算する処理を行うので、振動検出部のドリフト成分を除去することができ、高精度な振動検出を行うことができる。
【0062】
(4)振動検出信号記憶部は、電源投入から所定時間経過までの間に振動検出信号を新たに記憶するので、ドリフトが大きい電源投入直後のドリフト成分を効果的に除去することができる。
【0063】
(5)振動検出信号処理部は、電源投入から所定時間の間は、振動検出信号記憶部に記憶された記憶信号に基づいた値を用いて処理を行い、所定時間経過後は、所定時間の終端付近の値に基づいた値又は所定値を用いて処理を行うので、ドリフトの影響が大きい場合と、ドリフト成分の影響が少ない場合、それぞれに最適な振動検出を行うことができる。
【0064】
(6)所定時間は、振動検出部の出力が安定するのに必要な時間以上あるので、ドリフト成分の影響を完全に排除することができ、高精度な振動検出を行うことができる。
【0065】
(7)振動検出信号処理部により処理された振動検出信号に基づいて振動の基準値を演算するので、ドリフト成分の影響を排除した基準値を演算することができ、高精度なブレ補正動作を可能にする精度の高い基準値を得ることができる。
【0066】
(8)振動検出信号記憶部を備えるブレ補正カメラとしたので、高精度なブレ補正動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるブレ補正カメラの実施形態の概要を示すブロック図である。
【図2】本実施形態におけるブレ補正カメラの動作を表すフローチャートである。
【図3】ブレ補正駆動信号演算部30の内部構成を示すブロック図である。
【図4】ブレ補正駆動信号演算部30の演算の流れを示すフローチャートである。
【図5】角速度センサ10のドリフト成分の一例を示すグラフである。
【図6】角速度センサ10の出力に図5に示したドリフト成分が含まれている場合であって、角速度センサ10が手振れによって振動しているときの出力と、そのときの基準値演算結果を併せて示した図である。
【図7】図6に示した角速度センサ10の出力からドリフト成分を除去した後の出力と、そのドリフト成分を除去した後の出力を基に演算した基準値演算結果を併せて示した図である。
【図8】図6及び図7に表示した基準値の誤差の絶対値を求めて示したグラフである。
【図9】振動検出装置を含んだブレ補正装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10,110 角速度センサ
20 支持状態検出部
30 ブレ補正駆動信号演算部
32 ドリフト記憶部
34,122 基準値演算部
36,124 積分部
38 駆動信号出力切り替え部
40 ブレ補正駆動部
50,140 ブレ補正光学系
60 半押しタイマ
70 電源供給部
80 レンズ鏡筒
90 カメラボディ
126 目標駆動位置演算部
128 駆動信号演算部
131 ヨーク
132 マグネット
133 コイル
134 IRED
135 スリット板
136 スリット
137 PSD
138 位置信号
142 鏡筒
SW1 半押しスイッチ
SW2 全押しスイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ等の撮影装置における手振れ等による像ブレを補正するブレ補正装置に用いられる振動検出装置及びブレ補正カメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、振動検出装置を含んだブレ補正装置の基本的な構成を示すブロック図である。この図を用いてブレ補正装置のメカニズムを説明する。
まず、カメラに加えられた振動を角速度センサ110により検出する。角速度センサ110は、通常コリオリ力を検出する圧電振動式角速度センサを用いる。角速度センサ110の出力は、基準値演算部122へ送信される。
【0003】
角速度センサ110の静止時の出力は、温度などの使用条件によって変化する。そのため、事前に静止時の出力値を保持しておいても意味がない。従って、角速度センサ110が使用される段階になったところでその値を何らかの方法で求めなければならない。
しかし、ブレ補正機構を内蔵したカメラ等の光学装置が使用される段階では、既に使用者の手振れによって振動している状態にあることが殆どである。よって、使用段階になったところで角速度センサ110の静止時の出力を直接求めることはできない。
そこで、角速度センサ110の出力の移動平均値、又は、ローパスフィルタにより抽出した低周波成分を角速度センサ110の静止時の出力として振動の基準値とするのが一般的である。
【0004】
基準値演算部122は、角速度センサ110の出力より振動の基準値を演算する。その後、角速度センサ110からの振動検出信号から基準値を減算し、積分部124へ送信する。
【0005】
積分部124は、角速度の単位で表されている振動検出信号を時間積分し、カメラの振れ角度に変換する。
目標駆動位置演算部126は、積分部124から送られてきた振れ角度情報にレンズの焦点距離などの情報を加味し、ブレ補正光学系140を駆動するための目標駆動位置情報を演算する。
この目標駆動位置情報に応じてブレ補正光学系140を動かすために、駆動信号演算部128は、目標駆動位置情報とブレ補正光学系140の位置情報との差をとり、コイル133へ駆動電流を流す。
【0006】
ブレ補正光学系140を動かすためのアクチュエータは、ヨーク131、マグネット132、コイル133から構成されている。コイル133は、ヨーク131とマグネット132により形成される磁気回路内に置かれており、コイル133に電流を流すと、フレミングの左手の法則により、アクチュエータに駆動力が発生する。コイル133は、図9に示すように、ブレ補正光学系140を収めている鏡筒142に取り付けられている。ブレ補正光学系140、及び、鏡筒142は、光軸Iに垂直な方向に動くことができるような構造となっているため、コイル133に電流を流すことによりブレ補正光学系140を光軸Iに直交する方向に駆動させることが可能となる。
【0007】
ブレ補正光学系140の動きは、赤外線発光ダイオード(以下、IRED)134、スリット板135、スリット136、PSD(Position Sensitive Device)137により構成される光学的位置検出装置によりモニタしている。IRED134が発光した光は、まずスリット136を通過することにより、光線の幅を絞られ、PSD137へ到達する。PSD137は、その受光面上の光の位置に応じた信号を出力する素子である。
【0008】
図9に示す通り、スリット板135は、鏡筒142に取り付けられているため、ブレ補正光学系140の動きがスリット板135に設けられたスリット136の動きとなり、PSD137の受光面上の光の動きとなる。従って、PSD137の受光面上の光の位置がブレ補正光学系140の位置と等価となる。PSD137により検出された信号は、位置信号138としてフィードバックされる。
このようなブレ補正装置は、主にカメラなどの撮影装置や双眼鏡などの光学装置に内蔵され、これらの装置が手持ちで使用されているときの使用者の手振れによる像ブレを補正するのに有効である。
【0009】
また、ブレ補正装置が手持ちされている場合と三脚などに固定されている場合とでは、振動の状態が大きく異なる。そこで、各状態において最適な制御をするために、ブレ補正装置が三脚などに固定されているか否か(静止しているか否か)を判定して判定結果を出力する支持状態判定部(静止状態判定部)を備えて、装置の支持状態に合った制御を行う技術が知られている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−38461号公報
【特許文献2】
特開2000−122106号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の装置は、通常、ブレ補正装置が使用される段階になったところ(例えば、カメラの半押し動作)で角速度センサ110に電源が投入される。しかし、角速度センサ110は、電源投入直後は不安定で、電源投入後数秒間は、出力がドリフトする(時間経過により出力オフセット値が変わる)。角速度センサ110の出力にドリフトがあると移動平均やローパスフィルタ出力が本来求めたい値(=角速度センサ静止時の出力)からずれてしまい、それがそのまま誤差となってしまう。その場合、ブレ補正効果が思うように得られないという問題があった。また、最悪の場合かえって像を悪化させてしまったりするという問題があった。
【0012】
本発明の課題は、電源投入直後に使用しても、高精度な振動検出及びブレ補正動作を行うことができる振動検出装置及びブレ補正カメラを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。すなわち、請求項1の発明は、振動を検出して振動検出信号を出力する振動検出部(10)と、前記振動検出部が前記振動検出信号を出力している間、前記振動検出部を含む装置が静止しているか否かを判定して判定結果を出力する静止状態判定部(20)と、前記静止状態判定部が前記振動検出部を含む装置が静止していると判定しているときに、前記振動検出信号を記憶する振動検出信号記憶部(32)と、を備える振動検出装置である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の振動検出装置において、前記静止状態判定部(20)が静止していると判定していないときに、前記振動検出信号記憶部(32)に記憶された記憶信号に基づいて非静止状態における前記振動検出信号を処理する振動検出信号処理部(32,34,S230)を備えること、を特徴とする振動検出装置である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載の振動検出装置において、前記振動検出信号処理部(32,34,S230)は、前記振動検出信号から前記振動検出信号記憶部(32)に記憶された記憶信号に基づいた値を減算する処理を行うこと、を特徴とする振動検出装置である。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、前記振動検出信号記憶部(32)は、電源投入から所定時間経過までの間に前記振動検出信号を新たに記憶すること、を特徴とする振動検出装置である。
【0017】
請求項5の発明は、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、前記振動検出信号処理部(32,34,S230)は、電源投入から前記所定時間の間は、前記振動検出信号記憶部(32)に記憶された記憶信号に基づいた値を用いて処理を行い、前記所定時間経過後は、前記所定時間の終端付近の値に基づいた値又は所定値を用いて処理を行うこと、を特徴とする振動検出装置である。
【0018】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の振動検出装置において、前記所定時間は、前記振動検出部(10)の出力が安定するのに必要な時間以上あること、を特徴とする振動検出装置である。
【0019】
請求項7の発明は、請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、前記振動検出信号処理部(32,34,S230)により処理された前記振動検出信号に基づいて振動の基準値を演算する基準値演算部(34)を備えること、を特徴とする振動検出装置である。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の振動検出装置と、像ブレを補正するブレ補正光学系(50)と、前記ブレ補正光学系を駆動する駆動部(40)と、前記振動検出信号より駆動信号を演算し、演算結果を駆動信号として出力することにより、前記駆動部の駆動を制御する制御部(30)と、を備えたブレ補正カメラである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について、更に詳しく説明する。
図1は、本発明によるブレ補正カメラの実施形態の概要を示すブロック図である。
本実施形態におけるブレ補正カメラは、角速度センサ10,支持状態検出部20,ブレ補正駆動信号演算部30,ブレ補正駆動部40,ブレ補正光学系50,半押しタイマ60,電源供給部70,レンズ鏡筒80,カメラボディ90,半押しスイッチSW1,全押しスイッチSW2等を備えている。
【0022】
角速度センサ10は、カメラに印可された振動を角速度値で検出するセンサであり、角速度センサ10にかかるコリオリ力を利用して角速度を検出し、検出結果を電圧値として出力する振動検出部である。通常は、2軸方向で角速度を検出する必要があるため角速度センサ10は2つ搭載されるが、ここでは簡単のため一軸分のみ示し、もう一方の一軸分は、省略している。角速度センサ10の出力信号は、ブレ補正駆動信号演算部30へ送信される。なお、ここでは図示していないが、通常は、角速度センサ出力を増幅した信号(以下、振動検出信号)をブレ補正駆動信号演算部30に送信する。
また、角速度センサ10は、後述の電源供給部100より電源が供給されている間のみ、角速度の検出が可能となる。
【0023】
支持状態検出部20は、角速度センサ10の出力から、カメラの支持状態(カメラが静止しているか否か)を検出する静止状態検出部である。
支持状態検出部20は、以下の2種類の状態を判別して検出結果として出力する。
固定状態:三脚などの土台に固定されている状態であり、カメラが振動していない状態。
手持ち状態:手持ち、又は、一脚に取り付けての使用状態であり、手振れなどでカメラが振動している状態。
支持状態検出部20におけるカメラの支持状態の検出方法については、後に説明する。
支持状態検出部20の検出結果は、ブレ補正駆動信号演算部30へ送信される。
【0024】
ブレ補正駆動信号演算部30は、角速度センサ10より送信されてきた振動検出信号から、ブレ補正光学系50を駆動するための駆動信号を演算し、駆動を制御する制御部である。
ブレ補正駆動信号演算部30では、最初に角速度センサ10より送信されてきた振動検出信号からドリフト成分を減算する。ブレ補正駆動信号演算部30には、角速度センサ10のドリフト成分を記憶しておくドリフト記憶部32(図3参照)が設けられており、このドリフト記憶部32からの情報に基づいてドリフト成分を減算する。
【0025】
また、ブレ補正駆動信号演算部30には、支持状態検出部20の検出結果を伝えられており、検出結果が固定状態の場合、その時の角速度センサ出力をドリフト成分としてドリフト記憶部32に記憶させる。
【0026】
ブレ補正駆動信号演算部30は、ドリフト成分を減算した後、振動検出信号の基準値を演算する。これは、移動平均やディジタルローパスフィルタを使用するのが一般的である。次に、振動検出信号から基準値を減算し、それを積分することにより角変位信号に変換する。角変位信号に変換した後、レンズの焦点距離などの諸条件によって決まる定数を掛け、角度ブレ量を求める。その後、角度ブレ量から平行ブレ量を抽出し、これらのブレ量からブレ補正光学系50を駆動するための駆動信号を演算して出力する。
なお、このブレ補正駆動信号演算部30の詳細については、後述の図3において説明する。
【0027】
ブレ補正駆動部40は、ブレ補正駆動信号演算部30からのブレ補正駆動信号に基づいて、ブレ補正光学系50を駆動する駆動部である。これには、ブレ補正光学系50を駆動するためのアクチュエータや、ブレ補正光学系50の位置を検出する位置検出センサ等が含まれる。
【0028】
ブレ補正光学系50は、撮影装置の結像光学系に内蔵されており、光軸と略直交する平面内を動くことができる単レンズ、又は、複数枚のレンズより構成されるレンズ群である。ブレ補正光学系50は、ブレ補正駆動部40によって光軸と略直交する方向に駆動され、結像光学系の光軸Iを偏向させる。
【0029】
写真等の像のブレは、手振れ等のカメラに加えられる振動により、露光中に結像面(フィルム面)の像が動いてしまうことにより発生する。しかし、図1に示すようなブレ補正カメラにおいては、角速度センサ10などの振動検出センサが内蔵されており、その振動検出センサにより、カメラに加えられた振動を検出することができる。そして、カメラに加えられた振動が検出されれば、その振動による結像面の像の動きを知ることができるので、結像面上の像の動きが止まるようにブレ補正光学系50を動かすことで、結像面上の像の動き、すなわち像ブレを補正することができる。
【0030】
半押しタイマ60は、カメラの半押しスイッチSW1がONとなったと同時にONとなるタイマである。半押しスイッチSW1が押されている間は、ONのままであり、また、半押しスイッチSW1がOFFとなってからも、一定時間はこの半押しタイマ60はONのままとなっている。
【0031】
電源供給部70は、カメラの半押タイマ60がONの間は、角速度センサ10を始め、カメラ及びレンズ内で電源を必要とする所に電源を供給し続ける。また、半押しタイマ60がOFFの時は、電源の供給を停止する。従って、カメラの半押しタイマがONの間のみ、角速度センサ10によるカメラの振動検出が可能となる。
【0032】
半押しスイッチSW1は、不図示のレリーズボタンの半押し動作に連動してONとなるスイッチである。このスイッチがONとなることにより、不図示の測光部による測光演算、オートフォーカス駆動などが開始される。
【0033】
全押しスイッチSW2は、不図示のレリーズボタンの全押し動作に連動してONとなるスイッチである。このスイッチがONとなることにより、図示しないシャッタ機構によるシャッタの開閉、フィルム巻き上げ機構によるフィルムの巻き上げなど一連の撮影動作が行われる。
【0034】
なお、本実施形態におけるレンズ鏡筒80とカメラボディ90とは、いわゆる一眼レフタイプの形態であるが、本発明を実施するに当たり、レンズ鏡筒80とカメラボディ90とは、一眼レフのような交換式でもよいし、コンパクトカメラのような非交換式でもよい。
【0035】
図2は、本実施形態におけるブレ補正カメラの動作を表すフローチャートである。
ステップ(以下、Sとする)10では、半押しスイッチSW1がONか否かを検出する。半押しスイッチSW1がONの場合はS20へ進み、OFFの場合はS90へ進む。
S20では、半押しタイマ60がOFFか否かを検出する。半押しタイマ60がOFFの場合は、S30へ進み、ONの場合は、S50へ進む。
S30では、半押しタイマ60をONとする。
S40では、角速度センサ10をONとする。
【0036】
S50では、支持状態の検出が行われていないときには支持状態の検出を開始し、既に支持状態の検出が行われている場合には、継続する。
ここで、支持状態検出部20によるカメラの支持状態の検出方法について説明する。
本実施形態における支持状態検出部20は、角速度センサ10の出力値を監視し、この出力値が所定値以上の状態が所定時間以上続いた場合に手持ち状態であると判断する。
また、支持状態検出部20は、角速度センサ10の出力値が所定値以下の状態が所定時間以上続いた場合に固定状態であると判断する。
【0037】
さらに、支持状態検出部20は、レンズ鏡筒80へ電源が供給されてから(カメラの電源がON又は半押しタイマ60がONとなってから)0.3秒間については、上記判断とは関係なく強制的に固定状態であるとして検出結果を出力する。なお、この0.3秒という時間については、0.3〜0.5秒程度の範囲で設定することが望ましい。この電源投入直後の判定を強制的に固定状態とするのは、電源投入直後の角速度センサ10のドリフト成分が非常に大きいことから、正確な判断をすることができず、動作が不安定になることを防止するためである。
なお、支持状態検出部20によるカメラの支持状態の検出方法については、上述の方法に限らず、例えば、電源投入後所定の時間が経過しても角速度センサ10の出力に極値が現れなかったら固定状態であると判断してもよい。
【0038】
S60では、ブレ補正動作が行われていないときにはブレ補正動作を開始し、既にブレ補正動作が行われている場合には、継続する。
S70では、全押しスイッチSW2がONか否かを検出する。全押しスイッチSW2がONの場合にはS80へ進み、OFFの場合にはS10へ戻る。
【0039】
S80では、ミラーのアップ、露光開始及び終了、ミラーのダウン、フィルムの巻き上げなどの一連の撮影動作を行う。
S90では、半押しタイマ60がONであるか否かを判定する。半押しタイマ60がONである場合には、S50へ進み、OFFである場合にはS100へ進む。
S100では、ブレ補正光学系50の駆動を停止する。
S110では、ブレ補正光学系50駆動信号等の演算を停止する。
S120では、角速度センサ10をOFFとして、S10へ戻る。
【0040】
図3は、ブレ補正駆動信号演算部30の内部構成を示すブロック図である。
ブレ補正駆動信号演算部30は、ドリフト記憶部32,基準値演算部34,積分部36,駆動信号出力切り替え部38等を有している。
【0041】
ドリフト記憶部32は、角速度センサ10のドリフト成分を記憶しておく振動検出信号記憶部であるとともに、振動検出信号からこのドリフト記憶部32に記憶されたドリフト成分を減算する振動検出信号処理部の役割も果たしている。
ドリフト記憶部32は、支持状態検出部20からの情報を受け取り、固定判定であればその時の角速度センサ出力をドリフト成分として記憶する。
【0042】
なお、上述したように電源投入から0.3秒までは、強制的に固定判定となっているので、電源投入直後のドリフト記憶部32は、角速度センサ出力を仮に記憶する。そして、0.3秒経過後も固定判定であれば、ドリフト記憶部32は、角速度センサ出力をドリフト成分として記憶する。この逆に0.3秒経過後に手持ち判定であるとなった場合には、ドリフト記憶部32は、仮に記憶していた角速度センサ出力を消去してしまい、以前にドリフト成分として記憶しておいた角速度センサ出力を更新しないで保持する。
【0043】
支持状態検出部20から受け取った情報が手持ち判定であれば、記憶しておいたドリフト成分を角速度センサ出力から差し引いてドリフト成分を除去する。ドリフト成分を除去することにより、次の基準値演算の精度が上がり、結果としてブレ補正効果を向上することができる。
【0044】
基準値演算部34は、振れ(振動)の基準となる基準値を角速度センサ出力から演算する。この基準値の演算は、角速度センサ10が完全に静止したと仮定した時の出力を算出することが主な目的である。振れの基準値演算は、角速度センサ出力の移動平均値を使用したり、センサ出力の低周波成分を抽出して使用したりするのが一般的である。
【0045】
積分部36は、角速度センサ10から基準値を引いた信号を積分して角度振れ量に変換し、さらに被写体距離や焦点距離に依存する定数をかけ、ブレ補正光学系50を駆動させるための駆動信号を演算する部分である。
【0046】
駆動信号出力切り替え部38は、支持状態検出部20の検出結果に応じて出力する駆動信号を切り替える部分である。手持ち判定時は、積分部36で演算された駆動信号を出力するようにするので、ブレ補正光学系50が駆動される。
一方、固定判定時は、駆動信号を0にして出力するので、ブレ補正光学系50は、定位置制御されてブレ補正動作が停止する。
なお、固定判定時はドリフト記憶部32が、その時の角速度センサ10の出力をドリフト成分として記憶すると同時に、角速度センサ10の出力からドリフト成分を減算しているため、センサ出力は0となる。つまり、実質的にはブレ補正動作が停止するため、駆動信号切り替え部38は、省くことも可能である。
【0047】
図4は、ブレ補正駆動信号演算部30の演算の流れを示すフローチャートである。
S200では、支持状態検出部20の支持状態判定結果をモニタする。固定状態判定であればS210へ進み、手持ち状態判定であればS230へ進む。
S210では、支持状態検出部20の支持状態判定結果が固定状態判定であれば角速センサ10は静止していると考えられるので、このときの角速度センサ出力=ドリフト成分と見なすことができる。よって、このステップでは角速度センサ出力をドリフト成分として記憶する。
【0048】
S220では、固定判定なので駆動信号出力切り替え部38は駆動信号を0として出力する。このようにすることによりブレ補正動作が停止する。
S230では、角速度センサ出力に含まれるドリフト成分を除去するため、ドリフト記憶部32に記憶されたドリフト成分を角速度センサ出力から減算する。このS230における減算処理が、振動検出信号処理部としての処理となる。
S240では、ドリフト成分を除去した角速度センサ出力を元に基準値を演算する。
S250では、角速度センサ出力からS240で演算した基準値を減算し、さらに被写体距離や焦点距離などに依存する定数をかけてブレ補正光学系50を駆動するための駆動信号を演算する。
【0049】
ここで、ドリフト記憶部32に記憶されたドリフト成分を角速度センサ出力から減算することが、ブレ補正動作にどのように影響するのかを説明する。
図5は、角速度センサ10のドリフト成分の一例を示すグラフである。
図5中で、時間=0の位置が角速度センサ10に電源が投入された時間である。電源投入直後は、出力の変動が大きいが、時間の経過とともに変動が小さくなり、最終的には所定の値に落ち着くことが判る。
【0050】
図6は、角速度センサ10の出力に図5に示したドリフト成分が含まれている場合であって、角速度センサ10が手振れ(ここでは正弦波としている)によって振動しているときの出力(破線)と、そのときの基準値演算結果(実線)を併せて示した図である。
ドリフト成分が含まれていることから、正弦波で振動している場合であっても、角速度センサ10からの出力が全体的に上昇するように変動しており、これにより、基準値演算結果も同様に変動している。
【0051】
図7は、図6に示した角速度センサ10の出力からドリフト成分を除去した後の出力と、そのドリフト成分を除去した後の出力を基に演算した基準値演算結果を併せて示した図である。
この場合、ドリフト成分を除去しているので、出力が安定し、基準値もすぐに安定している。
【0052】
図8は、図6及び図7に表示した基準値の誤差の絶対値を求めて示したグラフである。
ドリフト成分を含む図6の場合の誤差(実線)は、角速度センサ10のドリフトが安定するまで大きく変動し、誤差が所定の値以下に落ち着くまでに時間を要している。一方、ドリフト成分を含まない図7の場合の誤差(破線)は、ドリフト成分がある場合と比べて短時間で安定している。従って、ドリフト成分を除去することにより、早期にブレ補正の精度を向上することができ、早期に効果的なブレ補正を行うことができる。
【0053】
図5に示した角速度センサ10のドリフトのパターンは、センサが違えばパターンは異なるが、1つのセンサに注目すれば、極端に大きい差はない。
また、上述のように、手振れ信号が含まれる角速度センサ出力からドリフト成分を引くことにより、ブレ補正の精度を向上することができる。
最近のブレ補正装置には、装置の固定状態を検出する機能が内蔵されてきている。これは、装置が三脚などの土台に固定されているか、手持ちで使用されているかを見分ける機能である。
【0054】
したがって、支持状態の検出結果が三脚などに固定となっている場合、その時の角速度センサ出力をモニタすれば、それが角速度センサ10のドリフトパターンとなり、メモリなどと組み合わせれば、新たに部品を追加することなく、ドリフトパターンをある程度記憶することができる。
そこで、本実施形態では、支持状態の検出とドリフトパターンの記憶とを組み合わせ、精度の高いブレ補正を行えるようにした。
【0055】
本実施形態によれば、支持状態判定結果に応じて角速度センサ10のドリフトを記憶させ、角速度センサ10の出力からドリフト成分を除去することにより、製造時にドリフトの検査をする必要がなくなる。
また、ドリフト成分を除去するので、早期にブレ補正の精度を向上することができ、ブレ補正効果を向上することができる。
さらに、新たにハードウェアを追加する必要がないため、安価であって故障の少ない装置を提供することができる。
さらにまた、使用者が必要なときに、三脚に取り付けたり安定した所に載置したりして、その場で角速度センサ10のドリフト成分を記憶させることにより、簡単にキャリブレーション(校正)を行うことができる。
【0056】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
本実施形態において、固定判定時は、常にドリフトを記憶させる例を示したが、実際にドリフトが大きいのはセンサの電源を投入した直後なので、例えば、電源投入後、所定の時間だけ記憶させるようにしてもよい。この場合、電源投入後どのくらいの時間をここで言う所定時間とすればよいかが問題となるが、一般に用いられている角速度センサは、電源投入後3〜5秒経過すると、ドリフト成分が少なくなって比較的安定した出力を得られる。したがって、例えば、電源投入後、3〜5秒間だけドリフトを記憶させるようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態において、手持ち判定時は、常にドリフトを減算する例を示したが、実際にドリフトが大きいのはセンサの電源を投入した直後なので、ドリフトが安定するまでの所定時間経過後には、減算するドリフト成分を変更するなどして、ドリフトが安定している時点に応じた処理を行うようにしてもよい。
【0058】
さらに、本実施形態において、支持状態検出部20は、角速度センサ10の出力からカメラの支持状態を検出する例を示したが、これに限らず、例えば、三脚座部分に設けられたスイッチなどにより、カメラが三脚などに固定されていることを検出するようにしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)静止状態判定部が振動検出部を含む装置が静止していると判定しているときに、振動検出信号を記憶する振動検出信号記憶部を備えるので、電源投入直後に使用しても、静止状態の振動検出信号を利用することができ、高精度な振動検出を行うことができる。
【0060】
(2)静止状態判定部が静止していると判定していないときに、振動検出信号記憶部に記憶された記憶信号に基づいて非静止状態における振動検出信号を処理するので、非静止状態において静止状態の振動検出信号を利用することができ、高精度な振動検出を行うことができる。
【0061】
(3)振動検出信号処理部は、振動検出信号から振動検出信号記憶部に記憶された記憶信号に基づいた値を減算する処理を行うので、振動検出部のドリフト成分を除去することができ、高精度な振動検出を行うことができる。
【0062】
(4)振動検出信号記憶部は、電源投入から所定時間経過までの間に振動検出信号を新たに記憶するので、ドリフトが大きい電源投入直後のドリフト成分を効果的に除去することができる。
【0063】
(5)振動検出信号処理部は、電源投入から所定時間の間は、振動検出信号記憶部に記憶された記憶信号に基づいた値を用いて処理を行い、所定時間経過後は、所定時間の終端付近の値に基づいた値又は所定値を用いて処理を行うので、ドリフトの影響が大きい場合と、ドリフト成分の影響が少ない場合、それぞれに最適な振動検出を行うことができる。
【0064】
(6)所定時間は、振動検出部の出力が安定するのに必要な時間以上あるので、ドリフト成分の影響を完全に排除することができ、高精度な振動検出を行うことができる。
【0065】
(7)振動検出信号処理部により処理された振動検出信号に基づいて振動の基準値を演算するので、ドリフト成分の影響を排除した基準値を演算することができ、高精度なブレ補正動作を可能にする精度の高い基準値を得ることができる。
【0066】
(8)振動検出信号記憶部を備えるブレ補正カメラとしたので、高精度なブレ補正動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるブレ補正カメラの実施形態の概要を示すブロック図である。
【図2】本実施形態におけるブレ補正カメラの動作を表すフローチャートである。
【図3】ブレ補正駆動信号演算部30の内部構成を示すブロック図である。
【図4】ブレ補正駆動信号演算部30の演算の流れを示すフローチャートである。
【図5】角速度センサ10のドリフト成分の一例を示すグラフである。
【図6】角速度センサ10の出力に図5に示したドリフト成分が含まれている場合であって、角速度センサ10が手振れによって振動しているときの出力と、そのときの基準値演算結果を併せて示した図である。
【図7】図6に示した角速度センサ10の出力からドリフト成分を除去した後の出力と、そのドリフト成分を除去した後の出力を基に演算した基準値演算結果を併せて示した図である。
【図8】図6及び図7に表示した基準値の誤差の絶対値を求めて示したグラフである。
【図9】振動検出装置を含んだブレ補正装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10,110 角速度センサ
20 支持状態検出部
30 ブレ補正駆動信号演算部
32 ドリフト記憶部
34,122 基準値演算部
36,124 積分部
38 駆動信号出力切り替え部
40 ブレ補正駆動部
50,140 ブレ補正光学系
60 半押しタイマ
70 電源供給部
80 レンズ鏡筒
90 カメラボディ
126 目標駆動位置演算部
128 駆動信号演算部
131 ヨーク
132 マグネット
133 コイル
134 IRED
135 スリット板
136 スリット
137 PSD
138 位置信号
142 鏡筒
SW1 半押しスイッチ
SW2 全押しスイッチ
Claims (8)
- 振動を検出して振動検出信号を出力する振動検出部と、
前記振動検出部が前記振動検出信号を出力している間、前記振動検出部を含む装置が静止しているか否かを判定して判定結果を出力する静止状態判定部と、
前記静止状態判定部が前記振動検出部を含む装置が静止していると判定しているときに、前記振動検出信号を記憶する振動検出信号記憶部と、
を備える振動検出装置。 - 請求項1に記載の振動検出装置において、
前記静止状態判定部が静止していると判定していないときに、前記振動検出信号記憶部に記憶された記憶信号に基づいて非静止状態における前記振動検出信号を処理する振動検出信号処理部を備えること、
を特徴とする振動検出装置。 - 請求項2に記載の振動検出装置において、
前記振動検出信号処理部は、前記振動検出信号から前記振動検出信号記憶部に記憶された記憶信号に基づいた値を減算する処理を行うこと、
を特徴とする振動検出装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、
前記振動検出信号記憶部は、電源投入から所定時間経過までの間に前記振動検出信号を新たに記憶すること、
を特徴とする振動検出装置。 - 請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、
前記振動検出信号処理部は、電源投入から前記所定時間の間は、前記振動検出信号記憶部に記憶された記憶信号に基づいた値を用いて処理を行い、前記所定時間経過後は、前記所定時間の終端付近の値に基づいた値又は所定値を用いて処理を行うこと、
を特徴とする振動検出装置。 - 請求項4又は請求項5に記載の振動検出装置において、
前記所定時間は、前記振動検出部の出力が安定するのに必要な時間以上あること、
を特徴とする振動検出装置。 - 請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の振動検出装置において、
前記振動検出信号処理部により処理された前記振動検出信号に基づいて振動の基準値を演算する基準値演算部を備えること、
を特徴とする振動検出装置。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の振動検出装置と、
像ブレを補正するブレ補正光学系と、
前記ブレ補正光学系を駆動する駆動部と、
前記振動検出信号より駆動信号を演算し、演算結果を駆動信号として出力することにより、前記駆動部の駆動を制御する制御部と、
を備えたブレ補正カメラ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
- 2003-01-23 JP JP2003014444A patent/JP2004226692A/ja active Pending
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