JPH11229068A - 耐摩耗性にすぐれた炭窒化チタン系サーメット製切削工具 - Google Patents
耐摩耗性にすぐれた炭窒化チタン系サーメット製切削工具Info
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- JPH11229068A JPH11229068A JP2707598A JP2707598A JPH11229068A JP H11229068 A JPH11229068 A JP H11229068A JP 2707598 A JP2707598 A JP 2707598A JP 2707598 A JP2707598 A JP 2707598A JP H11229068 A JPH11229068 A JP H11229068A
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- titanium carbonitride
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- cutting tool
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐摩耗性にすぐれた炭窒化チタン系サーメッ
ト製切削工具を提供する。 【解決手段】 炭窒化チタン系サーメット製切削工具
を、顕微鏡断面組織観察で、有芯構造を有し、これの芯
部がTiCNで構成され、その周辺部が(Ti,M)C
N(ただし、MはTa、Nb、W、およびMoのうちの
1種以上を示す)で構成され、かつこの有芯構造全体に
亘って50nm以下の粒径を有するCoおよび/または
Niを主成分とする超微粒合金粒子が分散分布した組織
を有する第一硬質分散相:63〜97面積%、TiCN
中に50nm以下の粒径を有するCoおよび/またはN
iを主成分とする超微粒合金粒子が分散分布した組織を
有する第二硬質分散相:0.1〜30面積%、の割合を
示し、残りが、Coおよび/またはNiを主成分とする
結合相と不可避不純物からなる組成を有し、Coおよび
/またはNiの全含有量が3〜7重量%である炭窒化チ
タン系サーメットで構成する。
ト製切削工具を提供する。 【解決手段】 炭窒化チタン系サーメット製切削工具
を、顕微鏡断面組織観察で、有芯構造を有し、これの芯
部がTiCNで構成され、その周辺部が(Ti,M)C
N(ただし、MはTa、Nb、W、およびMoのうちの
1種以上を示す)で構成され、かつこの有芯構造全体に
亘って50nm以下の粒径を有するCoおよび/または
Niを主成分とする超微粒合金粒子が分散分布した組織
を有する第一硬質分散相:63〜97面積%、TiCN
中に50nm以下の粒径を有するCoおよび/またはN
iを主成分とする超微粒合金粒子が分散分布した組織を
有する第二硬質分散相:0.1〜30面積%、の割合を
示し、残りが、Coおよび/またはNiを主成分とする
結合相と不可避不純物からなる組成を有し、Coおよび
/またはNiの全含有量が3〜7重量%である炭窒化チ
タン系サーメットで構成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、すぐれた耐摩耗
性を有し、例えば鋼の切削を切削速度が500m/mi
nを越える高速で行っても、すぐれた切削性能を長期に
亘って発揮する炭窒化チタン系サーメット製切削工具
(以下、サーメット工具と云う)に関するものである。
性を有し、例えば鋼の切削を切削速度が500m/mi
nを越える高速で行っても、すぐれた切削性能を長期に
亘って発揮する炭窒化チタン系サーメット製切削工具
(以下、サーメット工具と云う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開平6−299281号
公報に示されるように、顕微鏡断面組織観察で、有芯構
造を有し、これの芯部がTiCNで構成され、その周辺
部がTiと、Ta、Nb、W、およびMo(以下、これ
らを総称して「M」で表わす)のうちの1種以上との複
合炭窒化物[以下、(Ti,M)CNで示す]で構成さ
れた第一硬質分散相:40〜95面積%、単一相構造の
炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)からなる第二硬
質分散相:0.1〜30面積%、の割合を示し、残り
が、Coおよび/またはNiを主成分とする結合相と不
可避不純物物からなる組成を有し、Coおよび/または
Niの全含有量が8〜30重量%である炭窒化チタン系
サーメット(以下、単にサーメットと云う)で構成され
たサーメット工具が知られており、これが主に鋼などの
連続切削や断続切削に用いられることも良く知られると
ころである。
公報に示されるように、顕微鏡断面組織観察で、有芯構
造を有し、これの芯部がTiCNで構成され、その周辺
部がTiと、Ta、Nb、W、およびMo(以下、これ
らを総称して「M」で表わす)のうちの1種以上との複
合炭窒化物[以下、(Ti,M)CNで示す]で構成さ
れた第一硬質分散相:40〜95面積%、単一相構造の
炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)からなる第二硬
質分散相:0.1〜30面積%、の割合を示し、残り
が、Coおよび/またはNiを主成分とする結合相と不
可避不純物物からなる組成を有し、Coおよび/または
Niの全含有量が8〜30重量%である炭窒化チタン系
サーメット(以下、単にサーメットと云う)で構成され
たサーメット工具が知られており、これが主に鋼などの
連続切削や断続切削に用いられることも良く知られると
ころである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の切削装置
の高性能化および高出力化はめざましく、かつ切削加工
の省力化および省エネ化に対する要求も強く、これに伴
い、切削は高速化の傾向を強め、500m/minを越
えた切削速度での切削加工を行う傾向にあるが、上記の
従来サーメット工具をこのような高速切削に用いると切
刃の摩耗進行が速く、この結果比較的短時間で使用寿命
に至るのが現状である。
の高性能化および高出力化はめざましく、かつ切削加工
の省力化および省エネ化に対する要求も強く、これに伴
い、切削は高速化の傾向を強め、500m/minを越
えた切削速度での切削加工を行う傾向にあるが、上記の
従来サーメット工具をこのような高速切削に用いると切
刃の摩耗進行が速く、この結果比較的短時間で使用寿命
に至るのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、上記の従来サーメット工具に着
目し、これの耐摩耗性向上を図るべく研究を行った結
果、 (a)一般にサーメット工具の耐摩耗性を向上させるに
は、結合相の主成分であるCoおよび/またはNiの含
有量を相対的に低くする必要があるが、上記従来サーメ
ット工具のCoおよびNiの含有量である8〜30重量
%を8重量%未満に低減すると焼結性が著しく低下し、
所定の強度を得ることができず、通常の条件での切削加
工でも切刃に欠けやチッピングが発生し、短い使用寿命
しか示さないこと。 (b)しかし、サーメット工具におけるCoおよびNi
を結合相にだけ存在させるのではなく、これをサーメッ
ト工具を構成する第一硬質分散相および第二硬質分散相
の内部にも分散分布した状態で存在させると、前記両硬
質分散相自体の焼結性が向上することから、サーメット
工具は、Coおよび/またはNiの全含有量を8重量%
未満に低減しても、Coおよび/またはNiを8〜30
重量%含有した場合と変わらない所定の強度をもつよう
になること。 (c)上記硬質分散相および第二硬質分散相の内部にも
Coおよび/またはNiが分散分布したサーメット工具
は、従来サーメット工具の製造に際して、原料粉末とし
て使用されているTiCN粉末、さらにCo粉末および
/またはNi粉末にかわって、基本的に、いずれも所定
割合の酸化チタン(以下、TiO2 で示す)粉末とカー
ボンブラック(以下、C.B.で示す)粉末に、例えば
Co源としての硝酸コバルトおよび/またはNi源とし
ての硝酸ニッケルを溶解させた蒸留水を溶媒として加え
て混合し、乾燥した後、成形し、これに、例えば窒素雰
囲気中、1750℃に4時間30分保持した後、200
0℃に昇温し、この温度に30分間保持の条件で製造し
たTiCNとCoおよび/またはNiの混合組織を有す
る複合粉末を原料粉末として用いることによって製造で
き、この結果製造されたサーメット工具は、これを構成
するサーメットの上記第一硬質分散相および第二硬質分
散相中に、顕微鏡断面組織観察で50nm以下の粒径を
もったCoおよび/またはNiを主成分とする超微粒合
金粒子が分散分布した組織をもつようになり、耐摩耗性
を向上させる目的で、Coおよび/またはNiの全含有
量を3〜7重量%に低減しても通常の条件は勿論のこ
と、高速切削でも切刃に欠けやチッピングの発生なく、
すぐれた切削性能を長期に亘って発揮するようになるこ
と。 以上(a)〜(c)に示される研究結果を得たのであ
る。
上述のような観点から、上記の従来サーメット工具に着
目し、これの耐摩耗性向上を図るべく研究を行った結
果、 (a)一般にサーメット工具の耐摩耗性を向上させるに
は、結合相の主成分であるCoおよび/またはNiの含
有量を相対的に低くする必要があるが、上記従来サーメ
ット工具のCoおよびNiの含有量である8〜30重量
%を8重量%未満に低減すると焼結性が著しく低下し、
所定の強度を得ることができず、通常の条件での切削加
工でも切刃に欠けやチッピングが発生し、短い使用寿命
しか示さないこと。 (b)しかし、サーメット工具におけるCoおよびNi
を結合相にだけ存在させるのではなく、これをサーメッ
ト工具を構成する第一硬質分散相および第二硬質分散相
の内部にも分散分布した状態で存在させると、前記両硬
質分散相自体の焼結性が向上することから、サーメット
工具は、Coおよび/またはNiの全含有量を8重量%
未満に低減しても、Coおよび/またはNiを8〜30
重量%含有した場合と変わらない所定の強度をもつよう
になること。 (c)上記硬質分散相および第二硬質分散相の内部にも
Coおよび/またはNiが分散分布したサーメット工具
は、従来サーメット工具の製造に際して、原料粉末とし
て使用されているTiCN粉末、さらにCo粉末および
/またはNi粉末にかわって、基本的に、いずれも所定
割合の酸化チタン(以下、TiO2 で示す)粉末とカー
ボンブラック(以下、C.B.で示す)粉末に、例えば
Co源としての硝酸コバルトおよび/またはNi源とし
ての硝酸ニッケルを溶解させた蒸留水を溶媒として加え
て混合し、乾燥した後、成形し、これに、例えば窒素雰
囲気中、1750℃に4時間30分保持した後、200
0℃に昇温し、この温度に30分間保持の条件で製造し
たTiCNとCoおよび/またはNiの混合組織を有す
る複合粉末を原料粉末として用いることによって製造で
き、この結果製造されたサーメット工具は、これを構成
するサーメットの上記第一硬質分散相および第二硬質分
散相中に、顕微鏡断面組織観察で50nm以下の粒径を
もったCoおよび/またはNiを主成分とする超微粒合
金粒子が分散分布した組織をもつようになり、耐摩耗性
を向上させる目的で、Coおよび/またはNiの全含有
量を3〜7重量%に低減しても通常の条件は勿論のこ
と、高速切削でも切刃に欠けやチッピングの発生なく、
すぐれた切削性能を長期に亘って発揮するようになるこ
と。 以上(a)〜(c)に示される研究結果を得たのであ
る。
【0005】この発明は、上記の研究結果に基づいて成
されたものであって、顕微鏡断面組織観察で、有芯構造
を有し、これの芯部がTiCNで構成され、その周辺部
が(Ti,M)CNで構成され、かつこの有芯構造全体
に亘って50nm以下の粒径を有するCoおよび/また
はNiを主成分とする超微粒合金粒子が分散分布した組
織を有する第一硬質分散相:63〜97面積%、TiC
N中に50nm以下の粒径を有するCoおよび/または
Niを主成分とする超微粒合金粒子が分散分布した組織
を有する第二硬質分散相:0.1〜30面積%、の割合
を示し、残りが、Coおよび/またはNiを主成分とす
る結合相と不可避不純物からなる組成を有し、Coおよ
び/またはNiの全含有量が3〜7重量%であるサーメ
ットで構成してなる、耐摩耗性にすぐれたサーメット工
具に特徴を有するものである。
されたものであって、顕微鏡断面組織観察で、有芯構造
を有し、これの芯部がTiCNで構成され、その周辺部
が(Ti,M)CNで構成され、かつこの有芯構造全体
に亘って50nm以下の粒径を有するCoおよび/また
はNiを主成分とする超微粒合金粒子が分散分布した組
織を有する第一硬質分散相:63〜97面積%、TiC
N中に50nm以下の粒径を有するCoおよび/または
Niを主成分とする超微粒合金粒子が分散分布した組織
を有する第二硬質分散相:0.1〜30面積%、の割合
を示し、残りが、Coおよび/またはNiを主成分とす
る結合相と不可避不純物からなる組成を有し、Coおよ
び/またはNiの全含有量が3〜7重量%であるサーメ
ットで構成してなる、耐摩耗性にすぐれたサーメット工
具に特徴を有するものである。
【0006】つぎに、この発明のサーメット工具におい
て、これを構成するサーメットの組成を上記の通りに限
定した理由を説明する。 (a)第一硬質分散相 第一硬質分散相の周辺部を構成する(Ti,M)CN
は、TiCNにM成分を固溶させたものからなるので、
TiCNのもつ高硬度に比して硬さは低いが高靭性をも
つものであり、したがって第一硬質分散相の含有によっ
てサーメット工具は、芯部による高硬度を保持した状態
で靭性が向上したものになり、この結果切削工具に高靭
性が要求される断続切削や、高切り込みおよび高送りな
どの重切削に際しても切刃に欠けやチッピング(微小欠
け)などが発生するのが抑制されるようになるが、その
割合が63面積%未満では、第一硬質分散相によっても
たらされる作用を十分に発揮することができず、一方そ
の割合が97面積%を越えると耐摩耗性に低下傾向が現
れるようになることから、その割合を63〜97面積
%、望ましくは75〜90面積%と定めた。
て、これを構成するサーメットの組成を上記の通りに限
定した理由を説明する。 (a)第一硬質分散相 第一硬質分散相の周辺部を構成する(Ti,M)CN
は、TiCNにM成分を固溶させたものからなるので、
TiCNのもつ高硬度に比して硬さは低いが高靭性をも
つものであり、したがって第一硬質分散相の含有によっ
てサーメット工具は、芯部による高硬度を保持した状態
で靭性が向上したものになり、この結果切削工具に高靭
性が要求される断続切削や、高切り込みおよび高送りな
どの重切削に際しても切刃に欠けやチッピング(微小欠
け)などが発生するのが抑制されるようになるが、その
割合が63面積%未満では、第一硬質分散相によっても
たらされる作用を十分に発揮することができず、一方そ
の割合が97面積%を越えると耐摩耗性に低下傾向が現
れるようになることから、その割合を63〜97面積
%、望ましくは75〜90面積%と定めた。
【0007】(b)第二硬質分散相 第二硬質分散相には、これを構成するTiCNのもつ高
硬度によってサーメット工具の耐摩耗性を向上させる作
用があるが、その割合が0.1面積%未満では、所望の
耐摩耗性向上効果が得られず、一方その割合が30面積
%を越えると靭性が急激に低下するようになることか
ら、その割合を0.1〜30面積%、望ましくは5〜2
0面積%と定めた。
硬度によってサーメット工具の耐摩耗性を向上させる作
用があるが、その割合が0.1面積%未満では、所望の
耐摩耗性向上効果が得られず、一方その割合が30面積
%を越えると靭性が急激に低下するようになることか
ら、その割合を0.1〜30面積%、望ましくは5〜2
0面積%と定めた。
【0008】(c)CoおよびNi これらの成分は、焼結性を向上させ、もってサーメット
工具に所定の強度を確保するのに不可欠の成分である
が、その含有量が3重量%未満では、これらの成分が上
記の通り第一硬質分散相および第二硬質分散相中に超微
粒合金粒子として分散分布しても十分な焼結性を確保す
ることができず、一方その含有量が7重量%を越える
と、特に高速切削で急激な耐摩耗性低下をきたすように
なることから、その含有量を3〜7重量%と定めた。さ
らに、第一硬質分散相および第二硬質分散相中に分散分
布する超微粒合金粒子の粒径および分布密度は、上記の
TiCNとCoおよび/またはNiの混合組織を有する
複合粉末の製造に際して、これに用いられるTiO2 粉
末とC.B.粉末の平均粒径、並びにその製造条件を調
整することにより制御されるが、いずれの場合でも粒径
が50nmを越えた超微粒合金粒子が存在するようにな
ると、硬さが低下し、耐摩耗性低下が避けられなくなる
ことから、超微粒子の粒径を50nm以下とした。
工具に所定の強度を確保するのに不可欠の成分である
が、その含有量が3重量%未満では、これらの成分が上
記の通り第一硬質分散相および第二硬質分散相中に超微
粒合金粒子として分散分布しても十分な焼結性を確保す
ることができず、一方その含有量が7重量%を越える
と、特に高速切削で急激な耐摩耗性低下をきたすように
なることから、その含有量を3〜7重量%と定めた。さ
らに、第一硬質分散相および第二硬質分散相中に分散分
布する超微粒合金粒子の粒径および分布密度は、上記の
TiCNとCoおよび/またはNiの混合組織を有する
複合粉末の製造に際して、これに用いられるTiO2 粉
末とC.B.粉末の平均粒径、並びにその製造条件を調
整することにより制御されるが、いずれの場合でも粒径
が50nmを越えた超微粒合金粒子が存在するようにな
ると、硬さが低下し、耐摩耗性低下が避けられなくなる
ことから、超微粒子の粒径を50nm以下とした。
【0009】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明のサーメット工
具を実施例により具体的に説明する。まず、平均粒径:
1.4μmのTiO2 粉末と同0.1μmのC.B.粉
末、さらに溶媒として所定量の硝酸コバルト[Co(N
O3 )2 ・6H2 O]および/または硝酸ニッケル[N
i(NO3 )2 ・6H2 O]を溶解した蒸留水を用意
し、これらTiO2 粉末とC.B.粉末、さらに溶媒を
所定の配合割合でボールミル中に装入し、72時間湿式
混合し、乾燥した後、窒素雰囲気中、1750℃に4時
間30分保持した後、2000℃に昇温し、この温度に
30分間保持の条件で表1に示される組成および平均粒
径を有するTiCNとCoおよび/またはNiの混合組
織を有する複合粉末A〜Eを原料粉末としてそれぞれ製
造した。
具を実施例により具体的に説明する。まず、平均粒径:
1.4μmのTiO2 粉末と同0.1μmのC.B.粉
末、さらに溶媒として所定量の硝酸コバルト[Co(N
O3 )2 ・6H2 O]および/または硝酸ニッケル[N
i(NO3 )2 ・6H2 O]を溶解した蒸留水を用意
し、これらTiO2 粉末とC.B.粉末、さらに溶媒を
所定の配合割合でボールミル中に装入し、72時間湿式
混合し、乾燥した後、窒素雰囲気中、1750℃に4時
間30分保持した後、2000℃に昇温し、この温度に
30分間保持の条件で表1に示される組成および平均粒
径を有するTiCNとCoおよび/またはNiの混合組
織を有する複合粉末A〜Eを原料粉末としてそれぞれ製
造した。
【0010】さらに、原料粉末として、いずれも0.5
〜2.0μmの範囲内の所定の平均粒径を有するTaC
粉末、NbC粉末、WC粉末、Mo2 C粉末、黒鉛
(C)粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これ
らの原料粉末を、上記の複合粉末A〜Eのそれぞれに、
表2に示される割合で配合し、ボールミルで24時間湿
式混合粉砕し、乾燥した後、1ton/cm2 の圧力で
圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を以下の条件、すな
わち室温から1300℃までを0.05Torrの真空
雰囲気中、2℃/minの昇温速度で昇温し、1300
℃に昇温後、雰囲気を10Torrの窒素雰囲気にかえ
て同じ昇温速度で1380〜1460℃の範囲内の所定
の温度まで昇温し、前記焼結温度に昇温後、窒素雰囲気
を0.5〜30Torrの範囲内の所定の圧力に調整し
た上で、60分間保持し、引き続いて真空雰囲気で炉冷
する条件で焼結することにより、ISO規格CNMG1
20408のスローアウエイチップ形状をもった本発明
サーメット工具1〜7をそれぞれ製造した。また、比較
の目的で、原料粉末として、上記の複合粉末A〜Eの代
わりに、平均粒径:1.5μmのTiCN粉末、同1.
2μmのCo粉末、および同1.4μmのNi粉末を用
い、これら原料粉末を表2に示される配合組成に配合す
る以外は、同一の条件で従来サーメット工具1〜7をそ
れぞれ製造した。
〜2.0μmの範囲内の所定の平均粒径を有するTaC
粉末、NbC粉末、WC粉末、Mo2 C粉末、黒鉛
(C)粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これ
らの原料粉末を、上記の複合粉末A〜Eのそれぞれに、
表2に示される割合で配合し、ボールミルで24時間湿
式混合粉砕し、乾燥した後、1ton/cm2 の圧力で
圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を以下の条件、すな
わち室温から1300℃までを0.05Torrの真空
雰囲気中、2℃/minの昇温速度で昇温し、1300
℃に昇温後、雰囲気を10Torrの窒素雰囲気にかえ
て同じ昇温速度で1380〜1460℃の範囲内の所定
の温度まで昇温し、前記焼結温度に昇温後、窒素雰囲気
を0.5〜30Torrの範囲内の所定の圧力に調整し
た上で、60分間保持し、引き続いて真空雰囲気で炉冷
する条件で焼結することにより、ISO規格CNMG1
20408のスローアウエイチップ形状をもった本発明
サーメット工具1〜7をそれぞれ製造した。また、比較
の目的で、原料粉末として、上記の複合粉末A〜Eの代
わりに、平均粒径:1.5μmのTiCN粉末、同1.
2μmのCo粉末、および同1.4μmのNi粉末を用
い、これら原料粉末を表2に示される配合組成に配合す
る以外は、同一の条件で従来サーメット工具1〜7をそ
れぞれ製造した。
【0011】この結果得られた各種のサーメット工具に
ついて、ロックウエル硬さ(Aスケール)を測定し、ま
た、その任意断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて組
織観察し、第一硬質分散相と第二硬質分散相の割合を画
像解析により測定した。さらに透過型電子顕微鏡(TE
M)を用い、35万倍の倍率にて前記第一硬質分散相お
よび第二硬質分散相の超微粒合金粒子の有無を観察し、
超微粒合金粒子が存在する場合は最大粒径を測定すると
共に、これを構成する主体成分をエネルギー分散型X線
分光装置(EDS)を用いて判定した。
ついて、ロックウエル硬さ(Aスケール)を測定し、ま
た、その任意断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて組
織観察し、第一硬質分散相と第二硬質分散相の割合を画
像解析により測定した。さらに透過型電子顕微鏡(TE
M)を用い、35万倍の倍率にて前記第一硬質分散相お
よび第二硬質分散相の超微粒合金粒子の有無を観察し、
超微粒合金粒子が存在する場合は最大粒径を測定すると
共に、これを構成する主体成分をエネルギー分散型X線
分光装置(EDS)を用いて判定した。
【0012】また、上記の各種サーメット工具につい
て、 被削材:JIS・S20Cの丸棒、 切削速度:500m/min、 送り:0.2mm/rev、 切l込み:2.5mm、 の条件で炭素鋼の乾式連続高速切削試験を行い、切刃の
逃げ面摩耗幅が0.2mmに至るまでの切削時間を測定
した。これらの測定結果を表3に示した。
て、 被削材:JIS・S20Cの丸棒、 切削速度:500m/min、 送り:0.2mm/rev、 切l込み:2.5mm、 の条件で炭素鋼の乾式連続高速切削試験を行い、切刃の
逃げ面摩耗幅が0.2mmに至るまでの切削時間を測定
した。これらの測定結果を表3に示した。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】
【発明の効果】表3に示される結果から、本発明サーメ
ット工具1〜7は、いずれもCoおよび/またはNiの
含有量が相対的に低い3〜7重量%であるにもかかわら
ず、Coおよび/またはNiが結合相中に含有すると共
に、第一硬質分散相および第二硬質分散相中に分散分布
する超微粒合金粒子としても含有するので、高速切削で
も切刃に欠けやチッピングの発生なく、結合相中にのみ
相対的に高い10〜14重量%の割合で含有する従来サ
ーメット工具1〜7に比して、一段とすぐれた耐摩耗性
を発揮することが明らかである。上述のように、この発
明のサーメット工具は、通常の条件での切削は勿論のこ
と、高速切削でもすぐれた切削性能長期に亘って発揮す
るものであり、切削加工の省力化および省エネ化に十分
満足に対応することができるものである。
ット工具1〜7は、いずれもCoおよび/またはNiの
含有量が相対的に低い3〜7重量%であるにもかかわら
ず、Coおよび/またはNiが結合相中に含有すると共
に、第一硬質分散相および第二硬質分散相中に分散分布
する超微粒合金粒子としても含有するので、高速切削で
も切刃に欠けやチッピングの発生なく、結合相中にのみ
相対的に高い10〜14重量%の割合で含有する従来サ
ーメット工具1〜7に比して、一段とすぐれた耐摩耗性
を発揮することが明らかである。上述のように、この発
明のサーメット工具は、通常の条件での切削は勿論のこ
と、高速切削でもすぐれた切削性能長期に亘って発揮す
るものであり、切削加工の省力化および省エネ化に十分
満足に対応することができるものである。
Claims (1)
- 【請求項1】 顕微鏡断面組織観察で、 有芯構造を有し、これの芯部が炭窒化チタンで構成さ
れ、その周辺部がTiと、Ta、Nb、W、およびMo
のうちの1種以上との複合炭窒化物で構成され、かつこ
の有芯構造全体に亘って50nm以下の粒径を有するC
oおよび/またはNiを主成分とする超微粒合金粒子が
分散分布した組織を有する第一硬質分散相:63〜97
面積%、 炭窒化チタン中に50nm以下の粒径を有するCoおよ
び/またはNiを主成分とする超微粒合金粒子が分散分
布した組織を有する第二硬質分散相:0.1〜30面積
%、の割合を示し、残りが、Coおよび/またはNiを
主成分とする結合相と不可避不純物からなる組成を有
し、Coおよび/またはNiの全含有量が3〜7重量%
である炭窒化チタン系サーメットで構成したことを特徴
とする耐摩耗性にすぐれた炭窒化チタン系サーメット製
切削工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2707598A JPH11229068A (ja) | 1998-02-09 | 1998-02-09 | 耐摩耗性にすぐれた炭窒化チタン系サーメット製切削工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2707598A JPH11229068A (ja) | 1998-02-09 | 1998-02-09 | 耐摩耗性にすぐれた炭窒化チタン系サーメット製切削工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11229068A true JPH11229068A (ja) | 1999-08-24 |
Family
ID=12210962
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2707598A Withdrawn JPH11229068A (ja) | 1998-02-09 | 1998-02-09 | 耐摩耗性にすぐれた炭窒化チタン系サーメット製切削工具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11229068A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006100939A1 (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-28 | Kyocera Corporation | TiCN基サーメットおよび切削工具ならびにこれを用いた被削物の製造方法 |
CN109457162A (zh) * | 2018-12-29 | 2019-03-12 | 重庆文理学院 | 一种Ti(C,N)基超硬金属复合材料及其制备方法 |
-
1998
- 1998-02-09 JP JP2707598A patent/JPH11229068A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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