JPH11228796A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JPH11228796A
JPH11228796A JP3519598A JP3519598A JPH11228796A JP H11228796 A JPH11228796 A JP H11228796A JP 3519598 A JP3519598 A JP 3519598A JP 3519598 A JP3519598 A JP 3519598A JP H11228796 A JPH11228796 A JP H11228796A
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JP
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polyester
molecular weight
resin composition
weight
polyester resin
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JP3519598A
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Akira Yanagase
昭 柳ケ瀬
Masaharu Fujimoto
雅治 藤本
Terushi Ueda
昭史 上田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子量と溶融粘度の関係に起因する制約を克
服することにより、高流動性かつ優れた機械強度や靱性
を有し、しかも、ブリードアウトの発生や、耐熱性や耐
久性の低下を招くことなく、低コストのポリエステル樹
脂組成物。 【解決手段】 繰返し単位の80モル%以上がエチレン
テレフタレートであり、数平均分子量(Mn)が120
00以上のポリエステル(A)80〜99.5重量%と
ビニル重合体(B)0.5〜20重量%からなり、27
0℃、剪断速度1200/(1/秒)で測定した樹脂の
溶融粘度C(poise)とポリエステルの数平均分子量M
nが、C<0.15Mn−1400 を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高流動ポリエステ
ル樹脂に関するもので、薄肉成形に適しているものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂は、その優れた耐薬品
性、耐熱性、機械強度、靱性、および優れた成形加工性
などを利点とし、機械部品、電子部品、車両用部品など
の様々な用途に利用されている。特にその優れた流動性
は射出成形によって薄肉の成形品を得るのに好都合であ
り、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、単独
であるいはガラス繊維などで強化された複合材料とし
て、薄肉あるいは複雑形状の部品用途などに広く用いら
れている。ポリエステルの流動性はその分子量を調節す
ることにより調整でき、より低分子量のポリエステル
は、より高い流動性を有し、薄肉複雑形状の射出成形に
供することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリエ
ステルの機械強度や靱性は、その分子量に強く依存し、
流動性を高めようとして低分子量のポリエステルを用い
ると、得られる成型品の機械的特性までが低下すること
になる。その為、製品に要求される機械強度に対して使
用できるポリエステルの分子量下限が決定され、その用
途は制約されていた。共重合成分の種類や量及び分子量
分布などによって若干の変動はあるものの、一般に、例
えばポリエチレンテレフタレートの数平均分子量(M
n)と、270℃、剪断速度1200/(1/秒)で測
定した樹脂の溶融粘度C(poise)の間には、分子量1
2000〜40000の範囲で概ね次式5の関係が成り
立つ。 C=0.17Mn−1400 ・・・式5 このように、分子量と溶融粘度の関係に起因する制約が
存在する。従って、機械的特性を高いレベルに維持する
ことと、溶融粘度を小さくして流動性を高めることを両
立させるのは困難であった。
【0004】また、樹脂への溶解性がよい低分子量化合
物を可塑剤として加えることにより、樹脂の分子量を変
更せずに溶融粘度だけが低下することはよく知られてお
り、塩化ビニル樹脂などの樹脂では工業的にも利用され
ている。しかし、低分子化合物を添加した際の問題点も
同時に知られている。例えば、可塑剤移行による可塑剤
のブリードアウトによる汚れの問題や、ガラス転移温度
低下に伴う耐熱性の低下、あるいは機械的特性の低下等
が生じることが多い。さらに、このような物性低下の心
配に加えてポリエチレンテレフタレートのような耐薬品
性のよい樹脂を可塑化するためには、特殊な化合物の選
択が必要となりコストや耐久性の面でも不利な制約が増
すことになる。
【0005】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、分子量と溶融粘度の関係に起因する制約を克
服することにより、高流動性かつ優れた機械強度や靱性
を有し、しかも、ブリードアウトの発生や、耐熱性や耐
久性の低下を招くことなく、低コストのポリエステル樹
脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等はかかる現状
に鑑み鋭意検討した結果、繰返し単位の80モル%以上
がエチレンテレフタレートであり数平均分子量(Mn)
が12000以上のポリエステル(A)80〜99.5
重量%とビニル重合体(B)0.5〜20重量%からな
り、270℃、剪断速度1200/(1/秒)で測定し
た樹脂の溶融粘度C(poise)とポリエステルの数平均
分子量Mnが次式1を満足するポリエステル樹脂組成物
により良好な流動性を有しつつ優れた機械強度が保持さ
れたポリエステル樹脂が得られることを見出し、本発明
に到達した。 C<0.15Mn−1400 ・・・式1
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において用いられるポリエ
ステル(A)を構成するのに用いられるジカルボン酸成
分としては、テレフタル酸が好ましい。テレフタル酸以
外のジカルボン酸も用いることができ、例えばイソフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライ
ン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸
などが挙げられる。これらの中ではイソフタル酸が好ま
しく用いられる。これらは1種のみを用いても2種以上
を併用しても良いが、コストおよび樹脂の機械的特性な
どの点から酸成分の20モル%未満にとどめることが必
要である。
【0008】また、ポリエステル(A)を構成するのに
用いられるジオール成分としては、エチレングリコール
が好ましい。エチレングリコール以外のジオールとして
は、例えばジエチレングリコール、トリメチレングリコ
ール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリ
コール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリ
コール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族グリコー
ル、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコー
ル、ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2−ビス
(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなど
の芳香族ジオールなどが挙げられる。これらの中ではジ
エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパンが好ましく用いられる。これらは1種の
みを用いても2種以上を併用しても良いが、コストおよ
び耐熱性などの点から酸成分の20モル%未満にとどめ
ることが必要である。
【0009】このポリエステル(A)は、その数平均分
子量(Mn)が12000以上である。15000〜4
0000であればより好ましい。数平均分子量(Mn)
が12000未満であると得られる成形品の機械的特性
が低下する。
【0010】ポリエステル(A)の製造においては、上
記の重合成分であるジカルボン酸成分またはジオール成
分を反応釜に仕込み、加熱昇温して、エステル化反応、
またはエステル交換反応を行う。この時、必要に応じて
チタンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸マグ
ネシウム、酢酸マンガン等の通常のエステル化反応また
はエステル交換反応で使用されるエステル化触媒または
エステル交換触媒を使用することができる。次いで、常
法に従って該反応で生じた水またはアルコールを除去す
る。その後、引き続き重合反応を実施するが、このとき
150mmHg以下の真空下でジオール成分を留出除去
させながら重合を行う。重合に際しては通常公知の重合
触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキシ
ド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモ
ン、二酸化ゲルマンニウム等を用いることができる。ま
た、重合温度、触媒量については特に限定されるもので
はなく、必要に応じて任意に設定すればよい。
【0011】本発明において用いられるビニル重合体
(B)は、重合性不飽和結合を1つ以上有するビニル単
量体の重合物である。ビニル単量体としては、例えば、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチ
ルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、3−
メチルブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレー
ト、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−デシルア
クリレート、n−ラウリルアクリレート、n−トリデシ
ルアクリレート、n−セチルアクリレート、n−ステア
リルアクリレート、n−エイコシルアクリレート等のア
ルキルアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメ
タクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロ
ピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソ
ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、
2−メチルブチルメタクリレート、3−メチルブチルメ
タクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ヘプ
チルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、n−デシルメタクリ
レート、n−ラウリルメタクリレート、n−トリデシル
メタクリレート、n−セチルメタクリレート、n−ステ
アリルメタクリレート、n−エイコシルメタクリレート
等のアルキルメタクリレート;スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビ
ニル化合物;エチレン、プロピレン等のα−オレフィ
ン;エチレングリコールジメタクリレート、プロピレン
グリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコ
ールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジ
メタクリレート等の(メタ)アクリレート、アリルメタ
クリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソ
シアヌレート等のアリル化合物等の重合性不飽和結合を
2つ以上有するビニル単量体;グリシジル(メタ)アク
リレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジ
ルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
のグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコール(メ
タ)アクリレートのグリシジルエーテル、ポリアルキレ
ングリコール(メタ)アクリレートのグリシジルエーテ
ル、ジグリシジルイタコネート等のエポキシ基を含有す
るビニル単量体;アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト
基、ハロゲン基、ハロゲン化カルボニル基等の官能基を
含有するビニル単量体等のビニル単量体を例示でき、こ
れらの1種または2種以上を用いることができる。得ら
れる熱可塑性樹脂組成物の成形加工性、コストを考慮す
ると、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、
α−メチルスチレン、アクリロニトリル等が好ましい。
なお、本発明の目的を考えると、グリシジル基等の反応
性官能基含有ビニル単量体は全く使用しないかごく少量
の使用量にとどめるのが好ましい。
【0012】ビニル重合体の優れた熱安定性を確保する
上で、ビニル重合体(B)は少なくとも10重量%の芳
香族ビニル単量体を含有することが好ましい。さらに好
ましくは芳香族ビニル単量体の含有量は30重量%以上
95重量%以下である。30重量%以上のときは優れた
熱安定性が確保でき、理由は明らかでないが、95重量
%以下の芳香族ビニル単量体と5重量%以上の不飽和カ
ルボン酸エステルからなるビニル重合体はポリエステル
に対する分散性が良好となる。
【0013】ビニル重合体(B)の構造としては、特に
限定されるものではなく、直鎖型;櫛型、星型、デンド
リマー型、カスケード型等の分岐型;コア−シェル等の
多層型等を例示できるが、少量の添加量で本発明の効果
を得るには直鎖状が好ましく、コスト面からさらに好ま
しいのは直鎖状のランダム共重合である。ビニル重合体
(B)の重量平均分子量は特に限定されないが、得られ
る樹脂組成物の機械強度や耐久性を考慮すると、重量平
均分子量が1000以上であることが好ましい。重量平
均分子量が1000未満のビニル重合体はポリエステル
との相溶性が高過ぎて流動性改質効果が薄れるおそれが
あり、さらに必要以上に低分子量のポリマーの添加は樹
脂組成物の耐薬品性などを損なうおそれがある。さらに
好ましくはビニル重合体(B)の重量平均分子量は20
00以上である。流動性向上効果を考慮すると、重量平
均分子量は、50万以下が好ましく、30万以下がより
好ましく、10万以下がさらに好ましい。しかしなが
ら、さらに重要な要素はビニル重合体(B)の溶融粘度
である。ビニル重合体の溶融粘度D(poise)とポリエ
ステル(A)分子量Mnとの関係が次式2を満足すると
明確な流動性向上効果が得られる。 D<0.05Mn ・・・式2 さらに好ましくは、次式3を満足する場合であり、この
ときは著しい流動性向上効果が得られる。 D<0.01Mn ・・・式3
【0014】ビニル重合体(B)の製造方法としては、
特に限定されるものではなく、バルク、溶液、乳化、懸
濁等の系において、ラジカル重合、アニオン重合、カチ
オン重合等の通常公知の重合を行う方法等を例示でき
る。ビニル重合体(B)の製造の際には、所望により、
重合開始剤、重合触媒、連鎖移動剤、分子量調節剤、有
機溶媒、分散剤、乳化剤、分散剤剤等の通常公知の重合
添加剤を用いることができる。ラジカル重合の重合開始
剤としては、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメ
ンヒドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブ
チロニトリル等のアゾ系開始剤または酸化剤、還元剤を
組み合わせたレドックス系開始剤を例示できる。レドッ
クス系開始剤としては、硫酸第一鉄、エチレンジアミン
四酢酸二ナトリウム塩、ロンガリッド、ヒドロパーオキ
サイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤を例示
できる。乳化剤としては、ノニオン系、アニオン系およ
びカチオン系乳化剤を例示できる。連鎖移動剤として
は、n−オクチルメルカプタン、tert−ドデシルメルカ
プタン等を例示できる。重合溶媒としては、トルエン、
ベンゼン、ジオキサン、ジメチルフォルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を例示でき
る。
【0015】本発明の効果を得るためには、樹脂組成物
中、ポリエステル(A)の添加量が80〜99.5重量
%であって、ビニル重合体(B)の添加量が0.5〜2
0重量%であることが好ましい。ビニル重合体(B)の
添加量が0.5重量%未満の場合は上記式1を満たすよ
うな粘度−分子量の関係が得られにくく、添加量が20
重量%を越える場合はポリエステル樹脂組成物そのもの
の耐久性などの特性が損なわれてしまう。また、ビニル
重合体(B)の添加量は樹脂組成物中1〜10重量%で
あることがより好ましい。1重量%以上添加した場合に
は、本発明の粘度−分子量の関係が得られやすくなり、
10重量%以下の場合にはポリエステル本来の物性が保
持されやすい。
【0016】本発明のポリエステル樹脂組成物は、27
0℃、剪断速度1200/(1/秒)で測定した樹脂の
溶融粘度C(poise)とポリエステル(A)の数平均分
子量Mnが次式1を満足することが必要である。 C<0.15Mn−1400 ・・・式1 上述の通り、この数式に示される性質は特定量のビニル
重合体と特定分子量のポリエステルから得られたもので
なければならないが、このような材料の組み合わせで式
1を満足する組成物を得た場合、驚くべきことにポリエ
ステル本来の性質、特に耐衝撃性があまり損なわれず、
流動性だけが改善された樹脂組成物となる。溶融粘度C
の値はビニル重合体の種類や添加量によって適宜調節で
きる。例えば高分子量のポリエステル成分を用いて固相
重合品並みの機械強度を有しつつ、射出成形に好適な溶
融重合品並みの流動性を有する樹脂組成物とするには、
樹脂の溶融粘度C(poise)とポリエステル(A)の数
平均分子量Mnが次式4を満足することがさらに好まし
い。 C<0.12Mn−1400 ・・・式4 本発明のポリエステル樹脂組成物においては、特定の性
能を付与するために各種添加剤もしくは充填剤を配合す
ることもできる。添加剤および充填剤の例としては、ガ
ラス繊維、炭素繊維などの強化用繊維、シリカ、タル
ク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタ
ン、カーボンブラック等の顔料、紫外線吸収剤、離型
剤、難燃剤等が挙げられる。
【0017】
【実施例】[実施例1] 〔ポリエステルA1の合成〕テレフタル酸成分94モル
%、イソフタル酸成分6モル%およびエチレングリコー
ルから溶融重合および固相重合の2段階の重合によりP
ET樹脂A1を合成した。 〔ビニル重合体B1の合成〕乳化剤(ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム)4重量部(固形分換算1.0重
量部)と、蒸留水193重量部の混合物を冷却管及び攪
拌翼を備えたセパラブルフラスコに仕込み、水浴中60
℃に昇温した後、硫酸第一鉄0.0004重量部、エチ
レンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012重量
部、ロンガリット0.48重量部及び蒸留水4重量部の
混合液を加え、ブチルアクリレート70重量部、スチレ
ン30重量部、クメンヒドロパーオキサイド0.5重量
部、nオクチルメルカプタン0.5重量部の混合物を3
時間かけて滴下し、ラジカル重合を開始した。滴下終了
後、1時間保持し重合を完了し、ビニル重合体のラテッ
クスを得た。固形分を凝固回収した後、乾燥し、重量平
均分子量5万5千のビニル重合体B1を得た。ビニル重
合体B1は溶融粘度が低すぎるため、後述する直径1m
mオリフィスを用いた溶融粘度の測定はできなかった。
【0018】〔ポリエステル樹脂組成物の製造〕上記合
成したポリエステルA1のペレット95重量部に対し、
ビニル重合体B1を5重量部の割合で2軸押出機に供給
し、270℃で溶融混練してポリエステル樹脂組成物を
得た。このポリエステル樹脂組成物中のポリエステル成
分の数平均分子量は29000であった。このポリエス
テル樹脂組成物の溶融粘度は1500poiseであり、I
z衝撃強度は50J/mであった。尚、溶融粘度は、東
洋精機製作所製キャピログラフを使用し、直径1mm、
L/D=10のオリフィスを用いて、270℃、剪断速
度1200(1/秒)で押し出した際の溶融粘度を測定
した。数平均分子量は、GPCを用い標準ポリスチレン
換算により求めた。Iz衝撃強度は、ASTM D256に準拠
して測定した。なお、試験片の成形は射出成形機を用
い、シリンダー温度270℃、金型温度50℃にて行っ
た。
【0019】[比較例1]上記ビニル重合体B1を添加
しない以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂
を押出してブランクサンプルとしてのポリエステル樹脂
組成物を得た。得られた樹脂組成物中のポリエステル成
分の数平均分子量は29000であった。このポリエス
テル樹脂組成物の溶融粘度は3500poiseであり、I
z衝撃強度は50J/mであった。実施例1と比較例1
の対比により、比較的高分子量のポリエステルの良好な
耐衝撃性を維持したまま、流動性が向上することがわか
る。
【0020】[実施例2]テレフタル酸成分94モル
%、イソフタル酸成分6モル%およびエチレングリコー
ルから溶融重合よりポリエステル樹脂A2を合成した。
このポリエステル樹脂A2のペレット95重量部に対
し、ビニル重合体B1を5重量部の割合で2軸押出機に
供給し、270℃で溶融混練してポリエステル樹脂組成
物を得た。ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル成
分の数平均分子量は17000であった。このポリエス
テル樹脂組成物の溶融粘度は500poiseであり、Iz
衝撃強度は20J/mであった。
【0021】[比較例2]ビニル重合体B1を添加しな
い以外は実施例2と同様にして、ポリエステル樹脂組成
物を押し出してブランクサンプルとしてのポリエステル
樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物中
のポリエステル成分の数平均分子量は17000であっ
た。このポリエステル樹脂組成物の溶融粘度は1500
poiseであり、Iz衝撃強度は20J/mであった。実
施例2と比較例2の対比により、比較的低分子量のポリ
エステルの耐衝撃性をそれ以上損なわずに、流動性が向
上することがわかる。さらに実施例1と比較例2の対比
により、同一溶融粘度にそろえた場合、本発明の樹脂組
成物の方が明らかに改善された耐衝撃性を有することが
わかる。
【0022】[比較例3]ビニル重合体として、分子量
21万、溶融粘度1000poiseのポリスチレン樹脂B
2を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリエステル
樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物中
のポリエステル成分の数平均分子量は29000であ
り、ポリエステル樹脂組成物の溶融粘度は3450pois
eであった。以上の実施例と比較例の結果を表1にまと
めて示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物は、優
れた流動性と機械的特性を併せ持ち、しかも、ブリード
アウトの発生や、耐熱性や耐久性の低下を招くことな
く、低コストなものであり、特に、薄肉成形品用途など
に用いる射出成形用材料として極めて有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰返し単位の80モル%以上がエチレン
    テレフタレートであり、数平均分子量(Mn)が120
    00以上のポリエステル(A)80〜99.5重量%
    と、ビニル重合体(B)0.5〜20重量%からなり、
    270℃、剪断速度1200/(1/秒)で測定した樹
    脂の溶融粘度C(poise)とポリエステルの数平均分子
    量Mnが式1を満足するポリエステル樹脂組成物。 C<0.15Mn−1400 ・・・式1
JP3519598A 1998-02-17 1998-02-17 ポリエステル樹脂組成物 Withdrawn JPH11228796A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008075776A1 (ja) * 2006-12-19 2008-06-26 Wintech Polymer Ltd. ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物

Cited By (2)

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WO2008075776A1 (ja) * 2006-12-19 2008-06-26 Wintech Polymer Ltd. ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
JPWO2008075776A1 (ja) * 2006-12-19 2010-04-15 ウィンテックポリマー株式会社 ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物

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