JP2000186192A - ポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物の製造方法

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JP2000186192A
JP2000186192A JP36570798A JP36570798A JP2000186192A JP 2000186192 A JP2000186192 A JP 2000186192A JP 36570798 A JP36570798 A JP 36570798A JP 36570798 A JP36570798 A JP 36570798A JP 2000186192 A JP2000186192 A JP 2000186192A
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polyester
molecular weight
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vinyl polymer
average molecular
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JP36570798A
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Inventor
Koji Nishida
耕二 西田
Masaharu Fujimoto
雅治 藤本
Terushi Ueda
昭史 上田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子量と溶融粘度の関係に起因する制約を克
服することにより、高流動性かつ優れた機械強度や靭性
を有し、しかも、ブリードアウトの発生や、耐熱性や耐
久性の低下を招くことのない低コストのポリエステル樹
脂組成物。 【解決手段】 ポリエステルの重合中に、該溶融状態の
ポリエステルのオリゴマーまたはポリマー(A)100
重量部に対して、ビニル重合体(B)0.5〜25重量
部を添加する。優れた流動性と機械特性を併せ持ち、し
かもブリードアウトの発生や、耐熱性や耐久性の低下を
招くことなく、低コストなものであり、特に、薄肉成形
品用途などに用いる射出成形用材料の製造方法として極
めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高流動ポリエステ
ル樹脂の製造方法に関するもので、薄肉成形に適してい
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂は、その優れた耐薬品
性、耐熱性、機械強度、靭性、および優れた成形加工性
などを利点とし、機械部品、電子部品、車両用部品など
の様々な用途に利用されている。特にその優れた流動性
は射出成形によって薄肉の成形品を得るのに好都合であ
り、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、単独
であるいはガラス繊維などで強化された複合材料とし
て、薄肉あるいは複雑形状の部品用途などに広く用いら
れている。ポリエステルの流動性はその分子量を調節す
ることにより調整でき、より低分子量のポリエステル
は、より高い流動性を有し、薄肉複雑形状の射出成形に
供することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリエ
ステルの機械強度や靭性は、その分子量に強く依存し、
流動性を高めようとして低分子量のポリエステルを用い
ると、得られる成型品の機械特性までが低下することに
なる。そのため、製品に要求される機械強度に対して使
用できるポリエステルの分子量下限が決定され、その用
途は制約されていた。共重合成分の種類や量および分子
量分布などによって若干の変動はあるものの、例えばポ
リエチレンテレフタレートの数平均分子量(Mn)と、
270℃、剪断速度1200/(1/秒)で測定した樹
脂の溶融粘度C(Pa・s)の間には、分子量1000
0〜40000の範囲で概ね次式5の関係が成り立つ。 C=3.5×10-10×Mn2.7 (式5) このように、分子量と溶融粘度の関係に起因する制約が
存在する。したがって、機械的特性を高いレベルに維持
することと、溶融粘度を小さくして流動性を高めること
を両立させるのは困難であった。また、樹脂への溶解性
がよい低分子量化合物を可塑剤として加えることによ
り、樹脂の分子量を変更せずに溶融粘度だけが低下する
ことはよく知られており、塩化ビニル樹脂などの樹脂で
は工業的にも利用されている。しかし、低分子化合物を
添加した際の問題点も同時に知られている。例えば、可
塑剤移行による可塑剤のブリードアウトによる汚れの問
題や、ガラス転移温度低下に伴う耐熱性の低下、あるい
は機械特性の低下等が生じることが多い。
【0004】さらに、このような物性低下のおそれに加
えて、ポリエチレンテレフタレートのような耐薬品性の
よい樹脂を可塑化するためには、特殊な化合物の選択が
必要となりコストや耐久性の面でも不利な制約が増すこ
とになる。本発明は前記課題を解決するためになされた
もので、分子量と溶融粘度の関係に起因する制約を克服
することにより、高流動性かつ優れた機械強度や靭性を
有し、しかも、ブリードアウトの発生や、耐熱性や耐久
性の低下を招くことなく、低コストのポリエステル樹脂
組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる現状
に鑑み鋭意検討した結果、ポリエステルの重合中に、溶
融状態のポリエステルのオリゴマーまたはポリマー
(A)100重量部に対して、ビニル重合体(B)0.
5〜25重量部を添加するポリエステル樹脂組成物の製
造方法より、良好な流動性を有しつつ優れた機械強度が
保持されたポリエステル樹脂が得られることを見出し、
本発明に到達した。この際、得られたポリエステル樹脂
組成物の270℃、剪断速度1200/(1/秒)で測
定した樹脂の溶融粘度C(Pa・s)と、ポリエステル
の数平均分子量Mnとは、式1を満足するものが望まし
い。 C<2.5×10-10×Mn2.7 (式1) さらに、ポリエステルの数平均分子量が5000を越え
た後に、ビニル重合体(B)を添加することが望まし
い。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において用いられるポリエ
ステル(A)を構成するのに用いられるジカルボン酸成
分としては、テレフタル酸が好ましい。テレフタル酸以
外のジカルボン酸も用いることができ、例えばイソフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライ
ン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸
などが挙げられる。これらの中ではイソフタル酸が好ま
しく用いられる。これらは1種のみを用いても2種以上
を併用しても良いが、コストおよび樹脂の機械特性など
の点から酸成分の20モル%未満にとどめることが好ま
しい。
【0007】また、ポリエステル(A)を構成するのに
用いられるジオール成分としては、エチレングリコール
が好ましい。エチレングリコール以外のジオールとして
は、例えばジエチレングリコール、トリメチレングリコ
ール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリ
コール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリ
コール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族グリコー
ル、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコー
ル、ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2−ビス
(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなど
の芳香族ジオールなどが挙げられる。これらの中ではジ
エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパンが好ましく用いられる。これらは1種の
みを用いても2種以上を併用しても良いが、コストおよ
び耐熱性などの点から酸成分の20モル%未満にとどめ
ることが好ましい。本発明のポリエステル(A)は、上
記のジカルボン酸成分およびジオール成分よりなるが、
繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレー
トであることが好ましい。エチレンテレフタレートが繰
り返し単位の80モル%未満では、ポリエステル本来が
有する特性が損なわれる場合がある。
【0008】ポリエステル(A)の製造においては、上
記の重合成分であるジカルボン酸成分またはジオール成
分を反応釜に仕込み、加熱昇温して、エステル化反応、
またはエステル交換反応を行う。この時、必要に応じて
チタンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸マグ
ネシウム、酢酸マンガン等の通常のエステル化反応また
はエステル交換反応で使用されるエステル化触媒または
エステル交換触媒を使用することができる。次いで、常
法に従って該反応で生じた水またはアルコールを除去す
る。その後引き続き重合反応を実施するが、このとき1
50mmHg以下の真空下でジオール成分を留出除去さ
せながら重合を行う。重合に際しては通常公知の重合触
媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキシ
ド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモ
ン、二酸化ゲルマンニウム等を用いることができる。ま
た、重合温度、触媒量については特に限定されるもので
はなく、必要に応じて任意に設定すればよい。また、必
要に応じて固相重合を行うことにより、高重合度のポリ
エステル樹脂組成物を製造することもできる。
【0009】本発明におけるこのポリエステルの数平均
分子量(Mn)は12000以上であることが好まし
い。数平均分子量(Mn)が12000未満であると得
られる成形品の機械的特性が低下する。実用的な観点か
ら、ポリエステルの数平均分子量は15000〜300
00であればより好ましい。本発明において用いられる
ビニル重合体(B)は、重合性不飽和結合を1つ以上有
するビニル単量体の重合物である。ビニル単量体として
は、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレ
ート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレー
ト、sec−ブチルアクリレート、2−メチルブチルア
クリレート、3−メチルブチルアクリレート、n−ヘキ
シルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オ
クチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、n−デシルアクリレート、n−ラウリルアクリレー
ト、n−トリデシルアクリレート、n−セチルアクリレ
ート、n−ステアリルアクリレート、n−エイコシルア
クリレート等のアルキルアクリレート;メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリ
レート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチ
ルメタクリレート、2−メチルブチルメタクリレート、
3−メチルブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタク
リレート、n−ヘプチルメタクリレート、n−オクチル
メタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、
n−デシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレー
ト、n−トリデシルメタクリレート、n−セチルメタク
リレート、n−ステアリルメタクリレート、n−エイコ
シルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族
アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等のシアン化ビニル化合物;エチレン、プロピレン
等のα−オレフィン;エチレングリコールジメタクリレ
ート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3
−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチ
レングリコールジメタクリレート等の(メタ)アクリレ
ート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレー
ト、トリアリルイソシアヌレート等のアリル化合物等の
重合性不飽和結合を2つ以上有するビニル単量体;グリ
シジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテ
ル、アリルグリシジルエーテル、ヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、ポリアル
キレングリコール(メタ)アクリレートのグリシジルエ
ーテル、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレー
トのグリシジルエーテル、ジグリシジルイタコネート等
のエポキシ基を含有するビニル単量体;アミノ基、ヒド
ロキシ基、メルカプト基、ハロゲン基、ハロゲン化カル
ボニル基等の官能基を含有するビニル単量体等のビニル
単量体を例示でき、これらの1種または2種以上を用い
ることができる。得られる熱可塑性樹脂組成物の成形加
工性、コストを考慮すると、ブチルアクリレート、エチ
ルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニ
トリル等が好ましい。なお、本発明の目的を考えると、
グリシジル基等の反応性官能基含有ビニル単量体は全く
使用しないかごく少量の使用量にとどめるのが好まし
い。
【0010】ビニル重合体の優れた熱安定性を確保する
上で、ビニル重合体(B)は少なくとも10重量%の芳
香族ビニル単量体単位を含有することが好ましい。さら
に好ましくは芳香族ビニル単量体単位の含有量は30重
量%以上95重量%以下である。30重量%以上のとき
は優れた熱安定性が確保できる。また、理由は明らかで
ないが、95%重量以下の芳香族ビニル単量体と5重量
%以上の不飽和カルボン酸エステルからなるビニル重合
体はポリエステルに対する分散性が良好となる。ビニル
重合体(B)の構造としては、特に限定されるものでは
なく、直鎖型;櫛型、星型、デンドリマー型、カスケー
ド型等の分岐型;コア−シェル等の多層型等を例示でき
るが、少量の添加量で本発明の効果を得るには直鎖状が
好ましく、コスト面からさらに好ましいのは直鎖状のラ
ンダム共重合である。ビニル重合体(B)の重量平均分
子量は特に限定されないが、得られる樹脂組成物の機械
強度や耐久性を考慮すると、重量平均分子量が1000
以上であることが好ましい。重量平均分子量が1000
未満のビニル重合体はポリエステルとの相溶性が高すぎ
て流動性改質効果が薄れるおそれがあり、さらに必要以
上に低分子量のポリマーの添加は樹脂組成物の耐薬品性
などを損なうおそれがある。さらに好ましくはビニル重
合体(B)の重量平均分子量は2000以上である。流
動性向上効果を考慮すると、重量平均分子量は、50万
以下が好ましく、30万以下がより好ましく、10万以
下がさらに好ましい。
【0011】しかしながら、さらに重要な要素はビニル
重合体(B)の溶融粘度である。ビニル重合体の溶融粘
度D(Pa・s)とポリエステル(A)の数平均分子量
Mnとの関係が次式3を満足すると明確な流動性向上効
果が得られる。 D<0.005Mn (式3) さらに好ましくは、次式4を満足する場合であり、この
ときは著しい流動性向上効果が得られる。 D<0.001Mn (式4)
【0012】ビニル重合体(B)の製造方法としては、
特に限定されるものではなく、バルク、溶液、乳化、懸
濁等の系において、ラジカル重合、アニオン重合、カチ
オン重合等の通常公知の重合を行う方法等を例示でき
る。ビニル重合体(B)の製造の際には、所望により、
重合開始剤、重合触媒、連鎖移動剤、分子量調節剤、有
機溶媒、分散媒、乳化剤、分散剤剤等の通常公知の重合
添加剤を用いることができる。ラジカル重合の重合開始
剤としては、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメ
ンヒドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブ
チロニトリル等のアゾ系開始剤または酸化剤、還元剤を
組み合わせたレドックス系開始剤を例示でき、レドック
ス系開始剤としては、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四
酢酸二ナトリウム塩、ロンガリッド、ヒドロパーオキサ
イドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤を例示で
きる。乳化剤としては、ノニオン系、アニオン系および
カチオン系乳化剤を例示できる。連鎖移動剤としては、
n−オクチルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタ
ン等を例示できる。重合溶媒としては、トルエン、ベン
ゼン、ジオキサン、ジメチルフォルムアミド、ジメチル
アセトアミド、ジメチルスルホキシド等を例示できる。
【0013】本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方
法は、ポリエステル(A)の重合中に、即ち、その溶融
重合容器内に、ビニル重合体(B)を添加する方法であ
る。ポリエステル(A)およびビニル重合体(B)を2
軸押出機などで混練することによってもポリエステル樹
脂組成物を得ることは可能であるが、この場合、熱劣化
によるポリエステルの分子量低下や、押出工程を行うこ
とによるコストの上昇の問題があるため、ポリエステル
(A)の重合中にビニル重合体(B)を添加する方法が
有利となる。本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方
法において、ポリエステル(A)の溶融重合初期よりビ
ニル重合体(B)を添加しておくことが可能である。し
かし、溶融重合時の熱によるビニル重合体(B)の分解
や、ポリエステル(A)のモノマー、オリゴマー成分と
ビニル重合体(B)との架橋反応が起こることが考えら
れるため、ポリエステル(A)の数平均分子量が500
0を越えた段階でビニル重合体(B)を添加することが
好ましい。
【0014】本発明の効果を得るためには、ビニル重合
体(B)の添加量は、ポリエステル(A)100重量部
に対して、0.5〜25重量部であることが好ましい。
ビニル重合体(B)の添加量が0.5重量部未満の場合
は上記式1を満たすような粘度−分子量の関係が得られ
にくく、添加量が25重量部を越える場合はポリエステ
ルそのものの耐久性などの特性が損なわれてしまう。ま
た、ビニル重合体(B)の添加量は樹脂組成物中1〜1
5重量部であることがより好ましい。1重量部以上添加
した場合には、本発明の粘度−分子量の関係が得られや
すくなり、15重量部以下の場合にはポリエステル本来
の物性が保持されやすい。
【0015】本発明によるポリエステル樹脂組成物は、
270℃、剪断速度1200/(1/秒)で測定した樹
脂の溶融粘度C(Pa・s)とポリエステル(A)の数
平均分子量Mnが次式1を満足することが望ましい。 C<2.5×10-10×Mn2.7 (式1) 上述の通り、この数式に示される性質は特定量のビニル
重合体と特定分子量のポリエステルから得られたもので
なければならないが、このような材料の組み合わせで式
1を満足する組成物を得た場合、驚くべきことにポリエ
ステル本来の性質、特に耐衝撃性があまり損なわれず、
流動性だけが改善された樹脂組成物となる。溶融粘度C
の値はビニル重合体の種類や添加量によって適宜調節で
きる。また、次式2を満足することがさらに好ましい。 C<1.5×10-10×Mn2.7 (式2) 式2満足する組成物を得た場合、さらに著しい流動性向
上効果を示し、特に高流動を必要とする薄肉成形用途に
適したものとなる。本発明のポリエステル樹脂組成物に
おいては、特定の性能を付与するために各種添加剤もし
くは充填剤を配合することもできる。添加剤および充填
剤の例としては、ガラス繊維、炭素繊維などの強化用繊
維、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無
機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、紫外
線吸収剤、離型剤、難燃剤等が挙げられる。
【0016】
【実施例】以下、「重量部」は「部」と略記する。 [実施例1] 〔ビニル重合体B1の合成〕乳化剤(ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム)が4部(固形分換算1.0
部)、蒸留水が193部の混合物を、冷却管及び攪拌翼
を備えたセパラブルフラスコに仕込み、水浴中60℃に
昇温した後、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリッ
ト0.48部及び蒸留水4部の混合液を加え、ブチルア
クリレート70部、スチレン30部、クメンヒドロパー
オキサイド0.5部、nオクチルメルカプタン0.5部の
混合物を3時間かけて滴下し、ラジカル重合を開始し
た。滴下終了後1時間保持し重合を完了し、ビニル重合
体のラテックスを得た。固形分を凝固回収した後乾燥
し、重量平均分子量5万5千のビニル重合体B1を得
た。ビニル重合体B1は溶融粘度が低すぎるため、後述
する直径1mmオリフィスを用いた溶融粘度の測定はで
きなかった。
【0017】〔ポリエステルおよびポリエステル樹脂組
成物の製造〕テレフタル酸成分94モル%、イソフタル
酸成分6モル%およびエチレングリコールから溶融重合
によりポリエステルを製造する過程において、2時間3
0分間の重合後に、反応系を窒素で常圧に戻し、反応器
の口を開けて、ビニル重合体B1を、ポリエステルが9
5重量%、ビニル重合体B1が5重量%となるように添
加した後、再び減圧、30分間撹拌し、ポリエステル樹
脂組成物を得た。ポリエステル樹脂組成物中のポリエス
テル成分の数平均分子量は20000であった。このポ
リエステル樹脂組成物の溶融粘度は100Pa・sであ
り、Iz衝撃強度は20J/mであった。なお、溶融粘
度は、東洋精機製作所製キャピログラフを使用し、直径
1mm、L/D=10のオリフィスを用いて、270
℃、剪断速度1200(1/秒)で押し出した際の溶融
粘度を測定した。数平均分子量は、GPCを用い標準ポ
リスチレン換算により求めた。Iz衝撃強度は、AST
M D256に準拠して測定した。なお、試験片の成形
は射出成形機を用い、シリンダー温度270℃、金型温
度50℃にて行なった。
【0018】[実施例2]上記ビニル重合体B1を10
重量%となるよう添加した以外は実施例1と同様にし
て、ポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエス
テル樹脂組成物中のポリエステル成分の数平均分子量は
20000であった。このポリエステル樹脂組成物の溶
融粘度は50Pa・sであり、Iz衝撃強度は17J/
mであった。
【0019】[比較例1]上記ビニル重合体B1を添加
しない以外は実施例1と同様にして、ポリエステルを得
た。得られたポリエステルの数平均分子量は20000
であった。このポリエステルの溶融粘度は180Pa・
sであり、Iz衝撃強度は20J/mであった。 [比較例2]上記ビニル重合体B1を添加せず、重合時
間を2時間とした以外は、実施例1と同様にして、ポリ
エステルを得た。得られたポリエステルの数平均分子量
は15000であった。このポリエステルの溶融粘度は
65Pa・sであり、Iz衝撃強度は15J/mであっ
た。 [比較例3]上記ビニル重合体B1を添加しない以外は
実施例1と同様に溶融重合を行い、ポリエステルを得
た。この得られたポリエステルをペレット化し、130
℃で2時間予備結晶化した後、210℃で15時間、窒
素雰囲気下で固相重合を行い、ポリエステルを得た。得
られたポリエステルの数平均分子量は30000であっ
た。このポリエステルの溶融粘度は420Pa・sであ
り、Iz衝撃強度は32J/mであった。以上の実施例
と比較例の結果を表1、図1にまとめて示す。
【0020】
【表1】
【0021】実施例1によるポリエステル樹脂組成物
は、比較例1と比べて、比較的低分子量のポリエステル
の耐衝撃性を損なわずに、流動性が向上していることが
わかる。また実施例1、2と比較例1の対比により、ビ
ニル重合体の添加剤量を増やすことにより著しい流動性
向上が達成されることがわかる。比較例2では、溶融粘
度を小さくできているが、耐衝撃性も低下してしまって
いる。また、比較例3では、耐衝撃性には優れるもの
の、溶融粘度が高くなってしまい、薄肉複雑形状に射出
成形することができない。
【0022】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物の製造
方法によれば、得られるポリエステル樹脂組成物は優れ
た流動性と機械特性を併せ持ち、しかもブリードアウト
の発生や、耐熱性や耐久性の低下を招くことなく、低コ
ストなものであり、特に、薄肉成形品用途などに用いる
射出成形用材料の製造方法として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリエステルの分子量と溶融粘度の関係を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 昭史 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4J002 BB032 BB122 BC032 BC082 BC092 BE042 BG042 BG052 BG062 BG072 BG102 CD192 CF031 CF041 CF051 CF091 CF101 4J029 AA03 AB04 AB05 AC02 AD01 AE01 BA01 BA02 BA03 BA04 BA05 BA10 BB05A BB12A BD06A BF09 BF25 CA02 CA06 CB05A CB06A CB10A CB12A CC06A CD03 JA091 JA181 JB131 JB171 JC751 JE032 JE052 JE092 JE182 JF321 JF361 JF371 JF471 KB03 KB15 KC01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルの重合中に、該溶融状態の
    ポリエステルのオリゴマー又はポリマー(A)100重
    量部に対して、ビニル重合体(B)0.5〜25重量部
    を添加することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 得られたポリエステル樹脂組成物の27
    0℃、剪断速度1200/(1/秒)で測定した樹脂の
    溶融粘度C(Pa・s)と、ポリエステルの数平均分子
    量Mnとが式1を満足する請求項1記載の製造方法。 C<2.5×10-10×Mn2.7 (式1)
  3. 【請求項3】 ポリエステルの数平均分子量が5000
    を越えた後に、ビニル重合体(B)を添加する請求項1
    記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111032728A (zh) * 2017-08-30 2020-04-17 伊士曼化工公司 具有改善的熔体流动性质的共聚酯树脂组合物

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