JPH11228437A - ヒアルロニダーゼ阻害剤乃至抗菌剤及び該剤を含有す る化粧料 - Google Patents

ヒアルロニダーゼ阻害剤乃至抗菌剤及び該剤を含有す る化粧料

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JPH11228437A
JPH11228437A JP10030936A JP3093698A JPH11228437A JP H11228437 A JPH11228437 A JP H11228437A JP 10030936 A JP10030936 A JP 10030936A JP 3093698 A JP3093698 A JP 3093698A JP H11228437 A JPH11228437 A JP H11228437A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来報告されていない種類の微細藻類からの
抽出物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤乃至抗
菌剤を提供し、該剤を含有する化粧料を提供する。 【解決手段】 藍藻綱ネンジュモ目のノストック属又は
ユレモ目のスピルリナ属、紅藻綱チノリモ目のポルフィ
リディウム属又はロデラ属、緑藻綱クロロコックム目の
クロレラ属又はオオヒゲマワリ目のデュナリエラ属、ハ
プト藻綱イソクリシス目のプリュウロクリシス属から選
択された微細藻類の抽出物を、化粧料の原料の一つとし
て添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微細藻類の抽出物を
有効成分として含有するヒアルロニダーゼ阻害剤乃至抗
菌剤及び該抽出物を含有する化粧料に係る。
【0002】
【従来の技術】ヒアルロニダーゼは皮膚や哺乳動物組織
に広く分布しており、ヒアルロン酸の加水分解に関与す
る酵素である。一方、ヒアルロン酸は皮膚、項靭帯、大
動脈、腱、骨、目の角膜、心臓弁、血清、脳、ある種の
肉腫及び水腫等に存在するムコ多糖類の 1 種であり、
組織においては蛋白質との複合体となって粘稠な状態を
呈しており、この複合体は細胞間で結合水を除去し、ゼ
リー状のマトリクスを形成して細胞を保持し、細胞間質
における物質の移動を抑制し、関節では潤滑剤的な作用
を呈し、又細菌の侵入や毒物の浸透を防止すると云う重
要な機能を有している。
【0003】老化又は病的状態により皮膚に存在するヒ
アルロン酸が減少すると、細胞の保湿力が低下すること
により乾燥、肌荒れ、シミ、皺の原因となることが報告
されている。尚、ヒアルロニダーゼは炎症時に活性化さ
れ、蛋白質-ヒアルロン酸複合組織を破壊し、血管の透
過性を亢進すること、I 型アレルギーにおける肥満細胞
からのヒスタミン遊離の過程に関与している可能性の高
いことが知られており、従ってヒアルロニダーゼ阻害活
性は生体中のヒアルロン酸レベルに関与するのみならず
抗炎症活性、抗アレルギー活性及び抗アトピー活性にも
関与するものと考えられ、事実抗炎症剤及び抗アレルギ
ー剤として開発された化学合成品であるアスピリン、イ
ンドメタシン、クロモグリク酸ナトリウム等にヒアルロ
ニダーゼ阻害作用が認められている。
【0004】現在、天然物由来のヒアルロニダーゼ阻害
剤としてはジュ、ゲンノショウコ、シャクヤク、エイジ
ツ、アセンヤク、ビンロウジ、紅茶及び緑茶の抽出物が
報告され (特開平 2 - 11520 号公報)、又緑藻類のヒト
エグサ属、アオサ属、アオノリ属、ハネモ属、イワヅタ
属、ミル属、褐藻類のマツモ属、オキナワモズク属、モ
ズク属、カジメ属、レッソニア属、マクロシスティス
属、ヒバマタ属、アスコフィラム属、ダービリア属、紅
藻類のアマノリ属、マクサ属、ヒラクサ属、オバクサ
属、フノリ属、キリンサイ属、スギノリ属、Iridaea
属、ツノマタ属、ダルス属、イギス属に属する海藻の抽
出物が報告されている (特開平 9 - 67266 号公報)。
【0005】一方、近年公衆衛生に対する人々の関心が
高まっており、抗菌性を有する製品の研究開発が盛んに
行われている。殊に、天然物由来の抗菌性物質は副作用
の心配も少なく、安全性の面から注目され、植物由来の
抗菌性物質の研究が多くなされており、微細藻類から抗
菌性物質を抽出する試みも盛んに行われている。これま
で微細藻類由来の抗菌性物質としては、ハプト藻綱のイ
ソクリシス目に属するプレウロクリシスの藻体から分離
された多糖類は抗菌活性を有することが報告されている
(特開平 7 - 25780 号公報)。
【0006】このように従来合成品が使用されていた分
野において、その有効成分を天然物に求める傾向は現在
も増加の一途を辿り、人体に安全で且つ効果の優れた物
質が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題乃至目的】しかしなが
ら、既述のように、従来報告されてきたるヒアルロニダ
ーゼ活性阻害剤は生薬類や茶類及び一部の海藻類の抽出
物に限られており、又抗菌剤も又一部の海草類の抽出物
に限られていた。従って、本発明の目的は従来報告され
ていない種類の微細藻類からの抽出物を有効成分とする
ヒアルロニダーゼ阻害剤乃至抗菌剤を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、このようなヒアルロニダーゼ
阻害剤乃至抗菌剤を含有する化粧料を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を解決し、所期の目的を達成するために種々の微細藻類
について鋭意検討を行った結果、藍藻綱 (Cyanophycea
e) ネンジュモ目(Nostcales) のノストック属 (Nostoc)
及びユレモ目 (Oscillatoriales) のスピルリナ属 (Sp
irulina)、紅藻綱 (Rhodophyceae) チノリモ目(Porphyr
idiales)のポルフィリディウム属 (Porphyridium) 及び
ロデラ属 (Rhodella)、緑藻綱(Chlorophyceae) クロロ
コックム目 (Chlorococcales)のクロレラ属(Cholrella)
及びオオヒゲマワリ目(Volvocales) のデュナリエラ属
(Dunaliella)、ハプト藻綱 (Haptophceae) イソクリシ
ス目 (Isochrysidales) のプリュウロクリシス属(Pleur
ochrysis) に属する微細藻類の抽出物がヒアルロニダー
ゼ阻害活性乃至抗菌活性を有していることを見い出して
本発明を完成するに至った。
【0009】藍藻綱におけるネンジュモ目のノストック
属に属する藻類としては N. flagelliformeN. commun
eN. linckiaN. muscorum 及び N. verrucosum を例
示することができ、ユレモ目のスピルリナ属に属する藻
類としては S. platensisS. majarS. maxima 及び
S. subsalsa を例示することができ、紅藻綱におけるチ
ノリモ目のポルフィリディウム属に属する藻類としては
P. purpureum 及び P. cruentum を例示することがで
き、ロデラ属に属する藻類としては R. maculate 及び
R. violacea を例示することができ、緑藻綱 における
クロロコックム目のクロレラ属に属する藻類としては
C. pyrenoidosaC. fuscaC. vulgarisC. sacaharop
hila 及び C. ellipsoideaを例示することができ、オオ
ヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する藻類としては
D. salina 及び D. tertiolecta を例示することがで
き、ハプト藻綱におけるイソクリシス目のプリュウロク
リシス属に属する藻類としては P. carterae 及び P. ha
ptonemafera を例示することができる。これら藻類の抽
出物はヒアルロニダーゼ阻害活性を有している。
【0010】上記の藻類の内で S. platensisS. maja
rS. maximaS. subsalsaP. purpureumP. cruentu
mD. salinaD. tertiolectaP. carterae 及び P. h
aptonemafera の抽出物は抗菌活性をも有している。
【0011】本発明による化粧料としてはシャンプー、
ボディシャンプー、リンス、石鹸、ローション、化粧
水、乳液及びクリームを例示することができる。
【0012】原料としての微細藻類は天然のものをその
侭利用することもできるが、安定供給の面から培養によ
り増殖させて使用することが望ましい。藻類は光合成を
行って自らのエネルギーとしているため、培養は光照射
の下に藻類培養用の培地を用い、通常の培養方法により
行うことができる。但し、藻類によって培養方法が若干
異なるために最適な培養条件を設定する必要があり、既
述の藻類の内で代表的なものについて具体的な培養条件
を述べれば下記の通りである。
【0013】(1) N. flagelliforme の培養 培地は淡水性藍藻類を培養する際に用いられているもの
であれば格別な制限はなく、例えば Modefied Detmer m
edium を用いることができる。但し、N. flagelliforme
は陸生であり、液体培地を用いた培養は困難であるため
に、上記培地に寒天を 1.5 重量% 添加した培地を用い
る。即ち、イオン交換水 1000mlに対して、KNO3 1g、Mg
SO4・7H2O 250mg、K2HPO4 250mg、NaCl 100mg 及び CaCl
2・2H2O 10mg を添加した溶液を調製し、この溶液に FeS
O4・7H2O 3.2g/l を含む金属イオン溶液 1ml と、H3BO3
286mg/l、MnSO4・7H2O 250mg/l、ZnSO4・7H2O22.2mg/l、C
uSO4・5H2O 7.9mg/l 及び Na2MoO4・2H2O 2.1mg/l を含有
する微量元素混合溶液 1ml を添加した後に、pH を 9.0
に調整し、これに寒天を 15g/l の割合で添加したもの
が培地として使用される。この寒天培地をシャーレ (90
mmφx 15mm) に約 10ml 流し込み、固まったところに
N. flagelliforme を接種して培養する。尚、N. flagel
liforme は他の藻類と比較して増殖速度が遅いために、
培養は 20 - 30 日間継続して行う必要性がある。培養
は明期 16 時間及び暗期 8 時間のサイクルとし、蛍光
灯を光源として照度を 100 - 150μEinsteins/m2/sec
の条件に設定するのが好ましい。培養温度は 20 - 25℃
であり、23℃ 付近が望ましい。
【0014】(2) S. platensis の培養 培地は一般的な淡水産藍藻類を培養する際に用いられる
ものであれば格別な制限はなく、例えば SOT medium を
用いることができる。即ち、イオン交換水1000ml に対
して、NaNO3 2.5g、K2SO4 1.0g、K2HPO4 500mg、NaCl
1.0g、MgSO4・7H2O 200mg、CaCl2・2H2O 40mg、FeSO4・7H2
O 10mg、Na2EDTA・2H2O 80mg 及びNaHCO3 16.8g を添加
した溶液を調製し、これに H3BO3 286mg/l、MnSO4・7H2O
250mg/l、ZnSO4・7H2O 22.2mg/l、CuSO4・5H2O 7.9mg/l、
Na2MoO4・2H2O 2.1mg/lを含有する微量元素混合溶液を 1
ml 添加したものが培地として使用される。培養は、S.
platensis の細胞数が 5 - 7 x 105 cells/ml となるよ
うに上記の培地に接種し、2 リットル容のガラス製扁平
フラスコを用いて行われる。培養期間は 7 - 10 日間が
適当であり、培養は炭酸ガスを 5% 濃度となるように混
合した空気を適当な通気手段により導入する好気的条件
下において且つ蛍光灯を光源として照度を 100 - 150μ
Einsteins/m2/sec に設定し、連続光照射下で行うのが
好ましい。培養温度は 20 - 25℃ であり、23℃ 付近が
望ましい。
【0015】(3) P. purpureum の培養 培地は一般的な海産性紅藻類を培養する際に用いられて
いるものであれば格別な制限はなく、例えば Modified
Koch medium を用いることができる。即ち、新鮮な濾過
海水 1 リットルに対して KNO3 0.75g、KH2PO4 25mg、M
gSO4・7H2O20mg、クエン酸アンモニウム鉄 2.5mg を添加
することにより培地を調製した。この培地に、P. purpu
reum の細胞数が 10 - 20×105cells/ml となるように
接種し、2 リットル容のガラス製扁平フラスコにて培養
した。培養期間は 5 - 7日間が適当であり、培養は炭酸
ガスを 5% 濃度となるように混合した空気を適当な通気
手段により導入する好気的条件下において且つ蛍光灯を
光源として照度を10 - 30μ Einsteins/m2/sec に設定
し、連続光照射下で行うのが好ましい。培養温度は 20
- 25℃ であり、23℃ 付近が望ましい。
【0016】(4) Rhodella sp. の培養 培地は一般的な海産性紅藻類を培養する際に用いられて
いるものであれば格別な制限はなく、例えば Modified
Koch medium を用いることができる。即ち、新鮮な濾過
海水 1000ml に対して KNO3 0.75g、K2HPO4 25mg、MgSO
4・7H2O 20mg、クエン酸アンモニウム鉄 2.5mg 及びニト
リル三酢酸 10mg を添加することにより調製することが
できる。培養は Rhodella sp. の細胞数が 5 - 7×105c
ells/ml となるように上記の培地に接種し、2 リットル
容のガラス製扁平フラスコにて培養した。培養期間は 7
- 10 日間が適当であり、培養は空気を適当な通気手段
により導入する好気的条件下で且つ蛍光灯を光源として
照度を 10 - 30μ Einsteins/m2/sec に設定し、連続光
照射下において行うのが好ましい。培養温度は 20 - 25
℃ であり、23℃ 付近が望ましい。
【0017】(5) C. pyrenoidosa の培養 培地は一般的な淡水産性緑藻類を培養する際に用いられ
ているものであれば格別な制限はなく、例えば MC medi
um を用いることができる。即ち、イオン交換水 1000ml
に対して KNO3 1.25g、MgSO4・7H2O 1.25g 及び K2HPO4
1.25g を添加した溶液を調製し、これに FeSO4・7H2O 3
20mg/l を含む金属イオン溶液 1ml とH3BO3 286mg/l、M
nSO4・7H2O 250mg/l、ZnSO4・7H2O 22.2mg/l、CuSO4・5H2O
7.9mg/l、Na2MoO4・2H2O 2.1mg/l とを含有する微量元素
混合溶液 1ml を添加したものを培地として用いる。
尚、培養は既述の第 (2) 項に記載の方法に準じて行う
ことができる。
【0018】(6) D. salina の培養 培地は一般的な海産性緑藻類を培養する際に用いられて
いるものであれば格別な制限はないが、塩濃度が 2M と
なるようにする。即ち、新鮮な濾過海水1000ml に対し
て NaCl 116.88g、KNO3 80mg、MgSO4・7H2O 0.6mg、K2HP
O4 30mg及び NaHCO3 420mg を添加した溶液を調製し、
これに CuSO4・5H2O 19.6mg/l、ZnSO4・7H2O 44mg/l、CoC
l2・6H2O 20mg/l、MnCl2・4H2O 360mg/l、Na2MoO4・2H2O1
2.6mg/l 及び Fe-EDTA 10g/l を含有する微量元素混合
溶液 1ml を添加することにより培地を調製する。尚、
培養は既述の第 (2) 項に記載の方法に準じて行うこと
ができる。
【0019】(7) P. carterae の培養 培地は一般的な海産性ハプト藻類を培養する際に用いら
れているものであれば格別な制限はなく、例えば Epple
y's medium を用いることができる。即ち、新鮮な濾過
海水 1000ml に対して KNO3 50.5mg 及び K2HPO4 8.7mg
を添加した溶液に、CuSO4・5H2O 19.6mg/l、ZnSO4・7H2O
44mg/l、CoCl2・6H2O 20mg/l、MnCl2・4H2O 360mg/l、Na
2MoO4・2H2O 12.6mg/l 及び Fe-EDTA 10g/l からなる微
量元素混合溶液 1ml を添加し、次いでチアミン塩酸塩
200mg/l、ビオチン1mg/l、シアノコバラミン 0.2mg/l
を含有するビタミン混合溶液 1ml を添加することによ
り培地を調製した。培養は P. carterae の細胞数が 10
- 20×105cells/ml となるように培地に接種し、2 リ
ットル容のガラス製扁平フラスコを用いて行った。培養
期間は 5 - 7 日間が適当であり、培養は空気を適当な
通気手段により導入する好気的条件下に且つ蛍光灯を光
源として照度を 40μEinsteins/m2/sec に設定し、連続
光照射下において行うのが好ましい。培養温度は 20 -
25℃ であり、23℃ 付近が望ましい。
【0020】このようにして得られた微細藻類からヒア
ルロニダーゼ阻害物質或いは抗菌性物質は下記の手法に
より抽出される。 (a) 培養した藻体を収集し、藻体濃度が 1 - 70% とな
るように水を添加し、室温 - 90℃ で約 1 - 24 時間程
度抽出処理し、次いで濾過して濾液を凍結乾燥させる
(試料 1)、(b) 藻体濃度が 1 - 70% となるように 10 -
80% のエタノール水溶液を添加し、室温 - 90℃で 1 -
24 時間抽出処理し、濾過し、濾液からエタノールを除
去し、次いで凍結乾燥させる (試料 2)、(c) 藻体 100g
に 5 倍量の水を添加して 90℃ で約 3 時間撹拌し、
遠心分離により得られた上澄みに最終濃度が 80% とな
るようにエタノー ルを添加して分画し、次いで上澄み
のエタノールを除去して凍結乾燥する (試料3)、(d) 上
記 (c) 項のエタノール分画による析出物を凍結乾燥す
る (試料 4)、(e) 藻体 10g に 10 倍量の 80% エタノ
ール水溶液を添加して 90℃ で約 3時間環流し、遠心分
離し、得られた上澄みからエタノールを除去して凍結乾
燥する (試料 5)。
【0021】上記のようにして得られた微細藻類の抽出
物は、基本的には、ヒアルロニダーゼ阻害活性乃至抗菌
活性を示すが、濾過後の残査又は遠心分離後の沈査はこ
れらの活性を示さない (後記の試験例における試料 4
の項参照)。このことは、この種の微細藻類においてヒ
アルロニダーゼ阻害活性乃至抗菌活性は分子量の大きい
多糖類等の高分子物質に起因するものだけではなく、そ
れ以外の低分子物質であるアミノ酸や低分子糖及び脂質
等により発現されるものと推定される。
【0022】
【製造例等】次に、製造例、試験例により本発明を更に
詳細に且つ具体的に説明する。
【0023】製造例 1 (a) 熱水抽出 : 各種微細藻類について、下記の表 1 に
示す条件にて熱水抽出を行い、得られた乾燥粉末を試料
1 とした。
【0024】
【表1】
【0025】(b) エタノール抽出 : 下記の表 2 に示す
条件にて 50% 濃度のエタノール水溶液を用いて抽出処
理を行ない、得られた乾燥粉末を試料 2 とした。
【0026】
【表2】
【0027】(c) 熱水抽出エタノール分画 (上澄み):
P. carterae 100g に 5 倍量の水を添加して 90℃ で約
3 時間撹拌し、遠心分離により得られた上澄みに最終
濃度が 80% となるようにエタノールを添加して分画
し、次いで上澄みのエタノールを除去して凍結乾燥する
ことにより、乾燥粉体 5.9g を得た。これを試料 3 と
した。
【0028】(d) 熱水抽出エタノール分画 (析出物) :
一方、上述のエタノール分画による析出物を凍結乾燥
し、乾燥粉体 13.3g を得た。これを試料 4 とした。
【0029】(e) エタノール還流抽出 : P. carterae 1
0g に 10 倍量の 80% エタノール水溶液を添加して 90
℃ で約 3 時間環流し、遠心分離し、得られた上澄みか
らエタノールを除去して凍結乾燥することにより、乾燥
粉体 1.55g を得た。これを試料 5 とした。
【0030】試験例 1 (ヒアルロニダーゼ活性阻害試
験) 上記方法にて得られた微細藻類由来の抽出物のヒアルロ
ニダーゼ阻害活性を、各抽出物のヒアルロニダーゼに対
する 50% 阻害濃度 (IC50) を求めることにより行っ
た。即ち、所定濃度に調整した被験試料 1 又は被験試
料 2 に、牛の睾丸由来のヒアルロニダーゼ 0.1ml (typ
e 4-S、最終酵素活性 400NF units/ml、シグマ社製) を
溶解した 0.1M 酢酸緩衝液 (pH 4.0) 0.2ml を添加し、
37℃ で 20分間インキュベートした。更に、活性化剤
0.2ml (Compound 48/80、Sigma 社製、CaCl2、NaCl の
最終濃度がそれぞれ 0.1mg/ml、2.5mM、0.15M となるよ
うに上記の酢酸緩衝液に溶解したもの) を添加し、37℃
で 20 分間インキュベートした。これに雄性家禽の鶏
冠由来のヒアルロン酸カリウム (和光純薬株式会社製)
溶液 0.5ml を添加し、37℃ で 40 分間インキュベート
した後、0.4N NaOH0.2ml を添加して反応を停止させ
た。10 分間氷冷後、硼酸緩衝液 (pH 9.1)0.2ml を添加
し、3 分間煮沸した後、再び 10 分間氷冷し、次いで p
-ジメチルアミノベンズアルデヒド試薬 6ml を添加し、
37℃ で 20 分間インキュベートした。得られた反応液
について 585nm における吸光度を測定した。尚、ブラ
ンクとして上記の試料溶液や酵素溶液の代わりに酢酸緩
衝液を添加したものを用いた。阻害活性は次式から求め
られる阻害率で示される。
【0031】 阻害率 (%) = [1 - (C - D)/(A - B)] x 100 A : 被験試料ブランクの吸光度 B : 酢酸緩衝液の吸光度 C : 被験試料と酵素の反応溶液の吸光度 D : 酵素 blank の吸光度
【0032】各微細藻類の抽出物の阻害率から 50% 阻
害濃度 (IC50) を算出した結果は下記の表 3 に示され
ている通りであり、藍藻綱ネンジュモ目の N. flagelli
forme及びユレモ目の S. platensis、紅藻綱チノリモ目
P. purpureum 及びRhodella. sp.、緑藻綱クロロコ
ックム目の C. pyrenoidosa 及びオオヒゲマワリ目の
D. salina、ハプト藻綱イソクリシス目の P. carterae
の抽出物にヒアルロニダーゼ阻害活性が認められた。
尚、参考としてヒアルロニダーゼ阻害物質として知られ
ているクロモグリク酸ナトリウムについて同様に調べた
結果も併せて示されている。
【0033】
【表3】
【0034】試験例 2 (抗菌性試験) 既述の製造例 1 により得たハプト藻 (P. carterae) 抽
出物を被験試料として抗菌活性試験を下記の要領で行っ
た。即ち、黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) を
37℃ において 17 - 48 時間培養した後、普通寒天培
地 30ml を流し込んだシャーレに塗布した。次いで、ペ
ーパーディスクに被験試料をしみ込ませたものを上記の
寒天表面に載置し、37℃ において 12 時間培養して最
小阻止濃度 (MIC = mg/ml) を求めた。結果は下記の表
4 に示されている通りであり、熱水抽出物 (被験試料
1)、エタノール抽出物 (被験試料 2)、熱水抽出エタノ
ール分画の上澄み (被験試料 3) 及びエタノール還流抽
出物 (被験試料 5) に抗菌活性が認められ、殊に熱水抽
出エタノール分画の上澄み (被験試料 3) に優れた抗菌
活性が認められた。しかしながら、熱水抽出エタノール
分画の沈査 (被験試料 4) は抗菌活性を示さないことが
判明した。
【0035】
【表4】
【0036】製造例 2 (ボディシャンプー) 下記の表 5 に示される原料 (A)、(B) 及び (C) をそれ
ぞれ 80℃ で加熱して固形物を溶解させた後に、原料
(A) に 原料 (B) を徐々に添加しながら撹拌し、次いで
原料 (C) を添加して撹拌した後、冷却して液温を 30℃
になすことにより所望のボディシャンプーを調製し
た。
【0037】
【表5】
【0038】製造例 3 (ローション) 下記の表 6 に示される諸原料を混合して、常法により
所望のローションを調製した。
【0039】
【表6】
【0040】製造例 4 (クリーム) 下記の表 7 に示される原料 (A) 及び (B) をそれぞれ
80℃ に加熱して固形物を溶解させた後に、原料 (B) を
原料 (A) に添加して撹拌することにより乳化させ、次
いで撹拌しつつ冷却して品温を 30℃ になすことによ
り、所望のクリームを調製した。
【0041】
【表7】
【0042】試験例 3 (使用テスト) 上記の製造例 2 - 4 において得られたボディシャンプ
ー、ローション及びクリームについて、女性ボランティ
ア 6 名による使用評価を行った。即ち、ボディシャン
プー、ローション及びクリームを 1 セットとして 3 ヶ
月間毎日使用してもらい、その後、本発明に係るスピル
リナ熱水抽出物を成分から除外したもの(対照品) につ
いても使用してもらい、既述の製造例による本発明品と
対照品とに関し肌荒れ防止、肌の張り、肌の艶について
下記の表 8 に示される基準に従って評価した。
【0043】
【表8】
【0044】試験の結果は後記の表 9 に示されてい
る。数値はボランティアの評価した点数の合計であり、
点数の合計が高いほど本発明品が優れていることを示し
ている。その結果、本発明品に関するボランティアの合
計点数は何れも高い値を示し、従って本発明品は肌の状
態を有意に改善することが明らかとなった。
【0045】
【表9】
【0046】
【発明の効果】本発明による剤は微細藻類から抽出され
たものであり、従って人体に対する安全性が高く且つヒ
アルロニダーゼ阻害活性が高いので、この剤を含有する
化粧料を使用することにより、生体中のヒアルロン酸の
加水分解が抑制され、これに伴う種々の効果、即ち皮膚
細胞の賦活化、皮膚の老化防止、皺や肌荒れの防止、炎
症防止、アレルギー防止、アトピー防止効果を期待する
ことができる。尚、アレルギー性皮膚炎患者の皮膚表面
には黄色ブドウ球菌が異常増殖していることが知られて
いるが、本発明に係る剤は黄色ブドウ球菌に対して抗菌
活性を示すので該剤を含有するクリーム等は、これらの
患者に対して有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 麻代 岐阜県岐阜市曙町4−15 MAC総合研究 所内 (72)発明者 山口 祐司 岐阜県岐阜市曙町4−15 MAC総合研究 所内 (72)発明者 竹中 裕行 岐阜県岐阜市曙町4−15 MAC総合研究 所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 藍藻綱 (Cyanophyceae) ネンジュモ目
    (Nostcales) のノストック属 (Nostoc) 及びユレモ目
    (Oscillatoriales) のスピルリナ属(Spirulina)、紅藻
    綱 (Rhodophyceae) チノリモ目 (Porphyridiales) のポ
    ルフィリディウム属 (Porphyridium) 及びロデラ属 (Rh
    odella)、緑藻綱(Chlorophyceae) クロロコックム目 (C
    hlorococcales) のクロレラ属(Chlorella) 及びオオヒ
    ゲマワリ目(Volvocales) のデュナリエラ属(Dunaliell
    a)、ハプト藻綱 (Haptophceae) イソクリシス目 (Isoch
    rysidales)プリュウロクリシス属 (Pleurochrysis) に
    属する微細藻類の抽出物を有効成分として含有している
    ことを特徴とする、ヒアルロニダーゼ阻害剤乃至抗菌
    剤。
  2. 【請求項2】 請求項 1 に記載のヒアルロニダーゼ阻
    害剤乃至抗菌剤を含有していることを特徴とする、化粧
    料。
  3. 【請求項3】 シャンプー、ボディシャンプー、リン
    ス、石鹸、ローション、化粧水、乳液及びクリームから
    選択されたものであることを特徴とする、請求項2 に記
    載の化粧料。
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