JP3432940B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents

皮膚外用剤

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JP3432940B2 JP07385095A JP7385095A JP3432940B2 JP 3432940 B2 JP3432940 B2 JP 3432940B2 JP 07385095 A JP07385095 A JP 07385095A JP 7385095 A JP7385095 A JP 7385095A JP 3432940 B2 JP3432940 B2 JP 3432940B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、担子菌の培養液又は菌
体の抽出液を配合した皮膚外用剤に関するものであっ
て、より詳しくは、特定の担子菌を液体培養したその培
養液又は菌体から水及び/又は有機溶媒で抽出した抽出
液のメラニン生成抑制成分の1種又は2種以上を配合す
ることによって美白効果を発揮するほか、細胞賦活効果
及び保湿効果を併せ持った老化防止に優れた皮膚外用剤
に関する。 【0002】 【従来の技術】担子菌類(キノコ)は、従来食用または
漢方薬として利用されてきた。最近では、医薬品または
化粧品への応用もみられる。化粧品への応用例として
は、特公平4−77725号公報、特公平2−4656
4号公報、特開昭63−227512号公報、特開平1
−228480号公報、特開平2−49710号公報及
び特開平3−99005号公報などがある。 【0003】特公平4−77725号公報には、シロキ
クラゲの液体培養で得られた粘性物を配合した化粧料、
特公平2−46564号公報には、子実体から抽出した
紫外線吸収剤、特開昭63−227512号公報には、
シロキクラゲ子実体からの抽出粘性体を含有する化粧
料、特開平1−228480号公報には、培養固形物か
ら抽出した抗アレルギー作用を持つ物質、特開平2−4
9710号公報には、キノコの子実体からの抽出物を利
用した化粧料そして特開平3−99005号公報には、
シロキクラゲ目またはキクラゲ目のキノコの粉砕物をス
クラブ剤として配合した化粧料が開示されている。 【0004】他にも、従来の担子菌の利用方法として、
制癌剤、抗腫瘍性物質、免疫調節物質などの医薬品への
利用は数多くみられるが、化粧品への利用は前述の通り
粘性物質を得る物が幾つがあるにすぎず、各種有用性物
質を得るものとしては、例えば、特開平2−49710
号公報があるが、現在求められている多機能の素材はな
い。また同公報には、キノコの子実体からの抽出物を利
用した化粧料が開示されているが、子実体は、その生育
に時間がかかるため安価に大量に入手しにくく、また入
手した後も、子実体の個体差による有用性の変動や抽出
率の低さのため量産化が困難であるなどの実用的な面で
の問題点が多い。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、皮膚
外用剤の有効成分として使用する担子菌由来の各種の成
分を培養液又は菌体中に変動無くかつ高濃度に生産させ
ることで量産化を図り、さらにはその濃度を高めること
によって老化防止用の外用剤として求められている機能
性(有効性)に幅広い適応性を持たせた安全性にすぐれ
た皮膚外用剤を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、特定の担子菌類
を液体培養した培養液又は菌体の抽出液に美白効果があ
ることを初めて見出し、さらにこれらの培養液又は菌体
の抽出液には、細胞賦活効果及び保湿効果があるという
ことも確認し本発明を完成した。すなわち、本発明によ
れば、ヌメリツバタケ、マツオオジ、フチドリツエタ
ケ、ムラサキシメジおよびナラタケからなる群より選択
されたシメジ科の担子菌、シロナメツムタケ、チャナメ
ツムタケおよびヌメリスギタケからなる群より選択され
たモエギタケ科の担子菌、シロマイタケ、チャカイガラ
タケおよびヒトクチタケからなる群より選択されたサル
ノコシカケ科の担子菌、ならびにブナハリタケ、カバノ
アナタケ、ショウロ、ヌメリコウジタケおよびオオヒラ
タケからなる群より選択される担子菌の培養液又は菌体
の抽出液群のメラニン生成抑制成分の1種又は2種以上
を配合することを特徴とする皮膚外用剤が提供される。
これらの担子菌類の培養液又は菌体からの抽出液は、メ
ラニン生成抑制成分による美白効果をはじめとする老化
防止に著しく優れている。 【0007】 【発明の具体的説明】本発明者は、担子菌類のうち、シ
メジ科のヌメリツバタケ及びモエギタケ科のヌメリスギ
タケを用い、培養液又は菌体抽出液にメラニン生成抑制
成分を生産すべく研究を重ねたところ、糖類を炭素源と
した通気攪拌液体培養により得られた培養液又は菌体抽
出液にマウスメラノーマB16細胞のメラニン生成を強
く抑える成分があることを最初に見いだしたほか、正常
ヒト皮膚線維芽細胞の増殖及びコラーゲン産生を促す効
果、ケラチノサイトの増殖効果ならびに保湿効果がある
ことを見いだした。 【0008】次に、担子菌類数十種類について同様な効
果を得るべく鋭意研究を行った結果、シメジ科、モエギ
タケ科、ハリタケ科、サルノコシカケ科、キコブタケ
科、シロキクラゲ科、ショウロ科、アミタケ科およびヒ
ラタケ科の特定の担子菌類の培養液、又は菌体の抽出液
のメラニン生成抑制成分による美白効果を見いだしたほ
か、それらがヒト皮膚細胞の活性化作用及び高い保湿性
も有することを確認して本発明を完成した。 【0009】本発明の担子菌類としては、シメジ科、モ
エギタケ科、ハリタケ科、サルノコシカケ科、キコブタ
ケ科、シロキクラゲ科、ショウロ科、アミタケ科および
ヒラタケ科に属する特定の担子菌が使用可能であるが、
特にシメジ科のヌメリツバタケ、マツオオジ、シロタモ
ギタケ、フチドリツエタケ、ムラサキシメジおよびナラ
タケ、モエギタケ科のシロナメツムタケ、チャナメツム
タケおよびヌメリスギタケ、ハリタケ科のブナハリタ
ケ、サルノコシカケ科の、シロマイタケ、チャカイガラ
タケおよびヒトクチタケ、キコブタケ科のカバノアナタ
、ショウロ科のショウロ、アミタケ科のヌメリコウジ
タケおよびヒラタケ科のオオヒラタケが用いられる。 【0010】本発明における培養液としては、炭素源、
窒素源、無機塩類などを含む液体培地に担子菌の種菌を
接種し、15ないし35℃、好ましくは20ないし30
℃の温度条件で、5ないし45日間、好ましくは10な
いし30日間、通気攪拌培養後、培養物から菌体を遠心
分離又はろ別などにより除去した溶液又はその溶液を減
圧濃縮機などで濃縮したものが好適なものとして開示で
きる。また、有効性、安全性をさらに高めるため、培養
液を限外ろ過または逆浸透膜処理したもの若しくは活性
炭又は各種樹脂、例えばセパビーズSP−850(三菱
化学(株))などで処理したもの、又はそれらの濃縮物
も含まれる。 【0011】本発明における菌体抽出液とは、上記の培
養物からろ別して得られた菌体をそのまま若しくは細断
後、水及び/又は有機溶媒にて充分抽出したもの、また
はその濃縮液が好適なものとして開示できる。有機溶媒
としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアル
コール、ブタノール、グリセリン、エチレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコールおよびアセトンなどが
好ましく使用される。また、有効性、安全性をさらに高
めるため上記菌体抽出液又はその希釈液若しくは濃縮液
を限外ろ過又は逆浸透膜処理したもの若しくは活性炭又
は各種樹脂例えばセパビーズSP−205(三菱化学
(株))などで処理したもの、又はそれらを希釈又は濃
縮物したものも含まれる。以上のようにして得られた本
発明による担子菌類の培養液若しくは菌体抽出液は、メ
ラニン生成抑制成分による美白効果に優れており、また
同時に、細胞賦活効果及び保湿効果も併せ持っており、
皮膚に対し何ら傷害を与えるものでなく安全性にも優れ
ている。 【0012】保湿性に関しては、粘性物(多糖)を生産
する担子菌において特にその効果が高いことが認められ
た。粘性物を生産する担子菌としては、特にヌメリスギ
タケ、シロマイタケ、チャカイガラタケおよびヒトクチ
タケが好ましいものとして例示できる。これらの担子菌
が生産する粘性物は、菌体を除去した培養液中に認めら
れ、その粘性および皮膚に対する優れた感触(すべり
感、なじみ感など)により容易に識別し得る。また、培
養液の濃縮物又は培養菌体から粘性物を抽出液として得
る場合には、粘性物が水溶性であるという特徴から、
水、または50%以下、好ましくは20%以下のアルコ
ール類による抽出が望ましい。 【0013】また、粘性物を単離する場合には、粘性物
の白い沈殿が生ずるまでアルコール類を添加し、遠心分
離又はろ別することにより得ることができる。得られた
粘性物は、医薬品、化粧料への利用ばかりではなく食品
や工業製品等への増粘剤としての利用が可能である。 【0014】本発明の皮膚外用剤は、皮膚施用上適する
ものであれば特に制限はなく、例えばパップ剤、プラス
ター剤、ペースト剤、クリーム、軟膏、エアゾール剤、
乳剤、ローション、乳液、エッセンス、パック、ゲル
剤、パウダー、ファンデーション、サンケア、バスソル
トなどの医薬品、医薬部外品および化粧料として許容し
得る公知の形態で幅広く使用に供されるものである。こ
のように、本発明の皮膚外用剤は、前述の有効成分を含
有する溶液を皮膚施用上許容し得る公知の剤型に配合し
て製造するものであり、その配合量は培養方法、処理方
法、濃縮度合い、および配合する製剤の形態によって多
少異なるが、通常、培養液または菌体抽出液あるいはそ
れらの濃縮液を製剤中に0.05ないし50重量%、好
ましくは0.1ないし10重量%程度配合するのが好ま
しい。 【0015】本発明の皮膚外用剤を調製する場合、通常
に用いられる種々の公知の有効成分、例えば、塩化カル
プロニウム、セファランチン、ビタミンE、ビタミンE
ニコチネート、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチ
ン酸ベンジル、ショウキョウチンキおよびトウガラシチ
ンキなどの末梢血管拡張剤、カンフル、メントールおよ
びハッカ油などの清涼剤、ヒノキチオール、塩化ベンザ
ルコニウムおよびウンデシレン酸などの抗菌剤、副腎皮
質ホルモン、ε−アミノカプロン酸、塩化リゾチーム、
グリチルリチンおよびアラントインなどの消炎剤、コウ
ジ酸、アスコルビン酸およびアルブチンなどの色白剤、
胎盤抽出液、肝臓抽出物、紫根エキスおよび乳酸菌培養
抽出物などの動物・植物・微生物由来の各種抽出物など
をその時々の目的に応じて適宜添加して使用することが
できる。さらに、前述の医薬品、医薬部外品、化粧料に
は、公知の有効成分に加え、油脂類などの基剤成分の
他、必要に応じて公知の紫外線吸収剤/散乱剤、保湿
剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香
料および着色剤など種々の添加剤を併用できる。 【0016】 【実施例】次に、本発明の実施例並びにその効果を示す
ための試験例を挙げるが、これらは本発明を何ら限定す
るものではない。 <製造例1>グルコース45g、ペプトン3g、酵母エ
キス3g、KH2 PO4 0.75gを精製水1500m
lに溶解後、pH5.5に調整し、120℃で15分間
殺菌した。30℃に冷却後、ヌメリスギタケの種菌をこ
れに接種し、通気攪拌培養をグルコース残量が0.3%
以下になるまで30℃で18日間行った。培養物を遠心
分離して菌体を除いた後、その培養液に、活性炭を0.
2%添加し攪拌後、セライト(粘土質ろ過助剤)を用い
てろ過を行った。本ろ液を0.45μmメンブレンろ過
し、1.4kgの生成物を得た。 【0017】<製造例2>製造例1の培養物から遠心分
離により集めた菌体を水洗後、ナイロンメッシュろ布に
取り水分をきり、菌体68gを得た。本菌体に50%エ
タノール476mlを添加後、ミキサーで粉砕抽出し遠
心分離により上澄液を得た。上澄液を0.45μmメン
ブレンろ過し、0.4kgの生成物を得た。 【0018】<製造例3>グルコース45g、ペプトン
3g、酵母エキス3g、KH2 PO4 0.75gを精製
水1500mlに溶解後、pH6.0に調整し、120
℃で15分間殺菌した。30℃に冷却後、ヌメリツバタ
ケの種菌をこれに接種し、通気攪拌培養をグルコース残
量が0.3%以下になるまで30℃で20日間行った。
培養物を遠心分離して菌体を除いた後、その培養液に、
活性炭を0.3%添加し、セライトろ過を行った。本ろ
液を0.45μmメンブレンろ過し、1.4kgの生成
物を得た。 【0019】<製造例4>製造例3の培養物から遠心分
離により集めた菌体を水洗後、ナイロンメッシュろ布に
取り水分をきり、菌体54gを得た。本菌体に10%エ
タノール378mlを添加後、ミキサーで粉砕抽出し遠
心分離により上澄液を得た。上澄液を0.45μmメン
ブレンろ過し、0.3kgの生成物を得た。 【0020】<製造例5>グルコース15g、ペプトン
1.5gを馬鈴薯抽出液(馬鈴薯200gに水1500
mlを加え煮沸後、ろ布ろ過し1500mlにフィルア
ップしたもの)に溶解後、pH4.5に調整し、120
℃で15分間殺菌した。30℃に冷却後、シロナメツム
タケの種菌をこれに接種し、通気攪拌培養をグルコース
残量が0.3%以下になるまで30℃で22日間行っ
た。培養物を遠心分離して菌体を除いた後、その培養液
にセパビーズSP−205(三菱化学(株))を2%添
加し、ろ紙ろ過を行った。本ろ液を0.45μmメンブ
レンろ過し、1.4kgの生成物を得た。 【0021】<製造例6>グルコース45g、ペプトン
3g、酵母エキス3g、KH2 PO4 0.75gを精製
水1500mlに溶解後、pH5.5に調整し、120
℃で15分間殺菌した。30℃に冷却後、ブナハリタケ
の種菌をこれに接種し、通気攪拌培養をグルコース残量
が0.2%以下になるまで30℃で22日間行った。培
養物を遠心分離して菌体を除いた後、その培養液に、活
性炭を0.2%添加しセライトろ過を行った。本ろ液を
減圧濃縮機を用いて1/2量に濃縮した。本濃縮液を
0.45μmメンブレンろ過し、0.7kgの生成物を
得た。 【0022】<製造例7>グルコース45g、ペプトン
3g、酵母エキス3g、KH2 PO4 0.75gを精製
水1500mlに溶解後、pH5.5に調整し、120
℃で15分間殺菌した。30℃に冷却後、コフキサルノ
コシカケの種菌をこれに接種し、通気攪拌培養をグルコ
ース残量が0.2%以下になるまで30℃で20日間行
った。培養物を遠心分離して菌体を除いた後、その培養
液に、活性炭を0.2%添加しセライトろ過を行った。
本ろ液を0.45μmメンブレンろ過し、1.3kgの
生成物を得た。 【0023】 【0024】 【0025】 【0026】 【0027】 【0028】 【0029】<製造例> グルコース30g、ペプトン3g、酵母エキス3g、K
2 PO4 0.75gを精製水1500mlに溶解後、
pH6.0に調整し、120℃で15分間殺菌した。3
0℃に冷却後、ショウロの種菌をこれに接種し、通気攪
拌培養をグルコース残量が0.2%以下になるまで30
℃で28日間行った。培養物を遠心分離して菌体を除い
た後、その培養液に、活性炭を0.2%添加しセライト
ろ過後、SP−850(三菱化学(株))を2%添加し
ろ紙によるろ過を行った本ろ液のRO膜(分子量100
0カット)透過液を0.45μmメンブレンろ過し、
1.4kgの生成物を得た。 【0030】 【0031】 【0032】<製造例> グルコース30g、ペプトン3g、酵母エキス3g、K
2 PO4 0.75gを精製水1500mlに溶解後、
pH6.0に調整し、120℃で15分間殺菌した。3
0℃に冷却後、ムラサキシメジの種菌をこれに接種し、
通気攪拌培養をグルコース残量が0.2%以下になるま
で30℃で20日間行った。培養物を遠心分離して菌体
を除いた後、その培養液に、活性炭を0.2%添加しセ
ライトろ過後、SP−206(三菱化学(株))を3%
添加、撹拌し、ろ過を行った。本ろ液のRO膜(分子量
1000カット)透過液を集め、本発明品1.3kgを
得た。 【0033】<製造例10> グルコース45g、ペプトン3g、酵母エキス3g、K
2 PO4 0.5g、MgSO4 0.5gを精製水15
00mlに溶解後、pH6.0に調整し、120℃で1
5分間殺菌した。30℃に冷却後、ナラタケの種菌をこ
れに接種し、通気攪拌培養をグルコース残量が0.5%
以下になるまで30℃で22日間行った。培養物を遠心
分離して菌体を除いた後、その培養液に、活性炭を0.
2%添加しセライトろ過を行った。本ろ液を0.22μ
mメンブレンろ過し、本発明品1.4kgを得た。 【0034】<製造例11> グルコース30g、ペプトン3g、酵母エキス3g、K
2 PO4 0.75g、MgSO4 0.5gを精製水1
500mlに溶解後、pH6.0に調整し、120℃で
15分間殺菌した。30℃に冷却後、ヌメリコウジタケ
の種菌をこれに接種し、通気攪拌培養をグルコース残量
が0.3%以下になるまで30℃で19日間行った。培
養物を遠心分離して菌体を除いた後、その培養液に、活
性炭を0.5添加しセライトろ過を行った。そのろ液を
3倍濃縮し、濃縮液と等量の99%エタノールを添加し
撹拌後、一晩静置した。本ろ液から沈殿をろ別した。本
ろ液を0.22μmメンブレンろ過し、本発明品0.9
kgを得た。 【0035】<製造例12> グルコース45g、ペプトン5g、酵母エキス3g、K
2 PO4 0.5gを精製水1500mlに溶解後、p
H5.5に調整し、120℃で15分間殺菌した。30
℃に冷却後、チャナメツムタケの種菌をこれに接種し、
通気攪拌培養をグルコース残量が0.3%以下になるま
で30℃で21日間行った。培養物を遠心分離して菌体
を除いた後、その培養液に、活性炭を0.3%添加しセ
ライトろ過を行った。本ろ液を0.22μmメンブレン
ろ過し、本発明品1.4kgを得た。 【0036】<製造例13> グルコース30g、ペプトン3g、酵母エキス3g、K
2 PO4 0.75g、MgSO4 0.5gを精製水1
500mlに溶解後、pH6.0に調整し、120℃で
15分間殺菌した。30℃に冷却後、オオヒラタケの種
菌をこれに接種し、通気攪拌培養をグルコース残量が
0.2%以下になるまで30℃で18日間行った。培養
物を遠心分離して菌体を除いた後、その培養液に、活性
炭を0.3%添加しセライトろ過を行った。ろ液のpH
を7.5に調整し、アクチナーゼE(科研製薬(株))
を0.003%添加し、一晩撹拌後、ろ過を行った。本
ろ液のRO膜(分子量1000カット)透過液を集め、
pHを6.5に調整し、本発明品1.3kgを得た。 【0037】<試験例1> マウスメラノーマB16細
胞の色白化試験試験方法 試料をMEM(Eagle's Minimum Essential Medium)に
最終濃度が表1に示す濃度になるように調製、溶解し、
孔径0.45μmの除菌フィルターでろ過した。MEM
に不溶性の試料は、100μlのエタノールに溶解後、
MEMに添加した。2枚のプラスチックシャーレ(Falc
on製、内径9cm)にそれぞれ、試料を溶解・ろ過除菌
したMEMを8ml、FBS(ウシ胎児血清)1mlお
よびMEM1mlに懸濁した1×105 個/mlのB1
6細胞を添加し、培養開始3日後に培地交換を行い、計
5日間、5%CO2 、95%空気条件下、37℃で培養
した。培養終了後、シャーレの底に増殖した細胞を集め
Phosphate buffered saline(PBS) に懸濁させ、2,0
00rpmで3分間遠心分離を行い、得られた細胞ペレ
ットの黒化度を肉眼的に評価した。また、培養終了後の
細胞数をカウントし、細胞増殖率を算出した。表1にお
いて、肉眼的色調における+−は、下記の評価を示す。 ±:無添加区と同程度の黒化度を示す。 +:無添加区よりやや少ない黒化度を示す。 ++:無添加区より明らかに少ない黒化度を示す。 +++:僅かに認められる黒化度を示す。 ++++:白色ないし灰色で黒色と認められない。 +++++:白色。 【0038】試験結果 表1−1ないし1−に示すごとく、サンプル添加濃度
に依存してB16細胞白色化効果が認められた。 【0039】【0040】【0041】 【0042】【0043】 【0044】考察 表1−1ないし1−に示した結果は、製造例毎に有効
添加濃度が異なるため、予備試験を行い細胞数に減少が
少なくかつ有効性の高い濃度を求めた後、再試験した値
である。担子菌の培養液及び菌体抽出液には濃度依存的
にマウスメラノーマB16細胞のメラニン生成抑制作用
が認められたことから皮膚の美白作用があると考えられ
る。 【0045】<試験例2> ヒト線維細胞の増殖促進お
よびコラーゲン生成亢進試験試験方法 ヒト由来正常皮膚線維芽細胞(CCD−27SK)を直
径3.5cmのプラスチッククシャーレ(Falcon 3001
)に0.8×105 個播種し、10%ウシ胎児血清を
含むイーグルMEM培地で1日培養後、培地を表皮角化
細胞増殖培地(K−GM:クラボウ社)に置換すると同
時に、本発明の試料を最終濃度が表2に示す濃度になる
ように添加し、さらに3日間培養した。培養終了後、培
養液を除去し、トリプシンで細胞を剥離し、血球カウン
ターを用いて細胞数を測定し、エタノール添加のものと
比較した。また、培養上清をサンプリングし、この培養
液についてプロコラーゲン量を測定した。なお、プロコ
ラーゲンの測定には、Procollagen TypeI C-peptide
(PIP)測定キット(宝酒造株式会社製)を用い、試料無
添加区のものをコントロールとし、添加区とのコラーゲ
ン量比で表した。 【0046】試験結果 表2−1および2−2に示すごとく、担子菌の培養液及
び菌体抽出液は、線維芽細胞の増殖を促進し、コラーゲ
ン産生量も対照より亢進した。 【0047】 【0048】【0049】考察 細胞数が最初の播き数よりも減少するのは、培地交換時
に細胞数が半減するためで、試料添加後はいずれの群も
増殖している。したがって、担子菌の培養液及び菌体抽
出液には線維芽細胞の増殖能があり、また、産生コラー
ゲン量もこれらの添加により増加することから、細胞の
活性化作用があると考えられる。 【0050】<試験例3> ヒトケラチノサイトの増殖
促進試験試験方法 ヒト胸由来ケラチノサイト(クラボウ社)を直径3.5
cmプラスチックシャーレ(Falcon 3001 )に0.7×
105 個播種し、表皮角化細胞増殖培地(K−GM:ク
ラボウ社)で1日培養後、表皮角化細胞基礎培地(K−
BM:クラボウ社)に培地置換すると同時に最終濃度が
表3に示す濃度になるように本発明の試料を添加し、さ
らに3日間培養した。培養終了後は、培養液を除去し、
トリプシンで細胞を剥離し、血球カウンターを用いて細
胞数を測定し、エタノール添加のものと比較した。 【0051】試験結果 表3−1ないし3−に示すごとく、担子菌の培養液又
は菌体抽出液を添加することにより細胞増殖を促進し
た。【0052】【0053】 【0054】【0055】 【0056】考察 細胞数が最初の播き数よりも減少するのは、培地交換時
に細胞数が半減するためで、試料添加後はいずれの群も
増殖している。したがって、担子菌の培養液及び菌体抽
出液にはケラチノサイトの増殖能があると考えられる。 【0057】<試験例4> インピーダンスメーターに
よる保湿性試験 高周波インピーダンスメーター(IBS社製:MODEL IB
-355)を用い、精製水をコントロールとして、製造例で
得られた生成物の保湿性を調べた。他の保湿剤と比較す
るために保湿性が高いヒアルロン酸ナトリウムを対照と
して同様に調べた。測定方法 ヒト前腕部内側に試料を塗布(2cm×2cm)し、3
0秒後すばやくガーゼで軽く拭き取り、1分毎に皮膚の
電導度(コンダクタンス)を経時的に5分まで測定し
た。 (測定条件:測定室内温度20℃、湿度60%、測定回
数n=10) 測定結果 表4−1ないし4−3に示すごとく、担子菌培養液及び
菌体抽出液には、高い保湿性が認められた。 【0058】 【0059】【0060】 【0061】考察 表4−1ないし4−の結果は、電導度が高いほど保湿
性が高いことを示しており、本発明の担子菌の培養液及
び菌体抽出液は、保湿性が優れているヒアルロン酸ナト
リウムと同程度の保湿性を示しており、保湿剤として優
れていることが確認された。 【0062】 【処方例】以下に、本発明の皮膚外用剤の処方例を示
す。処方例中、適量とは、処方全体で100重量%にな
る割合を意味する。 【0063】 <処方例1> クリーム1 (重量%) A モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.0.) 2.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 5.0 ステアリン酸 5.0 ベヘニルアルコール 1.0 流動パラフィン 10.0 トリオクタン酸グリセリル 10.0 B グリセリン 5.0 エチルパラベン 0.1 本発明の担子菌培養液(製造例1のもの) 3.0 精製水 適 量 ────────────────────────────────── Aに属する成分を加熱溶解する。別に、Bに属する成分
を加熱溶解する。AにBを添加して攪拌、乳化後、冷却
してクリームを製造した。 【0064】 【0065】 【0066】 【0067】 <処方例> 化粧水1 (重量%) A ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.0.) 8.0 エタノール 15.0 本発明の担子菌培養液(製造例のもの) 12.0 エチルパラベン 0.1 クエン酸 0.1 クエン酸ナトリウム 0.3 1,3−ブチレングリコール 4.0 エデト酸二ナトリウム 0.01 精製水 適 量 上記の各成分を混合、均一に攪拌、溶解し化粧水を製造
した。 【0068】 <処方例> 化粧水2 (重量%) A ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.0.) 8.0 エタノール 15.0 製造例の担子菌をシロマイタケに代えたもの 12.0 エチルパラベン 0.1 クエン酸 0.1 クエン酸ナトリウム 0.3 1,3−ブチレングリコール 4.0 エデト酸二ナトリウム 0.01 精製水 適 量 上記の各成分を混合、均一に攪拌、溶解し化粧水を製造
した。 【0069】 <処方例> クリームパック1 (重量%) A ビーガム 5.0 スクワラン 2.0 プロピレングリコール 5.0 製造例3の担子菌をマツオオジに代えたもの 0.5 ビタミンB12 0.05 精製水 適 量 B 酸化亜鉛 10.0 C エタノール 5.0 Aに属する成分を混合、攪拌して膨潤させ、Bを少しず
つ加える。これにCを徐々に加えてペースト状になるま
で混練しクリームパックを製造した。 【0070】 <処方例> クリームパック2 (重量%) A ビーガム 5.0 スクワラン 2.0 プロピレングリコール 5.0 製造例13の担子菌をチャカイガラタケに代えたもの 0.5 ビタミンB12 0.05 精製水 適 量 B 酸化亜鉛 10.0 C エタノール 5.0 Aに属する成分を混合、攪拌して膨潤させ、Bを少しず
つ加える。これにCを徐々に加えてペースト状になるま
で混練しクリームパックを製造した。 【0071】 【0072】 【0073】 <処方例> エアゾール剤 (重量%) A コウジ酸 2.0 製造例4の担子菌をフチドリツエタケに代えたもの 5.0 ニコチン酸ベンジル 0.01 ビタミンEアセテート 0.05 セタノール 1.2 プロピレングリコール 4.0 エタノール 8.0 精製水 適 量 B LPG 7.0 Aに属する成分を均一に混合溶解してエアゾール容器に
入れ、常法によりBを容器に充填してエアゾール剤を製
造した。上記の処方例1ないし6は、いずれも表1−1
ないし4−に開示したとおりの本発明の目的を満足す
る効果を有する製剤であることが確認された。 【0074】 【0075】 【発明の効果】本発明によれば、シメジ科、モエギタケ
科、ハリタケ科、サルノコシカケ科、キコブタケ科、シ
ロキクラゲ科、ショウロ科、アミタケ科及びヒラタケ科
からなる群より選択される特定の担子菌の培養液又は菌
体の抽出液群のメラニン生成抑制成分の1種又は2種以
上を配合した皮膚外用剤が提供され、この皮膚外用剤は
皮膚に塗布した場合、全く副作用がなく、美白効果のほ
かに細胞賦活効果及び保湿効果等の機能を併せて発揮す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 17/00 A61P 17/00 43/00 101 43/00 101 // C12P 1/02 C12P 1/02 A (C12P 1/02 C12R 1:645) C12R 1:645 (56)参考文献 特開 昭63−8336(JP,A) 特開 昭64−90119(JP,A) 特開 平2−121905(JP,A) 特開 昭61−129113(JP,A) 特開 昭61−260006(JP,A) 特開 平7−258062(JP,A) 特開 平7−187949(JP,A) 特開 平7−258022(JP,A) Coletto,M.A.B,Ant ibiotic activity i nbasidiomycetes II I.Antibacterialact ivity of mycelia a nd culture filtrar es,ALLONIA(TURIN), 1987年,Vol.28,No.0,pp. 165−170 友田正司,生薬の生物活性多糖をめぐ って(1),現代東洋医学,1989年,V ol.10,No.1,pp.78−83 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/48 A61K 7/00 A61K 35/84 BIOSIS(STN) CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ヌメリツバタケ、マツオオジ、フチドリ
    ツエタケ、ムラサキシメジおよびナラタケからなる群よ
    り選択されたシメジ科の担子菌、シロナメツムタケ、チ
    ャナメツムタケおよびヌメリスギタケからなる群より選
    択されたモエギタケ科の担子菌、シロマイタケ、チャカ
    イガラタケおよびヒトクチタケからなる群より選択され
    たサルノコシカケ科の担子菌、ならびにブナハリタケ、
    カバノアナタケ、ショウロ、ヌメリコウジタケおよびオ
    オヒラタケからなる群より選択される担子菌の培養液又
    は菌体の抽出液群のメラニン生成抑制成分の1種又は2
    種以上を配合することを特徴とする皮膚外用剤。
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