JPH11228425A - Il−12産生誘導組成物 - Google Patents
Il−12産生誘導組成物Info
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- JPH11228425A JPH11228425A JP10048763A JP4876398A JPH11228425A JP H11228425 A JPH11228425 A JP H11228425A JP 10048763 A JP10048763 A JP 10048763A JP 4876398 A JP4876398 A JP 4876398A JP H11228425 A JPH11228425 A JP H11228425A
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Abstract
のIL−12産生誘導を他の物質の併用により相乗的に
活性化させること。 【解決手段】自体IL−12産生誘導活性を示さないニ
ゲロース、ニゲロオリゴ糖などをラクトバチルス属に属
する菌またはその処理物と併用投与することにより、I
L−12の産生誘導を相乗的に促進させることができ
る。
Description
(Lactobacillus)属に属する菌またはその処理物とた
とえば、ニゲロースまたはニゲロオリゴ糖類などの3−
O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成
単位として含有する糖類を有効成分として含むインター
ロイキン12(以下、IL−12と略記する。)産生誘
導組成物に関する。
激因子、細胞障害性リンパ球成熟因子などとも呼ばれ、
B細胞、単球、マクロファージから産生される分子量約
70,000の糖蛋白質である。その生物活性として
は、静止期のT細胞およびナチュラルキラー(NK)細
胞からのインターロイキンγ産生の誘導、NK細胞活性
の亢進、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞活性
の誘導、静止期T細胞のレクチン刺激による細胞増殖能
の亢進、ナイーブT細胞からTH−1細胞への分化の促
進などが知られており、生体の免疫系に深く関与してい
る物質である。また、アレルギーや自己免疫疾患の発症
機序の1つに、TH−1の活性がTH−2の活性に比して
低下した場合が有ると考えられており、ナイーブT細胞
からのTH−1細胞への分化促進、TH−1細胞の活性化
を促進する作用を有するIL−12は、アレルギーや自
己免疫疾患の発症を抑制する効果があると期待されてい
る。一方、従来から、3−O−α−D−グルコピラノシ
ル−D−グルコースを構成単位として含む糖類がいくつ
か知られている。例えば、3−O−α−D−グルコピラ
ノシル−D−グルコースを構成単位として含む多糖とし
て、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の
菌糸中に含有されるニゲラン、そのニゲランの部分酸加
水分解等によって得られるα−D−グルコピラノース
(1→3)−α−D−グルコピラノース(1→4)−α
−D−グルコピラノース(1→3)−D−グルコース
(以下、ニゲランテトラサッカライドと称する)をはじ
めとする様々な3−O−α−D−グルコピラノシル−D
−グルコースを構成単位として含有するオリゴ糖、さら
には、上記のニゲランの加水分解によっても得ることが
可能であり、また、蜂蜜、麹汁、ビール等にも含有され
る、ニゲロースと称される3−O−α−D−グルコピラ
ノシル−D−グルコース(図解糖質便覧、70頁)など
である。
ルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有
する糖類が、抗原受容体を介する刺激により活性化され
たTリンパ球およびBリンパ球の活性をさらに上昇さ
せ、また、菌体成分またはレクチンを認識する受容体を
介する刺激により、抗原非特異的に活性化されたTリン
パ球およびBリンパ球の活性をさらに上昇させることを
見出し、3−O−α−D−グルコピラノシル−Dグルコ
ースを構成単位として含む糖類を有効成分として含有す
る免疫賦活剤の発明を完成し、既に特許出願をした(特
開平9−52834号)。その後本発明者らは、乳酸菌
の1種であるラクトバチルス・プランタラム(Lactobac
illus plantarum)L−137株の菌体がTリンパ球共
刺激作用を示すこと、また該菌体が抗原受容体を介する
刺激により活性化されたTリンパ球の活性をさらに上昇
させ、抗原受容体以外の経路により抗原非特異的に活性
化されたTリンパ球の活性をも上昇させることを突き止
めた。これらTリンパ球の活性化に伴い、Tリンパ球の
インターフェロン−γの産生が増強される一方、Bリン
パ球への抗原受容体を介する刺激および抗原受容体以外
の経路による活性化は抑制される事実も判明した。これ
とは別に該菌体がマクロファージのIL−12の産生を
選択的に促進する作用を有していることも判明した。
L−137菌体は、抗原受容体を介するTリンパ球の活
性化を上昇させることにより、生体内で常時起こってい
る微生物および腫瘍細胞に対する排除反応を高め、特に
インターフェロン−γの産生を増強することから、ウイ
ルスや腫瘍に対する防御能を高める。しかし、単独では
リンパ球はほとんど活性化しないことから、生体にとっ
て好ましくない免疫応答を誘導せず、また、Bリンパ球
の抗原受容体を介する活性化や抗原非特異的な活性化を
抑制することにより、免疫賦活に伴い予測されるBリン
パ球のポリクロナールな活性化により誘導される自己免
疫疾患等は増悪させない。またラクトバチルス・プラン
タラムL−137菌体は、腫瘍細胞障害性を有するナチ
ュラルキラー細胞を活性化するサイトカインであるIL
−12のマクロファージからの産生を高める結果、腫瘍
に対する防御能を特に高めるとともに、後天性免疫不全
症候群(AIDS)の発症予防にも有用である。しかし腫瘍
壊死因子αの産生は軽度にしか上昇させないため、通常
のマクロファージの活性化剤により上昇する腫瘍壊死因
子αにより引き起こされる、発熱、体重減少などの副作
用を誘導しない。これらの知見を基に、本発明者らは、
ラクトバチルス属に属する菌またはその処理物を含む免
疫賦活剤の発明を成し遂げ、既に特願平8−28933
3号として特許出願した。
者らはラクトバチルス属に属する菌体にIL−12産生
誘導促進効果の存することを見出したが、その効果は該
菌単独では必ずしも充分なものではなく、より早く、よ
り強力にその効果を発揮させる手段が他にないものかと
鋭意研究を重ねてきた。
クトバチルス属に属する菌体と併用することにより相乗
効果を発揮させるような物質がないか種々検討を行った
ところ、3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グル
コースを構成単位とする糖類、特にニゲロースが顕著な
相乗効果を示すことを知見し、その知見に基づいて更に
研究を重ねて本発明を完成するに至った。すなわち、本
発明は、(1)ラクトバチルス(Lactobacillus)属に
属する菌またはその処理物と3−O−α−Dグルコピラ
ノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類
を有効成分として含むIL−12産生誘導組成物、
(2)ラクトバチルス属に属する菌がラクトバチルス・
プランタラム(Lactobacillus plantarum)である前記
(1)記載のIL−12産生誘導組成物、(3)ラクト
バチルス属に属する菌がラクトバチルス・プランタラム
L−137株(Lactobacillus plantarum L−137)
である前記(1)記載のIL−12産生誘導組成物、お
よび(4)糖類がニゲロースである前記(1)〜(3)
のいずれかに記載のIL−12産生誘導組成物、であ
る。
バチルス属に属し、B細胞、単球、マクロファージのI
L−12の産生を誘導、促進する作用を有するものであ
ればどのような菌でもよい。菌のマクロファージのIL
−12産生促進作用は、たとえばマウス腹腔マクロファ
ージを組織培養プレートで培養し、ラクトバチルス属に
属する菌を添加し、一定期間培養して培地中のIL−1
2濃度をエンザイムイムノアッセイで測定することによ
り容易に判定することができる。本発明に用いられるラ
クトバチルス属に属する菌の代表的なものとしてラクト
バチルス・プランタラムL−137を挙げることができ
るが、この菌は工業技術院生命工学工業技術研究所に平
成7年11月30日に受託番号FERM P−1531
7,微工研 菌寄第15317号として寄託されてお
り、その菌学的性質は特開平9−163977号に詳し
く記載されている。さらにこの菌については、Journal
of Fermentation and Bioengineering, Vol. 73, No.3,
193-197(1992)及び Vol. 80, No.2, 124-130(1995)に
も報告されている。本発明に用いられるラクトバチルス
属に属する菌は、天然培地、合成培地、半合成培地など
の培地に培養することにより大量に得ることができる。
するものが用いられる。窒素源としては、たとえば、肉
エキス、ペプトン、グルテン、カゼイン、酵母エキス、
アミノ酸等であり、炭素源としては、たとえば、グルコ
ース、キシロース、フラクトース、イノシトール、水ア
メ、麹汁、澱粉、バカス、フスマ、糖蜜、グリセリン等
が用いられる。このほか、無機質として、たとえば硫酸
アンモニウム、リン酸カリウム、塩化マグネシウム、食
塩、鉄、マンガン、モリブデン更に各種ビタミン類その
他を添加することができる。培養温度は25〜40℃、
好ましくは27〜35℃であり、培養時間は12〜48
時間程度であり、通気振盪してもよい。培地のpHは3
〜6、好ましくは4〜6である。培養終了後菌体を採取
し蒸留水を加え、遠心分離などの手段により上清を除
き、必要によりその操作を繰り返し、遠心分離や濾過等
により菌体を採取する。採取された菌体は生菌のまま、
またはたとえば過熱、紫外線照射、ホルマリン処理など
により不活性化して投与に適した剤型にすることもでき
る。分離された生菌体、死菌体はさらに摩砕や破砕処理
をし、得られた処理物を必要により加熱滅菌、無菌濾過
し、濾液を凍結乾燥して製品とすることもできる。菌体
の処理物にはたとえば、上記摩砕物、破砕物、それらか
らの抽出液、凍結乾燥品が含まれる。また、本発明に用
いられる乳酸菌の一種、ラクトバチルス・プランタラム
L−137株は、元々発酵食品であるブロングイスダ
から分離されたものであり、食品、たとえば果菜類、穀
類から選択された少なくとも1種または、果菜類や穀類
を発酵可能な形態に処理したもの、たとえば切断物、粉
砕物、摩砕物、搾汁、搾汁濃縮物を本発明において用い
られる菌により発酵させた菌を含む発酵物をそのまま用
いることができる。
O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成
単位として含有する糖類であり、その具体例としては、
前記したニゲロース、ニゲランテトラサッカライド、ニ
ゲロトリオースなどのニゲロオリゴ糖が挙げられ、これ
らは単独または2種以上を併用して用いてもよい。本発
明の組成物における菌体またはその処理物と糖類の使用
比率は重量比で1:1〜400、好ましくは1:5〜1
00である。本発明の組成物は、必要に応じて、さらに
種々の添加剤、例えば、医薬の担体、賦形剤、ビタミ
ン、アミノ酸、ミネラル、植物繊維、他の糖類、甘味
料、香料、牛乳、脱脂粉乳などの乳成分を加えてもよ
い。このようにして得られた本発明の組成物は、免疫力
を高めまたは調節する食品や医薬剤としても利用可能で
ある。用いる食品あるいは、食品成分、医薬担体または
賦形剤は特に限定するものではなく、当該組成物の具体
的用途に応じて当業者が適宜選択できる。また本発明の
組成物の形態も特に限定するものではなく、具体的用途
に応じて種々の固体や液体の形態とすることができる。
本発明の組成物は、医薬として用いる場合、錠剤、粉
剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤などの経口投与、あるい
は注射剤などの非経口投与が考えられるが、経口投与の
場合、本発明の菌体またはその処理物を1mg〜5g、
好ましくは4mg〜4gおよび本発明の糖類を4mg〜
40g、好ましくは10mg〜10g含む製剤を、また
注射剤の場合は、菌体またはその処理物を0.1mg〜
1g、好ましくは0.5mg〜500mg、糖類を2m
g〜20g、好ましくは10mg〜10g含む注射液
を、成人1日当たり1〜数回に分けて投与することによ
り、副作用を伴うことなく所期の目的を達することがで
きる。本発明の組成物を食品として用いる場合、調味
料、畜肉加工品、水産加工品、農産加工品、ステープ
ル、調味食品、調味済食品、デザート類、乳油製品、菓
子、スナック菓子等の形態で提供することも可能であ
る。本発明のIL−12産生誘導組成物は、たとえば、
ウイルス、バクテリヤ等の微生物による感染症や各種悪
性腫瘍などの予防・治療や免疫力調整に有効である。
本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに
よって限定されるものではない。 参考例1 ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥菌体の製
造方法 乳酸菌培養培地であるGYP培地のグルコースの代わり
にスターチを加えた培地200mlにラクトバチルス・
プランタラムL−137をスターターとして1重量%接
種し、32℃で24時間前培養を行った。ついで、6L
のGYP培地に前述の培養液をスターターとして1重量
%接種し、32℃にて24時間静地培養した。培養後、
5000rpmで35分間遠心分離し、上清を除き、菌
体を集めた。さらに、集めた菌体ペーストを生理食塩水
に良く分散し、5000rpmで35分遠心分離したの
ち、上清を除き菌体を集めた。これを3回繰り返したの
ち、蒸留水に分散し、70℃で10分間殺菌した。これ
を凍結乾燥し、乾燥菌体を7.07g得た。
0分間超音波処理をして懸濁溶解させ、さらに水を加え
て全量を1000gにした後、65℃で10分間殺菌し
て清涼飲料水を得た。
乾燥して顆粒剤を得た。
ウム1gを混合し、打錠機で圧縮整形して900mgの
錠剤を得た。得られた錠剤は1錠当たり、ニゲロースを
約180mg、ラクトバチルス・プランタラムL−13
7菌体を約9mg含有する。 実施例4 注射剤の処方ならびに調製法 ニゲロース50g、ラクトバチルス・プランタラムL−
137乾燥菌体0.2gを精製水1000mlに懸濁さ
せ、超音波処理した後、凍結乾燥した。この凍結乾燥物
を500本のバイアル瓶に分注して注射剤を得た。この
注射剤1バイアルには凍結乾燥物100.4mgが含ま
れており、2mlの生理食塩水に容易に懸濁溶解した。
に充填した。カプセル1個当たり、ニゲロースを250
mg、ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体を
30mg含有する。
るラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体
とニゲロースの相乗効果 マウス(C57BL/6、雌、16週齢)の腹腔内に無
菌的にRPMI 1640培地を注入し、腹部をよく揉
んだ後、注入したRPMI 1640培地を回収し腹腔
細胞浮遊液を得た。腹腔細胞浮遊液の細胞数とそれに含
まれるマクロファージの割合を自動血球計測装置で測定
した後、マクロファージとして1×106/mlの細胞
数にRPMI 1640培地で調製し、96穴組織培養
プレートに1穴当たり100μlを播種した。37℃の
5%炭酸ガス培養器内に2時間放置し、腹腔マクロファ
ージを各穴に付着させ、2時間後にRPMI 1640
培地で洗浄後、RPMI 1640培地を1穴当たり1
00μl加えた。これにRPMI 1640培地(対
照)あるいはラクトバチルス・プランタラムL−137
乾燥死菌体を0.4あるいは4μg/mlの濃度でRP
MI 1640培地に溶解した液をそれぞれ1穴当たり
50μl加えた。さらに、RPMI1640培地(対
照)あるいはニゲロースを128、640あるいは32
00μg/mlの濃度でRPMI 1640培地に溶解
した液を1穴当たり50μl加え、37℃の5%炭酸ガ
ス培養器内で15時間培養し、培養後の培養上清のIL
−12をエンザイムイムノアッセイで測定した。
ウスIL−12 IgG2a 抗体(Genzyme 社製)をホウ酸
緩衝液で6μg/mlに調製した溶液を、96穴組織培
養プレート1穴当たり100μl加え37℃で1日間放
置しラット抗マウスIL−12 IgG2a 抗体を各穴に付
着させたプレートを用いて行った。培養上清を1穴当た
り50μl加え室温で90分間放置し、培養上清のIL
−12をプレートに付着したラット抗マウスIL−12
IgG2a 抗体と結合させた。洗浄後ラット抗マウスIL
−12 IgG2a 抗体(Genzyme 社製)を加え、プレート
に結合させたIL−12に結合させた。洗浄後ペルオキ
シダーゼで標識した抗ラットIgG1抗体を加え、プレート
に結合させたラット抗マウスIL−12 IgG1 抗体に結
合させた。洗浄後、過酸化水素0.006%とオルトフ
ェニレンジアミン0.1%を含有するリン酸緩衝液を1
穴当たり100μl加え、室温で20分間反応させ、反
応を1.5N硫酸で停止し、マイクロプレートリーダー
で吸光度492nmを測定し、リコンビナントマウスI
L−12で作成した標準曲線から、培養上清中のIL−
12の濃度を求めた。〔表1〕にその結果を示す。
ラムL−137乾燥死菌体は単独でもマクロファージか
らのIL−12の産生を誘導したが、ニゲロース単独で
はその作用はなかった。しかし、ラクトバチルス・プラ
ンタラムL−137乾燥死菌体にニゲロースを添加する
と、IL−12の産生がラクトバチルス・プランタラム
L−137乾燥死菌体単独にくらべ大幅に上昇し、IL
−12産生誘導におけるラクトバチルス・プランタラム
L−137乾燥死菌体とニゲロースの相乗効果が検証さ
れた。
タラムL−137乾燥死菌体とニゲロースの相乗効果 21週齢、雌性のDBA/2マウス(1群5匹)に連続
して4日間毎日、(1)生理食塩水0.45ml、
(2)ニゲロースを100mg/mlの濃度に生理食塩
水で調製した溶液0.3ml、(3)ラクトバチルス・
プランタラムL−137乾燥死菌体を1mg/mlの濃
度に生理食塩水で調製した溶液0.15ml、および
(4)ニゲロースを100mg/mlの濃度に生理食塩
水で調製した溶液0.3mlとラクトバチルス・プラン
タラムL−137乾燥死菌体を1mg/mlの濃度に生
理食塩水で調製した溶液0.15mlをそれぞ腹腔内投
与した。4日目の投与の4時間後にマウスの眼底静脈か
ら採血し、血漿を分離し、IL−12をエンザイムイム
ノアッセイで測定した。結果を〔表2〕に示す。
有意な血漿IL−12の上昇は認められなかったが、ラ
クトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体単独
使用では有意な血漿IL−12の上昇がみられ、ラクト
バチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とニゲロ
ースを併用すると、血漿IL−12が顕著に上昇し、血
中IL−12上昇におけるラクトバチルス・プランタラ
ムL−137乾燥死菌体とニゲロースの相乗効果が検証
された。
IL−12産生誘導活性を示さない3−O−α−D−グ
ルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有
する糖類を、ラクトバチルス属に属する菌体またはその
処理物と併用して投与することにより、IL−12産生
誘導活性に対する顕著な相乗効果が奏される。
激因子、細胞障害性リンパ球成熟因子などとも呼ばれ、
B細胞、単球、マクロファージから産生される分子量約
70,000の糖蛋白質である。その生物活性として
は、静止期のT細胞およびナチュラルキラー(NK)細
胞からのインターフェロンγ産生の誘導、NK細胞活性
の亢進、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞活性
の誘導、静止期T細胞のレクチン刺激による細胞増殖能
の充進、ナイーブT細胞からTH−1細胞への分化の促
進などが知られており、生体の免疫系に深く関与してい
る物質である。また、アレルギーや自己免疫疾患の発症
機序の1つに、TH−1の活性がTH−2の活性に比し
て低下した場合が有ると考えられており、ナイーブT細
胞からのTH−1細胞への分化促進、TH−1細胞の活
性化を促進する作用を有するIL−12は、アレルギー
や自己免疫疾患の発症を抑制する効果があると期待され
ている。一方、従来から、3−O−α−D−グルコピラ
ノシル−D−グルコースを構成単位として含む糖類がい
くつか知られている。例えば、3−O−α−D−グルコ
ピラノシル−D−グルコースを構成単位として含む多糖
として、アスペルギルス・ニガー(Aspergill
us niger)の菌糸中に含有されるニゲラン、そ
のニゲランの部分酸加水分解等によって得られるα−D
−グルコピラノース(1→3)−α−D−グルコピラノ
ース(1→4)−α−D−グルコピラノース(1→3)
−D−グルコース(以下、ニゲランテトラサッカライド
と称する)をはじめとする様々な3−O−α−D−グル
コピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有す
るオリゴ糖、さらには、上記のニゲランの加水分解によ
っても得ることが可能であり、また、蜂蜜、麹汁、ビー
ル等にも含有される、ニゲロースと称される3−O−α
−D−グルコピラノシル−D−グルコース(図解糖質便
覧、70頁)などである。
するものが用いられる。窒素源としては、たとえば、肉
エキス、ペプトン、グルテン、カゼイン、酵母エキス、
アミノ酸等であり、炭素源としては、たとえば、グルコ
ース、キシロース、フラクトース、イノシトール、水ア
メ、麹汁、澱粉、バカス、フスマ、糖蜜、グリセリン等
が用いられる。このほか、無機質として、たとえば硫酸
アンモニウム、リン酸カリウム、塩化マグネシウム、食
塩、鉄、マンガン、モリブデン更に各種ビタミン類その
他を添加することができる。培養温度は25〜40℃、
好ましくは27〜35℃であり、培養時間は12〜48
時間程度であり、通気振盪してもよい。培地のpHは3
〜6、好ましくは4〜6である。培養終了後菌体を採取
し蒸留水を加え、遠心分離などの手段により上清を除
き、必要によりその操作を繰り返し、遠心分離や濾過等
により菌体を採取する。採取された菌体は生菌のまま、
またはたとえば加熱、紫外線照射、ホルマリン処理など
により不活性化して投与に適した剤型にすることもでき
る。分離された生菌体、死菌体はさらに摩砕や破砕処理
をし、得られた処理物を必要により加熱滅菌、無菌濾過
し、濾液を凍結乾燥して製品とすることもできる。菌体
の処理物にはたとえば、上記摩砕物、破砕物、それらか
らの抽出液、凍結乾燥品が含まれる。また、本発明に用
いられる乳酸菌の一種、ラクトバチルス・プランタラム
L−137株は、元々発酵食品であるブロングイスダ
から分離されたものであり、食品、たとえば果菜類、穀
類から選択された少なくとも1種または、果菜類や穀類
を発酵可能な形態に処理したもの、たとえば切断物、粉
砕物、摩砕物、搾汁、搾汁濃縮物を本発明において用い
られる菌により発酵させた菌を含む発酵物をそのまま用
いることができる。
O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成
単位として含有する糖類であり、その具体例としては、
前記したニゲロース、ニゲランテトラサッカライド、ニ
ゲロトリオースなどのニゲロオリゴ糖が挙げられ、これ
らは単独または2種以上を併用して用いてもよい。本発
明の組成物における菌体またはその処理物と糖類の使用
比率は重量比で1:1〜400、好ましくは1:5〜1
00である。本発明の組成物は、必要に応じて、さらに
種々の添加剤、例えば、医薬の担体、賦形剤、ビタミ
ン、アミノ酸、ミネラル、食物繊維、他の糖類、甘味
料、香料、牛乳、脱脂粉乳などの乳成分を加えてもよ
い。このようにして得られた本発明の組成物は、免疫力
を高めまたは調節する食品や医薬剤としても利用可能で
ある。用いる食品あるいは、食品成分、医薬担体または
賦形剤は特に限定するものではなく、当該組成物の具体
的用途に応じて当業者が適宜選択できる。また本発明の
組成物の形態も特に限定するものではなく、具体的用途
に応じて種々の固体や液体の形態とすることができる。
本発明の組成物は、医薬として用いる場合、錠剤、粉
剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤などの経口投与、あるい
は注射剤などの非経口投与が考えられるが、経口投与の
場合、本発明の菌体またはその処理物を1mg〜5g、
好ましくは4mg〜4gおよび本発明の糖類を4mg〜
40g、好ましくは10mg〜10g含む製剤を、また
注射剤の場合は、菌体またはその処理物を0.1mg〜
1g、好ましくは0.5mg〜500mg、糖類を2m
g〜20g、好ましくは10mg〜10g含む注射液
を、成人1日当たり1〜数回に分けて投与することによ
り、副作用を伴うことなく所期の目的を達することがで
きる。本発明の組成物を食品として用いる場合、調味
料、畜肉加工品、水産加工品、農産加工品、ステープ
ル、調味食品、調味済食品、デザート類、乳油製品、菓
子、スナック菓子等の形態で提供することも可能であ
る。本発明のIL−12産生誘導組成物は、たとえば、
ウイルス、バクテリヤ等の微生物による感染症や各種悪
性腫瘍などの予防・治療や免疫力調整に有効である。
Claims (4)
- 【請求項1】ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属
する菌またはその処理物と3−O−α−D−グルコピラ
ノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類
を有効成分として含むIL−12産生誘導組成物。 - 【請求項2】ラクトバチルス属に属する菌がラクトバチ
ルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)であ
る請求項1記載のIL−12産生誘導組成物。 - 【請求項3】ラクトバチルス属に属する菌がラクトバチ
ルス・プランタラムL−137株(Lactobacillus plan
tarum L−137)である請求項1記載のIL−12産
生誘導組成物。 - 【請求項4】糖類がニゲロースである請求項1〜3のい
ずれかに記載のIL−12産生誘導組成物。
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