JP2002265366A - ナチュラルキラー細胞活性化剤 - Google Patents

ナチュラルキラー細胞活性化剤

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JP2002265366A JP2001064076A JP2001064076A JP2002265366A JP 2002265366 A JP2002265366 A JP 2002265366A JP 2001064076 A JP2001064076 A JP 2001064076A JP 2001064076 A JP2001064076 A JP 2001064076A JP 2002265366 A JP2002265366 A JP 2002265366A
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glucose
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伸二 室▲崎▼
Yoshihiro Yamamoto
佳弘 山本
Kotaro Muroyama
幸太郎 室山
Kenro Yamamoto
憲朗 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 本発明は、副作用がなく常用でき、かつ
食品などとして手軽に摂取できる、感染症の予防および
/もしくは治療、または腫瘍細胞の増殖および/もしく
は転移の予防に有用なナチュラルキラー細胞活性化剤を
提供することを目的とする。 【解決手段】 3−O−α−D−グルコピラノシル−D
−グルコースを構成単位として含有する糖類を有効成分
とするナチュラルキラー細胞活性化剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニゲロオリゴ糖類
を有効成分とするナチュラルキラー細胞(以下、「NK
細胞」と略称する。)活性化剤、およびニゲロオリゴ糖
類を用いるNK細胞の活性化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】NK細胞は免疫系で中心的な役割を果た
しているリンパ球のサブセットであり、ウィルス感染初
期における感染防御やウィルスの宿主内蔓延阻止、腫瘍
の増殖および転移の防御に特に重要である。NK細胞
は、ウィルス感染細胞や変異した腫瘍細胞を免疫学的記
憶機構に依存せず認識し、これらの細胞に対する細胞傷
害活性(ナチュラルキラー活性)を発現し、ウィルスお
よび腫瘍細胞に対する自然免疫を成立させている。ここ
で、NK細胞を活性化する因子としてサイトカインのイ
ンターロイキン12、インターロイキン18、インター
フェロンなどが知られているが、これらのものはいずれ
も副作用が強く、経口摂取での作用は明らかではなく、
ウィルス感染または腫瘍の増殖および転移に対する予防
的な使用には適していないといわれている。
【0003】一方、本発明者らは、3−O−α−D−グ
ルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有
する糖類を有効成分とする免疫賦活剤を開発した(特開
平9−52834)。かかる3−O−α−D−グルコピ
ラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖
類は、抗原受容体を介するTリンパ球およびBリンパ球
の活性を上昇させることから生体内で常時起こっている
例えばウィルス等の微生物および腫瘍細胞に対する排除
反応を高め、かつ、単独でTリンパ球およびBリンパ球
を活性化しないことから生体にとって好ましくない免疫
応答を誘導せず、さらに、抗原非特異的なTリンパ球お
よびBリンパ球の活性も上昇させることから他の免疫賦
活剤との併用が有効で、加えて副作用のない常用に適し
た免疫賦活剤であることを見いだし、かかる発明をなし
た。しかし、該発明時において、本発明者らはNK細胞
の活性化という課題は認識していなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、副作用がな
く常用でき、かつ食品などとして手軽に摂取できる、感
染症の予防および/もしくは治療、または腫瘍細胞の増
殖および/もしくは転移の防御に有用なNK細胞活性化
剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、3−O−
α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位
として含有する糖類について、さらに検討を加えた結
果、該糖類がTリンパ球共刺激作用またはBリンパ球共
刺激作用に基づく免疫賦活作用を有するだけでなく、N
K細胞活性化作用を有するという思いがけない知見を得
た。該糖類の中でも特にニゲロオリゴ糖は、経口的な日
常摂取が可能であり、副作用もなく、ゆえに例えば医薬
成分としてだけでなく食品成分としても用いることがで
き、摂取によってNK細胞を活性化しウィルス感染や腫
瘍細胞の増殖および転移の予防に対し特に優れた効果を
発揮する。
【0006】生体内においては、日常、個体に生来備わ
る生体防御能(感染抵抗性)である自然免疫系が働いて
おり、この自然免疫系をもってしては細菌やウィルスな
どの抗原の侵入を防げない場合には獲得免疫系が働く。
ここで、Tリンパ球およびBリンパ球は獲得免疫系に関
係しており、細菌やウィルスなどの抗原が体内に侵入す
ると抗原特異的に活性化され、かつ同じ抗原が2度目に
侵入した場合はより早く強く反応するという免疫学的記
憶を示す。これに対し、NK細胞は自然免疫系に関係し
ており、抗原を非特異的に攻撃するが、免疫学的記憶を
示さず、感染のくり返しによっても抵抗力が高まらな
い。このように、免疫において自然免疫系と獲得免疫系
とは相対するものであるので、3−O−α−D−グルコ
ピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する
糖類が、Tリンパ球共刺激作用またはBリンパ球共刺激
作用を有し、獲得免疫系を活性化させるということが公
知であったとしても、かかる公知事実からは、自然免疫
系の活性化という課題は直ちに認識できないし、まして
や該糖類がNK細胞の活性化という自然免疫系に対する
作用をも有するという知見には容易に想到し得ない。
【0007】すなわち、本発明は、(1)3−O−α−
D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位とし
て含有する糖類を有効成分とするナチュラルキラー細胞
活性化剤、(2)糖類がニゲロオリゴ糖であることを特
徴とする前記(1)に記載のナチュラルキラー細胞活性
化剤、(3)ニゲロオリゴ糖がニゲロース、ニゲロシル
グルコース、ニゲロシルマルトースからなる群から選ば
れる少なくとも一種であることを特徴とする前記(2)
に記載のナチュラルキラー細胞活性化剤、(4)ナチュ
ラルキラー細胞活性化のための3−O−α−D−グルコ
ピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する
糖類の使用、(5)糖類がニゲロオリゴ糖であることを
特徴とする前記(4)に記載の使用、(6)糖類がニゲ
ロース、ニゲロシルグルコースおよびニゲロシルマルト
ースからなる群から選ばれる少なくとも一種の糖類であ
ることを特徴とする前記(4)に記載の使用、(7)3
−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構
成単位として含有する糖類をナチュラルキラー細胞に接
触させることを特徴とするナチュラルキラー細胞の活性
化方法、(8)糖類がニゲロオリゴ糖であることを特徴
とする前記(7)に記載のナチュラルキラー細胞の活性
化方法、および、(9)ニゲロオリゴ糖がニゲロース、
ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなる
群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする
前記(8)に記載のナチュラルキラー細胞の活性化方
法、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において用いる3−O−α
−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位と
して含有する糖類としては、特に限定されず、自体公知
のものを用いてよい。具体的には、例えば、少なくとも
1つ以上のα−1,3グルコシド結合を含むグルコース
重合度2程度以上のオリゴ糖が挙げられ、好ましくはグ
ルコース重合度2〜10程度のオリゴ糖、より好ましく
は重合度2〜7程度のオリゴ糖であるニゲロオリゴ糖が
挙げられ、本発明において好適に用いられる。かかるニ
ゲロオリゴ糖には、α−1,3グルコシド結合のみから
なるオリゴ糖の他に、α−1,3グルコシド結合とそれ
以外の結合(例えばα−1,1、α−1,2、α−1,
4、α−1,6グルコシド結合など)とからなるオリゴ
糖も包含される。中でも、本発明においては、下記式で
表されるニゲロース、ニゲロシルグルコースまたはニゲ
ロシルマルトースを用いるのがより好ましい。これらは
単独で用いても、2種以上の併用または混合して用いて
もよい。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】本発明において用いる3−O−α−D−グ
ルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有
する糖類は、自体公知の方法に従って容易に製造するこ
とができる。具体的には、例えば、本発明において用い
る該糖類として好ましいニゲロオリゴ糖は、下記のよう
な公知の方法によって調製することができる。例えば、
M.Stacey and J.M.Webber:Methods in Carbohydrate Ch
emistry,I,339-341,AcademicPress(1962)には、微生物
の生産する多糖類である、ニゲランまたはエルシナン等
を基質として、酵素または酸類などを用いて加水分解し
てニゲロオリゴ糖を製造する方法が提案されている。ま
た、公知のα−グルコシダーゼの糖転移・縮合反応を用
いてニゲロースを調製する方法も知られている(金谷憲
一他,日本農芸化学会誌,53, 385-390 (1979)、 H.Fuj
imoto et al., Agric. Biol.Chem., 52, 1345-1351 (19
88) など)。更に、特開平3−22958号公報には、
澱粉加水分解物に、サイクロデキストリン生成酵素を作
用させてニゲロースを製造する方法が開示されている。
その他に、α−1,4グルコシド結合したポリサッカラ
イドまたはオリゴサッカライドを含む基質にα−1,3
グルコシド結合をもたらす糖転移酵素のうち1種または
2種以上、具体的にはAcremonium属に属し、α−1,3
結合をもたらす糖転移酵素を生産する真菌、例えばAcre
monium sp. S4G13(FERM BP-4373) を常法に従い、培養
することによって調製される糖転移酵素を作用させてニ
ゲロオリゴ糖を製造する方法も開示されている(特開平
7−59559号公報)。本発明において用いるニゲロ
オリゴ糖は、いずれの方法で調製されたものでも良く、
上記の方法に限定されない。ただし、現在までに知られ
ている方法の中で最も経済的な面で優れていると考えら
れるのは、上記特開平7−59559号公報または特開
2000−189101号公報に記載された糖転移酵素
(ニゲロオリゴ糖生成酵素)を用いた方法であり、本発
明においてもこの方法に従って調製したニゲロオリゴ糖
を使用するのが好ましい。
【0013】本発明でいうNK細胞の「活性化」とは、
通常、NK細胞の細胞傷害活性の増大を意味する。かか
るNK細胞の細胞傷害活性は、当業者にとっては公知の
技術、具体的には下記実施例の試験方法に従って容易に
測定することができる。
【0014】本発明に係るNK細胞活性化剤は、副作用
がなく常用しても問題ないことから、医薬としてのみな
らず、食品として用いることもできる。より具体的に
は、例えば、調味料、畜肉加工品、水産加工品、農産加
工品、ステープル、調味食品、調理済食品、デザート
類、乳油製品、菓子またはスナック菓子等の形態で、本
発明に係るNK細胞活性化剤を提供することも可能であ
る。
【0015】本発明に係るNK細胞活性化剤は、3−O
−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単
位として含有する糖類が含有されていることが特長であ
り、それ以外の、例えば自体公知の食品あるいは食品成
分、医薬担体または賦形剤等がさらに含有されていても
よい。かかる他の成分は、特に限定されるものではな
く、目的とするNK細胞活性剤の具体的用途に応じて当
業者が適宜選択できるが、具体的には、医薬品の場合は
賦形剤、崩壊剤、結合剤、界面活性剤、乳化剤、可塑
剤、滑沢剤や糖類、pH調整剤、防腐剤、香料もしくは
着色料など、食品の場合は各種の栄養素、ビタミン類、
香料、着色料、酸化防止剤、チーズやチョコレート等の
風味物質もしくは合成甘味料等が挙げられる。また、他
のNK細胞活性化剤と組み合わせてもよい。
【0016】本発明に係るNK細胞活性化剤の剤形は、
摂取方法および摂取経路に応じてシロップ剤、散剤、顆
粒剤、丸剤、錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤など経
口用剤、坐剤、注射剤などの種々の形態とすることがで
きるが、経口用剤として使用するのが好ましい。また、
本発明のNK細胞活性化剤が食品として用いられる場合
には、顆粒、錠菓、ガム、キャンディ、ゼリー、飲料等
の形で提供されうるが、その形態は上記に限定されな
い。
【0017】本発明のNK細胞活性化剤の摂取量は、摂
取する人の性別、年齢、健康状態などによって異なるの
で一概には言えないが、経口剤の場合、吸収率を考慮し
て、有効成分、好ましくはニゲロース、ニゲロシルグル
コースおよびニゲロシルマルトースからなるニゲロオリ
ゴ糖混合物として約4mg〜40g程度、好ましくは約
10mg〜20g程度、さらに好ましくは約50mg〜
10g程度摂取されるよう設定するのが望ましい。注射
剤または輸液剤などの非経口剤の場合は、有効成分、好
ましくはニゲロース、ニゲロシルグルコースおよびニゲ
ロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物とし
て、約5mg〜5g程度、好ましくは約25mg〜2.
5g程度、さらに好ましくは約100mg〜1g程度投
与されるよう設定するのが望ましい。また摂取回数は1
日1回であっても、または複数回であってもよい。な
お、本明細書において「摂取」という用語には「投与」
も含められるものとする。
【0018】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、以下、「%」は、特に断りのない限り、重量%を意
味する。また、ニゲロオリゴ糖は日本食品化工株式会社
調製ニゲロオリゴ糖(ニゲロオリゴ糖含量88.4重量
%)を用いた。
【0019】〔実施例1〕ニゲロオリゴ糖、レモン果
汁、グラニュー糖、果糖ブドウ糖液糖、精製ハチミツ、
クエン酸、レモンフレーバーを以下に示した配合量で純
水500mlに加え撹拌後、さらに純水を加え全量を1
000mlに調整した後、65℃で10分間殺菌して本
発明に係るNK細胞活性化剤である清涼飲料水を得た。
得られた清涼飲料水はニゲロオリゴ糖を1.5%含有す
る。 ニゲロオリゴ糖 15.0 g レモン果汁 9.4 g グラニュー糖 15.4 g 果糖ブドウ糖液糖 74.8 g 精製ハチミツ 22.2 g クエン酸 1.5 g レモンフレーバー 1.6 g
【0020】〔実施例2〕以下に示した配合量にて各原
料をマイクロスピードミキサーMSR−25(宝工機株
式会社製)で混合し、パウダーコータグラニュレータG
PCG−5型(Glatt GmbH社製)で造粒して、顆粒剤と
し、本発明に係るNK細胞活性化剤を得た。 ニゲロオリゴ糖 1000 g 乳糖 1020 g 結晶セルロース 150 g ブドウ糖 800 g
【0021】〔実施例3〕実施例2で得られた顆粒剤9
9gにステアリン酸カルシウム1gを混合し、打錠機
(株式会社菊水製作所製 VIRGO 0512SS
型)で圧縮整形して900mgの本発明に係るNK細胞
活性化剤である錠剤を得た。得られた錠剤は一錠当たり
ニゲロオリゴ糖を約300mg含有する。
【0022】〔実施例4〕以下に示した配合量にて各原
料を均一に混合し、ゼラチンカプセルに充填し、カプセ
ル1個当たり、ニゲロオリゴ糖を100mg含有する本
発明に係るNK細胞活性化剤であるカプセル剤を得た。 ニゲロオリゴ糖 100 mg コーンスターチ 75 mg ステアリン酸マグネシウム 10 mg
【0023】〔試験例1〕本試験例では、ニゲロオリゴ
糖を用いて、マウス肝臓単核球細胞のナチュラルキラー
活性に対する直接的な作用を、蛍光色素法を用いたナチ
ュラルキラー活性測定により検証した。マウス(BALB/
c、雌、26週齡)から肝臓を摘出し、ハンクス平衡塩溶
液中で押し潰し、#225メッシュに通した。遠心分離後、
36%パーコール-ハンクス平衡塩溶液に細胞を再懸濁させ
遠心分離を行い、肝臓単核球画分を沈殿させた。この画
分に0.83%塩化アンモニウム緩衝液で溶血処理を施した
後、RPMI 1640培地(GIBCOBRL社製)で懸濁し肝臓単核
球細胞浮遊液を得た。細胞数を自動血球計測装置(シス
メックス株式会社製 F−800型)で測定した後、2.
0×106、5.0×105、12.5×104/mlの濃度にRPMI 1640培
地で調製し、ナチュラルキラー活性測定の40×、10×お
よび2.5×のエフェクター細胞液とした。96穴組織培養V
底プレートに1穴当たり、各エフェクター細胞液25 μ
l、またはトリトンX-100を0.4%の濃度でRPMI 1640培地
に溶解した溶液25 μl(最大蛍光値測定用)もしくはRP
MI 1640培地25 μl(最小蛍光値測定用)を播種した。
これにニゲロオリゴ糖を4 μg/mlの濃度でRPMI 1640培
地に溶解させた溶液を1穴当たり25 μl加え、これを試
験群とした。また、RPMI 1640培地のみを1穴当たり25
μl加え、これを比較群とした。
【0024】標的細胞にはYAC-1細胞を用い、1.0×106/
mlの濃度に調製したYAC-1細胞を15μMのカルセインAM色
素で30分間標識し、洗浄後RPMI 1640培地で懸濁し細胞
数を2.5×104/mlの濃度に調製した。この標的細胞を試
験群および比較群それぞれにおいて1穴当たりそれぞれ5
0 μl加え、ナチュラルキラー反応を開始した。なお、
試験群にはニゲロオリゴ糖が1μg/ml含まれていること
になる。反応は37℃の5%炭酸ガス培養器内で3時間培養
し、培養後の上清50 μlを採取し、溶出したカルセイン
AM色素量を励起波長490 nm、蛍光波長530 nmの蛍光測定
により検出した。なお、細胞傷害活性は次式から求め
た。 〔数1〕 細胞傷害活性(%)=[(エフェクター細胞添加時の蛍
光値−最小蛍光値)/(最大蛍光値−最小蛍光値)]×
100
【0025】表1にその結果を示す。表1から明らかな
ごとく、ナチュラルキラー活性測定時にニゲロオリゴ糖
を添加することにより、細胞傷害活性が有意に上昇し
た。したがって、ニゲロオリゴ糖の直接的なNK細胞活
性化作用が検証された。
【0026】
【表1】
【0027】〔試験例2〕本試験例では、ニゲロオリゴ
糖をマウスに腹腔内投与し、肝臓単核球細胞のナチュラ
ルキラー活性に対する作用を検証した。マウス(BALB/
c、雌、12週齡)6匹にニゲロオリゴ糖を0.4 mg/マウス
を腹腔内投与し、その17時間後に肝臓を摘出し、上記試
験例1に記載の方法で肝臓単核球細胞浮遊液を得た。細
胞数を1.0×106、2.5×105、6.25×104/mlの濃度に調製
し、それぞれを40×、10×および2.5×のエフェクター
細胞液とした。96穴組織培養V底プレートに1穴当たり、
各エフェクター細胞液50 μl、またはトリトンX-100を
0.4%の濃度でRPMI 1640培地に溶解した溶液50 μl(最
大蛍光値測定用)もしくはRPMI 1640培地50 μl(最小
蛍光値測定用)を播種した。標的細胞のYAC-1細胞を1.0
×106/mlの濃度に調製し、15 μMのカルセインAM色素で
30分間標識した後、細胞数を2.5×104/mlの濃度に調製
し、1穴当たりそれぞれ50 μl加え、ナチュラルキラー
反応を開始した。反応は37℃の5%炭酸ガス培養器内で3
時間培養し、培養後の上清50 μlを採取し、溶出したカ
ルセインAM色素量を励起波長490 nm、蛍光波長530 nmで
蛍光測定し、試験例1に記載の計算式により細胞傷害活
性を算出した。また、比較群として、ニゲロオリゴ糖の
代わりに生理食塩水を用いて全く同様の試験を行った。
【0028】表2にその結果を示す。表2から明らかな
ごとく、ニゲロオリゴ糖をマウスに腹腔内投与すること
により肝臓単核球のナチュラルキラー活性が有意に上昇
した。したがって、ニゲロオリゴ糖の生体内でのNK細
胞活性化作用が検証された。
【0029】
【表2】
【0030】〔試験例3〕本試験例では、ニゲロオリゴ
糖をマウスに経口投与し、肝臓単核球細胞のナチュラル
キラー活性に対する作用を検証した。マウス(BALB/c、
雌、12週齡)に1%ニゲロオリゴ糖水溶液を6日間飲み水
として与え(各6匹)、肝臓を摘出し、上述の試験例2
に記載の方法で肝臓単核球のナチュラルキラー活性を測
定した。また、比較群として、1%ニゲロオリゴ糖水溶液
の代わりに水道水を用いて全く同様の試験を行った。
【0031】表3にその結果を示す。表3から明らかな
ごとく、ニゲロオリゴ糖をマウスに経口投与することに
より肝臓単核球のナチュラルキラー活性が有意に上昇し
た。したがって、ニゲロオリゴ糖の経口摂取によりNK
細胞活性化が上昇することが検証された。
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】本発明に係るNK細胞活性化剤、または
3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを
構成単位として含有する糖類のNK細胞活性化のための
使用により、感染症の予防および/もしくは治療、また
は腫瘍細胞の増殖および/もしくは転移の防御、特にウ
ィルス感染や腫瘍の増殖および転移の予防が可能とな
る。特に、免疫機能の働きは高齢者では急激に低下し、
それと共に感染症の発症及び発ガンが増加していくこと
が一般的に知られている。従って、NK細胞を活性化さ
せることにより、感染症の発症及び発ガンを予防できる
ことは、これからの高齢化社会にとって有用である。ま
た、本発明に係るNK細胞活性化剤の有効成分である3
−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構
成単位として含有する糖類は、副作用がなく常用できる
ことから、食品などの形態にすることにより、高齢者な
どでも手軽に経口で摂取することができるという利点も
有す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/04 A61P 37/04 43/00 107 43/00 107 C07H 3/06 C07H 3/06 C12N 5/06 3/04 // C07H 3/04 C12N 5/00 E (72)発明者 山本 憲朗 兵庫県神戸市東灘区渦森台4丁目10−3 Fターム(参考) 4B018 LB08 MD29 MD31 ME08 ME09 ME10 MF02 4B065 AA91X AC20 BA30 BB01 BC01 BD50 CA41 CA43 CA44 4C057 BB03 BB04 4C086 AA01 AA02 EA01 MA01 MA04 NA14 ZB09 ZB26 ZB32

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3−O−α−D−グルコピラノシル−D
    −グルコースを構成単位として含有する糖類を有効成分
    とするナチュラルキラー細胞活性化剤。
  2. 【請求項2】 糖類がニゲロオリゴ糖であることを特徴
    とする請求項1に記載のナチュラルキラー細胞活性化
    剤。
  3. 【請求項3】 ニゲロオリゴ糖がニゲロース、ニゲロシ
    ルグルコース、ニゲロシルマルトースからなる群から選
    ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2
    に記載のナチュラルキラー細胞活性化剤。
  4. 【請求項4】 ナチュラルキラー細胞活性化のための3
    −O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構
    成単位として含有する糖類の使用。
  5. 【請求項5】 糖類がニゲロース、ニゲロシルグルコー
    スおよびニゲロシルマルトースからなる群から選ばれる
    少なくとも一種の糖類であることを特徴とする請求項4
    に記載の使用。
  6. 【請求項6】 3−O−α−D−グルコピラノシル−D
    −グルコースを構成単位として含有する糖類をナチュラ
    ルキラー細胞に接触させることを特徴とするナチュラル
    キラー細胞の活性化方法。
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