JPH11226775A - ハンダ材およびその製造方法 - Google Patents

ハンダ材およびその製造方法

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JPH11226775A
JPH11226775A JP3022298A JP3022298A JPH11226775A JP H11226775 A JPH11226775 A JP H11226775A JP 3022298 A JP3022298 A JP 3022298A JP 3022298 A JP3022298 A JP 3022298A JP H11226775 A JPH11226775 A JP H11226775A
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solder
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solder material
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JP3022298A
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English (en)
Inventor
Ichiji Yashiro
一司 八代
Takeshi Suzuki
竹四 鈴木
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Mitsubishi Shindoh Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Shindoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塑性加工性が良好で、しかもハンダ付けの際
の条件を緩和することができるハンダ材およびその製造
方法を提供する。 【解決手段】 ハンダ合金を構成する複数種の元素から
選択された1種または2種以上の第一元素群により形成
された第一層1と、ハンダ合金を構成する元素のうち第
一元素群を除く第二元素群から形成された第二層2と、
第一層1および第二層2の間に形成され、第一元素群と
第二元素群とを相互に拡散させた拡散層4とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品や装飾
品、金属製品のハンダ付け作業に使用されるハンダ材お
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】過酷な環境下で使用される電子機器にお
いては、従来より使用されているPb−Sn系ハンダの
代わりに、有害物質であるPbを含まず、耐食性や強度
等の物性に優れたAu−Sn系共晶合金(Sn20wt
%)からなるハンダ材などが使用され始めている。とこ
ろが、Au−Sn系共晶合金のハンダ材は素材である合
金自体が非常に硬いため、塑性加工を行うと割れ等が生
じやすく、微細な破片が生じて回路をショートさせるお
それがあるうえ、ハンダ付け作業における取り扱いが不
便であるという問題があった。
【0003】そこで、このような問題を解決するため
に、例えば、特開平5−329681号公報において
は、Au層とSn層とを貼り合わせた構造の多層ハンダ
材が提案されている。このような多層ハンダ材によれ
ば、使用時にAu−Sn系共晶合金の融点以上に加熱す
ることにより各層が合金化し、ハンダ付けを行うことが
できる一方、ハンダ付け時まではAu層とSn層が分離
されているために、柔軟かつ塑性加工が容易で取り扱い
に便利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
多層ハンダ材を使用する時には、ハンダ材をまず合金化
してから溶融させる必要があり、しかもその工程を短時
間で完了しなければならないから、Au−Sn20wt
%共晶合金の融点(283℃)よりもかなり高い、例え
ば330℃以上の温度でハンダ付けを行う必要があっ
た。そのため、半導体素子そのものに熱影響を与えた
り、素子パッケージや基板、TABフィルムなどに多用
されているエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂等の樹脂
材料を劣化させるおそれがあった。特に、これら樹脂は
320℃近辺で急激に劣化する特性を有するため、ハン
ダ材と樹脂が直接接触するような状況下では、前記のよ
うな多層ハンダ材の使用は事実上困難だった。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、塑性加工性が良好で割れや微細破片が生じず、し
かもハンダ付けの際の条件を緩和することができるハン
ダ材およびその製造方法を提供することを課題としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係るハンダ材は、ハンダ合金を構成する複
数種の元素から選択された1種または2種以上の第一元
素群により形成された第一層と、前記ハンダ合金を構成
する元素のうち前記第一元素群を除く第二元素群から形
成された第二層と、前記第一層および前記第二層の間に
形成され、第一元素群と第二元素群とを相互に拡散させ
た拡散層とを具備することを特徴とする。
【0007】また、本発明に係るハンダ材の製造方法
は、ハンダ合金を構成する複数種の元素から選択された
1種または2種以上の第一元素群により形成された第一
層と、前記ハンダ合金を構成する元素のうち前記第一元
素群を除く第二元素群から形成された第二層とを積層し
た複合材を形成する工程と、前記複合材を加熱すること
により、前記第一層および前記第二層の間に第一元素群
と第二元素群とを相互に拡散させた拡散層を形成する工
程とを具備することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]図1および図2
は、本発明の第1実施形態に係るハンダ材およびその製
造方法を示している。この第1実施形態の製造方法で
は、まず図1に示すように、ハンダ合金を構成する複数
種の元素から選択された1種または2種以上の第一元素
群により形成された第一層1と、前記ハンダ合金を構成
する元素のうち前記第一元素群を除く第二元素群から形
成された第二層2とを接合することにより、2層からな
る複合材を形成する。
【0009】本発明に使用可能なハンダ合金としては、
第一元素群としてAg,Au,Pd,Ni,Ptから選
択される1種または2種以上の貴金属等を含有し、第二
元素群としてSn,Pb,Bi,Sb,Inから選択さ
れる1種または2種以上の卑金属を含有する共晶合金が
挙げられる。具体的には、Au−Sn系合金、Au−B
i系合金、Au−Pb系合金、Au−Sb系合金、Ag
−Sn系合金、Ag−Bi系合金、Ag−In系合金、
Ag−Pb系合金、Pd−Pb系合金、Pt−Pb系合
金、Pt−Sn系合金、Ni−Sb系合金などが例示で
きる。代表的な合金の望ましい組成比を挙げると以下の
通りである。 Au−Sn系合金:Au77〜82wt%−Sn残部 Au10〜18wt%−Sn残部 Au−Sb系合金:Au70〜78wt%−Sb残部 Au−Bi系合金:Au10〜17wt%−Bi残部 Ag−Sn系合金:Ag0.3〜10wt%−Sn残部 Ag−In系合金:Ag0.3〜15wt%−In残部 Pd−Pb系合金:Pd1〜5wt%−Pb残部 Pt−Pb系合金:Pt1〜8wt%−Pb残部 Ni−Sb系合金:Ni0.3〜3wt%−Sb残部
【0010】ただし、本発明は二元系合金のみに限定さ
れることはなく、三元系以上の共晶合金を使用すること
も可能である。その場合には、その組成元素を第一群と
第二群に分類し、各群を用いて第一層1および第二層2
を形成すればよい。一つの群を複数の元素で構成する場
合は、硬脆化する組み合わせを避ける。例えば、Au−
Sn−Bi系合金を使用する場合は、第一層1をAuで
形成し、第二層2を系Sn−Bi合金で形成するとよ
い。四元系以上の合金についても同様の配慮が必要であ
る。
【0011】第一層1および第二層2の形状は、本発明
では限定されない。例えば細長い条材、箔状、線状な
ど、従来からハンダ材に適用されているいかなる形状、
製品形態も可能である。第一層1と第二層2の厚さ比
は、これらを相互に完全拡散させたときに、全体の組成
が共晶合金の共晶点組成に近いものとなればよい。共晶
点組成から多少ずれている程度であれば、融点が若干上
昇する程度のことであるから特に問題はない。ハンダ材
全体の厚さは限定されないが、一般的な精密機器分野用
としては10〜1000μm、より好ましくは20〜5
00μmであると、ハンダ付けに要する時間が短くて済
むという利点を有する。
【0012】第一層1と第二層2を積層させるには、様
々な方法が考えられる。第一の方法は、第一層1と第二
層2とを重ねたうえ、冷間または温間で圧延や引抜加
工、押出加工することである。この場合、第一層1およ
び第二層2が長い条材であるならば、両者を同じ速度で
アンコイラ等から繰り出しつつ、両者を重ねて圧延ロー
ル間を通せばよい。この時、十分に接合させるには、素
材の断面積の減少率を40%以上とすることが望まし
く、より好ましくは50%以上とし、さらに好ましくは
70〜98%とする。接合時の雰囲気は、卑金属側の層
の酸化を防ぐために、中性または還元性の雰囲気下であ
ることが好ましい。
【0013】接合条件は、第一層1と第二層2との間
で、元素が急激に熱拡散しないようにハンダ合金の共晶
点温度よりも十分に低い温度において処理することが好
ましい。例えば、共晶点温度が283℃のAu−Sn共
晶合金の場合、好ましくは−50〜200℃、より好ま
しくは−10〜100℃とされる。−50℃より低温で
あると、Sn層が展延性の低い相に変態して割れを生じ
やすくなり、接合が困難である。一方、200℃より高
温であると、接合時にAu層とSn層が相互に急激に拡
散し、拡散量の正確な制御が困難になる。同様に、ハン
ダ合金としてAu−Bi共晶合金を使用する場合は、接
合時の温度を100℃以下、Pd−Pb共晶合金を使用
する場合は180℃以下にすることが望ましい。
【0014】第一層1と第二層2とを積層する方法とし
ては、上記のような接合法以外にも、いずれか一方の層
上に他方の層を、電解めっき法、無電解めっき法等の湿
式めっき法や、真空蒸着法、高周波蒸着法もしくはイオ
ンプレーティング法等の乾式めっき法、あるいは溶射法
などにより形成することも可能である。その際の温度条
件は、前記接合法と同様でよい。
【0015】第一層1と第二層2の積層が完了したら次
に、複合材を加熱することにより、図2に示すように、
第一層1および第二層2の間に、第一元素群と第二元素
群とを相互拡散させた拡散層4を形成する。拡散層4が
形成されたら拡散の進行を止めるため常温まで冷却す
る。こうして形成される拡散層4は、一般に共晶点組成
に近い均一な組成を有する。
【0016】拡散処理を行う温度は、そのハンダ合金の
共晶点温度よりも低いことが好ましく、具体的には共晶
点温度よりも10℃以上低い温度であることが好まし
い。例えば、Au−Sn20wt%合金の場合には共晶
点温度が283℃であるから、283℃以下、より好ま
しくは160〜270℃に保ち、後述する厚さ比となる
まで拡散を進行させる。Au−Bi共晶合金の場合に
は、共晶点温度が241℃であるから、拡散処理温度を
120〜235℃、より好ましくは150〜230℃と
する。Pd−Pb共晶合金を使用する場合は、共晶点温
度が265℃であるから、拡散処理温度を140〜26
0℃、より好ましくは160〜255℃とする。Ag−
Bi共晶合金を使用する場合は、共晶点温度が262.
5℃であるから、拡散処理温度を140〜257℃、よ
り好ましくは160〜250℃とする。
【0017】このように共晶点温度よりも低い温度で拡
散処理を行った場合には、拡散に要する時間が長くなる
半面、拡散量を正確に制御することが容易になる。拡散
層4の厚さを正確に制御できることは、本発明の効果を
確実にする上で重要な事項である。
【0018】また、本発明者らの実験により、共晶点温
度よりも高温で拡散処理を行った場合には、拡散層4中
に顕著な気泡が発生し、ハンダ材の強度が局部的に落ち
たり、ハンダ材の均一性を低下させ、ハンダ付けの信頼
性を低下させる等の問題を生じることが判明した。この
現象を詳細に調べたところ、いずれのハンダ合金におい
ても、拡散処理温度が低いほど拡散層4に発生する気泡
の密度および気泡の最大直径が小さくなる傾向を有し、
特に、拡散温度が共晶点温度より低い場合には、気泡が
発生したとしてもその最大径を0.5μm以下に制限す
ることができ、ハンダ材の強度低下等の諸問題を防止で
きることが判明している。
【0019】気泡は、第一層1および第二層2に予め溶
解している水素、窒素等の気体が、相互拡散に伴って放
出されるために生じるものと推測されているが、拡散温
度がハンダ合金の共晶点温度より低ければ、ハンダ材外
部に気体が逃げる時間が十分に与えられ、拡散層4内に
気泡が生じにくいものと考えられる。
【0020】ただし、本発明は、共晶点温度より低い条
件で拡散させる条件にのみ限定されるものではなく、多
少の気泡発生が無視できる用途のハンダ材として使用す
る場合には、共晶点温度より高い温度で拡散させる条件
を採用することも可能である。
【0021】上記のような拡散処理により、図2に示す
ように、第一層1および第二層2をいずれも残存させた
状態で拡散層4を形成する。第一層1および第二層2を
残すのは、これらの緩衝作用によりハンダ材の割れを防
止し、ハンダ材の塑性加工を容易にするためである。第
一層1および第二層2を完全に相互拡散させてしまう
と、ハンダ材が硬質化して塑性変形させることが困難に
なり、割れやひび割れが生じやすくなって使用に支障を
来す。
【0022】第一層1および第二層2の残存厚さの合計
は、ハンダ材全体の厚さの5〜80%であることが好ま
しく、より好ましくは10〜50%とされる。5%未満
では、第一層1および第二層2を残存させることによる
割れ防止効果が乏しくなり、80%より厚いとハンダ材
の使用時に残存する第一層1および第二層2を相互拡散
させなければならないため、接合時に共晶点温度よりも
かなり高い温度まで加熱しなければならなくなり、接合
時間もかかるという問題が生じる。
【0023】上記構成からなるハンダ材およびその製造
方法によれば、表層に第一層1および第二層2が形成さ
れているために、ハンダ材の状態では塑性変形させても
割れや剥離が生じにくいにもかかわらず、ハンダ付け時
には、共晶点温度より僅かに高い程度の温度かつ比較的
短時間で、第一層1および第二層2を完全に相互拡散さ
せることができ、ハンダ付け対象に与える熱影響が少な
くて済む。例えば、Au−Sn系合金の場合には、熱影
響が深刻になる330℃に達しない温度でハンダ付けを
行うことが可能となるため、半導体素子そのもの、ある
いは、素子パッケージや基板、TABフィルムなどを構
成するエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂等を熱劣化さ
せるおそれが少ないという重要な効果を奏する。
【0024】また、本発明のハンダ材製造方法によれ
ば、表面にひび割れなどが無く表面平滑でかつ長い線材
や条材を容易に製造できる。このように長尺のハンダ材
が得られれば、連続してハンダ付けを行うことが可能と
なり、ハンダ付けの効率を著しく向上することが可能で
ある。また、塑性加工が行えるために、ハンダ材をハン
ダ付け部分の形状に合わせたパターンに塑性加工または
打抜加工したうえで、ハンダ付けに供することもでき
る。さらに、高速塑性加工によりハンダ材を薄肉化およ
び細径化できることから、必要最小限の使用が可能であ
り、高価な原料を使用しながらも使用量を削減してコス
トダウンを図ることが可能である。
【0025】[第2実施形態]図3および図4は、本発
明に係るハンダ材およびその製造方法の第2実施形態を
示している。この第2実施形態の方法では、前記同様の
卑金属元素を主とする第二元素群で形成された第二層8
の両面に、貴金属元素を主とする第一元素群で形成され
た一対の第一層6を接合して複合材を形成した上、この
複合材を加熱処理することにより、第一層6と第二層8
との各界面に沿ってそれぞれ拡散層10を形成し、図4
に示すような5層状のハンダ材を得る。
【0026】第一層6および第二層8の材質は第1実施
形態の第一層1および第二層2と同様でよく、第一層6
の合計厚さと第二層8の厚さの比は、前記第1実施形態
と同様に設定される。なお、ハンダ材の両面に第一層6
を残存させることは、割れを防ぐ効果および耐食性を高
める効果を得る上で重要であるが、第二層8が残存して
いることは必ずしも必要ではない。したがって、第二層
8は拡散しきって無くなっていてもよい。また、各層の
接合条件、拡散処理条件は前記第1実施形態と同様でよ
い。
【0027】このような第2実施形態のハンダ材によっ
ても、前記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能
で、ハンダ材の取扱性を高めつつ、被ハンダ付け物に対
する熱影響を最小限に抑えることができる。また、貴金
属からなる第一層6によって、共晶合金からなる拡散層
10および卑金属からなる第二層8を被覆しているた
め、耐食性が著しく高く、保管雰囲気やハンダ付け時に
使用するフラックスに対する制限が無くなる。例えば、
従来のハンダ材では困難だった、空気中で塩素系フラッ
クスを使用してハンダ付けする使用法等も可能となり、
共晶合金系ハンダ材の適用分野を広げることが可能であ
る。
【0028】なお、第一層6と第二層8を予め4層以上
に積層したうえ、拡散させることも同様に可能である。
ただしその場合にも、層数を奇数として最外層を貴金属
で構成する方が耐食性の点で有利である。図5は、中心
となる第二層(卑金属層)18の外側に第一層(貴金属
層)16、その外側に第二層14、その外側に第一層1
2を形成したものである。この複合材を加熱して拡散さ
せることにより、第2実施形態と同様の効果を有するハ
ンダ材が得られる。
【0029】[第三実施形態]図6〜図8は本発明の第
三実施形態を示し、この例では、図6に示すように同心
状に層を重ねた複合材を使用することを特徴としてい
る。図6に示すような同心状の複合材を得るには、第
一元素群により管体20を形成した後、この管体20中
に第二元素群からなる芯体22を充填する方法、または
芯体22を形成しておき、その外周に第二元素群を付
着させて管体20を形成する方法のいずれも採用でき
る。
【0030】の方法について説明すると、まず管体2
0を形成するには、第一元素群で形成した棒材にフロー
ティングプラグを用いた引き抜き加工を行う方法、第一
元素群により直接、管体20を鋳造する方法、第一元素
群で形成された条材を電縫管加工することにより管体2
0を形成する方法等のいずれも採用できる。管体20が
得られたら、その内部に、第二元素群からなる棒体、ペ
レット、または粉末等を充填するか、あるいは溶融した
第二元素群を注入して固化させる。溶湯を注入する場合
には、拡散が生じないように急速冷却させることが望ま
しい。
【0031】一方、の方法では、第二元素群で芯体2
2を鋳造等により形成した後、その外周に、電解めっき
法、無電解めっき法等の湿式めっき法や、真空蒸着法、
高周波蒸着法もしくはイオンプレーティング法等の乾式
めっき法、あるいは溶射法などにより第一元素群を付着
させて管体20を形成すればよい。芯体22の外周を第
一元素群からなる箔でくるむ方法も可能であるし、さら
に、テープまたは線材を心材の外周に螺旋状に巻いてい
く方法なども可能である。
【0032】図6に示すような複合材が得られたら、こ
れを冷間または温間で塑性加工し、第一層20と第二層
22とを完全に接合する。具体的には、圧延または引抜
加工等により、図7に示すような平板状の複合材として
もよいし、あるいは引抜加工等により縮径して線材とし
てもよい。塑性加工条件は第1実施形態の場合と同様で
よい。
【0033】塑性加工が完了した後、第1実施形態と同
様に加熱拡散処理を行って、第一層20と第二層22の
境に拡散層24を形成し、図8に示すようなハンダ材を
得る。第一層20は残存することが必要であるが、第二
層22は拡散により消滅していてもよい。各層の厚さは
第1実施形態と同様でよい。
【0034】上記構成からなる第3実施形態によれば、
第1実施形態と同様の効果が得られるだけでなく、貴金
属元素からなる第一層20により外周全面を被覆してい
るため、保管時等の耐食性を著しく向上することが可能
である。これは断面円形のままに縮径した場合にも共通
の効果である。
【0035】[第4実施形態]図9および図10は本発
明の第4実施形態を示している。この実施形態では、図
9に示すように、第一元素群からなる線材(第一層)2
6と、第二元素群からなる線材(第二層)28とを混在
させてロープ状に撚った複合材を使用する。この複合材
をそのまま加熱拡散処理することも不可能ではないが、
より好ましくは冷間または温間で撚線を塑性加工し、第
一層26と第二層28とを密着させる。具体的には、圧
延または引抜加工等により、撚線をつぶして図10に示
すような平板状の複合材としてもよいし、あるいは引抜
加工等により縮径して線材としてもよい。塑性加工時の
温度条件は第1実施形態の場合と同様でよい。
【0036】塑性加工が完了した後、第1実施形態と同
様に加熱拡散処理を行って、第一層26と第二層28の
境に拡散層を形成し、ハンダ材を得る。各層の厚さは第
1実施形態と同様でよい。上記構成からなる第4実施形
態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。ま
た、基本構造が撚線であるから柔軟で取扱性がよいとい
う特徴を有する。なお、本発明に係るハンダ材は、ハン
ダ付けすべき部品に予め固定されていてもよいのはもち
ろんである。
【0037】
【実施例】厚さ0.2mm×幅10mmのAu条材と、
厚さ0.14mm×幅10mmのSn条材とを重ね、冷
間圧延により接合して複合材とした。圧延温度は10〜
30℃とし、圧延による断面積の減少率は70%とし
た。圧延後の重量比はAu:Sn=81:19であっ
た。接合後の厚さは、Sn層が39μm、残存するAu
層が61μm、反応層が4μmであった。
【0038】次に、得られた複合材から試験片を切り出
し、これら試験片のそれぞれに表1に示す加熱条件によ
り拡散処理を行い、本発明にかかるハンダ材(実施例1
〜9)を得た。一方、拡散処理を行わなかった比較例
1、および高温で完全に相互拡散させた比較例2を得
た。
【0039】こうして作成した実施例1〜9、および比
較例1、2について断面観察を行い、気泡が発生した場
合にはその最大径を測定した。また、全てのハンダ材に
ついて、ハンダ付けに必要な加熱温度と時間、および、
さらにプレス打ち抜き加工した場合の割れの発生の有無
を評価した。各試験の条件は以下の通りである。試験結
果を表1に併せて示す。 ハンダ付け試験:日本アビオニクス株式会社製の小型窒
素リフロー炉装置「TCW−118N」を用いて、各温
度±5℃において15秒加熱の条件で搬送 プレス打ち抜き試験:SKD1(0.6C−4.4Cr
鋼)製ダイスを用い、3×3mmの角片にプレスし、2
0個の打ち抜き片を作成して割れの有無を評価した。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示すように、本発明に係る実施例1
〜9のハンダ材によれば、拡散を行っていない多層ハン
ダよりも低温でハンダ付けを行うことができた。また、
ハンダ材を圧延した場合にも割れ等は生じなかった。さ
らに、実施例1〜9では拡散層中に気泡が発生しない
か、発生しても無視し得るほどに小径だった。
【0042】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明に係るハン
ダ材によれば、表層には拡散層が露出していないため
に、塑性変形させても割れや微細破片が発生したりしな
いにもかかわらず、ハンダ付け時には、共晶点温度より
僅かに高い程度の温度かつ比較的短時間で、第一層およ
び第二層を相互拡散させることができ、ハンダ付けの対
象に与える熱影響が少なくて済む。
【0043】また、本発明に係るハンダ材の製造方法に
よれば、上記のように優れたハンダ材を容易に製造する
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のハンダ材を製造する
ための複合材の断面図である。
【図2】 第1実施形態のハンダ材の断面図である。
【図3】 本発明の第2実施形態のハンダ材を製造する
ための複合材の断面図である。
【図4】 第2実施形態のハンダ材の断面図である。
【図5】 第2実施形態の変形例のハンダ材を製造する
ための複合材の断面図である。
【図6】 本発明の第3実施形態のハンダ材を製造する
ための素材の断面図である。
【図7】 第3実施形態のハンダ材を製造するための複
合材の断面図である。
【図8】 第3実施形態のハンダ材の断面図である。
【図9】 本発明の第4実施形態のハンダ材を製造する
ための複合材の断面図である。
【図10】 第4実施形態のハンダ材の断面図である。
【符号の説明】
1,6,12,16,20,26 第一層 2,8,14,18,22,28 第二層 4,10,24 拡散層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハンダ合金を構成する複数種の元素から
    選択された1種または2種以上の第一元素群により形成
    された第一層と、前記ハンダ合金を構成する元素のうち
    前記第一元素群を除く第二元素群から形成された第二層
    と、前記第一層および前記第二層の間に形成され、第一
    元素群と第二元素群とを相互に拡散させた拡散層とを具
    備することを特徴とするハンダ材。
  2. 【請求項2】 前記第一層を構成する第一元素群はA
    g,Au,Pd,Ni,Ptから選択される1種または
    2種以上であり、前記第二層を構成する第二元素群はS
    n,Pb,Bi,Sb,Inから選択される1種または
    2種以上であることを特徴とする請求項1記載のハンダ
    材。
  3. 【請求項3】 前記第一層は外層、前記第二層は前記第
    一層により包囲された内層であることを特徴とする請求
    項1または2記載のハンダ材。
  4. 【請求項4】 前記拡散層は、前記ハンダ合金の共晶点
    温度より低い温度で相互拡散させることにより形成され
    たものであり、直径0.5μm以上の気泡を含まないこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハンダ
    材。
  5. 【請求項5】 ハンダ合金を構成する複数種の元素から
    選択された1種または2種以上の第一元素群により形成
    された第一層と、前記ハンダ合金を構成する元素のうち
    前記第一元素群を除く第二元素群から形成された第二層
    とを積層した複合材を形成する工程と、 前記複合材を加熱することにより、前記第一層および前
    記第二層の間に第一元素群と第二元素群とを相互に拡散
    させた拡散層を形成する工程とを具備することを特徴と
    するハンダ材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記拡散層を形成する工程における加熱
    温度は、前記ハンダ合金の共晶点温度より低い温度であ
    ることを特徴とする請求項5記載のハンダ材の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記拡散層を形成する工程の後、常温ま
    で冷却する工程を有することを特徴とする請求項5また
    は6記載のハンダ材の製造方法。
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